JP3544294B2 - Polycarbonate resin with low volatile chlorine and method for producing the same - Google Patents
Polycarbonate resin with low volatile chlorine and method for producing the same Download PDFInfo
- Publication number
- JP3544294B2 JP3544294B2 JP33430797A JP33430797A JP3544294B2 JP 3544294 B2 JP3544294 B2 JP 3544294B2 JP 33430797 A JP33430797 A JP 33430797A JP 33430797 A JP33430797 A JP 33430797A JP 3544294 B2 JP3544294 B2 JP 3544294B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phosgene
- chlorine
- polycarbonate resin
- producing
- polycarbonate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂及びその製造方法に関する。詳しくは、常温で保持した際の揮発性塩素の少ない品質の安定したポリカーボネート樹脂及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ジフェノール、例えばビスフェノールAのアルカリ金属塩水溶液とホスゲンとの反応により、有機溶媒の存在下にポリカーボネートを得る二相界面重縮合法、及び、有機溶媒の不存在下にポリカーボネートを得る溶融重縮合法において、原料として使用されるホスゲン中の不純物は多数研究されている。
その中で、ホスゲン中に含有される塩素量として数百ppmのオーダーを数十ppmに低減化する技術が紹介され、この様な塩素量低減化技術がポリカーボネートにとって良いことも提案されている。
例えば、米国特許第3230253号公報や米国特許第3331873号公報には、ホスゲン製造後にフェノール類や活性炭を経由させることにより、不純物として含有される塩素を吸着除去する方法が開示されている。しかしながら、単にホスゲン中に含有される塩素量を数百ppmのオーダーから数十ppmに低減化する技術が紹介されているのみであり、具体的にこの塩素量を低減化させたホスゲンをポリカーボネートを製造する原料として利用することについては開示されていない。さらに、ポリカーボネート樹脂の成形後に常温で揮発してくる塩素が原料ホスゲン中に含有される塩素と因果関係が有ることに関しては、全く教示されるところでは無い。
【0003】
一方、特開昭62−297320号公報や特開昭62−297321号公報には、カーボネート結合を有する樹脂の原料であるホスゲン中の不純物として、ホスゲンより高沸点の四塩化炭素が含有されていることが記載されており、このようなホスゲンを原料として製造された樹脂の成形時において加熱により塩化水素を発生させるため、ホスゲン中の四塩化炭素含有量を一定量以下とすることが報告されている。
この場合、成形中加熱されている間に分解し発生する塩化水素に関して議論しているものであり、成形後、常温に放置している間に徐々に塩素が揮発する現象に関しては何等教示されていない。
【0004】
更に、ホスゲンは、一般に活性炭を触媒として用いて、一酸化炭素と塩素を反応させることにより製造されている。この反応は最終段階で平衡状態に到達するため、ホスゲン中の塩素含有量を低減化させようとすると、CO/Cl2 比をCO過剰の方向に振ることになる。しかし、COを大過剰にすると、COガスのロスになると同時に、COガスに同伴されてオフガスとして排出されるホスゲン量が多くなり、原単位を極端に悪化させる結果となっている。
従って、大抵のホスゲンプラントでは、ホスゲンロスが抑えられる限界までCO過剰量を抑えて運転するのが通常である。その結果として、極微量の塩素に関しては、その測定手段や測定精度が不十分であったこともあり、無視されてきたのが現実である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、最終製品として得られるポリカーボネートの成形品から常温において揮発性塩素に関して鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、この揮発性塩素とポリカーボネートの製造原料として用いられるホスゲン中に不純物として含有される塩素との間に関係があることが判った。
即ち、ホスゲン中に不純物として残存する塩素は、ポリカーボネートの製造工程における初期の反応段階で原料の特定箇所を何らかの形で塩素化し、最終工程まで変化しないまま残存して、成形後、常温で放置する間に徐々に塩素が揮発してくる原因となることが判明した(検出はClイオンとして認められる)。
一方、前記したような四塩化炭素がポリカーボネート中に残留している場合や、二相界面重縮合法によるポリカーボネートの製造工程において生成するクロロホーメート基が残留している場合は、樹脂の溶融成形時に塩化水素の発生が認められる。しかしながらこれらは前記した成形後において揮発してくる塩素とは明確に区別されるべきものである。
即ち、反応性の非常に高いCl基の場合、溶融成形の際の熱で直ぐに塩化水素に変化するが、上記の塩素化された部位の場合では溶融成形で外れるよりもむしろ、成形後、常温下で光分解等により徐々に塩素が生成してゆくものであることが判った。
従って、四塩化炭素がポリカーボネート中に残留している場合や二相界面重縮合法によるポリカーボネート製造工程の途中で生成するクロロホーメート基が残留している場合には、溶融成形後、成形品を一旦純水で洗浄することで除去される。
【0006】
一方、上記のホスゲン中に残存する塩素により塩素化された部位の場合、溶融成形時にポリカーボネートに熱がかかることにより一時的に塩素が発生するものもあるが、一旦純水により洗浄してもなお完全に除去されず、常温で放置しておくと徐々に発生してくることが判った(検出はClイオンとして認められる)。この様な塩素を「揮発性塩素」と云う。
このような揮発性塩素の存在は、これまで無視されがちであったが、近年の様々なポリカーボネート樹脂成形品の品質・物性向上に伴い問題となることが判明した。
本発明の目的は、揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このホスゲン中に不純物として含有される塩素を可能な限り少ない状態まで除去すればする程、成形後、常温で放置した場合、徐々に揮発してくる塩素が少なくなることを知得し、本発明を完成した。
ホスゲン中に含有される分子状塩素は、米国特許第3230253号公報や米国特許第3331873号公報に記載される通り、通常330nm波長の吸光度で検出するが、この検出下限値は10ppmであり、実際には10ppm以下の塩素含有量に関しては、正確な分析手段が無かったのが現実である。
この点に関して、本発明者らは、塩素を不純物として微量含有するCOCl2 を大量に採取し(70g以上)、これを水酸化ナトリウム水溶液に吸収させると、塩素のみがNaClOに変化する為、これを酸化還元滴定することにより微量な塩素含量を測定できることを見出した。
即ち、本発明の揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂は、280℃で30分間加熱し、室温で3日間保持した際に発生する加熱発生塩素量が30ppb以下である、ことを特徴とするものである。
また、本発明のもう一つの発明である揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂の製造方法は、ホスゲンを原料として用いるカーボネート結合を有する樹脂の製造方法において、原料ホスゲンとして塩素濃度が1,000ppb以下のホスゲンを使用することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
[I] 揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂の製造
(1) 概 要
本発明の揮発性塩素の少ないカーボネート樹脂の製造方法においては、公知のカーボネート結合を有する樹脂の製造方法と同等の方法で実施でき、特に制限は無く、ホスゲンを原料とする各種の製造方法を採用することができる。この場合、上記「ホスゲンを原料とする」とは、ホスゲンを上記樹脂の直接の原料とする場合だけでなく、ホスゲンを原料として上記樹脂の中間体を製造し、それを用いて上記樹脂を製造する等の場合をも含むものである。
上記公知のカーボネート結合を有する樹脂の製造方法としては、通常、ジフェノール類とカーボネート原料とを反応させてポリカーボネート樹脂を得るに際し、カーボネート原料としてカーボネート原料として、ホスゲン又はホスゲンを原料とするカーボネート原料を使用する方法である。特に、
1)ホスゲンとジフェノール類とを界面重縮合条件下、又は溶液重合条件下で反応させる方法、
2)ホスゲンとフェノール等のモノヒドロキシ芳香族化合物とを反応させてジフエニルカーボネート等のジアリールカーボネートを製造し、これとジフェノール類とを例えば溶融重縮合条件下で反応させる方法、
3)ホスゲンとメタノール等の1価アルコールとを反応させてジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネートを製造し、これをフェノール等のモノヒドロキシ芳香族化合物とエステル交換反応させてジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートを製造し、これとジフェノール類とを例えば溶融重縮合条件下で反応させる方法、
等を例示することができる。
【0009】
(2) 原材料
(a) ホスゲン
塩素濃度
本発明の揮発性塩素の少ないカーボネート樹脂の製造方法において使用されるホスゲンは、液状またはガス状であり、原料ホスゲン中の塩素濃度が1,000ppb以下、好ましくは500ppb以下、より好ましくは100ppb以下、特に好ましくは0〜100ppbのものが使用されることが重要である。
使用するホスゲンは通常、一酸化炭素と塩素との反応によって得られるものであり、かなりの量の塩素を含有している。
原料ホスゲン中の塩素を上記範囲にするための方法としては、活性炭等の吸着剤による塩素の吸着除去や沸点差を利用した蒸留による分離除去等があり、いずれの方法で除去してもかまわない。但し、蒸留除去の場合、除去オーダーが極めて低い数値であり、相当の蒸留段数を必要とするため、活性炭等の吸着剤を用いる吸着除去の方が有利である。
本発明において用いることのできる吸着剤としては、活性炭の他、水銀、アンチモン等の金属を含有するものや、ゼオライト、アルミナ等各種のものが使用できるが、いずれにしてもホスゲン中の塩素量を上記所定量にできることが必要である。
また、これらの吸着剤の粒度としては、細かい方が好ましく、通常2メッシュ篩通過、好ましくは8メッシュ篩通過、より好ましくは16メッシュ篩通過、更に好ましくは32メッシュ篩通過程度である。一方、あまりに粒度が小さいと工業的に問題があるので、下限としては60メッシュ篩残程度であり、8メッシュ篩通過〜60メッシュ篩残程度が好ましい。
用いる活性炭としては、酸性ガス用活性炭、塩基性ガス用活性炭、一般ガス用活性炭が使用できるが、中でも次の物性を示す酸性ガス用活性炭が好ましい。
真密度 :1.9〜2.2g/cc
空隙率 :33〜55%
比表面積:700〜1500m2 /g
細孔容積:0.5〜1.1cc/g
平均粒径:12〜40オングストローム
上記活性炭の粒度は、前記した吸着剤の粒度範囲と同様である。
また、温度管理の観点からは、ホスゲンは液状であることが好ましく、特に吸着除去の場合には液状が有利である。
液状のまま反応に持ち込む場合、各反応温度において液状を保ち得る反応圧力が選択される。
本発明において、吸着除去する方法には特に制限が無く、例えば、液化ホスゲンを液状のまま活性炭塔に、空間速度(SV)が通常、2〜20、好ましくは、5〜20、温度が通常5℃以下、例えば−5℃で通液する手法で吸着除去することができる。
【0010】
(b) ジフェノール
本発明の揮発性塩素の少ないカーボネート樹脂の製造方法において使用されるジフェノールとしては、好ましくは、一般式HO−Z−OHに対応するものである。ここで、Zは1個またはそれ以上の芳香核であり、核の炭素と結合する水素は、塩素、臭素、脂肪族の基または脂環式の基で置換することができる。複数の芳香核は、それぞれ異なった置換基を有することもできる。また、複数の芳香核は、架橋基で結合されていてもよい。この架橋基には、脂肪族の基、脂環式の基、ヘテロ原子またはそれらの組合せが含まれる。
具体的には、ヒドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(ヒドロキシフェニル)ジアルキルベンゼン、及び、核にアルキルまたはハロゲン置換基を有するこれらの誘導体が挙げられる。もちろん、これらのジフェノールの2種以上を併用することも可能である。
これらのジフェノール及び他の適当なジフェノールとしては、例えば、米国特許第4,982,014号、同第3,028,365号、同第2,999,835号、同第3,148,172号、同第3,275,601号、同第2,991,273号、同第3,271,367号、同第3,062,781号、2,970,131号、及び、同第2,999,846号の各明細書、ドイツ特許公開第1,570,703号、同第2,063,050号、同第2,063,052号、及び、同第2,211,956号の各明細書、並びに、フランス特許第1,561,518号明細書に記載されている。
特に好適なジフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが含まれる。この中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を用いるのが好ましい。
【0011】
(c) その他
本発明においては、ポリカーボネート樹脂を製造する際に、必要に応じて任意の連鎖停止剤及び/または分岐剤を加えることができる。
連鎖停止剤
適当な連鎖停止剤としては、種々のモノフェノール、例えば、通常のフェノールのほか、p−t−ブチルフェノール及びp−クレゾールのようなC1 〜C10のアルキルフェノール、並びに、p−クロロフェノール及び2,4,6−トリブロモフェノールのようなハロゲン化フェノールが含まれる。これらの中でも、フェノール、クミルフェノール、イソオクチルフェノール、及び、p−t−ブチルフェノールが、好適な連鎖停止剤である。
連鎖停止剤の使用量は、目的とする縮合体の分子量によっても異なるが、通常、水相中のジフェノールの量に対して、0.5〜10重量%の量で使用される。
【0012】
分岐剤
使用される分岐剤は、3個またはそれ以上の官能基を有する種々の化合物から選ぶことができる。適当な分岐剤には、3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物である、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)フェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び1,4−ビス(4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼンが含まれる。また、3個の官能基を有する化合物である、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロキシインドール及び3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールも含まれる。中でも、3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシ基を持つものが好適である。分岐剤の使用量は、目的とする分岐度によっても異なるが、通常、水相中のジフェノールの量に対し、0.05〜2モル%の量で使用される。
【0013】
(3) 重縮合反応
(a) 反応条件
前記のように、ホスゲンを原料とするポリカーボネート結合を有する樹脂の製造方法としては、代表的には、
1)ホスゲンとジフェノール類とを界面重縮合条件下、又は溶液重合条件下で反応させる方法、
2)ホスゲンとフェノール等のモノヒドロキシ芳香族化合物とを反応させてジフエニルカーボネート等のジアリールカーボネートを製造し、これとジフェノール類とを例えば溶融重縮合条件下で反応させる方法、
3)ホスゲンとメタノール等の1価アルコールとを反応させてジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネートを製造し、これをフェノール等のモノヒドロキシ芳香族化合物とエステル交換反応させてジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートを製造し、これとジフェノール類とを例えば溶融重縮合条件下で反応させる方法、
を挙げることができる。
以下、現在最も代表的な製造方法である、界面重縮合法について説明する。
〔界面重縮合法〕
一般的には、ジフェノール類とホスゲンとを水及び有機溶媒の存在下で反応させる方法であり、通常水相中のジフェノール類のアルカリ金属塩とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させる方法である。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーは、通常さらに重縮合反応に供されて高分子量のポリマーとなる。
溶 媒
本発明において使用されるべき有機溶媒は、反応温度及び反応圧力において、ホスゲン及びカーボネート・オリゴマー、ポリカーボネート等の反応生成物を溶解するが、水を溶解しない(水と均一溶液をつくらない)任意の不活性有機溶媒を含んでいることが重要である。
代表的な不活性有機溶媒には、ヘキサン及びn−ヘプタンのような脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン及び1,2−ジクロロエチレンのようなハロゲン化脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びクロロトルエンのようなハロゲン化芳香族炭化水素、その他ニトロベンゼン及びアセトフェノンのような置換芳香族炭化水素が含まれる。中でも、ハロゲン化された炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロベンゼンが好適に使用される。
これらの不活性有機溶媒は、単独であるいは他の溶媒との混合物として、使用することができる。
【0014】
もっとも、クロロベンゼンを単独で使用する場合、クロロベンゼン中におけるポリカーボネートの技術的に有用な濃度を得るためには、反応及び洗浄の際に高い操作温度を使用する必要がある。
また、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをベースにした、工業的に重要なポリカーボネートに対する、好適な溶媒の組合せは、塩化メチレンとトルエンとの混合物であり、必要が有れば、本発明方法でも使用することができる。
上記水相中には、水、ジフェノール及びアルカリ金属水酸化物の少なくとも3成分を含むことが好ましい。このような水相中で、ジフェノールは、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと反応して、水溶性のアルカリ金属塩を生じる。もちろん、上記有機相と接触させる以前に、前記の3成分を混合して、均一な水溶液を調製して、予め水相を準備しておくことが好ましいが、必要に応じて、それら3成分の一部または全部を、有機相との接触に際して、混合することも可能である。
量 比
水相中のジフェノールとアルカリ金属水酸化物のモル比は、1:1.8〜1:3.5が好ましく、更には1:2.0〜1:3.2が好ましい。このような水溶液を調製する際には、温度を20℃以上、好ましくは30〜40℃にすることが好ましいが、余り高いとジフェノールの酸化が起きるので、必要最低温度とし、かつ、窒素雰囲気で行うか、あるいは、ヒドロスルフィド等の還元剤を少量添加することが好ましい。
ホスゲンの好ましい使用量は、反応条件、特に反応温度及び水相中のジフェノールアルカリ金属塩の濃度によっても影響は受けるが、ジフェノール1モルに対し、通常1〜2モル、好ましくは1.05〜1.5モルである。この比が大きすぎると、未反応ホスゲンが多くなり、原単位が極端に悪化する。一方、小さすぎると、CO基が不足し、適切な分子量伸長が行われなくなる。
【0015】
(b) 触 媒
本発明においては、ホスゲンとの接触に先立って、水相と有機相の接触の際に重縮合触媒を供給し、望むならば、重縮合触媒の供給を、ホスゲンとの接触時に行ってもよい。
重縮合触媒としては、二相界面重縮合法に使用されている多くの重縮合触媒の中から、任意に選択することができる。中でも、トリアルキルアミン、N−エチルピロリドン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、N−イソプロピルピペリジン及びN−イソプロピルモルホリンが適しており、特にトリエチルアミン及びN−エチルピペリジンが適している。
【0016】
(c) オリゴマーの製造
オリゴマーを得る段階での、有機相中のオリゴマーの濃度は、得られるオリゴマーが有機相中に可溶な範囲であればよく、具体的には、10〜40重量%程度である。また、有機相の割合は、ジフェノールのアルカリ金属水酸化物水溶液、即ち水相に対して0.2〜1.0の容積比であることが好ましい。
反応温度は、通常80℃以下、好ましくは60℃以下、更に好ましくは10〜50℃である。反応温度が高すぎると副反応の制御が困難であり、低すぎると冷媒負荷が増大する。
このような重縮合条件下で得られる、オリゴマーの粘度平均分子量(Mv)は、通常500〜10,000程度、好ましくは1,600〜4,500であるが、この分子量に制限されない。
【0017】
(d) 重縮合反応
このようにして得られたオリゴマーは、常法の重縮合条件下で、高分子のポリカーボネートとする。好ましい実施態様においては、このオリゴマーの溶存する有機相を水相から分離し、必要に応じ、前述の不活性有機溶媒を追加し、該オリゴマーの濃度を調整する。
すなわち、重縮合によって得られる有機相中の、ポリカーボネートの濃度が、5〜30重量%となるように、溶媒の量が調整される。しかる後、新たに水及びアルカリ金属水酸化物を含む水相を加え、さらに重縮合条件を整えるために、好ましくは前述の重縮合触媒を添加して、二相界面重縮合法に従い、所期の重縮合を完結させる。重縮合時の有機相と水相の割合は、容積比で、有機相:水相=1:0.2〜1程度が好ましい。
重縮合完結後は、残存するクロロホーメート基が0.01μeq/g以下になるまで、NaOHのようなアルカリで洗浄処理する。その後は、電解質が無くなるまで有機相を洗浄し、最終的には有機相から適宜不活性有機溶媒を除去した後、ポリカーボネートを分離する。
【0018】
[II] ポリカーボネート樹脂
このようにして得られるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常10,000〜100,000程度であり、好ましくは12,000〜35,000程度である。
なお、粘度平均分子量(Mv)とは、オリゴマーまたはポリカーボネートの濃度(C)が0.6g/dl塩化メチレン溶液を用いて、20℃の温度で測定した比粘度(ηsp)から、下記の式(1)及び(2)を用いて算出した値である。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp) 式(1)
[η]=1.23×10−5Mv0.83 式(2)
また、このようにして得られるポリカーボネートは、後記の方法で測定された加熱発生塩素量(ポリマー当たりの塩素発生量(ppb))を30ppb以下、好ましくは20ppb以下、特に好ましくは1〜20ppb程度にまで低下させることができる。従って、このような揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂は、成形加工時においても変色し難い等の利点がある。
【0019】
本発明の揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂の製造方法で得られるポリカーボネートは、これを反応器から分離する途中、又は、これを加工する前に、或いは、その間において、種々の添加剤、例えば、安定剤、型抜き剤、燃焼遅延剤、帯電防止剤、充填剤、繊維、衝撃強度変性剤等の有効量を加えることができる。
【0020】
[III] 用 途
これらのポリカーボネートは、射出成形、押出成形などによって種々の成形品、例えばフィルム、糸、板等に加工することもできるし、種々の技術的分野、例えば電気部品または建築産業において、また照明器具用材料及び光学的機器材料、特に灯火のハウジング、光学レンズ、光学ディスク及びオーディオディスク等に使用される。特に電気、電子容器に使用される場合、不純物としてのこの揮発性塩素が嫌われるため、揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂は極めて有用である。
本発明によって得られるポリカーボネートの成形品は、ポリカーボネート固有の優れた物性を有するだけでなく、高温成形における熱安定性が著しく向上して、溶融成形後の色相変化が小さく、着色の少ない成形品を得ることができるので、従来品に比べ、その用途範囲を大きく拡大できる利点を有する。
【0021】
【実施例】
以下、実施例に従って、本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[I] ホスゲンの調製
原料液化ホスゲンを、直径55mm、高さ500mmの円筒型容器内に下記物性の酸性ガス用活性炭(タケダ製、商品名:シラサギ GH2X4/6UG)を充填した活性炭塔に、−5℃、7.2kg/時間、空間速度(SV)=4で通液した。
この通液処理を繰り返し行うことにより、活性炭塔出口における液化ホスゲン中の塩素含有量を0ppbまで低下させた。
なお、表1及び表2に示す活性炭処理前のホスゲン中の塩素含有量は、上記の通液処理を行うことにより塩素含有量を0ppbまで低下させた液化ホスゲンに、新たに塩素ガスをボンベより添加することにより塩素ガスの濃度調整をしたものである。
また、表1に示す活性炭処理後のホスゲン中の塩素含有量は、前記濃度調製した液化ホスゲンをさらに活性炭塔へ通液処理した後の値である。
酸性ガス用活性炭の物性
粒度 :4メッシュ篩通過〜6メッシュ篩残
真空度 :2.1g/cc
空隙率 :40%
比表面積:1200m2 /g
細孔容積:0.86cc/g
平均孔径:12オングストローム
【0022】
[II] ポリカーボネート樹脂の製造
実施例1〜5
ビスフェノールA(BPA)15.09kg/時、水酸化ナトリウム(NaOH)5.49kg/時及び水93.5kg/時を、ハイドロサルファイト0.017kg/時の存在下に、35℃で溶解した後、25℃まで冷却した水相並びに5℃に冷却した塩化メチレン61.9kg/時の有機相を、各々内径6mm、外径8mmのテフロン製配管に供給し、これに接続する内径6mm、長さ34mのテフロン製パイプリアクターにおいて、ここに別途導入される0℃に冷却した表1に示す塩素含有量の液化ホスゲン7.2kg/時と接触させた。
上記原料(ビスフェノールA・水酸化ナトリウム溶液)は、ホスゲンとパイプリアクター内を1.7m/秒の線速度にて20秒間流通する間に、ホスゲン化、オリゴマー化反応を行った。この時、反応温度は、断熱系で塔頂温度60℃に達した。反応物の温度は、次のオリゴマー化槽に入る前に35℃まで外部冷却を行い調節した。オリゴマー化に際し、触媒としてトリエチルアミン0.005kg/時、及び分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール0.39kg/時を用い、これらは各々、オリゴマー化槽に導入した。
【0023】
このようにしてパイプリアクターより得られるオリゴマー化された乳濁液を、さらに内容積50リットルの撹拌機付き反応槽に導き、窒素ガス(N2 )雰囲気下30℃で撹拌し、オリゴマー化することで、水相中に存在する未反応のビスフェノールAのナトリウム塩(BPA−Na)を完全に消費させた後、水相と油相を静置分離し、オリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
【0024】
上記オリゴマーの塩化メチレン溶液のうち、23kgを、内容積70リットルのファウドラー翼付き反応槽に仕込み、これに希釈用塩化メチレン10kgを追加し、さらに25重量%水酸化ナトリウム水溶液2.2kg、水6kg及びトリエチルアミン2.2gを加え、窒素ガス雰囲気下30℃で撹拌し、60分間重縮合反応を行って、ポリカーボネート樹脂を得た。
【0025】
この反応液に、塩化メチレン30kg及び水7kgを加え、20分間撹拌した後、撹拌を停止し、水相と有機相を分離した。分離した有機相に、0.1N塩酸20kgを加え15分間撹拌し、トリエチルアミン及び小量残存するアルカリ成分を抽出した後、撹拌を停止し、水相と有機相を分離した。更に、分離した有機相に、純水20kgを加え、15分間撹拌した後、撹拌を停止し、水相と有機相を分離した。この操作を抽出排水中の塩素イオンが検出されなくなるまで(3回)繰り返した。
得られた精製ポリカーボネート溶液を、40℃温水中にフィードすることで粉化し、乾燥後粒状粉末(フレーク)を得た。このフレーク中の窒素含有量は1.5ppmであった。
【0026】
ホスゲン中の塩素含量の測定は、ホスゲンとして70g捕集し、気化、NaOH溶液に吸収、NaClOとして酸化還元滴定し、その絶対量を測定し、ホスゲン中の塩素含有量とした。
各実施例で得られた、オリゴマーについて平均分子量を、フレークについて平均分子量及び分子量分布を、成形品について、色調をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
実施例6
別途導入される0℃に冷却した液化ホスゲンとして、55mmΦ*500mmLの円筒型容器に活性炭(大平化学製、商品名:ヤシコールM)を充填し、−5℃、7.2kg/hrで通液処理したホスゲンを使用した以外は、全て実施例1と同様の方法で実施した。その結果を表1に示す。
粒度 :8メッシュ篩通過〜30メッシュ篩残
真空度 :2.0〜2.2g/cc
空隙率 :33〜45%
比表面積:700〜1500m2 /g
平均孔径:12〜40オングストローム
【0027】
[III] 物性評価
なお、表1中のポリカーボネート樹脂の物性評価は、次のようにして行った。
(1) 分子量分布(Mw/Mn):
GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソ−(株)製、製品名:HLC−8020)を使用し、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とし、4種の高速GPC用充填材(東ソ−(株)製、製品名:TSK 5000HLX、4000HLX、3000HLX及び2000HLX)を充填した4本のカラムで分離し、屈折率差により検出して得られたチャートより、Mw及びMnをポリスチレン換算で求め、Mw/Mnを算出した。
【0028】
(2) 色調(YI):
[見本板の成形]
フレークを、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、製品名:FS80S−12ASE)を用い、280℃で可塑化後、シリンダー内で15秒滞留させ、厚さ3.2mm、60mm角の見本板を成形した。また、可塑化後、シリンダー内での滞留時間を5分とした、見本板も成形した。
[色調の測定]
これらの見本板について、色差計(スガ試験機(株)製、製品名:SM−4−CH)を用いて、色調(YI値)を測定した。測定値のうち、15秒滞留のYI値が小さいのは、定常成型時の色調が良好であることを示し、15秒滞留と5分滞留のYI値の差(ΔYI)が小さいのは、高温における熱安定性が良好であることを示す。
【0029】
(3) 揮発性塩素量の測定:
次の方法で、280℃、30分間加熱した後、室温で3日間保持した際の加熱発生塩素量を測定することによって評価した。
フレークを、30mm二軸押出機(池貝鉄鋼製)、樹脂温290℃にて混練後、ペレット化した。このとき操作上において塩素の混入が懸念される点(人の手や汗及び冷却に使用するH2 0)に関し、十分の注意を払い処理した。
得られたペレット10gをイオンクロマト水で洗浄済みの内径10mmのガラス管に仕込み、真空下、溶封した(封管の長さは20cmで一定とした)。このガラス管全体を280℃のオイルバス中に30分間立てた状態で保持後、冷却、外部に付着したオイル等を綺麗に洗浄した後、同ガラス管をそのままの状態で3日間室温保持した。
ポリマーの浸析部の直上を切断(焼き玉)し上部ガラス内部を純水1mlで洗浄、捕集、イオンクロマト分析、ポリマー1g当たりの加熱発生塩素量として求めた。
【0030】
【表1】
【0031】
比較例1〜3
実施例1において、ホスゲン中の塩素含有量を表2に示す濃度に調製した液化ホスゲンを使用し、さらに活性炭塔への通液処理を行うことなく実施した以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明の揮発性塩素の少ないポリカーボネート樹脂は、常温で保持した際に徐々に揮発する塩素が少なく品質が安定している。
また、本発明の製造方法により得られるポリカーボネート樹脂は、前記の性質に加え、高温成形における熱安定性が著しく向上して、溶融成形後の色相変化が小さく、着色の少ない成形品を得ることができるので、従来品に比べ、その用途範囲を大きく拡大できる利点を有する。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a polycarbonate resin having a low volatile chlorine and a method for producing the same. More specifically, the present invention relates to a stable polycarbonate resin having a low amount of volatile chlorine when kept at room temperature and a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a two-phase interfacial polycondensation method for obtaining a polycarbonate in the presence of an organic solvent by the reaction of an aqueous solution of an alkali metal salt of a diphenol, for example, bisphenol A, with phosgene, and a melt for obtaining a polycarbonate in the absence of an organic solvent In the polycondensation method, many impurities in phosgene used as a raw material have been studied.
Among them, a technique for reducing the order of hundreds of ppm of chlorine contained in phosgene to several tens of ppm is introduced, and it is also proposed that such a technique for reducing the amount of chlorine is good for polycarbonate.
For example, U.S. Pat. No. 3,230,253 and U.S. Pat. No. 3,331,873 disclose a method for adsorbing and removing chlorine contained as an impurity by passing phenols or activated carbon after phosgene production. However, only a technique for simply reducing the amount of chlorine contained in phosgene from the order of several hundred ppm to several tens ppm is introduced. It does not disclose use as a raw material for production. Furthermore, there is no teaching at all regarding the fact that chlorine volatilized at room temperature after molding of the polycarbonate resin has a causal relationship with chlorine contained in the raw material phosgene.
[0003]
On the other hand, JP-A-62-297320 and JP-A-62-297321 contain carbon tetrachloride having a higher boiling point than phosgene as an impurity in phosgene which is a raw material of a resin having a carbonate bond. It has been reported that in order to generate hydrogen chloride by heating during molding of a resin produced using such phosgene as a raw material, the carbon tetrachloride content in phosgene is set to a certain amount or less. I have.
In this case, it discusses hydrogen chloride which is decomposed and generated during heating during molding, and teaches nothing about the phenomenon that chlorine gradually evaporates while being left at room temperature after molding. Absent.
[0004]
Further, phosgene is generally produced by reacting carbon monoxide with chlorine using activated carbon as a catalyst. Since this reaction reaches an equilibrium state in the final stage, if the chlorine content in phosgene is to be reduced, CO / Cl2The ratio will be shifted in the direction of excess CO. However, a large excess of CO results in a loss of CO gas, and at the same time, an increase in the amount of phosgene discharged as off-gas accompanying the CO gas.
Therefore, in most phosgene plants, it is usual to operate with an excessive amount of CO suppressed to the limit where phosgene loss can be suppressed. As a result, extremely small amounts of chlorine have been neglected due to insufficient measurement means and measurement accuracy.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The present inventors have conducted intensive studies on volatile chlorine at room temperature from a molded article of polycarbonate obtained as a final product.As a result, surprisingly, the volatile chlorine and impurities in phosgene used as a raw material for producing polycarbonate have been found. It has been found that there is a relationship between the chlorine contained in the steel.
That is, chlorine remaining as an impurity in phosgene is chlorinated in a specific part of the raw material in an initial reaction stage in a polycarbonate production process in some form, remains unchanged until the final process, and is left at room temperature after molding. In the meantime, it was found that chlorine gradually evaporates (detection is recognized as Cl ion).
On the other hand, when carbon tetrachloride as described above remains in the polycarbonate, or when the chloroformate group generated in the polycarbonate production process by the two-phase interfacial polycondensation method remains, the resin is melt-molded. Occurrence of hydrogen chloride is sometimes observed. However, these should be clearly distinguished from chlorine which evaporates after the above-mentioned molding.
That is, in the case of a Cl group having a very high reactivity, it is immediately changed to hydrogen chloride by the heat during melt molding, but in the case of the above-mentioned chlorinated portion, rather than coming off in the melt molding, rather than at room temperature after molding. It was found that chlorine was gradually generated by photolysis or the like below.
Therefore, if carbon tetrachloride remains in the polycarbonate or if the chloroformate group generated during the polycarbonate production process by the two-phase interfacial polycondensation method remains, the molded article is melt-molded. Once removed by washing with pure water.
[0006]
On the other hand, in the case of the site chlorinated by chlorine remaining in the phosgene, chlorine is temporarily generated by applying heat to the polycarbonate during melt molding, but chlorine is temporarily generated. It was found that it was not completely removed, but gradually occurred when left at room temperature (detection was recognized as Cl ions). Such chlorine is called "volatile chlorine".
Although the presence of such volatile chlorine has been often ignored until now, it has been found that it becomes a problem with the recent improvement in quality and physical properties of various polycarbonate resin molded products.
An object of the present invention is to provide a polycarbonate resin having a small amount of volatile chlorine and a method for producing the same.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have found that the more chlorine that is contained as an impurity in phosgene is removed as much as possible, the less chlorine that volatilizes when left at room temperature after molding is reduced. Knowing this, the present invention has been completed.
Molecular chlorine contained in phosgene is usually detected by absorbance at a wavelength of 330 nm as described in U.S. Pat. No. 3,230,253 and U.S. Pat. No. 3,331,873, but the lower limit of detection is 10 ppm. In fact, there is no accurate analysis means for a chlorine content of 10 ppm or less.
In this regard, the present inventors have developed COCl containing trace amounts of chlorine as impurities.2Was collected in a large amount (70 g or more), and when this was absorbed in an aqueous sodium hydroxide solution, only chlorine was changed to NaClO, and it was found that a trace chlorine content could be measured by redox titration.
That is, the polycarbonate resin having a low volatile chlorine of the present invention is characterized in that the amount of chlorine generated by heating when heated at 280 ° C. for 30 minutes and held at room temperature for 3 days is 30 ppb or less. .
Further, another method of the present invention for producing a polycarbonate resin having a low volatile chlorine is a method for producing a resin having a carbonate bond using phosgene as a raw material, wherein the phosgene having a chlorine concentration of 1,000 ppb or less is used as a raw material phosgene. Is used.
[0008]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
[I] Production of polycarbonate resin with low volatile chlorine
(1) Outline
In the method for producing a carbonate resin having a small amount of volatile chlorine of the present invention, it can be carried out by a method equivalent to a method for producing a resin having a known carbonate bond, and there is no particular limitation, and various production methods using phosgene as a raw material are employed. can do. In this case, the above-mentioned "using phosgene as a raw material" means not only a case where phosgene is used as a direct raw material of the resin, but also a case where the intermediate of the resin is manufactured using phosgene as a raw material and the above-described resin is manufactured using the intermediate It also includes cases such as performing
As a method for producing the resin having a known carbonate bond, usually, when reacting a diphenol and a carbonate raw material to obtain a polycarbonate resin, a carbonate raw material as a carbonate raw material as a carbonate raw material, a phosgene or a phosgene-based carbonate raw material. The method to use. In particular,
1) a method of reacting phosgene and diphenols under interfacial polycondensation conditions or solution polymerization conditions;
2) a method of reacting phosgene with a monohydroxy aromatic compound such as phenol to produce a diaryl carbonate such as diphenyl carbonate, and reacting this with a diphenol under, for example, melt polycondensation conditions;
3) Phosgene is reacted with a monohydric alcohol such as methanol to produce a dialkyl carbonate such as dimethyl carbonate, which is subjected to a transesterification reaction with a monohydroxy aromatic compound such as phenol to produce a diaryl carbonate such as diphenyl carbonate. A method of reacting this with diphenols under, for example, melt polycondensation conditions,
And the like.
[0009]
(2) Raw materials
(A) phosgene
Chlorine concentration
The phosgene used in the method for producing a carbonate resin having a low volatile chlorine of the present invention is in a liquid or gaseous state, and the chlorine concentration in the raw material phosgene is 1,000 ppb or less, preferably 500 ppb or less, more preferably 100 ppb or less. It is particularly important to use those having 0 to 100 ppb.
The phosgene used is usually obtained from the reaction of carbon monoxide with chlorine and contains significant amounts of chlorine.
Examples of the method for keeping chlorine in the raw material phosgene in the above range include adsorption removal of chlorine by an adsorbent such as activated carbon and separation removal by distillation using a boiling point difference, and any method may be used. . However, in the case of distillation removal, the order of removal is an extremely low value, and a considerable number of distillation stages are required. Therefore, adsorption removal using an adsorbent such as activated carbon is more advantageous.
As the adsorbent that can be used in the present invention, in addition to activated carbon, those containing metals such as mercury and antimony, and various types such as zeolite and alumina can be used.In any case, the amount of chlorine in phosgene can be reduced. It is necessary that the above-mentioned predetermined amount can be obtained.
The particle size of these adsorbents is preferably finer, and is usually about 2 mesh sieve, preferably 8 mesh sieve, more preferably 16 mesh sieve, still more preferably about 32 mesh sieve. On the other hand, if the particle size is too small, there is an industrial problem. Therefore, the lower limit is about 60 mesh sieve remaining, and preferably 8 mesh sieve to 60 mesh sieve remaining.
As the activated carbon to be used, activated carbon for acidic gas, activated carbon for basic gas and activated carbon for general gas can be used. Among them, activated carbon for acidic gas having the following physical properties is preferable.
True density: 1.9 to 2.2 g / cc
Porosity: 33-55%
Specific surface area: 700-1500m2/ G
Pore volume: 0.5 to 1.1 cc / g
Average particle size: 12 to 40 angstroms
The particle size of the activated carbon is the same as the particle size range of the adsorbent described above.
Further, from the viewpoint of temperature control, phosgene is preferably in a liquid state, and particularly in the case of adsorption removal, the phosgene is advantageous.
When the reaction is carried out in a liquid state, a reaction pressure capable of maintaining the liquid state at each reaction temperature is selected.
In the present invention, the method of adsorption removal is not particularly limited. For example, the liquefied phosgene is kept in a liquid state in an activated carbon tower, and the space velocity (SV) is usually 2 to 20, preferably 5 to 20, and the temperature is usually 5 to 5. It can be adsorbed and removed by a method of passing the liquid at a temperature of not more than ℃, for example, -5 ℃.
[0010]
(B) Diphenol
The diphenol used in the method for producing a carbonate resin having a low volatile chlorine of the present invention preferably corresponds to the general formula HO-Z-OH. Here, Z is one or more aromatic nuclei, and the hydrogen bonded to the carbon of the nucleus can be replaced by chlorine, bromine, an aliphatic group or an alicyclic group. The plurality of aromatic nuclei may have different substituents. Further, a plurality of aromatic nuclei may be bonded by a cross-linking group. The bridging group includes an aliphatic group, an alicyclic group, a heteroatom, or a combination thereof.
Specifically, hydroquinone, resorcinol, dihydroxydiphenol, bis (hydroxyphenyl) alkane, bis (hydroxyphenyl) cycloalkane, bis (hydroxyphenyl) sulfide, bis (hydroxyphenyl) ether, bis (hydroxyphenyl) ketone, bis (hydroxyphenyl) ketone, (Hydroxyphenyl) sulfone, bis (hydroxyphenyl) sulfoxide, bis (hydroxyphenyl) dialkylbenzene, and derivatives thereof having an alkyl or halogen substituent in the nucleus. Of course, two or more of these diphenols can be used in combination.
These and other suitable diphenols include, for example, U.S. Patent Nos. 4,982,014, 3,028,365, 2,999,835, 3,148, No. 172, No. 3,275,601, No. 2,991,273, No. 3,271,367, No. 3,062,781, No. 2,970,131, and No. 2,999,846, German Patent Publication Nos. 1,570,703, 2,063,050, 2,063,052, and 2,211,956. And French Patent No. 1,561,518.
Particularly preferred diphenols include 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane, 2,2-bis (3,5-dimethyl-4-hydroxyphenyl) propane, 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) ) Cyclohexane and 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) -3,3,5-trimethylcyclohexane. Among them, it is preferable to use 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane (bisphenol A).
[0011]
(C) Other
In the present invention, an optional chain terminator and / or branching agent can be added as needed when producing the polycarbonate resin.
Chain terminator
Suitable chain terminators include various monophenols, e.g., normal phenols, as well as C-like compounds such as pt-butylphenol and p-cresol.1~ C10And halogenated phenols such as p-chlorophenol and 2,4,6-tribromophenol. Among these, phenol, cumylphenol, isooctylphenol and pt-butylphenol are preferred chain terminators.
The amount of the chain terminator varies depending on the molecular weight of the desired condensate, but is usually used in an amount of 0.5 to 10% by weight based on the amount of diphenol in the aqueous phase.
[0012]
Branching agent
The branching agent used can be selected from various compounds having three or more functional groups. Suitable branching agents include compounds having three or more phenolic hydroxyl groups, 2,4-bis (4-hydroxyphenyl-isopropyl) phenol, 2,6-bis (2'-hydroxy-5). '-Methylbenzyl) -4-methylphenol, 2- (4-hydroxyphenyl) -2- (2,4-hydroxyphenyl) propane and 1,4-bis (4,4'-dihydroxytriphenylmethyl) benzene included. Further, compounds having three functional groups, 2,4-dihydroxybenzoic acid, trimesic acid, cyanuric chloride, bis (4-hydroxyphenyl) -2-oxo-2,3-dihydroxyindole and 3,3- Bis (4-hydroxy-3-methylphenyl) -2-oxo-2,3-dihydroindole is also included. Among them, those having three or more phenolic hydroxy groups are preferred. The amount of the branching agent used varies depending on the desired degree of branching, but is usually used in an amount of 0.05 to 2 mol% based on the amount of diphenol in the aqueous phase.
[0013]
(3) Polycondensation reaction
(A) Reaction conditions
As described above, as a method for producing a resin having a polycarbonate bond using phosgene as a raw material, typically,
1) a method of reacting phosgene and diphenols under interfacial polycondensation conditions or solution polymerization conditions;
2) a method of reacting phosgene with a monohydroxy aromatic compound such as phenol to produce a diaryl carbonate such as diphenyl carbonate, and reacting this with a diphenol under, for example, melt polycondensation conditions;
3) Phosgene is reacted with a monohydric alcohol such as methanol to produce a dialkyl carbonate such as dimethyl carbonate, which is subjected to a transesterification reaction with a monohydroxy aromatic compound such as phenol to produce a diaryl carbonate such as diphenyl carbonate. A method of reacting this with diphenols under, for example, melt polycondensation conditions,
Can be mentioned.
Hereinafter, an interfacial polycondensation method, which is the most typical production method at present, will be described.
(Interfacial polycondensation method)
Generally, it is a method of reacting diphenols and phosgene in the presence of water and an organic solvent, and usually reacting an alkali metal salt of diphenols and phosgene in an aqueous phase in the presence of an organic solvent. Is the way. The polycarbonate oligomer thus obtained is usually further subjected to a polycondensation reaction to become a high molecular weight polymer.
Solvent
The organic solvent to be used in the present invention is any one that dissolves phosgene and reaction products such as carbonate oligomers and polycarbonates, but does not dissolve water (does not form a homogeneous solution with water) at the reaction temperature and reaction pressure. It is important to include an inert organic solvent.
Representative inert organic solvents include aliphatic hydrocarbons such as hexane and n-heptane, methylene chloride, chloroform, carbon tetrachloride, dichloroethane, trichloroethane, tetrachloroethane, dichloropropane and 1,2-dichloroethylene. Halogenated aliphatic hydrocarbons, aromatic hydrocarbons such as benzene, toluene and xylene, halogenated aromatic hydrocarbons such as chlorobenzene, o-dichlorobenzene and chlorotoluene, and substituted aromatic hydrocarbons such as nitrobenzene and acetophenone Contains hydrogen. Among them, halogenated hydrocarbons such as methylene chloride or chlorobenzene are preferably used.
These inert organic solvents can be used alone or as a mixture with other solvents.
[0014]
However, when chlorobenzene is used alone, it is necessary to use high operating temperatures during the reaction and washing in order to obtain a technically useful concentration of polycarbonate in chlorobenzene.
Also, a suitable solvent combination for industrially important polycarbonates based on 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane is a mixture of methylene chloride and toluene, if necessary. It can also be used in the method of the invention.
The aqueous phase preferably contains at least three components of water, diphenol and alkali metal hydroxide. In such an aqueous phase, the diphenol reacts with an alkali metal hydroxide, such as sodium hydroxide or potassium hydroxide, to form a water-soluble alkali metal salt. Of course, before contacting with the organic phase, it is preferable to mix the above three components to prepare a uniform aqueous solution and prepare an aqueous phase in advance. Some or all of them can be mixed upon contact with the organic phase.
Amount ratio
The molar ratio of diphenol to alkali metal hydroxide in the aqueous phase is preferably from 1: 1.8 to 1: 3.5, more preferably from 1: 2.0 to 1: 3.2. When preparing such an aqueous solution, the temperature is preferably at least 20 ° C., preferably 30 to 40 ° C. However, if the temperature is too high, diphenol oxidation will occur. Or adding a small amount of a reducing agent such as hydrosulfide.
The preferred amount of phosgene used is affected by the reaction conditions, especially the reaction temperature and the concentration of the diphenol alkali metal salt in the aqueous phase, but is usually 1 to 2 mol, preferably 1.05 mol, per mol of diphenol. 1.51.5 mol. If this ratio is too large, the amount of unreacted phosgene increases and the basic unit deteriorates extremely. On the other hand, if it is too small, the CO group will be insufficient, and proper molecular weight extension will not be performed.
[0015]
(B) catalyst
In the present invention, prior to contact with phosgene, the polycondensation catalyst is supplied at the time of contact between the aqueous phase and the organic phase, and if desired, the supply of the polycondensation catalyst may be performed at the time of contact with phosgene. .
The polycondensation catalyst can be arbitrarily selected from many polycondensation catalysts used in the two-phase interfacial polycondensation method. Among them, trialkylamine, N-ethylpyrrolidone, N-ethylpiperidine, N-ethylmorpholine, N-isopropylpiperidine and N-isopropylmorpholine are suitable, and triethylamine and N-ethylpiperidine are particularly suitable.
[0016]
(C) Production of oligomer
The concentration of the oligomer in the organic phase at the stage of obtaining the oligomer may be within a range in which the obtained oligomer is soluble in the organic phase, and specifically, is about 10 to 40% by weight. The ratio of the organic phase is preferably 0.2 to 1.0 by volume with respect to the aqueous solution of the alkali metal hydroxide of diphenol, that is, the aqueous phase.
The reaction temperature is usually 80 ° C or lower, preferably 60 ° C or lower, more preferably 10 to 50 ° C. If the reaction temperature is too high, it is difficult to control the side reaction, and if it is too low, the refrigerant load increases.
The viscosity average molecular weight (Mv) of the oligomer obtained under such polycondensation conditions is generally about 500 to 10,000, preferably 1600 to 4,500, but is not limited to this molecular weight.
[0017]
(D) Polycondensation reaction
The oligomer thus obtained is converted into a high-molecular polycarbonate under ordinary polycondensation conditions. In a preferred embodiment, the organic phase in which the oligomer is dissolved is separated from the aqueous phase, and if necessary, the above-mentioned inert organic solvent is added to adjust the concentration of the oligomer.
That is, the amount of the solvent is adjusted so that the concentration of the polycarbonate in the organic phase obtained by the polycondensation is 5 to 30% by weight. Thereafter, a water phase containing water and an alkali metal hydroxide is newly added, and in order to further adjust the polycondensation conditions, preferably, the above-mentioned polycondensation catalyst is added, and the desired polycondensation is performed according to the two-phase interfacial polycondensation method. Is completed. The ratio of the organic phase to the aqueous phase during the polycondensation is preferably about 0.2 to 1 in terms of volume ratio: organic phase: aqueous phase = 1: 0.2-1.
After the completion of the polycondensation, a washing treatment is performed with an alkali such as NaOH until the remaining chloroformate group becomes 0.01 μeq / g or less. Thereafter, the organic phase is washed until the electrolyte is exhausted, and finally, the inert organic solvent is appropriately removed from the organic phase, and then the polycarbonate is separated.
[0018]
[II] Polycarbonate resin
The viscosity average molecular weight (Mv) of the polycarbonate resin thus obtained is generally about 10,000 to 100,000, preferably about 12,000 to 35,000.
The viscosity average molecular weight (Mv) is defined as the following formula (ηsp) based on the specific viscosity (ηsp) measured at a temperature of 20 ° C. using a methylene chloride solution having a concentration (C) of 0.6 g / dl of the oligomer or polycarbonate. This is a value calculated using 1) and (2).
ηsp / C = [η] (1 + 0.28ηsp) Equation (1)
[Η] = 1.23 × 10-5Mv0.83 Equation (2)
Further, the polycarbonate thus obtained has a heat-generated chlorine amount (chlorine generation amount per polymer (ppb)) of 30 ppb or less, preferably 20 ppb or less, particularly preferably about 1 to 20 ppb, measured by the method described below. Can be lowered. Therefore, such a polycarbonate resin having a small amount of volatile chlorine has advantages such as being hardly discolored even during molding.
[0019]
Polycarbonate obtained by the method for producing a polycarbonate resin having a low volatile chlorine of the present invention, during the separation of this from the reactor, or before processing it, or during that time, various additives, for example, stable An effective amount of an agent, a mold release agent, a flame retardant, an antistatic agent, a filler, a fiber, an impact strength modifier and the like can be added.
[0020]
[III] Applications
These polycarbonates can be processed into various molded articles, for example, films, yarns, plates, etc., by injection molding, extrusion molding, etc., and in various technical fields such as electric parts or the building industry, and for lighting equipment. Used for materials and optical equipment materials, especially lamp housings, optical lenses, optical discs and audio discs. In particular, when used in electric and electronic containers, this volatile chlorine as an impurity is disliked, so that a polycarbonate resin having a small amount of volatile chlorine is extremely useful.
The molded article of polycarbonate obtained by the present invention not only has excellent physical properties unique to polycarbonate, but also has a significantly improved thermal stability in high-temperature molding, a small change in hue after melt molding, and a molded article with little coloring. Since it can be obtained, there is an advantage that its application range can be greatly expanded as compared with conventional products.
[0021]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples unless it exceeds the gist.
[I] Preparation of phosgene
The raw material liquefied phosgene was charged into an activated carbon tower filled with activated carbon for acidic gas having the following physical properties (manufactured by Takeda, trade name: Shirasagi GH2X4 / 6UG) in a cylindrical container having a diameter of 55 mm and a height of 500 mm at −5 ° C. and 7.2 kg. The solution was passed at a space velocity (SV) of 4 per hour.
By repeating this liquid passing treatment, the chlorine content in the liquefied phosgene at the outlet of the activated carbon tower was reduced to 0 ppb.
The chlorine content in phosgene before the activated carbon treatment shown in Tables 1 and 2 was calculated by adding chlorine gas to the liquefied phosgene whose chlorine content was reduced to 0 ppb by performing the above-mentioned liquid passing treatment. The concentration of chlorine gas was adjusted by adding it.
Further, the chlorine content in phosgene after the activated carbon treatment shown in Table 1 is a value after the liquefied phosgene whose concentration has been adjusted is further passed through an activated carbon tower.
Physical properties of activated carbon for acid gas
Particle size: 4 mesh sieve passed to 6 mesh sieve residue
Degree of vacuum: 2.1 g / cc
Porosity: 40%
Specific surface area: 1200m2/ G
Pore volume: 0.86 cc / g
Average pore size: 12 angstroms
[0022]
[II] Production of polycarbonate resin
Examples 1 to 5
After dissolving 15.09 kg / hr of bisphenol A (BPA), 5.49 kg / hr of sodium hydroxide (NaOH) and 93.5 kg / hr of water at 35 ° C. in the presence of 0.017 kg / hr of hydrosulfite , An aqueous phase cooled to 25 ° C. and an organic phase of methylene chloride 61.9 kg / hour cooled to 5 ° C. are supplied to a Teflon pipe having an inner diameter of 6 mm and an outer diameter of 8 mm, respectively. In a 34 m Teflon pipe reactor, it was contacted with 7.2 kg / h of liquefied phosgene having a chlorine content shown in Table 1 and separately cooled and cooled to 0 ° C.
The above-mentioned raw material (bisphenol A / sodium hydroxide solution) was subjected to phosgenation and oligomerization while flowing phosgene and the inside of the pipe reactor at a linear velocity of 1.7 m / sec for 20 seconds. At this time, the reaction temperature reached a top temperature of 60 ° C. in the adiabatic system. The temperature of the reaction was controlled by external cooling to 35 ° C. before entering the next oligomerization bath. In the oligomerization, 0.005 kg / hr of triethylamine was used as a catalyst, and 0.39 kg / hr of pt-butylphenol was used as a molecular weight regulator, each of which was introduced into the oligomerization tank.
[0023]
The oligomerized emulsion obtained from the pipe reactor in this manner is further introduced into a reaction tank having an internal volume of 50 liters equipped with a stirrer, and nitrogen gas (N2) The mixture was stirred at 30 ° C under an atmosphere to oligomerize, so that the unreacted sodium salt of bisphenol A (BPA-Na) present in the aqueous phase was completely consumed, and then the aqueous phase and the oil phase were allowed to stand. Separation gave an oligomer in methylene chloride.
[0024]
23 kg of the above methylene chloride solution of the oligomer was charged into a 70-liter reactor equipped with a Faudler blade, 10 kg of methylene chloride for dilution was added thereto, and 2.2 kg of a 25% by weight aqueous sodium hydroxide solution and 6 kg of water were further added. And 2.2 g of triethylamine, and the mixture was stirred at 30 ° C. under a nitrogen gas atmosphere, and a polycondensation reaction was performed for 60 minutes to obtain a polycarbonate resin.
[0025]
30 kg of methylene chloride and 7 kg of water were added to the reaction solution, and the mixture was stirred for 20 minutes. Then, the stirring was stopped, and the aqueous phase and the organic phase were separated. To the separated organic phase, 20 kg of 0.1N hydrochloric acid was added, and the mixture was stirred for 15 minutes. After extracting triethylamine and a small amount of remaining alkaline component, the stirring was stopped, and the aqueous phase and the organic phase were separated. Further, 20 kg of pure water was added to the separated organic phase, and after stirring for 15 minutes, the stirring was stopped, and the aqueous phase and the organic phase were separated. This operation was repeated until no chlorine ions in the extraction wastewater were detected (three times).
The obtained purified polycarbonate solution was powdered by feeding it into hot water at 40 ° C., and dried to obtain a granular powder (flake). The nitrogen content in the flake was 1.5 ppm.
[0026]
For the measurement of the chlorine content in phosgene, 70 g of phosgene was collected, vaporized, absorbed in a NaOH solution, titrated as redox titration as NaClO, and the absolute amount was measured to determine the chlorine content in phosgene.
The average molecular weight of the oligomer, the average molecular weight and the molecular weight distribution of the flake, and the color tone of the molded product obtained in each example were measured. Table 1 shows the results.
Example 6
As a separately introduced liquefied phosgene cooled to 0 ° C., a 55 mmφ * 500 mm L cylindrical container is filled with activated carbon (manufactured by Ohira Chemical Co., Ltd., trade name: Yashikoru M) and passed through at -5 ° C. and 7.2 kg / hr. The procedure was the same as in Example 1, except that phosgene was used. Table 1 shows the results.
Particle size: Pass through 8 mesh sieve ~ 30 mesh sieve residue
Vacuum degree: 2.0 to 2.2 g / cc
Porosity: 33-45%
Specific surface area: 700-1500m2/ G
Average pore size: 12 to 40 angstroms
[0027]
[III] Physical property evaluation
The physical properties of the polycarbonate resins in Table 1 were evaluated as follows.
(1) Molecular weight distribution (Mw / Mn):
Using a GPC (Gel Permeation Chromatography) device (manufactured by Toso Corporation, product name: HLC-8020), and using tetrahydrofuran (THF) as an eluent, four kinds of high-speed GPC packing materials (Toso Corporation) ), Product name: TSK 5000HLX, 4000HLX, 3000HLX, and 2000HLX), and Mw and Mn were determined in terms of polystyrene from the chart obtained by detecting the difference in refractive index and obtaining Mw / Mn. Mn was calculated.
[0028]
(2) Color tone (YI):
[Formation of sample plate]
The flakes were plasticized at 280 ° C using an injection molding machine (manufactured by Nissei Resin Industry Co., Ltd., product name: FS80S-12ASE), and then retained in a cylinder for 15 seconds to obtain a 3.2 mm thick, 60 mm square sample. A plate was formed. Also, after plasticization, a sample plate having a residence time in the cylinder of 5 minutes was formed.
[Measurement of color tone]
The color tone (YI value) of these sample plates was measured using a color difference meter (manufactured by Suga Test Instruments Co., Ltd., product name: SM-4-CH). Among the measured values, a small YI value at 15 seconds retention indicates that the color tone during steady molding is good, and a small difference (ΔYI) between the 15 seconds and 5 minutes retention YI values indicates a high temperature. Shows that the thermal stability is good.
[0029]
(3) Measurement of the amount of volatile chlorine:
After heating at 280 ° C. for 30 minutes by the following method, evaluation was made by measuring the amount of chlorine generated by heating when the sample was kept at room temperature for 3 days.
The flakes were kneaded at a resin temperature of 290 ° C. in a 30 mm twin screw extruder (made by Ikegai Iron and Steel), and then pelletized. At this time, there is a concern that chlorine may be mixed in the operation (Human hands, sweat, and H used for cooling).2Regarding 0), we paid close attention to processing.
10 g of the obtained pellets were charged into a glass tube having an inner diameter of 10 mm, which had been washed with ion chromatography water, and sealed under vacuum (the length of the sealed tube was constant at 20 cm). The whole glass tube was kept standing in an oil bath at 280 ° C. for 30 minutes, cooled, washed thoroughly with oil and the like adhering to the outside, and then kept at room temperature for 3 days while keeping the glass tube as it was.
The portion immediately above the infiltrated portion of the polymer was cut (fired) and the inside of the upper glass was washed with 1 ml of pure water, collected, analyzed by ion chromatography, and determined as the amount of chlorine generated by heating per 1 g of the polymer.
[0030]
[Table 1]
[0031]
Comparative Examples 1-3
In Example 1, the same operation as in Example 1 was carried out except that the liquefied phosgene whose chlorine content in phosgene was adjusted to the concentration shown in Table 2 was used, and that the phosgene was not passed through the activated carbon tower. went.
[0032]
[Table 2]
[0033]
【The invention's effect】
The polycarbonate resin having a small amount of volatile chlorine of the present invention has a small amount of chlorine which gradually evaporates when held at room temperature and has a stable quality.
In addition, the polycarbonate resin obtained by the production method of the present invention has, in addition to the above properties, significantly improved thermal stability in high-temperature molding, a small change in hue after melt molding, and a molded article with less coloring can be obtained. Since it can be used, it has an advantage that its application range can be greatly expanded as compared with conventional products.
Claims (16)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33430797A JP3544294B2 (en) | 1996-12-09 | 1997-12-04 | Polycarbonate resin with low volatile chlorine and method for producing the same |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32833196 | 1996-12-09 | ||
JP8-328331 | 1996-12-09 | ||
JP33430797A JP3544294B2 (en) | 1996-12-09 | 1997-12-04 | Polycarbonate resin with low volatile chlorine and method for producing the same |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10226724A JPH10226724A (en) | 1998-08-25 |
JP3544294B2 true JP3544294B2 (en) | 2004-07-21 |
Family
ID=26572829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33430797A Expired - Lifetime JP3544294B2 (en) | 1996-12-09 | 1997-12-04 | Polycarbonate resin with low volatile chlorine and method for producing the same |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3544294B2 (en) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3282584B2 (en) | 1998-06-02 | 2002-05-13 | 信越ポリマー株式会社 | Storage container for precision parts |
JP4598223B2 (en) * | 2000-03-24 | 2010-12-15 | 帝人化成株式会社 | Phosgene production method and polycarbonate resin |
KR20080082958A (en) * | 2006-01-17 | 2008-09-12 | 테이진 카세이 가부시키가이샤 | Process for continuous production of polycarbonate oligomer |
CN102089242B (en) * | 2008-07-15 | 2013-11-20 | 帝人化成株式会社 | Method for producing carbonyl chloride |
-
1997
- 1997-12-04 JP JP33430797A patent/JP3544294B2/en not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10226724A (en) | 1998-08-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5242001B2 (en) | Thermally stabilized polycarbonate composition | |
TWI492960B (en) | Alkylphenol-terminated copolycarbonates, processes for preparing the same, molding compositions containing the same, and articles prepared therefrom | |
TWI428367B (en) | Process for the preparation of polycarbonate by the melt transesterification process | |
JP4080710B2 (en) | Method for producing aromatic polycarbonate | |
US7847051B2 (en) | Phase boundary processes for preparing polycarbonates | |
US8202961B2 (en) | Alkylphenol for adjusting the molecular weight, and polycarbonate compositions having improved properties | |
JP5241552B2 (en) | Process for producing polycarbonate and diaryl carbonate | |
KR101960563B1 (en) | Polycarbonate resin, polycarbonate resin composition, and molded article thereof | |
KR100554773B1 (en) | Polycarbonate resin containing less volatile chlorine and its manufacturing method | |
JP3544294B2 (en) | Polycarbonate resin with low volatile chlorine and method for producing the same | |
JP2002069168A (en) | Method for producing polycarbonate resin | |
JP3966935B2 (en) | Storage container for precision parts | |
EP0894816B1 (en) | Polycarbonate resin for substrate of optical recording medium | |
US9771451B2 (en) | Method for producing polycarbonate according to the phase interface method | |
US20040103717A1 (en) | Process for the production of polycarbonate which is damaged to a particularly small extent by oxygen | |
JP2000212269A (en) | Polycarbonate resin, substrate for optical information recording medium prepared by using the same, and optical information recording medium | |
JP5978554B2 (en) | Polycarbonate resin composition and molded product | |
JP2002069171A (en) | Terminal-modified polycarbonate resin and its production mrthod | |
JP3785180B2 (en) | Manufacturing method of storage container for precision member | |
JP5495317B2 (en) | Production method of carbonate-type flame retardant | |
JP3622520B2 (en) | Polycarbonate resin, optical information recording medium substrate using the same, and optical information recording medium | |
JP2004325372A (en) | Method of measuring concentration of component of alkali metal salt of aromatic dihydroxy compound, method of preparing raw material, and manufacturing method for aromatic polycarbonate | |
JP2011137157A (en) | Method and apparatus for preparing polycarbonate | |
JP2007321160A (en) | Process for producing aromatic polycarbonate |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040105 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040113 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040310 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040330 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040401 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110416 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140416 Year of fee payment: 10 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |