JP3537872B2 - 流体封入式エンジンマウント及びその製造方法 - Google Patents
流体封入式エンジンマウント及びその製造方法Info
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- F16F13/00—Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs
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Description
ンマウントとして用いる流体封入式エンジンマウント及
びその製造方法に関するものである。
持、防振、制振という3つの機能が必要とされる。支持
機能とは、エンジン(パワーユニット)を静的/動的に
車体に搭載し、エンジンと車体とが干渉しないように支
持する機能である。また、防振機能とは、エンジンの発
生する音や振動を車体に伝達させないようにする機能で
ある。更に、制振機能とは、車両の加減速時のエンジン
振動や、路面やタイヤからの入力によるエンジン振動
(エンジンシェイク)等のエンジンの剛体振動を制限
し、車体の振動を防止する機能である。また、これら3
つの機能にはトレードオフの関係があり、全てを満足す
ることは不可能である。通常、支持機能については、伝
達特性を高く且つ減衰特性を高くする状態が理想的であ
り、以下、防振機能については、伝達特性を低くし、制
振機能については、減衰特性を高くできることが優れた
エンジンマウントの条件と言える。通常のラバー型のエ
ンジンマウントは、それらの諸元値を妥協できる範囲の
値に設定されている。
流体封入式エンジンマウントとして、従来のラバー型エ
ンジンマウントに代わって流体封入型のエンジンマウン
トが数多く採用されている。この流体封入型のエンジン
マウントは、現在まで開発されてきた過程において、そ
の構成の違いから主として第1世代〜第3世代と呼ばれ
る3種類の型式に分類される。以下に、それらの各構成
について説明する。
トは、従来のラバー型エンジンマウントよりも高いレベ
ルで各機能をバランス良く設定するために開発された初
期のエンジンマウントであり、図29に示すように、流
体を封入する液室を仕切部材によって2室に仕切り、仕
切部材にオリフィスを形成して、エンジンに取付けられ
た部材1(又は車体に取付けられた部材2)の振動によ
り、オリフィス内を通って流体を移動させるものであ
る。この第1世代の構成では、封入された流体のオリフ
ィス内の移動による流体の共振現象を利用して、低周波
の特定領域において減衰特性を高め、高周波領域での伝
達特性を小さくすることができる。
えたとき、部材2に力Fが伝達されたとすると、振動の
伝達特性Ktと減衰特性Tdとは図30に示す式によっ
て表される。これらの式に基づいて、伝達特性Ktと減
衰特性Tdとを周波数で表すと図31、図32に示すグ
ラフを得ることができる。また、図31、図32とは、
従来のラバー型と第1世代型との各特性を比較した場合
の違いを示している。図31、図32に示すように、ラ
バー型エンジンマウントに比べると伝達、減衰の各特性
が著しく向上しているのがわかる。しかしながら、第1
世代のエンジンマウントでは、流体室の一部を形成する
ゴム部材で構成された弾性体には、エンジンを支持する
支持剛性(支持バネ、支持減衰)と、流体室の拡張に係
わる拡張剛性(拡張バネ、拡張剛性)という2つの働き
が必要となる。一般に、流体型エンジンマウントで減衰
特性を活かすためには、荷重の大きな部位に配置するの
が効果的であるが、荷重の大きな部位に配置するという
ことは、必然的にゴム部材の支持剛性が大きくなって、
流体室の拡張剛性が大きくなる。その結果、a)伝達特
性が大きくなり、騒音や振動が悪化する、b)減衰が極
大となる周波数が高くなり、効果的にエンジンを制振で
きない、という2つの問題点が発生する。
トでは、上記の第1世代の問題点を克服するために、図
33に示すような液室を仕切る仕切部材の一部に弾性部
材で形成されたゴム膜を設けて、液室1の拡張剛性を低
下させることによって対応した構成としている。この第
2世代の構成では、図34に示すように、高周波領域で
の伝達特性を第1世代の構成に比べて小さくできること
によって、エンジンの騒音や振動の車体への伝達を小さ
くすることができる。
マウントは、第2世代のエンジンマウントの特性に加え
て、特定周波数の伝達特性を特に小さくする特性を付加
したものである。一般に、車体やブラケット等の共振現
象によって、車両は特定周波数において音や振動が大き
くなるという特徴がある。従来では、これらの音や振動
はダイナミックダンパ等を用いて対処していた。第3世
代のエンジンマウントでは、上記の第2世代の問題点を
克服するために、図35に示すように、第2世代の構成
に傘状の部材を設けることによって、高周波の特定周波
数領域において、伝達特性を小さくし、車両の騒音を低
減するようにした構成を採用している。この第3世代の
構成では、図36に示すように、第2世代の特性に加え
て、高周波領域の特定周波数の伝達特性を小さくできる
ことによって、特に問題となる騒音の車体への伝達を小
さくすることが可能となる。
として、例えば、特開昭60−139507号公報に開
示されているように、略同心状に配置される内筒及び外
筒と、これら内、外筒間に装填される弾性体とを備え、
この弾性体内に内筒を境にして対向配置される2つ以上
の液体室を形成し、これら各液体室を介して連通するよ
うにした懸架アームを車体に支持する筒状ブッシュにお
いて、弾性体内の一部に気体を封入した構成とすること
によって、液体室内の液圧変化が、封入された気体の体
積変化によって許容されるため、振動入力に対する液体
室内のバネ定数を低下させることができ、液柱共振にお
ける振動遮断機能の周波数の設定自由度を向上させた筒
状ブッシュが提案されている。
ように構成される各従来例において、特に、第2及び第
3世代の構成では、液室を仕切る仕切部材の一部に弾性
材料で構成されるゴム膜を形成したり、エンジン側に取
付けられる部材に傘状部材を設ける必要があり、製造コ
ストが上がるという問題がある。
に開示される技術は、一体的な構成の筒状ブッシュであ
るため、両室を構成する弾性体はバネとして作用する
が、オリフィスが目詰まりした場合、一方の液体室のみ
に気体を封入した構成では、弾性体のバネ定数が高すぎ
て振動の低減を十分に行うことができないという欠点が
ある。また、この欠点を回避するために、両室のバネ定
数を小さくすることが考えられるが、構造的に両室を夫
々異なるバネ定数の弾性体で構成することは困難であ
る。更に、下室にも気体を封入することが考えられる
が、この場合、車体への組み付け時や振動等により、一
方の液室に封入された気体がオリフィスを介して他方の
液室内に流入する恐れがあり、仮にこのような状態にな
った場合、上記の欠点を解消できず、封入された気体の
管理が極めて難しいという問題がある。
ント及びその製造方法は、上記の事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、気体の充填量に
基づいて振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できる
ため、エンジンの騒音を低減するように振動伝達特性を
設定すると共に、高周波振動に対する減衰特性を高め
て、振動低減効果を向上させることが可能になる流体封
入式エンジンマウント及びその製造方法を提供すること
である。
を充填できる流体封入式エンジンマウント及びその製造
方法を提供することである。
的を達成するために、本発明の流体封入式エンジンマウ
ント及びその製造方法は以下の構成を備える。即ち、弾
性を有する部材で形成されたゴム部材と、弾性を有する
薄膜部材で形成されたダイヤフラムとを有し、該ゴム部
材とダイヤフラムとにより内部に流体を封入するための
流体室を形成し、前記ゴム部材とダイヤフラムとの伸縮
によって振動を吸収する流体封入式エンジンマウントで
あって、自動車のエンジン側に接続されるエンジン側接
続部材と、前記自動車の車体側に接続される車体側接続
部材と、前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主
室と前記ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切る
と共に、該主室と副室を連通するオリフィス通路を有す
る仕切部材と、前記主室の上部には、予め決定された所
定量の気体が注入され、前記仕切部材に、前記所定量の
気体を確保し前記主室の上部に滞留させるための凹部を
設けたことを特徴とする。
成されたゴム部材と、弾性を有する薄膜部材で形成され
たダイヤフラムとを有し、該ゴム部材とダイヤフラムと
により内部に流体を封入するための流体室を形成し、前
記ゴム部材とダイヤフラムとの伸縮によって振動を吸収
する流体封入式エンジンマウントの製造方法であって、
前記流体室に前記流体を注入する流体注入工程と、前記
流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記ダイ
ヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、該主
室と副室を連通するオリフィス通路を有し、且つ予め決
定された所定量の気体を封入した仕切部材を装着する工
程と、前記流体室内に前記流体を満たした状態で、前記
ダイヤフラムを装着する工程と、前記流体室を反転し、
前記気体を前記主室の上部に滞留させる工程とを備える
ことを特徴とする。
成されたゴム部材と、弾性を有する薄膜部材で形成され
たダイヤフラムとを有し、該ゴム部材とダイヤフラムと
により内部に流体を封入するための流体室を形成し、前
記ゴム部材とダイヤフラムとの伸縮によって振動を吸収
する流体封入式エンジンマウントの製造方法であって、
前記流体室に前記流体を注入する流体注入工程と、前記
流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記ダイ
ヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、該主
室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕切部材を
装着する工程と、前記流体室内に前記流体を満たした状
態で、前記ダイヤフラムを装着する工程と、前記ゴム部
材又はダイヤフラムに設けられた気体注入口から予め決
定された所定量の気体を注射器により注入する工程とを
備えることを特徴とする。
成されたゴム部材と、弾性を有する薄膜部材で形成され
たダイヤフラムとを有し、該ゴム部材とダイヤフラムと
により内部に流体を封入するための流体室を形成し、前
記ゴム部材とダイヤフラムとの伸縮によって振動を吸収
する流体封入式エンジンマウントの製造方法であって、
前記流体室内に前記流体を注入すると共に、所定温度以
上で気化し可逆変化を起こさない物質を投入する工程
と、前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と
前記ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共
に、該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕
切部材を装着する工程と、前記流体を前記流体室内に満
たした状態で、前記ダイヤフラムを装着する工程とを備
えることを特徴とする。
ンジンマウント及びその製造方法は構成されているの
で、気体の充填量に基づいて振動伝達特性及び減衰特性
を任意に設定できるため、エンジンの騒音を低減するよ
うに振動伝達特性を設定すると共に、低周波振動に対す
る減衰特性を高めて、振動低減効果を向上させることが
可能になる。
て、オリフィス通路を有する仕切部材に所定量の気体を
確保した状態で気体の封入を行えるため、簡単な手順で
確実に所定量の気体を充填できる。
参照して詳細に説明する。 [第1実施例]図1は、本発明に基づく第1実施例の流
体封入式エンジンマウントの断面図である。また、図2
は、図1の流体封入式エンジンマウントの要部を簡略化
して示したモデル図である。図1、図2において、本実
施例で用いる流体封入式エンジンマウント100は、エ
ンジンルーム内の所定箇所においてエンジンを支持する
ものである。エンジンマウント100は、エンジン側に
取付けられる接続部材1と、マウント本体2と、車体側
に取付けられる接続部材3とによりその外形を構成して
いる。接続部材1は、その一端部をエンジンにボルト等
によって固定すると共に、他端部には、弾性材料で構成
された断面円形のゴム部材4を取付けるための固定部5
が形成されている。また、固定部5の上部には、薄い円
盤状のストッパ6が環着されている。マウント本体2
は、円筒形状のカップを逆さまにした形状であり、上部
が開口した形状の開口部を備える。また、マウント本体
2には、開口部から上部に延設されたフランジ部2aが
形成されている。マウント本体2の下部には、車体のシ
ャシ等に固定するための接続部材3が設けられている。
ゴム部材4が取付けられた固定部5は、マウント本体2
の開口部の内面にゴム部材4が密着するように嵌合さ
れ、固定される。このゴム部材4を取付けることによっ
て、マウント本体2の内部に液室10が形成される。液
室10は、マウント本体2の内部に設けられた仕切部材
7によって、上部液室10aと下部液室10bに分割さ
れ、夫々に液体Lが封入される。また、仕切り部材7に
は、上部液室10aと下部液室10bとの間を連通し、
封入された液体Lが両液室間を流入及び流出できるよう
に、ら旋状に形成されたオリフィス8が形成されてい
る。また、仕切部材7とマウント本体2の低部との間に
は、弾性材料(例えば、ゴム等)で構成されたドーム状
のダイヤフラム9が設けられ、下部液室10bは、仕切
部材7とダイヤフラム9とによって構成される。マウン
ト本体2の低部は大気開放されていて、ダイヤフラム9
が液室10b内の液体Lの圧力によって、ある程度伸縮
可能なように構成されている。また、上部液室10aに
は、所定量の気体Gが封入されている。この気体Gは、
空気や液室10に封入された液体Lに溶解しにくい特性
を有する不活性ガスや、ヘリウムガス等であり、約0.
5〜7cc程度封入される。この気体の充填量は、エン
ジンの重量や車種によって、夫々異なるものである。ま
た、エンジンの振動によってこのゴム部材4の変位量が
必要以上に大きくなると、マウント本体2に設けられた
フランジ部2aとストッパ6とが当接して、ゴム部材4
の変位を抑制する。
構成において、ゴム部材4は、エンジンを支持する支持
機能と共に、エンジンやシャシから発生する振動を吸収
する防振機能を備えている。一般に、エンジンを支持す
る支持剛性が高くなると、液室の拡張しにくさを表す拡
張剛性も大きな値となり、それに伴って伝達特性が大き
な値となるため、制振機能が悪化する(エンジン振動が
伝わりやすくなる)。この拡張剛性を低くするために気
体が封入されている。封入された気体Gは、その気体自
身の圧縮特性によって、ゴム部材の変位による液室10
aの拡張剛性を低くする働きがあり、低周波領域及び高
周波領域での伝達特性を小さくしている。
振動では、各液室10a、10b内に封入された液体L
は、ゴム部材4の変位によってオリフィス8を介して上
部液室10aと下部液室10bとの間を移動するが、あ
る特定周波数になると、液体Lがオリフィス内で共振現
象による目詰まりを起こし、各液室間を移動しない状態
となる。即ち、オリフィス内の液体共振によって、特定
領域のみの減衰を高める働きがある。しかしながら、伝
達特性が高くなると減衰が極大値となる周波数が高くな
って、エンジンの制振機能に問題が生じる。従って、気
体Gを封入し、低周波の特定領域での伝達特性を低下さ
せる(即ち、拡張剛性を低くする)ことによって、高い
減衰特性が得られ、制振機能が向上するように構成され
ている。
2実施例の流体封入式エンジンマウントの断面図であ
る。また、図4は、図4の流体封入式エンジンマウント
の要部を簡略化して示したモデル図である。図3、図4
において、第2実施例で用いる流体封入式エンジンマウ
ント200は、第1実施例のゴム部材4を固定する固定
部5が上部液室10aの一部となり、エア室205を構
成している。このエア室205は、コップの開口部を逆
さまに向けたような状態で取付けられ、開口部の断面積
はオリフィス8の断面積より大きく、且つ液室10aの
断面積より小さく形成されている。また、このエア室2
05は、上部に気体Gが注入され、液室10aとの通路
となっている。エア室205内の液体と気体とは、特定
周波数において、液柱共振するエアデバイス220とし
て機能している。その他、上記実施例と同一部材は、同
一の機能を有するものとして同一番号を付与しその説明
は省略する。
例の構成において、エアデバイス部220に封入された
気体Gは、第1実施例の場合と同様に、その気体自身の
圧縮特性によって、ゴム部材の変位による液室10aの
拡張剛性を低くする働きがあり、低周波領域及び高周波
領域での伝達特性を小さくしている。しかしながら、車
両は、車体やブラケット等の共振現象によって、高周波
の特定周波数領域で音や振動が大きくなる特性があり、
従来では、ダイナミックダンパ等で対処していた。この
ダイナミックダンパに代わるものがエアデバイス部22
0である。エアデバイス部220内では、注入された気
体Gの圧縮特性によって、高周波の特定周波数領域で液
柱共振現象が発生する。エアデバイス部の通路内の液柱
共振周波数は、オリフィス内の液体共振周波数よりも高
い値に設定されているので、この液柱共振現象を利用す
ることによって、高周波の特定周波数領域での伝達特性
を小さくできるのである。
施例の構成においても、第1実施例の場合と同様の作
用、即ち、気体Gをエア室205に注入し、液柱共振周
波数より低い低周波の特定領域での伝達特性を低下させ
る(即ち、拡張剛性を低くする)ことによって、高い減
衰特性が得られ、制振機能が向上するように構成されて
いる。
例で用いる流体封入式エンジンマウントの原理について
説明する。図5は、第2実施例のエンジンマウントのモ
デル図であり、図6は、図5の等価回路図である。ま
た、図37は、空気バネのモデル図であり、図37に示
す空気バネのバネ定数kは、体積V0、圧力P0、断面積
Aとすると、ポリトロープ指数γを用いて、図38に示
す式によって表すことができる。図5、図6及び図38
において、エアデバイス内の流体の質量Md及び液室内
の流体の質量Meは、下記に示す式1、2によって表さ
れるので、 Md=ρbL…(1) Me=ρal…(2) ρ;流体密度、 L;エアデバイス部の長さ、 l;オリフィスの長さ、 上記式1、2によって定義される流体質量を用いて、図
6の等価回路図では、下記に示す数1の運動方程式が成
立する。
Eは、下記式3によって表される。 (式3) MD=(A/b)2md ME=(A/a)2me また、モデル図と等価な減衰CD、CEは、下記式4によ
って表される。
ば、式5によって表される。
0b2/V0)=γP0A2/V0 …(5) また、モデル図における等価な変位量は、式6によって
表される。 (式6) YD=(b/A)yd YE=(a/A)ye 以上の式3〜式6を用いて数1に示す運動方程式をラプ
ラス変換によって解くと、下記に示す数2が成り立つ。
タを設定すると、図8、図9に示すような結果が得られ
る。図8は、第2実施例のエンジンマウント200の伝
達特性を示している。また、図9は、減衰特性を示して
いる。尚、図7、図8、図9に示されているM0とは、
従来の第2世代の構成のエンジンマウントの特性を示し
ている。第2実施例で説明したように、エアデバイス部
220に封入された気体Gを1ccとすると、エアデバイ
ス部220内では、注入された気体Gの圧縮特性によっ
て、高周波の特定周波数領域で液柱共振現象が発生す
る。エアデバイス部の通路内の液柱共振周波数は、オリ
フィス内の液体共振周波数よりも高い値に設定されてい
るので、この液柱共振現象を利用することによって、高
周波の特定周波数領域(図8の400Hz付近)での伝
達特性を小さくできるのである。また、気体Gをエア室
205に注入し、液柱共振周波数より低い低周波の特定
領域での伝達特性を低下させる(図8に示す10〜20
Hz付近)ことによって、高い減衰特性が得られ(図9
に示す10〜20Hz付近)、制振機能が向上するよう
に構成されている。
ジンマウントの試験結果について説明する。尚、エンジ
ンの重量については、車種によって大きな差はないと考
え、一般的な重量を基準として説明する。 (振動伝達特性)図10は、封入する気体量を0cc、
0.5cc,1.5cc、7ccとした場合の周波数に
基づく振動伝達特性を示す。また、図11は、入力され
る周波数を100Hzとした場合の封入される気体量に基
づく振動伝達特性の変化を示す。図10において、気体
の充填量が0ccの場合には、10Hz以上の振動伝達特
性が最も高い値を示し、気体の充填量を増加するにつれ
て振動伝達特性は小さな値になる。これは、液室内に気
体を封入する程、外部から入力される振動を吸収し、伝
達されにくくなることを意味し、騒音の低減を図ること
ができる。しかしながら、気体の充填量を増加させる
程、減衰特性が低下することになる。図11に示すよう
に、入力される振動周波数が100Hzの場合、気体の充
填量に基づく振動伝達特性は、充填量を0.5ccから
1.5ccに増加すると、振動伝達特性が400(N/
mm)から300(N/mm)と約75%程度低下す
る。同様に、充填量を0.5ccから3ccに増加する
と、振動伝達特性が400(N/mm)から約270
(N/mm)と約68%程度低下する。更に、7ccに
まで増加すると、より振動伝達特性は低下するが、図1
1から分かるように、気体の充填量が7cc以上になる
と、振動伝達特性は変化しなくなる。なぜならは、7c
c以上の気体を充填量では、エンジンを支持する支持バ
ネのみの機能を果たしているからである。
1cc〜10ccの夫々の場合の周波数に基づく減衰特
性(Tanδ)特性を示す。また、図13は、封入され
る気体量に基づく減衰特性(Tanδ)のピーク値の変
化を示す。図12、図13において、気体の充填量が1
ccの場合には、Tanδ1.4以上の振動減衰特性が
得られ、気体の充填量を増加するにつれて振動減衰特性
は小さな値になり、充填量が7ccでは、Tanδ0.
3程度になる。これは、液室内に気体を封入する程、外
部から入力される振動の減衰特性(制振機能)が低下す
る一方、騒音の低減を図ることができることを意味す
る。
示すように封入する気体量を0cc、0.5cc、1.
5cc、7ccと変えていくことより生じる拡張剛性の
低下率に基づく振動伝達特性を示す。封入する気体量を
0cc、0.5cc、1.5cc、7ccとした場合、
拡張バネの拡張剛性の低下率は、0%、30%、50
%、75%、95%というように低下する。これは、液
室内に気体を封入する程、エンジンマウントの制振機能
が低下し、流体及びゴム部材の弾性係数のみに依存した
振動伝達特性が大きくなり、エンジンを支持する支持バ
ネの機能を果たすのみであることを意味する。
体充填量が0.5cc以下では振動伝達特性が大きく、
気体充填量が7cc以上では振動伝達特性の変化量が小
さくなる。従って、振動伝達特性(騒音)に関しては、
封入すべき気体量は、0.5cc〜7ccが好適な量と
なる。また、エンジン振動を低減するためには、Tan
δを0.6以上に設定すると効果的であるため、図13
から気体充填量が3cc以下に設定することが好まし
い。従って、封入すべき気体量は、0.5cc〜3cc
がより好適な量となる。
は、エンジンマウントの設計上の諸元値を図7に示す各
値を基準として決定される量であり、例えば、使用環境
やエンジン重量の変化に基づいてエアデバイス部や液室
の断面積や長さ等を変更した場合には、その設計上の変
更に伴って気体の充填量を増減させて、所望の振動伝達
特性及び減衰特性が得られるようにチューニングされ
る。
説明した第2世代のエンジンマウントと本実施例の気体
封入式エンジンマウントとの振動伝達特性を比較した図
である。図15に示すように、第2実施例の流体路内の
液柱共振を利用して、気体を封入することにより、所定
周波数帯の振動伝達特性を低下させるためのボトム周波
数帯を設定し、その周波数帯の振動を低減させることが
できる。また、気体の充填量や流体路の断面積等のパラ
メータは、ボトム周波数帯が80Hz〜500Hzになるよ
う設定する。なぜならば、80Hz以下の周波数では人間
は騒音を感知しにくいからである。また、エンジンマウ
ントは、一般的にブラケットを介してボルト締結される
が、そのブラケットの共振が500Hz以下になると、こ
もり音として不快な音になる。従って、車両走行時に発
生するこもり音等の原因となる振動を低減するようにボ
トム周波数を500Hz以下にチューニングすると共に、
騒音を感知しにくい80Hz以上に設定すれば効果的に不
快な音を低減することができる。
(オリフィス)内での液柱共振の発生や流体の粘性抵抗
等に影響される外力の振幅や周波数によって流体の流れ
方が変化する。例えば、ゆっくりとしたスピードで外力
が付与されると、液柱共振や粘性抵抗の影響が小さく、
流体は高圧側から低圧側へ移動する。一方、液柱共振周
波数よりも高い周波数で外力が付与されると、ほとんど
流体がオリフィス内を流れない状態(目詰まりの状態)
となる。
ントと、従来技術例として挙げた特開昭60−1395
07号に開示された構造との異なる点は、ゆっくりとし
たスピードで外力を付与した場合、本発明の装置では、
液体の流出する側に気体を充填しているのに対し、従来
技術では、流体の流入する側に気体を充填している点で
ある。即ち、その構造が根本的に異なっているのであ
る。
入や流出という現象は、気体室を形成する拡張バネのバ
ネ定数の大きさの違いから生じるものである。即ち、流
体は、拡張バネのバネ定数の大きい側から小さい側へ移
動すると考えられる。従って、騒音が発生する領域とな
る高周波領域では、オリフィスは、目詰まりの状態にな
っているため拡張バネのバネ定数が大きいほど騒音を伝
えやすくなる。即ち、本発明の流体封入式エンジンマウ
ントでは、拡張バネのバネ定数の大きい側に気体を充填
しているため、この大きい側のバネ定数を低下させる
(伝達特性を小さく設定する)ことにより大きな騒音低
減効果を発揮するのに対し、従来技術に開示された構成
では、拡張バネのバネ定数の小さい側に気体を充填して
いるため、騒音低減効果が小さいものとなるという性能
面での違いがある。
〜図20を参照して本実施例の流体封入式エンジンマウ
ントを所望の性能に設定するための基準値の設定方法に
ついて説明する。図16は、気体の充填量に基づくエン
ジン騒音低減評価結果を示す。また、図17は、気体の
充填量に基づくエンジンシェイク振動低減評価結果を示
す。更に、図18は、周波数に基づく拡張バネの振動伝
達特性の低下状態を示す。図19は、拡張バネの振動伝
達特性の低下率に基づくエンジン騒音低減評価結果を示
す。尚、図20は、図16〜図19に示した各評価結果
(点数)に対応する評価基準を示す図である。
に示すように、気体の充填量は、0.5ccで騒音評価
5点であり、騒音評価5点とは、図20を参照すると許
容できる限界レベルを意味する。即ち、気体の充填量
は、0.5cc以上で騒音評価5点以上を確保できるこ
とになる。また、更に気体の充填量を増加していくと7
ccで騒音評価8点(図20でかなり良いレベル)に達
し、それ以上気体を封入しても評価は変わらない。従っ
て、気体の充填量を騒音を低減するという観点から考察
すると、0.5cc以上で騒音の低減に対して効果的で
あるという結果を得ることができる。
量)図17に示すように、気体の充填量は、7ccで振
動評価5点であり、8ccで4.5点となり、図16及
び図20から、気体の充填量は、7cc以下で振動評価
5点以上を確保できることになる。また、気体の充填量
が3cc以下で振動評価7点(図20で良いレベル)に
達し、それ以下では更に振動評価は向上する。従って、
気体の充填量をエンジン振動を低減するという観点から
考察すると、3cc以下(図13よりTanδ0.6以
上)でエンジン振動の低減に対して効果的であるという
結果を得ることができる。
動伝達特性低下率)図19に示すように、拡張バネの振
動伝達特性低下率は、50%以上でエンジン騒音評価6
点以上であり、図19及び図20から、拡張バネの振動
伝達特性低下率が50%以上になるように気体の充填量
を設定することで、エンジン騒音評価6点以上を確保で
きることになる。また、図18に示すように、拡張バネ
の振動伝達特性低下率が50%以上とは、拡張バネの振
動伝達特性が1/2以下となることを意味する。従っ
て、拡張バネの振動伝達特性低下率という観点から考察
すると、その振動伝達特性低下率が50%以上でエンジ
ン騒音の低減に対して効果的であるという結果を得るこ
とができる。
結果から分かるように、図11及び図16では、気体充
填量が0.5cc以下では振動伝達特性が大きく、気体
充填量が7cc以上では振動伝達特性の変化量が小さく
なる。従って、振動伝達特性(騒音)に関しては、封入
すべき気体量は、0.5cc〜7ccが好適な量とな
る。また、エンジン振動を低減するためには、Tanδ
を0.6以上に設定すると効果的であるため、図13及
び図17から気体充填量が3cc以下に設定することが
好ましい。従って、封入すべき気体量は、0.5cc〜
3ccがより好適な量となる。
たエンジンマウントの製造方法を説明する。尚、上記各
実施例で説明した部材は、夫々構成部材としてすでに製
造されているものとする。以下にその全体的な製造工程
を示す。 先ず、マウント本体の内部に流体を注入する。
な空気を遮断又は排出する。 予め決定された量の気体をマウント本体の内部に封入
する。但し、封入される気体は、空気である。 この状態で、マウントを圧縮し、密封する。このよう
にマウントに圧力を付与することによって、無負荷時で
の液室内の負圧によって気体を封じ込めておき、エンジ
ン搭載時には液室内部が大気圧となりガスバネとして作
用させる。
て説明する。 <第1の製造方法>図21は、本実施例の流体マウント
の第1の製造方法として気体の封入方法を示す。図21
において、オリフィス8が形成された仕切部材7に凹部
S1を設け、この凹部S1の体積を封入する気体の体積
に設定し、凹部S1に連通孔Hを形成する。この仕切部
材7を逆さにして予め流体を注入されたマウント本体内
に組み入れ、その他の部品の組立を行い密封した後、正
常な位置に戻す。すると、凹部S1に封入されていた空
気が連通孔Hから液室10a内に入り、気体の封入が完
了する。
流体マウントの第2の製造方法として気体の封入方法を
示す。図22において、ダイヤフラム9に凹部S2を設
け、この凹部S2の体積を封入する気体の体積に設定す
る。このダイヤフラム9を逆さにして気体が逃げないよ
うに、予め流体を注入されたマウント本体内に組み入
れ、その他の部品の組立を行い密封した後、正常な位置
に戻す。すると、凹部S2に封入されていた空気が仕切
部材7のオリフィス8を通って液室10a内に入り、気
体の封入が完了する。
流体マウントの第3の製造方法として気体の封入方法を
示す。図23において、ダイヤフラム9の組み付け時
に、ダイヤフラム9の外周とマウント本体2の内周とを
気密シールすることによって気体室S3を設け、この気
体室S3の体積を封入する気体の体積に設定し、その他
の部品の組立を行い密封した後、正常な位置に戻す。す
ると、気体室S3に封入されていた空気がオリフィス8
から液室10a内に入り、気体の封入が完了する。
流体マウントの第4の製造方法として気体の封入方法を
示す。図24において、マウント本体の側壁部にエアだ
まり凹部S4を設け、このエアだまりS4の体積を封入
する気体の体積に設定する。また、組立後にエアだまり
S4が液室10aに連通するように仕切部材7の側壁部
に連通孔H2を設ける。この仕切部材7を予め流体を注
入されたマウント本体内に組み入れ、その他の部品の組
立を行い密封することにより、エアだまりS4に封入さ
れていた空気が連通孔H2から液室10a内に入り、気
体の封入が完了する。
トの第5の製造方法として気体の封入方法は、常温又は
高温で固体から気体に昇華し、気体から固体又は液体に
可逆変化しない物質(例えば、ナフタリン、炭酸ナトリ
ウム等)を部品の組立、密封時に混入させる手法であ
る。
気体の封入方法は、流体に溶解しやすい物質(乳糖類の
カプセル等)に封入する気体を入れ、部品の組立、密封
時に混入させる手法である。 <第7の製造方法>図25は、本実施例の流体マウント
の第7の製造方法として気体の封入方法を示す。図25
において、流体内にてマウント本体に気体を供給するた
めの空気供給機構を設けピストン及びシリンダにより、
供給空気量S5を封入する気体の体積に設定する。この
マウント本体に流体中で気体を封入し、その他の部品の
組立を行い密封することにより液室10a内への気体の
封入が完了する。尚、この第7の製造方法では、シリン
ダーに不活性ガスのボンベを連結し、封入する気体を不
活性ガスとしてもよい。また、ピストン及びシリンダを
用いずに、注射器で気体を注入してもよい。
流体マウントの第8の製造方法として気体の封入方法を
示す。図26において、治具501等によって支持する
ことにより、真空引き500でダイヤフラム9に凹部S
6を設け、この凹部S6の体積を封入する気体の体積に
設定する。このダイヤフラム9を逆さにして気体が逃げ
ないように、予め流体を注入されたマウント本体内に組
み入れ、密封した後、真空引き500を開放し、正常な
位置に戻す。すると、凹部S6に封入されていた空気が
仕切部材7のオリフィス8を通って液室10a内に入
り、気体の封入が完了する。
流体マウントの第9の製造方法として気体の封入方法を
示す。図27において、マウントの全てを組み立てた
後、ダイヤフラムに注射器503を突き差して定量の空
気を封入する。この際、ダイヤフラム9の一部(注射器
を突き差す部分)を他の部分より厚く形成して、ダイヤ
フラムからの液漏れを防止する。空気は仕切部材7のオ
リフィス8を通って液室10a内に入り、気体の封入が
完了する。
の流体マウントの第10の製造方法として気体の封入方
法を示す。図28において、マウントの全てを組み立て
た後、マウント本体の側壁部に注射器503を突き差し
て定量の空気を封入する。その後、封止部材を圧入して
側壁部の穴を塞ぐ。尚、上記の気体封入方法において、
マウント本体内部に気体を封入した後、Tanδをチェ
ックし、封入空気量の補正工程を設け、上述の第8〜1
0の製造方法を封入空気量の補正工程に用いることもで
きる。
記各実施例のエンジンマウントによれば、気体の充填量
に基づいて振動伝達特性及び減衰特性を任意に設定でき
るため、エンジンの騒音を低減するように振動伝達特性
を設定すると共に、高周波振動に対する減衰特性を高め
て、振動低減効果を向上させることが可能になる。
を充填できる。尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範
囲で上記実施例を修正又は変形したものに適用可能であ
る。例えば、本実施例では、液室内に封入する気体とし
て、不活性ガスを用いたが、封入される流体と気体との
組み合わせは、互いに溶解しにくいものであれば、不活
性ガスに限定されるものではない。
エンジンマウントによれば、気体の充填量に基づいて振
動伝達特性及び減衰特性を任意に設定できるため、エン
ジンの騒音を低減するように振動伝達特性を設定すると
共に、低周波振動に対する減衰特性を高めて、振動低減
効果を向上させることが可能になる。
て、オリフィス通路を有する仕切部材に所定量の気体を
確保した状態で気体の封入を行えるため、簡単な手順で
確実に所定量の気体を充填できる。
ンマウントの断面図である。
略化して示したモデル図である。
ンマウントの断面図である。
略化して示したモデル図である。
る。
を示す図である。
200の伝達特性を示す図である。
200の減衰特性を示す図である。
基づく振動伝達特性を示す図である。
る空気量に基づく振動伝達特性の変化を示す図である。
基づく減衰特性を示す図である。
値の変化を示す図である。
拡張剛性の低下率に基づく振動伝達特性を示す図であ
る。
封入式エンジンマウントとの振動伝達特性を比較した図
である。
価結果を示す図である。
価結果を示す図である。
下状態を示す図である。
ンジン騒音低減評価結果を示す図である。
に対応する評価基準を示す図である。
して気体の封入方法を示す図である。
して気体の封入方法を示す図である。
して気体の封入方法を示す図である。
して気体の封入方法を示す図である。
して気体の封入方法を示す図である。
して気体の封入方法を示す図である。
して気体の封入方法を示す図である。
として気体の封入方法を示す図である。
面図である。
ある。
達特性を示す図である。
衰特性を示す図である。
面図である。
達特性を示す図である。
面図である。
達特性を示す図である。
ロープ指数γを用いた式によって表した図である。
ゴム部材、5…固定部、6…ストッパ、7…仕切部材、
8…オリフィス、9…ダイヤフラム、10a、10b…
液室、205…エア室、220…エアデバイス部、G…
空気又は不活性ガス、L…液体。
Claims (7)
- 【請求項1】 弾性を有する部材で形成されたゴム部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に流体
を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材とダイ
ヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する流体封入式エ
ンジンマウントであって、 自動車のエンジン側に接続されるエンジン側接続部材
と、 前記自動車の車体側に接続される車体側接続部材と、 前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記
ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、
該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕切部
材と、 前記主室の上部には、予め決定された所定量の気体が注
入され、 前記仕切部材に、前記所定量の気体を確保し前記主室の
上部に滞留させるための凹部を設けたことを特徴とする
流体封入式エンジンマウント。 - 【請求項2】 弾性を有する部材で形成されたゴム部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に流体
を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材とダイ
ヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する流体封入式エ
ンジンマウントの製造方法であって、 前記流体室に前記流体を注入する流体注入工程と、 前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記
ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、
該主室と副室を連通するオリフィス通路を有し、且つ予
め決定された所定量の気体を封入した仕切部材を装着す
る工程と、 前記流体室内に前記流体を満たした状態で、前記ダイヤ
フラムを装着する工程と、 前記流体室を反転し、前記気体を前記主室の上部に滞留
させる工程とを備えることを特徴とする流体封入式エン
ジンマウントの製造方法。 - 【請求項3】 前記仕切部材は、予め決定された所定量
の気体を前記主室内の上部に確保するための凹部を有す
ることを特徴とする請求項2に記載の流体封入式エンジ
ンマウントの製造方法。 - 【請求項4】 前記ダイヤフラムは、所定厚で連続する
略断面凸状に形成されていると共に、その外周縁部と前
記ケース部材との間に予め決定された所定量の気体を確
保するための空間部を存した状態で装着されることを特
徴とする請求項2に記載の流体封入式エンジンマウント
の製造方法。 - 【請求項5】 弾性を有する部材で形成されたゴム部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に流体
を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材とダイ
ヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する流体封入式エ
ンジンマウントの製造方法であって、 前記流体室に前記流体を注入する流体注入工程と、 前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記
ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、
該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕切部
材を装着する工程と、 前記流体室内に前記流体を満たした状態で、前記ダイヤ
フラムを装着する工程と、 前記ゴム部材又はダイヤフラムに設けられた気体注入口
から予め決定された所定量の気体を注射器により注入す
る工程とを備えることを特徴とする流体封入式エンジン
マウントの製造方法。 - 【請求項6】 弾性を有する部材で形成されたゴム部材
と、弾性を有する薄膜部材で形成されたダイヤフラムと
を有し、該ゴム部材とダイヤフラムとにより内部に流体
を封入するための流体室を形成し、前記ゴム部材とダイ
ヤフラムとの伸縮によって振動を吸収する流体封入式エ
ンジンマウントの製造方法であって、 前記流体室内に前記流体を注入すると共に、所定温度以
上で気化し可逆変化を起こさない物質を投入する工程
と、 前記流体室を前記ゴム部材をその一部とする主室と前記
ダイヤフラムをその一部とする副室とに仕切ると共に、
該主室と副室を連通するオリフィス通路を有する仕切部
材を装着する工程と、 前記流体を前記流体室内に満たした状態で、前記ダイヤ
フラムを装着する工程とを備えることを特徴とする流体
封入式エンジンマウントの製造方法。 - 【請求項7】 前記可逆変化を起こさない物質を所定温
度以上で気化させるために前記流体室内を加熱する工程
を更に具備することを特徴とする請求項6に記載の流体
封入式エンジンマウントの製造方法。
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