JP3658305B2 - 加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱装置は、画像形成装置に用いられる被記録材に未定着画像を定着するための加熱定着装置や、被記録材を加熱して艶の如き表面性を改質するための像加熱装置、被加熱材を乾燥させたり、ラミネートしたりするための熱処理装置等として従来から広く用いられている。
【0003】
以下、電子写真複写機やプリンタの如き画像形成装置に装備される加熱定着装置を例に採って、従来技術の加熱装置を説明する。
【0004】
画像形成装置の加熱定着装置は、被記録材(転写シート、静電記録紙、エレクトロファックス紙、印字用紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた目的の画像情報に対応した未定着画像(トナー画像)を、被記録材面に永久固着画像として熱定着させるものである。加熱定着装置は、熱ローラ方式やフィルム加熱方式等のように、加熱手段と加圧手段とを対向圧接させて圧接ニップ部(定着ニップ部)を形成し、その圧接ニップ部に画像定着すべき被記録材を導入し、挟持搬送させることにより未定着画像を被記録材面に熱圧定着させる接触加熱型の装置が多用されている。以下、これらの加熱方式について説明する。
【0005】
A)熱ローラ方式
加熱手段としての加熱ローラ(定着ローラ)と、これに圧接させた加圧手段としての弾性加圧ローラとからなる並行圧接ローラ対を基本構成とする。該ローラ対を回転させ、該ローラ対の圧接ニップ部に画像定着すべき被記録材を導入して挟持搬送させ、加熱ローラの熱と圧接ニップ部の加圧力によって未定着画像を被記録材面に熱圧定着させるものである。
【0006】
B)フィルム加熱方式
フィルム加熱方式に関しては、特開昭63−313182号公報、特開平2−157878号公報、特開平4−44075号公報、特開平4−44083号公報、特開平4−204980号公報及び特開平4−204984号公報等に提案されている。フィルム加熱方式は、加熱手段として加熱体と耐熱性フィルム(定着フィルム)を有し、加圧手段として弾性加圧ローラを有する。弾性加圧ローラによって耐熱性フィルムを加熱体に圧接させて圧接ニップ部を形成し、圧接ニップ部において耐熱性フィルムを加熱体に密着させて摺動搬送させ、圧接ニップ部における耐熱性フィルムと弾性加圧ローラとの間に画像定着すべき被記録材を導入してこの被記録材を耐熱性フィルムと共に搬送させる。このとき、加熱体から耐熱性フィルムを介して被記録材に付与される熱と、圧接ニップ部における加圧力にて未定着画像が被記録材面に熱圧定着される。被記録材は圧接ニップ部を通過後に耐熱性フィルムから分離される。
【0007】
フィルム加熱方式の加熱装置は、加熱体として低熱容量の線状加熱体を用い、耐熱フィルムとして薄膜の低熱容量のものを用いることができるため、省電力化、ウェイトタイム短縮化(クイックスタート性)を向上させることが可能である。また、フィルム加熱方式の加熱装置においては、耐熱フィルムとしてエンドレスフィルムを用い、該フィルムの回転駆動方式として、フィルム内周面側に駆動ローラを設け、フィルムにテンションを加えながら回転駆動させる方式と、該フィルムをフィルムガイドにルーズに外嵌させ、加圧手段としての加圧用回転体を駆動することでフィルムを加圧用回転体に対し従動駆動させる方式があるが、部品点数が少なくて済むことから、後者の加圧回転体駆動方式が採用されることが多い。
【0008】
上述した熱ローラ方式やフィルム加熱方式の加熱定着装置のように、加熱手段と加圧ローラとを対向させて被加熱材加熱部としての圧接ニップ部を形成し、その圧接ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送することにより被加熱材を加熱・加圧処理する加熱装置において、装置の高速化、ウェイトタイム短縮化を図るには、加圧ローラを弾性を有するものとし、その弾性変形により加熱手段との間に形成される圧接ニップ部の幅を大きくすることで被加熱材へ充分な熱量を与えるための時間を取り、被加熱材への熱付与効率を向上させてもよい。しかし、単に圧接ニップ部の幅を大きくするのみでは、加熱装置そのものが大きくなり、同時に消費電力も増大してしまう。従って、装置の小型化、低コスト化、低消費電力化を図るためには、装置の熱効率の更なる向上が必要とされる。
【0009】
装置の熱効率の向上という観点からは、加熱手段から加圧手段側に奪われる熱量が無視できない。よって、装置の高速化や低消費電力化のためには加圧手段の低熱容量化が望まれる。このような加圧手段の低熱容量化の手段としては、例えば、特開平9−114281号公報において、加圧手段としての加圧ローラの弾性層に、内部が中空の充填材を含ませることにより、断熱性に優れた加圧用回転体を量産性に優れた製造方法で得ることができることが知られている。
【0010】
しかしながら、内部が中空の充填材として、中空シリカや、アルミナ、ガラス及びガラスファイバーの如き内部に空気を含む無機フィラーを用いているがこのような無機系の内部が中空の充填材を用いる場合には、充填材が硬いので、加圧ローラの弾性層を硬くし、定着ニップ幅を大きくするのに大きな加圧力を必要とする問題があった。
【0011】
また、電子写真画像形成装置の加熱装置においては、近年装置の小型が進み、これに使用される加圧ローラの小径化も進んでいる。加圧ローラの小径化により定着時におけるニップ巾を確保する為に加圧ローラの芯金外周に被覆せしめる弾性層を低硬度化する傾向があり、例えば、特公平4−77315号公報に開示されるように弾性層に発泡弾性体(スポンジゴム)を用いたものが多く実用化されている。しかし、シリコーンゴム中に混入されている発泡剤が加熱により発泡するとき、その発泡圧力により、シリコーンゴムの壁を破って発泡セルが露出したり、発泡セルと大気とを隔てるシリコーンゴムの壁が極めて薄くなって、事実上の凹部を形成する。また、シリコーンゴムを金型内で発泡させた場合には、発泡圧力が不規則な方向に向うので、ゴム中に不規則な発泡応力が発生している。そこで、発泡後に、金型からシリコーンゴムを取り出すと、不規則な発泡応力が解放されて、ゴム表面に凹凸を生じる。
【0012】
このような発泡シリコーンゴムローラを加圧ローラとして使用した場合には、加熱ローラや加熱フィルムにオフセットした溶融トナーが、加圧ローラの露出発泡セルや凹部に転写され、加圧ローラの汚れを生ずる。
【0013】
また、芯金の上にシリコーンゴムを発泡してなる発泡弾性体としてのスポンジ弾性体を形成し、その外周面にPFA、PTFE等のフッ素樹脂の耐熱離型層をコーティングにより形成する場合には、露出発泡セルや凹部にコーティング剤が侵入して、表面な平滑で均一な厚さの離型層の形成が難しい。また、フッ素樹脂チューブを被せて離型層を形成する場合には、フッ素樹脂チューブが加圧された状態で発泡セルにならって凸凹になってしまうため、通紙すると目に見えない程度のオフセットや紙裏等にあるトナーで加圧ローラが汚れるという問題があった。
【0014】
加熱定着装置に用いられる加圧ローラは、長時間による加熱履歴によって、硬さや熱伝導性が変化しない特性が求められる。硬さが変動するとニップ幅が変化し、また熱伝導性が高くなると、定着効率が下がり、いずれも定着性能に影響を与えるからである。
【0015】
また、スポンジゴムの製造法のひとつとして樹脂マイクロバルーンを利用する方法が知られている。そのひとつには、特開平8−12888号公報、特開平5−209080号公報のごとく未膨張のマイクロバルーンをゴム中に混合し、加熱し、樹脂マイクロバルーンの膨張とゴムの硬化を同時に行うものである。
【0016】
もうひとつには、上記方法での問題点(セルの不均一)を解決する目的でスポンジゴムの製造方法として、予め膨張させた樹脂マイクロバルーンを液状コンパウンドに混合、樹脂溶融温度以下で架橋ゴム成形物を得る方法および、これにより製造される転写ドラム(特開平10−060151号公報)が提案されている。
【0017】
既発泡の樹脂マイクロバルーンは充填剤として各種塗料・プラスチック材に用いられているが飛散し易いので、飛散防止手法が提案されている。例えば特登録02822142では未膨張樹脂マイクロバルーンと湿潤剤(可塑剤)を未膨張樹脂マイクロバルーンの膨張開始温度以下で混合後、該混合物を前記未膨張樹脂マイクロバルーンの膨張開始温度近くまで加熱して膨張樹脂マイクロバルーンを得る方法が開示されている。また、特開平06−240040号公報においては、低沸点有機溶剤を内包する熱可塑性樹脂マイクロカプセルを加熱膨張させてなるマイクロバルーンの表面に、バインダー樹脂を介して無機物微粒子が固着されていることを特徴とする飛散性の少ない取り扱い性に優れたマイクロバルーンの製造方法が開示されている。
【0018】
しかしながら、予め膨張させた樹脂マイクロバルーンを配合したシリコーンゴムスポンジの製造方法においては、膨張樹脂マイクロバルーンは比重が極めて低く、保管形態が非常にかさばるほかシリコーンゴム材への混合も大変難しいといった問題点がある。従来例の未膨張樹脂マイクロバルーンと湿潤剤(可塑剤)を未膨張樹脂マイクロバルーンの膨張開始温度以下で混合後、該混合物を未膨張樹脂マイクロバルーンの膨張開始温度近くまで加熱して膨張樹脂マイクロバルーンを得る方法においては湿潤剤(可塑剤)にフタル酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤が例示されているが、これらは液状シリコーンと相溶性に乏しくこれらで処理された膨張樹脂マイクロバルーンを液状シリコーンと混合した場合、分離等の保存性に問題が生じる場合がある。
【0019】
また、表面にバインダー樹脂を介して無機物微粒子が固着されている飛散性の少ない取り扱い性に優れたマイクロバルーンは充分な断熱性が得られない場合がある。
【0020】
そこで、既膨張の樹脂マイクロバルーンを充填剤として使用する場合、湿潤剤や無機物微粒子を用いない方法が求められている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、熱伝導性が低く、加熱手段からの熱量を奪い難く、且つ加圧ローラの表面硬度が低く、定着ニップ幅を大きくすることができる加圧ローラを用いた加熱装置及びその加熱装置を加熱定着装置として具備する画像形成装置を提供することである。
【0022】
また本発明の第2の目的は、加圧ローラのトナーによる汚れが生じにくい加熱装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、シート状の被加熱材を加熱するための加熱手段と、この加熱手段に対向して配置され、加熱手段に圧接される加圧ローラとを有し、加熱手段と加圧ローラの圧接ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送することにより、被加熱材を加熱する加熱装置において、加圧ローラが、樹脂マイクロバルーンにより形成された空隙部を分散含有する弾性層を芯金の周囲に有するものであって、
該弾性層は、膨張せしめた樹脂マイクロバルーンを含む液状シリコーンゴムを芯金上で、該樹脂マイクロバルーンの軟化点よりも低い温度で加熱して該液状シリコーンゴムを硬化した後、該樹脂マイクロバルーンを破壊することによって該空隙部を生じさせたものであることを特徴とする加熱装置である。
【0026】
本発明の加熱装置に用いる加圧ローラの弾性層中に分散含有される空隙部は、樹脂マイクロバルーンにより形成される。樹脂マイクロバルーンは、有機充填剤であるから、無機充填剤に較べて軟かく弾性体層を過度に硬くしないので、軽加圧力で十分な定着ニップ幅を形成することができる。
【0027】
また、樹脂マイクロバルーンは、有機充填材であるから無機充填剤に較べて熱伝導率が低く、弾性体層として望ましい0.146W/m・K以下の熱伝導率を実現する上で有利である。
【0028】
また、樹脂マイクロバルーンは、殻が樹脂で形成され、内部に気体が閉じ込められているマイクロバルーンである。従って、樹脂マイクロバルーンは、弾性層表面に露出したセルを形成することはないし、弾性体層表面に凹部を形成することもない。また、未膨張の樹脂マイクロバルーンを弾性体原料と混合した後に、未膨張の樹脂マイクロバルーン内包される揮発性物質を加熱膨張させて、樹脂マイクロバルーンを分散含有する弾性層を形成した場合にも、揮発性物質の膨張圧力は殻で抑えられるため、弾性層表面に露出したセルや凹部を形成しない。そのため、トナーで汚染されない加圧ローラを提供できるものである。
【0032】
即ち、未膨張樹脂マイクロバルーンとして殻に熱可塑性樹脂を用い、揮発性も物質を内包させた粉体を採用した場合、加熱膨張させた樹脂マイクロバルーンがそのままの状態でシリコーンゴムスポンジ中に分散されている弾性層では、熱可塑性樹脂は、シリコーンゴムに較べて堅いので、弾性層を硬くする、また、加熱定着装置の加圧ローラとして使用される場合、熱履歴を受けて、熱可塑性樹脂の殻が破壊されたり、熱分解・炭化されたりすると、殻が存在することによる硬さが失われ、ローラ硬度が低下したり熱伝導率が高くなったりして、定着性能に変動を来たす場合もある。このような殻の破壊は、加熱定着用加圧ローラとして用いた場合、いわゆる非通紙部昇温によって生じ易い、即ち、非通紙部で樹脂マイクロバルーンが熱ダメージを受け局部的にローラ硬度が低下し搬送性に問題が生じる場合がある。小サイズ紙を連続して通紙した場合、加圧ローラの非通紙領域は定着部材により連続的に直接加熱される為、加圧ローラ表面の通紙領域は150℃以下に維持されていても、非通紙領域の表面温度は約250℃に達する場合もあるからである。
【0033】
そこで、この本発明においては、樹脂のマイクロバルーン形状の殻を壊してしまうことで、このような問題を解決できたものである。また、樹脂のマイクロバルーン形状の殻の破壊は、表面に離型層を形成する前又は後、又は形成と同時にのいずれでもよいが、離型層を形成後に、樹脂のマイクロバルーン形状の殻を壊す場合には、樹脂の破壊に伴って発生する気体成分が閉じ込められ、破壊される樹脂の種類によってはシリコーンゴムを劣化させるおそれがあるため、離型層を形成する前に、樹脂のマイクロバルーン形状を壊わすのが最も好適である。
【0034】
【発明の実施の形態】
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は、転写式電子写真プロセス利用のレーザームプリンタである。
【0035】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)であり、矢印aの時計方向に所定の周速度(プロセススピード)にて回転駆動される。感光ドラム1は、OPC・アモルファスSe・アモルファスSi等の感光材料層を、アルミニウムやニッケルなどのシリンダ(ドラム)状の導電性基体の外周面に形成した構成から成る。
【0036】
感光ドラム1はその回転過程で帯電手段としての帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。その回転感光ドラム1の一様帯電面に対してレーザービームスキャナ3から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調制御(ON/OFF制御)されたレーザービームによる走査露光Lがなされることにより、回転感光ドラム面に目的の画像情報の静電潜像が形成される。
【0037】
その形成潜像が現像装置4でトナーTにより現像されて可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。
【0038】
一方、給紙ローラ8の駆動により給紙カセット9内に収容の被記録材としての転写材Pが一枚宛繰り出されて、ガイド10・レジストローラ11を有するシートパスを通って感光ドラム1と転写ローラ5の圧接部である転写ニップ部に所定の制御タイミングにて給送され、その給送転写材Pの面に感光ドラム1面側のトナー画像が順次に転写されていく。
【0039】
転写ニップ部を出た転写材は回転感光ドラム1の面から順次に分離されて、搬送装置12で加熱装置としての加熱定着装置6に導入されてトナー画像の熱定着処理を受ける。加熱定着装置6については次の(2)項で詳述する。
【0040】
加熱定着装置6を出た転写材は搬送ローラ13・ガイド14・排紙ローラ15を有するシートパスを通って、排紙トレイ16にプリントアウトされる。
【0041】
また、転写材分離後の回転感光ドラム面はクリーニング装置7により転写残りトナー等の付着汚染物の除去処理を受けて清浄面化され、繰り返して作像に供される。
【0042】
(2)加熱定着装置6
図2は本例で用いた加熱装置としての加熱定着装置6の概略構成模型図である。本例の加熱定着装置6は、特開平4−44075〜44083号公報、同4−204980〜204984号公報等に記載の所謂テンションレスタイプのフィルム加熱方式・加圧回転体(加圧ローラ)駆動方式の加熱装置である。
【0043】
21は横断面略半円弧状・樋型で、紙面に垂直方向を長手とする横長のフィルムガイド部材(スティ)、22はこのフィルムガイド部材21の下面の略中央部に長手に沿って形成した溝内に収容保持させた横長の加熱体、23はこの加熱体付きのフィルムガイド部材21にルーズに外嵌させたエンドレスベルト状(円筒状)の耐熱性フィルムである。これら21〜23は加熱手段側部材である。
【0044】
24はフィルム23を挟ませて加熱体22の下面に圧接させた加圧手段としての弾性加圧ローラである。Nはフィルム23を挟ませて加熱体22に圧接させた加圧ローラ24の弾性層24bの弾性変形によって加熱体22との間に形成された圧接ニップ部(定着ニップ部)である。加圧ローラ24は駆動源Mの駆動力が不図示のギア等の動力伝達機構を介して伝達されて所定の周速度で矢印bの反時計方向に回転駆動される。
【0045】
フィルムガイド部材21は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイト)や液晶ポリマー等の耐熱性樹脂の成形品である。
【0046】
加熱体22は、本例は、アルミナ等の横長・薄板状のヒータ基板22a、その表面側(フィルム摺動面側)に長手に沿って形成具備させた線状あるいは細帯状のAg/Pbなどの通電発熱体(抵抗発熱体)22b、ガラス層等の薄い表面保護層22c、ヒータ基板22aの裏面側に配設したサーミスタ等の検温素子22d等からなる全体に低熱容量のセラミックヒータである。このセラミックヒータ22は通電発熱体22bに対する電力供給により迅速に昇温し、検温素子22dを含む電力制御系により所定の定着温度に温調される。
【0047】
耐熱性フィルム23は、熱容量を小さくして装置のクイックスタート性を向上させるために、膜厚を総厚100μm以下、好ましくは60μm以下20μm以上とした、耐熱性・離型性・強度・耐久性等のあるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)・PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル)・PPS等の単層フィルム、あるいはポリイミド・ポリアミドイミド・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)・PES(ポリエーテルスルホン)等のベースフィルムの表面にPTFE・PFA・FEP(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル)等を離型層としてコーティングした複合層フィルム等である。
【0048】
加圧ローラ24は、鉄やアルミニウム等の芯金24aと、内部が中空の充填材24cを充填した弾性層24bと、離型層24dとからなる。この加圧ローラ24については次の(3)項で詳述する。
【0049】
フィルム23は、少なくとも画像形成実行時に加圧ローラ24が回転駆動されることで、該加圧ローラ24の回転駆動により圧接ニップ部Nにおいて加圧ローラ24とフィルム23の外面との摩擦力でフィルム23に回転力が作用して、フィルム内面が圧接ニップ部Nにおいて加熱体22の表面である下面に密着して摺動しつつフィルムガイド部材21の外回りを矢印aの時計方向に所定の周速度、即ち画像転写部側から搬送されてくる未定着トナー画像Τを担持した転写材pの搬送速度と略同一の周速度でシワなく回転駆動される。この場合、フィルム23の内面とこれが摺動する加熱体下面との摺動抵抗を低減するために両者間に耐熱性グリス等の潤滑剤を介在させるとよい。
【0050】
而して、加圧ローラ24の回転駆動によりフィルム23が回転され、また加熱体22が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、圧接ニップ部Nの加圧ローラ24とフィルム23との間に未定着トナー画像Τを有する被加熱材としての転写材Pがそのトナー画像担持面側をフィルム23側にして導入されて圧接ニップ部Nにおいてフィルム外面に密着し、フィルム23と一緒に圧接ニップ部Nを挟持搬送されていくことにより、加熱体22の熱がフィルム23を介して付与されまた圧接ニップ部Nの加圧力を受けて未定着トナー画像Τが転写材Pの面に熱圧定着される。圧接ニップ部Nを通った転写材Pはフィルム23の外面から分離されて搬送される。
【0051】
本例のようなフィルム加熱方式の装置6は、熱容量が小さく昇温の速い加熱体22を用いることができ、加熱体6が所定の温度に達するまでの時間を大きく短縮できる。常温からでも容易に高温に立ち上げることができるため、非プリント時に装置が待機状態にあるときのスタンバイ温調をする必要がなく省電力化できる。
【0052】
また、回転するフィルム23には圧接ニップ部N以外には実質的にテンションが作用しないので、回転状態にあるフィルム23のフィルムガイド部材21の長手に沿う寄り移動力が小さい。そのためフィルム寄り移動規制手段としてはフィルム23の端部を単純に受け止めるだけのフランジ部材の配設で足り、装置を簡略化できる利点がある。
【0053】
(3)加圧ローラ24
上述したように、加熱定着装置6における加圧用回転体としての加圧ローラ24は、芯金24aと、樹脂マイクロバルーン24cを充填した弾性層24bとを有している。
【0054】
加圧ローラ24は、弾性層と最外面部に形成され、フッ素樹脂またはフッ素ゴムからなる離型層とを有する。加圧ローラ24の弾性層24bの熱伝導度を上記範囲とすることにより、加熱定着装置6の作動時に加熱体22が加圧ローラ24より奪われる熱量を小さく抑えることができる。このため、フィルム23表面の温度上昇を向上させることができ、加熱定着装置6のクイックスタートを可能とすることができる。この熱伝導率は、0.146W/m・K以下であることが好ましい。また、0.084W/m・Kより低い場合は、加圧ローラ24の昇温スピードが、早くなり定着性は良くなるが、小サイズを通紙した時の非通紙部の昇温が大きくなり、加圧ローラについてより耐熱性が求められる。
【0055】
弾性層の熱伝導率は、表面熱伝導率計(商品名:QTM−500、京都電子(株)製)により測定する。即ち、加圧ローラの弾性層の表面に、加圧ローラの軸方向と平行に表面熱伝導率計のセンサプローブ(型式:PD−11、京都電子(株)製)を接触させて、弾性層の熱伝導率を測定する。
【0056】
また加圧ローラの表面粗さRa(JIS B0601)は3μm以下が好ましい。
【0057】
加圧ローラ24に用いられる弾性層24bの厚さは所望の幅の圧接ニップ部Nを形成することができる厚さであれば特に限定されないが、2〜6mmであることが好ましい。
【0058】
弾性層24bは、弾性層24b中に樹脂マイクロバルーン24cを含むゴム組成物であり、熱伝導度が0.146W/m・K以下となるものであれば、材料は特に限定されない。樹脂マイクロバルーン24cは平均粒径が100μm前後の略球状であり、内部に断熱性に優れた空気を含有しているため、マイクロバルーンを充填材として弾性層24b中に含有させることで、弾性層24bの熱伝導度を小さくすることができる。
【0059】
また、このような充填材を弾性層中に含むことにより、発泡された材料を弾性層として用いなくても弾性層24bの熱伝導率を低下させることができる、このため、弾性層24bを表面粗さの低いものとすることが可能となり、加圧ローラ24を圧接ニップ部Nにおいても離型層24b表面が凹凸にならないものとすることができる。
【0060】
加圧ローラ24に上記効果を付与しかつ、シリコーンゴムにマイクロバルーンを充填する際の、成形性を考えるとマイクロバルーンの平均粒径は、80〜300μmであることが好ましく、熱伝導度の安定性からは80〜200μmであることがより好ましい。また、上記マイクロバルーンは、真密度が400kg/m3以下であることが好ましく、シリコーンゴムへの作業性を考えると、20〜60kg/m3であることがより好ましい。
【0061】
これらは、このような、マイクロバルーン24cの殻として好ましい例としては、熱可塑性のものとして塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、熱硬化性のものとしてフェノール樹脂が上げられる。上記各材料からなるマイクロバルーンは単独で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いられてもよい。
【0062】
また、弾性層24b中にマイクロバルーンを含有させる基材としては、従来の加圧ローラの弾性層として公知のものを用いることができるが、シリコーンゴム、フッ素ゴムを好適に用いることができる。
【0063】
なお、弾性層24bの熱伝導率が上記範囲であれば、樹脂マイクロバルーン24cの弾性層24b中の含有量は特に限定されないが、例えば樹脂マイクロバルーン24cの含有量を変化させたときの弾性層24bの熱伝導率をそれぞれ測定し、好ましい熱伝導率が得られるときの含有量をマイクロバルーンの好ましい含有量として選択することができる。
【0064】
マイクロバルーン24cを含有する弾性層24bは、シリコーンゴムなどのゴム層中にマイクロバルーンを含有しているものであってよい。また、このようなゴム層中にマイクロバルーンを含有させてなる層を、発泡体からなる層上に形成したものを本発明における弾性層24bとしても良い。
【0065】
このような離型層24dは、弾性層24b上にPFAチューブを被せることにより形成してもよいし、フッ素ゴムまたは、PTFE,PFA,FEPなどのフッ素樹脂を弾性層24b上にコーティングすることによって形成しても良い。なお、離型層24dの厚さは加圧ローラ24に充分な離型性を付与することができる厚さであれば特に限定されないが、好ましくは20〜50μmである。
【0066】
このようにして製造される加圧ローラの弾性層にはゴムと、樹脂マイクロバルーンで形成される空隙があり、ゴムと空隙の間には、樹脂マイクロバルーンの樹脂の殻が存在している。加熱定着装置の加圧ローラとして使用中に、熱履歴を受けて、樹脂の殻が壊されると加圧ローラの硬度が変化し、その結果、定着ニップ幅が変わり、熱定着性能が変わってしまう。そのために、樹脂の殻が熱履歴を受けても壊れない樹脂マイクロバルーンを用いることも有効である。このようなマイクロバルーンとして熱硬化性樹脂マイクロバルーンが有効である。
【0067】
例えば、アクリロニトリル樹脂からなるマイクロバルーンの耐熱温度は200℃程度であり、これ以上加圧ローラ24の温度が上がると加圧ローラ24の硬度が下がるという問題が発生する。また、小サイズの転写材Pを連続して加熱定着装置6に通過させると、圧接ニップ部Nにおける加圧ローラ24表面の被記録材Pが通過しない部分(以下「非通紙領域」という)の熱が転写材Pによって奪われないため、小サイズの転写材Pを十数枚連続して通過させると、この非通紙領域の温度は200℃前後まで上昇する。従って、実施形態1の加圧ローラ24においては、ローラ表面の昇温を想定して、単位時間あたりに圧接ニップ部Nを通過する小サイズの転写材Pの枚数(スループット)を大幅に低減する等の対応が必要となることがある。
【0068】
これに対し、熱硬化性のフェノール樹脂からなる外殻を有するマイクロバルーンを用いている。外殻がフェノール樹脂であるマイクロバルーンの耐熱温度は300℃であるため、転写材Pとして前述の小サイズ紙を連続して通紙した際に上記非通紙領域のおける耐熱温度をシリコーンゴムの耐熱温度である230℃〜240℃に設定することができる。従って、非通紙領域の昇温を想定した対応が簡単となるスループットを大きく設定することができる。このため、単位時間あたりの加熱定着速度を大きくすることができる。
【0069】
また、加圧ローラの硬度と耐熱温度を所定の範囲に設定するために、熱可塑性樹脂マイクロバルーンと熱硬化性樹脂マイクロバルーンを併用することも有効である。
【0070】
例えば、外殻がアクリロニトリル樹脂のマイクロバルーンは、弾性層24bに対して1wt%以上充填すると、200℃前後でローラ硬度が過度にダウンする場合があるが、それより少なければ、加圧ローラ24の温度が200℃以上となっても硬度の影響がない。従って、外殻がアクリルニトリルからなるマイクロバルーンは1wt%以下とすることが、転写材Pとして小サイズ紙を連続通紙したときの非通紙領域の昇温を考えると望ましい。
【0071】
また、加圧ローラ24の硬度55°(アスカーC硬度計600g荷重)以下であることが好ましく、50°以下であることが更に好ましい。加圧ローラ24の硬度をこの範囲とするためには、外殻がフェノールであるマイクロバルーンの充填量を20wt%以下とすることが好ましい。
【0072】
また、加圧ローラの弾性層に含有されている樹脂マイクロバルーンが、加熱定着装置として使用されている過程で、熱履歴を受けて壊されると、加圧ローラの硬度がダウンするので、本発明においては、予め弾性層に含有される樹脂マイクロバルーンの樹脂の殻を壊して、ゴムと空隙の間には樹脂の殻が壊された状態で存在させておく。
【0073】
このような加圧ローラの製造について以下説明する。
【0074】
用いる未膨張の樹脂マイクロバルーンは外殻に熱可塑性樹脂を用いた揮発性物質を内包させた粉体であり、熱により膨張するものである。熱可塑性樹脂として塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート/アクリロニトリル共重合体、メタアクリロニトリル/アクリロニトリル共重合体が例示され、内包した揮発性物質としては、ブタン、イソブタン等の炭化水素イソブタンが知られている。
【0075】
外殻となる樹脂としては、液状シリコーンゴム材の硬化温度に合わせて軟化温度が適当な範囲内にあるものを選択する。
【0076】
これら未膨張の樹脂マイクロバルーンは松本油脂製薬株式会社の“松本マイクロフェアーF”シリーズ、エクスパンセル社の“エクスパンセル”シリーズとして容易に市場から入手できるものである。これらの市場から入手される未膨張の樹脂マイクロカプセルは通常その直径が約1〜50μmであり、これを適切な加熱温度で膨張させ直径が約10〜500μm程度のほぼ真球に近い球体となる。
【0077】
樹脂マイクロバルーンの飛散防止のために用いるシリコーンオイルとしてはジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンを初め、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン等各種変性シリコーンオイルが挙げられる。等量以下のシリコーンオイルを未膨張の樹脂マイクロバルーンに加え放置、あるいは攪拌すればよく、湿潤させる方法は特に限定しない。加えるシリコーンオイルは未膨張の樹脂マイクロバルーン100重量部に対し、50〜100重量部がよい。50重量部以下の場合、十分な飛散防止効果が得られず、100重量部を超える場合は、マイクロバルーンの膨張に不具合がでる場合がある。
【0078】
続いて、上記所定の大きさに加熱膨張された樹脂マイクロバルーンは冷却後、液状シリコーンゴム材に混合/混練分散される。なお、既膨張樹脂マイクロバルーンの熱による破壊を防ぐために、混合あるいは混練する時は、既膨張樹脂マイクロバルーンを構成する樹脂の軟化点以下で混合することが好ましい。
【0079】
液状シリコーンゴム材は、常温にて液状を呈し、熱により硬化してゴム状弾性を有するシリコーンゴムとなるものであればよく、その種類等は、特に限定されない。かかる液状シリコーンゴム材としては、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと補強性充填剤とからなり、白金系触媒により硬化してシリコーンゴムとなる付加反応硬化型液状シリコーンゴム組成物、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンと補強性充填剤とからなり、有機過酸化物により硬化してシリコーンゴムとなる有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物、水酸基含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと補強性充填剤とからなり、有機錫化合物、有機チタン化合物、白金系触媒等の縮合反応促進触媒により硬化してシリコーンゴムとなる縮合反応硬化型液状シリコーンゴム組成物が挙げられる。これらの中でも、硬化速度が速いことや硬化の均一性に優れていることから付加反応硬化型液状シリコーンゴム材が好ましい。
【0080】
硬化物がゴム状弾性体になるためには直鎖状のジオルガノポリシロキサンを主成分とする25℃における粘度が100センチポイズ以上であることが好ましい。
【0081】
この液状シリコーンゴム材には、本発明の目的を損なわない範囲で、流動性を調節したり、硬化物の機械的強度を向上させるために各種の充填剤、必要に応じて顔料、耐熱剤、難燃剤、可塑剤、接着付与剤などを配合されたものでもよい。
【0082】
既膨張マイクロバルーン配合量は所望の断熱性に応じて選択される。液状シリコーンゴム材100重量部に対し1〜10重量部が好ましい。1重量部以下では加圧ローラに要求される十分な断熱性が得られず、10重量部を超える場合は液状シリコーンゴム材粘度が上がり混合攪拌が困難になる。
【0083】
次に、該シリコーンゴム材を芯金上に前記加熱膨張温度以下で加熱硬化形成する。加熱硬化しローラを形成する手段・方法は限定しないが、所定の内径を有するパイプ状金型に金属製芯金を装着し該シリコーンゴム材を注入し金型を加熱することによって、ローラを形成する方法が簡便であり好適である。この時、加熱温度が樹脂マイクロバルーンの軟化点以上であるとバルーンが熱変形を起こし均一なスポンジ形態を形成出来ない場合がある。
【0084】
そして本発明においては、硬化形成されたシリコーンゴムローラを脱型後、該シリコーンゴムローラを前記加熱膨張温度以上で加熱する。ここで樹脂バルーンは熱収縮を起こし破壊し、その跡には空隙が残存することになり均一なスポンジ形態は維持される。従って、該シリコーンゴムローラのスポンジ形態は実使用時の熱履歴による樹脂熱劣化の影響を受ず安定した状態での使用が可能となる。
【0085】
良好な断熱性と強度を得るため、加熱膨張させた樹脂バルーンの平均粒径が80〜200μmが好適である。
【0086】
平均粒径とは顕微鏡観察により視野内の無作為に選んだ10個のバルーンの(直径+短径)/2の平均値をさす。
【0087】
この範囲の粒径の膨張樹脂バルーンであれば少量配合で断熱性加圧ローラに必要な断熱性をえることが可能でありシリコーンゴム材との混合攪拌も容易である。
【0088】
加熱膨張させた樹脂バルーンの平均粒径が80μm以下では断熱性加圧ローラに必要な断熱性をえるのに多量配合が必要になる場合が有り、また、200μmを超えるものを使用した場合、弾性層の機械的強度の点で問題が生じる場合がある。
【0089】
シリコーンオイルとしてはシリコーンゴムのスポンジの耐熱性の点でメチルハイドロジェンポリシロキサンが好適である。
【0090】
シリコーンオイルがアミノ変性シリコーンオイルである場合もシリコーンゴムスポンジの耐熱性の点で好適である。
【0091】
図3は、他の加圧ローラの構成を示す概略断面図である。加圧ローラ24の弾性層100が、発泡弾性体層101と、この発泡弾性体層101外周面上に形成され、殻を有しマイクロバルーン24cを含む弾性層24bとを有することを特徴とし、その他の部分は図2と同一である。
【0092】
図4の(a)乃至(d)はそれぞれフィルム加熱方式の加熱装置(加熱定着装置)の他の構成形態例である。
【0093】
図4(a)のものは、加熱体ホルダ兼フィルムガイド部材25に保持させた加熱体22と、フィルム駆動ローラ26と、テンションローラ27との互いに略並行の3部材間にエンドレスベルト状の耐熱性フィルム23を懸回張設し、フィルム23を挟んで加熱体22と加圧ローラ24とを圧接させて圧接ニップ部Nを形成させ、フィルム23を駆動ローラ26により回転駆動させるものである。加圧ローラ24はフィルム23の回転に従動回転する。27はフィルム駆動ローラ26の駆動源である。圧接ニップ部Nに被加熱材としての転写材Pを導入してトナー画像の加熱定着を行なわせる。
【0094】
図4(b)のものは、加熱体ホルダ兼フィルムガイド部材25に保持させた加熱体22と、フィルム駆動ローラ26との互いに略並行の2部材間に、エンドレスベルト状の耐熱性フィルム23を懸回張設し、フィルム23を挟んで加熱体22と加圧ローラ24とを圧接させて圧接ニップ部Nを形成させ、フィルム23を駆動ローラ26により回転駆動させるものである。加圧ローラ24はフィルム23の回転に従動回転する。
【0095】
図4(c)のものは、耐熱性フィルム23としてロール巻きにした長尺の有端フィルムを用い、これを繰り出し軸28から、加熱体ホルダ兼フィルムガイド部材25に保持させた加熱体22の下面を経由させ、巻き取り軸29へ掛け渡し、フィルム23を挟んで加熱体22と加圧ローラ24とを圧接させて圧接ニップ部Nを形成させ、フィルム23を巻き取り軸29で巻き上げて所定の速度で走行移動させるものである。上記のような構成形態の装置においても、加圧手段としての加圧ローラ24を本発明に従う構成のものにして前述と同様の作用効果が得られる。
【0096】
加熱手段側の加熱体22は前述のセラミックヒータに限られるものではなく、電磁(磁気)誘導加熱方式など他の適宜の発熱体を採択できる。(d)は電磁誘導加熱方式の例である。30は電磁誘導発熱する磁性金属部材、31は磁界発生手段としての励磁コイルである。励磁コイル31に通電することにより発生する高周波磁界により磁性金属部材30がヒータとして電磁誘導発熱し、その熱が圧接ニップ部Nにおいてフィルム23を介して、圧接ニップ部Nに導入された被加熱材としての転写材Pに付与される。フィルム23自体を電磁誘導発熱性の部材とすることもできる。
【0097】
図5の(a)と(b)はそれぞれ熱ローラ方式の加熱装置(加熱定着装置)の構成形態例である。
【0098】
図5(a)において、32は加熱手段としての加熱ローラ(定着ローラ)であり、外周面にフッ素樹脂等の離型層を形成した鉄・アルミニウム等の中空金属ローラで、内部に発熱源としてのハロゲンヒータ33を内蔵させてある。この加熱ローラ32と加圧ローラ24とを圧接させて圧接ニップ部を形成させてある。圧接ニップ部Nに被加熱材としての転写材Pを導入してトナー画像の加熱定着を行なわせる。
【0099】
図5(b)のものは、加熱ローラ32の加熱を電磁誘導加熱方式としたものである。加熱ローラ32は強磁性体で構成される。加熱は励磁鉄心34に巻かれた励磁コイル35に高周波の交流電流を印加して磁界を発生させ加熱ローラ32に渦電流を発生させる。即ち、磁束により加熱ローラに渦電流を発生させジュール熱によって加熱ローラ32自体を発熱させるのである。36は閉磁路を形成するために、加熱ローラを隔てて励磁鉄心34に対向するように配置された補助鉄心である。
【0100】
上記のような熱ローラ方式の加熱装置においても、加圧手段としての加圧ローラ24を本発明に従う構成のもにして前述と同様の作用効果が得られる。
【0101】
本発明は要するに加熱手段と加圧手段との圧接ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱処理する加熱装置に有効であり、該加熱装置は実施形態例の加熱定着装置としてばかりでなく、そのた、例えば、画像を担持した被記録材を加熱して表面性(つや等)を改質する装置、仮定着する装置、シート状物を給紙して乾燥処理・ラミネート処理する装置等の加熱装置として広く使用できることは勿論である。
【0102】
【実施例】
以下、参考例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0103】
〈参考例1〉
芯金24aにφ13のアルミニウム材を用い、この芯金24aの外側に弾性層24bを次のようにして形成した。
【0104】
樹脂マイクロバルーン24cとしては、平均粒径約100μm、殻材がアクリルニトリル樹脂、真密度約35kg/cm3の既膨張のマイクロバルーン(商品名:F80−ZD、松本油脂製薬(株)製)3部(重量)を付加型液状シリコーンゴム(粘度130Pa・s、比重1.17、商品名:DY35−561A/B、東レ・ダウコーニング(株)製)97部に混ぜて金型内130℃で加熱硬化成形を行った。
【0105】
この結果、樹脂マイクロバルーンを3wt%分散含有する3mm厚のシリコーンゴム弾性層24bが得られた。また、弾性層24bの熱伝導度は、0.0963W/m・Kであった。また、その表面粗さは、Ra1μmであった。
【0106】
次に、弾性層24bの外周に30μm厚の離型層24dを次のようにして形成した。
【0107】
弾性層24bの上にフッ素ゴムラテックス(商品名:GLS213、ダイキン工業(株)製)を塗布し、近赤外線を外部から照射し、表面温度が290℃で、15分間焼成した。この焼成工程では、外側からの近赤外線照射によるもので、弾性層自体はあまり加熱されず、樹脂マイクロバルーンの樹脂殻は、壊れていない。最外層に、離型層24dを形成したあとのローラ表面粗さは、Ra1.5μmであった。この弾性ローラを前述した図2のフィルム加熱方式の加熱定着装置6の加圧ローラ24とした。ローラ硬度は、約45°(ASKER−C硬度計、荷重600g)である。
【0108】
フィルム23としては、厚み50μmのポリイミドのシームレスチューブに厚さ10μmのPTFE層を形成したものを用いた。
【0109】
また、ニップ全体には総圧として、10kgの圧力をかけている。この時のニップ幅は約6mmであった。
【0110】
加熱体22には450Wの電力を供給し、プロセススピードを72mm/secとし、加熱体22を室温から立上げ、ヒータ温調温度190℃になるまでの時間と、5秒後に転写材Pを通紙した時の定着性と、100枚連続してハーフトーンを通紙した時の加圧ローラのトナー汚れを評価した。
【0111】
定着性は、キヤノン社製LBPであるLASER SHOT LBP−350にて未定着画像として5mm角のべた黒をFox River 24lb紙上に印字し、上記条件にて、加熱定着装置6を通過させた後、このベタ黒画像を不織布により10g/cm2の圧力で擦った前後の濃度を反射方式のマクベス反射濃度形(RD914−:DIVISION OF KOLLMORGEN INSTRUMENT CO.)を用いて測定することにより評価した。評価結果を表1に示す。なお、表1の定着性およびローラ汚れにおいて、各記号は以下の評価を示す。
(定着性)○:良い×:悪い
(ローラ汚れ)○:汚れない×:汚れる
〈比較例1〉
参考例1において、弾性層としてソリッドシリコーンゴム(商品名:DY35−561A/B)からなる層を用い、離型層として厚さが30μmのフッ素ゴムラテックス層(商品名:GLS213)を用いる他は、参考例1と同様の方法を用いて、加熱定着装置の立上がり時間と、転写材Pへの画像の定着性と、ローラ24のトナーによる汚れを評価した。評価結果を表1に示す。
【0112】
〈比較例2〉
参考例1において、弾性層として液状シリコーンゴム(商品名:DY35−560A/B、東レ・ダウコーニング(株)製)を発泡させて形成した発泡弾性体からなる層を用い、離型層として厚さが30μmのPFAチューブ(デュポン社製、商品名:450HPJ)からなる層を用いる他は、参考例1と同様の方法を用いて、加熱定着装置の立上がり時間と、転写材Pへの画像の定着性と、ローラ24のトナーによる汚れを評価した。評価結果を表1に示す。
【0113】
〈比較例3〉
参考例1において、弾性層としてソリッドシリコーンゴム(商品名:DY35−560A/B)97部に中空シリカ(商品名:セルスターSX39、東海工業(株)製)を30部充填したものからなる層を用い、離型層として厚さが30μmのフッ素ゴムラテックス層(商品名:GLS213)を用いる他は、参考例1と同様の方法を用いて、加熱定着装置の立上がり時間と、転写材Pへの画像の定着性と、ローラ24のトナーによる汚れを評価した。評価結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
上記結果より、弾性層24bにマイクロバルーン24cを充填することにより、比較例1に対して定着ヒータ22の立上がりが速くなり、短時間で転写紙が定着ニップに来た時でも良好な定着性が得られることが判る。
【0116】
これは、マイクロバルーン24cは内部に断熱性のすぐれた空気を含んでいるために、熱伝導度が小さくなり、ヒータ立ち上げ時に加圧ローラに奪われる熱量が減るため、一定電力で定着可能状態になる時間が短縮されるためと考えられる。
【0117】
また、比較例2と比較すると定着性については同等実力であるが、ローラ汚れについては、本実施例のローラの方が格段に良い。
【0118】
これは、比較例2では、加圧時にPFAチューブが発泡セル径にならってしまうため、ニップ内で凸凹ができトナーがその凹の中に入り汚れが蓄積されるのに対し、本実施例のローラは、弾性層の表層粗さが鏡面状態に近い為、加圧時においてもニップ部でローラ表層に凸凹がなく、通紙してもローラがトナーで汚れるということはないためである。
【0119】
また、比較例3においては、熱伝導度は低く設定できるが、そのためには、中空シリカを50部と大量にシリコーンゴムに充填する必要があり、ゴム材料硬度を低く設定しても、結果としてローラ硬度は60°以上になる。そのため、定着ニップを広くとることができず、立上がりは早くても定着できるだけの熱量を、転写材Pに供給することができず、定着性、ローラ汚れともに良好な結果を得ることはできない。
【0120】
〈参考例2〉
次のように弾性層24bを形成したことを除いて、参考例1と同様にして加圧ローラを作製した。
【0121】
樹脂マイクロバルーン24cとしては、平均粒径約90μm、殻材がフェノール樹脂、真密度約230kg/m3の既膨張のマイクロバルーン(商品名:BJO−0930、アジアパシフィクマイクロスヒィアー社製)20部(重量)を付加型液状シリコーンゴム(商品名:DY35−561A/B)100部に混ぜて金型内130℃で加熱硬化成形を行った。
【0122】
この結果、樹脂マイクロバルーンを16.6wt%分散含有する3mm厚のシリコーンゴム弾性層24bが得られた。また、弾性層24bの熱伝導度は、0.125W/m・Kであった。また、その表面粗さは、Ra1μmであった。
【0123】
このようにして製造された加圧ローラについて実施例1と同様な評価を行ったところ、定着性およびローラ汚れとも、同様に良好な結果を得た。ヒータ温調温度が190℃になるまでの所要時間は5secであった。
【0124】
また、参考例1の加圧ローラの場合、定着評価において、転写材Pとして、小サイズ紙である封筒(COM10)を連続して15枚通紙すると加圧ローラの非通紙領域の温度が200℃となった。この加圧ローラの弾性層中の樹脂マイクロバルーンの耐熱温度が200℃付近にあるので、非通紙領域が200℃を越えないように、16枚以降はスループットを半分の速度にして、紙間を広げる必要があった。これに対して、本実施例の加圧ローラを用いた場合には50枚通紙後においても、非通紙領域が220℃までしか上らず、また、本実施例の加圧ローラの樹脂マイクロバルーンの耐熱温度が約250℃なので、50枚以降は220℃維持するために、スループット速度を紙間を広げることにより2/3とした。
【0125】
〈参考例3〉
厚さ12mmのテストピースをJIS−A硬度計(1kg荷重)にて測定した際の硬度が5°のシリコーンゴム(商品名:DY35−561A/B)中に、外殻がアクリロニトリル樹脂からなるマイクロバルーン(松本油脂製薬株式会社F80−ZD)および外殻がフェノール樹脂からなるマイクロバルーン(アジアパシフィックマイクロヒィアー社BJO−0930)が混合させている弾性層24bを形成した。各弾性層中への各マイクロバルーンの含有量は表2に示すように変化させた。これら各弾性層24bを参考例1の装置に適用して、加圧ローラ24の硬度およびローラ硬度を維持出来る耐熱温度を測定した。評価結果を表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
上記結果より、外殻がアクリルニトリルのマイクロバルーンは、1wt%以上充填するとローラ硬度がダウンする温度が200℃となるが、それより、少ない充填量では影響が無い。従って、外殻がアクリルニトリルのマイクロバルーンは1wt%以下とすることが小サイズ紙を連続通紙した時の非通紙部の昇温を考えると望ましい。また、外殻がフェノールであるマイクロバルーンの充填量であるが、ローラ硬度としては、55°(アスカーC硬度計600g荷重)以下が望ましく、出来れば、50°以下にしたいため、先にも述べたように充填量としては20wt%以下の充填量とすることが望ましい。
【0128】
尚、ローラ硬度については、所望の硬度を得るために、配合比で熱伝導度を調整した上で、ベースゴムの硬度あるいは、弾性層の厚みでも微調整しても良い。
【0129】
このように、二種類のマイクロバルーンをシリコーンゴムに分散させることで、耐熱特性に優れ、かつ、熱伝導が低く、またローラ硬度の調整が可能な弾性体となる。
【0130】
〈実施例1〉
未膨張の樹脂マイクロバルーン(商品名:マツモトマイクロスフェアーF85:粒子径20〜30μm、真比重1.04、設壁軟化点150〜155℃;松本油脂製薬株式会社)100重量部にジメチルシリコーンオイル(商品名:ジメチルポリシロキサン:KF96100CS;信越化化学工業株式会社)100重量部添加攪拌し、10時間放置しシリコーンオイル湿潤したペースト状混合物を得た。このペースト状混合物を90℃オーブン内に1時間放置乾燥させた。冷却後、加熱膨張温度150℃に設定したオーブンに30分放置させることにより平均粒径108μmの膨張樹脂マイクロバルーンとした。付加型液状シリコーンゴム材(粘度130Pa・s、比重1.17、商品名:DY35−561A/B:東レ・ダウコーニング社)100重量部にたいし該膨張樹脂マイクロバルーン8部(マイクロバルーン自体4部相当)配合し室温下で万能混合攪拌機(商品名:ダルトン:株式会社三英製作所)で10分間混合攪拌し液状シリコーンゴム材混合物とした。樹脂マイクロバルーンは嵩体積でおよそ60倍に増加したが次工程の計量・配合工程時に飛散によるトラブルはなかった。膨張樹脂マイクロバルーン表面のジメチルシリコーンオイルの付着力によるものである。次に、プライマー処理を施したアルミ製芯金24aを配置したパイプ状金型に該液状シリコーンゴム材混合物を注入後、130℃に設定された熱盤を用いて加熱硬化し、脱型後、続いて230℃に設定されたオーブン内で2時間加熱することにより樹脂マイクロバルーンのマイクロバルーン外殻の樹脂のマイクロバルーン形状を壊し、シリコーンゴム弾性層24bを有するローラとした。この弾性層の熱伝導度は0.085W/m・Kである。
【0131】
該シリコーンゴム弾性ローラ表面を所定のプライマー処理(商品名:GLP103SR:ダイキン工業(株)製)を施した後、離型層24dとしてフッソゴムラテックス(商品名:GLS213、ダイキン工業(株)製)をおよそ30μmの厚みでスプレー塗工し、70℃で乾燥後、設定温度310℃のオーブン内で30分焼成し、ゴム長225mm、ゴム厚2.5mm、外形20mmのシリコーンゴム加圧ローラとした。
【0132】
〈参考例4〉
〈実施例1〉で用いた未膨張の樹脂マイクロバルーン(マツモトマイクロスフェアーF85:粒子径20〜30μm、真比重1.04、設壁軟化点150〜155℃;松本油脂製薬株式会社)をシリコーンオイル湿潤させることなく直接90℃オーブン内に1時間放置乾燥させ、冷却後、加熱膨張温度150℃に設定したオーブンに30分放置させることにより平均粒径110μmの膨張樹脂マイクロバルーンとした。付加型液状シリコーンゴム材(粘度130Pa・s、比重1.17、DY35−561A/B:東レ・ダウコーニング社)100重量部にたいし該膨張樹脂マイクロバルーン4部配合し室温下で万能混合攪拌機(ダルトン:株式会社三英製作所)で10分間混合攪拌し液状シリコーンゴム材混合物とした。樹脂マイクロバルーンは嵩体積でおよそ60倍に増加しており計量・配合時に飛散により作業性は劣悪であった。次に、パイプ状金型内側に内面をプライマー処理を施した厚み30μmのPFAチューブを配し、パイプ状金型中央にプライマー処理を施したアルミ製芯金を配置した。PFAチューブとアルミ製芯金間に該液状シリコーンゴム材混合物を注入後、130℃に設定された熱盤を用いて加熱硬化し、ゴム長225mm、ゴム厚2.5mm、外形20mmのシリコーンゴム加圧ローラとした。シリコーンゴム弾性層の熱伝導度は、0.085W/m・Kである。
【0133】
〈実施例2〉
未膨張の樹脂マイクロバルーン(マツモトマイクロスフェアーF85:粒子径20〜30μm、真比重1.04、設壁軟化点150〜155℃;松本油脂製薬株式会社)100重量部にシリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサン:KF99;信越化化学工業株式会社)50%トルエン溶液100重量部添加攪拌し、10時間放置しシリコーンオイル湿潤した混合物を得た。このペースト状混合物を90℃オーブン内に1時間放置乾燥させた。冷却後、加熱膨張温度150℃に設定したオーブンに30分放置させることにより平均粒径108μmの膨張樹脂マイクロバルーンとした。付加型液状シリコーンゴム材(粘度40Pa・s、比重1.02、DY35−446A/B:東レ・ダウコーニング社)100重量部にたいし該膨張樹脂マイクロバルーン3部(マイクロバルーン自体2部相当)配合し室温下で万能混合攪拌機(ダルトン:株式会社三英製作所)で10分間混合攪拌し液状シリコーンゴム材混合物とした。以下〈実施例1〉と同様にして、ゴム長225mm、ゴム厚2.5mm、外形20mmのシリコーンゴム加圧ローラとした。シリコーンゴム弾性層の熱伝導度は0.094W/m・Kである。
【0134】
〈実施例3〉
未膨張の樹脂マイクロバルーン(マツモトマイクロスフェアーF85:粒子径20〜30μm、真比重1.04、設壁軟化点150〜155℃;松本油脂製薬株式会社)100重量部にシリコーンオイル(アミノ変性シリコーン:SF8417;東レ・ダウコーニング社)100重量部添加攪拌し、10時間放置しシリコーンオイル湿潤した混合物を得た。このペースト状混合物を90℃オーブン内に1時間放置乾燥させた。冷却後、加熱膨張温度150℃に設定したオーブンに30分放置させることにより平均粒径102μmの膨張樹脂マイクロバルーンとした。付加型液状シリコーンゴム材(粘度40Pa・s、比重1.02、DY35−446A/B:東レ・ダウコーニング社)100重量部にたいし該膨張樹脂マイクロバルーン4重量部(マイクロバルーン自体2部相当)及び、過酸化物加硫剤(RC−2:2・4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、東レ・ダウコーニング社)1重量部配合し室温下で万能混合攪拌機(ダルトン:株式会社三英製作所)で10分間混合攪拌し液状シリコーンゴム材混合物とした。以下〈実施例1〉と同様にして、ゴム長225mm、ゴム厚2.5mm、外形20mmのシリコーンゴム断熱性加圧ローラとした。シリコーンゴム弾性層の熱伝導度は0.105W/m・Kである。
【0135】
〈実験例〉
次に、実施例1〜3及び参考例4の加圧ローラについて性能を確かめるべく行った実験例について説明する。
【0136】
図2は、本実験例に用いたフィルム加熱型定着装置の概略断面図を示す。
【0137】
耐熱性フィルム23は、厚み40μm、外形25mmのシームレスポリイミドフィルムに5μm厚みのフッ素系プライマーを介して離型層としてフッ素樹脂分散液(PTFEとPFAを50/50でブレンドしたもの)を塗工・焼成し、長さ230mmに裁断したものを用いた。
【0138】
24は加圧ローラであり、〈実施例1〜実施例3及び参考例4〉で得られたものを順次実験に供した。
【0139】
上記フィルム加熱型定着装置を用いて下記条件で通紙テストを行った。まずレーザービームプリンター(商品名:レーザーショットLBP350、キヤノン(株)製)で形成した未定着画像のった縦方向A5サイズ紙連続8枚/分の間隔で定着装置中央基準で1000枚連続通紙し、直後に縦方向A4サイズ紙5枚通紙しその時の搬送性について評価した。結果は、表3に示した。
【0140】
〔テスト条件〕
・加圧ローラ周速:50mm/sec
・ニップ圧:9kgf
・最高供給電力:500W
・定着設定温度:190℃
実施例1ではローラ中央部・端部(A5非通紙部)とも硬度(ASK−C)低下があるがその差は小さくA4サイズ紙を通して紙シワ等の搬送性に問題はなかった。
【0141】
一方、参考例4ではローラ端部(A5非通紙部)の硬度低下が大きくローラ中央部・端部境界での硬度差が大きくA4サイズ紙を通すと紙シワが発生し、搬送性に問題が生じた。
【0142】
実施例2、実施例3ではローラ中央部・端部(A5非通紙部)とも硬度(ASK−C)低下が小さく、A4サイズ紙を通して紙シワ等の搬送性に問題はなかった。
【0143】
【表3】
【0144】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の本発明の加熱装置では、熱伝導率が低く、且つ硬度が小さい加圧ローラを備えており、加熱手段からの熱を効率的に利用することができるのである。
【0145】
また、第2の本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法では、製造過程における樹脂マイクロバルーンの飛散防止をシリコーンオイルにより防止できるものである。
【0146】
また、第3の本発明のシリコーンゴムローラの製造方法では、加熱定着装置の加圧ローラとして使用された場合、熱履歴を受けても、硬度および熱伝導率が変化せず、定着性能が劣化しないローラを製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図2】図1の加熱定着装置の概略構成図。
【図3】樹脂マイクロバルーン入り加圧ローラの構成図。
【図4】(a)〜(d)はそれぞれフィルム加熱方式の加熱定着装置の構成例を示す概略図。
【図5】(a)〜(b)はそれぞれ熱ローラ方式の加熱定着の構成例を示す概略図。
Claims (9)
- シート状の被加熱材を加熱するための加熱手段と、この加熱手段に対向して配置され、加熱手段に圧接される加圧ローラとを有し、加熱手段と加圧ローラの圧接ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送することにより、被加熱材を加熱する加熱装置において、加圧ローラが、樹脂マイクロバルーンにより形成された空隙部を分散含有する弾性層を芯金の周囲に有するものであって、
該弾性層は、膨張せしめた樹脂マイクロバルーンを含む液状シリコーンゴムを芯金上で、該樹脂マイクロバルーンの軟化点よりも低い温度で加熱して該液状シリコーンゴムを硬化した後、該樹脂マイクロバルーンを破壊することによって該空隙部を生じさせたものであることを特徴とする加熱装置。 - 弾性層の熱伝導率が0.146W/m・K以下であることを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
- 該樹脂マイクロバルーンの殻を構成していた樹脂が、硬化したシリコーンゴムと該空隙との間に存在することを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
- 該樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
- 該熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル樹脂及び塩化ビニリデン樹脂からなるグループから選ばれる熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。
- 前記加熱膨張せしめた樹脂マイクロバルーンの平均粒径が80〜200μmであることを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
- 前記加圧ローラの、表面硬度がアスカーCにて55°以下であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
- 前記加圧ローラが弾性層の内層として発泡弾性層を有することを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
- 被記録材に未定着画像を形成担持させる画像形成手段と、前記未定着画像を前記被記録材に加熱定着させるための加熱定着装置とを有する画像形成装置において、加熱定着装置が、請求項1乃至8の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
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