JP3598220B2 - 絵付インサートフィルムおよび絵付インサート成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の内装などに好適なアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂成形品の立体表面に絵付けするための絵付インサートフィルムおよび絵付インサート成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の内装部品などとして、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂に対して絵付インサートフィルムが一体成形されたものがあった。このように、絵付インサートフィルムを射出成形と同時に成形品の上に一体化するインサート成形法は、印刷によって直接図柄を形成することが困難な形状の成形品であっても図柄を形成することができるという特長を有する。また、成形樹脂としてアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を用いることは、ポリスチレン樹脂やポリプロピレン樹脂よりも接着性に優れ、成形が容易であり、ポリカーボネート樹脂よりも低価格であるという特長を有する。
【0003】
アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂用の絵付インサートフィルムとしては、100μm程度もしくはそれ以上の厚みの2軸延伸のされていない塩化ビニルフィルムの表面に図柄層を印刷して形成し、さらにその上に200μm程度のオーバーレイ耐候性フィルムとしてアクリルフィルムを積層し、塩化ビニルフィルムの裏面に接着フィルムとしてアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムを熱ラミネート法により貼り合わせた合計500μm程度の3層構成のものが一般的である(図2参照)。
【0004】
このような構成になる理由としては、塩化ビニルフィルムに図柄を印刷する技術が確立していて印刷に適するフィルムの厚みが100μm程度であること、耐候性、透明性などの諸特性に優れるオーバーレイフィルムとしてアクリルフィルムがあり、アクリルフィルムとして巻きロールで製品化できる厚みの限界が250μm程度であること(すなわち、アクリルフィルムの厚みは50〜250μmが適正)、真空成形したフィルムを金型に挿入する方法において、500μm程度の厚みがないと挿入した後に固定しにくく、また、しわが生じやすいこと、上記の塩化ビニルフィルムとアクリルフィルムの厚みの合計はもっとも大きくしても300〜350μm程度までであるため、接着目的とフィルムの総厚みをかせぐ目的でアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムを積層することなどである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の絵付インサートフィルムにおいて、塩化ビニルフィルムは、印刷加工および立体加工における支持体として重要であるが、塩化ビニルフィルムには大量の可塑剤が含まれており、これを含んだインサート成形品を成形樹脂として再利用できないこと、塩化ビニルフィルムが3層構成の中間層に位置するため、絵付インサートフィルムから塩化ビニルフィルムだけを分別して取り出すことが困難であることなどの理由でリサイクルするのが難しい。アクリルフィルムとアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムとは性質が似ており、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムは広い意味でアクリル樹脂の一種であり相溶性が高いため、これらのフィルムが成形樹脂であるアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂に混ざっていても、再度成形樹脂としてそのまま利用できる。しかし、100μmもの厚みの塩化ビニルフィルムが混じっていれば、そのまま再度成形樹脂として利用するのは困難である。また、塩化ビニルフィルムは、廃棄焼却時に塩素系ガスなどが多量に発生するため、環境衛生を害するという問題が生じる。
【0006】
したがって、この発明は、上記のような欠点を解消し、リサイクルが容易で環境衛生を害さない絵付インサートフィルムおよび絵付インサート成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の絵付インサートフィルムは、以上の目的を達成するために、つぎのように構成した。
【0008】
つまり、この発明の絵付インサートフィルムは、アクリルフィルム上に図柄層が設けられ、その上にビニル系樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とする接着インキ層が設けられ、その上にアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムが積層された絵付インサートフィルムであって、アクリルフィルムの厚みが50〜250μmであり、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの共重合比率においてブタジエンの含有比率が20〜50重量%であるように構成した。
【0009】
上記の発明において、ビニル系樹脂を主成分とする接着インキ層が、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる接着インキ層であるように構成してもよい。
【0010】
また、上記の発明において、絵付インサートフィルムの厚みが350〜1700μmであるように構成してもよい。
【0011】
また、この発明の絵付インサートフィルムの製造方法は、請求項1〜3記載の絵付インサートフィルムを射出成形用金型内に挿入し、次いで金型内で立体加工した後、型締めして絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面にアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を射出し、絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面とアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂とを接着して一体化するように構成した。
【0012】
また、この発明の絵付インサートフィルムの製造方法は、立体加工された請求項1〜3に記載の絵付インサートフィルムを射出成形用金型内に挿入し、型締めして絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面にアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を射出し、絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面とアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂とを接着して一体化するように構成した。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0014】
図1は、この発明の絵付インサートフィルムの一実施例を示す断面図である。図中、1は絵付インサートフィルム、2はアクリルフィルム、3は図柄層、4は接着インキ層、5はアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムである。
【0015】
この発明の絵付インサートフィルム1は、アクリルフィルム2上に図柄層3が設けられ、その上にビニル系樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とする接着インキ層4が設けられ、その上にアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5が積層された絵付インサートフィルムであって、アクリルフィルム2の厚みが50〜250μmであり、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5の共重合比率においてブタジエンの含有比率が20〜50重量%であるものである(図1参照)。
【0016】
アクリルフィルム2は透明性に優れ、熱や光に強い。また、可塑剤を使用せずとも耐汚染性に優れ、しかも成形加工性に優れ深絞り加工できるという特性を有する。アクリルフィルム2としては、従来よりも薄番手のものを用いるとよい。具体的には、アクリルフィルム2の厚みは、50〜250μmの範囲、好ましくは80〜150μmとするとよい。アクリルフィルム2の厚みが50μm未満だと図柄層3の印刷が難しくなる。250μmを越えると、巻きロールとして製品化するのが困難となる。アクリルフィルム2としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、エチレン酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂などからなるフィルムを用いるとよい。
【0017】
図柄層3は、アクリルフィルム2上に設ける。図柄層3は、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。印刷層は、表現したい図柄に応じて、全面的に設ける場合や部分的に設ける場合もある。印刷層の厚みは、0.5〜50μmの範囲で形成するとよい。0.5μmより薄いと、隠蔽性の高い顔料であっても、絵付インサートフィルムが伸ばされると透けてしまい、成形樹脂の色の影響を受けてしまう。50μmより厚いと、残留溶剤が揮発しにくくなり、アクリルフィルム2を侵して引張強度や折曲強度などの機械的強度を低下させてしまう。
【0018】
また、図柄層3は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、図柄層3として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。部分的な金属薄膜層を形成する場合の一例としては、金属薄膜層を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する方法がある。この場合によく用いる溶剤は、水または水溶液である。また、別の一例としては、全面的に金属薄膜を形成し、次に金属薄膜を残しておきたい部分にレジスト層を形成し、酸またはアルカリでエッチングを行い、レジスト層を除去する方法がある。なお、金属薄膜層を設ける際に、他の層と金属薄膜層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよい。前アンカー層および後アンカー層の材質としては、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂樹脂などを使用するとよい。前アンカー層および後アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0019】
また、図柄層3とアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5との間に、ビニル系樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とする接着インキ層4が形成される。接着インキ層4は、図柄層3が形成されたアクリルフィルム2と、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5とを強固に接着するための層である。接着インキ層4としては、ビニル系樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とするように構成する。ビニル系樹脂またはアクリル系樹脂を接着インキ層4として用いることにより、熱ラミネート、熱圧着などの手段により容易にアクリルフィルム2に印刷された図柄層3とアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5とを貼り合わせることができる。また、ビニル系樹脂またはアクリル系樹脂は立体加工時の加熱で軟化し柔軟性を発揮する熱可塑性樹脂であるので、深絞り加工特性にも優れている。接着インキ層4の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。接着インキ層4の乾燥膜厚は、0.5〜10μmとするとよい。
【0020】
アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5は、成形品であるアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂に絵付インサートフィルム1を接着するためのものである。アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5としては、ブタジエンの含有比率が既存品より高いものを使用し、真空成形加工性を向上させるとよい。また、ブタジエンは、ゴムの性質をもっていて伸びやすいため、ブタジエンの含有率を高くすると真空成形加工性は向上するが、耐熱性などの諸物性は低下する。したがって、物性を維持し、真空成形加工性を維持するために、ブタジエンの含有比率を20〜50重量%に設定する。好ましくは30〜45重量%である。従来のアクリルフィルムと塩化ビニルフィルムとアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムとを積層した絵付インサートフィルムにおいて、既存の重合比率のアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムは真空成形加工性が劣るため、絵付インサートフィルム全体に対するアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの厚みの比率を高めることができないため、塩化ビニルフィルムの厚みを薄くすることは困難である。これに対し、この発明では、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5のブタジエンの含有率を上記の範囲とすることにより、より厚みの大きいクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5を用いることができる。アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5の厚みは、100〜1500μmの範囲であるのが好ましい。
【0021】
また、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5は、透明であっても不透明であってもよい。不透明にするには、たとえば、弁柄、酸化チタン、カーボンブラックなどの着色顔料や、アルミニウムフレークなどの金属粉、炭酸カルシウム、シリカゲルなどの充填材を添加するとよい。
【0022】
アクリルフィルム2とアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム5とを積層するには、熱ラミネート法を用いるのが好ましい。熱ラミネート法の条件としては、熱ローラー温度130〜200℃、好ましくは140〜170℃で、2〜5秒間程度圧力をかけるのがよい。
【0023】
絵付インサートフィルム1の総厚は、350〜1700μmであるのが好ましい。絵付インサートフィルム1の総厚が350μm未満になると、絵付インサートフィルム1を別型で立体加工した後、金型から取り出す際に変形しやすく、またインサート成形するときに腰がないため射出成形用金型に挿入しにくい。また、総厚が1700μmを越えると、絵付インサートフィルム1の成形性が劣るため真空成形するのに時間がかかり、また、立体加工後に所望の形状に打ち抜くのが困難となる。
【0024】
なお、上記の絵付インサートフィルム1の層構成は、絵付インサートフィルム1の一例であり、このほかの層構成であってもよい。たとえば、接着インキ層4は、着色剤を混ぜて図柄層3と兼用してもよい。
【0025】
以上のような構成の絵付インサートフィルム1を用い、絵付インサート成形品を得るには、次のような方法で行うとよい。
【0026】
絵付インサートフィルム1を、インサートフィルム送り装置などを使用して、成形樹脂射出口を有するコア型と、深絞りのための凹部を有するキャビティ型との間に配置し、クランプなどの手段でキャビティ型の周囲に固定する。次に、熱源により絵付インサートフィルム1を加熱軟化させるとともにキャビティ型側から真空吸引してキャビティ型の表面に密着させる。キャビティ型とコア型を型締めし、絵付インサートフィルム1とコア型との間に密閉空間を形成する。この空間に溶融した成形樹脂を射出する。成形樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を用いる。なお、本願でいうアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂には、α−メチルスチレンを含有する耐熱ABS樹脂を含むものとする。キャビティ型とコア型を型開きし、絵付インサートフィルムの不要な部分を除去して、絵付インサートフィルム1と成形樹脂とが一体化された絵付インサート成形品を得ることができる。
【0027】
また、次のようにして絵付インサート成形品を得ることができる。まず、絵付インサートフィルム1を、深絞りのための凹部を有する予備成形型にクランプなどの手段で固定し、次に、熱源により絵付インサートフィルム1を加熱軟化させるとともに予備成形型側から真空吸引して予備成形型の表面に密着させる。次いで真空吸引を解除し、予備成形型から絵付インサートフィルム1を取り出す。次いで、絵付インサートフィルム1の不要な部分を除去して所望の形状の立体加工された絵付インサートフィルム1を得ることができる。次いで、立体加工した絵付インサートフィルム1を、深絞りのための凹部を有するキャビティ型に挿入し、キャビティ型に固定する。次に、キャビティ型とコア型を型締めし、絵付インサートフィルム1とコア型との間に密閉空間を形成する。この空間に溶融した成形樹脂を射出し、キャビティ型とコア型を型開きすれば、絵付インサートフィルム1と成形樹脂とが一体化された絵付インサート成形品を得ることができる。
【0028】
【実施例】
(実施例1)厚さ125μmのアクリルフィルム上に、アルミ顔料入りアクリル樹脂系インキを用い、図柄層をグラビア印刷法で形成し、次いで金属薄膜層として厚さ600Åのアルミニウム蒸着層を形成し、次いで後アンカー層を兼ねる接着インキ層としてアルミ顔料と透明黄色顔料とを含む塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂系インキをグラビア印刷法で形成し、最後に厚さ300μmのブタジエン含有42重量%のアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムを積層して、温度85℃、押圧力8kg/cm2、速度5m/分の条件で熱ラミネートして絵付インサートフィルムを得た。
【0029】
絵付インサートフィルムは、アクリルフィルム側から凸引きにより真空成形して立体加工した後、プレス金型により所望の形状に打ち抜いた。
【0030】
次に、立体加工して打ち抜いた絵付インサートフィルムを金型内に挿入し、成形樹脂温度220〜250℃、金型温度40〜60℃の条件において、無色透明のアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体樹脂を成形樹脂としてインサート成形を行って自動車ホイールキャップである絵付インサート成形品を得た。
【0031】
このようにして得た絵付インサート成形品は、リサイクル性が優れたものであり、使用後、そのまま粉砕して、再度成形樹脂として利用できるものであった。なお、接着インキ層として含まれる塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルフィルムと比較すると1ppm以下の量であり、可塑剤の含有量も少なく、リサイクル性には影響がないものであった。
【0032】
(実施例2)厚さ80μmのアクリルフィルムに、黄橙色の木目導管柄および透明下地色アクリル樹脂系インキを用いて木目導管柄の図柄層を形成し、次いで黄色パール顔料を含むアクリル樹脂系インキを用いて光輝性顔料層の図柄層を形成し、次いで茶色の弁柄顔料を含むアクリル樹脂系インキを用いて木目下地柄の図柄層を兼ねる接着インキ層を形成し、厚み80μmで茶色の弁柄顔料を含むブタジエン含有38重量%、厚さ300μmのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムを積層し、絵付インサートフィルムを得た。
【0033】
次に、絵付インサートフィルムを実施例1と同様に真空成形により立体加工し打ち抜いた後、金型内に挿入し、型締め後、成形樹脂としてアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を用いて射出成形し、木目柄コンソールボックスである絵付インサート成形品を得た。
【0034】
このようにして得た絵付インサート成形品は、リサイクル性が優れたものであり、使用後、そのまま粉砕して、再度成形樹脂として利用できる。また、接着インキ層として含まれる塩化ビニル樹脂は皆無であり、リサイクル性には影響がないものであった。
【0035】
【発明の効果】
この発明は、前記した構成からなるので、次のような効果を有する。
【0036】
この発明の絵付インサートフィルムは、アクリルフィルム上に図柄層が設けられ、その上にビニル系樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とする接着インキ層が設けられ、その上にアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムが積層された絵付インサートフィルムであって、アクリルフィルムの厚みが50〜250μmであり、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの共重合比率においてブタジエンの含有比率が20〜50重量%であるものであるから、ポリ塩化ビニルフィルムを使用せず、インキ層のみでアクリルフィルムとアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムを積層することになる。したがって、塩化ビニル樹脂の含有率がきわめて少ないか、または全く含有しないため、可塑剤の量がきわめて少なく、リサイクルに適したものである。また、塩素ガスの発生もほとんどないか全く発生しないため、環境衛生を害しないものである。
【0037】
また、従来の3層構成を2層構成としたため、塩化ビニルフィルムを削減できる。さらに、構成が簡単になったため、積層する際のロスが少なくなり、絵付インサートフィルムを得る際に、製造上の歩留まり率が向上する。
【0038】
また、この発明の絵付インサート成形品の製造方法は、上記の絵付インサートフィルムを、射出成形用金型内に挿入し、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を射出して一体化するものであるから、塩化ビニル樹脂の含有率がきわめて少ないか、または全く含有しないため、可塑剤の量がきわめて少なくリサイクルに適し、また塩素ガスの発生もほとんどないか全く発生しないため環境衛生を害しない絵付インサート成形品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の絵付インサートフィルムの一実施例を示す断面図である。
【図2】従来の絵付インサートフィルムの一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 絵付インサートフィルム
2 アクリルフィルム
3 図柄層
4 接着インキ層
5 アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム
Claims (5)
- アクリルフィルム上に図柄層が設けられ、その上にビニル系樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とする接着インキ層が設けられ、その上にアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムが積層された絵付インサートフィルムであって、アクリルフィルムの厚みが50〜250μmであり、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの共重合比率においてブタジエンの含有比率が20〜50重量%であることを特徴とする絵付インサートフィルム。
- ビニル系樹脂を主成分とする接着インキ層が、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる接着インキ層である請求項1に記載の絵付インサートフィルム。
- 絵付インサートフィルムの厚みが350〜1700μmである請求項1〜2のいずれかに記載の絵付インサートフィルム。
- 請求項1〜3記載の絵付インサートフィルムを射出成形用金型内に挿入し、次いで金型内で立体加工した後、型締めして絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面にアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を射出し、絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面とアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂とを接着して一体化することを特徴とする絵付インサート成形品の製造方法。
- 立体加工された請求項1〜3に記載の絵付インサートフィルムを射出成形用金型内に挿入し、型締めして絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面にアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂を射出し、絵付インサートフィルムのアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側の面とアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂とを接着して一体化することを特徴とする絵付インサート成形品の製造方法。
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