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JP3583762B2 - 電子機器 - Google Patents

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JP3583762B2
JP3583762B2 JP2002062359A JP2002062359A JP3583762B2 JP 3583762 B2 JP3583762 B2 JP 3583762B2 JP 2002062359 A JP2002062359 A JP 2002062359A JP 2002062359 A JP2002062359 A JP 2002062359A JP 3583762 B2 JP3583762 B2 JP 3583762B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばメモリモジュールを増設可能な電子機器に係り、特にメモリモジュールの熱を電子機器の筐体に拡散させるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポータブルコンピュータのような電子機器は、メモリモジュールを増設するためのメモリ収容部を備えている。メモリ収容部は、一般に電子機器の筐体の底部に形成されている。このメモリ収容部は、筐体の底壁に開口された開口部を有し、この開口部を通じてメモリモジュールが出し入れされるようになっている。さらに、底壁の開口部は、取り外し可能な蓋によって塞がれている。この蓋は、メモリモジュールやメモリ収容部を覆い隠している。
【0003】
このため、従来の電子機器によると、メモリモジュールの増設あるいは交換作業は、蓋を取り外してメモリ収容部を筐体の外方に露出させた後、ユーザの手作業によって行われるのが一般的となっている。
【0004】
ところで、メモリモジュールは、メモリ・チップを内蔵した複数の電子部品を有している。この電子部品としては、SDRAMが主流となっているが、最近ではCPUの高機能化および高速化に伴い、DDR(Double Data Rate)モードを有するSDRAMが普及しつつある。
【0005】
このDDRタイプのSDRAMは、データの転送速度が速く、消費電力が大きいので、動作中の発熱量が無視できない程に大きなものとなる。そのため、DDRタイプのSDRAMを用いたメモリモジュールをメモリ収容部に増設した場合に、SDRAMからの熱影響を受けて筐体の底壁が局部的に熱くなるといった不具合が生じてくる。
【0006】
特にメモリ収容部は、蓋を外した時に筐体内への異物の侵入を防止するため、この筐体の内部とは仕切られた密室となっていることが多い。よって、SDRAMの熱がメモリ収容部に余計にこもり易くなり、筐体の底壁のうちメモリ収容部に対応する箇所の温度上昇が著しいものとなる。このことから、メモリ収容部に発熱量の大きなメモリモジュールを収容するに当っては、メモリモジュールの放熱性を高めるための対策が必要となってくる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電子機器によると、メモリ収容部は、筐体の内部に収容されたプリント配線板と筐体の底壁との間の僅かな隙間に入り込むように形成されている。そのため、メモリ収容部にメモリモジュールを増設した場合に、このメモリモジュールと蓋との間に金属製のヒートシンクを配置し得るようなスペースはほとんど残されていない。そのため、従来から知られているようなヒートシンクを用いてメモリモジュールの放熱性を高めることはできない。
【0008】
また、たとえメモリモジュールと蓋との間にヒートシンクを配置することが可能であるとしても、このヒートシンクがメモリ収容部の開口部に張り出しいると、ユーザがメモリモジュールを交換したり増設する際に、ヒートシンクが邪魔な存在となる。このため、メモリモジュールの交換あるいは増設作業に先立ってヒートシンクを開口部から取り外さなくてはならない。同様に、メモリモジュールの交換あるいは増設作業が完了した後、取り外したヒートシンクを再び開口部に装着してメモリモジュールに熱的に接続しなくてはならない。
【0009】
よって、メモリモジュールを交換したり増設する作業に多大な手間と労力を要し、使い勝手が悪くなるといった不具合が生じてくる。
【0010】
本発明の目的は、機能部品と蓋との間のスペースが僅かでも、この機能部品の熱を効率良く筐体に拡散させることができ、筐体の局部的な温度上昇を防止できる電子機器を得ることにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上記目的に加えて機能部品の増設あるいは交換作業を容易に行うことができ、使い勝手が向上する電子機器を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、
外壁を有する筐体と、この筐体の内部に形成され、上記外壁に開口された開口部を有する収容部と、この収容部に上記開口部を介して取り外し可能に収容され、動作中に発熱を伴う少なくとも一つの機能部品とを備えている。上記開口部は、取り外し可能な蓋によって塞がれており、この蓋は、上記機能部品を覆い隠している。この蓋と機能部品との間に熱伝導性シートが介在されている。この熱伝導性シートは、上記機能部品と上記筐体とを熱的に接続している。
【0013】
この構成によれば、熱伝導性シートは、フィルムのように薄いので、機能部品と蓋との間のスペースが僅かであっても、このスペースに無理なく配置することができる。そのため、機能部品の熱は、熱伝導性シートを介して筐体に効率良く逃され、この筐体への熱伝導により広く拡散される。よって、筐体の外壁のうち収容部に対応する部分が局部的に高温となるのを防止できる。
【0014】
上記他の目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、
外壁を有する筐体と、この筐体の内部に形成され、上記外壁に開口された開口部を有するユーザアクセス領域と、このユーザアクセス領域に上記開口部を介して取り外し可能に増設され、動作中に発熱を伴う少なくとも一つの機能部品と、上記筐体に取り外し可能に装着され、上記開口部を塞ぐとともに、上記機能部品を覆い隠す蓋と、上記筐体の外壁に熱的に接続され、上記ユーザアクセス領域に露出された可撓性の受熱部を有する熱伝導性シートと、を具備している。
上記熱伝導性シートの受熱部は、上記ユーザアクセス領域に上記機能部品が増設された時に、この機能部品と上記蓋との間に介在されて上記機能部品に熱的に接続される。さらに、この受熱部は、上記蓋を取り外した時に、上記ユーザアクセス領域を開放する方向に変位可能であることを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、熱伝導性シートは、フィルムのように薄いので、機能部品と蓋との間のスペースが僅かであっても、このスペースに無理なく配置することができる。そのため、機能部品の熱は、熱伝導性シートを介して筐体の外壁に効率良く逃され、この筐体への熱伝導により拡散される。よって、筐体の外壁のうちユーザアクセス領域に対応する部分が局部的に高温となるのを防止できる。
【0016】
さらに、熱伝導性シートの受熱部は可撓性を有するので、ユーザは、筐体から蓋を取り外した後、受熱部を開口部から引き出す方向に折り曲げることで、ユーザアクセス領域を簡単に開放することができる。このため、ユーザアクセス領域に機能部品を増設したり、この機能部品を交換する際に、受熱部が邪魔とならず、機能部品の増設あるいは交換作業を容易に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の第1の実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図1ないし図10にもとづいて説明する。
【0018】
図1および図2は、電子機器としてのポータブルコンピュータ1を開示している。このポータブルコンピュータ1は、コンピュータ本体2とディスプレイユニット3とで構成されている。
【0019】
コンピュータ本体2は、合成樹脂製の筐体4を備えている。筐体4の外郭となる外壁は、底壁4a、上壁4b、前壁4c、左右の側壁4dおよび後壁4eを含んでいる。底壁4aと上壁4bとは、筐体4の厚み方向に向かい合っており、この上壁4bにキーボード5が配置されている。
【0020】
ディスプレイユニット3は、ディスプレイハウジング6と、このディスプレイハウジング6に収容された液晶表示パネル7とを備えている。液晶表示パネル7の表示画面7aは、ディスプレイハウジング6の前面の開口部8を介して外方に露出されている。
【0021】
ディスプレイハウジング6は、その一端に脚部9を有している。脚部9は、ディスプレイハウジング6の幅方向の中央部に位置され、筐体4の後端部に図示しないヒンジ装置を介して連結されている。そのため、ディスプレイユニット3は、上壁4bやキーボード5を上方から覆うように倒される閉じ位置と、上壁4b、キーボード5および表示画面7aを露出させるように起立する開き位置とに亘って回動可能となっている。
【0022】
図3に示すように、筐体4は、プリント配線板11および冷却ユニット12を収容している。プリント配線板11は、筐体4の底壁4aと平行に配置されている。プリント配線板11の後端部の上面にマイクロプロセッサ13が実装されている。マイクロプロセッサ13は、BGA形の半導体パッケージにて構成されている。このマイクロプロセッサ13は、ベース基板14とICチップ15とを有している。ベース基板14は、プリント配線板11の上面に半田付けされている。ICチップ15は、ベース基板14の上面中央部に実装されている。このICチップ15は、動作中の発熱量が非常に大きく、安定した動作を維持するために冷却を必要としている。
【0023】
上記冷却ユニット12はマイクロプロセッサ13を冷却するためのものである。この冷却ユニット13は、筐体4の右側の側壁4dと後壁4eとで規定される角部に位置されている。
【0024】
図3および図4に示すように、冷却ユニット12は、受熱ブロック16、放熱ブロック17およびファン装置18を備えている。受熱ブロック16は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性を有する金属材料にて構成されている。この受熱ブロック16は、例えば熱伝導性のグリース19を介してICチップ15の上に重ねられており、これにより、受熱ブロック16とICチップ15とが熱的に接続されている。
【0025】
上記放熱ブロック17は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。放熱ブロック17は、複数の放熱フィン20を有している。放熱フィン20は、互いに間隔を存して平行に配置されている。この放熱ブロック17は、筐体4の右側の側壁4dの後端部に沿うように配置されているとともに、側壁4dに開口された複数の排気口21と向かい合っている。
【0026】
受熱ブロック16と放熱ブロック17とは、ヒートパイプ22を介して熱的に接続されている。このため、ICチップ15の熱は、受熱ブロック16に伝えられた後、ここからヒートパイプ22を通じて放熱ブロック17に移送される。
【0027】
ファン装置18は、ファンケーシング24と羽根車25とを備えている。ファンケーシング24は、ケーシング本体26と底板27とで構成されている。ケーシング本体26は、受熱ブロック16と一体化されており、このケーシング本体26の外周縁に下向きに張り出す周壁28が形成されている。底板27は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。底板27は、周壁28の下端に連結されているとともに、上記筐体4の底壁4aの内面と向かい合っている。この底板27と底壁4aの内面との間には、吸気用の僅かな隙間が形成されている。
【0028】
ファンケーシング24は、一対の吸込口30a,30bと吐出口31とを有している。一方の吸込口30aは、ケーシング本体26に開口されているとともに、他方の吸込口30bは、底板27に開口されている。吐出口31は、ケーシング本体26の周壁28に開口されており、この吐出口31と筐体4の排気口21との間に上記放熱ブロック17が位置されている。
【0029】
上記羽根車25は、ファンケーシング24に収容されている。この羽根車25は、ケーシング本体26と底板27との間に位置されているとともに、駆動源としてのモータ32を介してケーシング本体26に支持されている。
【0030】
羽根車25がモータ32によって回転されると、筐体4内の空気が吸込口30a,30bからファンケーシング24に吸い込まれるとともに、吐出口31から吐き出される。この空気は、冷却風となって放熱ブロック17に吹き付けられ、この放熱ブロック17の放熱フィン20の間を通り抜ける。これにより、放熱ブロック17が強制的に冷やされ、この放熱ブロック17に移送されたICチップ15の熱が冷却風との熱交換により持ち去られる。この熱交換により暖められた冷却風は、排気口21から筐体4の外部に排出される。
【0031】
図5、図6および図9に示すように、コンピュータ本体2の筐体4は、ユーザアクセス領域としてのメモリ収容部35を備えている。メモリ収容部35は、機能部品としてのメモリモジュール36を増設するためのものであり、筐体4の底部に位置されている。メモリモジュール36は、矩形状の基板37と、この基板37に実装された複数の電子部品38とを備えている。電子部品38は、例えばDDR(Double Data Rate)モードを有するSDRAMである。このDDRタイプのSDRAMは、動作中の発熱量が無視できない程に大きなものとなっている。
【0032】
メモリ収容部35は、筐体4の底壁4aに形成された凹部40を備えている。凹部40は、上記冷却ユニット12のファン装置18に隣接するように、筐体4の後半部に位置されている。凹部40は、二つのメモリモジュール36を並べて収容し得るような大きさの矩形状をなしている。
【0033】
凹部40は、矩形状の開口部41を有している。開口部41は、メモリモジュール36を出し入れするためのものであり、筐体4の底壁4aに開口されている。この開口部41は、凹部40の底面40aと向かい合っている。
【0034】
図6の(A)および図7は、筐体4を反転させてこの筐体4の底壁4aを上向きとした状態を開示している。この図6の(A)から分かるように、凹部40は、筐体4の底壁4aとプリント配線板11との間に生じた僅かなスペースSに入り込んでいる。凹部40の底面40aは、プリント配線板11の下面に沿って水平に延びている。このプリント配線板11の下面に一対のコネクタ42が実装されている。コネクタ42は、筐体4の幅方向に沿って互いに平行に配置されている。これらコネクタ42は、凹部40の底面40aを貫通してこの凹部40の中央に突出されている。コネクタ42は、夫々スリット状の接続口43を有し、この接続口43に上記基板37の一端の端子部37aが取り外し可能に差し込まれている。基板37の端子部37aをコネクタ42に接続した状態では、この基板37が凹部40の底面40aと平行に配置されているとともに、発熱する電子部品38が開口部41と向かい合っている。
【0035】
開口部41は、取り外し可能な蓋45によって覆われている。蓋45は、合成樹脂材料により平坦な板状に形成され、開口部41にきっちりと嵌まり合うような大きさを有している。この蓋45は、複数のねじ46を介して筐体4の底壁4aに固定されており、上記凹部40やメモリモジュール36を覆い隠している。蓋45の内面は、メモリ収容部35に増設された電子部品38と向かい合っている。この蓋45の内面と電子部品38との間には、僅かな隙間が形成されている。
【0036】
図5ないし図7に示すように、筐体4の底部に熱伝導性シート50が配置されている。熱伝導性シート50は、合成樹脂製のインシュレータフィルム51と金属フィルム52とを積層することにより構成され、メモリ収容部35よりも遥かに大きな平面形状を有している。この熱伝導性シート50は、自由状態において平坦な形態を維持し得るような剛性を有するとともに、手で容易に曲げることができるような可撓性を有している。金属フィルム52としては、熱伝導性に優れた銅フィルムが用いられている。金属フィルム52の一方の面は、インシュレータフィルム51によって覆われているとともに、金属フィルム52の他方の面は、インシュレータフィルム51で覆われることなく露出されている。
【0037】
熱伝導性シート50の金属フィルム52は、第1の部分54と第2の部分55とを有している。第1の部分54は、筐体4の幅方向に延びる帯状をなしている。この第1の部分54は、筐体4の底壁4aの内面に両面接着テープ56を介して貼り付けられており、上記メモリ収容部35の直後に位置されている。この第1の部分54では、金属フィルム52の他方の面が底壁4aの内面に直接重ね合わされている。このため、熱伝導性シート50は、筐体4に熱的に接続されている。
【0038】
図2および図5に見られるように、金属フィルム52の第1の部分54は、上記筐体4の右側の側壁4dに隣接する端部54aを有している。第1の部分54の端部54aは、インシュレータフィルム51を間に挟んで上記ファンケーシング24の底板27に重ね合わされている。そのため、金属フィルム52の第1の部分54は、筐体4ばかりでなくファンケーシング24にも熱的に接続されている。
【0039】
金属フィルム52の第2の部分55は、凹部40に対応する大きさの矩形状をなしている。金属フィルム52の一方の面を覆うインシュレータフィルム51は、金属フィルム52の第2の部分55に対応する箇所に一対のスリット57a,57bを有している。スリット57a,57bは、筐体4の幅方向に離間して配置されており、これらスリット57a,57bの間に第2の部分55が位置されている。そして、スリット57a,57bの一端は、インシュレータフィルム51の前縁に開口されている。そのため、金属フィルム52の第2の部分55は、インシュレータフィルム51から切り離されており、それ単独で弾性的に変位可能となっている。
【0040】
第2の部分55は、凹部40の外周部に開けた貫通孔58を通じて凹部40内に導かれている。この第2の部分55は、凹部40の開口部41に位置されており、この凹部40にメモリモジュール36が増設された時に、このメモリモジュール36の電子部品38と蓋45との間に介在されている。この第2の部分55では、金属フィルム52の他方の面が蓋45の内面と向かい合うとともに、この金属フィルム52の一方の面がインシュレータフィルム51を間に挟んで電子部品38と向かい合っている。
【0041】
図5や図6の(A)に示すように、蓋45の内面に複数の凸部59が形成されている。凸部59は、蓋45の中央に位置するとともに、筐体4の幅方向に間隔を存して一列に並んでいる。凸部59は、凹部40の底面40aに向けて張り出しており、その先端が金属フィルム52の第2の部分55に接している。これにより、第2の部分55がメモリ収容部35に増設された電子部品38に押し付けられ、第2の部分55と電子部品38との熱接続が確実に行われるようになっている。
【0042】
このような構成のポータブルコンピュータ1において、メモリモジュール36の電子部品38は、データの読み書きを実行する時に発熱する。この際、電子部品38とこれを覆う蓋45との間に介在される熱伝導性シート50は、フィルムのように薄くて柔軟な部品である。そのため、熱伝導性シート35を電子部品38と蓋45との間の僅かな隙間に無理なく配置することができ、この熱伝導性シート50の第2の部分55を電子部品38に熱的に接続することが可能となる。
【0043】
このことから、電子部品38の熱は、金属フィルム52の第2の部分55に直接逃されるとともに、この第2の部分55から第1の部分54に伝えられる。第1の部分54は、筐体4の底壁4aの内面に貼り付けられて、この底壁4aに熱的に接続されている。このため、第1の部分54に伝えられた電子部品38の熱は、底壁4aへの熱伝達により筐体4に拡散される。
【0044】
さらに、本実施形態の場合、第1の部分54の端部54aは、金属製のファンケーシング24の底板27に熱的に接続されている。よって、第1の部分54に伝えられた熱の一部は、ファンケーシング24に逃されることなり、このファンケーシング24を電子部品38のヒートシンクとして活用することができる。
【0045】
それとともに、このファンケーシング24は、冷却風によって冷やされるので、第1の部分54を経由して伝えられた電子部品38の熱を、冷却風の流れに乗じて筐体4の外部に放出することができる。
【0046】
この結果、電子部品38の熱がメモリ収容部35にこもり難くなり、筐体4の底壁4aのうちメモリ収容部35に対応する箇所が局部的に高温となるのを防止できる。したがって、筐体1の表面温度を低く抑えて、筐体1に手を触れた時の体感温度を下げることができる。
【0047】
一方、メモリ収容部35にメモリモジュール36を増設したり、メモリモジュール36を交換するには、図9に示すように、筐体4の底壁4aから蓋45を取り外し、メモリ収容部35の開口部41を開放する。これにより、熱伝導性シート50のうち金属フィルム52の第2の部分55に対応する箇所が開口部41を通じて露出される。
【0048】
次に、開口部41に露出された熱伝導性シート50の縁部に指先を引っ掛け、図10に見られるように、熱伝導性シート50を凹部40から遠ざかる方向に折り曲げる。
【0049】
この結果、熱伝導性シート50が捲くれ上がり、凹部40を筐体4の外部に簡単に開放することができる。よって、凹部40にメモリモジュール36を増設したり、あるいは増設済みの既存のメモリモジュール36を新たなメモリモジュール36と交換する際に、熱伝導性シート50が邪魔となることはなく、このメモリモジュール36の増設および交換作業を容易に行うことができる。
【0050】
メモリモジュール36の増設あるいは交換作業が終了したら、熱伝導性シート50を開口部41に向けて倒れ込むように変位させる。この後、開口部41に蓋45を嵌め込み、この蓋45をねじ46で筐体4の底壁4aに固定する。この固定により、熱伝導性シート50が蓋45と電子部品38との間に介在されるとともに、この熱伝導性シート50の第2の部分55が電子部品38に押し付けられる。
【0051】
したがって、蓋45を筐体4に固定すると同時に、熱伝導性シート50と電子部品38との熱的な接続が完了することになり、メモリモジュール36の増設および交換作業に手間を要しない。
【0052】
なお、本発明は、上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、図11に本発明の第2の実施の形態を示す。
【0053】
この第2の実施の形態は、熱伝導性シート50のうち金属フィルム52の第2の部分55に対応する箇所に蓋45を取り付けたものであり、それ以外のポータブルコンピュータ1の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0054】
この構成によれば、金属フィルム52の第2の部分55と蓋45との位置関係が一定に保たれる。そのため、蓋45を底壁4aに固定した時に、第2の部分55が蓋45と電子部品38との間に精度良く介在され、熱伝導性シート50と電子部品38との熱接続を確実に行うことができる。
【0055】
さらに、蓋45は、常に熱伝導性シート50を介して筐体4に繋がれた状態に保たれるので、この蓋45の紛失を防止できるといった利点もある。
【0056】
図12は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0057】
この第3の実施の形態では、熱伝導性シート50が蓋45の内面のみに取り付けられている。熱伝導性シート50は、蓋45の内面を全面的な覆うような大きさを有し、この蓋45の内面に重ね合わされている。この熱伝導性シート50は、メモリモジュール36がメモリ収容部35に増設されている時に、その電子部品38に接触するようになっている。
【0058】
このような構成によると、筐体4の底壁4aに蓋45が固定された状態では、熱伝導性シート50が蓋45と電子部品38との間に介在される。そのため、電子部品38の熱は、熱伝導性シート50を介して蓋45に伝わるとともに、この蓋45から底壁4aを通じて筐体4に拡散される。
【0059】
そのため、電子部品38の熱がメモリ収容部35にこもり難くなり、筐体4の底壁4aのうちメモリ収容部35に対応する箇所が局部的に高温となるのを防止できる。
【0060】
また、上記第1の実施の形態の熱伝導性シートによると、その金属フィルムの他方の面が外方に露出されているが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば金属フィルムを二枚のインシュレータフィルムの間で挟み込み、金属フィルムの両面をインシュレータフィルムで覆うようにしても良い。
【0061】
また、本発明に係る電子機器は、ポータブルコンピュータに限らず、例えばPDA(Personal Digital Assistants)のようなその他の情報端末機器であっても同様に実施可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、発熱する機能部品と蓋との間の僅かな隙間に熱伝導性シートを無理なく配置することができ、機能部品の熱を熱伝導性シートを介して筐体に拡散させることができる。したがって、機能部品の熱が収容部にこもり難くなり、筐体の外壁のうち収容部に対応する箇所が局部的に高温となるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】筐体の底壁を示すポータブルコンピュータの底面図。
【図3】冷却ユニットのファン装置と熱伝導性シートとの位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図4】冷却ユニットのファンケーシングと熱伝導性シートとの位置関係を示す平面図。
【図5】メモリ収容部、熱伝導性シートおよびファンケーシングとの位置関係を示すポータブルコンピュータの平面図。
【図6】(A)は、メモリ収容部、熱伝導性シートおよびメモリモジュールとの位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
(B)は、熱伝導性シートの断面図。
【図7】熱伝導性シートを折り曲げてメモリモジュールを露出させた状態を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図8】熱伝導性シートの平面図。
【図9】筐体から蓋を取り外し、熱伝導性シートを露出させた状態を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図10】熱伝導性シートを折り曲げてメモリモジュールを露出させた状態を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るポータブルコンピュータの断面図。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るポータブルコンピュータの断面図。
【符号の説明】
4…筐体
4a…外壁(底壁)
11…プリント配線板
35…収容部(ユーザアクセス領域、メモリ収容部)
36…機能部品(メモリモジュール)
38…電子部品
41…開口部
45…蓋
50…熱伝導性シート
55…受熱部(第2の部分)

Claims (14)

  1. 外壁を有する筐体と、
    上記筐体の内部に形成され、上記外壁に開口された開口部を有する収容部と、
    上記収容部に上記開口部を介して取り外し可能に収容され、動作中に発熱を伴う少なくとも一つの機能部品と、
    上記筐体に取り外し可能に装着され、上記開口部を塞ぐとともに、上記機能部品を覆い隠す蓋と、
    上記機能部品と蓋との間に介在され、上記機能部品と上記筐体とを熱的に接続する熱伝導性シートと、を備えていることを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1の記載において、上記熱伝導性シートは、上記筐体の外壁に熱的に接続された第1の部分と、上記収容部に露出された可撓性を有する第2の部分とを含み、この熱伝導性シートの第2の部分は、上記蓋を取り外した時に、上記収容部を開放する方向に変位可能であることを特徴とする電子機器。
  3. 請求項1又は請求項2の記載において、上記熱伝導性シートは、金属フィルムとインシュレータフィルムとを積層することにより構成され、自由状態において平坦な形態を維持し得るような剛性を有していることを特徴とする電子機器。
  4. 請求項3の記載において、上記熱伝導性シートの金属フィルムは、上記筐体の外壁に熱的に接続されているとともに、上記機能部品に熱的に接続可能であることを特徴とする電子機器。
  5. 請求項2の記載において、上記筐体は、金属製のファンケーシングを有するファン装置を内蔵しており、上記熱伝導性シートの第1の部分は、上記ファンケーシングに熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかの記載において、上記蓋は、上記熱伝導性シートを上記機能部品に押し付ける凸部を含むことを特徴とする電子機器。
  7. 請求項1の記載において、上記蓋は、上記収容部に露出される内面を有し、上記熱伝導性シートは、上記蓋の内面に取り付けられていることを特徴とする電子機器。
  8. 請求項2の記載において、上記蓋は、上記熱伝導性シートの第2の部分に取り付けられていることを特徴とする電子機器。
  9. 外壁を有する筐体と、
    上記筐体の内部に形成され、上記外壁に開口された開口部を有するユーザアクセス領域と、
    上記ユーザアクセス領域に上記開口部を介して取り外し可能に増設され、動作中に発熱を伴う少なくとも一つの機能部品と、
    上記筐体に取り外し可能に装着され、上記開口部を塞ぐとともに、上記機能部品を覆い隠す蓋と、
    上記筐体の外壁に熱的に接続され、上記ユーザアクセス領域に露出された可撓性の受熱部を有する熱伝導性シートと、を具備し、
    上記熱伝導性シートの受熱部は、上記ユーザアクセス領域に上記機能部品が増設された時に、この機能部品と上記蓋との間に介在されて上記機能部品に熱的に接続されるとともに、上記蓋を取り外した時に、上記ユーザアクセス領域を開放する方向に変位可能であることを特徴とする電子機器。
  10. 請求項9の記載において、上記蓋は、上記熱伝導性シートの受熱部を上記機能部品に押し付ける凸部を含むことを特徴とする電子機器。
  11. 請求項9の記載において、上記筐体は、金属製のファンケーシングを有するファン装置を内蔵しており、上記熱伝導性シートは、上記ファンケーシングに熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
  12. 請求項9ないし請求項11のいずれかの記載において、上記熱伝導性シートは、金属フィルムとインシュレータフィルムとを積層することにより構成され、自由状態において平坦な形態を維持し得るような剛性を有していることを特徴とする電子機器。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれかの記載において、上記機能部品は、基板と、この基板に実装された複数の半導体パッケージとを有するメモリモジュールであることを特徴とする電子機器。
  14. 底壁を有する筐体と、
    上記筐体内に収容され、上記底壁に沿って配置されたプリント配線板と、
    上記底壁と上記プリント配線板との間に形成され、上記底壁に開口された開口部を有するメモリ収容部と、
    上記メモリ収容部に上記開口部を介して取り外し可能に増設され、動作中に発熱を伴う電子部品を有する少なくとも一つのメモリモジュールと、
    上記筐体に取り外し可能に装着され、上記開口部を塞ぐとともに、上記メモリモジュールを覆い隠す蓋と、
    上記筐体の底壁に熱的に接続され、上記メモリ収容部に露出された可撓性の受熱部を有する熱伝導性シートと、を具備し、
    上記熱伝導性シートの受熱部は、上記メモリ収容部に上記メモリモジュールが増設された時に、このメモリモジュールの電子部品と蓋との間に介在されて上記電子部品に熱的に接続されるとともに、上記蓋を取り外した時に、上記メモリ収容部を開放する方向に変位可能であることを特徴とする電子機器。
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