JP3577950B2 - 自動変速機の変速制御装置及び自動変速機のキックダウン推定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の変速制御装置及び自動変速機のキックダウン推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両用自動変速機として、手動変速機と同様の歯車機構を用いて自動変速を行なうようにした機械式自動変速機が実用化されている。このような機械式自動変速機には、クラッチを自動的に断接するクラッチアクチュエータと、ギアの噛合状態(即ち変速段)を変更するためのギアシフトアクチュエータとが設けられており、これらのアクチュエータの作動状態を制御することにより、自動変速が行なわれるようになっている。
【0003】
また、これらのアクチュエータは、例えば空気圧や油圧等の流体圧を駆動源として作動するものであって、上記流体圧の供給状態を変更することによりその作動が制御されるように構成されている。
さらに、このような機械式自動変速機では、通常の自動変速を行なう自動変速モード以外にもドライバの操作により所望の変速段に切り替え可能な手動変速モードもそなえている。
【0004】
ところで、上述した機械式自動変速機においては、手動変速モードか自動変速モードかを問わず、加速中(又は減速中)に変速操作が実行されると、エンジントルク(以下、エンジン出力と同じ)を減少させてからクラッチアクチュエータを作動させてクラッチを切断し、その後目標変速段への切り替えが実行される。そして、この目標変速段への切り替え後、クラッチを接続してエンジントルクを復帰させる。
【0005】
なお、上述のように、目標変速段への切り替え前に一旦エンジントルクを減少させているのは、目標変速段への切り替え時において変速機のギア機構に大きなトルクがかかっていると、現在噛合しているギアが抜けにくくなるためであり、目標変速段への切り替え前にエンジントルクを減少させることにより、ギアを抜けやすくしているのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、以下のような課題があった。
例えば、自動変速モードで走行中にアクセルペダルを急激に踏み込んで、定常走行状態から全開加速状態に移行する場合(即ち、キックダウンが行なわれる場合)、まず、アクセルの開度変化に応じてエンジントルクが上昇し、その後、変速マップに基づいてシフトダウンの指示が出力されると、エンジントルクが減少してクラッチが切断され、シフトダウンが実行されることになる。
【0007】
つまり、エンジン側に設けられたECU(電子ガバナECU)では、アクセルペダルが踏み込まれてアクセル開度が大きくなると、エンジン回転数を上昇させるべく燃料噴射量の増量制御を行ない、これによりまずエンジントルクが上昇する。一方、自動変速機側のECUでは、アクセル開度情報と車速情報とに基づいて変速マップから目標変速段を設定するので、急激にアクセルペダル開度が大きくなって、これにより変速マップのシフトダウン線を越えると、シフトダウン(キックダウン)を指示する。そして、このようなシフトダウン指示が出力されると、ギア抜けを容易にするために燃料噴射量が絞られ、エンジントルクが減少するのである。
【0008】
これにより、キックダウン時にはエンジントルクが一旦上昇してから減少傾向に転じ、その後シフトダウンが実行されるので、変速時間が長くなってしまいドライバビリティが良くないという課題がある。
ところで、特公平4−71730号公報には、歯車式の手動変速機と自動クラッチとをそなえた変速装置に関する技術が開示されている。この技術では、加速時にシフト操作が検出されるとエンジン回転数を一時的に下げてエンジン出力を小さくするようにしているが、エンジン出力を低下させる判断タイミングがシフト操作による変速指示に基づいているため、この技術を上述した機械式自動変速機に適用しても、変速マップのシフトダウン線を越えて変速指示されるまでキックダウンが実行されず、変速時間を短縮することはできない。
【0009】
なお、このような課題を解決するには、変速マップのシフトダウン線を越える前に予めキックダウンを予測できれば、変速時間の短縮を図ることができる。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、キックダウン時の変速時間を短縮してドライバビリティの向上を図るようにした、自動変速機の変速制御装置を提供するとともに、自動変速機のキックダウンを予測できるようにした、自動変速機のキックダウン推定方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の自動変速機の変速制御装置では、変速段設定手段により、予め設定された変速マップに基づいて車両の運転状態に応じて目標変速段が設定される。そして、変速段設定手段により目標変速段が設定されると、出力抑制手段によりエンジン出力が抑制されてエンジン出力が減少する。そして、その後変速制御手段により目標変速段へ変速が行なわれる。
【0011】
一方、アクセル開度検出手段からの情報に基づいて、シフトダウン判定手段においてアクセル開度の変化(増加)量が所定値よりも大きいと判定されると、このシフトダウン判定手段により、上述の変速段設定手段による変速制御に優先して出力抑制手段及び変速制御手段にシフトダウンの実行が指示される。したがって、このような場合には、通常のシフトダウンよりも素早くシフトダウンが実行されるのである。
【0012】
また、出力抑制手段により、変速段設定手段によるシフトダウン時よりもシフトダウン判定手段によるシフトダウン時の方が大きな減少率でエンジン出力が抑制される。したがって、シフトダウン判定手段によるシフトダウン時には、すばやくエンジンの出力が抑制され、変速時間の短縮を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態としての自動変速機の変速制御装置について説明すると、図1はその要部構成を示す模式的なブロック図、図2はその動作を説明するための図であって、(a)はラック指示位置の特性を示すタイムチャート、(b)はアクセル開度変化を示すタイムチャート、図3はその変速マップの一例を示す図、図4はその動作を説明するためのフローチャート、図5はその動作を説明するためのフローチャートであり、主に自動変速機のキックダウン推定方法を説明するためのフローチャートである。
【0015】
さて、図1に示すように、本発明が適用される車両には、車両の運転状態に応じて変速段を自動的に変更しうる自動変速機10と、この自動変速機10の作動を制御する制御装置(AT用ECU又はATコントローラ)100が設けられており、このATコントローラ100内には、自動変速機10に対する作動制御信号を出力する変速制御手段30と、変速マップ60aに基づいて目標変速段を設定する変速段設定手段60とが設けられている。
【0016】
また、この自動変速機10は、従来技術で説明したように、手動変速機と同様の歯車機構を用いて自動変速を行なうような機械式自動変速機であって、クラッチを自動的に断接するクラッチアクチュエータ(図示省略)と、ギアの噛合状態(即ち変速段)を変更するためのギアシフトアクチュエータ(図示省略)とが設けられており、これらのアクチュエータの作動状態を制御することにより自動変速が行なわれるようになっている。
【0017】
また、上記ギアシフトアクチュエータには、アクチュエータの駆動源となる流体圧の供給状態を制御するための電磁弁が複数付設されており、このようなギアシフトアクチュエータと電磁弁とにより、実際にギアの噛合状態を切り替えるギアシフトユニット(GSU)20が構成されている。また、このGSU20は、変速制御手段30からの制御信号に基づいてその作動が制御されるようになっている。
【0018】
一方、図1に示すように、この車両には車速を検出する車速センサ40とアクセル開度を検出するアクセル開度センサ(アクセル開度検出手段)50とが設けられており、車速センサ40で検出された車速情報及びアクセル開度センサ50で検出されたアクセル開度情報とをパラメータとして変速マップ60aにより目標変速段が設定されるようになっている。
【0019】
そして、変速マップ60aにより目標変速段が設定されると、この目標変速段情報が変速段設定手段60から変速制御手段30及び後述する出力抑制手段70に出力されるとともに、自動変速機10のギアが上記目標変速段となるように、変速制御手段30から制御信号が出力されて、GSU20により変速段の切り替えが実行されるようになっている。
【0020】
また、このようなギアの切り替え時には、従来技術と同様に、エンジントルク(又はエンジン出力)を減少させてからクラッチアクチュエータを作動させてクラッチを切断し、その後目標変速段への切り替えが実行されるようになっており、この目標変速段への切り替え後、クラッチを接続してエンジントルクを復帰させるようになっている。
【0021】
すなわち、図示しないエンジン(ここではディーゼルエンジン)には、上記のAT用ECU(ATコントローラ)100とは別に、電子ガバナのラック位置を制御するためのECU(電子ガバナECU)90が設けられており、この電子ガバナECU90により、燃料噴射量が制御されるようになっている。
また、図1に示すように、この電子ガバナECU90には、変速段設定手段60からの情報に基づいて変速制御時にはエンジン出力を減少させる出力抑制手段70が設けられており、車速とアクセル開度とから得られる運転状態が、変速マップ60aの変速特性線を横切ると、この出力抑制手段70によりエンジントルクが抑制されてから変速操作が実行されるようになっているのである。
【0022】
さて、次に、本発明の要部について説明すると、このATコントローラ100には、変速機10のキックダウンを予め予測するためのシフトダウン判定手段80が設けられている。このシフトダウン判定手段80では、後述する手法によりキックダウンが行なわれるか否かを予測して、キックダウンが行なわれると予測した場合には、変速段設定手段60からの出力に優先して変速制御手段30及び出力抑制手段70にシフトダウンの実行を指示するものである。
【0023】
すなわち、シフトダウン判定手段80によりキックダウンが予測された場合には、変速マップ60aからの情報に基づくシフトダウン(キックダウン)の指示以前にシフトダウンを開始するようになっているのである。そして、このように予めキックダウンを推定することにより、変速制御時間を短縮するようになっているのである。
【0024】
ここで、図3を用いて本実施形態におけるキックダウンの推定方法について説明する。
まず、一般的なキックダウンについて説明すると、図3に示すA点で定常走行中にドライバがアクセルペダルを急激に踏み込んで運転状態がC点に示す位置になったとする。このとき、まず、ドライバがA点からアクセルペダルを踏み込むとアクセルペダルの踏み込み量に応じて、車速が上昇する以前にアクセル開度だけが急激に上昇する。
【0025】
しかしながら、運転状態が図中B点の位置になっても、7速から6速へのシフトダウン線を越えるまでは、新たな目標変速段(6速)は設定されず、変速制御手段30及び出力抑制手段70に対してシフトダウンの変速指示は行なわれない。そして、このシフトダウン線を越えたときに初めて目標変速段が6速に設定されて、上記変速制御手段30及び出力抑制手段70に変速指示が出力されるのである。
【0026】
これに対して、本実施形態のキックダウンの推定方法では、まず、アクセル開度センサ50からアクセル開度情報がシフトダウン判定手段80に取り込まれる。そして、シフトダウン判定手段80では、検出されたアクセル開度情報からアクセル開度変化率Δθを算出し、このアクセル開度変化率Δθが所定値(閾値)よりも大きいか否かを判定する。なお、アクセル開度変化率Δθは、今回の制御周期で検出されたアクセル開度から前回の制御周期で検出されたアクセル開度を引くことで算出されるものである。また、制御周期を一定とすると、このΔθは単位時間当たりのアクセル開度変化率であると言える。
【0027】
キックダウンの推定方法の1つとして、以下の方法を説明する。図3に示すように、通常変速マップ60aでは、アクセル開度がある値以上(例えば70%)でキックダウンが行なわれるように設定されている。このため、ある制御周期においてアクセル開度が例えばθ1 (30%)であって、次の制御周期でθ2 (60%)が検出された場合、アクセル開度変化率Δθ=θ2 −θ1 と、現在のアクセル開度θ2 とから、Δθ+θ2 ≧アクセル開度70%のとき、次の制御周期においてキックダウンが実行されると推定するようになっている。
【0028】
また、これ以外にも、以下のような手法によりキックダウンを推定してもよい。すなわち、アクセル開度変化率Δθが所定値(例えば30%)よりも大きいと判定した場合(即ち、急激にアクセルペダルが踏み込まれて、例えば図中A点からB点に移動したとき場合)には、現在のアクセル開度θ2 が、変速マップ上のどの位置にあるかを参照する。このときアクセル開度θ2 が、例えば60%以上(図中B点)であると、次の制御周期でアクセル開度(例えば図中C点)がシフトダウン線を越えると判定する。つまり、アクセル開度変化率Δθと現在のアクセル開度θ2 とに基づいて、次の制御周期でシフトダウン線を越える否かを変速マップ上で判定するのである。
【0029】
すなわち、両手法では、変速マップの参照の有無による差はあるものの、アクセル開度とアクセル開度変化率とから、今後シフトダウン線を越えて確実にキックダウンが行なわれるか否かを予測するようになっているのである。
また、このようにしてキックダウンが予測されると、シフトダウン判定手段80では、変速段設定手段60の変速マップ60aに基づく変速制御に優先して、変速制御手段30及び出力抑制手段70にシフトダウンの実行を指示するようになっており、これにより、通常よりも素早くシフトダウン(キックダウン)が実行されるのである。
【0030】
このように、出力抑制手段70では、早い時期でのシフトダウン指示に基づきアクセルペダル踏み込みによるエンジン出力上昇を極力抑えた早い段階でのエンジン出力減少を開始でき、通常よりもエンジン出力減少時間を短縮できる。
さらに、出力抑制手段70は、変速マップ60aに基づくシフトダウン時のエンジン出力の減少率よりも、シフトダウン判定手段80からの変速指示によるシフトダウン時のエンジン出力の減少率の方が大きくなるように設定されている。
【0031】
すなわち、シフトダウン判定手段80によりキックダウンが推定された場合には、通常のシフトダウン時よりもエンジン出力を急激に減少させて、変速制御時間を短縮するようになっているのである。
なお、本実施形態では、エンジンとしてディーゼルエンジンが適用されているため、出力抑制手段70により、エンジンに付設された燃料噴射ポンプのラック指示位置を減少させることでエンジン出力を抑制するようになっているが、ガソリンエンジンに本発明を適用する場合には、出力抑制手段70により、例えばスロットル開度を減少させるように構成すればよい。
【0032】
本発明の一実施形態としての自動変速機の変速制御装置は、上述のように構成されているので、例えば図2(a),(b)に示すようなタイムチャートに示すような特性でキックダウンが実行される。なお、図2(a)はラック指示位置の変化を示すものであり、図2(b)はアクセル開度の変化を示すものである。また、図2(a)において、実線は本発明を適用した場合の特性を示し、破線は従来の技術による特性を示すものである。
【0033】
さて、図2(b)に示すように、時間t1 まではドライバは定常走行を行なっており、t1 からt2 にかけてアクセルペダルが急激に踏み込まれたとする。なお、時間t2 におけるアクセル開度は変速マップ上のシフトダウン線を越えるようなアクセル開度であり、例えば図3に示すC点相当のアクセル開度である。また、時間t1 から時間t2 までの時間は実際には微小である。
【0034】
このようにアクセルペダルが踏み込まれると、図2(a)の実線に示すように、アクセル開度の変化に応じて、ラック指示位置が増加し、燃料噴射量が増加する。なお、これは従来の技術でも同様である。その後、t=t2 に至る以前に、シフトダウン判定手段80により、キックダウンが実行されるか否か、即ち、変速マップ60上のシフトダウン線を越えるか否かが推定される。このとき、シフトダウン判定手段80では、アクセル開度変化率Δθと現在のアクセル開度とを参照してキックダウンの実行を推定する。なお、アクセル開度変化率Δθは、図2(b)中の角度αに対応したものとなり、この角度αが大きいほどアクセル開度変化が大きいと言える。
【0035】
そして、このシフトダウン判定手段80によりキックダウンの実行が予測されると、変速マップ60aに基づくシフトダウン指示(t=t2 )以前にシフトダウン判定手段80からシフトダウン(キックダウン)指示が出力される。これにより、出力抑制手段70では、ラック指示位置を減少させるべく制御信号が出力され、従来ではラック指示位置r2 からのエンジン出力減少であるのに対し、ラック指示位置r1 からエンジン出力減少を実行でき、早い時期にエンジン出力の抑制が開始される。
【0036】
さらに、従来よりも早い時期にエンジン出力の抑制を開始するため、小さなラック指示位置r1 からエンジン出力を減少でき、ラック指示位置r1 からr2 までの上昇時間だけではなく、ラック指示位置r2 からr1 まで減少する時間も短縮できる。
また、このとき出力抑制手段70では、変速マップ60aに基づくシフトダウン時よりも大きな減少率でエンジン出力を減少させる。すなわち、シフトダウン判定手段80によりキックダウンが推定された場合には、通常のシフトダウン時(又は従来のキックダウン時)のエンジン出力減少率〔図2(a)の角度β2 参照〕よりも大きな減少率〔図2(a)の角度β1 参照〕でエンジン出力を減少させるのである。
【0037】
したがって、キックダウンを予め予測することにより得られる時間短縮と、通常時よりも急激にエンジン出力を減少させることによる時間短縮との相乗効果により、キックダウン時のエンジン出力の抑制制御がすみやかに実行されるのである。
そして、時間t3 からt4 にかけて、図示しないクラッチアクチュエータやギアシフトアクチュエータが作動してギアの切り替えが実行され、ギアの切り替えが完了後、時間t4 からt5 にかけて、ラック指示位置をアクセル開度に応じたものに変化させ、エンジン出力を復帰させて変速制御が完了するのでる。
【0038】
なお、t3 〜t4 間の所要時間及びt4 〜t5 間の所要時間は、それぞれ従来の技術による所要時間(t3 ′〜t4 ′及びt4 ′〜t5 ′)と同等である。
そして、上述したような変速制御を行なうことにより、アクセルペダルが踏み込まれて(t=t1 )からキックダウンが完了するまで(t=t5 )の変速制御時間Tが、従来の変速制御時間T′よりもΔT(=t5 ′−t5 又はt3 ′−t3 )だけ短縮され、これによりドライバビリティが大幅に向上するのである。
【0039】
次に、図4に示すフローチャートを用いて本装置の動作を説明すると、まず、ステップS10において、自動変速機の変速モードが自動変速モードか手動変速モードかが判定される。これは、本実施形態で適用される変速機が自動変速モードと手動変速モードとをそなえた機械式自動変速機であるためであり、手動変速モードをそなえていない自動変速機の場合には、このステップS10の処理は省略される。そして、ステップS10で自動変速モードであると判定されると、次に、ステップS20に進み、そうでない場合にはリターンする。
【0040】
ステップS20では、アクセル開度センサ50で得られるアクセル開度情報等に基づいて、キックダウンが行なわれるか否かが推定される。その後、ステップS20の推定結果に基づいてキックダウンが予測された場合にはステップS30からステップS35に進み、そうでない場合にはステップS40に進む。
ステップS30からステップS40に進んだ場合には、通常の変速制御が実行される。すなわち、ステップS40では、変速段設定手段60からの情報に基づいて変速を行なうか否かを判定し、変速段設定手段60で目標変速段が設定されると変速を行なうべくステップS50以下に進む。また、変速段設定手段60で目標変速段が設定されなければ、リターンする。
【0041】
ステップS50では、変速がシフトダウンであるのかシフトアップであるのかが判定される。そして、シフトダウンを行なう場合には、ステップS60以下に進み、シフトアップを行なう場合には、ステップS120以下に進む。
そして、ステップS60,S120では、それぞれ通常の変速時のエンジントルク抑制制御が実行される。その後、ステップS70,S130に進み、クラッチが切断され、ステップS80,S140において、エンジンとクラッチとの回転数合わせが行なわれる。なお、これは、変速後のクラッチ接続時におけるトルク変動を抑制するためである。
【0042】
また、ステップS80,S140で回転数合わせが行なわれると、次にステップS90,S150に進み、それぞれシフトダウン,シフトアップが実行される。すなわち、このステップS90,S150において、実際のギアの噛合状態が切り替えられるのである。そして、ステップS100,S160でクラッチを接続し、ステップS110,S170でエンジントルクを復帰させて、リターンする。
【0043】
一方、ステップS30からステップS35に進んだ場合には、変速マップ60aからの情報にかかわらずエンジントルクを抑制し、キックダウン制御を開始する。ここで、このステップS35では、ステップS60におけるエンジントルクの減少率よりも大きな減少率でエンジントルクが抑制され、すみやかにエンジントルクが抑制される。そして、その後ステップS70以下に進み、クラッチの断接制御及びギアの切り替え制御が実行されるのである。
【0044】
したがって、予めキックダウンが予測された場合には、通常のシフトダウン時よりも早いタイミングでエンジントルクの抑制制御を開始することができ、しかも、このときのエンジントルクの減少率が通常のシフトダウン時よりも大きいため、速やかにエンジントルクの抑制制御が終了する。
次に、自動変速機のキックダウン推定方法について、図5のフローチャートを用いて説明する。このキックダウン推定方法は、図4のステップS20におけるキックダウンの推定を具体的に説明するものであって、図5に示すフローチャートは、図4におけるステップS20のサブルーチンである。
【0045】
まず、ステップA10において、アクセル開度センサ50からアクセル開度情報を取り込み、次に、ステップA20で、今回のアクセル開度と前回のアクセル開度とからアクセル開度変化率Δθを算出する。
次に、ステップA30に進んで、ステップA20で算出されたアクセル開度変化率Δθが所定値(例えば30%)よりも大きいか否かを判定する。なお、Δθが所定値よりも大きい場合は、急激にアクセルペダルが踏み込まれている場合である。そして、Δθが所定値よりも大きいと判定されると、次にステップA40に進み、現在のアクセル開度+Δθが閾値(例えば70%)より大きいか否かを判定する。
【0046】
そして、現在のアクセルペダル開度+Δθが閾値より大きければ、ステップA50に進んで、キックダウンが行なわれると予測する。すなわち、アクセルペダル開度+Δθが閾値より大きく、アクセル開度変化率Δθが所定値より大きければ、その後確実にシフトダウン線を越えて、変速段設定手段60でシフトダウン指示が出力されると推定するのである。
【0047】
なお、上記以外のキックダウン推定方法としては、ステップA40でYESの場合、アクセル開度変化率Δθ+現在のアクセル開度を算出し、変速マップ60aのシフトダウン線を越えるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、シフトダウン線を越えると判定したときはステップA50に進み、越えなければリターンするという点が異なる。
【0048】
このように、キックダウンを推定することにより、変速マップ60aからの指示に先立ってシフトダウン制御を開始することができ、変速時間の短縮に大いに寄与するのである。
以上詳述したように、本発明の自動変速機の変速制御装置によれば、シフトダウン判定手段80においてアクセル開度の変化(増加)量が所定値よりも大きいと判定されると、このシフトダウン判定手段80により、変速マップ60aに基づく変速制御に優先して出力抑制手段70及び変速制御手段30にシフトダウンの実行が指示されるので、通常のシフトダウンよりも素早くシフトダウン(キックダウン)が実行され、変速制御時間が短縮されるという利点がある。また、キックダウン時の変速制御時間が短縮されることにより、ドライバビリティが向上するという利点がある。
【0049】
また、変速段設定手段60によるシフトダウン時よりもシフトダウン判定手段80によるシフトダウン時の方が大きな減少率でエンジン出力が抑制されるので、シフトダウン判定手段80によりキックダウンが判定されると、すばやくエンジンの出力が抑制され、やはりキックダウン時の変速制御時間が短縮される。
さらに、シフトダウン判定手段80では、アクセル開度センサ50からの情報に基づいてアクセル開度の変化率が所定値よりも大きいと、現在のアクセル開度を参照してキックダウンを推定するので、予め、キックダウンが行なわれるか否かを簡単に、且つ確実に推定できるという利点がある。また、特別なセンサ類を必要としないので、コストの増加を招くこともないという利点がある。
【0050】
また、エンジン出力上昇を極力抑制してキックダウンを開始するため、エンジン出力が大きいことによる捻じり振動の発生を未然に防ぎ、ドライバのフィーリングを向上できる。
なお、本実施形態は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明したが、ガソリンエンジンに適用してもよい。この場合には、出力抑制手段は、例えばエンジンの吸入空気量を抑制する手段として機能すればよい。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の自動変速機の変速制御装置によれば、シフトダウン判定手段においてアクセル開度の変化(増加)量が所定値よりも大きいと判定されると、このシフトダウン判定手段により、変速段設定手段による変速制御に優先して出力抑制手段及び変速制御手段にシフトダウンの実行が指示されるので、通常のシフトダウンよりも素早くシフトダウン(キックダウン)が実行され、変速制御時間が短縮されるという利点がある。また、キックダウン時の変速制御時間が短縮されることにより、ドライバビリティが大幅に向上するという利点がある。
【0052】
また、変速段設定手段によるシフトダウン時よりもシフトダウン判定手段によるシフトダウン時の方が大きな減少率でエンジン出力が抑制されるので、シフトダウン判定手段によりキックダウンが判定されると、すばやくエンジンの出力が抑制されるので、やはりキックダウン時の変速制御時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動変速機の変速制御装置における要部構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての自動変速機の変速制御装置における動作を説明するための図であって、(a)はラック指示位置の特性を示すタイムチャート、(b)はアクセル開度変化を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の一実施形態としての自動変速機の変速制御装置における変速マップの一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態としての自動変速機の変速制御装置における動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態としての自動変速機の変速制御装置における動作を説明するためのフローチャートであり、主に自動変速機のキックダウン推定方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 自動変速機
30 変速制御手段
40 車速センサ
50 アクセル開度センサ(アクセル開度検出手段)
60 変速段設定手段
60a 変速マップ
70 出力抑制手段
80 シフトダウン判定手段
100 変速制御装置
Claims (1)
- 車両の運転状態に応じて変速段を自動的に変更しうる自動変速機の変速制御装置において、
予め設定された変速マップに基づいて該車両の運転状態に応じた目標変速段を設定する変速段設定手段と、
該変速段設定手段からの出力に基づいてエンジン出力を減少させうる出力抑制手段と、
該変速段設定手段からの出力に基づいて該エンジン出力の抑制制御が開始された後該目標変速段へ変速する変速制御手段と、
該車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
該アクセル開度検出手段からの情報に基づいて該アクセル開度の増加量が所定値よりも大きいことが判定されると、該変速段設定手段による変速制御に優先して該出力抑制手段及び該変速制御手段にシフトダウンの実行を指示するシフトダウン判定手段とを有するとともに、
該出力抑制手段は、
該変速段設定手段によるシフトダウン時の該エンジン出力の減少率よりも、該シフトダウン判定手段によるシフトダウン時の該エンジン出力の減少率の方が大きくなるように設定されている
ことを特徴とする、自動変速機の変速制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13552998A JP3577950B2 (ja) | 1998-05-18 | 1998-05-18 | 自動変速機の変速制御装置及び自動変速機のキックダウン推定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13552998A JP3577950B2 (ja) | 1998-05-18 | 1998-05-18 | 自動変速機の変速制御装置及び自動変速機のキックダウン推定方法 |
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