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JP3664608B2 - 回転電機 - Google Patents

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JP3664608B2 JP14505799A JP14505799A JP3664608B2 JP 3664608 B2 JP3664608 B2 JP 3664608B2 JP 14505799 A JP14505799 A JP 14505799A JP 14505799 A JP14505799 A JP 14505799A JP 3664608 B2 JP3664608 B2 JP 3664608B2
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穣 広田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、DCブラシレスモータやステッピングモータ等のように磁極ティース毎にコイルが巻回される固定子を備えた回転電機に関し、特に、絶縁ボビンの巻線枠の形状を工夫してコイルの軸方向への膨らみ寸法を短縮し、モータの小形化を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁極ティース毎にコイルが巻回される固定子を備えた回転電機については、例えば、特開平9−191588号公報に、12スロット8極のDCブラシレスモータにおいて3つの固定子片を1つのユニットコアとして、4つのユニットコアを組み合わせて1つの固定子を構成した事例が開示されており、図9は上記従来のモータのステータの要部の構成を示す斜視図、図10は図9のステータの巻線時のコイル端末と巻枠の状態を示す斜視図である。
図9、図10から明らかなように、磁性材料で形成され積層されたヨーク部1bが隣接するヨーク部1b間の薄肉連結部(図示せず)を介して連結されたステータコア1の各磁極ティース1aに、絶縁ボビン2を介してそれぞれコイル3を巻回すると共に、各薄肉連結部を折り曲げることにより環状に形成して構成され、コイル3の端末3aは絶縁ボビン2に立設された角ピン4にからげて処理されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の絶縁ボビン構造を持ったステータでのコイル巻回作業は、先ずコイル線を絶縁ボビン2に形成されたコイル導入溝2dに通し、次いで第1層の第1巻目は絶縁ボビン2の各二つの巻回枠芯正面部2b及び巻回枠芯側面部2cとコイル導入溝2dのある側の巻回枠壁部2aとでなす角部に添わせて巻回して行き、第2巻目は第1巻目に添うように巻かれる。これを順次繰り返して第1層目が巻かれる。次に、第2層目は第1層目の上に巻かれるが、第1層目と平行に巻かれる部分では第1層目のコイル線間に隙間なく巻かれる。しかし、第1層目のコイル線と交差する部分では、第2層目のコイル線が第1層目のコイル線の真上に位置することとなるため、コイル3の巻線高さが高くなる。上記従来の絶縁ボビン構造を持った回転電機のステータでは、コイル線の交差する部分がステータコア1の縦方向、即ち、ステータコア1の積層方向の面となるため、この方向のコイル高さ寸法が大きくなり、結局、モータ全体が大きくなるという問題があった。
【0004】
この発明は、上記のような従来の問題点を解消するためになされたもので、磁極ティース毎にコイルが巻回されたステータの軸方向寸法を短縮して全体の小形化を図った回転電機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る回転電機は、積層構成されたステータコアの複数の磁極ティースのそれぞれに絶縁ボビンを介し整列巻きされてなるコイルを備えたステータを有するものであって、少なくとも絶縁ボビンのコイル導入溝がある側の巻回枠壁部とコイル導入溝近傍の巻回枠芯正面部とでなす角部に、第1層目で第1巻目のコイル線をコイル巻き進み方向にコイル線径分だけ移行させる移行突起を設け、且つ、この移行突起は、絶縁ボビンのコイル導入溝がある側の巻回枠壁部と上記コイル導入溝近傍の巻回枠芯正面部とでなす角部から、上記巻回枠壁部に添ってコイル線径の2.1倍の高さ、上記巻回枠芯正面部に添ってコイル線径の1.21倍の底辺長さを有する傾斜角部としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施の形態のモータにつき図に基づいて説明する。なお、各図中、従来例におけるものと同一符号は同一、又は同等のものを示す。
図1は、この発明の実施の形態1であるモータのステータの要部の構成を示す図であり、図1(a)は磁極ティースにコイルを形成した状態を示す平面図、図1(b)は図1(a)の矢A方向に見た側面図である。ただし、図1(a),図1(b)共に、コイルの巻き回数を少なくして図示している。図2はこの発明の実施の形態1であるモータのステータの要部の構成を示す斜視図である。ただし、コイルを省略して図示している。図3は図1の断面図であり、図3(a)は図1(b)のIIIa-IIIa方向に見た断面図、図3(b)は図1(a)のIIIb-IIIb方向に見た断面図、図3(c)は図1(a)のIIIc-IIIc 方向に見た断面図である。ただし、図3(c)はコイルの巻き回数を1回に省略して図示している。図4は図3(b)におけるf部の拡大図である。
【0007】
図において、1は磁性材料で形成され積層されて、磁極ティース1aと対をなす複数のヨーク部1bが薄肉連結部(図示せず)を介して帯状に連結されたステータコア、2はこのステータコア1の磁極ティース1aの外周面及びヨーク部1bの内面に樹脂で一体成形された絶縁ボビン、3はこの絶縁ボビン2内に巻回されたコイルである。
次に、上記のように構成された本実施の形態1におけるステータのコイルの巻回方法について説明する。
図1(a)及び図3(c)に示すように、コイル導入溝2dを通じて導入されたコイル線は、各二つの巻回枠芯正面部2b及び巻回枠芯側面部2cとコイル導入溝2dのある側の巻回枠壁部2aとでなす角部に添って第1巻目が巻かれ、次に第1巻目に添うように第2巻目が巻かれる。これを繰り返して第1層目の巻回が終わると、第1層目の上部に第2層目が巻かれる。これを繰り返して所定の巻数分のコイル3が巻かれると、コイル導出溝2eを通じてコイル線は導出されコイルの巻回が終了する。
【0008】
以上のようにしてコイルを巻回するとき、コイル巻層間では下層のコイルと交差する部分ができるが、この部分では下層のコイルの真上に次層のコイルがあるため、コイル高さが高くなる。本実施の形態1においては、絶縁ボビン2の各二つの巻回枠芯正面部2b及び巻回枠芯側面部2cとコイル導入溝2dのある側の巻回枠壁部2aとでなす角部で、4箇所ある内の巻始めのコイルが3番目に添う部分の途中から4番目に添う部分にかけて、図4に示す断面形状のように、高さがコイル線径の2.1倍、底辺長さがコイル線径の1.21倍の傾斜角部2fを設けたことにより、コイル巻層間で交差する部分がコイル巻き始めの線の3番目に添う部分となるため、この部分の高さ方向には膨らみを生じるがステータコア1の積層方向には膨らみを生じることがない。したがって、モータの軸方向寸法を小さく抑制することができる。
なお、傾斜角部2fの寸法は図4に示す値に近似した値でないと、コイルを整列巻きすることができず乱巻きとなって全体に膨らみを生じる結果となり、所定の効果が得られない。
【0009】
参考例1.
図5は、この発明の基礎となる技術を示す参考例1であり、ステータの絶縁ボビンに突起角部を設けてコイル巻回を行う状態を示す要部断面図である。図示のように、断面形状は高さ及び底辺長さ共にコイル線径と同一で、コイル線と接する角部に半径がコイル線径の0.5倍の丸みを持つ突起角部2gを設けたものである。
【0010】
参考例2.
図6は、この発明の参考例2を示すもので、ステータの絶縁ボビンに突起角部を設けてコイル巻回を行う状態を示す要部断面図である。図示のように、断面形状は高さがコイル線径の0.87倍、幅がコイル線径と同一の四角形状の突起角部2hを設けたものである。
【0011】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態であるモータのステータの絶縁ボビンの巻回枠芯正面部の一辺に傾斜角部を設けた状態を示す要部斜視図である。ただしコイルを省略して図示している。図8は、図7のVIII-VIII方向に見た断面図である。ただしコイルの巻回数を1回に省略して図示している。
本実施の形態の絶縁ボビン2は、コイル導入溝2dのある側の巻回枠壁部2aと巻回枠芯正面部2bとでなす角部のみに上記図4で示した傾斜角部2fを設けたものであり、その他の構成は実施の形態1におけると同様である。
絶縁ボビン2を以上のように構成しても、実施の形態1におけると同様の効果が得られる
【0012】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
積層構成されたステータコアの複数の磁極ティースのそれぞれに絶縁ボビンを介し整列巻きされてなるコイルを備えたステータの、少なくとも絶縁ボビンのコイル導入溝がある側の巻回枠壁部とコイル導入溝近傍の巻回枠芯正面部とでなす角部に、第1層目で第1巻目のコイル線をコイル巻き進み方向に移行させる移行突起を設け、かつ、この移行突起は、絶縁ボビンのコイル導入溝がある側の巻回枠壁部と上記コイル導入溝近傍の巻回枠芯正面部とでなす角部から、上記巻回枠壁部に添ってコイル線径の2.1倍の高さ、上記巻回枠芯正面部に添ってコイル線径の1.21倍の底辺長さを有する傾斜角部とする構成としたので、コイルの巻線時のテンションによる変形(巻き乱れ)を防止して確実にコイルの整列巻きをすることができ、形成されたコイルのステータコア積層方向の膨らみが防止され、軸方向寸法を短縮して回転電機全体の小形化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1であるモータのステータの要部の構成を示す図であり、(a)は磁極ティースにコイルを形成した状態を示す平面図、(b)は(a)の矢A方向に見た側面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1であるモータのステータの要部の構成を示す斜視図である。
【図3】 図1の断面図であり、(a)は図1(b)のIIIa-IIIa 方向に見た断面図、(b)は図1(a)のIIIb-IIIb方向に見た断面図、(c)は図1(a)のIIIc-IIIc 方向に見た断面図である。
【図4】 図3(b)におけるf部の拡大図である。
【図5】 この発明の参考例1であるモータのステータの絶縁ボビンに突起角部を設けてコイル巻回を行う状態を示す要部断面図である。
【図6】 この発明の参考例2であるモータのステータの絶縁ボビンに突起角部を設けてコイル巻回を行う状態を示す要部断面図である。
【図7】 この発明の実施の形態であるモータのステータの絶縁ボビンの巻回枠芯正面部の一辺に傾斜角部を設けた状態を示す要部斜視図である。
【図8】 図7のVIII-VIII 方向に見た断面図である。
【図9】 従来のモータのステータの要部の構成を示す斜視図である。
【図10】 図9のステータの巻線時のコイル端末と巻枠の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ステータコア、1a 磁極ティース、2 絶縁ボビン、
2a 巻回枠壁部、2b 巻回枠芯正面部、2c 巻回枠芯側面部、
2d コイル導入溝、2f 傾斜角部、2g 突起角部、3 コイル。

Claims (1)

  1. 積層構成されたステータコアの複数の磁極ティースのそれぞれに絶縁ボビンを介し整列巻きされてなるコイルを備えたステータを有する回転電機であって、少なくとも上記絶縁ボビンのコイル導入溝がある側の巻回枠壁部と上記コイル導入溝近傍の巻回枠芯正面部とでなす角部に、第1層目で第1巻目のコイル線をコイル巻き進み方向に移行させる移行突起を設け、且つ、この移行突起は、絶縁ボビンのコイル導入溝がある側の巻回枠壁部と上記コイル導入溝近傍の巻回枠芯正面部とでなす角部から、上記巻回枠壁部に添ってコイル線径の2.1倍の高さ、上記巻回枠芯正面部に添ってコイル線径の1.21倍の底辺長さを有する傾斜角部としたことを特徴とする回転電機。
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