JP3557372B2 - 缶巻締め選別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
生産ライン中で缶蓋巻締め後に発生する巻締め全周に関わる巻締め不良の検出及び、巻締め状況を監視選別する選別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シーミング装置によって形成される缶蓋や缶底巻締め部の巻締め状態はその缶自体の品質や、ひいては缶内収納製品の品質に大きく関わっており、シーマヘッドの調整の状況次第であることから缶巻締め厚さの計測検査は必須である。缶巻締め厚さTは図6の缶巻締め厚さ断面と各部名称を示す図に示す通り、缶蓋や缶底を巻締めたシーミングウォール、シーミングウォール・ラジアス、シーミングパネル、シーミングパネル・ラジアスの台形部分の幅であり、シーミングウォールの最も膨らんだ部位とチャックウォール面の傾きと平行に立ち上がった部位との間の寸法を言う。
【0003】
一般的には巻締め状態の検査のため一定時間毎に生産ラインからシーミング装置のシーマヘッドの数分をラインアウトさせて数箇所〜数十箇所マイクロメータ等で実測するか、軟X線等による非破壊計測装置でオフライン検査を行なう。X線による非破壊計測装置の例として特開平9−210662号公報等がある。巻締め不良出現結果としての舌出し缶検査法としては特開平6−331567号公報や特開平7−218453号公報に見られるが、何れも缶胴と缶蓋や缶底を巻締めた場合の缶胴フランジ一部変形やはみ出し部分の変化を見い出す方法である。一方ビン等のラベル外観検査のための特開平6−186002号公報では、検査対象製品本体が照明光を透過しラベルがシャドウ映像になる事を利用した透過照明法を基盤としているが缶巻締め厚さ計測検査では被検体缶が光を透過しないため缶巻締め厚さを計測出来ない。
【0004】
図7に従来の照明及び撮像例を示す。図7では、缶10に対して、上方に撮像装置5aと照明装置3cとを設け、右側方に撮像装置5b、左側方に照明装置3dを設けた。被検体缶10の上方に配置された照明装置3cと撮像装置5aによって図8に示す上方入力映像11を得るがシーミングパネルの反射映像は鮮明に捕えられるもののシーミングパネル・ラジアスとチャックウォールの境が判別出来ずシーミングウォールも不鮮明でシーミングウォールの最も膨らんだ部分とチャックウォール面の傾きと平行に立ち上がった間の寸法を計測出来ない。また図7の被検体缶10の側方に配置された照明装置3dとそれに対向して配置された撮像装置5bによって図9に示す側方入力映像12であるシーミングウォールのシャドウ映像を得られるがチャックウォールが全く見えずこの映像からもシーミングウォールの最も膨らんだ部分とチャックウォール面の傾きと平行に立ち上がった部分との間の寸法を計測出来ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の検査では缶巻締め厚さが予め決められた一定の管理範囲に有ることを、一定時間毎にオフラインで行うしか方法が無く、管理範囲外の缶を検出してから再調整までにかなりの時間差を生じてしまい不良缶の生産数を増加させてしまう恐れがあり、生産ライン中での缶巻締め厚さ計測装置提供が望まれている。一方ビン等のラベル外観検査の様に検査対象製品本体が照明光を透過しないためシャドウ映像だけでは計測出来ないことから新たな照明や画像処理方法が必要となった。
【0006】
本発明の目的は、缶巻き締め良否を、搬送路上で迅速に自動判定可能にする選別装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、搬送中の缶の巻き締め厚さを検出し選別する缶巻締め選別装置において、
缶が所定位置に来たことを検出するセンサと、
この所定位置にある缶の巻締め部分に対して、斜め上方から光を照射する第1の照明装置と、
この所定位置にある缶の巻締め部分に対して、上記斜め上方に隣接し且つ巻締め部分の側方から光を照射する第2の照明装置と、
この側方への対向側方に設置され、光の照射された巻締め部分を含む缶の部位を撮像する撮像装置と、
上記センサの缶検出信号をもとに撮像装置に撮像させる指令手段と、
この撮像した映像を取込み、多階調濃淡画像を得る手段と、
この多階調濃淡画像中に、シーミングウォール外端位置検出用の第1の処理領域、チャックウォール内端位置検出用の第2の処理領域を設定する手段と、
第1、第2の処理領域に関して所定の一軸方向に投影し、第1、第2の投影信号を得る手段と、
第1の投影信号からシーミングウォール外端位置を求め、第2の投影信号からチャックウォールの内端位置を求め、シーミングウォール外端位置とチャックウォール内端位置との距離差に基づき、巻締め厚さを算出する手段と、
この巻締め厚さが基準値内であれば正常巻締めと判定し、基準値外であれば巻締め不良と判定して、缶の選別を行う手段と、
を備えた缶巻き締め選別装置を開示する。
【0008】
更に本発明は、上記第1、第2の照明装置に代わり、面状照出面を持ち、缶巻き締め部分の斜め上方及び側方に同時に面状光を照射する面照明装置を設けた缶巻締め選別装置を開示する。
【0009】
更に本発明は、上記第1、第2の照明装置に代わり、面状照出面を持ち、缶巻き締め部分の斜め上方及び側方に同時に面状光を照射する面照明装置を使用するものとし、且つ撮像装置と面照明装置とを対にして、缶巻締め部分に対してその周囲に複数対配置するものとした缶巻締め選別装置を開示する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図1〜図3により説明する。
図1は、本発明の缶巻締め厚さ計測検査装置の全体構成を表す図である。図1で、缶10は、ベルトコンベア等の搬送装置1上を移動する。所定位置に缶がきたことを検出するセンサ4を設けておき、このセンサ4の検出信号をトリガーとして撮像を行う。撮像手段として、1台の撮像装置5を設け、そのための照明装置3aと3bとを別位置に設置した。照明装置3aは、斜め上方に設置し、照明装置3bは、撮像装置5に対向する側方に設置した。画像処理装置6は、撮像装置5の映像を取り込み画像処理、及び判定処理を行う。搬送中の被検体缶10を、センサ4が所定位置で検出する。これを受けて撮像装置5は、照明装置3aからの光照射によって得られる被検体缶10の巻締め部側面一方側の斜め上の映像と、照明装置3bからの光照射によって得られる映像と、を含む1つの映像を撮像する。その映像例を図2に示す。この映像は画像処理装置6に入力される。尚、図2の映像の中で、点々を施した部分は、本来映像として暗い部分であり、
わかりやすくするために点々化したものである。図3(a)、図8、図9でも同様に、暗い部位を点々化してある。
【0012】
画像処理装置6は、図2の入力映像をA/D変換して多階調濃淡画像として入力する映像入力部601と、2つの処理領域E1とE2から濃淡投影分布を抽出する濃淡投影分布処理部602と、2つの濃淡投影分布から缶巻締め厚さを計測する缶巻締め厚さ計測部603と、2つの濃淡投影分布から缶巻締め厚さを計測する条件を予め設定して置く計測条件設定部604と、缶巻締め厚さ計測部での測定値に対して上限及び下限を記憶させて置く比較データ記憶部605と、測定値を比較データにより判定する判定部606と、判定が良品の場合に測定値を出力する良品測定値出力部607と、判定が不良の場合に信号を出力する不良信号出力部608、から構成されている。
【0013】
図2の映像は図6の缶巻締め厚さ断面と各部名称に示す通り、照明装置3aによってシーミングパネル・ラジアス及びシーミングパネルの反射映像とチャックウォールのシャドウ映像と、照明装置3bによってシーミングウォール・ラジアス及びシーミングウォールのシャドウ映像とを含む1画面で映像している。設定された図2の処理領域E1とE2について、図3に示す計測処理を画像処理装置6で行う。
【0014】
映像入力部601は映像を取り込み、濃淡投影分布処理部602は図2の缶巻締め厚さ計測のための処理領域E1及びE2を設定(図3(a))しそれぞれの処理領域毎に垂直方向に投影し図3(b)の分布を得る。計測条件設定部605は、缶巻締め厚さTの算出に利用するパラメータh1、h2、厚さTの算出式それに使うtの算出式を設定する。缶巻締め厚さ計測部603は、設定されたパラメータh1を利用して、処理領域E1でシーミングウォール最大値となるシーミングウォール最左辺値の位置(外端位置)t1を計測し、更にパラメータh2を利用して、同処理領域2でチャックウォールとシーミングパネル・ラジアスの境界最大値となるチャックウォール最左辺位置(内端位置)t2を計測し、t1とt2から缶巻締め厚さTを得る。
【0015】
ここで、パラメータh1、h2、T、t及びそれに関係する値は以下の通りである。
【数1】
【0016】
缶巻締め厚さTの算出の具体的な手順は以下となる。
(1)、映像の中に、図3(a)の如く処理領域E、及びE2を設定する。
(2)、処理領域E1、E2についてそれぞれ投影信号を得る。この投影信号を図3(b)に示す。
(3)、処理領域E1の白色濃度値信号H1を抽出する。H1とαとを用いて、シーミングウォール最左辺判定濃度値h1を求める。図3(b)参照。
【数2】
(4)、白色濃度値信号H1につながり且つ最初にh1となる時の位置を、t1として求める。このt1がシーミグウォール最左辺位置となる。
(5)、同様に、処理領域E2について、H2、h2を求める。h2は、H2につながる最後のh2である。図3(b)では最後のh2の前に2つのh2が存在している。
【数3】
この最後のh2となる位置がチャックウォール最左辺位置t2である。
(6)、位置t1とt2の差分の絶対値tが、缶巻締め厚さに相当するが、チャックウォール自体が傾いていることからこれを、係数θを与えて補正し、正規の缶巻締め厚さTを求める。この様子は図3(c)に示す。
【数4】
【0017】
判定部606は、上記算出した厚さTが比較データ記憶部605に予め設定された上限値T1と下限値T2の範囲内に有るか否かを比較判定する。その範囲内の場合は測定値を良品測定値出力部607に、範囲外の場合は不良信号出力部608に送る。出力部608からは外部に不良信号を出力し、選別する。
【0018】
尚、領域E1、E2の設定のために、撮像時の缶位置変動に対処するため事前にその変動量を計測しておく。そして計測目的とするそれぞれの最左辺ポイントが吸収(領域内に存在すること)出来るだけの大きさと位置に領域E1、E2を設定する。αやβのパラメータや座標斜め係数θは、締め厚さをマイクロメータ等で実測する場合シーミングウォールとチャックウォールを挟んで測定するのに対して、画像処理ではシーミングウォール最左辺値とチャックウォールのシーミングパネル・ラジアス境界値間を計測しているのと、チャックウォールが缶胴に対してわずかに外側へ傾くためそのまま計測すると実測値と画像計測値に誤差を生じてしまうため傾きに合わせた計測関数設定及びシーミング装置のチャック形状に合わせた一定の補正値を画像処理装置6の計測条件設定部604に持たせることで解決している。
【0019】
以上の実施例での、撮像から良否判定までの総処理時間は、数10msecであった。例えば搬送ラインスピードが100m/分の場合、総処理時間が30msecの時、この間の缶移動距離は60mm程度となり、搬送ラインを停止させることなく、連続的に選別可能であった。
【0020】
図4は他の実施の態様を示す。図で図1の照明装置3a及び3bを、面射出部30を持つ面照明装置3に代え、缶巻締め部側面がシャドウに、シーミングパネル・ラジアス及びシーミングパネルは反射して光り、チャックウォールがシャドウになる様面照明装置3を配置し、照明点灯装置2によりセンサ4の検知信号に同期したストロボなどの瞬間照明にする事で缶巻締め部の外側面及び内側面の映像を高速且つ安定して得られる様にし、更にエアノズルや回転ブラシによる選別装置8とビデオモニタなどの結果表示装置7を付加した缶巻締め厚さ計測検査装置としている。
【0021】
また、図4の面照明装置3と対向して配置された撮像装置5を1組として図5の様に複数組配置し、画像処理装置6の映像入力部を同じく複数チャンネル設ける事により被検体缶1缶当りの缶巻締め厚さを複数箇所計測出来る缶巻締め厚さ計測検査装置としている。尚、光干渉防止のために、各面射出部30の全面には、光干渉防止溶偏向フィルタ31を設けた。即ち複数組の映像を同時に画像処理装置6の映像入力部601に入力する場合は、対向する照明装置の光りが同じく対向する撮像装置に直接入らない様面照明装置及び撮像装置レンズに偏光フィルタ3等を付加して照明照射方向やレンズ入射方向を制限して互いに干渉しないよう配置する。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、缶巻締め全周に関わる不良の生産ライン中の検出選別や比較データ記憶部に予め設定された範囲に対する近似警報が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す図である。
【図2】撮像装置入力映像及び処理を示す図である。
【図3】計測処理示す図である。
【図4】実運用全体構成を示す図である。
【図5】測定箇所を複数にする照明及び撮像装置構成を示す図である。
【図6】缶巻締め厚さ断面と各部名称を示す図である。
【図7】従来照明及び撮像方法を示す図である。
【図8】従来照明及び撮像方法による上方入力映像を示す図である。
【図9】従来照明及び撮像方法による側方入力映像を示す図である。
【符号の説明】
1 搬送装置
2 照明点灯装置
3 面照明装置
3a 照明装置
3b 照明装置
3c 照明装置
3d 照明装置
4 センサ
5 撮像装置
5a 撮像装置
5b 撮像装置
6 画像処理装置
601 映像入力部
602 濃淡投影分布処理部
603 缶巻締め厚さ計測部
604 計測条件設定部
605 比較データ記憶部
606 判定部
607 良品測定値出力部
608 不良信号出力部
7 結果表示装置
8 選別装置
10 被検体缶
Claims (3)
- 搬送中の缶の巻き締め厚さを検出し選別する缶巻締め選別装置において、
缶が所定位置に来たことを検出するセンサと、
この所定位置にある缶の巻締め部分に対して、斜め上方から光を照射する第1の照明装置と、
この所定位置にある缶の巻締め部分に対して、上記斜め上方に隣接し且つ巻締め部分の側方から光を照射する第2の照明装置と、
この側方への対向側方に設置され、光の照射された巻締め部分を含む缶の部位を撮像する撮像装置と、
上記センサの缶検出信号をもとに撮像装置に撮像させる指令手段と、
この撮像した映像を取込み、多階調濃淡画像を得る手段と、
この多階調濃淡画像中に、シーミングウォール外端位置検出用の第1の処理領域、チャックウォール内端位置検出用の第2の処理領域を設定する手段と、
第1、第2の処理領域に関して所定の一軸方向に投影し、第1、第2の投影信号を得る手段と、
第1の投影信号からシーミングウォール外端位置を求め、第2の投影信号からチャックウォールの内端位置を求め、シーミングウォール外端位置とチャックウォール内端位置との距離差に基づき、巻締め厚さを算出する手段と、
この巻締め厚さが基準値内であれば正常巻締めと判定し、基準値外であれば巻締め不良と判定して、缶の選別を行う手段と、
を備えた缶巻き締め選別装置。 - 上記第1、第2の照明装置に代わり、面状照出面を持ち、缶巻き締め部分の斜め上方及び側方に同時に面状光を照射する面照明装置を設けた請求項1の缶巻締め選別装置。
- 上記第1、第2の照明装置に代わり、面状照出面を持ち、缶巻き締め部分の斜め上方及び側方に同時に面状光を照射する面照明装置を使用するものとし、且つ撮像装置と面照明装置とを対にして、缶巻締め部分に対してその周囲に複数対配置するものとした請求項1の缶巻締め選別装置。
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