JP3560148B2 - 携帯端末の接続システムとその接続サービス方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯端末による通信に関し、特に、通信会社以外の個人や企業が設置する通信基地局(以下、私設基地局と呼ぶ)を利用する携帯端末の接続システムとその接続方法、及び接続サービス方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末が普及し、又これらの携帯端末においては、移動体端末のための無線通信回線を利用することにより通話やインターネットの利用等をすることができる。特に、携帯電話等における移動体通信では、その通信電波が強いために、移動中の乗り物や、建物の中においても通信ができるという長所がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
その一方で、こうした移動体通信の通信料金は有線の場合よりも高額であり、又その無線通信において強い電波を送受する場合には周囲の電気機器に影響を与える危険があり、特に心臓のペースメーカ等の医療機器への影響を回避するために電車内等での携帯電話の使用が禁止される等の短所がある。
【0004】
本発明の第1の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、周囲の機器に影響を与える心配のない、安価な料金による通信を実現する携帯端末の接続システムとその接続サービス方法を提供することである。
【0005】
本発明の第2の目的は、携帯端末との間で周囲の機器に影響を与える心配のない微弱な電波により通信を行う私設基地局を設置し、携帯端末をより安価な料金により通信を行う有線等の通信回線に接続する携帯端末の接続システムとその接続サービス方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の携帯端末の接続システムは、利用者の携帯端末を私設の基地局を介して外部の通信回線に接続する、携帯端末の接続システムにおいて、前記利用者の携帯端末と前記基地局は、短距離無線通信システムにより通信を行い、さらに、前記基地局を介して行われる通信の量や回数に対応して、前記基地局の設置者に対して支払う私設基地局設置料を算出する手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の本発明の携帯端末の接続システムは、前記短距離無線通信システムを、 Bluetooth とすることを特徴とする。
【0008】
請求項3の本発明の携帯端末の接続システムは、前記利用者の携帯端末の側から前記基地局の側への、情報の通信手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の本発明の携帯端末の接続システムは、各前記基地局に一対一に対応させて、前記利用者の携帯端末に表示することのできるポータルサイトを開設して備えることにより、前記利用者の携帯端末の側から前記基地局の側への情報の通信を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項5の本発明の携帯端末の接続システムは、前記通信手段を介して、前記利用者が前記基地局の設置者側に対して行う商品やサービスの注文を仲介し、前記注文の情報を記録し、前記基地局の設置者に対し前記商品・サービスの代金を支払い、前記利用者に対し前記商品・サービスの代金を請求し徴収することにより、前記利用者と前記基地局設置者との間の取引を仲介することを特徴とする。
【0011】
請求項6の本発明の携帯端末の接続システムは、前記利用者の携帯端末は、前記短距離無線通信システムによる通信の他に、無線回線による通信機能を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7の本発明の携帯端末の接続システムは、前記利用者の携帯端末は、前記短距離無線通信システムによる通信と、無線回線による通信の双方か可能な場合に、利用者が使用する通信方式を選択する手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8の本発明の携帯端末の接続システムは、前記基地局は、当該基地局の通信エリア内の前記携帯端末に対し、その通信の方式を制御し切り替えを行う手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9の本発明の携帯端末の接続システムは、前記基地局は、当該基地局の通信エリア内の前記携帯端末に対し、無線回線による通信を禁止し、前記短距離無線通信システムによる通信を行うように制御し切り替えを行うことを特徴とする。
【0015】
請求項10の本発明の携帯端末の接続システムは、前記基地局は、当該基地局の通信エリア内の前記携帯端末に対し、音声による通話を禁止し、情報データ通信のみを行うように制御し切り替えを行うことを特徴とする。
【0016】
請求項11の本発明の携帯端末の接続システムは、前記外部の通信回線を、有線回線とすることを特徴とする。
【0017】
請求項12の本発明の携帯端末の接続システムは、前記外部の通信回線を、無線回線とすることを特徴とする。
【0018】
請求項13の本発明の携帯端末の接続サービス方法は、利用者の携帯端末を私設の基地局を介して外部の通信回線に接続する、携帯端末の接続サービス方法において、前記利用者の携帯端末と前記基地局は、短距離無線通信システムにより通信し、前記基地局を介して行われる通信の量や回数に対応して、前記基地局の設置者に対して支払う私設基地局設置料を算出し支払うことを特徴とする。
【0019】
請求項14の本発明の携帯端末の接続サービス方法は、前記短距離無線通信システムを、 Bluetooth とすることを特徴とする。
【0020】
請求項15の本発明の携帯端末の接続サービス方法は、前記利用者から前記基地局の設置者の側への、情報の通信を仲介することを特徴とする。
【0021】
請求項16の本発明の携帯端末の接続サービス方法は、各前記基地局に一対一に対応させて、前記利用者の携帯端末に表示することのできるポータルサイトを開設し、前記ポータルサイトを介して前記利用者から前記基地局の設置者の側への情報の通信を行うことを特徴とする。
【0022】
請求項17の本発明の携帯端末の接続サービス方法は、前記利用者が前記基地局の設置者側に対して行う商品やサービスの注文を仲介し、前記注文の情報を記録し、前記基地局の設置者に対し前記商品・サービスの代金を支払い、前記利用者に対し前記商品・サービスの代金を請求し徴収することにより、前記利用者と前記基地局設置者との間の取引を仲介することを特徴とする。
【0023】
請求項18の本発明の携帯端末の接続サービス方法は、前記外部の通信回線を、有線回線とし、当該有線回線の事業者から前記基地局の設置者に対し、前記私設基地局設置料を支払うことを特徴とする。
【0024】
請求項19の本発明の携帯端末の接続サービス方法は、前記外部の通信回線を、無線回線とし、当該無線回線の事業者から前記基地局の設置者に対し、前記私設基地局設置料を支払うことを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明の第1の実施の形態による携帯端末の接続システムの構成を示すブロック図である。
【0041】
図1を参照すると、本実施の形態の携帯端末の接続システムは、利用者の携帯端末42との間で微弱な電波により通信を行う私設基地局22を備え、私設基地局22が有線等の安価な通信料金による通信網10に携帯端末42を接続させる構成を備える。
【0042】
私設基地局22は、移動体通信の通信料金よりも安価な通信を行う通信網10に対し接続され、携帯端末42との間では微弱な電波による通信を行うことにより、携帯端末42を通信網10に接続して音声信号やデータ信号の通信を行う。私設基地局22は、例えば、店舗内、レストラン、ビル内、その他の利用者が携帯端末42により通信を行う場所に設置する。
【0043】
私設基地局22が、携帯端末42との間で行う微弱な電波による短距離の通信には、例えばBluetooth等の短距離無線通信システムを利用することができる。短距離無線通信システムを利用する私設基地局22と携帯端末42との間における通信では、通常は、外部の業者により通信料金が課金されることはなく、またその通信に使用する電波が微弱であることにより周囲の機器に影響を与える心配がない。
【0044】
また、図1の例においては、私設基地局22はターミナルアダプタ24を介して、通信網10の通信基地局12からの通信回線50に接続している。
【0045】
携帯端末42は、例えば、携帯電話等の携帯通信端末やPDA等の携帯情報端末等である。
【0046】
また、携帯端末42は、私設基地局22を介してのみ通信を行うものに限らず、携帯電話等におけるように移動通信の基地局32との間での無線通信機能を備えるものであってもよい。この場合に利用者は、携帯端末42を私設基地局22に接続するか、移動通信網に接続するかを自動又は手動で選択し決定する。
【0047】
これは、例えば、携帯電話やPDA等の携帯端末42を持つ利用者が、私設基地局22の設置された店舗、レストラン等の私設基地局通信エリア20内に入った場合に、私設基地局22が携帯端末42に対して、私設基地局22の電波が届く範囲内に入ったことを通知する。この通知は、私設基地局22と携帯端末42との間の短距離無線通信システムにおける通知方法に基づき(例えば、Bluetoothのコマンド等)実行する。
【0048】
携帯端末42は、この私設基地局22からの通知を受けると、以降の通信を私設基地局22に接続するように自動的に決定したり、又移動通信網に接続するか私設基地局22に接続するかを指定する利用者からの操作を受け付けて接続先を定める。ここで、私設基地局22への接続を決定した場合には、携帯端末42と私設基地局22との間で通信が行われるのである。
【0049】
以上のようにして、本実施の形態の携帯端末の接続システムにより、周囲の機器に影響を与える心配のない安価な料金による通信が実現されるのである。
【0050】
図2は、本実施の形態による携帯端末の接続サービスを運営する業者及び利用者の相互の関係を説明するための図である。
【0051】
図2に示されるように、利用者41は、私設基地局設置者21から私設基地局22を利用する接続サービスの提供を受けることにより、通信業者11による安価な通信料金によって通信を行うことができる。
【0052】
本実施の形態による携帯端末の接続サービスにおいては、利用者からの通信の接続を受ける通信業者11から、私設基地局設置者21に対し、私設基地局22の設置に対する報酬として私設基地局設置料を、私設基地局22を利用して行われる通信の量や回数等に応じて支払うことを特徴とする。
【0053】
私設基地局設置者21においては、通信回線50を通信業者11から引いて私設基地局22に接続するため回線使用料の負担が発生する場合もあるが、利用者が通信業者11に支払った通信料の一部が私設基地局設置料として私設基地局設置者21に支払われることにより収益が得られるため、こうした負担も軽減され又解消される。
【0054】
更に、例えば、私設基地局設置者21が通信業者11に支払う回線使用料を定額制とし、一方で私設基地局設置料を利用者の利用分に応じて支払われる従量制とする方式を採用することにより、利用者の利用が多ければ多いほど私設基地局設置料が増加し、私設基地局設置者21は回線使用料を負担しても多くの利益を得ることができる。
【0055】
通信業者11は、私設基地局設置者21により設置された私設基地局22を介して、自社の通信サービスを一般の利用者に対し提供することができるため、私設基地局22が設置されることが利益に結びついている。このため、通信業者11は、私設基地局設置料を支払いにより多くの私設基地局設置者21が得られれば、多くの利用者が得られることにもなり収入の増加にも結びつくのである。
【0056】
また、通信業者11は、接続サービスを利用する利用者に対しては、通常の通信料金よりも割高の(ただし、移動体通信の通信料金よりも安価な)通信料金を設定し、その差額の範囲内で私設基地局設置料を支払う方式を採用しても同様の効果を得ることができる。
【0057】
この私設基地局設置料の金額の算出方法は、例えば、通信業者11の側において、通常の電話料金の算出時等に用いるための通信の量や回数等の記録を参照し、所定の計算方法に基づいて算出する等の方法により算出することができる。
【0058】
また、本実施の形態の移動通信業者31と通信業者11は、同一の業者であってもよい。つまり、この場合においても、通信を有線等の通信回線50を使用して行うことにより通信に係る費用は削減され、又公共の電波資源が節約され、強い通信電波の発生が防止される。
【0059】
また、本実施の形態の携帯端末の接続サービスは、通信業者11が接続サービスを提供する主体となり、個々の私設基地局設置者21との間で私設基地局設置料等の契約をして運営する方式が考えられる。しかし、この方式に限られるものではなく、私設基地局設置者21の側が主体となって運営する方式や、その他の通信業者11や私設基地局設置者21以外の業者が、私設基地局22に関する契約や私設基地局設置料の支払い等を仲介して運営する方式等も同様に可能である。
【0060】
例えば、大手のコンビニエンスストアやスーパーや鉄道会社等が私設基地局設置者21となり、自社の店内や車両内に私設基地局22を設置する契約を、同時に複数の通信業者11との間で締結し、接続サービスの事業を運営する等の形態も可能である。
【0061】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0062】
図3は、本発明の第2の実施の形態による携帯端末の接続システムの構成を示すブロック図であり、本実施の形態の携帯端末の接続システムにおいては、利用者の携帯端末42からの接続の可能なポータルサイト13を設置している。
【0063】
ポータルサイト13は、例えば、インターネットやiモードのインターネットやパソコン通信等におけるウェブサーバであり、このため、携帯端末42においては、ポータルサイト13のウェブページ等を表示するためのウェブブラウザを備える。
【0064】
本実施の形態においては、ポータルサイト13が、通信を仲介する私設基地局22を識別し、その私設基地局22に対して利用者がポータルサイト13に対し行った操作の内容等を通知する機能を備えることを特徴とする。
【0065】
ポータルサイト13は、CGI(Common Gateway Interface)や、公開するウェブページに各種のスクリプトを記載する等の方法により、通信を仲介する私設基地局22を識別し、利用者の操作を受け付けて、その操作の内容を私設基地局22の側に通知することができる。
【0066】
また同様にして、利用者の携帯端末42に表示されるポータルサイト13のページを、通信を仲介する個々の私設基地局毎の独自のページを自動的に表示させることができる。
【0067】
また、ポータルサイト13のネットワークアドレスを、その私設基地局毎に一対一に対応させて異なるアドレスを用いる方式を採用してもよい。
【0068】
利用者からの操作の受付は、例えば、ポータルサイト13において公開するウェブページにおいて、表示される項目を選択するためのチェックボックスやラジオボタン、文字を入力するためのテキストエリアや、ウェブページ内に入力した内容をサーバ側に送信する送信ボタン等のオブジェクトを、HTML文やその他のスクリプトを用いて記載し、これを利用者は携帯端末42のウェブブラウザにより表示して所定の入力を行い送信し、ポータルサイト13が、送信されたデータを私設基地局22の側への通知等の所定の処理をCGIの機能を用いて実行する等の方式により、受け付けることができる。
【0069】
これにより、本実施の形態においては、接続システムを介して利用者41と私設基地局設置者21との間で通信を容易に行うことができる。
【0070】
例えば、飲食店に私設基地局設置者21である場合を例として説明すると、まず、私設基地局設置者21は、自店のメニューの一覧と注文を指示するためのウェブページを、当該私設基地局22を利用する場合のポータルサイト13のホームページとして予め登録しておく。これにより、飲食店の客である利用者41は、携帯端末42から私設基地局22を経由してポータルサイト13にアクセスすることで、容易に飲食店のメニューを参照し注文を行うことができる。
【0071】
ポータルサイト13は、利用者により注文されたメニューを、私設基地局設置者21に通知する。この注文の通知方法としては、飲食店の厨房等において、注文内容を表示し通知するための特別の装置を設置し、その装置に対してポータルサイト13の側から注文内容のデータを送信し表示させる等の方式が可能である。
【0072】
そして、飲食店が注文されたメニューの料理を、注文をした利用者に対して提供することにより、ポータルサイト13を介した注文処理は終了する。
【0073】
本実施の形態の、ポータルサイト13を介した利用者と私設基地局設置者21との間の通信は、個々の私設基地局毎に独自の内容のウェブページを備えてその通信を行うことができるため、飲食店の他にも、カラオケ店、デパート、ホテル、又その他の業者における各種の注文処理にも同様にして適用することができる。
【0074】
また、本実施の形態の他の一実施例として、利用者が私設基地局設置者21から提供を受ける商品やサービスの代金の支払いの、仲介を行う実施例がある。
【0075】
代金の支払いの仲介は、通信業者11や、その他外部のクレジットカード会社等の金融機関をその仲介機関として行うことができる。
【0076】
この代金の支払いの仲介の方法としては、例えば、ポータルサイト13において、私設基地局設置者21から、利用者がポータルサイト13を介して注文した商品の販売やサービスの提供が完了した旨の通知を受けると、その商品等の名前やその代金等の仲介に必要な情報を仲介機関に対し通知し、仲介機関は、その代金を私設基地局設置者21に対し支払い、又利用者に対しその代金を請求し支払いを受ける。
【0077】
仲介機関が、その代金を私設基地局設置者21に対し支払う方法としては、例えば、私設基地局設置者21の預金口座に振込む方式等が可能であり、特に、仲介機関が通信業者11である場合には、私設基地局設置料と併せて支払いを行う方式も可能である。又代金の支払いに際しては、仲介手数料を差し引いて支払うものとしてもよい。
【0078】
仲介機関が、利用者から代金の支払いを受ける方法としては、利用者の預金口座からの引落す方式や、利用者による仲介機関の預金口座への振込みや、仲介機関の窓口に来店しての支払い等を請求する方式や、その他利用者が予め代金の前払いを行う方式等が可能であり、特に、仲介機関が通信業者11である場合には、接続サービス等による通信料金と併せて請求する方式も可能である。又代金の請求に際しては、仲介手数料を付加して請求するものとしてもよい。
【0079】
以上説明した、本実施の形態の携帯端末の接続システムにより、第1の実施の形態の効果に加えて、利用者は自分の携帯端末から容易に店側に注文等を行うことができ、店側は、注文の受付を自動処理することができるため少ない店員で客対応をすることができる。
【0080】
次に、本実施の形態の第3の実施の形態を説明する。
【0081】
従来の携帯電話等の携帯端末においては、強力な電波を通信に用いているため、乗り物の車内や病院等においては周囲の医療機器等に及ぼす影響を防止するために、携帯端末による通信が制限されることも多かった。
【0082】
しかし、本発明の携帯端末の接続システムにおいては、前述の第1や第2の実施の形態に説明されるように、私設基地局22との間の通信に極めて微弱な電波を用いるため、周囲の電気機器に影響を与えることなく、携帯端末による安全な通信が実現される。
【0083】
本発明の携帯端末42と私設基地局22との間の通信に用いる、短距離無線通信システム(Bluetooth等)における電波の強さは、通信可能距離が10m程度の極めて微弱な電波であり医療機器に与える影響が少ない。また、これは日本国内の携帯電話の通信に用いられているPDC(Personal Digital Cellular)や、次世代の移動通信システムであるIMT−2000(International Mobile Telecommunications 2000)の電波の強さに比べても遥かに微弱である。
【0084】
本実施の形態においては、微弱な電波による通信の可能なエリア内においては、自動的に強力な電波による通信を防止することにより、携帯端末による安全な通信の機能を更に改良することを目的とするものである。
【0085】
図4は、本実施の形態の通信に用いる電波の自動制御を説明するための図である。
【0086】
本実施の形態において私設基地局22は、私設基地局通信エリア20内の利用者の携帯端末42に対して、強い電波による通信を禁止する旨の命令を発信している。この命令は、私設基地局22と携帯端末42との間の短距離無線通信システムにおける通知方法に基づき(例えば、Bluetoothのコマンド等)発信される。
【0087】
携帯端末42は、私設基地局通信エリア20内である携帯端末の使用が制限される場所(例えば乗り物の車内等)に入ると、携帯電話の通信電波の発信を禁止する信号を受信することにより、私設基地局22を介して通信するように自動的に切り替えを実行する。これにより、以後携帯端末42は、私設基地局通信エリア20内において私設基地局22との間で微弱な電波を用いて通信を行い、PDCやIMT−2000等の強い電波の発信が防止される。
【0088】
また、本実施の形態における携帯端末の通信方式の切り替えは、必ずしも自動制御による方式に限らず、利用者が手動で操作して切り替えるものとしてもよい。例えば、携帯端末42が私設基地局通信エリア20内に入った場合に、利用者に対し通信方式の切り替えが可能である旨を通知し、短距離無線通信システムによる通信を行うことを促すのである。また、この通信方式の切り替えが可能である旨の通知においては、利用者が選択することの可能な通信の(例えば、無線電話回線やBluetooth等)、それぞれによる通信料金を携帯端末のディスプレイに表示するものとしてもよい。これにより利用者は、各通信方式による通信料金を確認した上で通信方式を切り替えることができ、また、本発明の私設基地局22を利用することによる安価な通信料金を確認することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態の携帯端末の接続システムでは、第1の実施の形態の効果に加えて、電車内や病院内等の特定の場所において自動的に強力な電波による通信が防止されることにより、医療機器等への影響が回避され、より安全な携帯端末による通信が実現される。
【0090】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0091】
第4の実施の形態においては、第3の実施の形態と同様にして、携帯端末42からの通信をデータ通信のみを行うように限定する。
【0092】
本実施の形態においては、私設基地局22は、私設基地局通信エリア20内の利用者の携帯端末42に対して、音声による通信を禁止しデータ通信のみを行う旨の命令を(例えば、Bluetoothのコマンド等により)発信する。
【0093】
電車内やその他の人の多く集まる場所においては、周囲の人々への迷惑を防止するために、音声による通話が制限されることが多い。
【0094】
本実施の形態の接続システムにおいては、第3の実施の形態と同様にして、こうした特別の場所における携帯端末42の音声による通話を防止することができる。
【0095】
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0096】
第1の実施の形態においては、私設基地局22は有線等の通信網10に携帯端末22を接続する方式を説明したが、本発明の接続システムはこの方式に限定されるものではなく、本実施の形態においては携帯電話等の携帯端末42が本来の通信において用いる移動通信基地局32に接続を行う。
【0097】
本実施の形態においては、安価な通信のできる有線電話回線ではなく、携帯端末42が本来の通信において用いる移動通信基地局32に接続を行うため、第1の実施の形態における通信料金の削減の効果は得られないが、短距離無線通信システム(Bluetooth等)を用いることによる、周囲の医療機器等への影響の防止等のその他の効果は、そのまま同様に実現されるのである。
【0098】
図5は、本実施の形態による携帯端末の接続システムの構成を示すブロック図である。
【0099】
本実施の形態の接続システムにおいては、私設基地局22aと利用者の携帯端末42との間の短距離無線通信システムによる通信は、第1の実施の形態と同様であるが、私設基地局22aが無線電話回線により移動通信基地局32に接続する点が、第1の実施の形態と異なる。
【0100】
図5においては、私設基地局通信エリアである電車内においては、携帯端末42は私設基地局22aとの間で短距離無線通信システムによる通信を行い、私設基地局22aは車外に出されたアンテナから移動通信基地局32と通信することにより、携帯端末42と移動通信基地局32とが接続している。
【0101】
図6は、本実施の形態による携帯端末の接続サービスを運営する業者及び利用者の相互の関係を説明するための図であり、本実施の形態においては、第1の実施の形態における通信業者11の代わりに、移動通信業者31の移動通信回線を利用して通信を行う。
【0102】
また、本実施の形態においては、私設基地局22aから移動通信回線を介して通信を行うものであるが、その通信料金は必ずしも有線通信回線よりも高価になるとは限らない。通信料金は、例えば私設基地局22aに対し移動通信業者31が固定額の通信料金を設定することがあるように、通信の量や回数が多くても一定額以上の通信料金が得られれば十分であり、もし、私設基地局22aにより多数の通信が行われるのならば、各利用者の個々の通信に対する料金をより安価に設定しても移動通信業者31は所定の利益を得ることができる。つまり、移動通信回線を利用する本実施の形態においても、多くの利用がある場所に設置された私設基地局22aに対しては、利用者の通信料金の課金をより安価に設定することができる。
【0103】
また、以上説明した本発明の第2、第3、第4、第5の実施の形態においては、この内のいくつかを自由に選択して組み合わせた形態も同様に実施することができる。
【0104】
例えば、図7は、本発明の第3の実施の形態における通信方法の自動制御と、第5の実施の形態における移動通信基地局32への接続を、組み合わせて実施する場合の電波の自動制御を説明するための図である。
【0105】
図7においては、携帯端末42は、私設基地局通信エリア20内である携帯端末の使用が制限される場所(例えば乗り物の車内等)に入ると、私設基地局22aから発信される携帯電話の通信電波を禁止する信号を受信することにより、私設基地局22aを介して通信するように自動的に切り替えを実行する。
【0106】
これにより、以後私設基地局通信エリア20内においては、携帯端末42と私設基地局22aとの間で微弱な電波を用いて通信が行われ、また私設基地局22aと移動通信基地局32との間では、PDCやIMT−2000等の携帯電話回線による通信が行われる。
【0107】
以上好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の携帯端末の接続システムによれば、以下のような効果が達成される。
【0109】
第1に、本発明の携帯端末の接続システムにおいては、通信料金の高い移動通信回線に接続する必要がなく、室内等において設置した私設基地局が、携帯電話やPDA等の携帯端末の通信を中継し有線回線等の安価な通信回線を利用することができるため、利用者の通信費用の負担を大きく軽減することができる。
【0110】
第2に、私設基地局の通信エリア内においては、携帯端末による通信を音声による通信を禁止してデータ通信のみに制限し、更に通信電波を短距離無線通信システムの極めて微弱な電波を用いる方式に変更する自動制御が可能となるため、利用者の手間を煩わせることなく、周囲に影響を与える通信を自動的に防止することができる。
【0111】
第3に、私設基地局を設置する設置者に対し、当該私設基地局を利用して行われる通信の量や回数等に応じて私設基地局の使用料金を支払うことにより、収益を得ることができる。一般に、こうした私設基地局の設置者においては、私設基地局を設置するための設置費用や回線使用料等の負担が求められることがあるが、私設基地局設置料による収益によりこうした回線使用料の負担が軽減され、又解消される。更に、私設基地局設置料による収益により本発明の私設基地局の設置が促進されるため、これにより本発明の携帯端末の接続システムの利用者は、広く多くの場所において本発明の携帯端末の接続サービスを受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による携帯端末の接続システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による携帯端末の接続サービスを運営する業者及び利用者の相互の関係を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による携帯端末の接続システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態の通信に用いる電波の自動制御を説明するための図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態による携帯端末の接続システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態による携帯端末の接続サービスを運営する業者及び利用者の相互の関係を説明するための図である。
【図7】本発明のその他の実施の形態の通信に用いる電波の自動制御を説明するための図である。
【符号の説明】
10 通信網
11 通信業者
12 通信基地局
13 ポータルサイト
20 私設基地局通信エリア
21 私設基地局設置者
22、22a 私設基地局
24 ターミナルアダプタ
30 移動通信網通信エリア
31 移動通信業者
32 基地局
41 利用者
42 携帯端末
50 通信回線
Claims (19)
- 利用者の携帯端末を私設の基地局を介して外部の通信回線に接続する、携帯端末の接続システムにおいて、
前記利用者の携帯端末と前記基地局は、短距離無線通信システムにより通信を行い、
さらに、前記基地局を介して行われる通信の量や回数に対応して、前記基地局の設置者に対して支払う私設基地局設置料を算出する手段を備えることを特徴とする接続システム。 - 前記短距離無線通信システムを、Bluetoothとすることを特徴とする請求項1に記載の接続システム。
- 前記利用者の携帯端末の側から前記基地局の側への、情報の通信手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接続システム。
- 各前記基地局に一対一に対応させて、前記利用者の携帯端末に表示することのできるポータルサイトを開設して備えることにより、前記利用者の携帯端末の側から前記基地局の側への情報の通信を行うことを特徴とする請求項3に記載の接続システム。
- 前記通信手段を介して、前記利用者が前記基地局の設置者側に対して行う商品やサービスの注文を仲介し、
前記注文の情報を記録し、前記基地局の設置者に対し前記商品・サービスの代金を支払い、前記利用者に対し前記商品・サービスの代金を請求し徴収することにより、前記利用者と前記基地局設置者との間の取引を仲介することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の接続システム。 - 前記利用者の携帯端末は、
前記短距離無線通信システムによる通信の他に、無線回線による通信機能を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の接続システム。 - 前記利用者の携帯端末は、
前記短距離無線通信システムによる通信と、無線回線による通信の双方か可能な場合に、利用者が使用する通信方式を選択する手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の接続システム。 - 前記基地局は、
当該基地局の通信エリア内の前記携帯端末に対し、その通信の方式を制御し切り替えを行う手段を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の接続システム。 - 前記基地局は、
当該基地局の通信エリア内の前記携帯端末に対し、無線回線による通信を禁止し、前記短距離無線通信システムによる通信を行うように制御し切り替えを行うことを特徴とする請求項8に記載の接続システム。 - 前記基地局は、
当該基地局の通信エリア内の前記携帯端末に対し、音声による通話を禁止し、情報データ通信のみを行うように制御し切り替えを行うことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の接続システム。 - 前記外部の通信回線を、有線回線とすることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の接続システム。
- 前記外部の通信回線を、無線回線とすることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の接続システム。
- 利用者の携帯端末を私設の基地局を介して外部の通信回線に接続する、携帯端末の接続サービス方法において、
前記利用者の携帯端末と前記基地局は、短距離無線通信システムにより通信し、
前記基地局を介して行われる通信の量や回数に対応して、前記基地局の設置者に対して支払う私設基地局設置料を算出し支払うことを特徴とする接続サービス方法。 - 前記短距離無線通信システムを、Bluetoothとすることを特徴とする請求項13に記載の接続サービス方法。
- 前記利用者から前記基地局の設置者の側への、情報の通信を仲介することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の接続サービス方法。
- 各前記基地局に一対一に対応させて、前記利用者の携帯端末に表示することのできるポータルサイトを開設し、前記ポータルサイトを介して前記利用者から前記基地局の設置者の側への情報の通信を行うことを特徴とする請求項15に記載の接続サービス方法。
- 前記利用者が前記基地局の設置者側に対して行う商品やサービスの注文を仲介し、
前記注文の情報を記録し、前記基地局の設置者に対し前記商品・サービスの代金を支払い、前記利用者に対し前記商品・サービスの代金を請求し徴収することにより、前記利用者と前記基地局設置者との間の取引を仲介することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の接続サービス方法。 - 前記外部の通信回線を、有線回線とし、
当該有線回線の事業者から前記基地局の設置者に対し、前記私設基地局設置料を支払うことを特徴とする請求項13から請求項17のいずれか一つに記載の接続サービス方法。 - 前記外部の通信回線を、無線回線とし、
当該無線回線の事業者から前記基地局の設置者に対し、前記私設基地局設置料を支払うことを特徴とする請求項13から請求項17のいずれか一つに記載の接続サービス方法。
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