JP3586800B2 - 発色・消色型自己発色性感圧記録シート - Google Patents
発色・消色型自己発色性感圧記録シート Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、偽造防止性を備えた記録紙に関するものであり、基本的な偽造防止性は感圧発色性によって与えられるものである。例えば、本発明でいう偽造防止性を備えたインクジェット/発色・消色型自己発色性感圧記録シートとは、インクジェットプリンターを用いて容易にインクジェット印字でき、かつインパクトプリンターあるいは簡単な加圧などで容易に感圧発色できるインクジェット記録および感圧発色型の記録シートに関するものである。印刷/発色・消色型自己発色性感圧記録シートは通常の証券印刷や金券印刷が可能で、かつその真偽をチェック可能にした記録シート、磁気記録/発色・消色型自己発色性感圧記録シートは、感圧発色と磁気記録の両方の記録方法を兼ね備えることにより偽造防止ができ、感熱/発色・消色型自己発色性感圧記録シートは片面の印字を感熱記録により行いながら、券の真偽を感圧発色によりチェックできるシート、さらに、発色・消色型自己発色性感圧記録ラベルは、ラベルを被接着物に貼り付けた後でも偽造防止性を確認できるラベルを提供するものである。このような一連の記録シートは、感圧発色によりその真偽を確認できるとともに、真偽を確認した後では時間と共に感圧発色部分が消色するため、記録シートとして見苦しくなく、美麗なまま流通、使用、保存することができる。本発明の記録シートは伝票、帳票、記録紙、玩具、通信、証券、金券、チケット、切符、書類、シール、くじ、ラベルなどに用いることが可能で、簡単に真偽の判別ができる偽造防止性を有する記録シートである。
【0002】
【従来の技術】
電子供与性のまたはプロトン受容性の無色の有機化合物(以下、発色剤と称する)と電子受容性またはプロトン放出性(以下、顕色剤と称する)との反応にて発色像を得ることは古くから知られている。この現象を具体的に利用したものとして、感圧複写紙用(例えば、米国特許2505470号、同2505489号、同2550547号、同2548366号、同2712507号、同2730456号、同2730457号、同3418250号、同3672935号)、感熱記録紙(例えば、特公昭43−4160号、同43−7600号、同45−14039号、米国特許2939009号)などが挙げられる。さらに、顕色剤を塗布したシートに発色剤を含むインキを供給して着色像を得る印刷方法も知られている(ドイツ特許出願(OLS)1939962号)。
【0003】
顕色剤とは前に定義された性質を有するもので、クレー類、フェノール樹脂類、芳香族カルボン酸類、またはその金属塩などが挙げられる。
【0004】
一般に感圧複写紙においては、発色像を得るのに前記の発色剤を含んだマイクロカプセル含有層と顕色剤との組み合わせが用いられ、これらの層を接触させ、筆圧、タイプ圧などによりマイクロカプセルを破壊させて、発色剤と顕色剤を接触させることにより行われる。
【0005】
一般に、これらの顕色剤は支持体の全面に均一に塗布された顕色剤シートとして用いられるが、感圧複写紙の使用目的によっては、顕色剤シート側に記録不要部分を有することがあり、このような場合には減感剤を含む減感インキを印刷などによって顕色剤シートのその部分に塗布して減感する方法がとられている。
【0006】
このような目的で用いられる減感インキについては、例えば、米国特許2777780号、特公昭44−27255号、同45−21448号、同46−22651号、同46−29546号、特開昭47−32915号、特公昭47−38201号、同48−4050号、特開昭48−6805号、特公昭49−4484号、同49−19647号、同49−23008号、同49−23850号、特開昭49−43708号、同49−72009号、同49−77709号、同49−77710号、同49−15513号、同49−83509号、ドイツ特許出願(OLS)2343800号、同2359079号、同2361856号。特公昭58−38119号、特開昭63−74681号、同63−41184号などに詳述されている。これらの特許で開示されている技術は、感圧複写紙において特定の部分を全く発色させない技術であり、一般には感圧複写紙(特に顕色剤シート)に印刷することにより減感が達成されている。
【0007】
本発明に用いられる自己発色性感圧記録層は、いわゆるノーカーボン複写紙から発展したものであり、製品形態としては自己発色感圧記録シートまたはセルフコンティンドペーパーとも呼ばれている。その構成は、発色剤を内包するマイクロカプセルを支持体に設ける工程と、さらにその塗層上に酸性白土、フェノール樹脂、有機酸性物質などの顕色剤を設ける工程との都合2工程からなる2層塗工による製造方法(塗工順序を逆にしたものも含む)や、上記2成分の少なくとも1成分をマイクロカプセル化し、均一に混合して一層塗工による製造方法(特公昭47−16096号公報)が知られている。
【0008】
当然ながら、自己発色性感圧記録シートは、支持体表面に発色剤と顕色剤の両方が近接して存在するため、少しの摩擦や圧力により発色してしまうため、耐擦性の付与が必要であり、簡単な耐擦性の付与方法として、マイクロカプセルよりも粒径の大きい小麦でんぷん粒子などを自己発色性感圧記録層内に分散させ、多少の圧力では不用意に発色しないようにしたものもある。
【0009】
近年、各種計測機器のプリンターやレコーダー、ラベル用プリンター、POS用プリンター、および乗車券や入場券などの自動販売機などの広範囲の分野において、インクジェット方式、感熱方式、熱転写方式、などによる記録が使用されるようになってきた。特にインクジェット記録は、モノクロおよびカラーの両方の記録が可能であることから、また、感熱記録はメンテナンスフリーで手軽に記録が得られることから、ビジネスオフィスや販売店、家庭で便利に使用されている。しかしながら、これらの記録は、カラーコピー、パソコン、プリンター、および印字フォントなどの発達により簡単に同じ印字を行うことができるため、乗車券などの金券として扱う場合には偽造しやすいという問題があった。偽造防止の目的からは、このようないわゆる金券の記録用紙には偽造防止用の地紋印刷がなされていたり、マイクロ文字による偽造防止用の印刷がなされているが、近年のカラーコピーの発達により、印刷に関しては素人でも簡単に複製が作れるという状況になっている。このような状況は単に金券のみならず、値札あるいは商品詳細を記入したラベルや、スピードくじなどにおいても複製を作り易いという状況は同じである。
【0010】
社会生活の中で偽造方法の進展(特にカラーコピーに負う所が大きい)により、そのターゲットとされるのは切符やチケットなどの金券のみならず、ラベル、値札、書類などもその例に漏れない。すなわち、入場券や切符、切手、印紙、手形、小切手、証書などの金券以外にも世間に流通している本やCD、ゲームソフトなどのラベルや説明書、商品の値札そのもの、あらゆる種類のくじや投票券(馬券など)、会社の専用便せんなどもカラーコピーで複製を作ろうと思えば容易にできるのが現状である。
【0011】
インクジェット記録、感熱記録などにおいては、単独の発色方法のみでは使用できるプリンターが限定されてしまうため、インクジェット記録ヘッド、感熱記録ヘッド、インパクトヘッドの両方で印字可能な記録用紙が望まれていた。その理由のひとつとして、インクジェット記録、感熱記録ヘッド、あるいは感圧記録など1種類の記録方式のみでは前述したように簡単に偽造できてしまうので、少なくとも2つ以上の記録方式が併用できる多機能性の記録シートの開発が望まれていた。
【0012】
自己発色性感圧記録の発色システムは、支持体表面に発色剤と顕色剤の両方が近接して存在しているため、少しの摩擦や圧力により発色し、他の記録方法と組み合わせればそれなりに偽造防止することができるが、この軽い圧力による発色するという機能のため耐擦性の付与が必要である。簡単な耐擦性の付与方法として、マイクロカプセルよりも粒径の大きい小麦でんぷん粒子などを自己発色性感圧記録層内に分散させ、多少の圧力では不用意に発色しないようにしたものもある。しかしながら、このようなクッション材(スチルト材)の併用では、その耐擦性効果は限られるものであり、非常に耐擦性を向上させた自己発色性感圧記録シートにおいても、その印字は感圧複写紙用に設計されたプリンターでなければ、紙送りロールなどで自己発色性感圧記録層が発色してしまうという問題があった。このような耐擦性の悪さのために、例えば、インクジェットプリンター、感熱プリンター、磁気記録リーダー・ライターなどを通せば紙送りロールの跡が発色して使い物にならないというジレンマがあった。
【0013】
さらに、自己発色性感圧記録シートにおいても、インクジェット記録体と同様に近年のパソコン、プリンター、および印字フォントなどの発達により簡単に同じ印字を行うことができるため、金券として扱う場合には偽造しやすいという問題があった。偽造防止用の地紋印刷がカラーコピーにより複製できる点もインクジェットなどの場合と同様である。
【0014】
偽造防止の手段あるいは情報処理の機械化の手段としてよく用いられる方法に磁気記録方式がある。磁気記録方式は、磁気記録単体で用いられることは少なく、磁気記録とインクジェット記録、磁気記録と印刷(あるいは偽造防止印刷)、磁気記録と熱転写記録など組み合わせて用いるのが普通である。一般的には、磁気切符、磁気入場券、馬券などの投票券、プリペイドカード、クレジットカード、磁気回数券などの多くの分野に用いられているが、磁気記録は機械処理であり、かつその磁気情報は基本的には解読可能であるため、全く同じ磁気特性の磁気記録用紙を作れば偽造が可能であった。このことは磁気記録シートの1種類であるテレホンカードの偽造の多さを見ても判るとおりである。切符などは磁気情報と感熱記録情報、あるいは磁気情報と溶融熱転写記録情報が併用されるが、一般に解読は磁気情報のみによるため、磁気情報が解読されれば偽造防止性は極めて低いものになる。解読が磁気情報のみによるのは、感熱記録、あるいは溶融熱転写記録が文字情報であるため、自動改札などの極めて短時間での処理には向かないためである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明が解決しようとする課題は、自己発色性感圧記録シートの発色性を有し、必要時には加圧、フォーム印刷機、インパクトプリンターなどで容易に発色でき、かつその発色部分が時間とともに消色するため、発色部分が見苦しかったり、他の記録(インクジェット記録、感熱記録、印刷など)の妨げとならない発色・消色型自己発色性感圧記録シートを提供するものである。
【0016】
本発明が解決しようとする具体的な第一の課題は、自己発色型の感圧記録が可能であり、かつ感圧発色した部分は時間と共に消色し、その発色の痕跡がなくなる用紙、すなわち感圧発色しても(消色するから)見苦しくない記録シートを提供することにある。すなわち、記録シートの真偽を感圧自己発色性により確認する。さらに、感圧自己発色性により記録シートの真性を確認したら、確認のための発色部分は消色して確認部分を判らなくすることができる記録シートを供給するものである。
【0017】
本発明が解決しようとする具体的な第二の課題は、感圧記録およびインクジェット記録の2つの方法で記録を行うことにより、記録シートに偽造防止性を付与することにある。基本的には記録シートにインクジェット記録を行い、そのシートの真偽を感圧自己発色性により確認する。さらに、感圧自己発色性により記録シートの真性を確認したら、確認のための発色部分は消色して確認部分を判らなくする。
【0018】
本発明が解決しようとする第三の課題は、感圧記録および感熱記録の2つの方法で記録を行うことにより、記録シートに偽造防止性を付与することにある。基本的には記録シートに感熱記録を行い、そのシートの真偽を感圧自己発色性により確認する。さらに、自己発色性感圧記録により記録シートの真性を確認したら、確認のための発色部分は消色して確認部分を判らなくする。
【0019】
本発明が解決しようとする第四の課題は、表面に印刷用の顔料塗工層を設けた発色・消色型自己発色性感圧記録シートを提供することにある。印刷用の顔料塗工層を設けることにより、マイクロ文字印刷などの高度な印刷による偽造防止手段と、感圧自己発色性という手軽な偽造検知方法を組み合わせることにより、広範囲な偽造防止を達成することができる。さらに、感圧自己発色性により記録シートの真性を確認したら、確認のための発色部分は消色して確認部分を判らなくできるため、例えば、商品券などに用いても、真性の確認後見苦しくない。
【0020】
さらに、本発明が解決しようとする第五の課題として、偽造防止の手段のひとつとして、感圧自己発色・消色性を有する磁気記録シートを得ることにある。このような磁気記録/発色・消色型自己発色性感圧記録シートにおいては、磁気記録、感圧発色記録、印刷部分それぞれにおいて偽造防止を図ることが可能であるばかりでなく、さらに、感圧自己発色性により記録シートの真性を確認したら、確認のための発色部分は消色して確認部分を判らなくできるため、例えば、切符や入場券などに用いても、真性の確認後見苦しくない。
【0021】
本発明が解決しようとする第六の課題として、発色・消色型自己発色性感圧記録ラベルの提供である。主な情報記録は印刷などにより行い、そのラベル自体の真偽確認を感圧自己発色性を用いて行う。さらに、感圧自己発色性によりラベルの真性を確認したら、確認のための発色部分は消色して確認部分を判らなくできるため真性の確認後見苦しくない
【0022】
【課題を解決するための手段】
支持体の片面に、発色剤または顕色剤の少なくとも1方がマイクロカプセル化され、それぞれ単独で積層あるいは混合して単層の自己発色性感圧記録層を有する発色・消色型自己発色性感圧記録シートにおいて、該自己発色性感圧記録層が減感剤カプセルを含む発色・消色型自己発色性感圧記録層であることを特徴とする発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
【0023】
支持体の片面に前記発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面にインクジェット記録用インク受理層(以下、単にインク受理層)を設けてなるインクジェット/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
【0024】
支持体の片面に前記発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に感熱記録層を設けたことを特徴とする感熱/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
【0025】
支持体の片面に前記発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に印刷用顔料塗工層、を設けてなる印刷/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
【0026】
支持体の片面に前記発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に磁気記録層を設けたことを特徴とする磁気記録/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
【0027】
支持体の片面に前記発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に粘着層を設けたことを特徴とする発色・消色型自己発色性感圧記録ラベル。
【0028】
感圧自己発色が行え、かつ時間とともに発色部分が消色する上記の感圧記録シートを用いた偽造防止あるいは偽造検知方法。
【0029】
以下に本発明の詳細を説明する。
【0030】
本発明に用いられる支持体としては、上質紙、アート紙、グラシン紙、キャスト紙、コーテッド紙などの通常の天然パルプ紙を用いることができ、木材パルプ、合成パルプ、填料、サイズ剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、顔料、紙力増強剤、染料など、通常抄紙で用いられる原材料を必要に応じて使用することが可能である。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルペンテンなどのプラスッチクシート、およびこれらの合成繊維からなる合成紙や不織布、またはこれらの合成樹脂を紙に片面、または両面にラミネートしたラミネート紙を使用しても良い。全ての支持体は白色でも、着色されていても良い。
【0031】
また、本発明の発色・消色型自己発色性感圧記録シートの裏面には、カール防止、帯電防止、顔料コート層あるいは耐水性層などのバックコート層を設けることが出来、バックコート層には帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬膜剤、顔料、界面活性剤、粘着剤などを適宜組み合わせて含有することができる。
【0032】
本発明に利用し得る自己発色性感圧記録層については、特に制限されることなく、従来から公知のものを使用できる。例えば、マイクロカプセル化の方法やマイクロカプセルの壁材、発色剤や発色剤を溶解する油、あるいは顕色剤、減感剤、接着樹脂、マイクロカプセル保護剤などである。
【0033】
マイクロカプセル化法としては、コアセルベーション法(米国特許2800458号明細書など)、界面重合法(特公昭47−1763号公報など)、インサイチュー重合法(特開昭51−9079号公報など)などが使用できる。
【0034】
マイクロカプセルの壁材としては、ポリウレタン、ポリ尿素、エポキシ樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などが使用できる。
【0035】
発色剤としては、トリアリルメタン系化合物、ジアリ−ルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロピラン系化合物、ジフェニルメタン系染料、スピロ系染料、ラクタム系染料、フルオラン系染料などが使用でき、一般に感圧記録材料や感熱記録材料に用いられているものであれば特に制限されない。
【0036】
具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインド−ル−3−イル)フタリド、 3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインド−ル−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインド−ル−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾ−ル−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインド−ル−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロ−ル−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリドなどのトリアリルメタン系染料、
【0037】
4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエ−テル、N−ハロフェニル、ロイコオ−ラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオ−ラミンなどのジフェニルメタン系染料、
【0038】
ベンゾイルロイコメチレンブル−、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブル−などのチアジン系染料、
【0039】
3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−フェニル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト(6’−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピランなどのスピロ系染料、
【0040】
ロ−ダミン−B−アニリノラクタム、ロ−ダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ロ−ダミン(o−クロロアニリノ)ラクタムなどのラクタム系染料、
【0041】
3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−アセチル−N−メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−メチルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−N−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−クロロエチル−N−メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−ジエチルアミノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−カルボメトキシ−フェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−iso−アミルアミ ノ)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−p−ブチルフェニルアミノフルオランなどのフルオラン系染料などが挙げられる。
【0042】
発色剤を溶解する油としては、ジアリールアルカン系、アルキルナフタレン系、アルキル化ビフェニル、水添ターフェニルの如き芳香族合成油、ケロシン、ナフサ、パラフィン油、塩素化パラフィンの如き脂肪族合成油、綿実油、大豆油、亜麻仁油の如き植物油などが使用できる。
【0043】
マイクロカプセルの保護剤としては、セルロース粉末、デンプン粒子、タルク、焼成カオリン、炭酸カルシウムなどが使用できる。
【0044】
顕色剤としては、粘土類(例えば、活性白土、酸性白土、アタパルジャイト、ベントナイト、コロイダルシルカ、硅酸アルミニウムなど)、有機酸(例えば、サリチル酸の如き芳香族カルボキシ化合物またはこれらの金属塩など)、有機酸と金属化合物の混合物、酸性重合体(例えば、フェノ−ル/ホルムアルデヒド樹脂、サリチル酸系樹脂またはこれらの亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケルなどの多価金属塩など)などが使用できる。
【0045】
本発明に使用される感熱記録用の顕色剤としては、一般に感熱紙に使用される電子受容性の物質が用いられ、特にフェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体あるいはその金属化合物、N,N’−ジアリールチオ尿素誘導体、有機酸と金属化合物の混合物、酸性重合体(例えば、フェノ−ル/ホルムアルデヒド樹脂、サリチル酸系樹脂またはこれらの亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケルなどの多価金属塩など)などが使用でき、特にフェノ−ル誘導体、芳香族カルボン酸誘導体あるいはその金属化合物、N,N’−ジアリ−ルチオ尿素誘導体などが使用される。
【0046】
この中で特に好ましいものはフェノ−ル誘導体、芳香族カルボン酸およびそのフェノ−ル性化合物であり、具体的には、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、ビスフェノ−ルスルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシジフェニルスルフォン、3,4−ジヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルフォン、ジフェノ−ルエ−テル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロロ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸オクチル、安息香酸、テレフタル酸、3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ 安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−クロロ−5−(α−メチルベンジル)、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、4−tert−ブチルフェノ−ル、4−ヒドロキシジフェノキシド、α−ナフト−ル、β−ナフト−ル、4−ヒドロキシアセトフェノ−ル、4−tert−カテコ−ル、2,2’−ジヒドロキシジフェノ−ル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−イソブチルフェノ−ル、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノ−ル)、4,4’−sec−ブチリデンジフェノ−ル、4−フェニル フェノ−ル、4,4’−イソプロピリデンジフェノ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノ−ル)、ヒドロキノン、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノ−ル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ヒドロキノンモノベンジルエ−テル、ノボラック型フェノ−ル樹脂、フェノ−ル重合体などのフェノ−ル性化合物が挙げられる。
【0047】
自己発色性感圧記録層中に使用される顔料としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂などが挙げられる。
【0048】
その他に、助剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックスなどのワックス類、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン酸変性ポリビニルアルコールなどの分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、さらに界面活性剤、蛍光染料、帯電防止剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤、離型剤、滑剤、耐ブロッキング向上剤、粘着付与剤などが自己発色性感圧記録層、水性高分子中間層、ポリオレフィン樹脂層中に必要に応じて添加される。
【0049】
さらに、カール防止のためにバックコートを施したり、ジャミング防止のために導電処理を行ったり、支持体と自己発色性感圧記録層の間にアンダーコート層を設けるなど、感圧記録材料製造分野における各種の公知技術を必要に応じて付加することができる。
【0050】
また、本発明の構成として、高い発色濃度を得る上で、支持体と自己発色性感圧記録層との間に、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸鉛、鉛白、亜鉛華、硫化亜鉛、サチン白、酸化チタン、酸化アンチモン、雲母、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、石膏、水酸化アルミニウムなどの無機顔料、またはポリスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、尿素/ホルムアルデヒド重合体、ポリエチレンなどの微粉有機顔料を含むアンカー層を設けたり、自己発色性感圧記録層内に分散することは何等差し支えない。
【0051】
本発明で用いる減感剤は減感インキの成分として次のように用いられている。すなわち、感圧複写紙において発色剤と顕色剤との反応による発色した文字を記録するが、伝票の形式によっては発色文字として読み取れてはならない場合があり、予め発色反応を阻止する働きをする減感剤をインキ化して、顕色剤を含む層の表面に印刷することが市場では行われている。
【0052】
減感インキは、減感剤を適当な接着剤の役割をするインキ用樹脂、酸化チタンや炭酸カルシウムなどの顔料、樹脂や減感剤を溶解あるいは希釈するための溶媒などと混合して製造されるが、インキの形態或いは印刷の手段の違いなどによって、活版用、オフセット用、フレキソ用などの減感インキが市販されている。乾燥速度を速くするために、紫外線硬化型の減感インキも市販されている。
【0053】
これらの減感インキについては、米国特許27777805号明細書、特公昭44−27255号公報、同45−21448号公報、同46−22651号公報、同46−29546号公報、同47−38201号公報、同48−4050号公報、同49−4484号公報、同49−19647号公報、同49−23008号公報、同49−23850号公報、同58−38119号公報、特開昭47−32915号公報、同48−6805号公報、同49−43708号公報、同49−72009号公報、同49−77709号公報、同49−77710号公報、同49−15513号公報、同49−83509号公報、同63−74681号公報、同63−41184号公報、同63−94879号公報、同63−139781号公報、特開平2−20477号公報、ドイツ特許出願(OLS)2343800号明細書、同23590759号明細書、同2361856号明細書などに詳述されている。しかし、これらの減感インキについては、あくまで不要部分を発色しないようにする目的でのみ使われるものである。
【0054】
本発明に用いることのできる減感剤としては、例えば、次の如き具体例を挙げることができる。ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩;ドデシルアミンなどの分子量の大きいアミン;2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリンなどの置換オキサゾリン;キシリレンジアミン、N−アミノプロピルピペリジンなどの分子中に環状構造を有するジアミンもしくはポリアミン誘導体とアルキレンオキシドとの反応物;ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、グルタミン酸−γ−アルキルエステル残基を有する重合体、スピロアセタール系ジアミン、N−(アミノアルキル)−ラクタム類、アミン類のグリシジルエーテル付加体などがある。中でも、本発明の減感剤としては、アンモニア、アミン化合物に炭素数3以上のアルキレンオキシドを付加した化合物が特に有効である。
【0055】
本発明に係る減感剤カプセルは、上記のような減感剤をマイクロカプセル化したものであり、カプセル化方法、カプセル化剤などは全て前述の発色剤のカプセル化における方法、材料を適用することが可能である。
【0056】
本発明におけるインクジェット用のインク受理層(以下、単にインク受理層)とは、顔料とバインダーを主成分とする塗被組成物からなり、これらに添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
【0057】
インク受理層に用いられる顔料としては、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料などを用いることができる。
【0058】
本発明で云うインクジェット記録に用いる水性インクとは、着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素などの水溶性染料が挙げられる。
【0059】
水性インクの溶媒としては、水および水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0060】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0061】
本発明において印刷用顔料塗工層とは通常のオフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などの印刷に対応する印刷性向上のための塗工層であり、当然のことながらタイプライターや水性あるいは油性ペンのごとき印字にも対応できるし、いわゆる微塗工紙も含むものである。印刷用顔料塗工層の塗布液は、顔料とバインダー、その他添加剤と共に水に溶解もしくは分散せしめた液であって、顔料、バインダー、その他添加剤の濃度が、10〜70重量%のものを言う。顔料、バインダーの配合割合は、一般に顔料100重量部に対し、バインダーが5重量部以上、好ましくは、10〜70重量部であることが望ましい。
【0062】
本発明で用いる印刷用顔料塗工層に用いる顔料としては、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、シリカ、活性白土、レーキ、プラスチックピグメントなどが挙げられる。
【0063】
本発明において、印刷用顔料塗工層の塗布量は乾燥重量規準で、1g/m2以上、好ましくは、3〜30g/m2が適当である。印刷用顔料塗工層の塗布量がこれより少なければ良好な印刷性を示さず印刷用顔料塗工層を設ける意味がなくなるし、これより多くても印刷性の向上に寄与しない。
【0064】
本発明の磁気記録層は、磁性粉をポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、エポキシ樹脂などの結合剤中に均一分散し、目的に応じて可塑剤、ゴム、分散剤、帯電防止剤、顔料などが添加され、得られた塗料を基材に塗布または印刷することにより形成される。磁性粉としては、γ−Fe2O3、Fe3O4、γ−Fe2O3およびFe2O4の混晶、Co含有Fe2O4、Baフェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。磁気記録情報が通常の永久磁石により消去されるトラブルを防止するためには保磁力が1500〜5000エルステッドのBaフェライト、Srフェライトなどが望ましい。
【0065】
磁気記録層上に保護層を設けることも可能である。保護用の樹脂としては、例えば、穀物デンプン、α化デンプン、酸化デンプン、エーテル化デンプンなど、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、ビスコースなどのプロティン類、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、寒天、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴムなどの多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピドリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、マレイン酸共重合物の水溶性結合剤、スチレンブタジエン系、アクリルニトリルブタジエン系メチルメタクリレートブタジエン系、アクリル酸エステル、酢酸ビニル系ラテックスエマルジョン結合剤およびこれらのカルボキシ変性物が挙げられる。
【0066】
保護層中には、顔料を分散して隠ぺい層とすることも可能である。隠ぺい層の顔料は公知のものであり、例えば、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、バリウム、カルシウム、チタンなどの炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩および天然シリカ、クレー、ゼオライト、カオリン、焼成カオリンなどの粘土類を含む無機系白色顔料、合成シリカ、スチレン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂などの共重合体を含む有機系白色顔料から1種または2種以上使用される。
【0067】
保護層あるいは隠ぺい層用塗布液は所望により分散剤、防腐剤、消泡剤、ダスティング防止剤とともに混合され、エアナイフコート、カーテンコート、ロールコート、ブレードコートなどの方法で塗布される。磁気記録層と保護層の間に接着性改良のためにアンカー層を設けても差し支えない。さらに磁気記録層上に発色・消色型自己発色性感圧記録層を設けることも可能である。
【0068】
また、本発明の磁性体組成物には、潤滑剤、研磨剤、防錆剤、分散剤、増粘剤などを加えてもよい。特に潤滑剤は、飽和および不飽和の高級脂肪酸、脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級アルコール、シリコンオイル、鉱油、フッ素化合物などがあり、これらは磁性体組成物の調整時に添加してもよく、あるいは磁性層表面に塗布ないしは噴霧してもよい。
【0069】
支持体上に塗布された磁性層は、必要により層中の磁性体を配向させる処理を施すことができる。その配向処理は、支持体の走行する方向に対して、直角にあるいは走行方向に角度をつけた状態で約500〜3000エルストッド程度の交流または直流の磁場条件下で行うことができる。
【0070】
本発明において、発色・消色型自己発色性感圧記録層、インクジェット記録層、感熱記録層、印刷用顔料塗工層、磁気記録層の形成に使用されるバインダーとしては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチンなどのプロテイン、酸化デンプン、エステル化合物デンプン、エーテル化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などの天然高分子化合物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体などアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸の重合体または共重合体などのアクリル系重合体ラテックス、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ラテックス、ポリアクリルアミド、スチレン/無水マレイン酸共重合体、酢ビ・アクリル系、酢ビ・ブチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、イソブテン・無水マレイン酸共重合体などの如き水溶性合成高分子化合物やラテックス類、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩などの水溶性接着樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのラテックスなどが挙げられれ、1種以上で使用される。また、必要に応じて、増粘剤、保水剤、耐水化剤、着色剤などの通常の塗被紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用できる。
【0071】
本発明の記録シートにおける粘着層の設け方は、剥離紙の剥離剤塗布面に粘着剤を設け、粘着剤面と該記録シートの支持体の自己発色性感圧記録層を設けていない面を重ねて、プレスロールなどで圧着する方法が一般に行われるが、該記録シートに粘着剤を先に塗布して、剥離紙と貼り合わせても良い。粘着層を構成する粘着剤には、ゴム系またはアクリル樹脂系の粘着剤を用いることができる。ゴム系の主原料は天然ゴムまたはスチレン・ブタジエンラバーであり、天然ゴムでは、ロジン系樹脂や可塑剤なとが添加され、通常ノルマルヘキサンを溶媒として塗工する。また、スチレン・ブタジエンラバーを主原料とした場合は溶融して塗工する。アクリル樹脂系においては、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリル酸、β−ヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリル系モノマーを重合して作る。重合の方法により、酢酸エチルやトルエンなどの有機溶媒を用いたり、界面活性剤を用いて水中で乳化させながら重合したエマルジョンタイプを用いることができる。
【0072】
本発明において自己発色性感圧記録層、インクジェット層、感熱記録層、印刷用顔料塗工層、磁気記録層、粘着層などを塗布する方法としては、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本(多段)ロールコーター、カーテンコーター、ブレードコーター、ディップコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、リップコーター、ダイコーター、スクイズコーター、ショートドウェルコータ、サイズプレス、スプレーなどの各種装置の中から適当な装置をオンマシンあるいはオフマシンで用いることができる。また、各層の各々の塗工または含浸後には、マシンカレンダー、グロスカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダーやブラッシングを用いて仕上げても良い。また、場合によってはオフセット、シルクスクリーンなどの印刷方法も用いられる。
【0073】
本発明の発色・消色型自己発色性感圧記録シートへの印刷や記録の方法は、鉛筆やインクによる筆記・印刷、インパクトプリンター、電子写真、熱転写、インクリボン、インクジェット、感圧、感熱、インクジェット、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、活版印刷、凹版印刷、レーザープリント、ラベル貼り合わせなどその方法による制限はない。ただし、発色・消色型自己発色性感圧記録層への記録は、圧力による発色を伴う記録方法に限られる。
【0074】
また、本発明の発色・消色型自己発色性感圧記録シートは、他の感圧記録シート、裏カーボン複写シート、粘着シート、印刷シート、透明フィルムなどと組合わせて一連の複写シートとして使用できる。本発明の発色・消色型自己発色性感圧記録シートの一部、あるいは全部にダイカットなどの加工、支持体の一部の分離、ミシン目、プリンター用送り孔などの加工を施すことは何等ど差し支えない。
【0075】
【作用】
本発明の発色・消色型自己発色性感圧記録シートにおいては、加圧印字を行うことにより、自己発色性感圧記録層を発色させることが可能であり、その発色により記録シートの真偽を確かめることが可能であるばかりでなく、時間と共に発色部分が消色するため、この過程をチェックすることによっても記録シートの真偽のチェックが可能である。さらに真偽をチェックした後で発色部分が消色するため、商品券などに用いても見苦しくなく、商品価値が高い。
【0076】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は、実施例に限られるものではない。以下に示す部および%のいずれも重量基準である。また、塗抹量を示す値は断わりのない限り乾燥後の塗抹量である。
【0077】
<調製例1:発色・消色型自己発色性感圧塗液>
発色剤カプセルの調製;
感圧記録用に用いる発色剤内包マイクロカプセルは、次のとおり作製した。まず、クリスタルバイオレットラクトン13部をハイゾールSAS N−296(日本石油化学(株)製)90部に加熱溶解して内相油とした。メラミン10部と37%ホルマリン25部を水100部とともに加温し、メラミン−ホルマリン初期重縮合物を得た。次いで、内相油を6%のスチレン/無水マレイン酸共重合体水溶液150部に乳化し、この乳化液に、上記のメラミン−ホルマリン重縮合物を添加して、液温を70℃に3時間保持して、メラミン−ホルマリン樹脂膜を持つ発色剤内包のマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒子径は、約6μmであった。
【0078】
減感剤カプセルの調製;
エチレンジアミンのプロピレンオキシド付加物(平均分子量4100)40部にロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業株式会社製、タマノールT135)17部添加し、150℃で溶解して減感剤内相油とした。メラミン10部と37%ホルマリン25部を水100部とともに加温し、メラミン−ホルマリン初期重縮合物を得た。次いで、減感剤内相油を6%のスチレン/無水マレイン酸共重合体水溶液150部に乳化し、この乳化液に、上記のメラミン−ホルマリン重縮合物を添加して、液温を70℃に3時間保持して、メラミン−ホルマリン樹脂膜を持つ減感剤内包のマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒子径は、約6μmであった。
【0079】
発色・消色型自己発色性感圧記録層用の塗料は、以下の処方により作製した。
【0080】
実施例1
支持体として市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70Kg)に調製例1で得た発色・消色型自己発色性感圧塗液を塗布量が7g/m2になるように塗設して、発色・消色型自己発色性感圧記録シートを得た。
【0081】
実施例2
支持体として市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70Kg)にインク受理層組成物として下記の調製例2で示すインク受理層塗液を用いて、エアーナイフコータにより乾燥塗工量5g/m2となるように塗工し、次にその反対面に調製例1で得た発色・消色型自己発色性感圧塗液を塗布量が7g/m2になるように塗設して、目的とするインクジェット/発色・消色型自己発色性感圧記録シートを得た。
【0082】
<調製例2:インク受理層塗液配合>
以上を調液し、固形分濃度13%とした。
【0083】
比較例1
自己発色性感圧記録層を有する支持体として、市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70K)に、調製例3の配合の自己発色性感圧記録層を、塗布量が7g/m2になるように塗設した自己発色性感圧記録シートをそのまま用いた。
【0084】
<調製例3:自己発色性感圧記録塗液>
【0085】
比較例1で得た自己発色性感圧記録シート上に、市販の減感インキ(三菱製紙製、NCRオフセット用減感インキ)で全面印刷し、UVで硬化して減感した自己発色性記録シートを得た。
【0086】
比較例3
インクジェット記録層を有する支持体として、市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70K)に、調製例2の配合のインクジェット塗液を乾燥重量が5g/m2となるように塗抹、乾燥してインクジェット記録層を設け、インクジェット記録シートを得た。
【0087】
実施例1、2および比較例1、2、3で得られた記録シートは以下の方法で評価を行った。
【0088】
<感圧発色性>
実施例および比較例で得られた記録シートにインクリボンを装着しないドットインパクトプリンターを用いてベタ印字を行った。印字後にマクベス濃度計を用いて光学濃度を測定した。実用に供した場合、目視で真偽の確認ができるほどの光学濃度は0.30以上であり、光学濃度が0.20を下回るようだと正確な確認が困難なレベルである。光学濃度が0.15を下回ると発色の有無自体が分かりにくくなるレベルである。
【0089】
<インクジェット適性>
市販のインクジェットプリンター(エプソン社製、MJ−700V2C)を用いて印字を行った。印字後すぐに印字面を布で擦り、印字面の汚れを観察した。印字が全く汚れない場合を5、印字の極一部に流れが見られるが注意しないと判らないレベルを4、印字が流れるがほとんど解読に影響がない場合を3、印字のほとんどが流れて解読できない場合を2、印字が全く定着しない場合を1としてインクジェット適性として表わした。ただし、インクジェットプリンターを用いた印字で紙送りロールや紙送りギヤの擦りによりいインクジェット印字以外の不要な部分が発色してしまう場合は、インクジェットプリンター適性がないということであり、インクジェット発色性を0で判定した。
【0090】
<偽造防止性1>
市販のインクジェットプリンターを用いてインクジェット記録を行った記録シートの裏面(発色・消色型自己発色性感圧記録面)に、インクリボンを装着しないドットインパクトプリンターを用いて印字を行った。この層が発色して、単なるインクジェット記録シートでないと確認できるものを偽造防止性1が優で、発色せずに偽造防止性がないものも偽造防止性1が劣で判定した。
【0091】
<消色性>
偽造防止性1で発色させた発色・消色型自己発色性感圧記録層が、半日以内にに消色し、発色部分が全く目立たなくなるものを消色性が優、消色するがやや発色部分が残り、見た目に小汚いものを消色性並、消色せず見苦しいものを消色性劣にて判定した。
【0092】
【表1】
【0093】
実施例3
支持体として市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70Kg)に調製例1で得た発色・消色型自己発色性感圧塗液を塗布量が7g/m2になるように塗設して、次にその反対面に感熱記録層として下記の感熱塗液を用いて、エアーナイフコータにより乾燥塗工量5g/m2となるように塗工し、目的とする感熱/発色・消色型自己発色性感圧記録シートを得た。
【0094】
<感熱塗液>
感熱記録層を構成する感熱塗液を以下のように調製した。次の配合からなる混合物をそれぞれサンドミルで平均粒径が約1μmになるまで粉砕分散して、<A液>と<B液>を調製した。
【0095】
【0096】
次いで、調製した<A液><B液>を用いて次の配合で感熱塗液を調製した。
【0097】
比較例4
感熱記録層を有する支持体として、市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70K)に、調製例2の配合の感熱塗液を乾燥重量が5g/m2となるように塗抹、乾燥して感熱記録層を設け、感熱記録シートを得た。
【0098】
実施例3および比較例1、4で得られた記録シートは上記の感圧発色性、消色性の試験の他に以下の方法で評価を行い、結果を表2に示した。
【0099】
<感熱発色性>
市販の感熱ワードプロセッサーを用いてベタ印字を行った。印字後にマクベス濃度計を用いて光学濃度を測定した。実用に供した場合、細かい文字でも十分に読みとれる光学濃度は0.50以上であり感熱発色性を優とした。光学濃度が0.40を下回るようだと正確な読み取りが困難なレベルであり感熱発色性を劣とした。両者の間を感熱発色性を並と判定した。ただし、感熱ワードプロセッサーを用いた印字で全く発色しない場合、および紙送りロールや感熱ヘッドの擦りによりい感熱印字以外の不要な部分が発色してしまう場合は、感熱プリンター適性がないということであり、感熱発色性を悪で判定した。
【0100】
<偽造防止性2>
市販の感熱ワードプロセッサーを用いて感熱記録を行った記録シートの裏面に、インクリボンを装着しないドットインパクトプリンターを用いて印字を行った。この層が発色して、単なる感熱記録シートでないと確認できるものを偽造防止性2が優で、発色せずに偽造防止性がないものも偽造防止性2が劣で判定した。
【0101】
【表2】
【0102】
実施例4
支持体として市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70Kg)にブレードコーターにより、絶乾塗布量が15g/m2となるように、下記の調製例4の配合の固形分濃度が53%の塗布液を印刷用顔料塗工層として塗布、乾燥し、その反対面に調製例1で得た発色・消色型自己発色性感圧塗液を塗布量が7g/m2になるように塗設して、目的とする印刷/発色・消色型自己発色性感圧記録シートを得た。
【0103】
<調製例4:印刷用顔料塗工液配合>
【0104】
比較例5
印刷用顔料塗工層を有する支持体として、市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70K)に、調製例4の配合の印刷用顔料塗工液を乾燥重量が15g/m2となるように塗抹、乾燥して印刷用顔料塗工層を設け、印刷紙を得た。
【0105】
実施例4および比較例1、5で得られた記録シートは上記の感圧発色性、消色性の試験の他に以下の方法で評価を行い、結果を表3に示した。
【0106】
<印刷適性>
オフセット印刷機を用いて4色印刷を行った。印刷後すぐに印刷面を布で擦り、印刷面の汚れを観察した。印刷が全く汚れない場合を5、印刷面の極一部に汚れが見られるが注意しないと判らないレベルを4、印刷面が汚れるがほとんど解読に影響がない場合を3、印刷のほとんどが汚れて解読できない場合を2、印刷ができない場合を1として印刷適性として表わした。
【0107】
<偽造防止性3>
オフセット印刷機を用いて4色印刷を行った記録シートの裏面に、インクリボンを装着しないドットインパクトプリンターを用いて印字を行った。この層が発色して、単なる印刷紙でないと確認できるものを偽造防止性3が優で、発色せずに偽造防止性がないものも偽造防止性3が劣で判定した。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例5
支持体として市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 90Kg)にグラビアコーターを用いて下記の調製例5で調製した磁気記録層塗液を30g/m2の割合で塗抹、磁場配向後に乾燥、軽度にスーパーカレンダー仕上げして磁気記録層を設け、その反対面に調製例1で得た発色・消色型自己発色性感圧塗液を塗布量が7g/m2になるように塗設して、目的とする磁気記録刷/発色・消色型自己発色性感圧記録シートを得た。
【0110】
<調製例5:磁気記録層塗液>
次の配合からなる混合物をボールミル中で分散して磁気記録層塗液を調製した。
Ba−フェライト(保磁力2700エルステッド) 100部
スチレン・ブタジエン系ラテックス(日本合成ゴム社製) 30部
水 200部
【0111】
比較例6
磁気記録層を有する支持体として、市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 90Kg)に、調製例5の配合の磁気記録層塗液を乾燥重量が30g/m2の割合で塗抹、磁場配向後に乾燥、スーパーカレンダー仕上げして磁気記録層を設け磁気記録シートを得た。
【0112】
比較例7
比較例6で得られた磁気記録シートに、調製例3記載の自己発色性感圧塗液を7g/m2の割合で塗抹して自己発色性感圧記録層を設け磁気記録/自己発色性感圧記録シートを得た。
【0113】
実施例3および実施例1、比較例1、6、7で得られた記録シートは上記感圧発色性、消色性の試験のほかに以下の方法で評価を行い、結果を表4に示した。
【0114】
<角形比>
磁気記録特性の試験として、実施例および比較例により得られたサンプルを5mm四方に切断し、振動型磁力計を用いて最大磁化(Mm)および残留磁化(Mr)を測定し、次の数1によりサンプルの角形比(Rs)を求めた。角形比は1に近いほど理想的な感熱磁気記録体である。
【0115】
【数1】
Rs = Mr/Mm
【0116】
<繰返し特性1>
磁気記録特性の試験として、実施例および比較例により得られたサンプルを、市販のリーダー/ライターの装置に100回通過させ、振動型磁力計を用いて最大磁化(Mm)の1回目の値と100回目の値の比(百分率)により繰返し特性の評価とした。
【0117】
<偽造防止性4>
実施例に関してはインクリボンを有しないインパクトプリンターにより印字を行った。印字後に市販のリーダー/ライターにより磁気情報の書き込みを行い、磁気情報と感圧発色部分の情報を併せて保有でき高度な偽造防止が可能なものを偽造防止性3が優で、磁気情報のみ保有できるもの、あるいは感圧発色情報のみ保有できるものを偽造防止性4が劣で判定した。
【0118】
【表4】
【0119】
実施例6
実施例1において得られた発色・消色型自己発色性感圧記録シートの裏面(支持体側)に、粘着層(中央理化工業製、リカボンドAP−37)を乾燥重量20g/m2となるように設け、粘着層を市販の剥離紙でカバーして発色・消色型自己発色性感圧記録ラベルとした。
【0120】
比較例8
粘着層を有する支持体として、市販の上質紙(三菱製紙製、ダイヤフォーム 70K)に、粘着層(中央理化工業製、リカボンドAP−37)を乾燥重量20g/m2となるように設け、粘着層を市販の剥離紙でカバーしてラベルとした。
【0121】
比較例9
比較例1で得られた自己発色性感圧記録シートの非発色面側に、粘着層(中央理化工業製、リカボンドAP−37)を乾燥重量20g/m2となるように設け、粘着層を市販の剥離紙でカバーして感圧発色性ラベルとした。
【0122】
実施例6および比較例8、9で得たラベルについて、上記の感圧発色性、消色性の試験以外に以下の評価方法により試験を行い、その結果を表5に示した。
【0123】
<接着強度>
実施例および比較例で得られた感圧発色性ラベルあるいはラベルの剥離紙を剥してステンレス板に接着し、その接着強度を90゜剥離によりテンシロンで測定した。ラベルに必要とされる接着強度は通常100gf/25mm以上である。
【0124】
<偽造防止性5>
実施例および比較例で得られた感圧発色性ラベルあるいはラベルの剥離紙を剥し、被接着物に貼り付けた後でラベルが軽い圧着力により発色する場合はカラーコピーなどによりラベルの複製は作成できず、かつ被接着物に貼り付けたまま真贋の判定ができるため偽造防止性5が優、ラベルが発色せずカラーコピーなどにより同様のラベルを複製しても判別のしようが無い場合を偽造防止性5が劣で判定した。
【0125】
【表5】
【0126】
評価:
実施例1で得られた発色・消色型自己発色性感圧記録シートは、通常の自己発色性感圧記録シートと同じく、圧力を加えることにより発色が可能で、かつ時間が経過するにつれて消色し、発色部分が判らなくなり見苦しくない。
【0127】
実施例2で得られたインクジェット/発色・消色型自己発色性感圧記録シートは、インクジェット記録性、感圧発色性を同一のシートに有し、両方の記録方式を用いることにより2種類の印字方式が可能で、特に感圧発色部分は発色の後で消色できることから、インクジェット記録を情報記録用とし、感圧記録を補完的に用い偽造防止用途などに用いることができる。具体的には、チケット用に印刷を施した本発明の記録シートに、インクジェット記録により金額、日付、席番号などを記入する。チケットが使用される時点で、チケットの一部を加圧することにより感圧層を発色させ、そのチケットが本物であることを確認できる。この発色部分は時間が経つにつれて消色し、見苦しくなくなる。比較例3のように単なるインクジェット紙をチケットに用いた場合はこのような真贋判定はできない。同じことは比較例2の単なる自己発色性感圧記録シートにも言え、それだけでは真贋判定はできないし、インクジェット記録適性もない。このため本発明の記録シートは真贋判定性、すなわち偽造防止性を有するものである。
【0128】
実施例3で得られた感熱/発色・消色型自己発色性感圧記録シートは、感熱記録性、感圧発色性を同一のシートに有し、両方の記録方式を用いることにより2種類の印字方式が可能で、特に感圧発色部分は発色の後で消色できることから、感熱記録を情報記録用とし、感圧記録を補完的に用い偽造防止用途などに用いることができる。具体的には、チケット用に印刷を施した本発明の記録シートに、感熱記録により金額、日付、席番号などを記入する。チケットが使用される時点で、チケットの一部を加圧することにより感圧層を発色させ、そのチケットが本物であることを確認できる。この発色部分は時間が経つにつれて消色し、見苦しくなくなる。比較例3のように単なる感熱紙をチケットに用いた場合はこのような真贋判定はできない。同じことは比較例2の単なる自己発色性感圧記録シートにも言え、それだけでは真贋判定はできないし、感熱記録適性もない。このため本発明の記録シートは真贋判定性、すなわち偽造防止性を有するものである。
【0129】
実施例4で得られた印刷/発色・消色型自己発色性感圧記録シートは、印刷性、感圧発色性を同一の面に有し、両方の記録方式を用いることにより2種類の印字方式が可能で、1枚の記録シートで印刷、感圧の両方の記録方式を可能にすることにより、印刷を情報記録とし、感圧記録を補完的に用い偽造防止用途などに用いることができる。具体的には、チケット用に興業名、金額、日付、および偽造防止用のマイクロ印刷、直印刷、蛍光印刷などを印刷した本発明の記録シートにおいて、チケットが使用される時点で、チケットの一部を加圧することにより感圧層を発色させ、そのチケットが本物であることを確認できる。この発色部分は時間が経つにつれて消色し、見苦しくなくなる。比較例4のように単なる印刷層を有する印刷紙を用いた場合はこのような真贋判定はできない。
【0130】
実施例5における磁気記録/発色・消色型自己発色性感圧記録シートにおいては、自己発色性を有する感圧記録シートであり、かつ磁気記録のリーダー/ライターにより磁気記録紙として用いることができる。このため、感圧発色した記録と磁気記録の両方を用いて記録シートの真贋を見分けることが可能となる(偽造防止性3)。この発色部分は時間が経つにつれて消色し、見苦しくなくなる。このような偽造防止は、単なる磁気記録用紙、感圧発色紙のみでは達成できないのは自明である。
【0131】
実施例6において得られる発色・消色型自己発色性感圧記録ラベルは、ラベルを被接着物に貼り付けた後でラベルが軽い圧着知力により発色するため、カラーコピーなどによりラベルの複製は作成できず、かつ被接着物に貼り付けたまま真贋の判定ができ、偽造防止性が高い(偽造防止性5)。この発色部分は時間が経つにつれて消色し、見苦しくなくなる。単なるラベルではこの発色による確認は不可能であるし、自己発色性感圧記録シートのみでは発色したままであるため一般のラベル用途には不向きである。
【0132】
【発明の効果】
本発明の一連の発色・消色型自己発色性感圧記録シートにおいては、インクジェット記録や感熱記録、印刷、磁気記録が可能であるばかりでなく加圧印字を行うことにより、自己発色性感圧記録層を発色させることが可能であり、その発色は時間が経つにつれて消色するため、偽造防止用途に使用できかつ、真偽チェックの痕跡が後に残らず見苦しくない。本発明の一連の発色・消色型自己発色性感圧記録シートは、ふたつの記録方式を併用できることから偽造しにくく、偽造防止用紙として用いることができ、ひいては(例えば、ラベルとしての)偽造防止用紙とともに用いられている商品の偽造防止にも一役買うものである。本発明の一連の発色・消色型自己発色性感圧記録シートを用いた書類あるいはチケットなどを偽造しても、例えば、インクジェット記録した後に感圧発色させることにより容易に偽造を察知でき、工業的意義の大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発色・消色型自己発色性感圧記録シートの断面図。
【図2】本発明のインクジェット/発色・消色型自己発色性感圧記録シートの断面図。
【図3】本発明の感熱/発色・消色型自己発色性感圧記録シートの断面図。
【図4】本発明の印刷/感圧発色性ラベルの断面図。
【図5】本発明の磁気記録/感圧発色性記録シートの断面図。
【図6】本発明の感圧発色性ラベルの断面図。
【符号の説明】
1 支持体
2 発色・消色型自己発色性感圧記録層
3 発色剤内包カプセル
4 減感剤内包カプセル
5 顕色剤
6 発色・消色型自己発色性感圧記録シート
7 インクジェット記録層
8 インクジェット/発色・消色型自己発色性感圧記録シート
9 感熱記録層
10 感熱/発色・消色型自己発色性感圧記録シート
11 印刷用顔料塗工層
12 印刷/発色・消色型自己発色性感圧記録シート
13 磁気記録層
14 磁気記録/発色・消色型自己発色性感圧記録シート
15 粘着層
16 発色・消色型自己発色性感圧記録ラベル
17 剥離紙
18 剥離面
Claims (7)
- 支持体の片面に、発色剤または顕色剤の少なくとも1方がマイクロカプセル化され、それぞれ単独で積層あるいは混合して単層の自己発色性感圧記録層を有する発色・消色型自己発色性感圧記録シートにおいて、該自己発色性感圧記録層が減感剤カプセルを含む発色・消色型自己発色性感圧記録層であることを特徴とする発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
- 支持体の片面に前記請求項1記載の発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面にインクジェット記録用インク受理層(以下、単にインク受理層)を設けてなるインクジェット/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
- 支持体の片面に前記請求項1記載の発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に感熱記録層を設けたことを特徴とする感熱/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
- 支持体の片面に前記請求項1記載の発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に印刷用顔料塗工層、を設けてなる印刷/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
- 支持体の片面に前記請求項1記載の発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に磁気記録層を設けたことを特徴とする磁気記録/発色・消色型自己発色性感圧記録シート。
- 支持体の片面に前記請求項1記載の発色・消色型自己発色性感圧記録層を有し、さらに支持体の反対側の面に粘着層を設けたことを特徴とする発色・消色型自己発色性感圧記録ラベル。
- 感圧自己発色が行え、かつ時間とともに発色部分が消色する前記請求項1〜6記載の感圧記録シートを用いた偽造防止あるいは偽造検知方法。
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