JP3582920B2 - 路面標示用水性塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥性、耐摩耗性、耐汚染性及び路面との接着性に優れた路面標示用水性塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の路面標示用塗料には、溶剤タイプ及びホットメルトタイプの2種類が主として使用されており、この内、溶剤タイプはケトン系、エステル系、脂肪族系、芳香族系等の有機溶剤が使用されており、消防法の危険物に該当するため、貯蔵及び取扱い上の管理が大変であり、かつ環境面ではVOC規制の問題があり、大気汚染上好ましくなく、溶剤を殆ど含まない非危険物の路面標示用水性塗料が望まれている。また、ホットメルトタイプは塗工現場において塗料を高温で溶融させなければならないので熱源が必要で、高温に対する安全対策も必要であり、また、強い臭気を出すという問題もある。
【0003】
路面標示用水性塗料としては特開平6−271789号公報に提案されているものがあるが、塗料を構成するエマルジョン中のポリマーの分子量が10,000〜 100,000と低いため、乾燥性、耐摩耗性、耐汚染性、塗膜強度及び路面との接着性が不充分という問題点がある。耐汚染性向上のためには、高価な反応性オリゴマーを使用しなければならないので、経済的に不利であると同時に、オリゴマーの持つ反応性基の内、アクリロイル基は空気中ではラジカル反応活性が低く、ジシクロペンテニル基も金属酸化物の存在下で徐々にしか架橋反応が進行しないので、耐汚染性を発揮するには長時間を要するという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような状況から、本発明は、アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンに着目し、これを使用することにより乾燥性、耐摩耗性、耐汚染性及び路面との接着性に優れ、施工が容易な路面標示用塗料を提供しようとしてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意検討の結果、この塗料のビヒクルにアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンを使用すること、エマルジョン中のアクリル系共重合体の平均分子量を15万以上とすること、ガラス転移温度を0〜70℃とすること、エマルジョンの固形分濃度を43重量%以上とすることにより、これらの課題が解決されることを見出し、アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン、着色顔料、充填剤の種類、量について試験を行い本発明に至った。
【0006】
本発明の路面標示用水性塗料組成物は前記の課題を解決したものであり、これは、
(1)平均分子量が15万以上であり、0〜70℃のガラス転移温度を持ち、かつアルコキシシリル基を有するアクリル系共重合体を含有し、固形分濃度が43重量%以上であるアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンがその固形分として 100重量部、
(2)着色顔料が60〜 200重量部、及び
(3)充填剤が 100〜 400重量部
配合された水性塗料組成物である。
【0007】
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明における(1)成分のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは本発明の路面標示用水性塗料組成物のビヒクルを構成するものであり、(イ)炭素数1〜18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(ロ)アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体さらには(ハ)必要に応じて使用されるその他のラジカル重合可能な単量体を共重合させて得られたエマルジョンが通常用いられる。
【0008】
(イ)成分の(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル系共重合体の骨格を形成させるための主成分となるラジカル重合性単量体であり、具体例として、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル又はステアリルエステルなどをあげることができ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上の単量体を使用することができる。
【0009】
(ロ)成分のアルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体は、下記一般式で表されるものが通常用いられる。
【化1】
(ここで、Xはラジカル重合性官能基、R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜3の整数を示す。)
【0010】
具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸と有機シランとのエステルであるγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン;トリメトキシシリルスチレン、ジメトキシメチルシリルスチレン、トリエトキシシリルスチレン、ジエトキシメチルシリルスチレン等が例示される。
これらの中では、(a)γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランから選択されるシランならびに(b)γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランから選択されるシランを、(a)成分のシラン/(b)成分のシランの重量比が60/40〜0/100 となるように使用するのが特にエマルジョンの保存安定性の点で好ましい。
【0011】
これら(ロ)成分の単量体は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、エマルジョンの保存安定性と塗膜の特性からみて、その使用量はラジカル重合性単量体全量の1〜20重量%とするのが好ましい。
(ロ)成分の量がラジカル重合性単量体全量の1重量%未満では形成された塗膜の架橋密度が低く、耐摩耗性、耐汚染性や路面との接着性が不十分であるし、また20重量%を超えると架橋密度が高すぎ、形成された塗膜がもろくなり、さらにはエマルジョンの保存安定性も損なわれる。
【0012】
(ハ)成分のその他のラジカル重合性単量体は、必要に応じてエマルジョンの安定性、塗料組成物の安定性、塗装時の作業性、塗膜の諸物性の向上のために用いられるが、本発明の目的を損なわないため、(ハ)成分はラジカル重合性単量体全量の20重量%以下の使用量とする。このような単量体としては具体的に、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又はその無水物基含有単量体、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル、アミド及びその他の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシル基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基含有単量体、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ブタンジオールのジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート等の1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル単量体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル単量体などが例示され、これらの中から1種又は2種以上が用いられる。
【0013】
(1)成分のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンに導入されているアルコキシシリル基は水中で徐々に加水分解してシラノール基を生成し、水の蒸発とともにシラノール基同士の脱水縮合、あるいはシラノール基とアルコキシシリル基の脱アルコール縮合によりアクリル系共重合体の分子内又は分子間の架橋反応が起り、塗膜の強度、耐水性、耐摩耗性向上に寄与する。また、アルコキシシリル基あるいはシラノール基は配合される無機微粉末との親和性が強く、着色顔料、充填剤の分散を容易にし、高充填化による乾燥性の向上がはかれるし、更にまた、路面のコンクリート等との接着性を大巾に向上させる。
【0014】
アクリル系共重合体に結合したアルコキシシリル基は、このように極めて有用である反面、エマルジョンあるいはこれを配合した塗料の貯蔵中にアルコキシシリル基の加水分解が進みすぎると、エマルジョンの粒子中で既に共重合体分子内あるいは分子間架橋が起り、最低造膜温度を上昇させて塗装後の水蒸発時に連続塗膜を形成し得なくなったり、あるいは、さらにエマルジョンや配合塗料の粘度を著しく上昇せしめ、甚だしい時はゲル化したりして配合や塗装が不能になる。いずれにせよ、実用的価値が失われるので貯蔵中の最低造膜温度の上昇を防止することが望ましい。
そのためには、前述のような種類と量比、あるいはラジカル重合性単量体全量中の割合で、(ロ)成分のアルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体を使用することが好ましい。さらに、後述するコア/シェル重合法や、エマルジョンのpHの調整もこの目的に有効である。
【0015】
(1)成分のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン中のアクリル系共重合体のガラス転移温度(以下Tgと略す)は造膜性、塗膜特性の点から0〜70℃とされるが、好ましくは10〜50℃である。Tgが0℃未満では塗膜が柔らかすぎて耐摩耗性、耐汚染性、塗膜強度が劣り、70℃を超えると、通常の造膜助剤量の添加では常温造膜が難しく、特に寒冷地では5〜10℃でも造膜しなければならないため、過剰の造膜助剤の添加が必要となり、塗料の粘度上昇を引きおこし、塗装機による塗装が困難となり、更には塗膜の耐水性が低下する。
また、アクリル系共重合体の平均分子量(ポリスチレン換算重量平均分子量)は15万以上とされるが、検討の結果、意外にも15万以上という高い方がすべてに優れることが見出されたのである。平均分子量が15万未満では塗膜強度、耐摩耗性、耐汚染性が劣り、良好な塗膜が得られない。平均分子量15万以上は、ラジカル重合開始剤量及び重合温度を調整すれば、通常、達成することができる。
さらに、エマルジョンの固形分濃度は43重量%以上とされる。43重量%未満では塗料中の不揮発分が相対的に低くなり乾燥性が劣るので、43重量%以上が必要である。
【0016】
(1)成分のアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは、通常の乳化重合法により製造できる。即ち、単量体を一括して重合させる一括重合法、単量体単独又はイオン交換水、界面活性剤と共に乳化した単量体乳化液の追加重合法、コアとシェルの単量体組成を変えたコア/シェル重合法、連続的に単量体組成を変えて重合するパワー重合法等が例示される。エマルジョンあるいは塗料の保管中のアルコキシシリル基の架橋反応の進行を抑えるには、コア/シェル重合法も有用である。即ちコア部にアルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体を共重合させ、アルコキシシリル基を含まないシェル部でコア部を保護するか、又は反応性の高いトリメトキシシリル基含有ラジカル重合性単量体をコア部に共重合させ、反応性の低いジメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジエトキシシリル基含有ラジカル重合性単量体をシェル部に共重合させる方法もある。
【0017】
乳化重合時に使用する界面活性剤としては、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオン性界面活性剤などが例示される。これらの界面活性剤は1種のみ用いても2種以上を併用してもよいが、その量が少なすぎると製造したエマルジョンに凝塊物が多く発生するようになるし、得られる塗膜も良好な物性を示さないようになる。また、多すぎる場合にもエマルジョンの粒径が細かくなってエマルジョンの粘度が上りすぎるし、塗膜の耐水性も悪くなってくる。従って、界面活性剤の使用量は全単量体 100重量部に対し 0.5〜15重量部が好ましく、特には1〜7重量部が好ましい。
【0018】
また、本発明で使用されるエマルジョンから形成される塗膜の耐水性等の耐久性を著しく向上させ、溶液タイプに近い性能を得るためには、重合時に界面活性剤として反応性界面活性剤を使用するのが好ましい。この反応性界面活性剤の例としては、特開昭54−144317 、特開昭55−115419 、特開昭62−34947、特開昭58−203960 、特開平4−53802 、特開昭62−104802 、特開昭49−40388、特開昭52−134658 、特公昭49−46291各号公報等に記載されているアニオン性反応性界面活性剤、および特開昭53−126093 、特開昭56−28208、特開平4−50204 、特開昭62−104802 、特開昭50−98484各号公報等に記載されている非イオン性反応性界面活性剤、あるいは第4級アンモニウム塩や第3級アミン塩の基とラジカル重合性基とを含むカチオン性反応性界面活性剤などが挙げられる。
【0019】
本発明で使用されるラジカル重合開始剤としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキシド、アゾビスアミジノプロパンの塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキシド、キュメンハイドロパーオキシド、ジブチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性タイプなどが例示される。さらに必要に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系も使用することができる。この重合開始剤の使用量は全単量体 100重量部に対して通常は 0.1〜10重量部とすればよいが、好ましくは 0.5〜5重量部である。
【0020】
本発明で使用されるアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンを製造するにあたって、アルコキシシリル基の加水分解や縮合を抑えるため重合中のpHを 6.5〜7.5 にコントロールすることが好ましい。重合は通常10〜90℃の温度で行われる。乳化重合の最後には、得られた共重合体の望ましくない架橋反応を防ぎ保存安定性をさらに良好とするために、塩基性物質を添加してエマルジョンのpHを7〜8に調整することが好ましく、そのための添加物としてアンモニア、アミン類、アルカノールアミン類、苛性アルカリ等が例示される。
【0021】
(2)成分の着色顔料としては、白色顔料である酸化チタン、黄色顔料である黄鉛その他、弁柄、カーボンブラック、シアニンブルー、シアニングリーン等が例示され、その使用量はエマルジョンの固形分 100重量部に対して60〜 200重量部とされる。60重量部未満では隠蔽力が不足し、 200重量部を超えると分散が困難になり、塗料粘度が高くなってくるし、経済的にも不利になる。
【0022】
(3)成分の充填剤には、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硅石粉、セライト、クレー、タルク、マイカ、アルミナ等が例示され、その使用量はエマルジョンの固形分 100重量部に対して 100〜 400重量部とされる。 100重量部未満では、塗料の不揮発分が低くなり、乾燥性が劣り、 400重量部を超えると充填剤の分散が困難になり、塗料の粘度が高くなりすぎ、流動性が乏しくなって塗装機による塗装が困難となる。
【0023】
本発明の塗料組成物には、更に必要に応じて分散剤、湿潤剤、可塑剤、消泡剤、造膜助剤、凍結防止剤、増粘剤等適宜添加することができる。好ましい造膜助剤としては、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が例示される。
また、消泡効果のある湿潤剤としては、アセチレンアルコール、アセチレングリコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物等が例示される。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を例をあげて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、例中の部及び配合と濃度に関する%はそれぞれ重量部と重量%を示す。また、得られた各エマルジョン及び塗料組成物についてその特性を下記の方法で測定又は計算した。
【0025】
(1)エマルジョンの特性
▲1▼共重合体のガラス転移温度(Tg)
共重合体のTgを下記の Foxの式より算出した。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi )
Tg:共重合体のガラス転移温度(°K)
Tgi :単量体成分(i)の単独重合体のガラス転移温度(°K)
Wi:共重合体中の成分(i)の重量分率
▲2▼平均分子量
GPCによりポリスチレン換算の重量平均分子量として求めた。
▲3▼固形分濃度
エマルジョンを 105℃×1時間乾燥した時の不揮発分を固形分として計算した。
▲4▼保存安定性
エマルジョンを50℃×30日間保存した後の造膜しうる最低温度を理学工業社製の最低造膜温度測定機で測定し、保存前のエマルジョンの最低造膜温度と比較した。上昇温度の幅により下記の基準で表示した。
◎:5℃以下、〇:5℃超〜10℃、△:10℃超〜20℃、×:20℃超
【0026】
(2)塗料組成物の特性
▲1▼粘度
クレブストーマー粘度計で配合塗料の粘度(KU値)を測定し、下記の基準で表示した。
◎:70〜100 、〇: 100超〜130 、△:70未満、×: 130超
▲2▼塗料の保存安定性
塗料を50℃×30日間保存した前後の粘度変化を測定し、下記の基準で表示した。
〇:初期の粘度の10%以内、×:初期の粘度の10%を超える
【0027】
(3)塗膜の特性
▲1▼不粘着乾燥性、耐摩耗性、隠蔽率及びガラスビーズ固着性標記特性をJIS K 5665に基づいて測定し、下記の基準で表示した。
1)不粘着乾燥性
試験ロールのタイヤに塗料が付着したか否かを肉眼で観察
◎:10分後に付着なし、〇:10分後付着、15分後に付着なし、×:15分後付着
2)耐摩耗性(100 回転換算の摩耗減量)
◎:200mg 以下、〇:200mg 超〜500mg 以下、×:500mg 超
3)隠蔽率
〇:0.97以上、×:0.97未満
4)ガラスビーズ固着性
◎:95%以上、〇:90%以上〜95%未満、×:90%未満
【0028】
▲2▼耐汚染性
配合塗料をガラス板上にアプリケーターを用いて塗膜厚が 100±20μmになるように塗工し、20℃×65%RHで8時間放置後、その塗膜上に園芸用赤玉土を付着させた試験用ロールをころがし、塗膜の汚染状況を観察して下記の基準で表示した。
◎:汚染が殆どなし、〇:少し汚染した、×:かなり汚染した
▲3▼路面との接着性
JIS K 5410に規定するセメントモルタル板及びアスファルトブロックに塗膜厚が 100±20μmになるように塗工し、20℃×65%RHで24時間放置後、JIS K 5400に準拠し、すきま間隔5mm、ます目の数9ヶでゴバン目法により塗
膜の接着性試験を行ない下記の基準で表示した。
◎:評価点数8以上、〇:評価点数6以上〜8未満、
△:評価点数4以上〜6未満、×:評価点数4未満
▲4▼耐水性
配合塗料をガラス板上にアプリケーターを用いて塗膜厚が 100±20μmになるように塗工し、20℃×65%RHで7日間放置後、50℃の温水中に24時間浸漬
し、表面状態を観察した。
◎:異常なし、〇:一部ブリスター発生、×:多数のブリスター発生
【0029】
【実施例】
実施例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水 100部及びpH緩衝剤として炭酸ソーダ0.03部、ホウ酸 0.3部を仕込み、攪拌しながら60℃に昇温させたのち窒素置換した。これにロンガリット0.15部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.09部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.03部を添加すると同時に、メタクリル酸メチル65部、アクリル酸ブチル15部、スチレン10部、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン10部、ノニオン性界面活性剤ノイゲンEA−170(第一工業製薬社製商品名) 3.2部、アニオン性界面活性剤エマールO(花王社製商品名) 1.4部及びt−ブチルハイドロパーオキシド(純分69%) 0.3部の混合液 104.9部を内温を60℃に保持しながら3時間かけて攪拌下に均一に添加し、さらに60℃で1時間反応させて重合を終了した。得られたエマルジョンの固形分濃度は50.9%、pH 7.2であった。
このエマルジョン及び下記の標準配合例により塗料化した塗料及び塗膜の特性は表1、表2に示すとおりであった。
(標準配合例)
エマルジョンの固形分換算 100部と、酸化チタン 100部、炭酸カルシウム 200部、30%ポリカルボン酸ナトリウム水溶液(分散剤)14部、シリコーン系消泡剤4部をドライピグメンテーション法により塗料化し、レットダウンでブチルカルビトールアセテート(造膜助剤)20部、50%メタノール水(凍結防止剤)20部を添加した。
【0030】
実施例2
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水35部及びpH緩衝剤として炭酸ソーダ0.03部、ホウ酸 0.3部を仕込み、攪拌しながら30℃に昇温させたのち窒素置換した。これにL−アスコルビン酸0.15部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.03部を添加すると同時に、メタクリル酸メチル53部、アクリル酸ブチル36部、アクリロニトリル5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部及びt−ブチルハイドロパーオキシド(純分69%) 0.3部の混合物を下記構造式で示される反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬社製商品名) 3.2部、アクアロンHS−10(第一工業製薬社製商品名) 1.4部及び脱イオン水50部の溶液中に投入し、そしてホモミキサーで乳化した 154.9部の乳化液の中から 7.7部を重合容器に加えて重合反応させ、発熱がおさまった後、残りの乳化液を器内温を30℃に保持しながら 2.5時間かけて攪拌下に均一に添加し、さらに30℃で1時間反応させてエマルジョンを得た。このエマルジョンを10%アンモニア水でpH 7.0に中和した。
【化2】
上記で得られたエマルジョン及び標準配合例により塗料化した塗料及び塗膜の特性は表1、表2に示すとおりであった。
【0031】
実施例3
実施例1の脱イオン水 100部を 125部におきかえる以外は実施例1と同様にして表1に示される単量体で重合を行なった。
得られたエマルジョン及びこれを標準配合例により塗料化した塗料及び塗膜の特性は表1、表2に示すとおりであった。
実施例4〜6
実施例1と同様にして表1に示される単量体で重合を行なった。得られたエマルジョン及びこれを標準配合例により塗料化した塗料及び塗膜の特性は表1、表2に示すとおりであった。
【0032】
比較例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水 100部及びpH緩衝剤として炭酸ソーダ0.03部、ホウ酸 0.3部を仕込み、攪拌しながら60℃に昇温させたのち窒素置換した。器内温を80℃にさらに昇温させたのち、これにロンガリット0.15部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.09部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.03部を添加すると同時に、メタクリル酸メチル60部、アクリル酸ブチル36部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン2部、ノイゲンEA−170(前出) 3.2部、エマールO(前出) 1.4部、t−ブチルハイドロパーオキシド(純分69%) 0.3部及びドデシルメルカプタン 0.5部の混合液 105.4部を内温を80℃に保持しながら3時間かけて攪拌下に均一に添加し、さらに80℃で1時間反応させて重合を終了した。得られたエマルジョンの固形分濃度は50.2%、pH 6.9であった。また、得られたエマルジョン及びこれを標準配合例により塗料化した塗料及び塗膜の特性は表1、表2に示すとおりであった。
【0033】
比較例2〜4
実施例1と同様にして表1に示される単量体で重合を行なった。得られたエマルジョン及びこれを標準配合例により塗料化した塗料及び塗膜の特性は表1、表2に示すとおりであった。
特に比較例3は共重合体のガラス転移温度が高すぎて、造膜助剤であるブチルカルビトールアセテート10部では20℃において良好な塗膜を形成しえず、標準配合例(ブチルカルビトールアセテート20部配合)においては塗料の粘度がKU値 130以上となり、作業性の悪いものであった。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
比較例5
実施例1で得られたエマルジョンに脱イオン水を添加して固形分濃度40%に希釈した後、標準配合例に従って配合した塗料から得た塗膜の不粘着乾燥性を評価したが、判定は×であった。
比較例6〜9
実施例1のエマルジョンを使用して表3に示される配合で得た塗料及びその塗膜の特性は表3に示すとおりであった。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明の路面標示用水性塗料組成物は、乾燥性、耐摩耗性、耐汚染性及び路面との接着性に優れ、かつ水性であるため安全性が高く、大気汚染の心配がないため路面標示用として極めて有用である。
Claims (3)
- (1)平均分子量が15万以上であり、0〜70℃のガラス転移温度を持ち、かつアルコキシシリル基を有するアクリル系共重合体を含有し、固形分濃度が43重量%以上であるアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンがその固形分として 100重量部、
(2)着色顔料が60〜 200重量部、及び
(3)充填剤が 100〜 400重量部
配合された路面標示用水性塗料組成物。 - アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンが、アルコキシシリル基導入のため、
(a)γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランから選択されるシランならびに
(b)γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランから選択されるシラン
〔ただし、(a)成分のシラン/(b)成分のシランの重量比が60/40〜0/100 である。〕
を使用して乳化共重合させて得られたものである請求項1に記載の路面標示用水性塗料組成物。 - アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンが、アルコキシシリル基導入のため、アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体をラジカル重合性単量体全量の1〜20重量%使用して乳化共重合させて得られたものである請求項1に記載の路面標示用水性塗料組成物。
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