JP3645410B2 - 自動2輪車のシート及びリヤカウルの一体化構造 - Google Patents
自動2輪車のシート及びリヤカウルの一体化構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車のシート及びリヤカウルの一体化構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公昭63−6397号には、リヤカウルの開口部を上方からシートで覆うとともに、これらリヤカウル及びシートをそれぞれ別々にシートレールへ取付けた構造が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようにリヤカウル及びシートをそれぞれ別々にシートレールへ取付けると、一般的なシートは底板が樹脂製であるため、剛性の確保が難しく変形し易いものであるから、リヤカウルとの形状合わせが難しくなる。その結果、常時きれいな合わせを確保するために必要なリヤカウルとの取付精度を高めることが難しくなる。
【0004】
一方、シートとリヤカウルを一体化することも考えられるが、このようにするとリヤカウルの前後方向中間部における変形の防止並びに上下方向のうち開放側である下端縁付近における剛性確保が難しくなるので、商品性のあるものにするためにはこの部分の剛性を高めて変形を抑制しなければならない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願の自動2輪車のシート及びリヤカウルの一体化構造に係る第1の発明は、シートレールに支持されたシートと、その下方に配設されて車体後部を覆うリヤカウルとを備えた自動2輪車において、
シートの底板へリヤカウルを車体左右方向にて結合することにより一体に取付けるとともに、
底板からリヤカウルの内側へ一体に突出する中空筒状の支持部を一体に設け、
この支持部の下端部を前記車体左右方向かつ車体内側からの結合によりリヤカウルの前後方向中間部かつ上下方向中間部内面に結合したことを特徴とする。
【0006】
第2の発明は上記第1の発明において、リヤカウルを左側部、中央部及び右側部に3分割し、中央部の左右端部を左右側部の各隣接する端部下側へ入り込ませて重ねるとともに、中央部裏面にシートレールへ向かって突出する突部を一体に設け、この突部の下端部を前記中央部上へ荷重のかからない通常状態のとき、前記シートレールとの間に間隙を形成したことを特徴とする。
このとき、上記突部の下端部を前記シートレールに沿って傾斜させることもできる。
【0007】
【発明の効果】
第1の発明によれば、シートの底板へリヤカウルを取付けたので、シートとリヤカウルを一体化でき、シートの底板が変形してもリヤカウルとの合わせ部が変化せず、合わせ部を常時きれいに維持でき、かつシート及びリヤカウルに対する各個別の取付精度は管理不要になる。しかも、シートを外すときはリヤカウルも一体に外れるためメンテナンス性が向上する。
【0008】
さらに、底板から一体に下方へ延出する支持部の下端部を車体左右方向かつ車体内側からリヤカウルの前後方向中間部かつ上下方向中間部内面へ結合してこの部分を支持するので、リヤカウルの剛性を増すことができ、リヤカウルの前後方向中間部並びに上下方向における開放側となるの端縁側付近における変形を防止でき、しかも結合部を外観させず、外観性を良好に保つことができる。そのうえ、シートとリヤカウルを一体化してもリヤカウルの商品性を十分に高くすることができ、かつリヤカウル単独で高剛性にする場合と比べて、加工工数等を削減してコストダウンできる。また、支持部を中空の筒状にしたので、剛性の高い割に軽量化可能になる。
【0009】
第2の発明によれば、リヤカウルの中央部上へ荷物等を置くこと等により荷重をかけると、リヤカウルの中央部が下方へ変形するが、その裏面に形成された突部がシートレールへ当接することにより荷重を受ける。このため、リヤカウルの中央部における過度な変形を防止できる。そのうえ、肉厚の突部を一体に形成することにより、表面に熱収縮に伴う変形であるひけをが生じても、この変形部は隣接する左右側部の下になって隠されるため、このような変形部が外観されず、その結果、リヤカウル中央部の成形が容易になる。
また、突部の下端部は、中央部へ荷重のかからない通常状態のときシートレールとの間に間隙を形成するので、中央部がその上へ荷物を置く等することにより荷重が加え 2201 られて変形しても、突部の下端部がシートレールへ当接するため、突部を介してシートレールにより荷重を受け止めるので、過度の変形を防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1乃至図13は第1実施例であり、図1はシート底板及びリヤカウルの取付構造を示す前後方向断面図、図2はその平面図、図3は自動2輪車の外観側面図、図4は図1の4−4線に沿う片側断面図、図5は5−5線に沿う同様断面図、図6は図1の6−6線に沿って示すシートの片側断面図、図7は図2の7−7線に沿って示すシートの片側部分断面図、図8は支持部の取付構造を示す組付図、図9はリヤカウルの斜視図、図10はシートレールの平面図、図11はリヤフェンダ前部の取付構造を示す断面図、図12はシートロック部分の詳細構造を示す断面図、図13はリヤフェンダ後部の取付構造を示す断面図である。
【0011】
まず、図3によりこの自動2輪車の全体構造を簡単に説明する。1は前輪、2はフロントフォーク、3はハンドル、4はヘッドパイプ、5はメインフレーム、6はパワーユニット、7はジョイントプレート、8はシートレール、9はスイングアーム、10は後輪、11は緩衝器、12は燃料タンク、13はシート、14はリヤカウル、15はテールライト、16はリヤフェンダ前部、17はリヤフェンダ後部である。
【0012】
パワーユニット6はV型エンジンを備え、その後部の左右側面上部にはそれぞれ鉄板プレス品からなるジョイントプレート7が取付けられ、このジョイントプレート7に、各左右一対で設けられるメインフレーム5の後端部及びシートレール8の前端部がそれぞれ取付けられている。
【0013】
メインフレーム5は上下に間隔を持って並設されたパイプ部材5a、5b及びこれらの間を連結する複数の補強パイプ5cで構成されている。また、リヤスイングアーム9は前端部をパワーユニット6に取り付けられたピボットブラケット18へピボット19により回動自在に支持されている。
【0014】
シートレール8は図1及び図10に明らかなように、左右一対で前後方向へ配設され、左右の各前部にはサブパイプ20の後端部がそれぞれ取付けられている。左右のシートレール8及びサブパイプ20の各前端部はジョイントプレート7へ取付けられている。
【0015】
左右のシートレール8及びサブパイプ20間には補強のためのクロスパイプ等が架設されている。すなわち、サブパイプ20には第1のクロスパイプ21が設けられ、シートレール8には、サブパイプ20の連結部近傍における第2クロスパイプ22、前後方向中間部におけるクロスプレート23、その後端部と重なる第3クロスパイプ24、後端部の第4クロスパイプ25が設けられている。
【0016】
第3クロスパイプ24にはシートロックステイ26が設けられ、ここにシートロック27が取付けられている。左右のシートレール8における第4クロスパイプ25近傍部には外側方へ突出するフック28がそれぞれ設けられ、各フック28の端部28a及び28bはシートレール8を越えて車体中心側へ突出している。左右のシートレール8の各後端部にはフェンダステイ29が取付けられている。
【0017】
次に、シート及びリヤカウルの取付構造を説明する。図1及び図2に示すように、シート13はタンデム型であり、樹脂製の底板30を備えている。この底板30の前端には二股部31が設けられ、燃料タンク12の後端部に突出形成された取付部32を挟むことによりシート13の前端部側が燃料タンク12に支持されるようになっている。
【0018】
底板30は、前席部33から後席部34へ中間部35で階段状に変化し、後席部34のうち中間部35近傍部の裏面にはシートロック金具36が下方へ突出して設けられている。このシートロック金具36はシートロックステイ26に取付けられたシートロック27にロックされ、これによりシート13がシートレール8へ着脱自在に固定される。
【0019】
図12に明らかなように、底板30の裏面にはシートロック金具36を挟む前後に下方へ向かって突出するリブ37、38が一体に形成され、それぞれの下端部はクロスプレート23の前後端部に近接し、これらリブ37、38、クロスプレート23及び底板30によってシートロック27を囲む閉空間39が形成されている。ここで閉空間とは外部から手の入らない程度を意味する
【0020】
図2に明らかなように、底板30の後席部分には縁部に沿って上下へ突出する複数のボス部40が形成されている。また、中間部35近傍の左右には筒状をなして下方へ突出する支持部42が形成され、その下端部は下向き略U字状をなすスリット43が形成されている(図8)。
【0021】
また、図中の断面指示線7−7に相当する部位である中間部35の側面で立壁状をなす部分にも略U字状をなすスリット44が形成され、これに重なるようにクリップ45が取付けられている。クリップ45は略U字状断面をなす弾性部材であり、この部分で中間部35に形成されている穴47からスリット44近傍の肉厚を挟んで取付けられ、一体のナット部46がスリット44へ重なるようになっている(図7)。
【0022】
一方、図9に明らかなように、リヤカウル14は適宜な樹脂により形成され、車体中心から左右に分れて前方へ延びる左側部分50と右側部分51を備えた上面視で略U字状をなし、シートの底板30で覆われる開口部を囲む上端縁部には、車体中心方向へ突出する取付部52が複数形成され、かつ左右の前端部にはそれぞれ上方へ突出する一対の取付部53が一体に形成されている。
【0023】
これらの取付部52及び53にはそれぞれ通し穴54、55が設けられており、取付部52は図5に示すように底板30のボス40と重ねられ、下方よりタッピングビス56で締結一体化される。リヤカウル14の前端部も、図7に示すように、取付部53をクリップ45へ重ねてスリット44と55を一致させ、内側からタッピングビス57で締結一体化されている。
【0024】
さらに、図4及び図8に示すように、リヤカウル14の左側部分50と右側部分51の各中間部内側で支持部42の下端部のスリット43と対応する位置に一体のボス60が突出形成され、ここにカラー61、ワッシャ62を介してボルト63により支持部42の下端部が車体の左右方向内側からリヤカウル14の内面へ一体化されている。ボス60の位置は、リヤカウル14の上下方向中間部であり、上下方向端部のうち開放側である下端縁付近に相当している。また、図9にも示すように、ボス60の位置は、リヤカウルの前後方向中間部でもある。
【0025】
図4中の符号64はボス60のインサートナットである。また、図6中の符号65はシートベルト、66は表皮(図示省略)で覆われたクッション材、67はシートベルト65の固定用ボルトであり、補強金属ブラケット68と一緒にシートベルト65を底板30へ取付るようになっている。
【0026】
図1に明らかなように、リヤフェンダはリヤフェンダ前部16とリヤフェンダ後部17に分離されて前後に間隔をもって配設された分離型フェンダとして構成され、それぞれシートレール8又はサブパイプ20へ支持されている。
【0027】
図11に明らかなように、リヤフェンダ前部16はバッテリボックスを兼用し、そのための凹部として形成された収容部70にはバッテリ71が収容されている。但し、他の例えば、ヒューズや点火ユニット等の各種電装品やその他の物品も同時に適宜収容されている。
【0028】
このリヤフェンダ前部16は前部側の底部に形成されたフック部72を第1のクロスパイプ21に上方より係合させ、かつ後部をサブパイプ20の側面へボルト73で締結することによりサブパイプ20へ取付けられている。
【0029】
リヤフェンダ前部16の下部はシートの底板30の前方延出部30a(図1)よりも下方へ突出して外観部をなし、その側面にシートロック27を解錠操作をするためのキー操作部74が設けられている。
【0030】
このキー操作部74へ図示省略のキーを差し込んで回動させると、これに一端が連結されかつシートレール8上を通って他端がシートロック27へ取付けられている操作ワイヤー75を介して解錠するようになっている。
【0031】
図13に明らかなように、リヤフェンダ後部17は先端の係合部80をフック部28の延長部28aへ後方より係止し、かつ後部側面をシートレール8の後端部から延出するステイ29へボルト81で締結されることによりシートレール8へ取付けられている。なお、他方の延長部28bもリヤフェンダ後部の側壁で前部上端に形成された凹部へ上方から係合している。
【0032】
リヤフェンダ後部17は上方へ開放された容器状をなし、内部にはシートレール8と略平行する傾斜をなすリブ82、83が前後に設けられ、これらの斜面を結んだ線と第4クロスパイプ25の間の空間84が書類入れになっている。
【0033】
次に、本実施例の作用を説明する。図1及び図2に明らかなように、シート13の底板30へリヤカウル14を取付けたので、シート13とリヤカウル14を一体化でき、シート13の底板30が荷重変動により変形しても、リヤカウル14との合わせ部が変化せず、合わせ部を常時きれいに維持できるため、リヤカウル14の取付精度管理及びリヤカウル14単品での剛性確保が不要となる。
【0034】
しかも、メンテナンス時にシート13及びリヤカウル14を外す必要が生じたときは、シート13を外すだけでリヤカウル14も一体に外れるため、別々に取り外す必要がなく、メンテナンス性が向上する。
【0035】
さらに、底板30から一体に延出する支持部42がリヤカウル14の内面を支持するので、リヤカウル14の剛性を増し、リヤカウル14の前後方向中間部における変形並びに上下方向端部のうち開放側である下端縁近傍の変形を防止できる。特に、本実施例では支持部42を筒状にしたので、剛性の高い割に軽量化可能になる。また支持部42をリヤカウル14の内面に対して車体左右方向内側から取付けるので外観性を良好に維持できる。
【0036】
このため、シート13とリヤカウル14を一体化したにもかかわらず、十分に高い商品性を得ることができ、かつリヤカウル14を単独で高剛性にする場合と比べて、加工工数等を削減してコストダウンできる。
【0037】
そのうえ、シートロック27を解錠してシート13を外せば、リヤカウル14もシート13と一体に外れ、上方が開放されるので、前方又は後方より第4クロスパイプ25の下方を通して空間84内へ書類を差し込めば書類を収納でき、かつ第4クロスパイプ25が書類押さえとしても役立つ。
【0038】
図14乃至図17はリヤカウルの構造を変更した別実施例であり、図14はリヤカウルの平面図、図15はその側面後部を示す図、図16は図14の16−16線断面図、図17は図15の17−17線に沿う断面図である。以下、前実施例と共通部分については同一符号を用いて説明する。
【0039】
このリヤカウル14は樹脂製であって、車体中心とその近傍の中央部90及びその左右両側の左側部91と右側部92からなる3分割構造になっている(図14)。中央部90の左右両側端部93は肉厚分だけ低くなるように段差がつけられ、隣接する左側部91及び右側部92の各上端部94、95の下側へ入り込んで上下に重なっている。
【0040】
また、左右両側端部93からはそれぞれ筒状をなす突部96がシートレール8の上面へ向かって突出するように一体形成され、各下端部は中央部分90上へ荷重のかからない通常状態のとき、寸法dなる若干の間隙が形成されている(図17)。
【0041】
このようにすると、中央部分90上へ荷物を置く等することにより荷重が加えられて変形しても、突部96の下端部がシートレール8へ当接するため、突部96を介してシートレール8により荷重を受け止めるので、過度の変形を防止できる。
【0042】
そのうえ、肉厚の突部96を中央部分90と一体に形成することにより表面に熱ひけ変形が生じても、この変形部は隣接する左側部分91及び右側部分92の各上端部94、95の下になって隠されるため、このような変形部が外観されず、その結果、中央部分90の成形が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例に係るシート底板及びリヤカウル部分の断面図
【図2】 その平面図
【図3】 自動2輪車の外観側面図
【図4】 図1の4−4線に沿う片側断面図
【図5】 図1の5−5線に沿う同様断面図
【図6】 図1の6−6線に沿って示すシートの片側断面図
【図7】 図2の7−7線に沿って示すシートの片側部分断面図
【図8】 支持部の取付構造を示す組付図
【図9】 リヤカウルの斜視図
【図10】 シートレールの平面図
【図11】 リヤフェンダ前部の取付構造を示す断面図
【図12】 シートロック部分の詳細構造を示す断面図
【図13】 リヤフェンダ後部の取付構造を示す断面図
【図14】 第2実施例に係るリヤカウルの平面図
【図15】 その側面後部を示す図
【図16】 図14の16−16線断面図
【図17】 図15の17−17線に沿う断面図
【符号の説明】
8:シートレール、13:シート、14:リヤカウル、16:リヤフェンダ前部、17:リヤフェンダ後部、27:シートロック、30:底板、42:支持部
Claims (3)
- シートレールに支持されたシートと、その下方に配設されて車体後部を覆うリヤカウルとを備えた自動2輪車において、
シートの底板へリヤカウルを車体左右方向にて結合することにより一体に取付けるとともに、
底板からリヤカウルの内側へ一体に突出する中空筒状の支持部を一体に設け、
この支持部の下端部を前記車体左右方向かつ車体内側からの結合によりリヤカウルの前後方向中間部かつ上下方向中間部内面に結合したことを特徴とする自動2輪車のシート及びリヤカウルの一体化構造。 - リヤカウルを左側部、中央部及び右側部に3分割し、中央部の左右端部を左右側部の各隣接する端部下側へ入り込ませて重ねるとともに、中央部裏面にシートレールへ向かって突出する突部を一体に設け、この突部の下端部を前記中央部上へ荷重のかからない通常状態のとき、前記シートレールとの間に間隙を形成したことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車のシート及びリヤカウルの一体化構造。
- 前記突部の下端部を前記シートレールに沿って傾斜させたことを特徴とする請求項2に記載した自動2輪車のシート及びリヤカウルの一体化構造。
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1997
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