JP3591749B2 - 車両用エアコンシステムのドア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアコンアンプユニット(親局)と1つ以上のドアアクチュエータ(子局)とを1本の通信線と1本の電源線を介して接続することでLAN(ローカルエリアネットワークlocal area network)化し、複数のドアの開度を制御する車両用エアコンシステムのドア制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用エアコンシステムのドア制御装置としては、例えば、特開平6−8746号公報に記載されているように、エアコンアンプユニットに各ドアアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動回路を組み込み、エアーミックスドア用,モードドア用,インテークドア用の各アクチュエータと駆動回路をハーネスで接続するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両用エアコンシステムのドア制御装置にあっては、駆動回路と各ドアアクチュエータとをそれぞれ5本〜9本のハーネスにより接続するものであり、ハーネス本数及び重量が多大になるし、また、各ドアアクチュエータはポテンショ方式やエンコーダ方式等のように種類が異なり、量産効果を望めないし、さらに、エアコンアンプユニットにアクチュエータ駆動回路を組み込んでいることでアンプが大型化するしマイコン負荷も大きくなる。
【0004】
そこで、これらの問題の解決策となるのが、エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線により接続するLAN化である。
【0005】
すなわち、LAN化の採用により、ハーネス本数の削減,アクチュエータの統合化,アンプの小型化を達成することができ、この結果、システム軽量化やシステムコストの低減という優れた長所を得ることができる。
【0006】
しかしながら、現行システムに代えてLAN化システムを採用しようとしても下記の解決しなければならない課題が残る。
【0007】
現行システムでは、エアコンアンプユニットのアクチュエータ駆動回路により各ドアアクチュエータのそれぞれが駆動されるため、例えば、モードスイッチを操作した時もスイッチ操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータが応答遅れなく直ちに駆動される。
【0008】
しかし、LAN化の採用で1本の通信線を介してアンプから複数のドアアクチュエータに対しドア目標停止位置データを送信するようにした場合、予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データが送られることになるため、モードスイッチ等を操作した時に最悪の場合で通信1周期分遅れてドアアクチュエータが駆動されるし、また、ドアアクチュエータの数が多い空調システムほど遅れ時間が長くなる。
【0009】
すなわち、アンプ/アクチュエータ間をLAN化した場合、ラジオノイズ等を抑えるために通信速度を遅く設定しなければならなく、1個のドアアクチュエータにつき100msecの時間を要する。従って、例えば、10個のドアアクチュエータが存在する空調システムでは、全てのドアアクチュエータの通信が終了するまで1sec を要することになり、最悪の場合には、スイッチ類操作がなされてからドアアクチュエータが動作するまでに1sec かかることになる。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、複数のドアアクチュエータを駆動制御する車両用エアコンシステムのドア制御装置において、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、空調モード等を変えるスイッチ類操作時のドア開閉動作遅れを解消することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(解決手段1)上記課題の解決手段1は、図1(イ) のクレーム対応図に示すように、モードスイッチや温度調整ダイヤル等のスイッチ類が設けられている操作部aを有するコントローラbと、内蔵しているマイコンによってスイッチ類やセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、空調システムに設けられているファンモータcや複数のドアアクチュエータd,e,fを駆動制御するエアコンアンプユニットgを備えた車両用エアコンシステムのドア制御装置において、前記エアコンアンプユニットgと複数のドアアクチュエータd,e,fとを1本の通信線hと1本の電源線iを介して接続し、スイッチ類非操作時は、複数のドアアクチュエータd,e,fに対し予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データを1本の通信線hを介して順に送り、スイッチ類操作時は、スイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータdまたはeまたはfへのドア目標停止位置データを、決められたローテーションで送られているデータの途中に割り込ませる第1優先ドア駆動制御手段jを設けたことを特徴とする。
【0012】
(解決手段2)上記課題の解決手段2(請求項1)は、図1(ロ) のクレーム対応図に示すように、モードスイッチや温度調整ダイヤル等のスイッチ類が設けられている操作部aを有するコントローラbと、内蔵しているマイコンによってスイッチ類やセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、空調システムに設けられているファンモータcや複数のドアアクチュエータd,e,fを駆動制御するエアコンアンプユニットgを備えた車両用エアコンシステムのドア制御装置において、前記エアコンアンプユニットgと複数のドアアクチュエータd,e,fとを1本の通信線hと1本の電源線iを介して接続し、スイッチ類非操作時は、複数のドアアクチュエータd,e,fに対し予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データを1本の通信線hを介して順に送り、スイッチ類操作時は、その時に送られているドア目標停止位置データからスイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータdまたはeまたはfへのドア目標停止位置データまで送信ローテーション上で飛び越える第2優先ドア駆動制御手段kを設けたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)実施の形態1は、解決手段1に対応する車両用エアコンシステムのドア制御装置である。
【0014】
まず、構成を説明する。
【0015】
図2は実施の形態1のドア制御装置が適用された車両用エアコンシステム図である。
【0016】
エアコンシステムのメカ系として、図2の上部に示すように、インテークユニットケース1、外気側吸入口2、室内側吸入口3、ブロアファン4、ブロアファンモータ5、インテークドア6、クーリングユニットケース7、エバポレータ8、ヒータユニットケース9、ベント吹出口10、デフ吹出口11、フット吹出口12、ヒータコア13、ミックスドア15、ベントドア16、デフドア17、フットドア18を備えている。
【0017】
エアコンシステムの制御系として、図2の中部から下部に示すように、ファンコントロール回路20、インテークドアアクチュエータ22、エアミックスドアアクチュエータ23、モードドアアクチュエータ24、エアコンアンプユニット25、水温センサ26、冷媒温度センサ27、内気センサ28、外気センサ29、日射センサ30、吸込温度センサ31、コントローラ32を備えている。
【0018】
前記ファンコントロール回路20は、エアコンアンプユニット25からの指令によりブロアファンモータ5への印加電圧を無段階に制御する。
【0019】
前記インテークドアアクチュエータ22は、エアコンアンプユニット25にてインテークドア6のドア開度(内気,半外気,外気)が決定されると、インテークドア6を決定したドア開度に動かす。
【0020】
前記エアミックスドアアクチュエータ23は、モータエアコンアンプユニット25にて仮想ドア開度XPBR が決定されると、仮想ドア開度XPBR のデータを受信して仮想ドア開度XPBR に一致するドア開度が得られるようにミックスドア15を動作させる。
【0021】
前記モードドアアクチュエータ24は、エアコンアンプユニット25にて目標モードドア位置が決定されると、モードドア(ベントドア16,デフドア17及びフットドア18の総称)を開閉させる。
【0022】
前記エアコンアンプユニット25は、内蔵しているマイコンによって各スイッチやセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、ブロアファンモータ5や各ドアアクチュエータ22,23,24や図外のコンプレッサ等を総合的に制御する。
【0023】
前記水温センサ26はエンジン冷却水温を、冷媒温度センサ27は冷媒温度を、内気センサ28は内気温度TINC を、外気センサ29は外気温度Tamを、日射センサ30は日射量QSUN を、吸込温度センサ31は吸込温度TINT をそれぞれ検出し、エアコンアンプユニット25に入力する。
【0024】
前記コントローラ32は、車室内のコントロールパネル部に装備され、モードやファン速度や温度等を表示する表示部32aと、モードスイッチや温度調節ダイヤル等が設けられている操作部32bと、表示部32aへの表示出力や操作部32bからのスイッチ入力やエアコンアンプユニット25とのデータ通信を行なう操作・表示・通信回路32cによって構成されている。操作・表示・通信回路32cとエアコンアンプユニット25とは、操作データ線33とクロック信号線24と表示通信データ線35により接続されている。
【0025】
図3はアンプ/アクチュエータ間のネットワークを示す図であり、エアコンアンプユニット25と各ドアアクチュエータ22,23,24は、図3に示すように、1本の通信線36と1本の電源線37により接続されていて、エアコンアンプユニット25は各ドアアクチュエータ22,23,24のアドレスとモータの目標位置データを送信し、該当するアドレスを持つアクチュエータはこのデータを受信し、目標位置へモータを回転させる。
【0026】
図4はアンプ/アクチュエータ間の保護回路を省略したフィジカルレイヤ(ネットワークにおける回線の電気的な接続の確立,維持,解除等の機能を持つレイヤ)を示す図であり、通信信号としてクロック信号にデータを重畳させる3値式符号を用い、2種類のパルス振幅H/Lを表現する。アクチュエータのASICは通信信号よりクロックを抽出し、ASICの論理回路は、この抽出クロックにより通信信号のデコード(符号化されたデータを復元する操作)その他全動作を行なう。クロック信号はアンプからのみ供給されるため、通信速度はアンプのソフトで任意に設定可能である。
【0027】
図5(イ) はアンプの送信動作を示す送信タイミングチャートであり、CLK出力(クロック出力)がHの時はDATA出力(データ出力)に関係なくTr1により通信線36が設置される。CLK出力がLの時はDATA出力に応じたTr2のON/OFFにより通信線36は12VもしくはR1・R2 により決まる中間電位となる。
【0028】
図5(ロ) はアクチュエータの受信動作を示す受信タイミングチャートであり、データ抽出用コンパレータcmp1はLパルス振幅より大きい判定レベルを持ち、クロック抽出用コンパレータcmp2はLパルス振幅より小さい判定レベルを持つ。RXDATAでセット、RXCLKの立ち上がりでリセットした信号を、RXCLKのたち下がりでサンプリングすることによりデーコードを行なう。図中のNRZは抽出データである。
【0029】
次に、作用を説明する。
【0030】
[通信手順]図6〜図9により通信手順について説明する。
【0031】
通信に用いる信号は、図6(イ) の通信波形に示すように、2種類のパルス振幅によりH/Lを定義する。そして、図6(ロ) の符号化テーブルに示すように、3つのパルスの組み合わせにより2bitのバイナリデータを表す。
【0032】
通信フォーマットは、図7に示すように、送信開始を表すSOM(Start Of Message)、送信対象とするアクチュエータのアドレスを表すADR(アドレス)、モータ駆動の許可あるいは禁止を表すENA(イネーブル)、ドアの目標停止位置を表すDATA(データ)、ADR,ENA,DATAのエラーをチェックするPRTY(奇数パリティ)、診断用アクチュエータ返信信号を表すPOS(制御終了信号)である。図8は通信フォーマットの実例を示すもので、斜線部分は常にHパルスとなる。
【0033】
受信シーケンスを説明すると、ASICは、通信フォーマットの始まりを示すSOMを受信することにより受信シーケンスを開始する。ASICは該当するアドレスを検出した時のみ、後に続くデータを取り込むが、符号化テーブルにない波形に組み合わせやパリティ異常を検出した場合は受信シーケンスを終了し受信データを放棄する。受信シーケンス中にSOMを受信すると、受信シーケンスは最初からやり直しとなる。ASICはイネーブルが1のときにのみモータ駆動を行ない、イネーブルが0のときはデータ更新を行なうだけでモータの駆動は行なわない。
【0034】
アクチュエータの返信を説明すると、アンプはPOS信号の部分では必ずTr2をOFFさせ、POS信号を表す2つのパルスは、通常双方ともHパルスとなる。アンプからの信号を受信したアクチュエータは、ドアの位置が目標位置に到達し制御が終了していれば、POS信号の2つめのパルスがLパルスとなるようなタイミングでTr3をONさせる。アンプはPOS信号の振幅をモニタすることによって、送信対象としたアクチュエータのドアが目標位置にあるか否かを判別することができる。アクチュエータの返信は正常受信完了時にのみ行なわれ、アドレス不一致時やエラー発生時には返信を行なわない。尚、図9(イ) は制御中のPOS信号を示し、図9(ロ) は制御終了時のPOS信号を示す。
【0035】
[ドア駆動制御]図10はエアコンアンプユニット25で行なわれるドア駆動の優先制御を示す通信フォーマットを示す図である(第1優先ドア駆動制御手段に相当)。
【0036】
ここで、インテークドアアクチュエータ22を第1アクチュエータ(ACTR1)とし、エアミックスドアアクチュエータ23を第2アクチュエータ(ACTR2)とし、モードドアアクチュエータ24を第3アクチュエータ(ACTR3)とした場合を例にとる。
【0037】
コントローラ32の表示部32aに設けられているモードスイッチや温度調節ダイヤル等のスイッチ類を操作しないスイッチ類非操作時は、3つのドアアクチュエータ22,23,24に対し予め決められたローテーション(ACTR1→ACTR2→ACTR3)に従ってドア目標停止位置データDATAが1本の通信線36を介して順に送られる。
【0038】
スイッチ類非操作時にエアコンアンプユニット25に入力されるセンサからの温度情報が変化し、いずれかのドア開度を変えるような時、決められたローテーションを全く崩すことなくドア目標停止位置データDATAが送信されることで、例えば、ACTR1に対するDATA送信中に温度が変化してACTR3を駆動させようとしても、必ずACTR2に対するDATA送信が行なわれた後にACTR3に対するDATA送信が行なわれることになる。
【0039】
しかし、このドア駆動制御は、ドライバーや乗員が空調モード等を変える意志を持ってスイッチ操作を行なったことに基づくものではないため、多少のドア駆動の遅れがあっても何ら違和感を与えることもない。
【0040】
コントローラ32の表示部32aに設けられているモードスイッチや温度調節ダイヤル等のスイッチ類を操作するスイッチ類操作時は、スイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータへのドア目標停止位置データDATAを、決められたローテーションで送られているデータの途中に割り込ませる割り込み優先によるドア駆動制御が行なわれる。
【0041】
例えば、ACTR1に対するDATA送信中にモードスイッチによりモードを他のモードに切り換えた場合、図10に示すように、モードスイッチ操作により開閉動作させる必要のあるモードドアアクチュエータ24(ACTR3)へのドア目標停止位置データDATAが割り込み、モードスイッチ操作の後に送信される通信フォーマットは、ACTR3に対するドア目標停止位置データDATAを含む通信フォーマットとなる。
【0042】
よって、1個のドアアクチュエータにつき通信速度が100msecに設定されている場合、モードスイッチ操作後の制御遅れが100msec以内に抑えられることになり、見かけ上の通信遅れが生じなく、アンプ/アクチュエータ間のLAN化を採用しながらもモードスイッチ操作時にドア開閉動作遅れが解消されることになり、スイッチ操作に対するドア駆動制御の違和感も無くなる。
【0043】
次に、効果を説明する。
【0044】
エアコンアンプユニット25と複数のドアアクチュエータ22,23,24とを1本の通信線36と1本の電源線37を介して接続し、スイッチ類非操作時は、3つのドアアクチュエータ22,23,24に対し予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データDATAを1本の通信線36を介して順に送り、スイッチ類操作時は、スイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータ24へのドア目標停止位置データを、決められたローテーションで送られているデータの途中に割り込ませる優先ドア駆動制御を行なう装置としたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、空調モード等を変えるスイッチ類操作時のドア開閉動作遅れを解消することができる。
【0045】
また、実施の形態1の優先ドア駆動制御は、決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データDATAを送信するドア駆動制御プログラムに、スイッチ類の操作を監視して開閉動作させる必要のあるドアを決め、そのドアのデータを決められたローテーションで送られているデータの途中に割り込ませる処理をするプログラムを追加するだけの簡単なプログラム追加により達成することができる。
【0046】
(実施の形態2)実施の形態2は、解決手段2に対応する車両用エアコンシステムのドア制御装置である。
【0047】
システム構成は、実施の形態1ではドアアクチュエータを3つ用いているのに対し5つ用いた点で異なるのみで他は同様であるので説明を省略する。
【0048】
次に、作用を説明する。
【0049】
通信手順については、実施の形態1と同様に、図6〜図9に従って上記の説明通りに行なわれる。
【0050】
[ドア駆動制御]図11はエアコンアンプユニット25で行なわれるドア駆動の優先制御を示す通信ローテーションを示す図である(第2優先ドア駆動制御手段に相当)。
【0051】
コントローラ32の表示部32aに設けられているモードスイッチや温度調節ダイヤル等のスイッチ類を操作しないスイッチ類非操作時は、5つのドアアクチュエータACTR1,ACTR2,ACTR3,ACTR4,ACTR5に対し予め決められた基本ローテーション(ACTR1→ACTR2→ACTR3→ACTR4→ACTR5)に従ってドア目標停止位置データDATAが1本の通信線36を介して順に送られる。
【0052】
よって、スイッチ類非操作時にエアコンアンプユニット25に入力されるセンサからの温度情報が変化し、いずれかのドア開度を変えるような時には、上記のように、ドア駆動制御の遅れが生じることがあるが、このドア駆動制御は、ドライバーや乗員が空調モード等を変える意志を持ってスイッチ操作を行なったことに基づくものではないため、多少のドア駆動の遅れがあっても何ら違和感を与えることもない。
【0053】
コントローラ32の表示部32aに設けられているモードスイッチや温度調節ダイヤル等のスイッチ類を操作するスイッチ類操作時は、その時に送られているドア目標停止位置データDATAからスイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータへのドア目標停止位置データDATAまで送信ローテーション上で飛び越える優先ドア駆動制御が行なわれる。
【0054】
例えば、ACTR3に対するDATA送信中にモードスイッチによりモードを他のモードに切り換えた場合、図11に示すように、モードスイッチ操作により開閉動作させる必要のあるACTR2やACTR1やACTR5まで送信ローテーション上で飛び越え、モードスイッチ操作の後に送信される通信フォーマットは、飛び越えたACTRに対するドア目標停止位置データDATAを含む通信フォーマットとなる。
【0055】
ちなみに、1つのドアアクチュエータにつき通信速度が100msecに設定されている場合であって、図11に示す例のうちACTR3に対するDATA送信中にモードスイッチ操作が行なわれ、ACTR1へ飛び越える場合、図12に示すように、優先ドア駆動制御無しの場合には、モードスイッチ操作後の制御遅れが200msec以上となるのに対し、優先ドア駆動制御有りの場合には、モードスイッチ操作後の制御遅れが100msec以内に抑えられることになる。
【0056】
よって、優先ドア駆動制御により見かけ上の通信遅れが生じなく、アンプ/アクチュエータ間のLAN化を採用しながらもモードスイッチ操作時にドア開閉動作遅れが解消されることになり、スイッチ操作に対するドア駆動制御の違和感も無くなる。
【0057】
次に、効果を説明する。
【0058】
エアコンアンプユニット25と複数のドアアクチュエータ22,23,24とを1本の通信線36と1本の電源線37を介して接続し、スイッチ類非操作時は、3つのドアアクチュエータ22,23,24に対し予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データDATAを1本の通信線36を介して順に送り、スイッチ類操作時は、その時に送られているドア目標停止位置データDATAからスイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータへのドア目標停止位置データDATAまで送信ローテーション上で飛び越える優先ドア駆動制御を行なう装置としたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、空調モード等を変えるスイッチ類操作時のドア開閉動作遅れを解消することができる。
【0059】
また、実施の形態2の優先ドア駆動制御は、決められた基本ローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データDATAを送信するドア駆動制御プログラムはそのままで、スイッチ類の操作を監視して開閉動作させる必要のあるドアを決めたら、この決めたドアのアクチュエータへ飛んで基本ローテーションを開始するプログラムを追加するだけの簡単なプログラム追加により達成することができる。
【0060】
(その他の実施の形態)実施の形態1では3つのドアアクチュエータ22,23,24が設けられている例を示し、実施の形態2では5つのドアアクチュエータが用いられる例を示したが、3つや5つ以外の複数のドアアクチュエータが設けられたシステムにも適用することができるのは勿論である。
【0061】
【発明の効果】
実施の形態1にあっては、複数のドアアクチュエータを駆動制御する車両用エアコンシステムのドア制御装置において、エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線と1本の電源線を介して接続し、スイッチ類非操作時は、複数のドアアクチュエータに対し予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データを1本の通信線を介して順に送り、スイッチ類操作時は、スイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータへのドア目標停止位置データを、決められたローテーションで送られているデータの途中に割り込ませる第1優先ドア駆動制御手段を設けたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、空調モード等を変えるスイッチ類操作時のドア開閉動作遅れを解消することができるという効果が得られる。
【0062】
請求項1記載の発明にあっては、複数のドアアクチュエータを駆動制御する車両用エアコンシステムのドア制御装置において、エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線と1本の電源線を介して接続し、スイッチ類非操作時は、複数のドアアクチュエータに対し予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データを1本の通信線を介して順に送り、スイッチ類操作時は、その時に送られているドア目標停止位置データからスイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータへのドア目標停止位置データまで送信ローテーション上で飛び越える第2優先ドア駆動制御手段を設けたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、空調モード等を変えるスイッチ類操作時のドア開閉動作遅れを解消することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用エアコンシステムのドア制御装置を示すクレーム対応図である。
【図2】実施の形態1のドア制御装置が適用された車両用エアコンシステムの全体図である。
【図3】実施の形態1のアンプ/アクチュエータ間のネットワークを示す図である。
【図4】実施の形態1のアンプ/アクチュエータ間の保護回路を省略したフィジカルレイヤを示す図である。
【図5】図5(イ) はアンプの送信動作を示す送信タイミングチャートであり、図5(ロ)はアクチュエータの受信動作を示す受信タイミングチャートである。
【図6】図6(イ) は通信波形を示す図であり、図6(ロ) は符号化テーブルを示す図である。
【図7】データ通信に用いられる通信フォーマットを示す図である。
【図8】通信フォーマットの実例を示す図である。
【図9】図9(イ) は制御中のPOS信号を示し、図9(ロ) は制御終了時のPOS信号を示す。
【図10】実施の形態1のエアコンアンプユニットで行なわれるドア駆動の優先制御を示す通信フォーマットを示す図である。
【図11】実施の形態2のエアコンアンプユニットで行なわれるドア駆動の優先制御を示す通信ローテーションを示す図である。
【図12】スイッチ操作が行なわれた時にドア駆動優先制御無しの場合と有りの場合との通信ローテーションの比較を示す図である。
【符号の説明】
a 操作部
b コントローラ
c ファンモータ
d,e,f ドアアクチュエータ
g エアコンアンプユニット
h 通信線
i 電源線
j 第1優先ドア駆動制御手段
k 第2優先ドア駆動制御手段
Claims (1)
- モードスイッチや温度調整ダイヤル等のスイッチ類が設けられている操作部を有するコントローラと、内蔵しているマイコンによってスイッチ類やセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、空調システムに設けられているファンモータや複数のドアアクチュエータを駆動制御するエアコンアンプユニットを備えた車両用エアコンシステムのドア制御装置において、前記エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線と1本の電源線を介して接続し、スイッチ類非操作時は、複数のドアアクチュエータに対し予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データを1本の通信線を介して順に送り、スイッチ類操作時は、その時に送られているドア目標停止位置データからスイッチ類操作により開閉動作させる必要のあるドアアクチュエータへのドア目標停止位置データまで送信ローテーション上で飛び越える第2優先ドア駆動制御手段を設けたことを特徴とする車両用エアコンシステムのドア制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26704596A JP3591749B2 (ja) | 1996-10-08 | 1996-10-08 | 車両用エアコンシステムのドア制御装置 |
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