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JP3597195B2 - 低融点のテトラフルオロエチレンコポリマーおよびそれの使用 - Google Patents

低融点のテトラフルオロエチレンコポリマーおよびそれの使用 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、ヘキサフルオロプロピレンおよび他の少なくとも1種のフルオロモノマーを用いた非常に低い結晶溶融温度を有する部分結晶性テトラフルオロエチレンコポリマー類の分野であり、このように結晶溶融温度が低いことから、これらは、溶液形態で用いるに有効であると共に、アンチブロック剤(antiblock agents)が組み込まれているポリオレフィン類を含むポリオレフィン類を押出し加工するための助剤として用いるに有効である。
発明の背景
TFEのホモポリマー類は結晶性もしくは部分結晶性フルオロプラスチックである。このポリマーに側基を導入する他のモノマー類と一緒に共重合するとこのポリマー類の特性が影響を受ける。一般的には、コモノマーの組み込みレベルが低い場合、コモノマーの含有量を高くするに伴って溶融温度Tmと結晶度の両方が低くなる。結晶度は、例えば、示差走査熱量計(DSC)で測定した時の単位質量当たりの融解熱で示される。コモノマーの組み込みレベルが高い場合、検出可能な結晶度が全て消滅し得る。このモノマー類およびこれらの濃度を適切に選択しそして分子量を適切に調整すると、有用なフルオロエラストマー類またはフルオロプラスチックを得ることができる。例えば、TFEとパーフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)のモル組成がおおよそTFE/PMVE=70/30であるTFEコポリマーがよく知られているフルオロエラストマーである。他方、TFEとHFPまたはパーフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)のモル組成がおおよそTFE/HFP=92/8およびTFE/PPVE=98.5/1.5であるコポリマー類がよく知られているフルオロプラスチックである。上記個々のパーフルオロプラスチックが示す公称Tmは、DSCによる溶融吸熱ピークで判断して、それぞれ約260℃および305℃である。図1を参照のこと。ASTM標準で識別される上記組成系におけるフルオロプラスチックの場合の最小Tm(ピーク)は、TFE/HFPポリマー類(ASTM D−2116)の場合250℃でTFE/PPVEポリマー類(ASTM D−3307)の場合300℃である。このようなフルオロプラスチックは、部分的にはこれらが比較的高いTmを示すことと、コモノマーの組み込みレベルが比較的低いことに関連した結晶度レベルに付随する物性が理由で、商業的有用性を有していた。
部分結晶性ポリマー類は、全ての条件下で結晶性を示さないポリマー類とは対照的に、ある条件下で結晶性を示すポリマー類である。部分結晶性ポリマーは、典型的に、重合した時点で結晶性を示すか、或はこれを製造した後、溶融されたポリマーを分子配列が生じるに充分なほどゆっくりと冷却する時に結晶性を示す。よく知られているように、部分結晶性ポリマーの試験片において、その溶融物を急冷することで結晶配列度合を低くするか或はゼロにすることができる。それにも拘らず、その急冷する結果として生じるポリマーも部分結晶性であると見なされる、と言うのは、これを溶融させて急冷する前にこれはその状態になることに着手しておりそしてこのポリマーを再び加熱してこれをよりゆっくりと冷却するとその状態が回復し得るからである。重合した時点で低い結晶性を示すポリマー類の場合にそのような効果がより起こり易い。結晶度は示差走査熱量計(DSC)を含むいくつかの手段で検出可能である。
結晶度が完全になくなるレベルに到達しなくてもそれに近いレベルのコモノマー濃度を有する、そのようなフルオロプラスチックは、興味が持たれておらず、商業的にも存在していなかった。従来技術には、TFEとパーフルオロオレフィン類のコポリマー類で200℃より低いTmを示すものもそれに近いTmを示すものさえも例示されていなかった。
テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の特定コポリマー類は公知である。BroおよびSandtは米国特許第2,946,763号の中で、固有赤外比(本明細書ではHFPインデックスまたはHFPIと呼ぶ)が1.5から6の範囲であることで示されるHFP含有量を有するTFE/HFPコポリマー類を開示している。彼らはHFPIからHFP含有量(重量%)への換算で4.5の乗数を用いている。BroおよびSandtは、6以上のHFPIを達成するのは極めて困難であると教示している。これは、HFPの反応性がTFEの反応性に比較して低いことによるものである。4.70のHFPIが例示されている最大値である。文献の中には6.75から27重量%のHFP含有量を有するTFE/HFPコポリマーが頻繁に言及されているが、これは明らかにHFPIの範囲が1.5から6で乗数が4.5であることをBroおよびSandtが開示していることに従う。米国特許第4,075,362号、3,769,252号およびSatokawa他の米国特許第3,904,575号には、そのようなコポリマー類の製造方法の教示で米国特許第2,946,763号のTFE/HFPコポリマー類が言及されている。従来技術の中に実際に例示されている全てのコポリマー類の中で最大のHFP含有量は、米国特許第4,075,362号における25重量%であり、これは、BroおよびSandtの換算係数に従いHFPIが5.56であることに相当する。
KhanおよびMorganは米国特許第4,380,618号の中で、HFPIからHFP含有量(モル%)への換算で2.1の乗数を用いており、その結果、6から9モル%の好適組成範囲はHFPIが2.86から4.29であることに相当する。米国特許第4,381,384号において、TFE/HFPコポリマー類に関する実施例でHFP含有量が5.4モル%であることはHFPIが2.57であることに相当する。
加工助剤として用いるにフルオロポリマー類が有効であることは公知であり、この加工助剤を低濃度で他のポリマー類の中で用いると、そのホスト(host)ポリマー類の押出し速度を制限しているメルトフラクチャー(melt fracture)または高トルクなどの影響が軽減されることで加工性が改良される。ポリオレフィン類が特に興味の持たれる種類のホストポリマー類である。Blatz他は米国特許第3,125,547号の中で、ポリオレフィン類における押出し加工を助長する目的でフルオロポリマー類を用いることを教示している。Blatzが教示している一般的な要求は、そのポリオレフィンの加工温度Tpでフルオロポリマーの溶融または流動が起こる必要があると言った要求である。Blatzが例示しているフルオロエラストマー類は非結晶性であり、それのガラス転移温度TgはTpよりずっと低く、従ってTpで流動する。BlatzはまたTpより55℃低い温度で溶融するテトラフルオロエチレン(TFE)ホモポリマーを例示している。アンチブロック剤をホストポリマー内に存在させた時に上記フルオロポリマー類がどのような性能を示すかについては何ら教示されていない。従来技術の加工助剤を用いた時の一般的な問題は、シリカまたはタルクなどの如きアンチブロック剤をポリオレフィンに添加した時にその助剤の利点が実質的に低くなるとことである。
SmithおよびGardner[Macromolecules 18、1222(1985)]はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の溶解を再考および考察している。彼らは、PTFEが溶解するのは完全フッ素置換アルカン類にのみであると報告している。要約の考察の中で、SmithおよびGardnerは、PTFEおよびTFEコポリマーに類似する数多くのポリマー類、即ち水素結合を持たないポリマー類が溶解するのはそれらの融点以下の温度でのみであると指摘している。0.1x103から10x103Pa・sの範囲の溶融粘度を示す溶融加工可能TFE/HFPコポリマーの溶液に関する開示は全く知られていない。特に、室温で安定で流動する上記コポリマー/溶媒系に関する開示は全く知られていない。
発明の要約
1993年11月30日付けで与えられた米国特許第5,266,639号に開示されているように、TFE/HFPコポリマー類に特別に選択した範囲内のHFPIを持たせると、ポリオレフィン類の加工助剤としてかつ高フッ素置換溶媒中の溶液として驚くべきほどの有用性を示すことを見い出した。上記コポリマー類は非常に高いHFP含有量を有することから低い結晶溶融温度Tmを示す。このTFE/HFPコポリマー類が加工助剤として示す予想外な有益さは、Tmが低いことから、Tmをポリオレフィンに通常の加工温度Tpと整合させることができると言ったことに起因する。選択したコポリマー/溶媒系で上記コポリマー類の溶液は有意な濃度で室温を含む中程度の温度で流動するが、Tmが室温よりずっと高いことから、これは驚くべきことである。この溶液が中程度の温度で利用できるようになれば、以前には不可能であったか或は少なくとも不便であった方法でTFE/HFPコポリマー類を用いることができるようになる。
具体的には、部分結晶性TFE/HFPコポリマーに6.4から約9のHFPIを持たせる。利用性および/または合成が容易なことの理由で好適なものは、約7.3から9.0、最も好適には7.3から8.5の範囲のHFPIを示すコポリマー類である。
米国特許第5,266,639号に開示および請求されているコポリマー類に追加的共重合性モノマー類を1種以上存在させることができる。本発明は以下の如き好適な追加的共重合性フルオロモノマー類に向けたものである:TFEまたはHFP以外で炭素原子数が2から8のフルオロオレフィン、アルキル基が1から6個の炭素原子を含むパーフルオロ(アルキルビニル)エーテル、およびエステル、アルコールもしくは酸官能のフルオロビニルエーテル。
本発明はまた高度にフッ素置換されている溶媒に本コポリマーが入っている溶液も提供する。好適な溶液は、TFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーを大気圧下で溶かしそして室温で安定な溶液を与える溶媒を基とする溶液である。
本発明はまたポリオレフィン類における加工助剤としてTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーを使用することを提供する。これは、アンチブロック剤が存在していない時に実質的な利点を与えることに加えて、アンチブロック剤存在下における性能の制約がほとんど全くない。このコポリマーは部分結晶性を示し(本明細書の上に記述した如く)、これが示す溶融温度の終点[Tm(終点)]は180−255℃の範囲、好適には180−235℃の範囲である。このコポリマー類をポリオレフィン類における加工助剤として用いる場合、好適には、そのポリオレフィンの加工温度Tpに近いTm(終点)値を持たせるようにこれを選択する。この範囲は、Tpより40℃低い温度からTpより25℃高い温度、好適にはTpより30℃低い温度からTpより15℃高い温度、最も好適にはTpより20℃低い温度からTpより5℃高い温度である。
本発明はまた本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーで出来ている被覆材およびこれを被覆した製品も提供する。溶液を用いて生じさせた時の被膜は、100オングストローム以下の厚さ範囲を有していて濃密で低い表面エネルギーを有するフィルムになり得る。
図の簡単な説明
図1は、従来技術のTFE/HFPコポリマーの場合のDSC図形である。
図2は、他の如何なるフルオロモノマーも存在させていないが本発明のTFE/HFPコポリマーの場合のDSC図形である。
図3は、アンチブロック剤を含有させなかったポリエチレンで図2のTFE/HFPコポリマーをポリエチレンの加工助剤として用いることで得られる押出し加工圧力低下をTm(終点)とTpの間の差に対して示すプロットである。
図4は、アンチブロック剤を含有させたポリエチレンで図2のTFE/HFPコポリマーをポリエチレンの加工助剤として用いることで得られる押出し加工圧力低下をTm(終点)とTpの間の差に対して示すプロットである。
図3および4の線は、上記図のデータから引き出した結論を表し、上記データに対する数学的適合の結果ではない。
発明の詳細な説明
半バッチ式分散(時には乳化と表示)重合方法でいくつかのパラメーターを注意深く調整および調節することにより、HFP含有量が高いことで低い溶融温度Tmを示すTFE/HFPコポリマー類をここに製造した。このパラメーターには下記が含まれる:
1)HFPの分圧を非常に高くして全モノマー圧の83−95%の範囲にする。
2)HFPの分圧が一定に保たれるようにHFPモノマー消費に対するポリマー生成と開始剤溶液添加を注意深く均衡させることでバッチ全体を通して所望のTFE対HFPモノマー比を維持する。
3)重合で非常に小さい分散粒子が数多く生成する(従って表面積が高くなる)のを助長する種類の界面活性剤を、上記生成を助長する量で用いる。
4)TFEが豊富なコポリマーがバッチの初期に生じる傾向があるが、反応槽を充分に加圧した後に10−30分から成る休止期間(dwell period)(この期間の間には、予め仕込んだ量を越えてTFEを添加しない)を設けることでその傾向を克服する。
5)この上に示した課題または制限に準じてできるだけ反応温度を高くする。
本コポリマーの中に組み込むべきコモノマーが示す反応性および量に応じて前仕込みまたは前仕込みと後添加(ポンプ輸送)またはポンプ輸送でこの追加的コモノマーを反応槽に送り込むことで、本コポリマーの中にTFEおよびHFP以外の追加的コモノマーを組み込むことができる。本発明で用いる追加的コモノマーに少なくとも1/1のF/C比を持たせる。このようなフルオロモノマー類の例には、TFE及びHFP以外であって2から8個の炭素原子を有するフルオロオレフィン類が含まれ、これらの例は、パーフルオロブチルエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、および炭素原子数が4から8のパーフルオロオレフィン類である。このようなフルオロモノマー類の追加的例には、式CF2=CFO(R'fO)kRf[式中、kは0−5であり、R'fは炭素原子数が2から6の線状もしくは分枝パーフルオロアルキレンであり、そしてRfは炭素原子数が1から6のパーフルオロアルキルである]で表されるパーフルオロ(アルキルビニル)エーテル類が含まれ、これらの例はパーフルオロ(メチルビニル)エーテルおよびパーフルオロ(プロピルビニル)エーテルなどである。このようなフルオロモノマーのさらなる追加的例には、官能性がエステル、アルコールまたは酸である官能フルオロビニルエーテル類が含まれる。エステル官能のフルオロビニルエーテル類はカルボン酸のエステルまたはアルコールのエステルであってもよい。このようなフルオロビニルエーテル類の例には、米国特許第4,982,009号に開示されている如きCF2=CF[OCF2CF(CF3)]−O−(CF2nCH2OH、並びにこのアルコールをピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンおよびアセチルクロライドと一緒に大気圧下5−15℃の温度の塩化メチレン中で反応させることでこれから誘導されるアルコールエステルCF2=CF[OCF2CF(CF3−O−(CF2−O−CORが含まれる。追加的フルオロビニルエーテル類には、米国特許第4,138,426号に開示されているCF2=CF[OCF2CF(CF3)]mO(CF2nCOOHおよびこれのカルボン酸エステルであるCF2=CF[OCF2CF(CF3)]mO(CF2nCOORが含まれる。上記式において、m=0から3、n=1から4、そしてRはメチルまたはエチルである。好適な上記フルオロビニルエーテル類はCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22CH2OHおよびCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22COOHである。上記フルオロモノマー類は入手可能であり、或は結果として生じるコポリマーの中に官能性を組み込む能力を有することから、これらが好適である。TFE/HFPコポリマーの中に組み込み可能な上記フルオロモノマー類の量は、観察されるHFPIが上記範囲でありそして他のフルオロモノマーを含有するコポリマーがまだ部分結晶性を示す限り、望まれるTFE/HFPコポリマー改質に依存する。典型的には、結果として生じるコポリマーの重量を基準にして0.1から10%存在させてもよい。
追加的モノマー類を1種以上含有させる結果として生じる本発明のTFE/HFPコポリマー類が示すHFPIは6.4から約9の範囲である。約7.3から9.0のHFPI範囲が好適であり、7.3から8.5の範囲が最も好適である。本コポリマー類は、約0.1x103から約10x103Pa・s、好適には0.5x103から5x103Pa・sの範囲の溶融粘度(melt viscosity)(MV)を示し得る。
本発明のポリマー類は、少なくとも分散(または乳化)重合および溶媒存在下の分散(または乳化)重合として知られる方法で製造可能である。
追加的モノマー類を1種以上含有させた本発明のTFE/HFPコポリマーを本半バッチ式方法で製造する時に使用可能な最小HFP分圧は、600psig(4.1MPa)から成る全モノマー圧の中の約500psig(3.4MPa)である。HFP分圧を好適には600psigから成る全モノマー圧の中の約525psig(3.6MPa)、最も好適には約550psig(3.8MPa)にする。より高いか或は若干低い全モノマー圧を用いることも可能であり、このような場合、HFP分圧を比例させて調整すべきである。
TFEに比較してHFPの濃度を高くすることで抑制される反応率を高めるには、高い分散粒子表面積(小さい粒子サイズ)が得られるように界面活性剤を選択すべきである。この目的の達成で必要とされる量は、その界面活性剤の組成に伴って変化するであろう。界面活性剤の濃度を高くすると、ある種の技術を用いてTFE/HFPコポリマー樹脂をその分散液から単離しようとする時、それが妨げられる。この界面活性剤の濃度は水系媒体を基準にして0.4重量%未満、好適には0.2重量%未満でなければならない。適切な界面活性剤にはパーフルオロノナン酸アンモニウム、および米国特許第4,380,618号に開示されているパーフルオロアルキルエタンスルホン酸およびこれらの塩類が含まれる。これらの中でZonyl(商標)TBSフルオロケミカル界面活性剤(デュポン社(Du Pont Company))として販売されているC6−C16パーフルオロアルキルエタンスルホン酸の混合物が好適である。
半バッチ式方法を用いて本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマー類のコポリマー類を製造する場合、約103−108℃の範囲の温度が適切である。背景項で概略を示した高温重合の制限に加えて、温度を103−108℃より高くすると乳化重合で界面活性剤を使用することの有効性が低くなると思われ、分散安定性が失われる傾向がある。
TFEコポリマー類の乳化重合で通常用いられる開始剤は水溶性のフリーラジカル開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)またはジこはく酸パーオキサイドなどである。APSおよび/またはKPSが好適である。
反応槽に水、界面活性剤およびモノマーを仕込み、選択した温度に加熱し、そして撹拌を開始した後、開始剤溶液を指定比率で添加することで重合を開始させる。重合が始まると圧力が降下しそして指定した時間の間TFEを添加しない(この期間中、引き続いて開始剤溶液を添加する)のが好適である。次に、重合の調節で選択した計画に従ってTFEの添加を開始して調節する。このような休止期間を設けなくても高いHFP含有量を有するTFE/HFPコポリマーを製造することができるが、このような休止期間を設けると、DSC図形の高融点側尾(high−melting tail)が縮小し、その結果として狭い溶融範囲がもたらされる。
FEPの重合速度を調節する代替法はいくつか存在する。大部分の代替法では、最初に全HFPモノマーを予め仕込んだ後、所望の全圧になるまでTFEを添加するのが通常である。次に、開始剤を注入して反応を開始させた後、更にTFEを添加して選択した圧力を維持する。TFEを一定流量で添加しながら実際の重合速度を高くするか或は低くして全圧を一定に維持する必要に応じて撹拌機の速度を変化させてもよい。また、全圧と撹拌速度の両方を一定に保持しながら圧力を一定に維持する必要に応じてTFEを添加してもよい。3番目の代替法は、TFEの供給速度を一定して高めながら撹拌速度を変化させて重合を段階的に実施する方法である。この後者の2つの代替方法を用いると最も均一な生成物(TFEとHFPが均一に分布している)が得られ、好適である。追加的モノマーを添加しても、このコポリマーの中にHFPが高い量で組み込まれることは邪魔されず、ここでこのコポリマーが示すHFPIは6.4から約9になり、そしてこの得られるコポリマーは部分結晶性を保持する。重合反応物内に存在させるモノマー類の比率を一定に維持すると均一なポリマーが得られ、例えばコポリマーのモノマー単位がランダムに分布しているポリマーが得られるであろう。
重合を起こさせそしてその反応槽からコポリマー分散液を取り出した後、本技術分野でよく知られている手段の1つを用いて、その水系媒体からポリマーを単離することができる。1つの方法は、ポリマーが水で湿っていない粉末として分離して来るまで激しく撹拌する方法であり、ここでは、その粉末が水の上に浮遊し、フィルターまたはデカンテーションを用いてこの粉末を水から集めることができる。炭酸アンモニウムまたは硝酸などの如き電解質を上記分散液に激しく撹拌しながら添加することも可能である。このポリマーは集めたままの状態で乾燥可能であるか、或は乾燥を行う前に圧縮して水の一部を除去することも可能である。別の方法は、分散液が濃密になって水で湿ったゲルを生じる所のみまでこれを撹拌する方法であり、その後フィルターでポリマーを集める。この濾過したポリマーは直接乾燥可能であるか、或は乾燥を行う前にメタノールまたはアセトンなどの如き有機溶媒または水で洗浄してもよい。このようにして集めたポリマーは水滴を保持する傾向が低いことから、圧縮を行う必要はない。別の単離方法は、上記分散液または水で湿ったゲルのスプレー乾燥を行う方法である。更に使用可能な別のポリマー単離方法は、溶媒補助ペレット化として知られる技術である。この方法では、最初に炭酸アンモニウムまたは硝酸などの如き電解質を添加することで化学的にか或は機械的に上記分散液をゲル化させる。次に、低い表面張力、好適には35ダイン/cm以下の表面張力を有していて水に混和しない有機溶媒を撹拌しながら添加することで上記ゲルを崩壊させる。適切な溶媒には炭化水素、ハロカーボンおよびヒドロハロカーボン液が含まれる。凝集による単離技術を用いる場合、この単離方法の温度がその結果として得られる凝集物の大きさまたは砕け易さに影響を与え得る。
湿っている単離したポリマーの乾燥は、微細固体の乾燥を行うに適切な如何なる方法を用いることでも実施可能である。乾燥チャンバの中に通す空気流は、その粉末が回りに吹き飛ばさないと言った希望または如何なる要求にも合致しなければならない。この選択する乾燥技術、温度および時間は、乾燥ポリマーの意図した使用に合致しなければならない。このポリマーは微細粉末として使用すべき場合、その粉末の塊が圧縮されて粒子と粒子が融合しないようにしなければならない。本発明のTFE/HFPコポリマー類は非常に低い温度で溶融することから、自由流れする微細粉末を得るには、乾燥温度も同様に低くなければならない。
このポリマーを粉末として使用しないならば、より高い乾燥温度を用いることも可能である。適宜、立方体またはペレットの押出し成形を含む通常の熱可塑性仕上げ技術を使用することも可能である。
このTFE/HFPコポリマーの安定化を行う必要がある場合、いくつかの公知技術の1つを用いることができる。このような技術には、例えばSchreyer(米国特許第3,085,083号)の湿熱処理、MorganおよびSloan(米国特許第4,626,587号)の押出し加工仕上げ、Bekiarian他(米国特許第4,946,902号)およびBuckmaster(米国特許第5,045,605号)の化学処理、および元素状のフッ素を用いた処理などが含まれる。上記技術のいくつかはポリマー粒子の融合をもたらす可能性がある。このポリマーが融合した場合、勿論、安定化されたポリマーを微細形態で得ることが望まれるならばこれの粉砕を行うことができる。不安定な末端基の存在が最終使用用途に有害な場合、上述した如く単離して乾燥させたポリマー粉末をフッ素で処理することにより、重合粒子が有する固有の性質を壊すことなくその不安定な末端基の数を少なくすることができる。種々のフッ素ラジカル発生化合物を用いてフッ素置換を実施することができるが、好適にはこのポリマーをフッ素ガスに接触させる。フッ素を用いた反応は非常に発熱する反応であることから、フッ素を不活性ガス、例えば窒素などで希釈するのが好ましい。フッ素処理を行うに適切な条件は、BuckmasterおよびMorganが米国特許第4,675,380号の中で考察している条件であるが、但し自由流れする粉末が望まれている場合、温度を0℃からポリマー粒子が溶融または一緒に融合し始める温度に至る範囲にすべきである。この温度は、その樹脂が示すピーク溶融温度よりずっと低く、50−60℃低い温度であってもよい。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類は分散液形態で使用可能である。この場合、重合したままの(生)分散液が意図した目的で充分な安定性を示すならば、反応槽から取り出したままの状態でこれを使用することができる。また、界面活性剤を添加することでこの生分散液の安定化を行ってもよいか、或は濃縮を行った後、本技術分野でよく知られている技術を用いてこれの安定化を行うことも可能である。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類は、高度にフッ素置換されている溶媒中で溶液になり得る。これらは、これらが有する組成が理由で、周囲温度で非常に容易に溶解して安定で流動するコポリマー/溶媒系を与え得る。完全にフッ素置換されている化合物が溶媒として好適であるが、水素を約12.5原子パーセント(原子%)および/または塩素を約37.5原子%に及んで含有するフッ素置換化合物も使用可能である。溶媒として用いるに最も有用な化合物は、高度にフッ素置換されているシクロアルカン類または芳香族であり、これらは両方とも縮合環または縮合していない環を含んでいてもよい。高度にフッ素置換されているシクロアルカン類が好適である。両方の種類の化合物ともパーフルオロアルキルまたはパーフルオロアルキレン基で置換されていてもよい。大気圧下で溶解させる場合、約140℃以上の沸点を有する溶媒を用いる必要がある。自然発生圧力(autogenous pressure)下では、約70℃以上の沸点を有する溶媒を用いる必要がある。溶媒として用いるに有用な化合物には、これらに限定するものでないが、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1−チルデカリン)、パーフルオロ(ジメチルデカリン)、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)、パーフルオロナフタレン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロビフェニル、パーフルオロ(シクロヘキシルメチル)デカリンおよび高沸点付加体などが含まれる。特定の窒素含有溶媒、例えばパーフルオロ(トリアミルアミン)なども使用可能である。好適な溶媒はパーフルオロデカリンおよびパーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)である。
高温加圧下で幅広い範囲の溶媒を用いて溶液を調製することができる。溶媒に比較的高い沸点(BP)を持たせるように選択した範囲では、大気圧下高温で溶液を調製することができる。このTFE/HEP/他のフルオロモノマーのコポリマー類を溶解させるに必要な温度は、このコポリマーの組成および溶媒に伴って変化する。例えば、パーフルオロベンゼン(BP=80℃)は、自然発生圧力下85−90℃で本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーを容易に溶かすが、大気圧にするとこのポリマーを溶かさない可能性がある。パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)(BP=215℃)は、自然発生圧力下約115℃で上記コポリマーを溶かすが、これはまた大気圧下における溶液調製でも使用可能である。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーの濃度が例えば10重量%以上、即ち20重量%および30重量%の溶液を生じさせることができる。多くの目的で、1−5重量%の範囲の低濃度が好適である。溶液の粘度は勿論ポリマー濃度に伴って上昇する。選択した溶媒に入れた溶液でポリマー濃度が約2.5重量%以上の場合、これを静置して室温に冷却するとゲルを生じる。選択した溶媒で濃度が約2.5重量%以下の溶液の場合、室温で低濃度で安定なコポリマー/溶媒系を生じる。この流体系が室温または室温近くで示す正確な性質を明確には認識していない。これらは溶液になり得るが、冷却すると時には光学特性が若干変化する可能性がある。しかしながら、これらはミクロゲルまたはコロイド状の分散液になる可能性がある。遠心分離にかけてもその溶媒中のコポリマー濃度が実質的に変化しない場合、コポリマー/溶媒系が安定であると見なす。これは、懸濁液の場合でも例えば溶媒と懸濁粒子の密度が同じであると起こり得る。個々の溶媒の中に入れて静置して室温に冷却した時にその系が安定で流動するままである最大濃度は、このTFE/HFPコポリマーの組成に伴って若干変化する。静置して室温に冷却した時にゲルを生じるある溶液では、これを冷却しながらせん断をかける(撹拌する)ことで流動性を維持することができる。この後者の系は時間と共に濃度になる可能性があるが、注ぎ込み可能なままであり、そして再撹拌すると再び希薄になり得る。本明細書では、性質は不明であるが室温および室温近くで流動する安定な系全部を記述する目的で表現「コポリマー/溶媒系」を採用する。他の特定溶媒に入れた溶液を室温に冷却すると沈澱を起こして低粘度の懸濁液を生じる場合、この溶液はこのまま有用である。コポリマー濃度が約2.5重量%以下になるように選択したコポリマー/溶媒系は室温で容易に噴霧可能である。懸濁液の場合、より高い濃度でも噴霧可能である。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類は数多くの様式で使用可能である。この選択したTFE/HFPコポリマー類が示す溶融温度範囲が理由でこれらが驚くべきほどの優秀さを示す1つの用途は、ポリオレフィン類における加工助剤としての使用である。本発明のこの点を以下に詳しく考察する。本コポリマーの特性が意図した使用に適切であることを条件として、熱可塑材を仕上げ品に加工する時に通常行われる処何なる加工方法でも、例えば押出し加工、成形加工またはプレス加工などで、本コポリマー樹脂を粉末またはペレット形態で用いることができる。このような製品には、フィルム、管材、ホース、ワイヤー絶縁、発泡構造物(ワイヤー絶縁を含む)、機械使用のためのワイヤー上の被覆材、射出成形品、ブロー成形品、保護用ライニング、積層物および他の複合構造物などが含まれる。ある種の積層物は本質的に被覆品である。本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類は融点が低いと言ったユニークな特性を有することから、これらは、特性が不適当であるとか或は必要とされる加工温度があまりにも高いと言った理由で従来技術のパーフルオロプラスチックを用いることができなかった用途で用いるに適切である。例えば、本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーは適度な温度の溶融接着剤として使用可能である。従来技術のパーフルオロプラスチックは、これの加工温度が高いことから、その加工温度への暴露に耐えることができない他の数多くの材料と一緒に用いるに不適確であった。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類は、フルオロポリマーの分散液が使用される如何なる通常技術に従っても水系分散液の形態で使用可能であり、この技術にはコーティング、キャスティングおよび含浸が含まれる。通常、本コポリマーの分散粒子を湿った状態で適当な位置に付着させた後、この付着物を乾燥させた後、その粒子を熱で融合させる。上記使用で他の材料を本TFE/HFPコポリマー分散液にブレンドすることも可能であり、或は乾燥ブレンド物または充填樹脂生成段階として上記ブレンド物の共凝集を起こさせることも可能である。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーが入っている溶液、懸濁液およびコポリマー/溶媒系は数多くの様式で使用可能なことから、これを用いると、以前から入手可能なパーフルオロポリマー類を用いたのでは達成不可能であったか或は達成可能であったとしても様式があまり便利でなかった最終結果を達成することが可能になる。このような結果には、ポリマーの溶液が用いられる場合の結果、例えばコーティング、カプセル封じおよび含浸などにおける如何なる結果も含まれる。本発明のTFE/HFPコポリマーが入っている溶液、懸濁液およびコポリマー/溶媒系は、溶液を用いる必要があることが知られている如何なる方法でも使用可能であり、このような方法には浸漬、塗装および噴霧が含まれる。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーが入っている溶液、懸濁液およびコポリマー/溶媒系を用いて幅広い範囲の基質材料上に被膜を生じさせることができ、この基質材料には金属、半導体、ガラス、カーボンまたはグラファイト、並びに天然および合成ポリマー類が含まれる。この基質は幅広い範囲の物理的形態であってもよく、この形態にはフィルムまたは紙、箔、シート、スラブ、クーポン、ウエハー、ワイヤー、繊維、フィラメント、円柱、球および他の幾何学的形状に加えて、実質的に無限数の不規則形状物が含まれる。浸漬、噴霧および塗装を含む本技術分野で知られている方法を用いて被膜を付着させることができる。適切な寸法を有する平らな基質の場合、スピンコーティングを用いることができる。また、多孔質材基質にもコーティングまたは含浸を受けさせることができる。これらには例えばスクリーン、フォーム、微孔膜、並びに織物および不織生地が含まれる。このような被膜製造では、加熱して溶媒を除去することで乾燥したTFE/HFPコポリマー被膜を残すことができる。コーティング用途で、水系分散液を用いることに比較して、選択した溶液またはコポリマー/溶媒系を用いることの1つの利点は、本TFE/HFPコポリマーの溶融温度より低い温度で被膜を達成することができる点である。別の利点は、要求される被膜特性に応じて極めて薄い被膜、即ち100オングストロームなどの如き薄い被膜または更に薄い被膜を達成することができる点である。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーが入っているゲルを用いると、低粘度の溶液、懸濁液またはコポリマー/溶媒系を用いることが不利であった部位にこのコポリマーを塗布することが可能になる。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーから作る被膜は、基質上の唯一の被膜であってもよいか、或は多層被膜の1構成要素であってもよい。例えば、本発明のTFE/HFPコポリマー被膜は、多層から成るフルオロポリマー被膜系の第一被膜、即ちプライマーか、中間被膜か或は最終被膜として使用可能である。本発明の被膜には、溶液、懸濁液またはコポリマー/溶媒系を逐次的に数回塗布して所望レベルにまで被膜の厚さを厚くすることで得られる被膜が含まれる。
本発明の被膜は、本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類単独から成っていてもよいか、或は溶媒に可溶であるかまたはこの被覆材の溶液、懸濁液またはコポリマー/溶媒系に分散する他の材料少量と混和させた本TFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類から成っていてもよい。少量は、本TFE/HFPコポリマーと添加剤を一緒にして重量を基準にして約10重量%に及び得る。
また、通常の溶液浸漬キャスティング方法を用いて本発明の選択したTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類から微孔膜を製造する場合にも溶液を用いることができる。
特定の被覆品は本発明の範囲内である。
被覆品にはゴムおよびプラスチック部品用の鋳型およびポリマー押出し加工用のダイスが含まれる。本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類は、重合したままおよびフッ素処理を受けさせた後の両方とも、コーティングで使用可能である。ポリオレフィン類の押出し加工で用いられるダイスの場合、重合したままの樹脂を用いて被膜を製造するのが好適である、と言うのは、このような被膜の方が高い耐久性を示すからである。押出し加工用ダイスの内側表面および外側表面の両方を被覆することで、それぞれ、押出し加工を容易にしそしてダイスの堆積を軽減することができる。
被覆品には、ガソリンエンジンの気化器部品、内燃機関の内部部品、例えばバルブおよびピストンスカートなど、剃刀の刃、金属容器、例えば缶、鍋、皿、槽など、金属シートおよび箔、連続金属ベルト、金属ロッド、管、棒、プロファイルなど、ボルト、ナット、ねじおよび他の留め具などが含まれる。
被覆品には、少なくともの1つの表面に機械読み可能な印が付いている製品、特にこれらに限定するものでないが、別の物品に棚卸し識別、内容物、所有権、危険、操作条件または保守要求などに関する情報を与える目的で取り付けることができるタグが含まれる。
被覆品には、電気および機械運転用のワイヤーが含まれる。いずれの場合も、この金属ワイヤーは固体状またはより糸状であってもよい。機械運転用のワイヤーには、カテーテルガイドワイヤーおよびプッシュ−プルケーブルの作動ワイヤーが含まれる。
被覆品にはゴム製O−リング、シール、ビーディング(beading)、ガスケットなどが含まれる。
被覆品には、紙、ガラス生地を含む織物、不織生地、フェルトなどが含まれる。
被覆品にはフォーム、膜などが含まれる。
被覆品には、基質がガラスまたはプラスチック繊維である光学繊維が含まれる。
被覆品には半導体、半導体デバイス、ディスクを含む磁気記憶媒体、フォトコンダクター、電子アセンブリなどが含まれる。
上述したように、本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類が示す溶融温度範囲からこれらが驚くべきほどの優秀さを示す1つの用途は、ポリオレフィン類における加工助剤としての使用である。優秀な性能を示すことは本TFE/HFPコポリマーの溶融温度範囲の終点と該ポリオレフィンの加工温度Tpとがほぼ一致することに関連することを予想外に見い出した。以下に示す実施例で例示するように、もしこのコポリマーの溶融終点(melting end)がTpよりあまりにも低いか或はTpよりあまりにも高いと、そのような優れた性能は実現化されない。所望の溶融終点は、Tpより40℃低い温度からTpより25℃高い温度に至る範囲、好適にはTpより30℃低い温度からTpより15℃高い温度に至る範囲、最も好適にはTpより20℃低い温度からTpより5℃高い温度に至る範囲である。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーが加工助剤として驚くべきほど優れた性能を示し、上記性能がこの加工助剤の溶融温度範囲の終点とポリオレフィンの加工温度がほぼ一致することに起因すると言ったことを、高度にフッ素置換した他の部分結晶性ポリマー類に広げることができることを見い出した。具体的には、本発明のフルオロポリマー加工助剤は、2種以上のフルオロモノマー類で出来ていてTm(終点)がTp近くに位置する組成を有するコポリマー類であってもよい。適切なモノマー類にはフルオロオレフィン類およびフルオロアルキルビニルエーテル類が含まれる。好適なモノマー類にはパーフルオロオレフィン類であるTFEおよびCF2=CFRf、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテルであるCF2=CFORfおよびパーフルオロアルキルエチレンであるCH2=CHRfが含まれ、ここで、Rfは1−5個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルである。このポリマーの水素含有量が約2重量%を越えない、好適には約1重量%を越えないことを条件として、水素含有モノマー類を限定した量で用いることも可能である。特に好適なものは、任意に他の好適なモノマー類を少量含んでいてもよいTFEとHFPのコポリマー類、最も特別にはこの上で考察した本発明のTFE/HFPコポリマー組成物である。この部分結晶性フルオロポリマー加工助剤は単独か或はフルオロエラストマー類を含む本技術分野で知られている他の加工助剤と協力させて使用可能である。
本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマーをフィルム用途のポリオレフィンにおける加工助剤として用いる場合、このポリオレフィンに一般的には190℃で5.0以下、好適には2.0以下のメルトインデックス(ASTM D−1238)を持たせる。高せん断溶融加工、例えば繊維押出し加工または射出成形加工などの場合、より高いメルトインデックスを示す樹脂、例えば20以上のメルトインデックスを示す樹脂を用いると加工が困難になると言った欠点を示し得る。このようなポリオレフィン類には、炭素原子数が通常8以下であって式CH2=CHR'[式中、R'はアルキル基である]で表される1種以上のモノオレフィン類をホモ重合または共重合させることで得られる如何なる熱可塑性炭化水素ポリマーも含まれ得る。特に、本発明は下記に適用可能である:0.89−0.97の範囲内の密度を有する高密度型および低密度型両方のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ(3−メチルブテン)、ポリ(4−メチルペンテン)、およびエチレンとアルファ−オレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1またはn−メチルペンテン−1などとの線状低密度コポリマー類など。
上述したオレフィンポリマー類はいろいろな溶融特性を示すことから、本発明のフルオロポリマー加工助剤の添加は、あるポリオレフィン類の場合の方が他の場合よりも高い価値を示す可能性がある。このように、低い分子量を有するか或は幅広い分子量分布を示す、従って低い温度でも良好なメルトフロー特性を示すポリオレフィン類、例えばポリプロピレンおよび分枝ポリエチレンなどの場合、押出し加工が通常でない悪条件の場合を除き、本フルオロポリマー添加剤を用いる必要はないか或は本フルオロポリマー添加剤を用いても際だった改良が得られない可能性がある。しかしながら、高い分子量を有する高密度ポリエチレンまたは線状低密度エチレンコポリマー類などの如きポリマー類、特に分子量分布が狭いか或は非常に狭いポリマー類の場合、特に本フルオロポリマー類を添加するのが有益である。
このようなポリオレフィン類は典型的に押出し加工技術により175−275℃の範囲の溶融加工温度Tpで加工される。商業的に重要なブローンフィルム方法は通常200−250℃、一般的には200−230℃の範囲のTpで実施される。このようなブローンフィルム方法におけるTpは、この上で考察した如き従来技術のTFE/HFPコポリマー樹脂が示すTmより低く、そしてこの範囲の下方では実質的に低い。従って、このような従来技術の樹脂は、米国特許第4,904,735号に記述されているように、Tpで固体である。
このポリオレフィン類には、本技術分野で用いられる各種添加剤、例えばこれらに限定するものでないが、抗酸化剤、酸捕捉剤、光安定剤、顔料、スリップ剤および滑剤などが入っている可能性がある。特に、シリカまたはタルクなどの如き微細固体がアンチブロック剤として組み込まれる可能性がある。
加工助剤として有効な性能を示すには、本フルオロポリマー樹脂がホスト樹脂の中に充分に分散することが重要である。定量的特性把握を正確に行うのは不可能であるが、約0.5μm以下、好適には約0.3μm以下のフルオロポリマー粒子サイズを持たせることでこのフルオロポリマー樹脂の大部分をそのホストの中に分散させるのが望ましい可能性がある。重合で得られる生分散粒子サイズは典型的に0.05−0.2μmであることから、凝集をほとんど起こさせないのが望ましい。従って、本フルオロポリマー樹脂を加工助剤として用いる場合、これをその生分散液から単離する時に選択する技術は、とりわけ、基本的な粒子特徴を保存するか或は該ホスト樹脂の中に組み込んだ時点で容易に崩壊する緩い凝集物をもたらす技術でなければならない。
本フルオロポリマーが加工助剤として有効な性能を示すには、これの溶融粘度(MV)をあまりにも低くするか或はあまりにも高くすべきでない。高度にフッ素置換した部分結晶性フルオロポリマー類の場合、一般に0.1x103から20x103Pa・sのMV範囲が適切であり、0.5x103から15x103Pa・sの範囲が好適である。本発明のTFE/HFP/他のフルオロモノマーのコポリマー類の場合、0.1x103から10x103Pa・sのMV範囲が適切であると思われる。本TFE/HFPコポリマー樹脂のMVを低くするにつれてTpとTm(終点)の間の差が大きくなることから上記樹脂がアンチブロック剤の存在下で加工助剤として示す効果が低くなると思われる。従って、本コポリマー類では0.5x103Pa・sの最小MVが好適であり、0.5x103から5x103Pa・sのMV範囲が最も好適である。
最終製品に加工する時のホスト樹脂に入れる本フルオロポリマー加工助剤の濃度は、望まれる加工性改良効果を達成するに充分なほど高くなければならないが、経済的悪影響を与えるほど高くすべきでない。この必要量は、望まれる効果、ホスト樹脂、ホスト樹脂で用いられる添加剤および加工条件に伴って変化する可能性があり、このような条件は、以下に示す実施例の中で報告する実験室条件とは異なる可能性がある。特定の条件下では、100ppm以下の濃度、50ppmの如き低い濃度、或は25ppmの濃度でさえも有効であり得る。他の条件下における有効量は1000、2000または5000ppmにさえなり得る。特別な用途では10%または25%の濃度が適切であり得る。本フルオロポリマー加工助剤を所望の最終濃度でホスト樹脂に組み込んでもよいか、或はマスターバッチまたは濃縮物の中に組み込んで、これを所望最終濃度が得られるように計算した比率でホスト樹脂に添加することも可能である。このフルオロポリマーがTFE/HFPコポリマーでありそしてマスターバッチを製造する必要がある場合、このコポリマーの粉末にフッ素処理を受けさせるのが有利である。
実施例
溶融範囲の終点(ここではTm(終点)と表示する)を一般的方法ASTM E794−85に従って測定する以外はASTM D−4591−87の方法を用いてフルオロプラスチックの溶融特性をDSCで測定した。Tm(終点)は試験片全体が溶融する温度であると見なす。図1に、ASTM D−2116−83におけるタイプIの市販TFE/HFPコポリマー樹脂の場合のDSC溶融図形を示す。溶融吸熱に幅があるのは、サンプルにおけるポリマー組成の分布によるものであり得る。タイプIコポリマーの場合の融解熱は約20−24J/gである。図2に、図1のコポリマーより高いHFP含有量を有する結果として低い溶融温度範囲を示す実験TFE/HFPコポリマー樹脂の場合のDSC図形を示す。また、融解熱がより低い(約10.5J/g)ことで示されるように結晶度も低い。Tm(ピーク)=170−180℃であるTFE/HFPコポリマー類の場合の融解熱は典型的に8−14J/gである。結晶度は熱履歴の影響を受け得ることから、100℃以下の温度でDSC試験片の乾燥を行った。
300℃でプレス加工した厚さが0.025−0.051mmのフィルムの赤外分光測定を行うことでフルオロポリマーの組成を測定した。TFE/HFPコポリマー類の場合、米国特許第4,380,618号に記述されている方法でフーリエ変換赤外分光測定法を用いた。この方法を適用する場合、約10.18μmおよび約4.25μmの所に見られるピーク吸収帯を用い、その正確な波長の所に在る吸収でもこれらがピーク吸収でない限り用いなかった。インデックスHFPI、即ち上記2つのピーク吸収の比率として、HFP含有量を表す。HFPIに2.1を掛けるとモル%で表すHFP含有量がもたらされ、これは19F NMRによる最新の測定に一致する。
ASTM方法D1238−52Tを米国特許第4,380,618号に記述されているように修飾した方法を用いて部分結晶性フルオロポリマー類の溶融粘度を測定したが、但し約103Pa・s未満のMVを示すサンプルに関しては838gの重量を用いた。
比較実施例1
79重量部の水容量を有していて直径に対する長さの比率が約1.5である、水平に位置させた、水ジャケット付きのパドル撹拌筒状ステンレス鋼製反応槽に、脱イオン水を48.5部仕込んだ。この反応槽を65℃に加熱し、真空排気を行い、TFEで浄化した後、再び真空排気を行った。次に、この反応槽に真空をかけることで、水(1.8部)にZonyl(商標)TBS界面活性剤が0.055部入っている溶液を吸い込ませた。更に0.88部の水を用いて、上記溶液を濯ぎながら反応槽の中に入れた。次に、この反応槽を密封し、撹拌を38rpmで開始し、そして反応槽の温度を上昇させて103℃にした。温度が103℃で一定になった後、圧力が545psig(3.8MPa)になるまでHFPをゆっくりと反応槽の中に加えた。次に、この反応槽にTFEを加えることで600psig(4.1MPa)の最終圧を達成した。次に、新しく調製した0.45重量%の過硫酸アンモニウム(APS)開始剤水溶液1.32部を0.11部/分で上記反応槽にポンプ輸送した。その後、この反応槽に0.93重量%のAPS溶液を0.022部/分で加えることで残りの重合を生じさせた。反応槽の圧力が10psig(0.07MPa)降下することで示されるように重合が始まった後、圧力を600psigで一定に維持するようにTFEを追加的に反応槽に加え、そして撹拌機の速度を速めて50rpmにしそしてこのバッチの残り期間に渡った本質的に一定に保持した。休止期間を用いず、重合が始まって最初の20分間の間いTFEを0.3部加えた。最初に加圧してから403分間の間に反応槽に添加した全TFE量は14.5部であった。次に、撹拌機のスイッチを切り、TFEの供給を停止した後、反応槽を冷却した。温度が90℃に到達した時点で、反応槽の排気を行い、そして開始剤の供給を停止した。ほぼ大気圧にまで排気された後の反応槽を窒素で浄化することにより、残存モノマーを除去した。次に、この反応槽から分散液を取り出し、激しく撹拌して凝集させることでTFE/HFPコポリマー粉末を得、これを100−120℃の真空オーブン中で乾燥させた後、これの特徴づけを行った。この樹脂が示すMVは0.6x103Pa・sであり、HFPIは8.87であり、Tm(ピーク)は171℃であり、そしてTm(終点)は204℃であった。
比較実施例2
比較実施例1に記述した反応槽および仕込み手順を用いて、脱イオン水を全体で50.7部およびZonyl(商標)TBS界面活性剤を0.081部加えた。この反応槽を密封した後、撹拌機のスイッチを入れて38rpmにし、そして反応槽の温度を上昇させて108℃にした。温度が108℃で一定になった後、圧力が550psig(3.8MPa)になるまでHFPをゆっくりと反応槽の中に加えた。次に、この反応槽にTFEを加えることで600psig(4.1MPa)の最終圧を達成した。次に、新しく調製したAPSが0.85重量%に加えてKPSが1.32重量%入っている水溶液0.66部を20分かけて0.033部/分の割合で加えた。反応槽の圧力が17psig(0.12MPa)降下することで示されるように上記20分間の間に重合が始まった。この20分間の間TFEを添加しなかった。この20分間が終了した時点で更にTFEを0.2部加えて圧力を4.1MPaに戻した。以下に示すようにTFEおよび開始剤溶液(APSが0.24重量%でKPSが0.36重量%)を添加して重合の残りを実施した。以下に示すTFE供給率を達成する必要に応じて撹拌機の速度を変化させた。
Figure 0003597195
上に示したTFEの添加が終了した後、反応槽を冷却して排気を行い、そして比較実施例1に記述したように反応槽から分散液を取り出した。この分散液の固体量は26.9重量%であった。光子相関分光測定法(photon correlation spectroscopy)により生分散液粒子サイズは0.07μmであった。この分散液の一部を20℃に冷却した後、激しく撹拌して凝集させることで粉末を得、これを100℃の真空オーブン中で乾燥させた。分析の結果、このTFE/HFPコポリマー樹脂のMVは1.7x103Pa・sであり、HFPIは8.34であり、Tm(ピーク)は166℃であり、そしてTm(終点)は201℃であることが示された。
比較実施例3
周囲圧力下で以下の手順を用い、比較実施例1の手順で合成したHFPI=8.30でTm(ピーク)が170℃でMV=0.2x103Pa・sのTFE/HFPコポリマーが5重量%入っている溶液を生じさせた。50mLの三角フラスコに、TFE/HFPコポリマー樹脂を1.6gおよびパーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)[C14F24(Flutec(商標)PP11、Rhone−Poulenc)を28.5g入れた。この充填したフラスコを160℃のシリコンオイルバスの中に入れてガラス被覆磁気撹拌棒で撹拌した。溶解が約30分で完了した。溶媒を凝縮させるに充分なほどフラスコの壁が冷えていたことから、還流コンデンサを用いる必要はなかった。この溶液を室温に冷却すると透明なゲルが生じ、このゲルは、約105℃に温めると容易に再溶解した。
実施例4
この実施例ではTFE/HFPコポリマーにパーフルオロ(アルキルビニル)エーテル(PAVE)を含めることを説明する。比較実施例1の手順に従ったが、但しここでは、脱イオン水の前仕込みを50.7部にし、Zonyl(商標)TBS界面活性剤を0.076部用い、反応温度を108℃にし、圧力が550psig(3.8MPa)になるまでHFPを加え、HFPを添加した後パーフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)を0.084部仕込み、最初の開始剤添加で、APSが0.45重量%に加えてKPSが0.62重量%入っている溶液0.66部を0.066部/分でポンプ輸送し、反応槽へのPPVEポンプ輸送を重合が始まった後0.00034部/分で始めてこのバッチが終了するまで(250分間)継続して行い、撹拌機の速度を40rpmで本質的に一定にし、最初の加圧を行った後に反応槽に加える膳TFEを14.2部にした。この反応槽に加えた全PPVE(前仕込みとポンプ輸送)は0.17部であった。このコポリマー樹脂のMVは3.3x103Pa・sであり、HFPIは6.96であり、Tm(ピーク)は185℃であり、そしてTm(終点)は227℃であった。高温19F NMR分析により、このコポリマーはHFPを22.6重量%およびPPVEを0.32重量%含有することが示された。
実施例5
この実施例ではTFE/HFPコポリマーにパーフルオロアルキルエチレンを含めることを説明する。比較実施例1の手順を繰り返したが、但しここでは、Zonyl(商標)TBS界面活性剤の量を0.054部にし、真空排気後のポリケトル(polykettle)にパーフルオロブチルエチレン(PFBE)を0.048部仕込み、そして重合中0.93重量%のAPS溶液を0.020部/分で加えた。この場合も反応槽に添加するTFEの全量を同じにしたが、最初の加圧を行った後の反応時間を277分にした。このコポリマー樹脂のMVは0.6x103Pa・sであり、HFPIは6.78であり、Tm(ピーク)は196℃であり、そしてTm(終点)は227℃であった。
実施例6
この実施例ではTFE/HFPコポリマーにヒドロキシ官能フルオロビニルエーテルを含めることを説明する。比較 実施例2の手順に従ったが、但しここでは、Zonyl(商標)TBS界面活性剤を0.065部用い、真空排気後の反応槽にCF2=CF−[OCF2CF(CF3)]−O−(CF2−CH2−OH(EVE−OH、米国特許第4,982,009号)を0.033部加え、初期の開始剤添加を、APSが1.20重量%に加えてKPSが1.80重量%入っている溶液0.44部にし、そして反応中にポンプ輸送する開始剤にAPSを0.23重量%入れると共にKPSを0.40重量%入れた。20分間から成る開始剤添加期間中に観察された圧力降下は46psig(0.32MPa)であり、反応槽から取り出したその得られる分散液は固体を24.2重量%含有していた。このコポリマー樹脂のMVは0.8x103Pa・sであり、HFPIは7.38であり、Tm(ピーク)は188℃であり、そしてTm(終点)は234℃であった。
実施例7
この実施例でもまたTFE/HFPコポリマーにPAVEを含めることを説明する。8.37重量部の水容量を有していて直径に対する長さの比率が1.5である、水平に位置させた、水ジャケット付きのパドル撹拌筒状ステンレス鋼製反応槽に、脱イオン水を4.63部仕込んだ。この反応槽を65℃に加熱し、真空排気を行い、TFEで浄化した後、再び真空排気を行った。次に、この反応槽に真空をかけることで、水(0.19部)にZonyl(商標)TBS界面活性剤が0.008部入っている溶液を吸い込ませた。更に0.13部の水を用いて、上記溶液を濯ぎながら反応槽の中に入れた。次に、この反応槽を密封した後、この反応槽にパーフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)を0.016部ポンプ輸送した。撹拌を100rpmで開始し、そして反応槽の温度を上昇させて103℃にした。反応槽の温度を103℃に調節しながらこの反応槽にHFPをゆっくりと加えて522psig(3.6MPa)の圧力を達成した。次に、この反応槽にTFEを加えることで600psig(4.1MPa)の最終圧を達成した。次に、新しく調製した1.4重量%のAPS水溶液(0.066部)を0.011部/分で上記反応槽にポンプ輸送した。これに続いて、この重合の残りの期間、1.0重量%のAPS溶液を0.002部/分で反応槽にポンプ輸送した。反応槽の圧力で10psig(0.07MPa)降下することで示されるように反応が始まった(「開始した」)後、追加的PMVEを0.0005部/分で反応槽にポンプ輸送しそして反応槽の圧力を4.1MPaに維持する必要に応じて追加的にTFEを加えた。この重合全体で撹拌機の速度を100rpmで一定に保持した。最初の圧力上昇後に添加した全TFEは1.4部であった。次に、TFEの供給を停止した後、この反応槽に最大冷却をかけた。重合開始からTFE供給を停止するまでの時間は273分であった。この反応槽の内容物が90℃に到達した時点で撹拌機を停止させて反応槽の排気を行った。排気に約10分要した後、開始剤の流れを停止させた。ほぼ大気圧にまで排気された後の反応槽を窒素で浄化することにより、残存モノマーを除去した。次に、この反応槽から分散液を取り出し、激しく撹拌して凝集させることでコポリマー粉末を得、これを100℃の真空オーブン中で乾燥させた後、これの特徴づけを行った。この樹脂が示すMVは0.3x103Pa・sであり、HFPIは6.47であり、Tm(ピーク)は163℃であり、そしてTm(終点)は198℃であった。このTFE/HFPコポリマー中のPMVE量は、このコポリマー中のPMVEに起因する889cm-1の所の赤外吸収の分析を基準にして6.3重量%であった。PMVEを重合に加えない以外は同じ重合を実施した。この重合生成物が示すMVは0.1x103Pa・sであり、HFPIは7.36であり、Tm(ピーク)は181℃であり、そしてTm(終点)は230℃であった。このコポリマー樹脂の赤外分析を行った結果、889cm-1の所に全く吸収ピークを示さなかった。

Claims (10)

  1. テトラフルオロエチレン(TFE)と、ヘキ サフルオロプロピレン(HFP)と、TFEおよびHFP以外で あって2から8個の炭素原子を有するフルオロオレフィ ン類、アルキル基が1から6個の炭素原子を有するパー フルオロ(アルキルビニル)エーテル、およびエステ ル、アルコールまたは酸官能のフルオロビニルエーテ ル、から成る群から選択される少なくとも1種のモノマ ーとの、部分結晶性コポリマーであって、6.4から9の 範囲のヘキサフルオロプロピレンインデックス(HFPI) および180℃から255℃のTm(終点)を示すコポリマー
  2. 0.1x103から10x103Pa・sの溶融粘度(MV)を示す請求項1のコポリマー。
  3. MVが0.5x103から5x103Pa・sの範囲である請求項2のコポリマー。
  4. HFPIが7.3から9.0の範囲である請求項1のコポリマー。
  5. HFPIが7.3から8.5の範囲である請求項1のコポリマー。
  6. 上記モノマーが上記フルオロオレフィンである請求項1のコポリマー。
  7. 上記モノマーが上記パーフルオロ(アルキルビニル)エーテルである請求項1のコポリマー。
  8. 上記モノマーが上記フルオロビニルエーテルである請求項1のコポリマー。
  9. 請求項1のコポリマーの溶液であって、該コポリマーが高度にフッ素化されている溶媒中に溶解している、該溶液。
  10. 溶媒が高度にフッ素化されているシクロアルカンまたは芳香族である、請求項の溶液。
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