JP3592762B2 - 自動車懸架装置の安定装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動車と共に用いる安定装置に関する。さらに詳細には、本発明は自動車の横揺れ運動に抵抗するのに用いる安定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多種類の懸架装置が振動、衝突、及び動いている自動車に関連する横揺れのようなその他の自動車の移動を最小にしまた制御するために利用されている。自動車の懸架装置は通常自動車の向き合う車輪の間に位置しかつこれら車輪の内側で自動車に取付られた懸架組立体を含んでいる。この懸架組立体は、車輪がその周りを回転する軸線を提供しかつ車体フレームに取付けられた横断部材と回動自在に結合された制御アーム組立体によって担持された、各車輪に結合された連結点又は操縦ナックル(回転支軸)を含んでいる。制御アームとこの制御アームに作動的に連結された付勢又はばね組立体とが設けられ、それにより制御アームが回動変位した時、付勢組立体がこの変位の衝撃を減衰し自動車全体を通じての伝達を最小にし又は阻止するようにしている。
【0003】
従来の懸架装置についてさらに検討すると、広く用いられている形式の懸架装置は、車体フレームに取付けられ横断部材の両端部に回動自在に取付けた、堅い横断部材又は組立体を用いている。自動車が旋回するにしたがって、自動車の車体は旋回の方向から離れて横揺れするようになる。この横揺れ作用を弱め又は最小とするため、トーションバーのような安定化組立体又は装置が用いられ、横揺れ作用から生じるエネルギーを自動車の一方の側から他方の側へと移送するようにしていた。従来のトーションバーは一般に、懸架組立体に取付けられ一定量の路面衝撃及び横揺れエネルギーがトーションバーを捩るため移送されるような、大きな厚さの鋼のバー又は一群のバーを用いて構成されている。このようなトーションバーはその両端部がフレーム又はシャシーと制御アームとに取付けられる。
【0004】
トーションバーを捩るよう移送されるエネルギー又は力は相当大きなものとなる。この点に関し、従来のトーションバーは典型的には、このような力に抵抗し又は対抗し車体の横揺れを制御するのに必要な弾性力を得るため、大きな、重い鋼のバーである。従来のトーションバーは7〜15ポンド(3.15〜6.75kg)又はそれ以上である。これら従来のトーションバーはエンジン室内部と後部懸架領域で相当な空間を占有しまた捩り作用のための十分な間隙を得るため懸架組立体から離れて延びている。
【0005】
従来のトーションバーに関する他の問題はこのような安定組立体が単一の車輪の衝撃に対し感応しやすい点である。この点については、懸架装置の単一の車輪が衝撃を受けた時、トーションバーに移送された弾性の大きさ又は潜在エネルギーが懸架装置の弾性力に組合わされる。こうして、従来のトーションバーは実際に単一の車輪の衝撃に押し合い効果を生じることができる。この条件は自動車の乗員の乗り心地と自動車のハンドル操作とに対し非常に否定的な作用をする。
【0006】
従来のトーションバーはまた調節自在に構成されそれにより所望の捩り抵抗がバーに予め負荷されバーを捩るのに必要な力の量を調節するようになっている。この調節自在のトーションバーは多くの場合2つの大きな重い金属のバーを必要とし、それぞれのバーが対応の制御アーム組立体に取付けられまた懸架組立体に近接して内側に延びている。各バーはフレーム上の離間した位置で終り、そして調節自在の取付け部材を含んでいる。この調節自在のトーションバー組立体のための取付け部材は、トーションバーに十分に取付けられまた対応のトーションバーに関連する捩り力に抵抗するには極めてかさばりかつ重くなる。
【0007】
上記の簡単な説明から理解できるように、従来のトーションバーは横揺れ力に応動するばかりでなく単一の車輪の衝撃力にも応動する。このようなトーションバーは通常、極めて重く、大きな空間を占有し、そのため重量の特徴とトーションバーに関連する大きな空間の使用とに適応するためには多くの設計上の考慮を必要とする。さらに、このような従来のトーションバーは、その大きな寸法及び重量とトーションバーを取付け及び/又は調節自在に固定するのに必要な多くの構成部品のため、大きな製造コストと構成部品通路と高所の収容部とを必要とする。
【0008】
単一の車輪の衝撃作用を横揺れ作用から遮断しまた安定組立体に関連する重量と安定装置によって占有される空間とを実質的に減少ししかも所望の力減衰作用を維持することが要求される。多くの新しい車は改善された安全上の特徴とより大きな燃料効率とを必要とする。トーション組立体によって使用される空間とトーション組立体によって付加される重量とを減少することにより節減された重量と空間は、安全上の特徴のために又は自動車全体の重量と寸法とを最小にするために利用されそれにより燃料効率を改善することができる。
【0009】
上記の理由で、安定装置に関連する重量を実質的に減少しまたこの装置によって占有される空間を実質的に最小にする、懸架装置と共に用いる安定装置が必要となる。このような安定装置の利点は、空間の利用を実質的に改善し自動車に関連した重量を減少しまた空間と自動車の重量とに対する広い設計上の選択をもたらすことができることである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の全体的な目的は、一方の車輪上の与えられた力を対向する車輪に移送するための引張り綱を用いる、自動車の懸架装置と共に用いる安定装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は軽量で自動車懸架装置内部に小さな空間を占める、自動車懸架装置と共に用いる安定装置を提供することである。
【0012】
本発明のまた他の目的は組立体に予め負荷するよう調節自在な、自動車懸架装置と共に用いる安定装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
簡単に言えば、上記のように、本発明は自動車の懸架装置の対向する制御アーム組立体と結合され制御アーム組立体の間に延びる第1及び第2の綱又はその他の可撓引張り部材を用いる。自動車の懸架装置と共に用いる安定装置を構想するものである。各綱の第1の端部が対応の制御アーム組立体に堅く固定される。各綱の第1の端部から遠く離れた第2の端部は第1の端部から離れた制御アーム組立体に堅く固定される。各綱は、これらの綱の通路に結合されかつこの通路の間に位置する少なくとも2つの案内の上側と下側を交互に縫うように進む。これら締結点に結合された案内及び/又はブッシュは屈撓可能な材料で形成され綱に屈撓自在の付勢作用を得るようにすることができる。調節組立体が各綱に結合され結合された綱に所望の張力を予め負荷する。この安定装置は制御アーム組立体の間に空間を占め綱のベルト状の特性により非常に軽量である。本発明の安定装置は、結合された綱を交互に緊張状態とするか又は他方の綱を弛めることにより一方の制御組立体に課せられた力を反対側の制御アーム組立体に伝達する作用をする。可撓引張り部材又は綱は好ましくは単一の車輪の衝撃荷重の作用を最小にしようとする位置で制御アームに連結される。
【0014】
【実施例】
本発明の構造と作用の機構と態様は、本発明のさらなる目的と利点と共に、同一部分には同一符号の付された添付図面と関連する以下の記載を参照することにより理解される。
【0015】
本発明は異なる形式の実施態様が可能であり、図面と詳細な説明に理解のため実施態様が示されているが、この記載は本発明の典型例と原理とを示すもので本発明をここに図示され記載されたものに限定することを意図するものではない。
【0016】
図1は自動車(図示しない)に作動的に結合される懸架装置組立体20を示す。懸架装置組立体20は、使用時、自動車のフレーム又はシャシーに取付けられた横断部材22と、この横断部材22の外側端部に配設された第1及び第2の制御アーム組立体24,26とを含んでいる。第1及び第2の制御アーム組立体24,26の各々は各端部が横断部材22に作動的に取付けられた少なくとも1つの懸架アーム28と、従動車輪32を含む操縦ナックル(回転支軸)組立体30と、操縦ナックル30に作動的に取付けられた支柱34とを含んでいる。
【0017】
本発明は懸架装置と共に用いる安定装置36を考案するもので第1及び第2の制御アーム組立体24,26を緊張状態に連結する第1及び第2の手段38,40を含んでいる。安定装置36は制御アーム組立体の一方に負わされた力を他方の制御アーム組立体に移送するように作用する。図1に示されるように、第1及び第2の連結手段38,40が対応の第1及び第2の細長い可撓部材又は綱42,44と第1及び第2の綱42,44の各々に結合された第1及び第2の案内手段46,48とを含んでいる。綱42,44は共に第1の制御アーム組立体24に取付けられた第1の固定具50と第2の制御アーム組立体26に取付けられた第2の固定具52とに取付けられている。
【0018】
さらに図1を参照すると、連結手段38,40の各々は他方に対し鏡像関係にある。この点について、第1の綱42は、第1の固定具50に取付けられ第1の案内手段46aの上側を上方に延び、第1の制御アーム組立体24に結合され、第2の制御アーム組立体26の方へと下方に向い第2の案内48bの下側を通り、その後に第2の固定具52に取付けられている。第2の綱44は第1の綱42が縫うように(ジグザグ状に)進む通路と鏡像関係にありかつ懸架装置を通る通路に沿っている。第2の綱44は第2の固定具52に取付けられ第2の制御アーム組立体26に結合された第1の案内46bの上側を上方に延びついで懸架装置を横切り第1の制御アーム組立体24に結合された第2の案内48aの下側を通りそこから上方に延び第1の固定具50に連結する。要約すると、第1の綱42は第1の案内46aの上側と第2の案内48bの下側とを通るジグザグ状の経路に沿い第2の固定具52に連結される。同様に第2の綱44は第1の案内46bの上側と第2の案内48aの下側とを通るジグザグ状の経路に沿い第1の固定具50に連結される。
【0019】
第1の案内46a,46bは、力が対応の綱42,44にかけられた時対応の第1の案内46a,46bが圧縮されそれにより減衰力が対応の綱42,44によって第1の案内に移送されるような屈撓自在の材料で形成される。第2の案内48a,48bもまた付加的な減衰作用がもたらされるよう屈撓自在の材料で形成される。案内46a,46b,48a,48bは適当なウレタン又はゴム合成物のようなエラストマー材料で形成される。図1に示されるように、第1の案内46a,46bは穴54が設けられ適当な圧縮特性が得られるようにし又はこの圧縮特性が全て材料の構成によって得られるようにする。
【0020】
さらに本発明において用いられる材料に関し、綱42,44は多くの引張りの繰返しに対して適当な引張り強度をもたらす材料で形成される。鋼及び金属の合金の綱又はケーブルを用いることができるが、適当なプラスチック材料又は合成材料のような他の材料を用いることができる。付加的な減衰作用を得るため、綱42,44は一定の弾性を有する材料で構成される。さらに、スリーブ55が綱42,44を覆うよう配置され綱42,44と対応の第1及び第2の案内46a,46b,48a,48bとの間の摩擦を減少するようにしている。さらに、このスリーブ55は綱42,44を偶発的な損傷を受けないよう保護する。
【0021】
調節機構56が第1の案内手段46a,46bに作動的に結合され第1の案内46a,46bの位置を制御可能に調節するようにし、それにより対応の綱42,44の張力と案内46a,46b,48a,48bの圧縮とを増加し又は減少するようにしている。この調節機構56は図5に示され以下に詳細に述べられるようにねじの切られたシャフトによって駆動される機械的レバーのような公知の構造を有している。調節機構56の本体に対するねじつきシャフトの前進は案内46a,46bの位置を精密に調節する。安定装置における張力を調節する能力はこの安定装置が回転されて所望の乗り心地又は操縦特性をつくり出すことができるようにする。
【0022】
使用時、図1に示される懸架装置20に結合された安定装置36は車輪32,33の一方に加えられた力を他方の車輪に移動させる。この力の移動において、エネルギーは第1及び第2の案内手段46a,46b,48a,48bの屈撓自在の特徴により弱められる。安定装置36は単一の車輪の衝撃に対し感受性が少なくそれにより第1及び第2の連結手段38,40が通常の連結具により第1及び第2の固定具50,52に相互に連結され減衰作用がもたらされるようにする。
【0023】
図2から7は上記のような安定装置の他の形式を示す。この安定装置58は図2から7に示される自動車懸架装置60と共に用いるよう構成されている。この懸架装置は横断部材60の両端に回動自在に取付けられた第1及び第2の制御アーム組立体62,64を含んでいる。制御アーム組立体62,64は、それぞれ共通の連結ヘッド74で接合する2つの離間した分枝部72,72を有する対応の第1及び第2の分岐した制御アーム68,70を含んでいる。この連結ヘッド74は公知の構造の操縦ナックル(図示しない)と作動的に結合されまた連結ヘッド74の凹所75に作動的に結合された公知の構造(図示しない)の衝撃吸収組立体を含むことができる。分枝部72の各々は枢軸ナックル76で終わり、枢軸シャフト77が各制御アーム68,70の2つの枢軸ナックル76と横断部材66の対応部材とを通って延び制御アーム68,70と横断部材66との間に回動作用をもたらすようにする。
【0024】
横断部材66に回動自在に取付けられた分岐制御アーム68,70の構造はこの技術分野では公知であり本発明にとって構造上の基礎となるものである。本発明は安定装置58を制御アーム68,70の間に位置させ、利用される空間を最小にしまた自動車の横揺れに対し高度に応動するが車輪の衝撃に対しては少ししか応動しない安定装置58を提供するようにしている。図2に示されるように、安定装置58は対向して配設された第1及び第2の制御アーム68,70を引張り状態に連結する第1及び第2の手段78,80を含んでいる。第1及び第2の連結手段78,80は制御アーム68,70の分枝部72,72の間に位置する中間部分86に取付けられ分枝部72,72の間に延びる第1及び第2の可撓性の細長い綱82,84を含んでいる。第1及び第2の固定具88,90が各制御アーム68,70の中間部分86に取付けられている。
第1の制御アームに結合された第1及び第2の固定具は第1の固定具88a及び第2の固定具90aと同じでありまた第2の制御アーム70に結合された第1及び第2の固定具は第1の固定具88b及び第2の固定具90bと同じである。綱82,84は、固定具88a,90bと88b,90aとの間を、第1の制御アーム68の近くに保持された第1の案内手段92の上側と下側をまた第2の制御アーム70の近くに保持された第2の案内手段94の下側と上側を、ジグザグ状に進む。
【0025】
第1の綱82は第2の固定具90aに取付けられ第1の案内92を越え第2の制御アーム70に向って上方に延びる。綱82はそれから第2の案内94の下側から第1の固定具88bへと上方に向ってジグザグ状に進む。同様に、第2の綱84が第1の固定具88aに取付けられ第1の案内92の下側から第2の制御アーム70に向って下方に延び第2の案内94を越えて下方向にジグザグ状に進み第2の固定具90bに連結される。換言すれば、第1及び第2の綱82,84は離間された制御アーム68,70に取付けられた第1及び第2の固定具88,90の間を鏡像関係の経路に沿ってジグザグ状に進む。図示のように、第1の固定具88a,88bはこれに固定された綱が対応の案内の下側を下方に向って通る経路に沿うように対応の案内92,94に対し位置している。同様に、第2の固定具90a,90bはこれに固定された綱が上方に延び対応の案内を越えて通過しなければならないように位置している。さらに、第1及び第2の案内92,94は対応の枢軸シャフト77,77上に保持される。
【0026】
図6と7は第1の固定具88bに取付けられた第1の綱と第1の案内92の上を通過する第1の綱82との拡大詳細図をそれぞれ提供する。図6は第1の固定具88bの破截横断面図である。図6に示されるように、綱82は固定具88bの固定ブラケット97に回動自在に保持されたブッシュ96の周りに巻きついている。綱82はブッシュ96の周りを巻き公知の構造のバックル又はひだ付け締結具98により固定される。図7について、第1の案内92の単一のブッシュが枢軸シャフト77の上にその上を通過する綱82と共に回転自在に配置されているところが示されている。案内92,94の各々は2つのブッシュを含み、その各々がその上に位置し又は下側を通過する対応の綱に結合されている。第1の案内92が第1及び第2の案内92,94を象徴する。案内92,94は堅い材料で形成され枢軸シャフト77上に回動自在に保持されたプーリとすることができ、又は所望度の圧縮性を有するウレタンもしくはゴム合成物のような弾性材料で形成しそれにより力が加えられて対応の綱82,84を引張った時に案内92,94が屈撓するようすることができる。以下にさらに詳細に述べられるように、案内92,94のこの屈撓性は本発明の作動に対して重要である。
【0027】
図4は図3の4−4線に沿った簡単な概略断面図を提供する。使用時、本発明の安定装置58は制御アーム68,70に加えられた力の2重補償の安定をもたらす。例えば、制御アーム70に関し、上方に向う力(矢印100で示される)が制御アーム70を枢軸シャフト77の周りに回転させそれにより第2の固定具90を第2の案内94から離れるよう回転させ変位させる。第2の固定具90bの変位は下向きの力(矢印102で示す)を第2の案内手段94に加えまた上向きの力(矢印104で示される)を第1の案内92に加える。第1及び第2の案内が屈撓自在であるため、力102と104は自動車への伝達を最小とするよう弱められ又は吸収される。
【0028】
安定装置58によって変位される力は一般に制御アーム68,70の連結ヘッド74で発生する。枢軸シャフト77に対する制御アーム68,70と固定具88a,88b,90a,90bとの寸法上の関係は制御の安定性を促進しそして安定装置58が単一車輪の衝撃に対し実質的に感度がより低くなるようにする。連結ヘッド端部74に生じる大きな変位は固定具88,90では非常に小さな変位に変わる。安定装置58に加えられた力の実質的な部分は第1及び第2の案内92,94の屈撓特性により弱められ又は消失される。
【0029】
さらに、本発明は従来の安定装置よりも実質的に小さな空間しか占有しない。この綱の細いバンド状の構造と寸法は非常に小さな空間しか占有せず、図2と3に示されるように横断部材66の開口を通ってジグザグ状に進むことができる。本発明の効率的な空間の利用は大きな嵩張る従来の装置によって占有された空間を無用にすることにより他の設計上の考慮をさらに広くする。さらに、安定装置58の全重量は固定具のブラケット部分、ブッシュ、案内及び綱を包含して約3ポンド(1.35kg)である。本発明は従来の装置に対し約5〜10ポンド(2.25〜4.5kg)の自動車重量の軽減をもたらす。
【0030】
付加的事項として、図2〜4に示される安定装置58はまた調節組立体106を含むことができる。この調節組立体106は第1及び第2の固定具の代わりをする。図5において第1の固定具88a,88bは取替えられている。調節組立体106は各制御アーム68,70に取付けられた基部ブラケット108と、枢軸ピン112により基部ブラケット108に回動自在に取付けられた回動ブラケット110と、基部ブラケット108の表面に当接するねじつきシャフト116として示されている調節手段114とを含んでいる。ブッシュ96は図6について述べられたようなやり方で回動ブラケット110に回動自在に保持されている。綱はブッシュ96にバックルで留められ調節組立体106から延びている。
【0031】
ねじつきシャフト116は回動ブラケット110に固定された共働ねじつきナット部分118を通って前進され基部ブラケット108に対し前進し又は引っ込むようにする。例えば、装置における引張り力を増大しなければならなかったならば、ねじつきシャフト116が基部ブラケット108に対しナット部分118を通って前進されブッシュ96を枢軸ピン112に対し上方に回転しそれにより装置における引張り力を増大させるようにする。調節組立体106は、綱82,84における通常の又は予めかけられた引張り力を増大し又は減少させることにより安定装置の感度を精密に同調させる能力を提供する。装置を調節する能力は綱における予め課せられた引張り力を調節することにより堅い乗り心地に柔かさを与えることができる。
【0032】
使用時、第1及び第2の綱82,84は自動車懸架装置組立体60の第1及び第2の制御アーム68,70に連結する。綱は第1及び第2の案内92,94の上側と下側をジグザグ状に前進されそして制御アーム68,70に取付けられた各第1及び第2の固定具88,90で終わる。角を曲がる時、自動車の車体は横揺れを含む力を受ける。安定装置58は一方の車輪上の横揺れ運動によって生じた力を他方の車輪に変位させることによりこの運動を制限する。
【0033】
例えば、自動車が右へ曲がった時(第2の制御アーム70が自動車の右側である)、車体は右側に横揺れするようになりそのため制御アーム70に力が加わる。これらの力は制御アーム70を横断部材66に対して上方に回動しそれにより第1の固定具88bを枢軸シャフト77に対し回転し第1の綱82を引張り状態に置く。自動車の車体の横揺れの増大により、綱の引張り力は増加する。得られた綱の引張り力は上向きの力を第2の案内94に下向きの力を第1の案内92に、誘発する。得られた横揺れ偶力は横断部材66に堅く取付けられた自動車の車体の横揺れ運動を抑制するよう作用する。
【0034】
本発明の好適な実施態様が図示され記載されているが、当業者にとって本発明の種々の変更が特許請求の範囲の精神と範囲から逸脱することなく考案されるであろうことが考えられる。本発明は上記の開示によって限定されることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の懸架装置に結合された安定装置を示す自動車懸架装置の概略の部分破截前面図である。
【図2】安定装置の他の実施態様を用いた概略自動車懸架装置の部分破截斜面図である。
【図3】図2に示す懸架装置の平面図である。
【図4】図2及び3に示される安定装置の簡略化した概略図である。
【図5】調節組立体をさらに組み込み、装置に用いる綱の予め負荷した張力を調節自在に設定するようにした、図4に示す装置と実質的に同じ安定装置の簡略化した概略図である。
【図6】ブッシュが保持され綱が取付けられた固定具の部分の1つの拡大部分破截断面図である。
【図7】対応の枢軸シャフトに結合された案内の上側を通過する綱の拡大斜面図である。
【符号の説明】
20…懸架装置組立体
22…横断部材
24,26…制御アーム組立体
28…懸架アーム
30…操縦ナックル組立体
34…支柱
36…安定装置
38,40…連結手段
42,44…綱
46,48…案内手段
50,52…固定具
55…スリーブ
58…安定装置
60…懸架装置
62,64…制御アーム組立体
66…横断部材
72…分枝部
76…枢軸ナックル
77…枢軸シャフト
78,80…連結手段
82,84…綱
88,90…固定具
106…調節組立体
114…調節手段
Claims (8)
- 互いに対向する第1及び第2の制御アーム組立体を含む自動車の車輪懸架装置のための安定装置において、
第1の制御アーム組立体に結合された固定具手段と、
第2の制御アーム組立体に結合された別の固定具手段と、
第1の制御アーム組立体に結合された案内手段と、
第2の制御アーム組立体に結合された別の案内手段と、
一対の可撓部材であって、一方の可撓部材が、第1の制御アーム組立体に結合された固定具手段から、第1の制御アーム組立体に結合された案内手段に向けて上向きに延び、次いで第1の制御アーム組立体に結合された案内手段の上側を延び、次いで第2の制御アーム組立体に結合された案内手段に向けて下向きに延び、次いで第2の制御アーム組立体に結合された案内手段の下側を延び、次いで第2の制御アーム組立体に結合された固定具手段に向けて上向きに延び、他方の可撓部材が、第2の制御アーム組立体に結合された固定具手段から、第2の制御アーム組立体に結合された案内手段に向けて上向きに延び、次いで第2の制御アーム組立体に結合された案内手段の上側を延び、次いで第1の制御アーム組立体に結合された案内手段に向けて下向きに延び、次いで、第1の制御アーム組立体に結合された案内手段の下側を延び、次いで第1の制御アーム組立体に結合された固定具手段に向けて上向きに延び、これら可撓部材が第1の制御アーム組立体と第2の制御アーム組立体との間で鏡像関係のジグザグ状経路に沿っている可撓部材と、
を具備し、
自動車の第1の方向への横揺れによって、前記自動車の横揺れに抵抗するために、前記一方の可撓部材に引張り力が生じ、前記一方の可撓部材が第1の制御アーム組立体に結合された案内手段に対し下向きの圧力を作用するように、前記一方の可撓部材が第2の制御アーム組立体に結合された案内手段に対し上向きの圧力を作用するようにし、
自動車の反対方向への横揺れによって、前記他方の可撓部材に引張り力が生じ、前記他方の可撓部材が第2の制御アーム組立体に結合された案内手段に対し下向きの圧力を作用するように、前記他方の可撓部材が第1の制御アーム組立体に結合された案内手段に対し上向きの圧力を作用するようにした、
自動車の車輪懸架装置の安定装置。 - 第1の制御アーム組立体に結合された固定具手段を単一の固定具から構成し、第2の制御アーム組立体に結合された固定具手段を単一の固定具から構成した請求項1に記載の安定装置。
- 第1の制御アーム組立体に結合された固定具手段を互いに離間した一対の固定具から構成し、第2の制御アーム組立体に結合された固定具手段を互いに離間した一対の固定具から構成した請求項1に記載の安定装置。
- 第1の制御アーム組立体に結合された案内手段を単一の案内から構成し、第2の制御アーム組立体に結合された案内手段を単一の案内から構成した請求項1に記載の安定装置。
- 第1の制御アーム組立体に結合された案内手段を互いに離間した一対の案内から構成し、第2の制御アーム組立体に結合された案内手段を互いに離間した一対の案内から構成した請求項1に記載の安定装置。
- 前記一方の可撓部材が引張られた時に、該一方の可撓部材に対し弾性付勢作用を与えるように、第1の制御アーム組立体に結合された案内手段を屈撓自在の材料から形成し、前記他方の可撓部材が引張られた時に、該他方の可撓部材に対し弾性付勢作用を与えるように、第2の制御アーム組立体に結合された案内手段を屈撓自在の材料から形成した請求項1に記載の安定装置。
- 各可撓部材に結合されて対応する可撓部材の引張り力を制御自在に調節する調節組立体をさらに具備した請求項1に記載の安定装置。
- 案内手段に隣接する各可撓部材の一部を被覆して案内手段と可撓部材との間の摩擦力を減少させるようにする摩擦減少スリーブをさらに具備した請求項1に記載の安定装置。
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