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JP3585407B2 - 乗客コンベア - Google Patents

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B66HOISTING; LIFTING; HAULING
    • B66BELEVATORS; ESCALATORS OR MOVING WALKWAYS
    • B66B23/00Component parts of escalators or moving walkways
    • B66B23/02Driving gear
    • B66B23/028Driving gear with separate drive chain or belt that engages directly the carrying surface chain

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  • Escalators And Moving Walkways (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、乗客コンベア例えばエスカレータは、乗客を運ぶ踏み段の左右の側部に踏み段チェーンが取付けられ、この踏み段チェーンが当該乗客コンベアの上部機械室に設けた駆動スプロケットと、下部に設けた被駆動スプロケットに巻き付けられており、駆動スプロケットを回転させることにより踏み段チェーンを移動させ、この踏み段チェーンと一体に踏み段を移動させるようになっている。この従来の構成について、図11,12により簡単に説明する。
【0003】
11は従来の乗客コンベアの一例として挙げたエスカレータを示す側面図、図12は図11に示すエスカレータに備えられる上部機械室部分を示す平面図である。
【0004】
11において、1は本体を形成する機枠、すなわちフレーム、2は駆動装置、3は駆動スプロケット、4は被駆動スプロケット、5は手摺りベルト、6は踏み段チェーン、7は踏み段である。エスカレータの踏み段7は踏み段チェーン6に固定されており、踏み段チェーン6は駆動スプロケット3と被駆動スプロケット4に巻き掛けられている。駆動装置2で駆動スプロケット3を回転させることにより踏み段チェーン6が移動し、これと一体に踏み段7が移動する。また、手摺りベルト5は踏み段7と同期した速度で移動する。
【0005】
従来一般に、踏み段を移動させる駆動方式として、上述のように、上部機械室に設けた駆動装置2による集中駆動方式が採用される傾向にあったが、この方式では乗客コンベアの下部乗り場面から上部乗り場面までの高低差(以下「階高」という)が大きくなるにつれて、下記の不具合があった。
【0006】
(1)駆動装置2のスプロケット軸には踏み段チェーン6と踏み段7の自重、踏み段7と手摺りベルト5の走行抵抗、乗客荷重がかかるので、階高が大きくなるにつれてこれらによる懸垂荷重および駆動トルクが大きくなる。したがって駆動装置2全体が大きくなり、図19に示す上部機械室の幅B、図18に示す高さHG、奥行Lを必然的に大きくする必要があり、据え付け上不利となっている。
【0007】
(2)踏み段7の左右に配置される踏み段チェーン6に対して上記の荷重がかかるため、踏み段チェーン6に要求される破断荷重が大きくなる。したがって、踏み段チェーン6そのものが大きくなり、これに相応してスプロケット3,4、駆動装置2も大きくなり、据え付け上不利となる。また、踏み段チェーン6の自重分が段々増加することにより、本来の乗客荷重を負担する割合が低下し、経済的限界、さらには技術的限界の階高が発生する。
【0008】
このため従来、上部の駆動装置の他にさらに、上下部の中間に別の駆動装置を配置した、いわゆる分散駆動方式または、補助駆動方式が提案されている。例えば特公昭52−1557号公報には、上部駆動装置の他に中間にインボリュート歯形による駆動歯車を持つ駆動装置を配置した構成が提案されている。
【0009】
また、特開昭55−16831号公報には、中間に複数個の駆動装置を配置した分散駆動方式が提案されている。この方式は駆動装置のスプロケットで駆動チェーンを駆動するとともに、駆動チェーンのローラにより、踏み段チェーンに刻まれたラックを駆動するもので、上側(行き側)および下側(帰り側)の踏み段チェーンを同時に駆動するように構成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した前者の公報の方式は、上部駆動装置の駆動スプロケットと中間の駆動装置の駆動歯車とでは、踏み段チェーンを駆動する速度が異なるため、双方の速度差により踏み段チェーンに無理な張力が発生する。すなわち、上部の駆動スプロケットで踏み段チェーンを駆動する場合、チェーンピッチにより多角形運動をするため、駆動スプロケットが等角速度回転をしていても、中心から駆動点までの半径が変化するので不等速で駆動される。
【0011】
一方中間の駆動歯車はインボリュート歯形であり、直線部で踏み段チェーンを駆動するのでラックを歯車で駆動することになり、踏み段チェーンは等速で駆動される。したがって双方の速度差により踏み段チェーンに無理な張力がかかり、チェーンを痛める他に脈動が発生し振動、騒音の原因となる。このため双方の駆動装置に滑り継手を取付け、速度差によりチェーンに無理な張力がかかった場合、継手を滑らせることで緩和している。しかし、このように構成したものでは滑り継手を必要とすることから構造が複雑となり、制作費が高くなるとともに、保守の手間がかかるという不具合がある。
【0012】
また、前述した後者の公報の方式では、駆動スプロケットと駆動チェーンとの噛み合いに基づく前述の多角形運動を生じ、これにより駆動チェーンが不等速運動をするため、踏み段チェーンも不等速運動をし、踏み段に脈動が発生し乗り心地が悪いと言う不具合がある。さらに、上側および下側の踏み段チェーンが不等速運動をするので、踏み段チェーンに無理な張力がかかるという不具合がある。
【0013】
本発明は、上記した従来技術における実状に鑑みてなされたもので、その目的は、分散駆動方式の採用に際し、駆動装置に滑り継手等の特別な部材を設けることなく踏み段チェーンの不等速運動を抑制できる乗客コンベアを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、全長方向の両端部のそれぞれにアイドラスプロケットを設け、これらのアイドラスプロケットに、乗客用の踏み段を固定した無端状の踏み段チェーンを巻き掛け、上記それぞれのアイドラスプロケットの中間に、上記踏み段チェーンを駆動および制動する1個または複数個の駆動装置を配置するとともに、この駆動装置が、インボリュート歯形を持ち上記踏み段チェーンと係合する駆動歯車を具備し、この駆動歯車を上記踏み段チェーンの上側の踏み段チェーンのみに係合させ、上記上側の踏み段チェーンと上記駆動歯車とが噛み合う場合の負荷パターンに基づいて上記駆動装置を、当該駆動装置の直上の上記上側の踏み段チェーン張力が負にならない位置に配置した構成にしてある。
【0015】
このように構成した発明によれば、全長方向の両端部のそれぞれのアイドラスプロケットの中間に、インボリュート歯形の駆動歯車を持つ駆動装置を配置したので踏み段を等速で駆動することができる。すなわち、駆動装置部分において、駆動装置に滑り継手等の特別な部材を設けることなく駆動装置部分における踏み段チェーンの不等速運動を抑制できる。
【0016】
また、全長方向の両端部のそれぞれに駆動装置を持たないアイドラスプロケットを設け、中間の駆動装置は上側または下側の踏み段チェーンの一方のみを駆動するようにしたので、両端部における踏み段チェーンに対しアイドラスプロケットをフリー回転させることができる。
【0017】
さらに、上記駆動装置の上記駆動歯車を、上記踏み段チェーンの上側のチェーンのみに係合させるとともに、上記駆動装置を、当該駆動装置の直上の踏み段チェーン張力が負にならない位置に配置した構成にしてあることから、上側の踏み段チェーンを駆動歯車に係合させ、この上側の踏み段チェーンを確実に移動させることができる
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の乗客コンベアの実施形態を図に基づいて説明する。図1〜図10は本発明の乗客コンベアの実施形態を構成するエスカレータを示す図である。これらの図のうち、図1は側面図、図2は図1に示す実施形態における上側の踏み段チェーンと、駆動装置の駆動歯車との係合関係を示す要部側面図、図3は図2に示す踏み段チェーン部分の平面図である。
【0019】
この実施形態は、図1に示すように、全長方向の両端部のうちの一方、例えば上階側を形成する上部側にアイドラスプロケット40を、下階側を形成する下部側にアイドラスプロケット55を設け、双方に無端状の踏み段チェーン6を巻掛けてあり、上下部のアイドラスプロケット40,55の中間部に、駆動装置2に備えられる駆動歯車10を例えば2個配置してある。また、踏み段チェーン6のうちの上側の踏み段チェーン6uと駆動歯車10とを係合、すなわち噛み合わせてある。その噛み合い部分には、押板15を設けてあり、これにより噛み合い部分おける踏み段チェーン6が踊らないようにしている。
【0020】
踏み段チェーン6と駆動歯車10の噛み合い状態を示す図2,3において、6bは当該踏み段チェーン6のリンクを示し、6aはローラを示す。駆動歯車10の歯形はローラ6aに相当するインボリュート歯形であり、れにより踏み段チェーン6を等速で駆動することができる。また、駆動歯車10の外径はローラ6aの上端と等しいか、それ以上にしてあり、ローラ6aは駆動歯車10と常に2歯以上で噛み合うようになっている。したがって、駆動歯車10の歯の強度、ローラ6aと歯の面圧、さらには前述のように歯の噛み合い部に押板15を取付けたことと相まって、チェーン外れに対して安全である。
【0021】
なお図1においてHは前述した階高を示すが、個々の駆動歯車10すなわち駆動装置2が担当する階高は、標準の乗客コンベア(階高4.5〜6m)のフレーム寸法に相当する階高となっている。
【0022】
図4は図1に示す実施形態に備えられる駆動装置を示す平面図で、図1のA−A方向から見た図、図5は図4のC部拡大図、図6は図4のD方向から見た図である。
【0023】
図4に示すように、駆動装置2の駆動歯車10は歯車軸11に固定してあり、軸受12により支持させてある。踏み段7の前輪13は前輪軸14に取付けてあり、前輪軸13は踏み段チェーン6に固定させてある。図5に示す押板15と踏み段チェーン6のリンク6bとの隙間gが最小となるように調整することで、前述したように踏み段チェーン6の踊りを防止し、駆動歯車10との噛み合いが良好になるようにしている。16は踏み段7の後輪である。
【0024】
駆動装置2を示す図6において、17は駆動用減速機であり、減速用歯車18a〜18fから構成してある。20は電動機であり、歯車18aを駆動する。19はディスクブレーキ装置であり、電動機軸と直結している。最終段の歯車18fは歯車軸11に固定し、駆動用減速機17の本体の一端側は軸受21により、歯車軸11に支持させてある。減速機17の本体の他端側は、当該減速機17の突起部17aでフレーム1に設けた支持部材22に固定させてあり、駆動トルクによる反力と減速機17の重量分を前述の軸受21とで負担している。
【0025】
以上の駆動装置2により、電動機20の回転が減速されて歯車軸11を経て駆動歯車10を回転させ、踏み段チェーン6との噛み合いにより前軸14に固定した踏み段7を駆動する。また、ディスクブレーキ装置19により踏み段7を制動する。
【0026】
図7は図1のB−B方向から見た図、図8は図7のF方向から見た側面図である。これらの図に示すように、上部側のアイドラスプロケット40は軸41に固定してあり、軸受42で支持させてある。踏み段7の前輪13は前輪軸14に取付けられ、前輪軸14は踏み段チェーン6に固定させてある。43は制動用増速機47に制動力を発生させるためのスプロケットであり、上部側のアイドラスプロケット40に固定したボス44に、ボルト45で固定させてある。46はスプロケット43と制動用増速機47のスプロケット48を連結するチェーンである。なお、制動用増速機47は図示していないが、数段の歯車群から構成されており、最終的にディスクブレーキ装置49と直結している。すなわち上部側のアイドラスプロケット40の回転を増速することで、増速比分によりディスクブレーキ装置49が負担する制動トルクを減少させるようになっている。
【0027】
図9は、図1に示す実施形態に備えられる踏み段チェーンと駆動歯車とが噛み合う場合の負荷パターンを示す図、図10は図9に示す各負荷パターンに対応する上側の踏み段チェーンの張力分布を示す図である。
【0028】
ここで、上部側のアイドラスプロケット40を上TG、下部側のアイドラスプロケット55を下TG、下部寄りの駆動歯車10をDG1、上部寄りの駆動歯車10をDG2とする。図9の[1]は無負荷の場合、[2]は中負荷の一例でDG1、DG2および上TG間に負荷がある場合、[3]は全負荷の場合を示す。
【0029】
図10の上TGを中心として左側は上側のチェーン6uの張力分布を、右側は下側のチェーン6dの張力分布をそれぞれ示す。
【0030】
《上側のチェーン張力分布について》
図10において、負荷パターン[1]すなわち無負荷の場合は下TGにはチェーン緩み防止として図1に示すように、あらかじめ引張りばね56により張力2F1を与えているので、ばね張力の半分F1が張力となる。
【0031】
また、上TGにはF1に対して踏み段チェーン6と踏み段7の重量が階高Hにわたって加算されるので同図10のようにF2が張力となる。下TGの張力F1と上TGの張力F2は負荷パターンが変化しても一定である。DG1とDG2の張力はF1とF2の張力を結んだ直線上にある。負荷パターン[3]の全負荷の場合は、DG2と上TG間において、DG2直上付近の上TG側のチェーン張力F3は、F2に対してDG2と上TG間の負荷と踏み段チェーン6と踏み段7の重量分だけその張力が減少するので同図10のような張力分布となる。また下TGとDG1間において、DG1直上付近の下TG側のチェーン張力F6は、F1に対して下TGとDG1間の負荷と踏み段チェーン6と踏み段7の重量分だけその張力が増加するので同図10のような張力分布となる。
【0032】
次に、DG1直上付近のDG2側のチェーンF5およびDG2直上付近のDG1側のチェーン張力F4であるが、中間に配置した2個の駆動装置2に対して特別な制御をしなければ、2個の駆動装置2で負荷をほぼ等分して負担するので、張力差(F6−F5)=(F4−F3)となり同図10のような張力分布となる。
【0033】
負荷パターン[2]すなわち中負荷の場合は、DG2と上TG間において、DG2直上の張力F3は、F2に対してDG2と上TG間の負荷と踏み段チェーン6と踏み段7の重量分だけその張力が減少するので同図10のような張力分布となる。また下TGとDG1間において、DG1直上付近の下TG側のチェーン張力F6はF1に対して下TGとDG1間の踏み段チェーン6と踏み段7の重量分だけ張力が増加するので同図10のような張力分布となる。
【0034】
次にDG1直上付近のDG2側のチェーン張力F5およびDG2直上付近のDG1側のチェーン張力F4であるが、全負荷時[3]と同様に中間に配置した2個の駆動装置2に対して特別な制御をしなければ、2個の駆動装置2で負荷をほぼ等分して負担するので、張力差(F6−F5)=(F4−F3)となり同図10のような張力分布となる。ただし、全負荷時と比較して負荷が少ない分、張力差は小さくなる。
【0035】
この他、負荷パターンによって張力が変化するが、注意することは負荷パターンによりチェーン張力が負にならないようにすることが重要である。理由として踏み段チェーン6の上下動を抑制する部材がない状態では、負のチェーン張力すなわち圧縮力を伝達できないからである。すなわち、踏み段チェーン6と駆動歯車10とが係合しない状態を生じることになる。
【0036】
上記の負荷パターン[2]においてDG1の直上付近のDG2側のチェーン張力F5が負になりやすいので、DG1の位置を少し上部に移動することによりこれを防止することができる。もちろん駆動装置2の配置を変えた場合に、種種の負荷パターンを考慮して張力が負にならないように確認することが必要である。このように駆動装置2の配置を変えることで、張力が負にならないようにすることが可能となる。
【0037】
さらに必要により下TGのチェーン緩み防止用の引張りばね56の張力2F1を大きくすることにより、張力F5を負になりにくくすることも可能である
《下側のチェーン張力分布について》
下側には駆動歯車10が無いので負荷パターン[1][2][3]とも同一で、上TGの張力F2から下TGの張力F1まで同図10に示すように直線分布となる。
【0038】
この第1実施形態に示す上側噛み合い方式の特徴をまとめると、下記のようになる。
【0039】
(1)上TGの張力F2は負荷パターンに関係無く一定で、F2は下TGの張力F1に対して上TGと下TG間の踏み段チェーン6と踏み段7の重量分だけ増加した張力となる。
【0040】
(2)下側の張力分布はF2とF1を結んだ直線分布となる。
【0041】
(3)負荷パターンにより、下TGに最も近い駆動装置2の直上付近の上TG側のチェーン張力が負になる場合があるが、駆動装置2の配置を変更することによりこれを防止することが可能である。また、踏み段チェーン6の緩み防止として下TGに与える張力を増加することで、チェーン張力が負になることを防止できる。
【0042】
以上のように、実施形態では、上部側、下部側のそれぞれに配置したアイドラスプロケット40,55の中間に、インボリュート歯形の駆動歯車10を持つ駆動装置2を配置したので、踏み段チェーン6を等速で駆動することができる。このため駆動装置2間において、踏み段チェーン6に従来のようなチェーンとスプロケットの噛み合いで発生した不等速運動を生じないので、駆動装置2に滑り継手等の特別な部材を要することのない簡単な構造で、しかも踏み段チェーン6に無理な張力を与えることがない。
【0043】
また、当該エスカレータの上下部は駆動装置2を持たないアイドラスプロケット40,55とし、中間の駆動装置2は上側の踏み段チェーン6のみを駆動するようにしたので、上下部における踏み段チェーン6とアイドラスプロケット40,55の噛み合いにおいて、踏み段チェーン6に無理な張力を与えることがない。すなわち、駆動装置2とアイドラスプロケット40,55間において、上側の踏み段チェーン6uはアイドラスプロケット40,55がフリーに回転できるので、踏み段チェーン6に無理な張力を与えることがない。また、下側のチェーン6dは駆動装置2と噛み合っていないフリーな状態なので踏み段チェーン6に無理な張力を与えることがない。
【0044】
また、アイドラスプロケット40,55の中間に駆動装置2を配置したので、駆動装置2を小型にすることができる。すなわち、駆動装置2の減速機は従来の標準の階高(4.5〜6m)用のものを活用できる。したがって、当該エスカレータの寸法増加を抑制でき、据え付け上有利となる。また、当該エスカレータの階高に応じて駆動装置2を増やせばよいので、モジュール設計が容易である。すなわち、1つの駆動装置2と、この駆動装置2の能力に相応する階高の組み合わせの標準化の設定が容易である。
【0045】
また、踏み段チェーン6にかかる最大張力は、踏み段チェーン6の緩み防止の引張力と上下アイドラスプロケット40,55間の踏み段チェーン6と踏み段7の重量分の合計となり、乗客負荷分を含まないので比較的小型の踏み段チェーン6を設ければ済み、踏み段チェーン6の寸法増加を抑制できる。
【0046】
また、図4,5,6に示すように、電動機20から駆動歯車10までの駆動部を減速歯車群により一体としたので、駆動装置2単体で調整後、容易にフレーム1に取付けが可能となり、当該エスカレータの据付け作業および保守作業の能率向上に貢献する。
【0047】
また、図7,8に示すように、上部側のアイドラスプロケット40を制動する制動用増速機47、チェーン46を含む制動装置を設けたことにより、個々の駆動装置10の制動力に異常が発生した場合にバックアップでき、安全性を確保できる。
【0048】
さらに、本実施形態は、踏み段チェーン6と駆動歯車10とが噛み合う場合の負荷パターンに基づいて、駆動装置2を、当該駆動装置2の直上の上側の踏み段チェーン6の張力が負にならない位置に配置してあるので、上側の踏み段チェーン6を駆動歯車10に係合させ、この上側の踏み段チェーン6を確実に移動させることができる。
なお、上記実施形態は、階高を有するエスカレータに適用させてあるが、階高を有さない動く歩道に適用させてもよい。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、全長方向の両端部のそれぞれのアイドラスプロケットの中間に、インボリュート歯形の駆動歯車を持つ駆動装置を配置したので、踏み段チェーンを等速で駆動することができる。すなわち、駆動装置部分において、当該駆動装置に継手等の特別な部材を設けることなく踏み段チェーンの不等速運動を抑制でき、簡単な構造でしかも踏み段チェーンに無理な張力を与えることがない。
【0050】
また、全長方向の両端部のそれぞれに駆動装置を持たないアイドラスプロケットを設け、中間の駆動装置は上側または下側の踏み段チェーンの一方のみを駆動するようにしたので、両端部における踏み段チェーンとアイドラスプロケットの噛み合い部分において、アイドラスプロケットをフリー回転させることができ、これにより踏み段チェーンに無理な張力を与えることがない。
【0051】
また特に、上側の踏み段チェーンと駆動歯車とが噛み合う場合の負荷パターンに基づいて駆動装置を、当該駆動装置の直上の上側の踏み段チェーン張力が負にならない位置に配置してあるので、上側の踏み段チェーンを駆動歯車に係合させ、この上側の踏み段チェーンを確実に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乗客コンベアの実施形態を構成するエスカレータを示す側面図である。
【図2】図1に示す実施形態における上側の踏み段チェーンと、駆動装置の駆動歯車との係合関係を示す要部側面図である。
【図3】図2に示す踏み段チェーン部分の平面図である。
【図4】図1に示す実施形態に備えられる駆動装置を示す平面図で、図1のA−A方向から見た図である。
【図5】図4のC部拡大図である。
【図6】図4のD方向から見た図である。
【図7】図1のB−B方向から見た図である。
【図8】図7のF方向から見た側面図である。
【図9】図1に示す実施形態に備えられる上側の踏み段チェーンと駆動歯車とが噛み合う場合の負荷パターンを示す図である。
【図10】図9に示す各負荷パターンに対応する上側の踏み段チェーンにおける張力分布を示す図である。
【図11】従来の乗客コンベアの一例として挙げたエスカレータを示す側面図である。
【図12】図11に示すエスカレータに備えられる上部機械室部分を示す平面図である。
【符号の説明】
1 フレーム
2 駆動装置
6 踏み段チェーン
7 踏み段
10 駆動歯車
11 歯車軸
12 軸受
13 前輪
14 前輪軸
15 押板
16 後輪
17 駆動用減速機
18a〜18f 歯車
19 ディスクブレーキ装置
20 電動機
21 軸受
22 支持部材
23 チェーン抑制部
40 アイドラスプロケット
41 軸
42 軸受
43 スプロケット
44 ボス
45 ボルト
46 チェーン
47 制動用増速機
48 スプロケット
49 ディスクブレーキ装
55 アイドラスプロケット
56 引張りばね

Claims (1)

  1. 全長方向の両端部のそれぞれにアイドラスプロケットを設け、これらのアイドラスプロケットに、乗客用の踏み段を固定した無端状の踏み段チェーンを巻き掛け、上記それぞれのアイドラスプロケットの中間に、上記踏み段チェーンを駆動および制動する1個または複数個の駆動装置を配置するとともに、この駆動装置が、インボリュート歯形を持ち上記踏み段チェーンと係合する駆動歯車を具備し、
    この駆動歯車を上記踏み段チェーンの上側の踏み段チェーンのみに係合させ
    上記上側の踏み段チェーンと上記駆動歯車とが噛み合う場合の負荷パターンに基づいて上記駆動装置を、当該駆動装置の直上の上側の踏み段チェーン張力が負にならない位置に配置したことを特徴とする乗客コンベア。
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