JP3563350B2 - テレコミュニケーションシステムにおけるマルチコールの制御 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、テレコミュニケーションシステム、特に、ワイヤレステレコミュニケーションシステムにおけるマルチコールのコール制御に係る。
【0002】
【背景技術】
ワイヤレステレコミュニケーションシステムとは、一般に、ユーザとネットワークとの間でワイヤレス通信を行うことのできるいかなるテレコミュニケーションネットワークも意味する。移動通信システムでは、ユーザは、システムのサービスエリア内を移動することができる。典型的な移動通信システムは、公衆地上移動ネットワーク(PLMN)である。
現在、第3世代(3G)の移動システム、例えば、ユニバーサル移動通信システム(UMTS)、及び将来型の公衆地上移動テレコミュニケーションシステム(FPLMTS)(その後、IMT−2000(国際移動テレコミュニケーション2000)と改名された)が開発されている。UMTSは、ETSI(ヨーロピアン・テレコミュニケーション・スタンダード・インスティテュート)において標準化されており、一方、ITU(インターナショナル・テレコミュニケーション・ユニオン)は、IMT−2000システムを規定している。無線インターフェイスは、おそらく、ワイドバンドCDMA(コード分割多重アクセス)構成をベースとするものであり、それ故、第3世代のシステムは、ワイドバンドCDMAシステム(WCDMA)としばしば称される。
【0003】
将来型の3Gシステムは、単一の移動ステーションへの/からの多数の同時で且つ独立したコールをサポートしなければならないことが示唆されている。
3Gシステムに関連した公知の出版物で取り上げられた問題は、多数のコールの取り扱いが「可能であるべき(should−be possible)」レベルのみに特定されることである。換言すれば、公知の出版物のほとんどは、単一の移動ステーションへの/からのマルチコールの管理詳細を完全に無視している。第2世代(2G)システム、例えば、GSM(移動通信用のグローバルシステム)では、移動ステーションが2つのコールをもち得る状態が1つある。このような状態は、加入者がコールホールド(CH)と称する補足的サービス(SS)をもつ場合に発生する。しかしながら、2G移動ステーションは、多数の独立して制御されるベアラ(即ちトラフィックチャンネル)をもたず、CH状態においては、1つのコールしかアクティブとならず、他の全てがホールドされる。いわゆる高速データ転送(HSCSD)であっても、移動ステーションは、多数のタイムスロットを使用するが、全てのタイムスロットは共通のトラフィックチャンネルに指定される。
【0004】
【発明の開示】
便宜上、「マルチコール」という用語は、多数の独立して制御されるトラフィックチャンネルを使用する単一の移動ステーションへの/からの多数の独立した同時のコールを表すのに使用する。幾つかのコールは、移動発信(MO)コールであり、そして幾つかのコールは、移動着信(MT)コールである。本発明の目的は、このようなマルチコールをサポートするためのコール制御機構を提供することである。移動ステーションのユーザは、進行中コールとは独立して新たなコールを受けたり出したりすることができねばならない。本発明の別の目的は、現在の2G補足サービスの少なくとも幾つかを適度な範囲内で3Gシステムに保存し、そして2Gシステムと3Gシステムとの間でマルチコールハンドオーバーを実行できるようにすることである。
【0005】
本発明の特徴は、テレコミュニケーションシステムにおいてテレコミュニケーションネットワークと加入者ターミナルとの間で送信経路を経て送られるマルチコールを制御する方法において、
(i)新たなベアラに新たなコールを設定するか、又は
(ii)既存のベアラが少なくとも2つのコールによって共用されるように既存のベアラに新たなコールを設定する、
のいずれかにより、ある基準に基づいて、既存のマルチコールに新たなコールを設定するという段階を含む方法にある。
【0006】
本発明の別の特徴は、テレコミュニケーションネットワークと加入者ターミナルとの間で送信経路を経て送られるマルチコールを制御する構成体を備えたテレコミュニケーションシステムにおいて、上記ネットワークが、
(i)新たなベアラに新たなコールを設定するか、又は
(ii)既存のベアラが少なくとも2つのコールによって共用されるように既存のベアラに新たなコールを設定する、
のいずれかにより、ある基準に基づいて、既存のマルチコールに新たなコールを設定するように構成されたテレコミュニケーションシステムにある。
【0007】
本発明の更に別の特徴は、テレコミュニケーションネットワークと加入者ターミナルとの間の送信経路を経てマルチコールをもつことのできるテレコミュニケーションシステム用の加入者ターミナルにおいて、既存のマルチコールにおける新たなコールの設定段階に、その新たなコールが新たなベアラに設定されるか、或いは既存のベアラに設定されて既存のベアラが少なくとも2つのコールによって共用されるかを指示できるように構成された加入者ターミナルにある。
本発明によるマルチコールは、3つの異なるベアラ構成を有し、即ちマルチコールの各コールが専用のベアラを有するか、1つのベアラがマルチコールの全てのコールによって共用されるか、或いはマルチコールが専用及び共用の両ベアラを有する。共用のベアラが使用されるときには、ユーザは、ベアラを交互に使用しなければならないか又はある場合にはベアラを同時に使用しなければならないような多数の独立したコールを並列にもつことができる。
【0008】
本発明の実施形態において、移動ユーザは、ネットワーク条件又は環境が許す場合には、コールに対して専用ベアラモードを使用するか又は共用ベアラモードを使用するかを制御することができ、ネットワークがいずれかのモードの使用を強制することはできない。加入者装置のユーザは、コール設定時に、新たなコールに対して新たな専用ベアラが必要とされるか、又は既存のベアラが必要とされるか、そしてそのいずれを使用して、1つ以上の既存のコールによって共用するかを指示することができる。別の実施形態によれば、ネットワークは、ある状態において、あるベアラ構成を使用するようにコールに示唆又は強制することができる。その一例は、専用ベアラコールとしてユーザに与えねばならない到来するデータコールである(データコールについてはコールホールドが許されない)。別の例は、例えば、3G−2Gインターワーキングのためにマルチコールの使用が制限される場合であり、即ち既に設定されたネットワークが、どのオプションが利用できるか指示する場合に不必要なシグナリングを節約する。
【0009】
本発明の実施形態では、共通ベアラの共用がコールホールドモード(CH)によって行なわれ、即ちユーザがコールをホールドしたときに、トラフィックベアラが、他のコールにより使用されるべくコールから除去される。その結果、そのベアラにおけるコールの1つがアクティブモードとなり、そして他のコールがホールドモードとなる。この場合に、既存のベアラが新たなコールのコール設定に使用されるときには、共用されるべきベアラを使用するコールは、新たな「共用」コールが開始される前に、ホールドされねばならない。
本発明の実施形態において、ユーザは、もし必要であれば、コールを専用ベアラモードと共用ベアラモードとの間で切り換えることができ、即ちコール中にサービスベアラを変更することができる。
【0010】
本発明の基本的な原理は、進行中にコール制御手順を受けるベアラがアドレスされるようにコール制御手順が改善されることである。又、本発明は、マルチコールにおいてコールとベアラとの間の関連付けを変更する手段も提供する。これは、所与の瞬間における環境並びにユーザ及び/又はネットワークの好みに基づいてベアラリソースを柔軟に且つ効果的に使用できるようにする。例えば、1つのベアラ及び2つのコールを伴い、その一方がアクティブでそしてその他方がホールドであるときには、ユーザは、新たなベアラを確立し、そしてホールド状態のコールを新たなベアラへ移動し、及びその逆も行うことができる。又、ユーザは、あるベアラから別のベアラへコールを移動することもできる。同様に、2つの並列なベアラに2つのスピーチコールが含まれるときには、加入者は、コールを会議コールへと合体することができる。
【0011】
又、本発明は、第3世代の移動通信システムをサポートし、そしてGSMのような2G移動通信システムの少なくともコール待機(CW)及びコールホールド(CH)、又は多当事者コール(MPTY)補足サービス(SS)と相互作用させることができる。
3Gにマルチコールを導入する場合、CH及びMPTY SSの必要性が減少する。というのは、ターミナルにおいてその対応機能を実行できるからである。ターミナルにおいてこれら機能を実行する効果は、これらサービスを標準化する必要がないことであり、これにより、移動ターミナルの製造者は、ターミナルにおけるこれらサービス及びそれに対応するユーザインターフェイスを独自に且つ柔軟に開発することができる。
【0012】
しかしながら、GSMのSSを3Gに保存する必要がある。この要求に対する理由は、UMTS−GSMインターワーキング及びハンドオーバー、GSMの進展、GSMユーザ規定等をサポートすることである。CH及びMPTYの場合には、1つの重要な理由は、容量であり、(ピア)コール当事者当たり1つのベアラを割り当てるのではなく、全てのコールが同じベアラを使用する。
3GシステムにCH/MPTYサービス及びマルチコールがこのように共存することにより生じる新たな問題は、コール制御手順がどの動作モードに関連しているかである。その一例は、移動ユーザが新たなコールを設定するときであり、即ち、ユーザが新たなコールに既存のベアラを使用することを希望するか、又は割り当てられるべき新たな独立したベアラを使用することを希望するかである。本発明は、この問題に対処しそして解消する。
更に、本発明は、2Gシステムと3Gシステムとの間のシステム間ハンドオーバーも可能にする。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明の好ましい実施形態は、UMTSシステムのような第3世代(3G)の移動通信システムで実施されるものとして以下に説明する。しかし、本発明は、いかなるテレコミュニケーションシステムにも適用することができる。
図1は、簡単な3Gアーキテクチャーを示す。3G移動ステーションMSは、3G無線アクセスネットワークRANを経て3G移動交換センター(3G−MSC)と通信する。この3G−MSCは、別のテレコミュニケーションネットワーク、例えば、公衆交換電話ネットワークPSTNや、公衆地上移動ネットワークPLMNとインターワーキングする。
【0014】
図1において、MSとPSTN/PLMNのピアターミナルとの間に通信リンクが確立される。本発明の説明を容易にするために、簡単なプロトコル層構造体も示されている。最も高いプロトコル層は、MSとピアターミナルのアプリケーション間にある。アプリケーション間には、いかなる数のスピーチ及び/又はデータコールが存在してもよい。コール制御プロトコル(CC)は、接続管理(CM)サブ層のプロトコルの1つである。このCMは、3G及び2Gシステムにおける層3の最高のサブ層である。コール制御プロトコルの基本的な手順は、次のクラス、即ちコール確立手順、コールクリア手順、コール情報フェーズ手順及びその他の手順に分類することができる。図1において、MSと3G−MSCとの間に使用されるコール制御プロトコルは、3G−CCと称され、そして3G−MSCとピアターミナルとの間に使用されるコール制御プロトコルは、xCCと称される。下位層は、少なくとも搬送層及び搬送層制御プロトコルを含む。
【0015】
第1に動作する3Gネットワークは、インターワーキング概念をベースとするものであり、3Gにおいて、無線ネットワークは、インターワーキングユニットIWUを経て2Gコアネットワークに接続される。CC(及び移動管理MM)に関する限り、この概念を実施する態様は、2つあり、基本的には、逆方向互換性解決策、又は「全」IWU解決策である。逆方向互換性解決策では、図2Aに示すように、第2世代のコール制御(2G−CC)がMSと2G−MSCとの間に使用され、IWUは、更なる処理を伴わずに2G−CCメッセージを中継し、そして下位層のみにインターワーキングを与える。「全」IWU解決策では、図2Bに示すように、IWUが3Gメッセージと2Gメッセージとの間のマッピングを実行する。逆方向互換性解決策が可能であるのは、ほとんどの移動ステーションがおそらく3G−2G二重モードステーションであり、従って、いずれにせよ2G−CCを含むからである。「真」のIWU態様では、単一モードの3G移動ステーションだけが3G−CCを必要とする。
【0016】
これらの異なるシステムアーキテクチャーでは、各移動ステーションMSは、回路交換モードにおいて3G(又は2G)コール制御プロトコルをサポートしなければならない。ネットワーク側のMSコール制御エンティティのピアエンティティは、MSCにおけるコール制御機能である。コール制御プロトコルでは、各コールごとに、専用のCCエンティティが定義される。各CCエンティティは、互いに独立しており、それに対応するピアエンティティと通信しなければならない。異なるCCエンティティは、異なるトランザクション識別子(TI)を使用する。
【0017】
ここで使用する「ベアラ」という用語は、移動ステーションとMSC又はピアエンドのユーザとの間の両方向又は一方向並びに対称的又は非対称的な接続を指す。GSM仕様では、ベアラに対応する用語は、チャンネル、トラフィックチャンネル、及びある場合には、「コンフィギュレーション」である。ベアラのネゴシエーションは、新たなベアラの特性、又は既存のベアラの新たな特性に基づいて、MSとMSCとの間で合意に達するための手順を意味する。ネゴシエーションは、基本的に、質問及び回答、指定の特性をもつベアラの要求、及び肯定又は否定確認より成る。GSMでは、コールにおける要求されたベアラ特性の定義が「ベアラ能力」情報エレメント(BC_IE)によって行なわれる。3G−CCでは、BC_IEが同じ役割を果たす。ベアラは、ベアラ識別子(BID)によって識別される。
【0018】
マルチコール、即ち1つのMSへの多数の同時の独立したコールは、3Gにおける中心的な新規な特徴である。上述したように、コールは、L3 CCメッセージを介して通信するMS及びMSCにCCピアエンティティを有する。各コールは、BC IEにより設定メッセージに特性が与えられるところの1つの接続を有する。1つのターミナルの異なるコールは、MSCにおいて独立している。1つのコールは、例えば、通常のスピーチコールであるか、或いはファックス又はデータコールである。又、コールは、マルチメディアセッションの一部分であってもよい。マルチメディアセッションを形成する全てのコールの収集及び同期は、ターミナルにおいてアプリケーションにより実行される。各独立したコールは、L3 CCメッセージシーケンスを互いに分離するために、GSMに使用されるものと同様のトランザクション識別子(TI)のような識別子を有していなければならない。TIの長さは、例えば、1つのMSにおいて256個の同時コールを可能にする1オクテットである。
【0019】
3Gマルチコールに関連した基本的な仮定は、各コールが1つの専用ベアラを有することであり、即ち図3Bに示すように、各新たなコール(MO及びMT)が新たなベアラを発生することである。又、GSMにおいては、L3プロトコルアーキテクチャーが多数の並列コールを許すが、異なるコールが1つのトラフィックチャンネル又はベアラ(3G用語では)しか共用しないという制約がある。これは、「コールホールド」及び「多当事者」補足サービスによって容易にされる。「コールホールド」では、コールが交互にトラフィックチャンネルを使用し、そして「多当事者」補足サービスでは、ユーザデータ(常にスピーチである)が加算される。
本発明による3Gマルチコールは、3つの異なるベアラ構成を有し、即ち図3Cに示すように、マルチコールの各コールが専用ベアラを有するか、又は1つのベアラがマルチコールの全てのコールによって共用されるか、或いはマルチコールが専用及び共用の両ベアラを有する。「共用」の3Gベアラモードは、「コールホールド」補足サービスに対してGSMに使用されるものと同様のコール制御手順をベースとするものである。
【0020】
共用ベアラが使用されるときには、ユーザは、ベアラを交互に使用しなければならない多数の独立したコールを並列にもつことができる。共用は、コールホールドモード(CH)により行うことができ、即ちユーザがコールをホールド状態にすると、トラフィックベアラは、チャンネルとして使用されるべくコールから除去される。その結果、そのベアラにあるコールの1つがアクティブモードとなり、そして他のコールがホールドモードとなる。加入者装置のユーザは、コール設定時に、新たなコールに対して新たな専用ベアラが必要であるかどうか又は既存のベアラが必要であるかどうか、そしてどれを使用して1つ以上の既存のコールと共用すべきかを指示する。既存のベアラが選択された場合には、共用すべきベアラを使用するコールを、新たな「共用」コールが開始される前にホールドしなければならない。本発明の好ましい特徴は、移動ユーザが、ネットワーク条件又は環境が許すときに、コールに対して専用ベアラモードが使用されるか共用ベアラモードが使用されるかを制御できることである。しかしながら、ある状態においては、ネットワークがいずれかのモードの使用を示唆又は強制することも考えられる。このような状態は、例えば、加入者データにおける特定のパラメータ又は情報の状態、或いはネットワーク又はベースステーションにおける負荷状態を含む。又、ネットワークがデフォールトによりデータコールに専用ベアラを割り当て、そしてユーザがスピーチコール設定においてのみベアラモードを選択することも考えられる。しかしながら、後者の実施形態では、ユーザは、データコールを専用ベアラモードと共用ベアラモードとの間で切り換えることができる。本発明の1つの好ましい特徴は、ユーザがコールを必要に応じて専用ベアラモードと共用ベアラモードとの間で切り換えることができ、即ちコール中にサービスベアラを変更できることである。
【0021】
ベアラモードが主としてユーザの好みに基づいて選択されるときに、本発明による3Gシステムにおける異なるコール状態に対するベアラネゴシエーションの幾つかの例を以下に説明する。
移動発信(MO)マルチコール
基本的なコール設定手順は、2Gシステムに使用されたもの又は3Gシステムに対して提案されたものに非常に類似している。以下の説明は、本発明の実施に関連した特徴のみに集中する。通常そうであるように、MSは、コール設定メッセージSETUPを送信することによりMOコール設定を開始できる。
【0022】
このSETUPメッセージにおいて、移動ステーションのユーザは、新たなベアラを割り当てるのではなくて、既に割り当てられたベアラを使用できることをネットワークに指示する。次いで、ユーザは、設定メッセージにおいて各ベアラIDを指示することにより、使用を希望する既存のベアラを識別しなければならない。ユーザがコールに対して新たなベアラを希望する場合には、SETUPメッセージにおけるベアラID情報エレメントが空となるか、或いは「1111」のような所定値又は現在使用されていないベアラのIDを含む。
3Gネットワーク(MSC)が移動ステーションMSからコール設定メッセージを受け取り、そしてベアラIDエレメントが空又は「1111」であるときには、ネットワークが(デフォールトにより)コールに対して新たなベアラを割り当てる。これは、MSの第1コールに適用される。各割り当てられたベアラは、ベアラIDによって識別される。ネットワークは、ベアラIDを選択し、そしてそれを例えばCALL_PROCEEDINGメッセージにおいてMSへ返送する。
【0023】
ネットワークは、既存のベアラのベアラIDと共に設定メッセージを受け取ると、このベアラをコールに割り当てる。共用されるべきベアラを使用する既存のコールは、新たな「共用」コールが開始される前にホールド状態に入れられる。但し、この特徴が好ましい場合である。
ユーザは、コールのトランザクション識別子TIを含むコール解除メッセージを介して共用ベアラからコールを解除することができる。共用ベアラは、そのベアラを使用する最後のコールが解除されたときに解除される。
ユーザは、もし希望すれば、コールを専用ベアラモードと共用ベアラモードとの間で切り換えることができ、即ちコール中にサービスベアラを変更することができる。
【0024】
「ベアラモード」を「専用ベアラ」モードから「共用ベアラ」モードへ及びその逆に切り換えることは、種々の状態において必要とされ、例えば、ネットワーク(又はユーザ)がベアラの数を制限(減少)することを望むときに必要とされる。これは、既存の(GSMにおいて)「変更」手順を使用して実行することができ、これにより、コール中にベアラ又はコール特性を変更(ネゴシエート)することができる。「変更」手順は、本質的に、変更要求、変更(MODIFY)メッセージ、及び確認MODIFY_COMPLETEメッセージより成る。ベアラモードの切り換えは、MODIFY及びMODIFY_COMPLETEメッセージにベアラIDを追加することにより実行することができる。ユーザがコールを既存のベアラに関連させたいときには、このベアラのBIDがMODIFYメッセージに含まれる。ユーザが新たな(専用)ベアラをコールに割り当てることを希望する場合には、ある値(例えば「1111」)をBIDに与えることによりこれを指示することができる。全ての「ベアラ再関連付け」の場合に、MODIFY_COMPLETEメッセージは、結果を含むことができ、即ちコールに関連したベアラのBIDを含むことができる。
【0025】
コールに新たなベアラを得る別の方法は、設定メッセージを送信することである。換言すれば、ユーザは、アクティブなTIと、新たなベアラが要求されるという指示、例えば、ベアラID「1111」と共に、SETUPメッセージを送信する。ネットワークは、新たなベアラを割り当て、そして既存のコールを共用ベアラから分離する。
ユーザは、各コールのトランザクション識別子TIを含むホールドアクチベーションメッセージHOLDを送信することにより、専用又は共用ベアラにおけるいかなるコールもホールド状態に入れることができる。ベアラIDは必要とされない。ネットワーク(例えばMSC)がHOLDメッセージを受け取ると、ネットワークは、TIにより識別されたコールをホールド状態に入れ、即ちそのコールに関連したユーザ情報経路を閉じる。コールがホールドされると、MS及びネットワークにおけるコールのCCピアエンティティが維持されるが、ユーザ情報は転送されない。コールは、これも各コールのTIを含むホールドデアクチベーションメッセージRETRIEVEを送信することにより、ホールドモードからアクティブモードへ復帰することができる。
【0026】
上記ケースのいずれにおいても、ネットワークは、本発明のある実施形態に基づき、ネットワーク条件又は他の理由で必要となれば、ユーザが要求した以外のベアラモードを強制又は示唆することができる。
移動着信(MT)マルチコール
基本的なコール設定手順は、2Gシステムに使用されるか又は3Gシステムに対して提案されたものに非常に類似している。以下の説明は、本発明の実施に関連した特徴に集中する。通常そうであるように、3Gネットワーク(例えば、MSC)は、コール設定メッセージSETUPをMSに送信することによってMTコール設定を開始できる。別のやり方は、コール待機(CW)補足サービスにより、1つ以上のアクティブなコールを有するMSに新たなMTコールを与えることである。
【0027】
ネットワークオペレータは、ある種の好みを有し、これを助長することができねばならない。それ故、本発明の1つの実施形態では、ネットワークは、到来するSETUPメッセージにおいてどのベアラを使用すべきか指示又は示唆することができる。新たなベアラは、(「1111」)のようなある値で指示されてもよい。
MSは、SETUPメッセージ又はCWに応答するか又はそれを確認して、コール設定手順においてCALL_CONFIRMED又はCONNECT_Ackのようなある種の応答メッセージを送信する。このような応答メッセージ又は他のメッセージが移動ステーションのユーザによって使用されて、MOコールについて上述したのと同様に、新たなベアラを割り当てるのではなく既に割り当てられたベアラを使用できることをネットワークに指示することができる。換言すれば、ユーザは、設定メッセージに各ベアラIDを指示することにより、ユーザが使用を希望する既存のベアラを識別しなければならない。ユーザがコールに対し新たなベアラを希望する場合には、SETUPメッセージにおけるベアラID情報エレメントが空であるか、又は「1111」のような所定の値を含む。
【0028】
3Gネットワーク(例えばMSC)が移動ステーションMSからCALL_CONFIRMEDのようなメッセージを受け取り、そしてベアラIDエレメントが空であるか又は「1111」であるときには、ネットワークが(デフォールトにより)新たなベアラをコールに割り当てる。これは、MSの第1コールに適用される。各割り当てられたベアラは、ベアラIDにより指示される。ネットワークは、ベアラIDを選択し、そしてそれをMSに返送する。
ネットワークは、CALL_CONFIRMEDのようなメッセージを既存ベアラのベアラIDと共に受け取ると、このベアラをコールに関連付ける。共用されるべきベアラを使用する既存のコールは、新たな「共用」コールが開始される前にホールドされる。
【0029】
ユーザは、MOマルチコールについて上述したのと同様に、コールを解除し、そしてコールを専用ベアラモードと共用ベアラモードとの間並びにホールドモードとアクティブモードとの間で切り換えることができる。
上記ケースのいずれにおいても、ネットワークは、本発明のある実施形態に基づき、ネットワーク条件又は他の理由で必要となる場合には、ユーザが要求した以外のベアラモードを強制又は示唆することができる。
2G補足サービスと3Gマルチコールサービスとの相互作用
マルチコールは、ユーザが進行中のコールとは独立してコールを受け取り、そして進行中のコールとは独立して新たなコールを発することができねばならないことを必要とする。この必要性は、ある補足サービスに生じる幾つかの状態と相互作用し又はそれと干渉する。
【0030】
次の補足サービス(SS)、即ちコール待機(CW)、ビジー時のコール再送(CFW)及びビジー加入者へのコール完了(CCBS)が、「ユーザビジー」状態によってトリガーされる。更に、次の補足サービス、即ち多当事者コール(MPTY)、コールホールド(CH)、及び明確なコール転送(ECT)は、マルチコールと相互作用し得るエレメントを含む(例えば、マルチコールは、MSにおけるサービスを実施する可能性を与える)。
GSMでは、ユーザがビジーであってコールを受信できないことを表す方法が2つある。「ユーザが決定するユーザビジー(UDUB)」状態は、ユーザが、「ユーザビジー」の原因でCALL_CONFIRMED又はRELEASE_COMPLETEメッセージで受信SETUPメッセージに応答することにより与えられたコールを拒絶するときに発生する。或いは、ネットワーク(MSC)が、ユーザの(ベアラ)リソースが占有されたと決定することもでき、これは、「ネットワークが決定するユーザビジー(NDUB)」である。
【0031】
GSMにおける使用可能なベアラ数は1であり、この1つのベアラ(接続)が占有されたときにNDUBが発生する。3Gでは、ベアラの数に対して明確な限界が存在しない。むしろ、基準は、システムの物理的な限界ではなく同時コールを取り扱うユーザの能力でなければならない。
本発明の実施形態では、「ネットワークが決定するユーザビジー(NDUB)」の定義が、基本的コール(「コール待機」コールを含まない)の最大数が、例えば、ネットワーク要素ごと又は加入者ごとのベースで指定できる値Nであるという状態に変更される。更に別の実施形態では、コールの最大数(N)を各基本的なコール形式ごとに別々に与えることができる。このように、例えば、並列なスピーチコールの数を1に制限し、しかも、同時に多数の(CS)データ又はファクシミリコールをアクティブにすることができる。ユーザは、NDUPをネットワークに指示し、そしてコール中にその限界を変更することができる。
【0032】
「コール待機CW」とは、入呼びがビジーのユーザに与えられることを意味する。3Gでは、CWの意味又は役割は、GSMの場合とは異なる。というのは、マルチコールがそれに対応する機能を暗黙的に与えるからである。しかし、3GではCWをサポートしなければならないという明確な要求があるために、マルチコールとCWとの間に生じ得る相互作用の問題を考慮しなければならない。
マルチコールにおいて共用ベアラモードが使用されず及び/又はNDUBが制限されない場合には、新たなコールを与えるためにCWは必要とされない。
共用ベアラモードが使用されそしてNDUBが制限される場合には、コールの数がNDUBに到達するまでネットワークは新たなコールを設定する。NDUBに到達した後、ネットワークはCWにより新たなコールを与えることができる。これは、ビジー加入者についても考えられる。このように、CWは、マルチコールの「上」で作用し、即ちマルチコール及びCWは、両方とも、予想されるように機能する。
【0033】
3Gでは、到来するCWコールが許されるときに、最大数のベアラが既に使用中である。ユーザは、(2つ以上のアクティブなコールを有する場合に)ホールド状態に入れるべきコールを選択し、そしてどのベアラを使用すべきかの指示と共に新たなコールを受け入れねばならない。ユーザは、受け取った情報に基づいて、新たに与えられたコールがスピーチコールであるか又はデータコールであるかを決定することができる。コールがデータコールである場合には、コールをホールド状態に入れることは、通常、適当でない。
3Gマルチコールは、多当事者コールをMSにおいて実行できるようにし、即ち別々の2つの「専用ベアラ」コールのスピーチ経路をターミナルにおいて結合できるようにする。しかしながら、これは、空気中を経て2つ(以上)のスピーチ経路を維持するので、リソースの(不必要な)浪費を招く。
【0034】
GSMでは、多当事者コールは、同じベアラを両方が共用する1つのアクティブなコール及び1つのホールドされたコールから開始される。3Gでは、少なくとも2つの「専用ベアラ」マルチコールを多当事者コールへ結合できねばならない。これは、専用ベアラからのコールの1つを、本発明の原理に基づいて他のコールのベアラを共用するように変更し、両コールが共用ベアラモードとなって、一方がアクティブでそして他方がホールドとなるようにすることにより、実行できる。既に共用ベアラモードにあるコールに対して多当事者コールを確立すべき場合には、この段階が当然省略される。共用ベアラモードでは、GSMの場合と同様に、多当事者サービスを開始することができる(各コールのTIを参照する「ファシリティ」メッセージをBuildMPTY指示と共に送信することにより)。その結果、2G多当事者コール補足サービスを3Gシステムにおいて完全にサポートすることができる。
【0035】
3G−2G二重モードステーションの場合には、使用可能なベアラ能力及びネットワークにより与えられるサービスレベルを変更できるシステム間ハンドオーバーも使用できる。本発明では、3GシステムからGSMのような2Gシステムへのマルチコールのハンドオーバーを行うことができる。これは、マルチコールの全てのコールを(それらが専用ベアラモードにあるか共用ベアラモードにあるかに関わりなく)ハンドオーバーの前に共通の共用ベアラに入れることによって達成される。コールの1つはアクティブとされ、そして他のコールはホールドとされる。しかしながら、データコールは、通常、ホールドとされず、ハンドオーバーの前に解除される。従って、マルチコールのハンドオーバーは、2Gシステムにおける内部ハンドオーバーと同様に実行することができる。2Gシステムでは、マルチコールは、共用ベアラにおいて1つのコールがアクティブでそして他のコールがホールドである状態で継続される。
本発明の原理を説明するために、好ましい実施形態を参照して、本発明を以上に説明した。本発明は、請求の範囲内でその細部を種々変更できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】3G移動システムの簡単なアーキテクチャーを示す図である。
【図2A】2G及び3G移動システムをインターワーキングできるようにするアーキテクチャーを示す図である。
【図2B】2G及び3G移動システムをインターワーキングできるようにする別のアーキテクチャーを示す図である。
【図3A】共用ベアラを伴う2Gマルチコールを示す図である。
【図3B】専用ベアラを伴う「純粋な」3Gマルチコールを示す図である。
【図3C】専用及び共用ベアラを伴う3Gマルチコールを示す図である。
Claims (22)
- テレコミュニケーションシステムにおいてテレコミュニケーションネットワークと加入者ターミナルとの間で送信経路を経て送られるマルチコールを制御する方法において、
(i)新たなベアラに新たなコールを設定するか、又は
(ii)既存のベアラが少なくとも2つのコールによって共用されるように既存のベアラに新たなコールを設定する、
のいずれかにより、ある基準に基づいて、既存のマルチコールに新たなコールを設定するという段階を含むことを特徴とする方法。 - 新たなベアラが必要とされるかどうか、又は上記既存のベアラを使用すべきかどうかの判断は、上記基準に基づきネットワークによって行なわれる請求項1に記載の方法。
- 上記基準は、加入者ターミナルのユーザの好みである請求項1又は2に記載の方法。
- コール設定シグナリングにおいてどの既存のベアラを使用すべきか指示する段階を含む請求項1、2又は3に記載の方法。
- 上記指示段階は、コール設定シグナリングにおいて使用すべき既存のベアラのベアラIDを指示する段階を含む請求項4に記載の方法。
- ユーザがコール設定において使用すべき既存のベアラを指示しない場合にはネットワークによるデフォールトによって新たなコールに専用ベアラを割り当てる段階を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
- 現在共用ベアラにあるコールを、新たな専用ベアラを使用するように変更する段階を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
- 上記変更段階は、
現在共用ベアラにある上記コールのトランザクション識別子と、新たな専用ベアラが要求される指示とを含むコール設定メッセージを加入者装置からネットワークへ送信し、そして
上記コール設定メッセージに応答して、新たな専用ベアラを割り当て、そして受け取ったトランザクション識別子で指示されたコールをネットワークによって上記割り当てられたベアラへ転送する、
という段階を含む請求項7に記載の方法。 - 現在専用ベアラを使用しているコールを、少なくとも他のコールとで共用された別のベアラを使用するように変更する段階を含む請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
- 上記変更段階は、
専用ベアラを有する上記コールのトランザクション識別子と、使用すべき共用ベアラを指示するベアラIDとを含むコール設定メッセージを加入者装置からネットワークへ送信し、そして
上記コール設定メッセージに応答して、ネットワークにより、受け取ったトランザクション識別子で指示されたコールを上記既存のベアラへ転送する、
という段階を含む請求項9に記載の方法。 - 共用ベアラにあるコールをユーザによりアクティブモードと上記ホールドモードとの間で交番させる段階を含む請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
- 上記交番段階は、コールのトランザクション識別子を含むホールドメッセージを送信して、各コールをホールド状態に入れるという段階を含む請求項11に記載の方法。
- コール待機補足サービスにより新たな加入者装置着信コールをユーザに与える段階を含む請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
- 許容最大ベアラ数がマルチコールによって使用されたときだけコール待機補足サービスにより新たな加入者装置着信コールをユーザに与える段階を含む請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
- 上記テレコミュニケーションシステムは、異なる世代の2つのテレコミュニケーションネットワークを備え、第1のテレコミュニケーションネットワークは、マルチコールに対して共用ベアラ及び専用ベアラの両方をサポートし、そして第2のテレコミュニケーションネットワークは、マルチコールに対して共用ベアラしかサポートせず、上記方法は、ネットワーク間マルチコールハンドオーバーを含み、これは、
ハンドオーバーを受けるマルチコールのコールを、それらが専用ベアラモードにあるか共用ベアラモードにあるかに関わりなく、ハンドオーバーの前に、上記第1ネットワークの共通の共用ベアラに入れ、そして
上記マルチコールを上記第2テレコミュニケーションネットワークの共用ベアラに入れるというハンドオーバーを行う、
という段階を含む請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。 - テレコミュニケーションネットワークと加入者ターミナルとの間で送信経路を経て送られるマルチコールを制御する構成体を備えたテレコミュニケーションシステムにおいて、上記ネットワークが、
(i)新たなベアラに新たなコールを設定するか、又は
(ii)既存のベアラが少なくとも2つのコールによって共用されるように既存のベアラに新たなコールを設定する、
のいずれかにより、ある基準に基づいて、既存のマルチコールに新たなコールを設定するように構成されたことを特徴とするテレコミュニケーションシステム。 - 新たなベアラが必要とされるかどうか、又は上記既存のベアラを使用すべきかどうかの判断は、上記基準に基づきネットワークによって行なわれる請求項16に記載のシステム。
- 上記基準は、加入者ターミナルのユーザの好みである請求項16又は17に記載のシステム。
- 上記コール設定シグナリングは、どの既存のベアラを使用すべきかの指示と、好ましくは、使用すべき既存のベアラのベアラIDとを含み、そして上記ネットワークは、使用すべき既存のベアラの指示が上記コール設定シグナリングにおいて受け取られない場合にデフォールトにより新たなコールへ専用ベアラを割り当てるように構成された請求項16ないし18のいずれかに記載のシステム。
- 加入者ターミナルは、現在共用ベアラにあるコールを、新たな専用ベアラを使用するように変更するためのコール設定メッセージをネットワークに送信するように構成され、このメッセージは、上記コールのトランザクション識別子と、新たな専用ベアラが要求される指示とを含み、そして
上記ネットワークは、上記コール設定メッセージに応答して、新たな専用ベアラを割り当て、そして受け取ったトランザクション識別子で指示されたコールを上記割り当てられたベアラに転送する請求項16ないし19のいずれかに記載のシステム。 - 上記加入者装置は、現在専用ベアラを使用しているコールを、少なくとも他のコールと共用された別のベアラを使用するように変更するためのコール設定メッセージをネットワークに送信するように構成され、このメッセージは、専用ベアラを有する上記コールのトランザクション識別子と、使用すべき共用ベアラを指示するベアラIDとを含み、そして
上記ネットワークは、上記コール設定メッセージに応答して、受け取ったトランザクション識別子で指示されたコールを上記既存のベアラへ転送する請求項16ないし20のいずれかに記載のシステム。 - 上記ネットワークは、共用ベアラにおけるコール待機補足サービスにより、常に、又は許容最大ベアラ数がマルチコールにより使用されたときだけ、新たな加入者装置着信コールをユーザへ与えるように構成された請求項16ないし21のいずれかに記載のシステム。
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