JP3559317B2 - 軌道の道床バラストを吸取るためのサクション機械 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、レール走行台車の上に載設されて走行可能な機械フレーム、負圧発生器並びに、吸込み口と取出し口とを有するバラスト貯蔵槽を装備し、該バラスト貯蔵槽の吸込み口には、道床バラスト内に侵入可能でかつ駆動装置によって高さ方向と横方向とに調整可能なサクションノズル開口を有するサクション管を配設した形式の、軌道の道床バラストを吸取るためのサクション機械に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
前記形式のサクション機械は米国特許第４９３８２３９号明細書に基づいて公知であり、この場合、機械横方向で相互間隔をおいて配置された全部で３つのサクション管が設けられている。吸取られたバラストは中央のバラスト貯蔵槽に捕集されて該バラスト貯蔵槽への充填後に排出される。この排出中には吸込み動作は不可能であるので、サクション機械の操業性能が著しく損なわれる。
【０００３】
なお別のサクション機械もドイツ連邦共和国登録実用新案第８２３６６５０号明細書、スイス国特許第４５１９８７号明細書及び米国特許第４５７０２８７号明細書に基づいて公知になっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のサクション機械を改良して、操業性能を高め、しかも吸込み動作を中断することなく複数のバラスト貯蔵槽を交互に空にできるようにすることである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の構成手段は、それぞれ独自の吸込み口と取出し口とを有する２つのバラスト貯蔵槽が設けられており、しかも選択的に気密に閉鎖するために各バラスト貯蔵槽のその都度少なくとも１つの吸込み口には、夫々独自の閉鎖機構が配設されている点にある。
【０００６】
【作用】
このように構成したことによって、吸取られたバラストを２つのバラスト貯蔵槽に交互に貯え、これによって中断なくバラストを吸取ることによって操業能率を高め、ひいてはバラスト更新作業を著しく改善することが可能になる。しかもこの作用効果に並行して、その都度充填されたバラスト貯蔵槽を障害なく排出し、この排出に続いて例えば連結されたバラスト積載貨車へ直接搬出することができるという格別顕著な利点も得られる。一方のバラスト貯蔵槽から他方のバラスト貯蔵槽へバラスト貯え動作を変換するためには、閉鎖機構の相応の制御によってバラストサクション流を変向案内するだけでよい。
【０００７】
本発明のその他の有利な構成は、請求項２以降に記載した通りである。
【０００８】
【実施例】
次に図面に基づいて本発明の実施例を詳説する。
【０００９】
図１に示したサクション機械１は、レール走行台車２の上に載設されて走行可能な機械フレーム４、負圧発生器３並びに機械端部寄りに配置されていて集中制御装置６を搭載した運転室５を装備している。更に該サクション機械１は、エネルギ供給用のモータ７と走行駆動装置８を装備している。
【００１０】
機械端部９を超えて張出したサクション管１０を案内して支持するために、機械フレーム４に固定された支持構造１１が設けられている。該支持構造１１は実質的に、機械長手方向で相前後して配置されていて互いに枢着結合された２つの支持構造部分１４，１５から構成されており、この枢着結合するジョイント部は、垂直旋回軸１２とサクションノズル開口１６の高さ方向及び横方向調整用の駆動装置１３とを有している。
【００１１】
支持構造部分１５に結合されていてサクションノズル開口１６を有するサクション管１０の区分には、サクション管１０の可撓性区分が接続し、該サクション管１０のサクションノズル開口１６とは反対側の後端部３２は分配器３３に接続されている。該分配器３３は、機械横方向で左右に並置されている２つのバラスト貯蔵槽１７，１８と接続されており、両バラスト貯蔵槽は下端に夫々取出し口１９を有している。前記バラスト貯蔵槽１７，１８と負圧発生器３との間には、夫々閉鎖可能な排出口２１を下端に有する２つのフィルタ室２０が配置されている。両バラスト貯蔵槽の取出し口１９及び両フィルタ室２０の排出口２１の下位並びに機械フレーム４の下位には、回転駆動装置２３を装備した機械長手方向に延在するベルトコンベヤ２２が設けられている。サクションノズル開口１６から可成り隔たって位置するベルトコンベヤ２２の放出端部２４は、機械フレーム４の後端部に装備されたレール走行台車２よりも上位に位置し、しかも運転室５よりも下位に配置されている。ベルトコンベヤ２２の前記放出端部２４には、該ベルトコンベヤ２２よりも下位に受取り端部２５を有するように配置された引渡しベルトコンベヤ２６が配設されている。該引渡しベルトコンベヤ２６は、機械フレーム４に固定された支持機構２９上に、回転駆動装置２７によって垂直回転軸２８を中心として回動可能に支承されており、かつ、前記支持機構２９に関しては、シフト駆動装置３０によって機械長手方向にシフト可能に、しかも鎖線で示した作業現場変換時の回送位置へシフト可能に構成されている。引渡しベルトコンベヤ２６に配設された搬送駆動装置３１は両回転方向に選択的に付勢可能である。サクション機械１には、吸取られたバラストを収容するためのバラスト積載貨車３４が連結されている。
【００１２】
特に図２及び図３から判るように、サクション管１０の後端部３２は分配器３３によって各バラスト貯蔵槽１７，１８の吸込み口３５，３６と結合されている。各バラスト貯蔵槽１７，１８とこれに接続するフィルタ室２０との間には、やはり吸込み口３７，３８が設けられている。また両フィルタ室２０は別の吸込み口３９，４０を有し、該吸込み口は吸引導管４１を介して負圧発生器３と接続されている。バラスト貯蔵槽１７，１８の吸込み口３５，３６，３７，３８には夫々、調整駆動装置４２，４３によって制御可能な閉鎖機構４４，４５が配設されている。
【００１３】
分配器３３は中央に入口ポート４６を有し、該入口ポートはサクション管１０の後端部３２と接続されている。分配器３３の反対側の端部には２つの出口ポート４７が設けられており、各出口ポートは、対応したバラスト貯蔵槽１７，１８の吸込み口３５，３６に接続されている。分配器３３の入口ポート４６の領域に、旋回駆動装置４８によって垂直軸を中心として旋回可能な１つの案内スライダ４９が、一方の出口ポート４７から他方の出口ポート４７へバラストサクション流を選択的に変向案内するために設けられている。
【００１４】
閉鎖機構４４，４５用の調整駆動装置４２，４３及び案内スライダ４９用の旋回駆動装置４８並びに取出し口１９用の開閉駆動装置５０はすべて、集中制御装置６のオアゲート素子５１によって付勢される。各バラスト貯蔵槽１７，１８には、接触式センサとして構成された充填レベルインジケータ５２が最大充填高さを記録するために配設されている。各充填レベルインジケータ５２はオアゲート素子５１を動作させるために集中制御装置６と接続されている。
【００１５】
特に図３から判るように、両吸込み口３５，３６に配設された閉鎖機構４４はスライドゲート弁５３として構成されており、該スライドゲート弁は調整駆動装置４２によって、鎖線を伴う矢印５４で示したサクション流の流動方向に対して直角な方向に摺動可能に支承されている。
【００１６】
道床バラストを吸取るために吸込み口１６は、支持構造１１に装備された駆動装置１３によって道床バラスト内へ侵入させられる。その際、負圧発生器３によって形成されるサクション流は、閉鎖機構４４，４５及び案内スライダ４９の位置を相応に調整することによって両バラスト貯蔵槽１７，１８の一方を通流して導かれる。図２に示した実施例では、サクション流は、矢印５４で示したサクション流の流動方向で見て左手のバラスト貯蔵槽１８に、吸取ったバラストを充填するために、該バラスト貯蔵槽１８を通って導かれる。この動作と並行して開閉駆動装置５０を相応に付勢することによって、右手のバラスト貯蔵槽１７を空にするために該バラスト貯蔵槽１７の取出し口１９が開放される。この右手のバラスト貯蔵槽１７の吸込み口３５及び３７は、すでに述べたように相応の閉鎖機構４４，４５によって気密に閉鎖された状態にある。従って、開放された取出し口１９を介して外気が分配器３３内に達するような不都合な事態は防止される。
【００１７】
左手のバラスト貯蔵槽へのバラスト装填は、所属の充填レベルインジケータ５２によって最大充填高さに達したことが検出されるまで行なわれる。この検出によってオアゲート素子５１は動作せしめられ、該オアゲート素子の動作によって、閉鎖機構４４，４５、案内スライダ４９又は取出し口１９を作動するすべての駆動装置４２，４３，４８，５０が付勢される。このことは取も直さず、案内スライダ４９が図２に示した鎖線位置へ旋回されると同時に右手のバラスト貯蔵槽１７の閉鎖機構４４，４５が開かれることを意味する。但し該閉鎖機構４４，４５の開放直前に、取出し口１９が閉鎖されるのは勿論のことである。この案内スライダ４９の旋回動作及び右手の閉鎖機構４４，４５の開放動作と並行して左手のバラスト貯蔵槽１８の吸込み口３６，３８は所属の閉鎖機構４４，４５によって気密に閉鎖される。次いで、貯えたバラストを、その下位に位置しているベルトコンベヤ２２上に放出するために取出し口１９が開放される。一方のバラスト貯蔵槽１７又は１８から他方のバラスト貯蔵槽１８又は１７へのこのサクション流切換えはバラスト吸取り動作を中断することなく実施することができる。右手のバラスト貯蔵槽１７へのバラスト装填が終ると、サクション流は左手のバラスト貯蔵槽１８へ自動的に変向案内される。
【００１８】
図４に示した別の実施例では、機能的に合致する構成部分には、判り易くするために図１乃至図３と同一の符号を付した。前述の実施例に対比して、図４に示した実施例の実質的な相違点は、分配器の代りに駆動装置５５によってサクション管１０の後端部３２を、第１のバラスト貯蔵槽１７に配設された吸込み口３５から、該吸込み口から隔てて第２のバラスト貯蔵槽１８に配設された吸込み口３６へシフト可能に支承したことである。このシフトのために、両吸込み口３５，３６を互いに連結する滑子案内機構５６が設けられており、該滑子案内機構内では、サクション管１０の後端部３２及び駆動装置５５と連結されたフランジ５７が、機械長手方向に対して、つまりサクション流の流動方向に対して横方向に摺動可能に支承されている。
【００１９】
図４の実施例では、矢印５４によって示したサクション流の流動方向で見て右手の、つまり第１のバラスト貯蔵槽１７にバラストが丁度装填されるところであり、この場合該バラスト貯蔵槽１７と、該バラスト貯蔵槽に隣接したフィルタ室２０との間の吸込み口３７は開かれた状態にある。第２のバラスト貯蔵槽１８をフィルタ室２０と接続する別の吸込み口３８は閉鎖機構４５によって気密に閉鎖されている。従ってこの第２のバラスト貯蔵槽１８の取出し口１９は、貯えたバラストを放出するために開放することができる。充填レベルインジケータによって第１のバラスト貯蔵槽１７の充填が検出されると直ちに集中制御装置６によって、第２のバラスト貯蔵槽１８の取出し口１９の閉鎖、並置されている吸込み口３６へサクション管１０をシフトするための駆動装置５５の付勢、吸込み口３７の閉鎖及び吸込み口３８の開放が自動的に行なわれる。これに続いて第１のバラスト貯蔵槽１７の取出し口１９の開放も行なわれる。第２のバラスト貯蔵槽１８が充填されると直ちに、前記の動作が逆の順序で行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【図１】機械横方向で互いに並列配置された２つのバラスト貯蔵槽と機械端部を超えて張出した高さ方向及び横方向で調整可能なサクション管とを装備したサクション機械の側面図である。
【図２】両バラスト貯蔵槽の概略平面図である。
【図３】図２の断面線ＩＩに沿ったバラスト貯蔵槽の横断面図である。
【図４】サクション管とバラスト貯蔵槽との接続部の異なった実施態様を示す概略平面図である。
【符号の説明】
１ サクション機械、 ２ レール走行台車、 ３ 負圧発生器、 ４機械フレーム、 ５ 運転室、 ６ 集中制御装置、 ７ モータ、８ 走行駆動装置、 ９ 機械端部、 １０ サクション管、 １１ 支持構造、 １２ 垂直旋回軸、 １３ 駆動装置、 １４，１５ 支持構造部分、 １６ サクションノズル開口、 １７，１８ バラスト貯蔵槽、 １９ 取出し口、 ２０ フィルタ室、 ２１ 排出口、 ２２ ベルトコンベヤ、 ２３ 回転駆動装置、 ２４ 放出端部、 ２５ 受取り端部、 ２６ 引渡しベルトコンベヤ、 ２７ 回転駆動装置、 ２８ 垂直回転軸、 ２９ 支持機構、 ３０ シフト駆動装置、 ３１ 搬送駆動装置、 ３２ サクション管の後端部、 ３３ 分配器、 ３４ バラスト積載貨車、 ３５，３６，３７，３８，３９，４０ 吸込み口、 ４１ 吸引導管、 ４２，４３ 調整駆動装置、 ４４，４５ 閉鎖機構、 ４６ 入口ポート、 ４７ 出口ポート、 ４８ 旋回駆動装置、 ４９ 案内スライダ、 ５０ 開閉駆動装置、 ５１ オアゲート素子、５２ 充填レベルインジケータ、 ５３ スライドゲート弁、 ５４ サクション流の流動方向を示す矢印、 ５５ 駆動装置、 ５６ 滑子案内機構、 ５７ フランジ

Claims (6)

1. レール走行台車（２）の上に載設されて走行可能な機械フレーム（４）、負圧発生器（３）並びに、吸込み口（３５〜３８）と取出し口（１９）とを有するバラスト貯蔵槽（１７，１８）を装備し、該バラスト貯蔵槽（１７，１８）の吸込み口（３５，３６）には、道床バラスト内に侵入可能でかつ駆動装置（１３）によって高さ方向と横方向とに調整可能なサクションノズル開口（１６）を有するサクション管（１０）を配設した形式の、軌道の道床バラストを吸取るためのサクション機械において、それぞれ独自の吸込み口（３５，３６）と取出し口（１９）とを有する２つのバラスト貯蔵槽（１７，１８）が設けられており、しかも選択的に気密に閉鎖するために各バラスト貯蔵槽（１７，１８）のその都度少なくとも１つの吸込み口（３５〜３８）には、夫々独自の閉鎖機構（４４，４５）が配設されていることを特徴とする、軌道の道床バラストを吸取るためのサクション機械。
2. 閉鎖機構（４４，４５）を閉鎖位置へ転移するために各閉鎖機構（４４，４５）には、集中制御装置（６）を介して付勢可能な独自の駆動装置（４２，４３）が配設されており、前記集中制御装置（６）が、各駆動装置を付勢するためのオアゲート素子（５１）を有している、請求項１記載のサクション機械。
3. バラスト貯蔵槽（１７，１８）と、該バラスト貯蔵槽に隣接したフィルタ室（２０）との間に接続部として夫々設けられた別の吸込み口（３７，３８）には、集中制御装置（６）の、両バラスト貯蔵槽（１７，１８）間でのバラスト貯え動作の変換のために用いられるオアゲート素子（５１）によって付勢可能な独自の駆動装置（４３）を有する閉鎖機構（４５）が配設されている、請求項２記載のサクション機械。
4. サクション管（１０）が、分配器（３３）の１つの入口ポート（４６）に固定されており、かつ、サクション流の流動方向（５４）で見て前記分配器（３３）の後端部側に位置している２つの出口ポート（４７）が夫々、各バラスト貯蔵槽（１７，１８）の吸込み口（３５，３６）と接続されており、かつ、前記分配器（３３）の入口ポート（４６）の領域には、一方の出口ポート（４７）から他方の出口ポート（４７）へサクション流を変向案内するために、駆動装置（４８）によって移動調整可能な案内スライダ（４９）が配設されている、請求項１から３までのいずれか１項記載のサクション機械。
5. 各バラスト貯蔵槽（１７，１８）の吸込み口（３５，３６）には、駆動装置（４２）によってサクション管（１０）の縦軸線に対して、つまりサクション流の流動方向に対して直角に摺動可能に支承されたスライドゲート弁（５３）が配設されている、請求項１から４までのいずれか１項記載のサクション機械。
6. 各バラスト貯蔵槽(１７，１８)には、最大充填高さを記録するための充填レベルインジケータ（５２）が配設されており、該充填レベルインジケータが、集中制御装置（６）の、両バラスト貯蔵槽（１７，１８）間でのバラスト貯え動作の変換のために用いられるオアゲート素子（５１）を動作させるために、集中制御装置（６）と接続されている、請求項１から５までのいずれか１項記載のサクション機械。

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