JP3528652B2 - 繊維処理剤、それで処理された補強用繊維およびその繊維で補強されたゴム製品 - Google Patents
繊維処理剤、それで処理された補強用繊維およびその繊維で補強されたゴム製品Info
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Description
に埋設され、その強度および寸法安定性を向上させる補
強用繊維に関する。さらには、その繊維に用いられる繊
維処理剤およびそれで補強されたゴム製品に関する。
や有機繊維を埋設されて、その寸法安定性や強度の向上
が図られている。ガラス繊維は、有機物であるゴムや樹
脂との馴染みが一般に悪いため、その表面にイソシアネ
ートやハロゲン含有ポリマーなどからなる被膜を施され
る。例えば特公平5−71710号公報には、レゾルシ
ンホルムアルデヒドの水溶性縮合物(以下「RFL」と
する)およびゴムを含む第1層、ハロゲン含有ポリマ
ー、イソシアネートを含む第2層、ゴムマトリックスと
同一のゴムからなる第3層の3層構造からなる被膜を施
されたガラス繊維が記載されている。また、特開平1−
221433号公報には、RFL、ブタジエン−スチレ
ン−ビニルピリジンターポリマー、クロルスルホン化ポ
リエチレンを含有する被膜を施されたガラス繊維が記載
されている。
ックスもしくは樹脂マトリックス(以下、これらを単に
「マトリックス」とする)との中間的性質を示すもの
で、どちらにも馴染み、その接着力を高める役割を果た
す。
リックスとの馴染みは良いが、それでも接着力が十分で
なく、さらに高めるためにガラス繊維同様の被膜を施さ
れる。例えば、特開平6−25978号公報には、エポ
キシ基を2個以上含むポリエポキシド化合物を含む第1
層、RFLを含む第2層の2層構造からなる被膜を施さ
れた芳香族ポリアミド補強用繊維が記載されている。ま
た、特開平10−204780号公報には、ポリビニル
ホルムアルデヒド、芳香族エポキシド化合物、ブロック
ドポリイソシアネート化合物およびRFLを含む被膜を
施されたポリエステル繊維が記載されている。
には、以下のような問題点があった。上記3層の被膜を
備えたガラス繊維は、ガラス繊維からゴムマトリックス
へと段階的に性質が変化していくため接着力は高いが、
反面製造工程が複雑になる。一方、単層の被膜を備える
ガラス繊維や有機繊維は、製造工程は簡素になるが、マ
トリックスとの接着力が十分とは言い難い。
が異なることから、共通の繊維処理剤を用いることが困
難で、それぞれ専用の繊維処理剤を必要としていた。
る問題に着目してなされたものである。その目的とする
ところは、単層の被膜で十分な接着強度を発揮できる補
強用繊維、繊維とマトリックスとの接着力を高める繊維
処理剤およびその補強用繊維を用いたゴム製品を提供す
ることにある。
めに、請求項1に記載の発明の繊維処理剤は、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合ラテックスをエポキシ化し
たものとフェノール樹脂を固形分で表して全固形分に対
して各々10〜90重量%含有するものである。
求項2または3に記載の発明において、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合ラテックスをエポキシ化したもの
およびフェノール樹脂がいずれもエマルジョンであるも
のである。
維処理剤中の全固形分の濃度が10〜50重量%である
ものである。
求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維処理剤で処理さ
れたものである。
求項4に記載の発明において、ガラス繊維またはアラミ
ド繊維が繊維処理剤で処理されたものである。
求項4または5に記載の発明において、繊維処理剤の固
形分の付着量が10〜30重量%であるものである。
項4〜6のいずれか1項に記載の補強用繊維を埋設した
ものである。
記載の発明において、補強用繊維の重量率が10〜70
重量%であるものである。
ミド繊維上に前記繊維処理剤による単層の被膜を備える
請求項4〜6のいずれか1項に記載の補強用繊維が、ゴ
ムマトリックスに埋設されたものであって、その接着強
度が200kgf/25mm巾以上であるものである。
て詳細に説明する。
エポキシ樹脂を含有させるものである。ゴム変性エポキ
シ樹脂は、ゴム弾性を示す高分子化合物をエポシキ化し
たものであって、ゴム特有の高弾性性能とエポキシ化に
よる高い接着力とを併せ持つ。ゴム弾性を示す高分子化
合物としては、例えばブタジエン−スチレン共重合ラテ
ックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ラテック
ス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス、ブタジ
エンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックスなどが
挙げられる。
シ樹脂の中でアクリロニトリル−ブタジエン共重合ラテ
ックスが用いられる。
ることにより、その側鎖に水酸基もしくはエポキシ基を
付加される。水酸基もしくはエポキシ基(以下、これら
を単に「エポキシ基」とする)は、極性基でありまた化
学反応性が高いため、その周辺物質と作用し、被膜中の
高分子化合物同士の接着力を高め、さらに被膜と繊維も
しくはマトリックスとの接着力をも向上させる。
ゴム製品および樹脂製品(以下、これらを単に「製品」
とする)は一体性が高く、耐久性、強度も高い。
で、あるいは二種以上を混合して使用される。繊維およ
びマトリックスとの相性によるが、二種以上の混合の方
が好ましい場合が多い。これは、被膜には繊維とマトリ
ックスとの中庸の性質が求められるためであると考えら
れる。
ることにより、それぞれのゴムの特性を被膜に反映させ
ることができる。例えば、繊維が金属繊維の場合、金属
繊維とマトリックスとの性質が著しく異なるため、被膜
には金属繊維とマトリックスとに良く馴染む成分を含有
させておくことが好ましい。
物をエポキシ化したものであるが、その中でもブタジエ
ン−スチレン共重合ラテックス、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合ラテックスをエポキシ化したものが好ま
しい。ブタジエン−スチレン共重合ラテックスおよびア
クリロニトリル−ブタジエン共重合ラテックスは、非結
晶性のため柔軟性が高い点が特徴的である。このゴム変
性エポキシ樹脂は、耐屈曲性を要求される製品の補強用
繊維に用いられる場合に、その柔軟性という機能を十分
に発揮することになる。例えば、製品がエンジンのタイ
ミングベルトまたはベルトコンベアーのベルトの場合で
ある。
クスの変性エポキシ樹脂としては、例えばユカレジンK
E172(商品名:吉村油化学(株)社製)が挙げられ
る。また、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ラテッ
クスの変性エポキシ樹脂としては、例えばユカレジンK
E173(商品名:吉村油化学(株)社製)が挙げられ
る。これらのエポキシ樹脂は、予めエマルジョン化され
ており、繊維処理剤中で均一拡散が起こり易く都合がよ
い。
脂と共にその他の成分を含有しても良い。その他の成分
とは、例えばエポキシ化されていないゴムもしくは樹
脂、乳化剤、界面活性剤、ブロック化剤、安定剤または
老化防止剤である。
タジエン−スチレン共重合ラテックス、アクリロニトリ
ル-ブタジエン共重合ラテックス、クロロスルホン化ポ
リエチレンラテックス、カルボニル変性ブタジエン−ス
チレン共重合ラテックスなどが挙げられる。また、エポ
キシ化されていない樹脂としては、フェノール樹脂、ア
クリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂など
が挙げられる。これらの成分を含有することにより、被
膜はゴム変性エポキシ樹脂と異なる性質を備えることが
できる。
ノール樹脂を含有することが好ましい。フェノール樹脂
は、フェノールとホルムアルデヒドの付加縮重合反応に
より得られた樹脂であって、反応条件によりレゾール型
とノボラック型ができる。これらの内、いずれか一方だ
けでも、また両方を混合して使用しても良い。フェノー
ル樹脂は、重合反応により三次元構造を取り易いため、
被膜の強度を高める役割を果たす。また、フェノール樹
脂は、その重合過程でゴム変性エポキシ樹脂とも反応す
ると考えられることから、被膜の一体性を向上させるこ
ともできる。
ユカレジンKE910、ユカレジンKE911、ユカレ
ジンKE912(商品名:吉村油化学(株)社製)が挙
げられる。これらのフェノール樹脂は、予めエマルジョ
ン化されているものである。
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ポリメチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。
乳化剤は、繊維処理剤の各成分のエマルジョン化を助長
する働きをし、各成分の均一拡散に有効に作用する。ま
た、処理された繊維の平滑性を向上させる。
塗布の容易さなどから一般的に溶液の様態で用いられ
る。一方、保管、運搬時においては、溶媒を無くした固
形分のみの状態が便利である。
ものではないが、通常は水あるいは有機溶媒に各成分を
投入し、攪拌機で均一に分散させる方法である。有機溶
媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール等ア
ルコール系の溶媒が、水との親和性、被膜形成時の溶媒
除去の容易性などの点から好ましい。
各々の成分を予めエマルジョン化させてから混ぜ合わせ
ることが好ましい。個別にエマルジョン化しておくこと
により、繊維処理剤中での重合反応の進行を抑えること
ができる。重合反応が進行すると、繊維処理剤の粘度が
上昇し、被膜が均一に形成され難くなる。したがって、
補強用繊維の性能にムラが生じることになる。
限定されるものではないが、例えばガラス繊維、ポリエ
ステル繊維、ナイロン、アラミドなどのポリアミド繊維
およびカーボン繊維が挙げられる。これらの中でもガラ
ス繊維およびアラミド繊維を用いた場合に、ゴムマトリ
ックスとの接着力が著しく向上する。その理由は定かで
はないが、おそらくゴム変性エポキシ樹脂のゴムとして
の高弾性性能とエポキシ化による接着力の向上が有効に
機能しているものと考えられる。
るものではなく、例えばEガラス、高強度ガラスなどが
挙げられる。また、ガラス繊維のフィラメント直径も特
に限定されるものではなく、5〜13μm径のものが好
適に使用できる。一方、アラミド繊維は、400〜5,
000デニールのものが入手し易く好ましい。
数百本を集束剤を用いて束ねたものである。集束剤には
シランカップリング剤などを含有させ、ガラスフィラメ
ントと有機物との親和性が高くなるようにその表面を改
質させることが好ましい。また、ポリアミド繊維の場合
は、その表面をエポキシ処理またはポリイソシアネート
処理することで、被膜との接着力を高めることができ
る。
のではなく、例えばステープル、フィラメント、コード
状、ロープ状、または帆布である。補強用繊維の形態
は、製品の形状や用途によって決定されるものである。
この発明の補強用繊維は、いかなる形態であってもマト
リックスと十分な接着力を発揮できる。
びフェノール樹脂の含有量は、繊維処理剤中の全固形分
に対して固形分で各々10〜90重量%であることが好
ましい。ゴム変性エポキシ樹脂の含有量が10重量%よ
り低い場合は、エポキシ基による接着力の向上効果が現
れ難い。対して、90重量%より高い場合は、その他の
成分の特性が発揮され難くなる。ゴム変性エポキシ樹脂
のより好ましい含有量は、40〜70重量%である。一
方、フェノール樹脂の含有量が10重量%より低い場合
は、その特性である被膜の強度の向上効果が現れ難くな
る。対して、90重量%より大きい場合は、その他の成
分の特性が発揮され難くなる。フェノール樹脂のより好
ましい含有量は、30〜60重量%である。
二種成分系繊維処理剤の場合、各成分の含有率は均等で
あることが好ましい。実質的には、各成分の含有率がそ
れぞれ40〜60重量%であると好適である。この理由
は定かではないが、被膜における接着力および強度の向
上という二つの効果のバランスに由来するためであると
考えられる。
分の合計量で10〜50重量%、さらには12〜30重
量%が適当である。固形分濃度が10重量%より低い場
合は、その粘度が低いため、短時間で繊維表面に付着さ
せることが難しくなる。対して、50重量%より高い場
合は、粘度が高いため繊維への付着量を調整し難く、ま
た被膜を均一に形成させ難くなる。
特に限定されるものではなく、従来技術をそのまま流用
できる。具体的には、繊維処理剤で充たされた槽の一方
から他方の側へ連続的に繊維を通過させ、通過の際に繊
維をこの槽に浸漬させるいわゆるディッピング法であ
る。また、繊維を引き上げる際に、繊維処理剤の過剰分
を除去し、必要により200〜300℃で0.5〜3分
間熱処理する。繊維表面に付着した繊維処理剤は、溶媒
の飛散および各成分の重合反応により、繊維表面に被膜
を形成する。
は、補強用繊維の重量に対し、固形分で10〜30重量
%であることが好ましい。繊維処理剤の付着量が10重
量%より少ない場合は、被膜が均一に形成され難く、ま
た被膜が薄いためゴム変性エポキシ樹脂の柔軟性という
特性が有効に機能し難くなる。対して、30重量%より
多い場合は、被膜の形成に時間が掛かり、また被膜が硬
化するまでに繊維処理剤が垂れるなど被膜の均一形成が
難くなる。
ゴムおよび樹脂を利用できるが、ゴムを利用する場合
に、この発明の効果が最も効果的に発揮される。すなわ
ち、ゴム製品の用途はゴムの特性である高弾性性能を利
用する場合が多いため、補強用繊維にも必然的に耐屈曲
性が要求されることになる。したがって、この発明のゴ
ム変性エポキシ樹脂の柔軟性という特徴が有効に機能す
ることになる。
種類は、特に限定されるものではないが、例えばクロロ
プレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アク
リロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、部分水素化アク
リロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ニトリル基含有
高飽和共重合ゴムである。これらゴムマトリックスに加
硫剤、加硫促進剤、顔料、油脂、安定剤などをその目的
に応じて定法にしたがい添加できる。
は、10〜70重量%、さらには15〜40重量%であ
ることが好ましい。この重量率が10重量%より低い場
合は、ゴム製品の強度向上効果が現れ難い。一方、70
重量%より高い場合は、補強用繊維の特性がゴムマトリ
ックスに勝ってしまうため、ゴム製品の弾性が抑制され
るおそれがある。ゴムマトリックスに補強用繊維を埋設
する方法は、特に限定されるものではないが、例えば以
下の方法がある。補強用繊維を数本引き揃えて撚りを掛
け、未加硫のゴムマトリックスに公知の方法で埋め込
み、加圧下120〜200℃で1〜120分間加熱加硫
する方法である。
であってもアラミド繊維とゴムマトリックスとに十分な
接着力を示すことが挙げられる。従来技術においても、
繊維上に単層の被膜のみ形成させマトリックスに埋設す
る方法が知られていたが、従来の方法ではその接着力が
十分でなかった。例えば、従来の方法で製造したゴム製
品を引っ張り試験機に掛けた場合、ゴム製品は被膜部分
から繊維もしくはマトリックスと剥離することが多かっ
た。すなわち、被膜の接着力が繊維の強度にまで達して
いなかった。この傾向はアラミド繊維を用いる場合に特
に顕著であり、アラミド繊維本来の強度を活かせていな
かった。そこで、従来の方法では、アラミド繊維上に二
層もしくは三層の被膜を形成させることで、その接着力
の向上を図っていた。しかし、多層被膜を形成させる場
合は、製造工程が複雑になり、製造コストの面で不利益
が生じる。この発明の補強用繊維は、被膜が単層であっ
てもアラミド繊維とゴムマトリックスとに十分な接着力
を示しうるものである。しかし、二層以上の形成を除外
するものではない。
〔実施例〕で示す初期接着力(表4,表5における「接
着性1」)のことである。単層の被膜が形成されたアラ
ミド繊維をゴムマトリックスに埋設した場合で、接着強
度が200kgf/25mm巾以上であることは、この発明特有
の効果である。
を具体的に説明する。
比較例1〜3について、定法にしたがい表1および表2
の配合で各々個別に繊維処理剤を製造した。なお、各繊
維処理剤の固形分濃度は20〜25重量%になるように
調整した。
社製:テクノーラT202 1500d)を2本合糸し
て、1インチあたり3.1回の下撚りを施し、上記表1
に示す実施例1〜5および比較例1,2の繊維処理剤を
固形分付着量が10〜15重量%となるように各々塗布
し、250℃で90秒熱処理を行い補強用繊維を製造し
た。さらに、実施例1,2,5および比較例1の補強用
繊維に、上記表2の第2層の繊維処理剤を塗布し、12
0℃で120秒熱処理を行い2層構造の補強用繊維を製
造した。この第2層の固形分付着量は、補強用繊維にお
いて5〜10重量%であった。
い、下記「表3」の配合でゴムマトリックスを製造し
た。配合した段階では、粘度10cps程度の流動体であ
る。
ックスを厚さ3mm、巾25mmのシート状に成形した。こ
のゴムシート上に実施例1〜10および比較例1〜3の
補強用繊維を各々所定本数均等に並べ、その後ゴムシー
トを金型に入れて一定時間加圧加熱することにより、補
強用繊維をゴムマトリックス中に埋設した。
1〜3の補強用繊維を上記ゴムマトリックスのシート上
に22本均一に並べ、プレス圧80kgf/cm2、金型温度
150℃、加硫時間20分で加硫し、長さ15cm、巾2
5mmの試験用ゴム製品を各実施例、比較例毎に製造し
た。このゴム製品をオートグラフ引っ張り試験機(島津
製作所製 AGS−500A型)で長さ方向にテストス
ピード50mm/minで引っ張り、ゴム製品断裂時の強度す
なわち初期接着力を測定した。その結果を、表4、表5
に接着性1として示す。なお、実施例1〜8のゴム製品
の断裂部分を観察したところ、いずれもアラミド繊維が
断裂しており、被膜からの剥離は生じていないことが確
認された。
した後、上記同様の引っ張り試験を行った。その結果
を、下記「表4」「表5」に「接着性2」として示す。
接着性2を測定することにより、ゴム製品の耐水性すな
わち実用における耐久性が判る。
が判る。実施例1〜8と比較例1〜3とを比較すること
により、繊維処理剤にゴム変性エポキシ樹脂が含まれる
場合、ゴム製品の接着性1,2が大きく向上することが
判る。すなわち、ゴム変性エポキシ樹脂はゴム製品の強
度および耐久性を向上させることが判る。
ことにより、被膜がゴム変性エポキシ樹脂を含有する場
合、初期接着力が30%以上向上することが判る。さら
に、比較例3は2層構造であるにも関わらず初期接着力
が150kgf/25mm巾程度であることから、ゴム変性エポ
キシ樹脂を含有する場合の効果の大きさが判る。
るゴム製品断裂面に被膜部分からの剥離が見られなかっ
たことより、ゴム変性エポキシ樹脂を含む繊維処理剤
は、アラミド繊維およびゴムマトリックスと十分な接着
力を示し、アラミド繊維本来の強度を十分に発揮させ得
ることが判る。
変性エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合率が均等に近
づくほど、初期接着力が高くなることが判る。
るため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発
明の繊維処理剤によれば、ゴム変性エポキシ樹脂を含有
するので、被膜中の高分子化合物同士の接着力を高め、
さらに被膜と繊維およびマトリックスとの接着力をも向
上させ、そして被膜の強度と一体性を向上させることが
できる。
ば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合ラテックスおよびフェノール
樹脂がいずれもエマルジョンであるので、繊維処理剤中
での重合反応の進行を抑えることができる。
ば、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、繊
維処理剤中の全固形分の濃度が10〜50重量%である
ので、繊維上に被膜を均一に形成させることができる。
ば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維処理剤で
処理されたものであるので、ゴム製品の強度を効果的に
向上させる補強用繊維を容易に得ることができる。
ば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、繊維がガラ
ス繊維またはアラミド繊維であるので、繊維と被膜との
接着力をより効果的に向上させることができる。
ば、請求項4または5に記載の発明の効果に加えて、繊
維処理剤の固形分の付着量が10〜30重量%であるの
で、被膜による接着力向上効果を無駄なく効果的に発揮
させることができる。
ば、前記請求項4〜6のいずれか1項に記載の補強用繊
維を埋設したものであるので、その一体性および強度が
高いゴム製品を容易に得ることができる。
ば、請求項7に記載の発明の効果に加えて、補強用繊維
の重量率が10〜70重量%であるので、ゴムマトリッ
クスの弾性と補強用繊維の強度とをバランス良く発揮さ
せることができる。
ば、前記繊維処理剤による単層の被膜を備えるアラミド
繊維がゴムマトリックスに埋設され、その接着強度が2
00kgf/25mm巾以上のものであるので、接着強度の極め
て高いゴム製品を容易に得ることができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 アクリロニトリル−ブタジエン共重合ラ
テックスをエポキシ化したものとフェノール樹脂を固形
分で表して全固形分に対して各々10〜90重量%含有
する繊維処理剤。 - 【請求項2】 前記アクリロニトリル−ブタジエン共重
合ラテックスをエポキシ化したものおよびフェノール樹
脂は、いずれもエマルジョンである請求項1に記載の繊
維処理剤。 - 【請求項3】 その濃度が10〜50重量%である請求
項1または2に記載の繊維処理剤。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊
維処理剤で処理された補強用繊維。 - 【請求項5】 ガラス繊維またはアラミド繊維が前記繊
維処理剤で処理されたものである請求項4に記載の補強
用繊維。 - 【請求項6】 繊維処理剤の固形分の付着量が10〜3
0重量%である請求項4または5に記載の補強用繊維。 - 【請求項7】 前記請求項4〜6のいずれか1項に記載
の補強用繊維が埋設されたゴム製品。 - 【請求項8】 前記補強用繊維の重量率が10〜70重
量%である請求項7に記載のゴム製品。 - 【請求項9】 アラミド繊維上に前記繊維処理剤による
単層の被膜を備える請求項4〜6のいずれか1項に記載
の補強用繊維が、ゴムマトリックスに埋設されたもので
あって、その接着強度が200kgf/25mm巾以上
であるゴム製品。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
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