JP3640806B2 - 転写箔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写箔に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、種々の材料からなる成形品に装飾を施したり、その表面を保護するために、転写箔を用いて表面保護層を設けることが行われている。転写箔を用いる方法は、スプレーコートやディッピング等により塗料を直接塗布して表面保護層を形成する方法に比べ、有機溶剤を使用する必要がないので、環境汚染等を起さないという利点がある。
【0003】
転写箔は、通常、基材シートの片面に転写層と接着剤層とを順次積層したものであり、成形品に接着剤層側を密着させて加熱接着した後、基材シートのみを剥離し、転写層を硬化させて表面保護層とするように構成されている。そして、転写層と接着剤層との間には、必要に応じて絵柄等が印刷された装飾層が形成されている。
【0004】
転写層を構成する材料としては、主に、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の硬化樹脂が使用されている。該樹脂は高い強度と透明性を有するものの、耐候性が不十分であるため、紫外線による劣化、具体的には変色や強度の低下が起り易い。更に、該樹脂は紫外線を容易に透過させるので、装飾層や成形品そのものが紫外線による劣化を受け易い。
【0005】
この様な問題を解決するため、転写層等に紫外線吸収剤を配合することが行われている。しかしながら、従来から汎用されるベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、サリチル酸フェニル化合物、安息香酸フェニル化合物、シアノアクリレート化合物等の添加型紫外線吸収剤は低分子量であり且つ耐熱性が低いため、熱転写時に蒸散又は分解したり、転写層から経時的にブリードアウトし、転写層に十分な長期耐候性を付与することができない。
【0006】
この様な欠点を解消するため、例えば、特開平8−216598号公報によれば、接着剤層に上記のような添加型紫外線吸収剤を配合し、転写層に、一般式
【0007】
【化3】
【0008】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。Xは基−CH2 CH2 −又は基−CH2 C(OH)CH2 −を示す。〕
で表されるベンゾトリアゾール化合物等の反応型紫外線吸収剤を配合した転写箔が提案されている。しかしながら、転写層に添加された反応型紫外線吸収剤は、100%反応することは少なく、未反応の反応型紫外線吸収剤は、添加型の紫外線吸収剤と同様に、経時的にブリードアウトすると共に、雨水により抽出され、十分な長期耐候性を付与することができないという問題があった。また、接着剤層と転写層の間に紫外線吸収剤がブリードアウトして層間剥離を引き起こすという問題もあった。また、接着剤層に配合した添加型紫外線吸収剤も接着剤層と転写層の間にブリードアウトし、層間剥離を引き起こすという問題もあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、新規な転写箔を得ることに成功し、本発明を完成した。
【0010】
即ち本発明は、基材シートの一方の面に、転写層と接着剤層とが順次積層された転写箔であって、前記転写層が、一般式(6)
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【化4】
【0018】
〔式中、Aは直接結合するか又は炭素数1〜6のアルキレン基、−C(CH3 )2 −基、−C(C2 H5 )(CH3 )−基、−O−基又は−NH−基を示す。R8 は同一又は異なって、下記の基を示す。
【0019】
【化5】
【0020】
2つのR9 は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。mは1〜20の整数を示す。nは4〜8の整数を示す。〕
で表されるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物からなる紫外線吸収剤を含有することを特徴とする転写箔に係る。
【0021】
本発明によれば、転写性能が良好で、高い表面硬度を有し、顕著に優れた長期耐候性、耐磨耗性、耐擦傷性、耐熱水性等を有し、接着剤層との層間剥離を起さない表面保護層を成形品表面に形成し得る転写箔が提供される。
【0022】
本発明転写箔によって形成される表面保護層は、カーボンアーク燈サンシャインウエザオメータ(耐候性促進試験機)で最低1000時間照射しても変退色や剥離を起さず、更に10時間熱水中で煮沸しても、その諸性能に変化をきたさないという非常に優れた特性を有している。この様な特性は、従来の転写箔を用いても、実現することができなかったものである。
【0023】
更に本発明転写箔によって形成される表面保護層は、紫外線を透過しないので、絵柄等が印刷された装飾層や成形品が紫外線に晒されて劣化するのを防止できる。
【0024】
従って、本発明の転写箔は、風雨や直射日光等の厳しい条件に曝される外装用途(建材外装用部材、自動車ランプ表面材、高速道路用遮音材、自動車内外装部材等)、浴室、台所等の水回りに使用される内装用途、一般生活用部材、その他表示及び装飾用部材等において、好適に使用される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の転写箔は、基材シートの一方の面に、転写層及び接着剤層を順次積層したものである。
【0026】
基材シートとしては、従来からこの分野で常用されているものをいずれも使用できるが、転写層との剥離性が良好で、耐熱性や寸法安定性の良いもの好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートコポリマー、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース等のフィルム、セロハン、ポリオレフィン塗工紙等の紙、鉄、銅、アルミニウム等の金属箔等を挙げることができる。これらの中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。基材シートの厚さは特に制限されないが、通常10〜100μm程度、好ましくは20〜60μm程度とすればよい。
【0027】
転写層は、単一樹脂層であってもよく又は2種以上の樹脂層が積層されたものであってもよい。該樹脂層は、アクリル樹脂、シリコン樹脂、紫外線又は電子線硬化樹脂等で構成される。好ましくは、アクリル樹脂層と電子線又は紫外線硬化樹脂層、アクリル樹脂層とシリコン樹脂層等の二層構造からなり、より硬度が高く、耐磨耗性や耐擦傷性に優れた電子線又は紫外線硬化樹脂層やシリコン樹脂層は転写層の最外層、すなわち基材シート側になるように形成されている。
【0028】
アクリル樹脂としては、公知のものが使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の単独重合体や共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物と塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル基含有化合物との共重合体、アクリルウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂等を挙げることができる。アクリル樹脂は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
【0029】
シリコン樹脂としては公知のものが使用できるが、ガラス転移点80℃以上且つ重量平均分子量50000以上のものが好ましい。シリコン樹脂は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
【0030】
本発明では、上記アクリル樹脂層とシリコン樹脂層のいずれか一方又は両方に、その接着性を向上させる目的で、シランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては公知のものを使用でき、例えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、アルコキシシラン系、クロロシラン系、アルキルアリコキシシラン系、シリコンアクリル系、ビニルシラン系等のシランカップリング剤を挙げることができる。シランカップリング剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。シランカップリング剤の添加量は、樹脂分100重量部に対して0.1〜10重量部とすればよい。
【0031】
紫外線又は電子線化樹脂としては、公知のものが使用でき、例えば、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリエーテルアクリレート樹脂等を挙げることができる。紫外線又は電子線硬化樹脂には、例えば、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインエーテル等のベンゾイン系、ABIN、2,2’−アゾビスプロパン・ヒドラゾン等のアゾ系、有機パーオキサイド系、ジフェニルジサルファイド系等の光重合開始剤及び必要に応じてアントラキノン、5−フロロフルオレノン等の光増感剤を添加してもよい。
【0032】
本発明転写箔の転写層は、紫外線吸収剤として、一般式(6)のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物からなる紫外線吸収剤を含有する。転写層が2層以上の樹脂層で構成される場合は、上記紫外線吸収剤は1層又は複数層に含まれていてもよい。
【0033】
本発明で使用する紫外線吸収剤は、分子量が大きいため、樹脂表面から経時的にブリードアウトしたり又は水や各種溶媒によって抽出されることがなく、また高温成形加工又は転写時の蒸散、失活等が全くない。更に、ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(6)は、2個のポリエステル基の炭素鎖の長さを適宜選択することにより、転写層に用いられる樹脂との相溶性に優れたものとすることができ、従ってほぼ任意の量を転写層中に配合することができる。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
以下、ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(6)について説明する。
一般式(6)に示されるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物のうち、特にAがメチレン基である下記の一般式のものが好ましい。
【0050】
【化6】
【0051】
その具体例としては2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(グリコロイルオキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロパノイルオキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブタノイルオキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(5−ヒドロキシヘプタノイルオキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(16−ヒドロキシ−4,11−ジオキソ−3,10−ジオキサヘキサデシル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(24−ヒドロキシ−4,11,18−トリオキソ−3,10,17−トリオキサトリコシル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(31−ヒドロキシ−4,11,18,25−テトラオキソ−3,10,17,24−テトラオキサヘキサデシル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(37−ヒドロキシ−4,11,18,25,32−ヘプタオキソ−3,10,24,31−ヘプタオキサヘプタトリアコンチル)フェノール〕等を挙げることができる。
【0052】
一般式(6)のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物は、例えば、一般式(7)
【0053】
【化7】
【0054】
〔式中、Aは直接結合するか又は炭素数1〜6のアルキレン基、−C(CH3 )2 −基、−C(C2 H5 )(CH3 )−基、−O−基又は−NH−基を示す。2つのR13は同一又は異なって、水酸基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示す。〕
で表されるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物に、一般式(8)
【0055】
【化8】
【0056】
〔式中、R9 及びnは上記に同じ。〕
で表されるラクトン類を開環付加重合することにより製造できる。
一般式(7)のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物は、特開平9−316060号公報等に記載の公知化合物であり、例えば、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕等を挙げることができる。
【0057】
一般式(8)のラクトン類としては公知のものを使用でき、例えば、ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0058】
一般式(8)のラクトン類の開環付加重合は公知の方法に従って実施できる。例えば、開環付加重合用触媒の存在下に、一般式(7)のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物と一般式(8)のラクトン類とを反応させればよい。該触媒としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸第一スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズラウレート、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩等の有機スズ化合物、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ等のハロゲン化第一スズ等が挙げられる。該触媒の使用量は、通常一般式(7)のベンゾトリアゾリルフェノール化合物に対して0.1〜10000ppm程度、好ましくは1〜5000ppm程度とすればよい。
【0059】
上記の開環付加重合反応は、通常90〜240℃程度、好ましくは100〜220℃程度の温度下に行われ、通常3〜24時間程度、好ましくは4〜10時間程度で終了する。
【0060】
本発明では、上記紫外線吸収剤と共にヒンダードアミン系光安定剤を併用することもできる。
紫外線吸収剤の配合量は特に制限されず、各種の条件に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、耐候性や硬度の度合を考慮して、通常、該紫外線吸収剤を含む樹脂層の樹脂分100重量部に対して0.5〜50重量部程度とすればよい。好ましくは5〜20重量部の範囲で使用するのがよい。
【0061】
転写層の膜厚は特に制限はないが、塗布量を0.1〜6.0g/m2 、好ましくは2〜5g/m2 の範囲で調整して、通常2〜30μm程度になるようにすればよい。
【0062】
接着剤層は、耐熱性及び耐水性を考慮して、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂が使用するのがよい。特に、優れた耐熱水性、耐湿熱性を発揮する点で、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂の二次転移温度(Tg)が100〜110℃で、且つ平均分子量が60000〜80000の範囲にある樹脂であることが好ましい。また、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を用いることにより、被転写基材の表面の平滑性が悪い場合でも均一な転写が得られる。接着剤層の厚さに特に制限はないが、通常1〜50μm(乾燥塗布重量で1〜36g/m2 )とすればよい。尚、本発明においては、接着剤層に、上記紫外線吸収剤が含まれていてもよい。
【0063】
本発明においては、転写層と接着剤層との間や転写層を構成する少なくとも1層に、絵柄印刷層やベタ印刷層等の装飾層を設けることができる。装飾層は、バインダー用樹脂及び印刷インキや顔料を含む組成物を用いて種々の印刷法により形成することができる。バインダー用樹脂としては、一般に熱可塑性樹脂が用いられ、より具体的には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリエステルウレタン、塩化ゴム、塩化ポリエチレン塩化ポリプロピレン、スチレン系樹脂、及びスチレン系共重合体、セルロース誘導体、ロジンエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ブチラール樹脂、セラック、アラビアゴム、アカロイド、マスチック等を挙げることができる。これらは1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
【0064】
本発明の転写箔においては、基材シートと転写層との剥離性をより一層向上させるために、両層の間に、離型層を設けてもよい。
本発明の転写箔は、金属、セラミックス、合成樹脂、木材、紙類等の種々の材料の少なくとも1種で構成された任意の形状の成形品に、表面保護層を形成するために使用できる。
【0065】
本発明の転写箔を用いて成形品に表面保護層を形成するに際しては、従来と同様の方法が採用できる。例えば、成形品と本発明転写箔の接着剤層とを重ね合せ、必要に応じて加圧下に基材シート側から加熱して、成形品と本発明転写箔とを接着した後、基材シートを剥離し、転写層の樹脂層を硬化させればよい。樹脂層の硬化は公知の方法に従って実施でき、樹脂が電子線又は紫外線硬化型樹脂の場合には、電子線又は紫外線を照射すればよく、シリコン樹脂等の場合加熱すればよい。
尚、本発明の転写箔は、基材シートを剥離せず、そのまま成形品の保護層とすることもできる。
【0066】
【実施例】
以下に、合成例、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
【0067】
参考合成例1
メタクリル酸メチル96g、アクリル酸ブチル51g、ヒドロキシエチルメタクリレート3g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:RUVA−93、大塚化学(株)製)150g、及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)300mgをトルエン800g中に溶解し、6時間環流したのち、更にAIBN 100mgを添加して2時間環流すると、固形分30%の紫外線吸収性ポリマーのトルエン溶液がほぼ定量的に得られた(Mw=58900、Mw/Mn=2.76、溶液粘度26cp(50℃))。
【0068】
参考合成例2
RUVA−93に代えて2−ヒドロキシ−4−{2−(メタ)アクリロイルオキシ}エトキシベンゾフェノンを用いる以外は、参考合成例1と同様に操作し、固形分30%の紫外線吸収性ポリマーのトルエン溶液をほぼ定量的に製造した(Mw=60900、Mw/Mn=2.78、溶液粘度25cp(50℃))。
【0069】
参考合成例3
RUVA−93に代えて2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)〕−s−トリアジンを用いる以外は、参考合成例1と同様に操作し、固形分30%の紫外線吸収性ポリマーのトルエン溶液をほぼ定量的に製造した(Mw=57000、Mw/Mn=2.88、溶液粘度27cp(50℃))。
【0070】
参考合成例4
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:S−710、チッソ(株)製)76g、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン71g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93)150g及びAIBN300mgをトルエン800g中に溶解し、以下参考合成例1と同様に操作し、固形分30%の紫外線吸収性ポリマーのトルエン溶液をほぼ定量的に製造した(Mw=7300、Mw/Mn=1.91)。
【0071】
合成例5
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた四頭フラスコに2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕(商品名:RUVA−100、大塚化学(株)製)129.3g、ε−カプロラクトン170.3g(ダイセル化学工業(株)製)、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩(商品名:SCAT−24、三共有機合成(株)製)50ppmを加えた。反応温度を150℃に保ちながら6時間反応すると酸価(mgKOH/g)1.8、粘度2645cp(60℃)、数平均分子量1391、重量平均分子量1688、Mw/Mn=1.213の目的物である2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(23−ヒドロキシ−4,11,18−トリオキソ−3,10,17−トリオキサトリコシル)フェノール〕を粘稠オイルとして製造した(収率98%)。
【0072】
合成例6
RUVA−100の使用量を93.7g及びε−カプロラクトンの使用量を206.3gとする以外は、合成例5と同様に操作し、酸価(mgKOH/g)2.5、粘度987cp(60℃)、数平均分子量2017、重量平均分子量2465、Mw/Mn=1.222の目的物である2,2’−メチレンビス〔6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(37−ヒドロキシ−4,11,18,25,32−ヘプタオキソ−3,10,24,31−ヘプタオキサヘプタトリアコンチル)フェノール〕をワックス状固体として製造した(収率98%)。
【0073】
参考例1
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:T−60、東レ(株)製、以下「PETフィルム」)に、シロキサン樹脂(商品名:NSC−2319、日本精化(株)製)100重量部、シランカップリング剤(商品名:γ−アミノプロピルトリエキシシラン12、東芝シリコン(株)製)5重量部及び紫外線吸収剤のトルエン溶液(参考合成例4)15重量部(固形分としては5重量部)からなる組成物をグラビアコートし、150℃で30秒間乾燥し、転写層の外層となる2g/m2 のシリコン樹脂層を形成した。
【0074】
該シリコン樹脂層の上に、アクリル樹脂(商品名:LR−1065、三菱レーヨン(株)製、Tg:105℃、Mw:67000)をグラビアコートし、上記と同様に乾燥し、転写層の内層となる2g/m2 のアクリル樹脂層を形成した。
【0075】
更に、アクリル樹脂層の上に、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(商品名:エストックA、積水化学工業(株)製)をグラビアコートし、上記と同様に乾燥して1g/m2 の接着剤層を形成し、転写箔を製造した。この転写箔は養生のため、80℃で5日間保存した。
【0076】
養生後の転写箔とポリカーボネート板とを、熱ロール(230℃、ロールスピード2m/s)にてPETフィルム側から加熱して接着した。次いで、PETフィルムを剥離し、150℃で120秒間加熱し、ポリカーボネート板の表面に、シリコン樹脂層(外層)とアクリル樹脂層(内層)とからなる表面保護膜を形成した。尚、ポリカーボネート板は、ポリカーボネート樹脂(商品名:ノバレックス7022LI、三菱化成(株)製)を280℃の温度下に射出成形して製造したものである。
【0077】
実施例2
シリコン樹脂組成物としてシロキサン樹脂(NSC−2319)100重量部及びシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエキシシラン12)5重量部からなるものを用い、アクリル樹脂(LR−1065)に代えて該アクリル樹脂100重量部と紫外線吸収剤(合成例5)5重量部とからなる組成物を用いる以外は、参考例1と同様にして、本発明の転写箔を製造した。引き続き参考例1と同様にして、表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0078】
参考例3
シリコン樹脂組成物に代えて、アクリルウレタン系紫外線硬化型塗料(商品名:EX9014、三菱瓦斯化学(株)製)100重量部及び紫外線吸収剤のトルエン溶液(参考合成例1)15重量部(固形分としては5重量部)からなる紫外線硬化樹脂を使用する以外は、参考例1と同様にして、転写箔を製造した。
【0079】
引き続き、PETフィルムを剥離するまでは参考例1と同様に操作した後、高圧水銀ランプ(160w/cm)二灯を用いて紫外線硬化樹脂層にUVキュアーを行って硬化させ、表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0080】
参考例4
紫外線硬化型樹脂として、アクリルウレタン系紫外線硬化型塗料(EX9014)100重量部及び紫外線吸収剤のトルエン溶液(参考合成例2)15重量部(固形分としては5重量部)からなる組成物を使用する以外は、参考例3と同様にして転写箔を製造し、更に表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0081】
参考例5
紫外線硬化型樹脂として、アクリルウレタン系紫外線硬化型塗料(EX9014)100重量部及び紫外線吸収剤のトルエン溶液(参考合成例3)15重量部(固形分としては5重量部)からなる組成物を使用する以外は、参考例3と同様にして転写箔を製造し、更に表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0082】
実施例6
紫外線硬化型樹脂として、アクリルウレタン系紫外線硬化型塗料(EX9014)100重量部及び紫外線吸収剤(合成例5)5重量部からなる組成物を使用する以外は、参考例3と同様にして本発明の転写箔を製造し、更に表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0083】
実施例7
紫外線硬化型樹脂として、アクリルウレタン系紫外線硬化型塗料(EX9014)100重量部及び紫外線吸収剤(合成例6)5重量部からなる組成物を使用する以外は、参考例3と同様にして本発明の転写箔を製造し、更に表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0084】
比較例1
紫外線吸収剤(合成例5)に代えて、添加型のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン1130、チバガイギー社製)を使用する以外は、実施例2と同様にして転写箔を製造し、更に表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0085】
比較例2
紫外線吸収剤のトルエン溶液(参考合成例1)15重量部に代えて、添加型のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン1130)5重量部を使用する以外は、参考例3と同様にして転写箔を製造し、更に表面保護膜を形成したポリカーボネート板を製造した。
【0086】
試験例1
参考例1〜5、実施例6〜7及び比較例1、2で得られた、表面保護膜を有するポリカーボネート板を、下記の試験に供した。
表面硬度:500g荷重による鉛筆硬度を測定した。
耐候性:サンシャインウェーザーメーター(商品名:WEL−SUN−DC、スガ試験機(株)製、60℃、シャワー無し)で3000時間暴露後に、以下の項目について評価した。
【0087】
1)表面保護膜とポリカーボネート板との層間密着の度合
評価基準は以下の通りである。
○;外見上問題なし
△;一部層間剥離を起こしている
×;大部分層間剥離を起こしている
【0088】
2)表面保護膜のクラックの発生度合
評価基準は以下の通りである。
○;外見上問題なし
△;膜表面にクラックが発生している
【0089】
3)黄色度
また、3000時間暴露後のポリカーボネート板のYI値を測定し、初期YI値との差(ΔYI)求めた。ΔYI値が小さい方が耐候性に優れている。YI値は、SHカラーコンピュータ(商品名:SM−2、スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0090】
なお、上記の試験以外に、参考例1〜5、実施例6〜7及び比較例1、2で得られた表面保護膜について、スチールウールラビングによる耐擦傷性試験を実施したところ、いずれもすり傷等は認められず、良好な結果が得られた。
【0091】
【表1】
【0092】
表1から、本発明の転写箔により形成された表面保護層は、ウェザオメーター3000時間暴露後にも、層間の剥離、クラックの発生及び黄変等が起らず、耐候性に優れていることが判る。
【0093】
以上の結果から、本発明の転写箔を用いれば、各種成形品に優れた耐擦傷性及及び耐候性を付与できることが明らかである。
Claims (3)
- 転写層が複数の層から構成されており、そのうちの少なくとも最外層が、前記紫外線吸収性ポリマー及び/又は紫外線吸収剤を含む、紫外線硬化型樹脂及び電子線硬化型樹脂から選ばれる少なくとも1種の硬化樹脂からなる請求項1に記載の転写箔。
- 転写層がシランカップリング剤を含有するアクリル樹脂層及びシリコン樹脂層の少なくとも1層を含む請求項1または2に記載の転写箔。
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