JP3643797B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ホール注入電極と電子注入電極との間に、少なくとも有機材料を用いた発光層が設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子に係り、特に、低電圧で効率よく発光させることができ、長期にわたって安定した発光が行なえる有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の多様化等にともなって、従来より一般に使用されているCRTに比べて消費電力や空間占有面積が少ない平面表示素子のニーズが高まり、このような平面表示素子の一つとしてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子と略す。)が注目されている。
【0003】
そして、このEL素子は使用する材料によって無機EL素子と有機EL素子に大別され、無機EL素子においては、一般に発光部に高電界を作用させ、電子をこの高電界中で加速して発光中心に衝突させ、これにより発光中心を励起させて発光させるようになっている一方、有機EL素子においては、電子注入電極とホール注入電極とからそれぞれ電子とホールとを発光部内に注入させて、このように注入された電子とホールとを発光中心で再結合させ、有機材料を励起させて、この有機材料が励起状態から基底状態に戻るときに蛍光を発光するようになっている。
【0004】
ここで、無機EL素子においては、上記のように高電界を作用させるため、その駆動電圧として100〜200Vと高い電圧を必要とするのに対し、上記の有機EL素子においては、5〜20V程度の低い電圧で駆動できるという利点があった。また、このような有機EL素子においては、発光材料である螢光物質を選択することによって適当な色彩に発光する発光素子を得ることができ、フルカラーの表示装置等としても利用できるという期待があり、近年、このような有機EL素子について様々な研究が行なわれるようになった。
【0005】
そして、上記の有機EL素子における素子構造としては、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送層と発光層と電子輸送層とを積層させたDH構造と称される三層構造のものや、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送層と電子輸送性に富む発光層とが積層されたSH−A構造と称される二層構造のものや、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送性に富む発光層と電子輸送層とが積層されたSH−B構造と称される二層構造のものが知られていた。
【0006】
また、上記の有機EL素子における発光層については、そのホスト材料に対して微量のドーパントをドープし、このドーパントを発光中心として発光を行なうようにしたものが開発された。
【0007】
ここで、このようにホスト材料に対して微量のドーパントをドープさせた発光層を得る場合、ホスト材料に良好な成膜性をもつ材料を使用することが必要であり、従来においては、ホスト材料として、キノリノール金属錯体やベンゾキノリノール金属錯体等が一般に使用されていた。
【0008】
しかし、上記のように良好な成膜性をもつホスト材料は一般にその蛍光量子収率が低く、上記のような金属錯体においても、その蛍光量子収率が20%以下の低い値になっており、ドーパントを高い効率で励起させ、十分な発光を得ることのさまたげとなり、またこのように蛍光量子収率が低い上に励起エネルギーがあまり大きくないホスト材料を用いた場合には、ドーパントの励起エネルギーが非発光過程を経て失われやすく、このエネルギーの多くが熱に変わり、これによって有機EL素子が劣化し、長期にわたって安定した発光が行なえなくなったり、低い駆動電圧で効率の良い発光を得ることができないという問題があった。
【0009】
さらに、有機EL素子における発光効率を高めるためには、ホスト材料からドーパントに対して効率よくエネルギーが移動するように、ホスト材料における蛍光エネルギーと、ドーパントにおける励起エネルギーとが略同一になったホスト材料とドーパントとを組み合わせることが好ましいが、現在、ホスト材料の種類が限定されているため、このようなホスト材料に対して有効なドーパントを組み合わせて使用することが困難であり、有機EL素子における発光効率を十分に高めることができないという問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、有機EL素子における上記のような様々な問題を解決することを課題とするものであり、従来の有機EL素子に比べて低い駆動電圧で効率のよい発光が行なえると共に、長期にわたって安定した発光が行なえる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、ホール注入電極と電子注入電極との間に、少なくとも有機材料を用いた発光層が設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記発光層におけるポリビニルカルバゾールからなるホスト材料に対して、TPDからなる第1ドーパントと、ルブレンからなる第2ドーパントとを含有させたことを特徴とするものである。
【0012】
この発明においては、上記第1ドーパントのTPDは、上記ポリビニルカルバゾールからなるホスト材料の蛍光ピーク波長より蛍光ピーク波長が短く、上記第2ドーパントのルブレンは上記ホスト材料の蛍光ピーク波長より蛍光ピーク波長が長いものである。
【0013】
この発明における有機EL素子のように、このホスト材料より蛍光ピーク波長が短いTPDを第1ドーパントとして用いると共にホスト材料より蛍光ピーク波長が長い第2ドーパントとしてルブレンを用いているので、第1ドーパントのTPDにおいては発光が行なわれずに、第2ドーパントのルブレンにおいて効率の良い発光が行なわれるようになる。
【0014】
そして、上記のように第2ドーパントが効率良く発光するため、低い駆動電圧で高輝度の発光が得られると共に、長期にわたって安定した発光が得られるようになる。
【0015】
第1ドーパントのTPDにおける発光効率をさらに高めるためには、この第1ドーパントだけではなく、上記の第2ドーパントにも蛍光量子収率の高いルブレンを使用する。
【0016】
また、この発明における有機EL素子においては、上記のホール注入電極として、金やITO(インジウム−スズ酸化物)等の仕事関数の大きな材料を用いるようにする一方、電子注入電極としては、マグネシウム等の仕事関数の小さな電極材料を用いることが好ましく、この有機EL素子において生じたEL光を取り出すために、少なくとも一方の電極を透明にする必要があり、一般にはホール注入電極に透明で仕事関数の大きい材料、たとえばITOを用いるようにする。
【0017】
また、この発明における有機EL素子の素子構造は、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送層と発光層と電子輸送層とを積層させたDH構造からなる。
【0018】
【実施例】
以下、この発明の実施例に係る有機EL素子を添付図面に基づいて具体的に説明すると共に、比較例を挙げ、この実施例における有機EL素子が低電圧で効率よく発光することを明らかにする。
(実施例1)
この実施例1における有機EL素子は、図1に示すように、ガラス基板1上にITOで構成されて膜厚が1000Åになった透明なホール注入電極2と、下記の化1に示すトリフェニルアミン誘導体(m−MTDATA)で構成されて膜厚が400Åになったホール輸送層3と、下記の化2に示すポリビニルカルバゾールからなるホスト材料に対して、蛍光ピーク波長が長い第2ドーパントとして下記の化3に示すルブレンが5重量%,蛍光ピーク波長が短い第1ドーパントとして下記の化4に示すジアミン誘導体(TPD)が5重量%ドープされて膜厚が400Åになった発光層4と、下記の化5に示す10−ベンゾ[h]キノリノール−ベリリウム錯体(BeBq2 )で構成されて膜厚が400Åになった電子輸送層5と、マグネシウム・インジウム合金で構成されて膜厚が2000Åになった電子注入電極6とが順々に積層されたDH構造になっている。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
そして、上記実施例1の有機EL素子を製造するにあたっては、まず、ITOでホール注入電極2を形成されたガラス基板1を中性洗剤により洗浄した後、これをアセトン中で20分間,エタノール中で20分間それぞれ超音波洗浄を行なった。そして、このガラス基板1を煮沸したエタノール中に約1分間入れ、これを取り出した後、すぐに送風乾燥を行なった。その後、上記のホール注入電極2上に前記の化1に示したm−MTDATAを真空蒸着させてホール輸送層3を形成し、さらに前記の化2に示したポリビニルカルバゾールに対し、化3に示したルブレンと化4に示したTPDとがそれぞれ5重量%ドープされるようにして、ポリビニルカルバゾールとルブレンとTPDとを上記のホール輸送層3上に共蒸着させて発光層4を形成し、その後、この発光層4上に前記の化5に示したBeBq2 を真空蒸着させて電子輸送層5を形成した。なお、これらの蒸着は何れも抵抗加熱蒸着法により、真空度1×10-5Torr,基板温度20℃,蒸着速度2Å/secの条件で行なった。そして、上記の電子輸送層5上にマグネシウム・インジウム合金からなる電子注入電極6を成膜した。
【0025】
ここで、上記の発光層4におけるホスト材料に用いた上記のポリビニルカルバゾールと、第1ドーパントに用いた上記のTPDと、第2ドーパントに用いた上記のルブレンの各蛍光ピーク波長及びバンドギャップは下記の表1に示す通りであり、蛍光ピーク波長は第1ドーパントに用いたジアミン誘導体,ホスト材料に用いたポリビニルカルバゾール,第2ドーパントに用いたルブレンの順に長くなっていた。
【0026】
【表1】
(比較例1)
この比較例1における有機EL素子も、上記実施例1の有機EL素子と同様のDH構造になっており、この比較例1においては、発光層4におけるホスト材料に前記の化2に示したポリビニルカルバゾールを用い、このホスト材料に対して、ドーパントとして前記の化3に示したルブレンだけを5重量%ドープさせるようにし、それ以外については、上記実施例1の場合と同様にして有機EL素子を得た。
【0027】
次に、上記実施例1及び比較例1の有機EL素子を使用し、それぞれホール注入電極2に+、電子注入電極6に−の電圧を印加し、各有機EL素子における最高輝度と、1cm2 あたりに10mAの電流を流した場合における輝度(輝度−電流効率)と、各有機EL素子において1cd/m2 の輝度を得るのに必要な電圧(発光開始電圧)を調べ、その結果を下記の表2に示した。なお、上記のようにして実施例1の各有機EL素子を発光させた場合、実施例1における有機EL素子においては発光ピーク波長が560nmになったルブレンによる黄色の発光が得られた。
【0028】
【表2】
この結果から明らかなように、発光層におけるホスト材料に対して、上記のように2種類のドーパントをドープさせた各実施例のものと、1種類のドーパントをドープさせただけの比較例のものとを比較した場合、対応する実施例1と比較例1の各有機EL素子においては、何れも実施例の有機EL素子の方が最高輝度が高く、また輝度−電流効率を示す10mA/cm2 時の輝度も高くなっており、さらに発光開始電圧も低くなっており、高輝度で効率の良い発光が行なえると共に、低い駆動電圧で発光できるようになっていた。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明に係る有機EL素子においては、有機材料を用いた発光層におけるホスト材料に、TPDからなる第1ドーパントと、ルブレンからなる第2ドーパントとを含有させるようにしたため、蛍光ピーク波長が長い第2ドーパントにおいて効率の良い発光が行なわれるようになり、低い駆動電圧で発光させることができ、また高輝度で効率のよい発光が得られると共に、長期にわたって安定した発光が行なえるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1及び比較例1におけるDH構造になった有機EL素子の状態を示した概略図である。
【図2】この発明の実施例び比較例におけるSH−A構造になった有機EL素子の状態を示した概略図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 ホール注入電極
3 ホール輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電子注入電極
【発明の属する技術分野】
この発明は、ホール注入電極と電子注入電極との間に、少なくとも有機材料を用いた発光層が設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子に係り、特に、低電圧で効率よく発光させることができ、長期にわたって安定した発光が行なえる有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の多様化等にともなって、従来より一般に使用されているCRTに比べて消費電力や空間占有面積が少ない平面表示素子のニーズが高まり、このような平面表示素子の一つとしてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子と略す。)が注目されている。
【0003】
そして、このEL素子は使用する材料によって無機EL素子と有機EL素子に大別され、無機EL素子においては、一般に発光部に高電界を作用させ、電子をこの高電界中で加速して発光中心に衝突させ、これにより発光中心を励起させて発光させるようになっている一方、有機EL素子においては、電子注入電極とホール注入電極とからそれぞれ電子とホールとを発光部内に注入させて、このように注入された電子とホールとを発光中心で再結合させ、有機材料を励起させて、この有機材料が励起状態から基底状態に戻るときに蛍光を発光するようになっている。
【0004】
ここで、無機EL素子においては、上記のように高電界を作用させるため、その駆動電圧として100〜200Vと高い電圧を必要とするのに対し、上記の有機EL素子においては、5〜20V程度の低い電圧で駆動できるという利点があった。また、このような有機EL素子においては、発光材料である螢光物質を選択することによって適当な色彩に発光する発光素子を得ることができ、フルカラーの表示装置等としても利用できるという期待があり、近年、このような有機EL素子について様々な研究が行なわれるようになった。
【0005】
そして、上記の有機EL素子における素子構造としては、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送層と発光層と電子輸送層とを積層させたDH構造と称される三層構造のものや、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送層と電子輸送性に富む発光層とが積層されたSH−A構造と称される二層構造のものや、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送性に富む発光層と電子輸送層とが積層されたSH−B構造と称される二層構造のものが知られていた。
【0006】
また、上記の有機EL素子における発光層については、そのホスト材料に対して微量のドーパントをドープし、このドーパントを発光中心として発光を行なうようにしたものが開発された。
【0007】
ここで、このようにホスト材料に対して微量のドーパントをドープさせた発光層を得る場合、ホスト材料に良好な成膜性をもつ材料を使用することが必要であり、従来においては、ホスト材料として、キノリノール金属錯体やベンゾキノリノール金属錯体等が一般に使用されていた。
【0008】
しかし、上記のように良好な成膜性をもつホスト材料は一般にその蛍光量子収率が低く、上記のような金属錯体においても、その蛍光量子収率が20%以下の低い値になっており、ドーパントを高い効率で励起させ、十分な発光を得ることのさまたげとなり、またこのように蛍光量子収率が低い上に励起エネルギーがあまり大きくないホスト材料を用いた場合には、ドーパントの励起エネルギーが非発光過程を経て失われやすく、このエネルギーの多くが熱に変わり、これによって有機EL素子が劣化し、長期にわたって安定した発光が行なえなくなったり、低い駆動電圧で効率の良い発光を得ることができないという問題があった。
【0009】
さらに、有機EL素子における発光効率を高めるためには、ホスト材料からドーパントに対して効率よくエネルギーが移動するように、ホスト材料における蛍光エネルギーと、ドーパントにおける励起エネルギーとが略同一になったホスト材料とドーパントとを組み合わせることが好ましいが、現在、ホスト材料の種類が限定されているため、このようなホスト材料に対して有効なドーパントを組み合わせて使用することが困難であり、有機EL素子における発光効率を十分に高めることができないという問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、有機EL素子における上記のような様々な問題を解決することを課題とするものであり、従来の有機EL素子に比べて低い駆動電圧で効率のよい発光が行なえると共に、長期にわたって安定した発光が行なえる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、ホール注入電極と電子注入電極との間に、少なくとも有機材料を用いた発光層が設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記発光層におけるポリビニルカルバゾールからなるホスト材料に対して、TPDからなる第1ドーパントと、ルブレンからなる第2ドーパントとを含有させたことを特徴とするものである。
【0012】
この発明においては、上記第1ドーパントのTPDは、上記ポリビニルカルバゾールからなるホスト材料の蛍光ピーク波長より蛍光ピーク波長が短く、上記第2ドーパントのルブレンは上記ホスト材料の蛍光ピーク波長より蛍光ピーク波長が長いものである。
【0013】
この発明における有機EL素子のように、このホスト材料より蛍光ピーク波長が短いTPDを第1ドーパントとして用いると共にホスト材料より蛍光ピーク波長が長い第2ドーパントとしてルブレンを用いているので、第1ドーパントのTPDにおいては発光が行なわれずに、第2ドーパントのルブレンにおいて効率の良い発光が行なわれるようになる。
【0014】
そして、上記のように第2ドーパントが効率良く発光するため、低い駆動電圧で高輝度の発光が得られると共に、長期にわたって安定した発光が得られるようになる。
【0015】
第1ドーパントのTPDにおける発光効率をさらに高めるためには、この第1ドーパントだけではなく、上記の第2ドーパントにも蛍光量子収率の高いルブレンを使用する。
【0016】
また、この発明における有機EL素子においては、上記のホール注入電極として、金やITO(インジウム−スズ酸化物)等の仕事関数の大きな材料を用いるようにする一方、電子注入電極としては、マグネシウム等の仕事関数の小さな電極材料を用いることが好ましく、この有機EL素子において生じたEL光を取り出すために、少なくとも一方の電極を透明にする必要があり、一般にはホール注入電極に透明で仕事関数の大きい材料、たとえばITOを用いるようにする。
【0017】
また、この発明における有機EL素子の素子構造は、ホール注入電極と電子注入電極との間にホール輸送層と発光層と電子輸送層とを積層させたDH構造からなる。
【0018】
【実施例】
以下、この発明の実施例に係る有機EL素子を添付図面に基づいて具体的に説明すると共に、比較例を挙げ、この実施例における有機EL素子が低電圧で効率よく発光することを明らかにする。
(実施例1)
この実施例1における有機EL素子は、図1に示すように、ガラス基板1上にITOで構成されて膜厚が1000Åになった透明なホール注入電極2と、下記の化1に示すトリフェニルアミン誘導体(m−MTDATA)で構成されて膜厚が400Åになったホール輸送層3と、下記の化2に示すポリビニルカルバゾールからなるホスト材料に対して、蛍光ピーク波長が長い第2ドーパントとして下記の化3に示すルブレンが5重量%,蛍光ピーク波長が短い第1ドーパントとして下記の化4に示すジアミン誘導体(TPD)が5重量%ドープされて膜厚が400Åになった発光層4と、下記の化5に示す10−ベンゾ[h]キノリノール−ベリリウム錯体(BeBq2 )で構成されて膜厚が400Åになった電子輸送層5と、マグネシウム・インジウム合金で構成されて膜厚が2000Åになった電子注入電極6とが順々に積層されたDH構造になっている。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
そして、上記実施例1の有機EL素子を製造するにあたっては、まず、ITOでホール注入電極2を形成されたガラス基板1を中性洗剤により洗浄した後、これをアセトン中で20分間,エタノール中で20分間それぞれ超音波洗浄を行なった。そして、このガラス基板1を煮沸したエタノール中に約1分間入れ、これを取り出した後、すぐに送風乾燥を行なった。その後、上記のホール注入電極2上に前記の化1に示したm−MTDATAを真空蒸着させてホール輸送層3を形成し、さらに前記の化2に示したポリビニルカルバゾールに対し、化3に示したルブレンと化4に示したTPDとがそれぞれ5重量%ドープされるようにして、ポリビニルカルバゾールとルブレンとTPDとを上記のホール輸送層3上に共蒸着させて発光層4を形成し、その後、この発光層4上に前記の化5に示したBeBq2 を真空蒸着させて電子輸送層5を形成した。なお、これらの蒸着は何れも抵抗加熱蒸着法により、真空度1×10-5Torr,基板温度20℃,蒸着速度2Å/secの条件で行なった。そして、上記の電子輸送層5上にマグネシウム・インジウム合金からなる電子注入電極6を成膜した。
【0025】
ここで、上記の発光層4におけるホスト材料に用いた上記のポリビニルカルバゾールと、第1ドーパントに用いた上記のTPDと、第2ドーパントに用いた上記のルブレンの各蛍光ピーク波長及びバンドギャップは下記の表1に示す通りであり、蛍光ピーク波長は第1ドーパントに用いたジアミン誘導体,ホスト材料に用いたポリビニルカルバゾール,第2ドーパントに用いたルブレンの順に長くなっていた。
【0026】
【表1】
(比較例1)
この比較例1における有機EL素子も、上記実施例1の有機EL素子と同様のDH構造になっており、この比較例1においては、発光層4におけるホスト材料に前記の化2に示したポリビニルカルバゾールを用い、このホスト材料に対して、ドーパントとして前記の化3に示したルブレンだけを5重量%ドープさせるようにし、それ以外については、上記実施例1の場合と同様にして有機EL素子を得た。
【0027】
次に、上記実施例1及び比較例1の有機EL素子を使用し、それぞれホール注入電極2に+、電子注入電極6に−の電圧を印加し、各有機EL素子における最高輝度と、1cm2 あたりに10mAの電流を流した場合における輝度(輝度−電流効率)と、各有機EL素子において1cd/m2 の輝度を得るのに必要な電圧(発光開始電圧)を調べ、その結果を下記の表2に示した。なお、上記のようにして実施例1の各有機EL素子を発光させた場合、実施例1における有機EL素子においては発光ピーク波長が560nmになったルブレンによる黄色の発光が得られた。
【0028】
【表2】
この結果から明らかなように、発光層におけるホスト材料に対して、上記のように2種類のドーパントをドープさせた各実施例のものと、1種類のドーパントをドープさせただけの比較例のものとを比較した場合、対応する実施例1と比較例1の各有機EL素子においては、何れも実施例の有機EL素子の方が最高輝度が高く、また輝度−電流効率を示す10mA/cm2 時の輝度も高くなっており、さらに発光開始電圧も低くなっており、高輝度で効率の良い発光が行なえると共に、低い駆動電圧で発光できるようになっていた。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明に係る有機EL素子においては、有機材料を用いた発光層におけるホスト材料に、TPDからなる第1ドーパントと、ルブレンからなる第2ドーパントとを含有させるようにしたため、蛍光ピーク波長が長い第2ドーパントにおいて効率の良い発光が行なわれるようになり、低い駆動電圧で発光させることができ、また高輝度で効率のよい発光が得られると共に、長期にわたって安定した発光が行なえるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1及び比較例1におけるDH構造になった有機EL素子の状態を示した概略図である。
【図2】この発明の実施例び比較例におけるSH−A構造になった有機EL素子の状態を示した概略図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 ホール注入電極
3 ホール輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電子注入電極
Claims (1)
- ホール注入電極と電子注入電極との間に、少なくとも有機材料を用いた発光層が設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記発光層におけるポリビニルカルバゾールからなるホスト材料に対して、TPDからなる第1ドーパントと、ルブレンからなる第2ドーパントとを含有させたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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