JP3544569B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は積層セラミックコンデンサに関し、詳細には、メッキ浴に対する耐熱衝撃性を高めた積層セラミックコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミック(磁器)コンデンサは、一般に、誘電体磁器層と内部電極とを交互に積層してコンデンサ本体を形成し、その本体の内部電極の端部が露出した両端面に、一対の外部電極がそれぞれの内部電極と電気的に接続するように構成されている。このような積層セラミックコンデンサは、通常、次のようにして作製される。
【0003】
まず、誘電体磁器材料の粉末とバインダとを十分に混合したスリップからドクターブレード法によってセラミックグリーンシートを成形する。このグリーンシートに、銀(Ag)−パラジウム(Pd)合金などからなる電極材料の粉末とバインダとを混合してペースト状にした導電性ペーストをスクリーン印刷法などによって内部電極パターンとして印刷し、それらを所望の層数積層して圧着・切断してグリーンチップを作製する。このグリーンチップを焼成してコンデンサ本体を形成し、このコンデンサ本体の内部電極端部が露出した両端面に、外部電極用のAgまたはAg−Pd合金などからなる導電性ペーストを塗布・焼付して外部電極を形成し、その外部電極表面にニッケル(Ni)メッキやスズ(Sn)メッキまたは半田メッキなどの金属メッキ膜を形成して、積層セラミックコンデンサとなる。
【0004】
上記のようにして得られた積層セラミックコンデンサの内部構造は、図2に断面図で示したようになっている。図2の積層セラミックコンデンサ1において、2はコンデンサ本体であり、その内部には誘電体磁器層3と内部電極4a・4bとが交互に積層されている。5a・5bは外部電極、6a・6bはその上に形成された金属メッキ膜であり、外部電極5a・5bはコンデンサ本体2の両端面において内部電極4a・4bの端部とそれぞれ電気的に接続している。
【0005】
同図に示すように、従来の積層セラミックコンデンサ1では、内部電極4a・4bはコンデンサ本体2の内部で平坦に形成されており、内部電極4a・4bと外部電極5a・5bとがコンデンサ本体2の端部においてほぼ垂直に接続されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の積層セラミックコンデンサ1においては、外部電極5a・5bの上に金属メッキ膜6a・6bを形成する際にメッキ浴液が外部電極5a・5bを浸透して、コンデンサ本体2側の内部電極4a・4bや内部電極4a・4bと誘電体磁器層2との界面に浸入することがあった。そしてその結果、積層セラミックコンデンサ1の耐熱衝撃性が低下してしまって回路基板に実装する時の半田による熱衝撃のためにコンデンサ本体2にクラックが発生したり、コンデンサ1の誘電損失や絶縁抵抗などの電気的特性が著しく劣化してしまうとともに使用中の信頼性が低下してしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて本発明者等が鋭意研究を進めた結果完成したもので、その目的は、金属メッキ膜の形成によるメッキ浴液のコンデンサ本体内部への浸入を防止して、耐熱衝撃性を高め、電気的特性の劣化を防止した、高信頼性の積層セラミックコンデンサを提供することにある。
【0008】
また本発明の目的は、メッキ浴液のコンデンサ本体内部への浸入を防止することにより、外部電極上への金属メッキ膜の形成あるいは回路基板への半田実装を行なっても特性や信頼性が低下しない、耐熱衝撃性に優れた積層セラミックコンデンサを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の積層セラミックコンデンサは、誘電体磁器層と内部電極とを交互に積層して形成されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の端面に形成され、かつ上記内部電極に電気的に接続されるとともに、表面に金属メッキ膜を有する外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記内部電極および該内部電極に挟まれた誘電体磁器層のそれぞれの同一端面が、積層方向の同一方向に屈曲し、該屈曲部の長さが30〜100μmであることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
本発明の積層セラミックコンデンサは、複数層積層された内部電極および誘電体磁器層の端面がコンデンサ本体の端面近傍においてそれぞれ積層方向に屈曲した構成としているので、外部電極上に金属メッキ膜を形成する際や回路基板に半田実装する際に、メッキ浴液が内部電極の内部や内部電極と誘電体磁器層との界面などのコンデンサ本体内部に浸入することを防止できる。これは、内部電極および誘電体磁器層をそのように曲げることによってコンデンサ本体の端面における内部電極の厚みが薄くなり、また内部電極と誘電体磁器層とが十分に密着して、その端面における誘電体磁器層と内部電極との隙間がなくなるので、メッキ液が浸入する空洞が小さくなるためであると考えられる。
【0011】
そのため本発明の積層セラミックコンデンサによれば、メッキ液の浸入に起因するコンデンサ本体におけるクラックの発生、あるいはコンデンサの誘電損失や絶縁抵抗などの電気的特性の劣化を防止することができ、耐熱衝撃性に優れた高信頼性の積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【0012】
本発明の積層セラミックコンデンサにおいて内部電極および誘電体磁器層の端面を積層方向に屈曲させるには、種々の方法を用いることができる。例えば、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを所望の層数積層して圧着し、それを切断してグリーンチップを作製する際に切断の方法および条件を適切に選択することにより、切断後のグリーンチップにおいて内部電極パターンとセラミックグリーンシートとの端面をともに積層方向に一様に屈曲させることができる。そして、それを焼成することによって、切断された端面近傍において内部電極および誘電体磁器層のそれぞれ端面が積層方向に屈曲したコンデンサ本体を得ることができる。従って、本発明の積層セラミックコンデンサはそのようにして容易に作製することができるため、製造工程や製造コストが増加することもなく、耐熱衝撃性に優れた高信頼性の積層セラミックコンデンサを安価に提供することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の積層セラミックコンデンサを実施例に基づいて詳述する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。
【0014】
図1は本発明の積層セラミックコンデンサの構成例を示す断面図である。図1の積層セラミックコンデンサ7において8はコンデンサ本体であり、その内部には誘電体磁器層9と内部電極10a・10bとが交互に積層されている。11a・11bは外部電極、12a・12bはその上に形成された金属メッキ膜であり、外部電極11a・11bはコンデンサ本体8の両端面において内部電極10a・10bの端部とそれぞれ電気的に接続している。そして同図に範囲Aで示したように、本発明の積層セラミックコンデンサ7では、内部電極10a・10bおよび誘電体磁器層9のそれぞれ端面が、コンデンサ本体8の端面近傍Aで積層方向すなわち同図においては下方に一様に屈曲して形成されている。
【0015】
本発明の積層セラミックコンデンサ7において内部電極10a・10bおよび誘電体磁器層9のそれぞれ端面をコンデンサ本体8の端面近傍で積層方向に屈曲させるに当たっては、図1に示したように両端面において同方向に曲げてもよいし、両端面でそれぞれ逆方向に曲げてもよい。また、その屈曲部分の形状は断面が曲線状となるように湾曲させた形状でもよく、屈曲部分の曲率も一定であっても変化させてもよい。また、1段または多段に折れ曲がった形状でもよいし、それらを組み合わせた形状であってもよい。
【0016】
図1中にAで示した内部電極10a・10bおよび誘電体磁器層9の屈曲部分の長さは、作製する積層セラミックコンデンサの寸法や特性に応じて適宜設定するが、30〜100 μmの長さとするのが好ましく、それにより本発明の作用効果を顕著に高めることができる。
【0017】
コンデンサ本体8の端面近傍において内部電極10a・10bおよび誘電体磁器層9のそれぞれ端面を積層方向に屈曲させる方法としては、上述したように種々の方法を用いることができるが、中でもグリーンチップに切断する際の切断方法および条件によれば、比較的簡便にかつ低コストで行なうことができるという点で好適である。
【0018】
例えば切断によって内部電極10a・10bおよび誘電体磁器層9の端面を屈曲させたコンデンサ本体8を得るには、約50〜100 ℃に加熱したダイシング刃を用いて乾式で切断する方法がある。これによれば、ダイシング刃の熱および摩擦熱により切断面を柔らかくできるため内部電極10a・10bおよび誘電体磁器層9の端面を積層方向に一様に屈曲させることができ、その屈曲部分の長さもダイシング刃の熱を調整することによって所望の範囲に設定することができる。
【0019】
本発明の積層セラミックコンデンサ7の誘電体磁器層9には、種々の誘電体材料を用いることができ、例えばBaTiO3 ・LaTiO3 ・CaTiO3 ・NdTiO3 ・MgTiO3 ・SrTiO3 ・CaZrO3 ・SrSnO3 ・BaTiO3 にNb2 O5 ・Ta2 O5 ・ZnO・CoO等を添加した組成物や、BaTiO3 の構成原子であるBaをCaで、TiをZrやSnで部分的に置換した固溶体等のチタン酸バリウム系材料、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・Pb(Fe,Nd,Nb)O3 系ペロブスカイト型構造化合物、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 等の2成分系組成物、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 −Pb(Mg1/2 W1/2 )O3 ・Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 ・Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Sm1/2 Nb1/2 )O3 等の3成分系組成物、あるいはそれらにMnO・MnO2 ・CuO・BaTiO3 等を添加したもの等の鉛系リラクサー材料などが挙げられる。コンデンサ本体8の形成に際しては、これらの誘電体粉末を有機バインダと十分に混合したスリップからセラミックグリーンシートに成形したものを使用する。
【0020】
内部電極10a・10bを形成する材料としては、例えばPd・Ag・Pt・Ni・Cu・Pbおよびそれらの合金が挙げられる。内部電極10a、10bの形成に当たっては、このような電極材料粉末をバインダと混合粉砕してペースト状にした導電性ペーストを用いる。この導電性ペーストをスクリーン印刷法などによってセラミックグリーンシート上に内部電極パターンとして印刷して、積層・圧着し、焼成して焼結させることにより、所望の内部電極10a・10bを形成する。
【0021】
外部電極11a・11bを形成する材料は内部電極10a・10bとほぼ同様であり、必要に応じてガラスフリットなどを添加して、導電性ペーストとしてコンデンサ本体8の端面に塗布・焼成することにより所望の外部電極11a・11bを形成する。あるいはスパッタリング等の薄膜形成法による導体膜によって形成してもよい。この外部電極11a・11bは、コンデンサ本体8の端面のみでなく、必要に応じて側面に回り込ませて形成してもよい。
【0022】
外部電極11a・11b上に形成する金属メッキ膜12a・12bの材料としては、Ni・Ni−Sn・Auなどがあり、電解メッキや無電解メッキなどのメッキ法によって形成する。
【0023】
また、積層セラミックコンデンサ7を回路基板に半田実装する場合は、リフロー法やフロー半田法などが用いられる。
【0024】
以下に本発明のチップ型積層セラミックコンデンサの具体例を示す。
〔例1〕
まず、誘電体磁器層の材料としてチタン酸バリウムを主成分とするX7R特性の材料粉末を用意し、有機バインダと混合後、得られたスリップを用いてドクターブレード法によって厚さ15μmのセラミックグリーンシートを成形した。
【0025】
このセラミックグリーンシートに、PdまたはAg−Pd粉末に有機バインダを添加して混合した導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷法により内部電極パターンを印刷した。
【0026】
その後、印刷した内部電極パターンが交互に櫛形構造になるように90層積層し、100 ℃で熱圧着して、図3に断面図で示すような構造の積層体13を得た。図3に示すように、積層体13はセラミックグリーンシート14と内部電極パターン15とが交互に櫛形構造になるように積層されている。ここで同図中の一点鎖線は、グリーンチップを得るために積層体13を切断する位置を示している。
【0027】
次に、この積層体13を約50〜100 ℃に加熱したダイシング刃を用いて、回転数10,000回転/分、スピード10cm/秒の条件で乾式で切断してグリーンチップを作製した。
【0028】
そして、このグリーンチップを脱バインダ処理した後 1,300℃で2時間焼成を行ない、面取り処理を行なって本発明の実施例の試料Aを作製した。
【0029】
また比較例として、積層体13を以下のようにして切断してグリーンチップを作製した。一つは上記のダイシング刃を用いて、刃を加熱せずに回転数10,000回転/分、スピード10cm/秒の条件で湿式で切断した。もう一つは厚み 100μmのレザー刃を用いて押し切りにより切断した。これらに同様に脱バインダ処理・焼成・面取り処理を行なって、比較例の試料B(湿式ダイシング刃切断)およびC(レザー刃押し切り切断)を作製した。
【0030】
これらの試料AおよびB・Cの内部電極および誘電体磁器層の形状を、クロスセクション処理を行なって金属顕微鏡により観察したところ、試料Aの内部電極および誘電体磁器層のそれぞれ端面は図1に示すように端面近傍で積層方向に一様に屈曲しており、その屈曲部分の長さは50μmであった。これに対して試料BおよびCの内部電極および誘電体磁器層のそれぞれ端面は、図2に示すように端面に至るまで直線状の平坦な形状であった。
【0031】
〔例2〕
次に、〔例1〕で作製した試料AおよびB・Cについて、以下のようにして外部電極を形成し、メッキ浴に対する耐熱衝撃性を評価・比較した。
【0032】
まず、試料AおよびB・Cの内部電極が引き出された端面に、Ag粉末に有機バインダを添加して混合した導電性ペーストを塗布し、700 ℃で焼付けて厚み 100μmの外部電極を形成した。
【0033】
次いで、ワット浴でNiメッキをかけ続けて硫酸浴でSnメッキをかけた。
【0034】
そして、メッキが終了した各試料をそれぞれ 200個ずつ、300 ℃・360 ℃・400 ℃の半田槽に3秒間投入して熱衝撃を加えた。その後、取り出した試料を40倍の双眼顕微鏡で観察して、熱衝撃によるクラックが発生している試料数を調べて比較した。
【0035】
また、それぞれの試料について絶縁抵抗を測定し、抵抗値が1×104 MΩ以下となって絶縁不良を起こしている試料数を調べて比較した。
【0036】
これらの耐熱衝撃性の評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1の結果より分かるように、本発明の試料Aにおいては300 ℃および 360℃ではクラックの発生が見られず、400 ℃でわずかに1個の発生が見られただけであった。これに対して試料BおよびCではかなりのクラック発生が見られた。
【0039】
また、絶縁不良の発生も本発明の試料Aでは見られず、これに対して試料BおよびCでは 360℃以上で絶縁不良の発生が見られた。
【0040】
これらの結果より本発明の試料Aは、内部電極および誘電体磁器層がコンデンサ本体の端面まで平坦に形成された従来の積層セラミックコンデンサ試料B・Cより、耐熱衝撃性に優れていることが確認できた。
【0041】
〔例3〕
次に〔例1〕で作製した試料AおよびB・Cについて、外部電極を形成せずに、〔例2〕と同様にしてメッキ浴に対する耐熱衝撃性を評価・比較した。
【0042】
そして〔例2〕と同様にして、メッキが終了した各試料をそれぞれ 200個ずつ、300 ℃・360 ℃・400 ℃の半田槽に3秒間投入して熱衝撃を加えた。その後、取り出した試料を40倍の双眼顕微鏡で観察して、熱衝撃によるクラックが発生している試料数を調べて比較した。
【0043】
この耐熱衝撃性の評価結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表2の結果より分かるように、本発明の試料Aにおいては 300℃および 360℃ではクラックの発生が見られず、400 ℃でわずかに3個の発生が見られただけであった。これに対して試料BおよびCでは 300℃でも4〜5個、 360℃では50個前後、400 ℃では 100個近くと、かなりのクラック発生が見られた。
【0046】
これらの結果によっても本発明の試料Aは、内部電極および誘電体磁器層がコンデンサ本体の端面まで平坦に形成された従来の積層セラミックコンデンサ試料B・Cより、耐熱衝撃性に優れていることが確認できた。
【0047】
〔例4〕
次に試料AおよびB・Cそれぞれ 2,000個を用いて、340 ℃のフロー半田によって基板への半田実装を行なった。これらを90℃・65%RHの温湿度環境の湿中槽に投入して1V/1秒の条件のパルス電圧印加試験を96時間行なった。そして、試験後のそれぞれの試料について絶縁抵抗を測定し、抵抗値が1×104 MΩ以下となって絶縁不良を起こしている試料数を調べて比較した。
【0048】
この評価結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
表3の結果より分かるように、本発明の試料Aにおいては絶縁不良の発生は見られず、これに対して試料Bでは10個、試料Cでは15個の絶縁不良の発生が見られた。
【0051】
これらの結果によっても本発明の試料Aは、内部電極および誘電体磁器層がコンデンサ本体の端面まで平坦に形成された従来の積層セラミックコンデンサ試料B・Cより、耐熱衝撃性に優れて高信頼性であることが確認できた。
【0052】
以上のように、本発明の積層セラミックコンデンサによれば、内部電極および誘電体磁器層の端面がコンデンサ本体の端面近傍においてそれぞれ積層方向に屈曲していることにより、内部電極および内部電極と誘電体磁器層との界面などのコンデンサ本体へのメッキ浴液の浸入を防止することができることから、耐熱衝撃性に優れ、電気的特性も劣化しない、高信頼性の積層セラミックコンデンサを提供することができた。
【0053】
また本発明の積層セラミックコンデンサは、例えば上述のように積層体をグリーンチップに切断する際の方法や条件の選択によって容易に作製することができるので、従来の積層セラミックコンデンサと比べても製造工数や製造コストが増加することがない。そのため、耐熱衝撃性に優れた高信頼性の積層セラミックコンデンサを安価に提供できるものである。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の積層セラミックコンデンサによれば、内部電極および誘電体磁器層のそれぞれ端面が積層方向に屈曲していることにより、外部電極上への金属メッキ膜の形成時のメッキ浴液のコンデンサ本体内部への浸入を防止して、耐熱衝撃性を高め、電気的特性の劣化を防止した、高信頼性の積層セラミックコンデンサを提供することができた。
【0055】
また本発明の積層セラミックコンデンサによれば、内部電極および誘電体磁器層のそれぞれ端面を積層方向に屈曲してメッキ浴液のコンデンサ本体内部への浸入を防止することにより、外部電極上への金属メッキ膜の形成のみならず回路基板への半田実装を行なっても特性や信頼性が低下しない、耐熱衝撃性に優れた積層セラミックコンデンサを提供することができた。
【0056】
さらに、本発明の積層セラミックコンデンサは容易に作製することができ、従来の積層セラミックコンデンサと比べても製造工数や製造コストが増加することがないので、耐熱衝撃性に優れた高信頼性の積層セラミックコンデンサを安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミックコンデンサの構成例を示す断面図である。
【図2】従来の積層セラミックコンデンサの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の積層セラミックコンデンサの実施例における積層体の構成ならびに切断位置を示す断面図である。
【符号の説明】
1、7・・・・・・・・・・・積層セラミックコンデンサ
2、8・・・・・・・・・・・コンデンサ本体
3、9・・・・・・・・・・・誘電体磁器層
4a、4b、10a、10b・・・内部電極
5a、5b、11a、11b・・・外部電極
6a、6b、12a、12b・・・金属メッキ膜
Claims (1)
- 誘電体磁器層と内部電極とを交互に積層して形成されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の端面に形成され、かつ上記内部電極に電気的に接続されるとともに、表面に金属メッキ膜を有する外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、
前記内部電極および該内部電極に挟まれた誘電体磁器層のそれぞれの同一端面が、積層方向の同一方向に屈曲し、該屈曲部の長さが30〜100μmであること特徴とする積層セラミックコンデンサ。
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