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JP3593216B2 - 印刷インキ組成物 - Google Patents

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JP3593216B2
JP3593216B2 JP22675596A JP22675596A JP3593216B2 JP 3593216 B2 JP3593216 B2 JP 3593216B2 JP 22675596 A JP22675596 A JP 22675596A JP 22675596 A JP22675596 A JP 22675596A JP 3593216 B2 JP3593216 B2 JP 3593216B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶剤型印刷インキ組成物に関し、より詳しくは優れた接着性、耐熱性、耐油性を有し、経時での保存安定性の良好な溶剤型印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種プラスチックフィルム用印刷インキのバインダー樹脂として、ポリアミド樹脂やセルロース誘導体がよく利用されている。
【0003】
例えば、菓子や米の袋には、インキを被着体の表側のみに印刷し、食品と接触する裏側には印刷しないといった簡単な構成(表刷り印刷方式といわれる)のものが利用されるが、この表刷り用印刷インキの代表的なバインダー樹脂は、一般的にポリアミド樹脂の単独系あるいはセルロース誘導体との併用系である。
【0004】
これは表刷り用印刷インキに要求される性能が、主に光沢、接着性、耐熱性、耐油性等であるためで、ポリアミド樹脂は光沢および接着性、セルロース誘導体は耐熱性をインキに付与する。
【0005】
しかし、ポリアミド樹脂の単独系では十分な耐熱性が得られず、また、セルロース誘導体との併用系ではインキの光沢や各種フィルムに対する接着性が低下する傾向があり、これらの系のみで高い耐熱性と、光沢、接着性を同時に満足するインキ組成物を得ることは困難である。
【0006】
従って、これら要求性能を向上させる方法として、インキ組成中に架橋剤としてアルキルチタネートを添加する方法が知られているが、インキの黄変や経時での保存安定性が低下するなどの問題がある。
【0007】
また、本願出願人は、チタンステアレートを架橋剤として添加する方法を特願平7−183039号で提案しているが、架橋剤の含有量が多くなると、得られる印刷インキ組成物の耐油性が不十分となるという問題を有する。
【0008】
さらに、チタンオルソエステルとリン酸モノアルキルまたはリン酸ジアルキルとの反応物を添加した系も、特開昭61−37851号公報で提案されているが、これらの系では、十分な効果を得るためには架橋剤の含有量が多くなり、経時での保存安定性が低下するという問題を有する。
【0009】
一方、高品位を要求される食品包装用途あるいはボイル・レトルト用途の包装袋は、インキを被着体の裏面に印刷し、さらに印刷面にフィルムをラミネートする構成(裏刷り印刷方式といわれる)のものが利用されるが、この裏刷り用印刷インキの代表的なバインダー樹脂は、一般的にポリウレタン樹脂である。これは裏刷り用印刷インキに要求される性能が、主に広範なタイプのフィルムと接着し、ラミネート強度やボイル・レトルト処理に耐える耐熱性、耐熱水性等であるためであるが、ポリウレタン樹脂単独系でこれらの性能を満足することは困難である。
【0010】
この問題解決のためにも、前記の特開昭61−37851号公報で提案されている方法が利用できるが、その効果は未だ不十分である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、各種プラスチックフィルムに印刷された場合に良好な接着性、耐熱性、耐油性を有するインキ皮膜がえられ、さらに経時での保存安定性の良好な印刷インキ組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、顔料、水酸基含有樹脂、チタン系架橋剤および有機溶剤から主として構成される印刷インキ組成物において、前記チタン系架橋剤が、以下の一般式(1)で表されるチタネート化合物の少なくとも1種(a成分)と、一般式(2)で表されるジ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)フォスフェートの少なくとも1種(b成分)を、a成分:b成分のモル比率が(0.5〜4):1となる割合で反応させた反応物であり、印刷インキ全組成の0.1〜5重量%の範囲で含有されていることを特徴とする印刷インキ組成物に関する。
【0013】
【化2】
Figure 0003593216
【0014】
ここで、Xはそれぞれ独立に、炭素数が3から18のアルキル基またはアシル基、Yはそれぞれ独立に炭素数が1〜18のアルキル基を表す。また、jは0〜9の整数、mおよびnは正の整数で、m+n=2〜10を満たす。
【0015】
また本発明は、前記水酸基含有樹脂として、ポリアミド樹脂および/またはセルロース誘導体を用いる印刷インキ組成物に関する。
【0016】
また本発明は、前記水酸基含有樹脂として、ポリウレタン樹脂を用いる印刷インキ組成物に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
【0018】
<顔料>
まず、本発明のインキ組成物で使用する顔料としては、一般に有機溶剤型インキ組成物で使用できる無機、有機顔料あるいは体質顔料が使用できる。
【0019】
具体的には、無機顔料として、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛など、有機顔料として、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
【0020】
さらに体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどを挙げることができる。
【0021】
これらの顔料のインキ組成物中での含有量は、通常1〜50重量%程度である。
【0022】
<バインダー樹脂>
本発明のインキ組成物で使用するバインダー樹脂は、水酸基含有樹脂であり、主にポリアミド−セルロース誘導体混合系またはポリウレタン系で、必要に応じて他の樹脂を添加することができる。
【0023】
・ポリアミド樹脂
本発明のインキ組成物のバインダー樹脂として使用可能なポリアミド樹脂は、主に重合脂肪酸、さらに脂肪族、脂環族および芳香族ジカルボン酸や脂肪族モノカルボン酸を一部含有してもよい酸成分と、主に脂肪族、脂環族、芳香脂肪族および芳香族ポリアミンの単独または混合物、さらには一級および二級モノアミンを一部含有してもよいアミン成分とを反応させたものである。
【0024】
ここで、重合脂肪酸とは一般に炭素数が16から22の不飽和脂肪酸またはそのエステルの重合により得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸、三量化重合脂肪酸等を含むものである。
【0025】
また、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸など、脂環族ジカルボン酸としてはシクロヘキサンジカルボン酸など、芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸などを挙げることができる。
【0026】
さらに脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などを挙げることができる。
【0027】
一方、アミン成分としては、ポリアミンとして、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族ジアミン、キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン、一級および二級モノアミンとして、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン等のモノ−およびジ−アルキルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のモノ−およびジ−アルカノールアミンを挙げることができる。
【0028】
特にポリアミド樹脂のみをインキのバインダー樹脂とする場合、架橋剤との反応性を持たせるために、一級または二級モノアミン成分としてアルカノールアミンを用い、水酸基価が0.5〜10程度の分子内に水酸基を有するポリアミド樹脂を使用する。このばあい水酸基を含有しないポリアミド樹脂を併用してもよい。
【0029】
以上の酸成分とアミン成分からポリアミド樹脂を合成する方法としては、反応成分のカルボキシル基/アミノ基の比率を0.9/1.0〜1.0/0.9、好ましくは1.0/1.0とし、反応温度を160〜280℃、好ましくは180〜230℃として、最終段階では100torr程度の減圧下で反応させることが望ましい。
【0030】
・セルロース誘導体
本発明のインキ組成物のバインダー樹脂として使用可能なセルロース誘導体としては、ニトロ基置換体としてニトロセルロース、低級アシル基置換体としてセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、低級アルキル基置換体としてメチルセルロース、エチルセルロースなどを挙げることができる。
【0031】
これらセルロース誘導体の分子量や水酸基の置換度などは、通常の塗料やインキ組成物で使用される範囲のものが本発明でも支障なく利用できるが、水酸基の置換度が1.3〜2.7程度のものが好ましく、また耐熱性の面からはニトロ基置換体の使用が有利であり、接着性の面からは低級アシル基置換体および低級アルキル基置換体が有利であるから、使用の目的に応じて適宜選択して使用することが好ましい。
【0032】
本発明において、ポリアミド樹脂系バインダー樹脂の使用量は、通常粘度や流動性の面からインキ組成物中に5〜30重量%の範囲が好ましい。またポリアミド樹脂−セルロース誘導体系バインダー樹脂とした場合、バインダー樹脂総量は、通常、粘度や流動性の面からインキ組成物中に5〜30重量%程度であり、また、ポリアミド樹脂/セルロース誘導体の併用比率としては、光沢や耐熱性の面から1.0/0.1〜1.0/0.5(重量比率)の範囲が好ましい。なお、ポリアミド樹脂−セルロース誘導体系バインダー樹脂のばあい、ポリアミド樹脂として水酸基を含有しないものも使用可能である。
【0033】
・ポリウレタン樹脂
本発明のインキ組成物のバインダー樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂は、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、鎖伸長剤および反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂である。
【0034】
まず、有機ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
【0035】
これらの有機ジイソシアネート化合物は、単独または混合して使用できるが、溶解性、インキの流動性の面から、脂環族、脂肪族、または芳香脂肪族のものが好ましい。
【0036】
高分子ジオール化合物としては、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物の他、各種高分子ジオール化合物が使用できる。
【0037】
ここで、ポリエーテルジオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物を挙げる事ができる。
【0038】
また、ポリエステルジオール化合物としては、アジピン酸、セバシン酸、無水フタール酸等の二塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のグリコール類とを縮合反応させて得られるものが挙げる事ができる。
【0039】
更に、その他の高分子ジオール化合物として、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンジオール等を挙げる事ができる。
【0040】
これらの高分子ジオールとしては、数平均分子量が300〜6000のものが好ましい。前記高分子ジオールは単独または混合して使用する事ができるが、得られるラミネートインキのラミネート強度、ボイル・レトルト適性の面から、ポリエステルジオール化合物がより好適である。
【0041】
なお、前記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物の使用比率は、イソシアネート基と水酸基の当量比が、通常、(1.3〜3.0):1.0、より好ましくは、(1.5〜2.0):1.0となる範囲である。
【0042】
次に、鎖伸長剤としては、まず、ポリウレタン分子内に水酸基を導入するためのアミノエチルエタノールアミンなどのジアミノアルコール化合物、グリセリンなどの1級の水酸基2個と2級の水酸基を1個以上有するポリアルコール化合物を用いることができる。
【0043】
さらに後記の反応停止剤で分子内に水酸基を導入する場合は、ジオール化合物あるいはジアミン化合物が利用できる。
【0044】
ここで、ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げる事ができ、またジアミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジアミン、イソホロンジアミン等を挙げる事ができる。
【0045】
次に、反応停止剤としては、ポリウレタン分子内に水酸基を導入するために、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の、水酸基およびイソシアネート基と反応する官能基の両方を有する化合物が使用でき、更に反応停止前の残存イソシアネート基の0.5当量以下で、モノブチルアミン等のモノアミン化合物やメタノール、エタノール等のモノアルコール化合物を併用する事ができる。
【0046】
また、鎖伸長剤を用いて分子内に水酸基を導入されている場合は、モノアミンやモノアルコールを単独で使用できる。
【0047】
以上の各材料よりポリウレタン樹脂を製造する方法としては、インキバインダー用ポリウレタン樹脂を製造するための公知の方法がそのまま利用できる。
【0048】
上記の方法によりポリウレタン樹脂に水酸基を導入し、水酸基価が0.5〜30程度のポリウレタン樹脂を使用するのが好ましい。
【0049】
また、前記ポリウレタン樹脂の数平均分子量としては、通常5,000ないし150,000、より好ましくは30,000ないし100,000である。
【0050】
本発明において、ポリウレタン樹脂系バインダーの通常の使用量は、粘度や流動性の面からインキ組成物中に5〜30重量%の範囲が好ましい。
【0051】
・その他のバインダー樹脂
その他のバインダー樹脂としては、フィルム用溶剤型印刷インキで使用される各種バインダー樹脂が使用でき、具体的にはマレイン酸系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂等を挙げることができる。これらバインダー樹脂のインキ組成物における使用量は、通常、0〜10重量%程度である。
【0052】
<チタン系架橋剤>
本発明で使用可能なチタン系架橋剤は、下記の一般式(1)で表されるチタネート化合物の少なくとも1種(a成分)と、一般式(2)で表されるジ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)フォスフェートの少なくとも1種(b成分)を反応させて得られる反応物である。
【0053】
【化3】
Figure 0003593216
【0054】
ここで、Xはそれぞれ独立に、炭素数が3から18のアルキル基またはアシル基、Yはそれぞれ独立に炭素数が1〜18のアルキル基を表す。また、jは0〜9の整数、mおよびnは正の整数で、m+n=2〜10を満たす。
【0055】
一般式(1)で表わされる分子構造においてXのアルキル基及びアシル基の炭素数が18を超えると、えられる印刷インキの耐油性が低下し、一方炭素数が3より少ないとえられる印刷インキの耐熱性が低下して好ましくない。またjが9を超えると、えられる印刷インキの耐熱性が低下する。
【0056】
Xで表わされる炭素数3〜18のアルキル基としては、たとえばn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシル等があげられる。Xで表わされる炭素数3〜18のアシル基としては、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、テトラデカノイル、ステアロイル等があげられる。
【0057】
えられる印刷インキの耐熱性を良好にする点からは、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、テトラデカノイル、ステアロイル等の炭素数8〜18のアシル基を分子内のチタン原子と同数以上含有するチタネート化合物が好ましい。
【0058】
a成分の具体例としては、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、トリイソプロポキシチタンモノステアレート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジイソプロポキシチタンジステアレート、ジ−n−ブトキシチタンジステアレート、ビス(2−エチルヘキシルオキシ)チタンジステアレートとその2〜10(j=1〜9)の重合体を挙げることができる。これらチタネート化合物は単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
【0059】
なお、インキの耐熱性の面から、チタネート化合物としては、一般式(1)のXで表わされる基としてアルキル基と共にステアロイル基を有するチタンステアレート系化合物がより好適に使用できる。
【0060】
一般式(2)で表される分子構造において、水酸基は一般式(1)で表される化合物に対する反応点であり、本発明の効果を得るために必要であるが、この基が2つ以上となるとインキ組成物の保存安定性が低下する。また、Yで表わされるアルキル基の炭素数が18を超える化合物は製造上困難で、使用には適しない。さらに、m+nの値が2未満では保存安定性の低下が見られ、10を超えるとえられる印刷インキの耐熱性が低下する。
【0061】
Yで表わされる炭素数が1〜18のアルキル基としては、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル等があげられる。
【0062】
b成分の具体例としては、ジ〔POE(2)プロピルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(2)ブチルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(4)プロピルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(4)ブチルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(4)ヘキシルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(4)オクチルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(4)ドデシルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(4)オクタデシルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(6)プロピルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(6)ブチルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(8)プロピルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(8)ブチルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(10)プロピルエーテル〕燐酸、ジ〔POE(10)ブチルエーテル〕燐酸等を挙げることができる。これらジ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)フォスフェートは単独で、又は2種以上を混合して使用できる。なお、前記においてPOEとはポリオキシエチレンを指し、( )内はその付加モル数を表す。
【0063】
さらにa成分とb成分との反応比率は、a成分:b成分=(0.5〜4):1となる割合(モル比率)であり、a成分が前記の範囲より少なくなるとインキの耐熱性が低下し、一方多くなるとインキの保存安定性が低下して好ましくない。
【0064】
なお、a成分とb成分の反応は、通常各々の成分をアルコール系溶媒、ケトン系溶媒等の溶解可能な有機溶媒に溶解させ、室温あるいはそれ以下に冷却しながら、a成分溶液中にb成分溶液を徐々に滴下混合しながら行なうことができる。
【0065】
以上のようにして得られるチタン系架橋剤の含有量は、全印刷インキ組成物に対して0.1〜5重量%である。チタン系架橋剤の含有量が前記の範囲より少なくなると十分な耐熱性、耐油性が得られず、また多くなるとインキの保存安定性が低下する。
【0066】
<有機溶剤>
本発明で使用される有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系、およびエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系とその誘導体といった各種有機溶剤を挙げることができ、通常は混合溶剤として利用される。
【0067】
<インキの製造方法>
以上の材料を用いて本発明のインキ組成物を製造する方法としては、バインダー樹脂、顔料、有機溶剤及び必要に応じて顔料分散剤などの混合物を、高速ミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライターなどを用いて練肉し、さらに所定の材料の残りを添加、混合する方法が一般的である。
【0068】
<用途>
本発明のインキ組成物は主にグラビア印刷方式を利用して各種被着体に印刷することができる。
【0069】
ここで、インキ組成物の印刷される被着体としては、通常の延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、変性ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、ナイロン、ポリスチレン等の各種プラスチックフィルムの他に、それぞれアルミニウムなどの金属の蒸着された延伸ポリプロピレン(VM−OPP)フィルム、無延伸ポリプロピレン(VM−CPP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(VM−PET)フィルム等があげられる。
【0070】
さらに、インキのバインダーとしてポリウレタン樹脂を使用した系は、上記フィルムに印刷された後、印刷面にイミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタン系などのアンカーコート剤を塗工し、溶融ポリオレフィンを積層する押出しラミネート加工、及び印刷面にウレタン系などの接着剤を塗工し、プラスチックフィルムを積層するドライラミネート加工にも利用可能である。
【0071】
本発明の印刷インキ組成物は通常のプラスチックフィルムのみならず、金属蒸着フィルムに対して、従来のインキ組成物にない優れた効果を発揮するものである。
【0072】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部および%は特に限定がない限り、重量部及び重量%を表す。
【0073】
<チタン系架橋剤の調製>
下記製造例で使用したチタネート化合物およびジ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)フォスフェートはつぎのとおりである。
【0074】
【化4】
Figure 0003593216
【0075】
【化5】
Figure 0003593216
【0076】
【化6】
Figure 0003593216
【0077】
【化7】
Figure 0003593216
【0078】
製造例1
撹拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた反応器内に化合物T1の75%イソプロパノール溶液677部を仕込み、反応器を冷却槽で冷却し内温を5〜10℃に保ちながら、滴下ロートを通して化合物P1の75%イソプロパノール溶液355部を徐々に滴下、撹拌混合し反応させ、チタン系架橋剤No.1を得た。
【0079】
製造例2〜19
製造例1と同様の操作により、表1の配合に従ってチタン系架橋剤No.2〜19を得た。
【0080】
【表1】
Figure 0003593216
【0081】
<ポリアミド樹脂ワニスの調製>
トルエン280部、メチルエチルケトン280部、イソプロパノール140部の混合溶剤中に市販のポリアミド樹脂(レオマイドS2600、花王株式会社製)300部を溶解させて固形分30%のポリアミド(PA)樹脂ワニスを得た。
【0082】
<セルロース誘導体ワニスの調製>
酢酸エチル850部にニトロセルロースとして硝化綿HIG1/2(旭化成株式会社製)150部を溶解させて固形分15%のセルロース誘導体(CN)ワニスを得た。
【0083】
<ポリウレタン樹脂ワニスの調製>
合成例1と同様の装置に、イソホロンジイソシアネート39.1部、アジピン酸と1,4−ブタンジオールから合成された数平均分子量2000のポリブチレンアジペートジオール207部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100℃にて10時間反応させた。冷却後、トルエン193部、メチルエチルケトン193部を加えて均一に溶解し、イソプロピルアルコール193部、イソホロンジアミン11.9部を加えて20分間反応させ、さらにモノエタノールアミン1.3部で反応を停止し、数平均分子量25000、固形分30%のポリウレタン(PU)樹脂ワニスを得た。
【0084】
実施例1〜20および比較例1〜16
表2、3の配合に従い、顔料と適量の樹脂成分および混合溶剤を仕込み、レッドデビル型ペイントコンディショナーで30分間混練し、さらに残りの成分を添加混合して、実施例1〜20および比較例1〜16のインキ組成物を調製した。
【0085】
なお、顔料として酸化チタン(タイペーク R−900、デュポン社製)を使用した。また混合溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=40/40/20重量比の組成のものを使用した。
【0086】
<評価試験>
以下の評価方法に従って、実施例1〜20および比較例1〜16のインキ組成物の耐油性、耐熱性、接着性、経時粘度安定性を評価し、その結果を表2、3に示した。
【0087】
なお、ポリアミド樹脂/セルロース誘導体を用いたインキ組成物は、とくにOPPフィルム用途で耐熱性、耐油性を必要とする分野で使用され、ポリウレタン樹脂を用いたインキ組成物は各種プラスチックフィルムを対象として耐熱性、耐油性を余り必要としない分野で使用される。そこで、それぞれインキに必要とされる性能で評価した。
【0088】
(接着性)
評価方法 ポリアミド樹脂/セルロース誘導体を含有する各試験インキをグラビア校正機でOPPフィルムに印刷して温風乾燥して印刷物を得た。また、ポリウレタン樹脂を含有する各試験インキをグラビア校正機でOPPフィルム、PETフィルム、アルミ蒸着PETフィルムに印刷して温風乾燥して印刷物を得た。なお、アルミ蒸着PETフィルムのばあいはアルミ蒸着面に印刷した。これら印刷物の印刷面にセロハンテープを貼り付け、急速に剥がしたときの印刷皮膜がフィルムから剥離する度合いから、接着性を評価した。
【0089】
評価基準 A:印刷皮膜がフィルムから全く剥離しない。
B:印刷皮膜の面積比率として、20%未満がフィルムから剥離する。
C:印刷皮膜の面積比率として、20%以上、50%未満がフィルムから剥離する。
D:印刷皮膜の面積比率として、50%以上がフィルムから剥離する。
【0090】
(耐熱性)
評価方法 ポリアミド樹脂/セルロース誘導体を含有する各試験インキをグラビア校正機でOPPフィルムに印刷した印刷面に、80〜160℃の熱傾斜を有する熱板を備えたヒートシール試験機を用いて、アルミ箔を1.6kg/cmの圧力で、2秒間押圧した。印 刷面のインキがアルミ箔に転移する最低温度から、試験インキの 耐熱性を評価した。
【0091】
評価基準 A:160℃以上のもの
B:140℃以上、160℃未満のもの
C:120℃以上、140℃未満のもの
D:100℃以上、120℃未満のもの
E:100℃未満のもの
【0092】
(耐油性)
評価方法 ポリアミド樹脂/セルロース誘導体を含有する各試験インキをグラビア校正機でOPPフィルムに印刷した印刷面を学振型耐摩擦試験機を用いて、サラダ油をしみ込ませたあて布で500gの荷重下100回摩擦し、印刷面の変化から耐油性を評価した。
【0093】
評価基準 A:印刷面、あて布ともに変化なし。
B:印刷面に変化はないが、あて布が着色する。
C:印刷面に筋状の傷が認められる。
D:印刷面に面状の傷が認められる。
【0094】
(経時粘度安定性)
評価方法 試験インキの40℃で7日間経時前後の粘度変化(B型粘度計の30rpmでのインキ粘度測定データ)から経時粘度安定性の評価を行った。
【0095】
評価基準 A:経時後/経時前の粘度比が1.5未満のもの
B:経時後/経時前の粘度比が1.5以上、2.0未満のもの
C:経時後/経時前の粘度比が2.0以上、3.0未満のもの
D:経時後/経時前の粘度比が3.0以上のもの
【0096】
ここで、接着性、耐油性、経時粘度安定性についてはBランク以上、耐熱性についてはCランク以上であれば実用上許容範囲である。
【0097】
なお、使用したプラスチックフィルムは、OPPフィルム(パイレンP−2161、膜厚30μ、東洋紡績(株)社製)、PETフィルム(E−5102、膜厚12μ、東洋紡績(株)社製)、VM−PETフィルム(VM−PET E−7075、東洋紡績(株)社製)である。
【0098】
【表2】
Figure 0003593216
【0099】
【表3】
Figure 0003593216
【0100】
【発明の効果】
以上、実施例を挙げて示したように、本発明の印刷インキ組成物は、プラスチックフィルムの表刷りおよび裏刷り用途に適用するために、優れた接着性、耐熱性、耐油性が付与され、経時での保存安定性の良好な溶剤型印刷インキ組成物である。

Claims (3)

  1. 顔料、水酸基含有樹脂、チタン系架橋剤および有機溶剤から主として構成される印刷インキ組成物において、前記チタン系架橋剤が、以下の一般式(1)で表されるチタネート化合物の少なくとも1種(a成分)と、一般式(2)で表されるジ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)フォスフェートの少なくとも1種(b成分)を、a成分:b成分のモル比率が(0.5〜4):1となる割合で反応させた反応物であり、印刷インキ全組成の0.1〜5重量%の範囲で含有されていることを特徴とする印刷インキ組成物。
    Figure 0003593216
    ここで、Xはそれぞれ独立に、炭素数が3から18のアルキル基またはアシル基、Yはそれぞれ独立に炭素数が1〜18のアルキル基を表す。また、jは0〜9の整数、mおよびnは正の整数で、m+n=2〜10を満たす。
  2. 前記水酸基含有樹脂として、ポリアミド樹脂および/またはセルロース誘導体を用いる請求項1記載の印刷インキ組成物。
  3. 前記水酸基含有樹脂として、ポリウレタン樹脂を用いる請求項1記載の印刷インキ組成物。
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