JP3541128B2 - 着色光再帰反射材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は着色光再帰反射材、特に帰還光を着色する着色光再帰反射材に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば夜間識別用の交通標識、あるいは衣服などには再帰反射材が用いられ、自動車のヘッドライトなどのビーム状の光が照射されると、再帰反射材に対して多少の角度を持ってビーム光が入射しても、ほぼその入射方向に帰還光を送出することができる。
すなわち、いわゆる鏡面反射では、入射角と反射角が略同一になるように反射光を生じるため、鏡面に対し直角に光が入射する場合以外には、反射光は入射方向に帰還することはない。
【0003】
そこで、特開昭63−38902あるいは特開平8−60627などに示されるように、粒子径が約30〜80μmの比較的高屈折率の微小球を、金属膜などの光反射層上に設け、多少の角度を有して入射した光に対しても、略その入射方向へ光を帰還させることができる、いわゆる再帰反射材が汎用されている。
【0004】
前記再帰反射材は、多少の入射角を持って入光した光であっても、その入射方向に帰還する率が高いという点で優れたものであるが、一方で入射光と同様の色調の光が帰還することは鏡面反射体と変わらない。
そこで、従来この再帰反射材を着色するために、光の通る部分を透明性の高い顔料あるいは染料で着色する方法が採られてきた。
【0005】
例えばガラス微小球の下部にあるアルミニウム蒸着膜を着色する方法や、ガラス微小球そのものを着色する方法が用いられ、着色剤としてはイソインドリロン、塩化銅フタロシアニン、フタロシアニン、アンスラキノン、チオインジゴ等が用いられてきた。また、実公昭58−55024号にあるように反射層に反射率の高い雲母を用い、これに透明性着色剤を混合する方法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の着色剤の発色機構は、入射光のうち特定波長光を吸収して、その余色で発色しているため、光の利用効率が低く、明度や彩度が低下することは避けられなかった。また、着色後も光の利用効率を高く保つためには透明性が高い着色剤を用いることが必要であるため、極めて限られた着色剤しか使用できず、あるいはこれらの着色剤の光ないし熱安定性が悪いといった問題もあり、使用法が制限され、さらには限られた着色剤しか使用できないため、再帰反射材に高い意匠性を付与することも極めて難しいのが現状であった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は光の利用効率が高く、しかも反射光に各種の色調を付与することのできる再帰反射材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかる着色光再帰反射材は、入射光の一部に位相差を付与して再合成し、特定波長領域の光成分を干渉により強調し入射光とは異なる色調の着色光を入射光進入方向へ帰還させるものである。
【0008】
そして、前記着色光再帰反射材は、
基板と、
前記基板上に整列配置された透明微小球と、
を含み、
前記基板上、もしくは前記透明微小球の基板への対向面に、有色の干渉色を生起する干渉物質層が設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記反射材において、干渉物質層には酸化金属被覆鱗片状粉体が用いられることを特徴とする。
また、前記反射材において、酸化金属被覆鱗片状粉体は酸化チタン層厚40nm以上の二酸化チタン被覆雲母及び/又は低次酸化チタン被覆雲母であることが好適である。
【0011】
また、前記反射材において、前記基板は酸化チタン被覆雲母の干渉色とは異なる色調の有色であることが好適である。
また、前記反射材において、酸化金属被覆鱗片状粉体はその干渉色とは異なる色調の外観色を有するチタン系複合酸化物被覆雲母であることが好適である。
また、前記反射材において、干渉物質の配置する位置を操作することによって入射光に対して示す干渉色の違いで文字や図形を描くことが好適である。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明者らは再帰反射材の反射光に着色するために、光の干渉を利用することとした。すなわち、再帰反射材の場合、一般的な鏡面反射とは異なり、再帰反射材中で複数回の光屈折を生じる。この光路中に有色の干渉光を生じる物質を介在させることにより、帰還光に干渉色を付与させることができるのである。
【0013】
第一実施形態
図1には本発明の一実施形態にかかる再帰反射材の概略構成が示されている。
同図において、再帰反射材10は、反射基板12上に樹脂層14を設け、更にその表層側にガラス等よりなる粒子径が30〜80μmの透明微小球16を多数整列配置している。
【0014】
そして、外方より入射した入射光18は、微小球16内に進行する。そして少なくともその一部は透明微小球16より樹脂層14を介して反射基板12に反射され、再度微小球16に帰還し、外方へ進行する。微小球16の外方へ突出している面は球面であるので、入射角の多少の変動があっても同様な作用を生じ、入射方向へ反射光20を帰還させることができる。
【0015】
本発明において特徴的なことは、前記反射光20を着色させるため、光の干渉を利用したことであり、このために本実施形態では、反射基板12上に干渉物質層22を設けている。
この結果、入射光18は干渉物質層22で光の干渉を生じることとなり、反射光18は干渉作用により強調される波長の色調を呈する。
【0016】
すなわち、図2に示すように、干渉物質層22は、本実施形態において二酸化チタン被覆雲母より構成され、該二酸化チタン被覆雲母22は、鱗片状雲母24と、該雲母24上に被覆された二酸化チタン層26より構成される。そして、前記入射光18の一部20aは二酸化チタン層26表面で反射され、また更に一部20bは雲母24と二酸化チタン層26の境界面で反射される。前記反射光20aと反射光20bは二酸化チタン層26の約2倍の光路差を有し、反射光20aと反射光20bの波長成分のうち、光路差が半波長の奇数倍となる成分が増幅され、波長の整数倍になる成分が減衰される。この結果、前記二酸化チタン層26の層厚を調整することにより、所望の色調の反射干渉光28を得ることができるのである。なお、この有色反射干渉光28は前記図1に示したとおり、透明微小球16により入射光光路と略同一方向に帰還することになる。
【0017】
そして、本実施形態においては、二酸化チタン被覆雲母22による反射率を高めれば、帰還方向からは有色反射干渉光28が強く観察される。
以上のように本実施形態にかかる着色光再帰反射材10によれば、帰還光への色調の付与に光の干渉作用を利用するので、光の利用効率が極めて高く、しかも二酸化チタンの層厚を調整することにより任意の色調を得ることができる。更に、干渉色を生じさせる物質は化学的、光学的に安定な無機物質である二酸化チタン被覆雲母であるため、耐熱性、耐候性に優れた着色光再帰反射材とすることができる。
なお、二酸化チタン被覆雲母の場合、二酸化チタンの層厚と干渉色には以下のような関係が認められる。
【0018】
【表1】
干渉色 二酸化チタンの幾何学的厚さ(n m )
銀 20〜40
金 40〜90
赤 90〜110
薫 110〜120
青 120〜135
緑 135〜155
第二オーダーの金 155〜175
第二オーダーの薫 175〜200
従って、本実施態様で用いる二酸化チタン被覆雲母の幾何学的層厚は、40nm以上であることが好適である。
【0019】
第二実施形態
前記図2において、二酸化チタン被覆雲母22の光透過率を調整し、反射基板12による反射割合を増加させると、該反射基板12による反射光30が観察可能となる。従って、反射基板12を有色とすることで、帰還光20の色調は有色反射干渉光28と、基板色を反映した反射光30が合成されたものとなる。この場合、入射方向に帰還する以外の方向からは、有色反射干渉光28がほとんど観察されず、反射基板22の色調が観察され、例えば自動車のヘッドライトなどのビーム光が入射されると、光源方向から観察される光と、他の方向から観察される光は異なった色調で観察することができる。
【0020】
第三実施形態
図3には本発明の第三実施形態にかかる着色光再帰反射材が開示されており、前記第一実施形態と対応する部分には符号100を加えて示し、説明を省略する。
本実施形態において特徴的なことは、干渉物質122として有色のチタン系複合酸化物被覆雲母を用いたことである。
【0021】
この場合にも、前記第二実施態様と同様、帰還光128は複合酸化物126の色調と該複合酸化物層による光学的光路差に基づく干渉色とが合成されて観察され、一方、光源方向以外から観察される色調は本来の複合酸化物被覆雲母126の色調となる。
【0022】
第四実施形態
図4には本発明の第四実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部が示されており、前記図2と対応する部分には符号200を加えて示し説明を省略する。
同図に示す着色光再帰反射材210は、干渉物質222を透明微小球216の樹脂層214埋没面に付着させている。なお、付着させる干渉物質としては、前述したように通常の干渉性二酸化チタン被覆雲母など、あるいは有色の複合酸化物被覆雲母などを用いることができる。
【0023】
この場合には、透明微小球216と干渉物質222との屈折率差等により微小球216及び干渉物質層222の中で反射を繰り返し帰還するか、あるいは反射基板212に反射されて帰還するかが決定される。光が干渉物質層222を通り抜け、反射基板212により反射される場合にも、光が干渉物質222を通過する際にいわゆる透過干渉光を生成するため、有色の帰還光を得ることができる。
【0024】
第五実施形態
図5には本発明の第五実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部が示されており、前記図2と対応する部分には符号300を加えて示し説明を省略する。
同図に示す再帰反射材310は、干渉物質層322を直接反射基板312上に設けている。そして、干渉物質層322の表面で反射された反射光320aと、反射基板312上で反射された反射光320bとの干渉により、特定の色調を得ることができる。
【0025】
第六実施形態
図6には本発明の第六実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部が示されており、前記図2と対応する部分には符号400を加えて示し説明を省略する。
同図に示す再帰反射材410は、干渉物質層422を透明微小球416の樹脂層414埋没面に形成している。この場合には、干渉物質層422の更に外周に反射層440を設けており、透明微小球416と干渉物質層422の境界面での反射光420aと、反射層440での反射光420bとの干渉により特定の色調を得ることができる。
【0026】
なお、前記第一ないし第四実施態様において用いられる干渉物質としては、前記二酸化チタン被覆雲母に代表される干渉性鱗片状粉体を用いることが好適である。
この干渉性鱗片状粉体の母核となる鱗片状粉体としては、例えば金属アルミニウム、金属チタン、ステンレスなどの粉体、あるいは板状酸化鉄、板状シリカ、板状酸化チタン、板状アルミナなどの無機板状酸化物、あるいは白雲母、黒雲母、セリサイト、カオリナイト、タルク等の層状化合物、PET樹脂膜、アクリル樹脂膜などの有機高分子箔などが挙げられるが、本発明に用いられる鱗片状粉体はこれらに特に限定されるものではない。なお、光の利用率を向上させるためには、鱗片状粉体にも光透過性のあるものを用いることが好ましい。また、本発明に使用される鱗片状粉体の粒径は特に限定されないが、1〜200μm、特に好ましくは10〜120μmで扁平なものが美しい光沢と干渉色を発揮しやすい。
【0027】
これらの鱗片状粉体に干渉色を付与するには、鱗片状粉体の表面を金属酸化物で被覆することが一般的であり、金属酸化物としては二酸化チタン、酸化鉄、低次酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、チタン酸コバルトなど、及びLi2CoTi3O8あるいはKNiTiOXなどの複合酸化物、あるいはこれらの金属酸化物の混合物などが挙げられるが、干渉色を発現できる金属酸化物であれば、特にこれらに限定されるものではない。これらの金属酸化物の鱗片状粉体への被覆は、これらの金属酸化物の有機塩や無機塩を、加熱あるいは中和加水分解する方法あるいはCVDやPVDのような蒸着操作によって行うことができる。
【0028】
これらの干渉性鱗片状粉体表面は、必要に応じて有機あるいは無機化合物によって表面処理を施してもよい。更に本発明に用いられる干渉性鱗片状粉体の使用法は特に制限されず、干渉色が発現すれば従来の着色剤との組み合わせや添加順序を任意に採ることができる。
【0029】
また、第五ないし第六実施態様で用いられる干渉物質層としては、金属膜の表面を酸化することによって得られる干渉色を持った金属膜を用いることができる。これらの金属膜は、金属アルミニウム、金属チタン、ステンレス膜などを陽極酸化する方法や、上記干渉色を発現できる金属酸化物をゾル−ゲル法によって調製し、これをコートする方法、あるいは上記干渉色を発現できる金属のアルコキシドを金属膜に塗布してこれを加熱分解する方法、及びCVDやPVDのような蒸着操作法などが挙げられる。
【0030】
本発明にかかる、干渉色によって着色された光の利用効率に優れた着色光再帰反射材は、マーキングフィルム、靴、鞄、帽子、衣料などの日常品、家具、電化製品、建築物、自動車、自転車、印刷物、あるいは紙、プラスチック、金属などの成形体に高意匠性を付与することができ、本発明にかかる着色光再帰反射材をこのような製品に用いた場合は、偽造防止に対しても有用である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
まず、本発明において好適に用いられる干渉性鱗片状粉体の製造方法を示す。
【0032】
[製造例1]
雲母50重量部をイオン交換水500部に添加して十分に攪拌し均一に分散させる。得られた分散液に、濃度40重量%の硫酸チタニル水溶液208.5部を加えて攪拌しながら6時間沸騰させた。放冷後、濾過水洗し900℃で焼成して緑色干渉色を持った二酸化チタン被覆雲母90部を得た。この製造例1で得られた二酸化チタン被覆雲母は、前記第1、2、4実施形態で用い得る。
【0033】
[製造例2]
雲母50部をイオン交換水500部に添加して十分に攪拌して均一に分散させた。得られた分散液に濃度40重量%の硫酸チタニル水溶液312.5部を加えて攪拌しながら加熱し6時間沸騰させた。放冷後、濾過・水洗し900℃で焼成して緑色干渉をもった二酸化チタンで被覆された雲母100部を得た。次に得られた雲母チタン100部に金属チタン1.2部を混合し、該混合物をオイル拡散ポンプを用いて10−3Torr以下の真空度にて800℃で4時間加熱還元した。冷却後外観色、干渉色ともに真珠光沢のある鮮やかな青緑色の低次酸化チタン・二酸化チタン被覆雲母101.2部を得た。この製造例2で得られた低次酸化チタン被覆雲母も、前記第1、2、4実施形態で用いることができ、特に明瞭な色調の帰還光を得ることができる。
【0034】
[製造例3]
ドイツMerck社製造の雲母チタン(イリオジン235)100部を流速3l/minのアンモニアガス気流下で800℃で4時間の還元処理を行った。冷却後外観色、干渉色ともに真珠光沢のある鮮やかな青緑色の酸化窒化チタン・二酸化チタン被覆雲母98.5部を得た。この製造例3で得られた酸化窒化チタン・二酸化チタン被覆雲母も、前記第1、2、4実施形態で用いることができ、特に明瞭な色調の帰還光を得ることができる。
【0035】
[製造例4]
製造例2で得られた緑色干渉雲母チタン100部をイオン交換水200部に添加して攪拌し均一に分散させた。得られた分散液に濃度10%の塩化コバルト水溶液110部を1M苛性ソーダ水溶液でpH4〜5に保ちながら80℃で3時間かけて添加し、濾過、水洗後105℃で乾燥させ、含水酸化コバルト被覆雲母チタン102部を得た。次に得られた含水酸化コバルト被覆雲母チタン100部と炭酸リチウム11.5gを小型攪拌機によって均一に混合し、得られた混合粉末を磁性坩堝に入れて900℃で4時間焼成し、緑色の鮮やかな外観色を持ったLi2CoTi3O8被覆雲母チタン105部を得た。
この製造例4で得たチタン系複合酸化物被覆雲母は、第3、4実施形態で用いることができる。
【0036】
[製造例5]
雲母50部をイオン交換水500部に添加して十分に攪拌し、均一に分散させた。得られた分散液に2M硫酸チタニル350部を加えて攪拌しながら加熱して3時間沸騰させた。放冷後、濾過、水洗し200℃で乾燥して二酸化チタン被覆雲母90部を得た。次に得られた二酸化チタン被覆雲母50部をイオン交換水500部に添加して攪拌し、均一に分散させた。得られた分散液に0.42Mの塩化ニッケル水溶液295部を1M苛性ソーダ水溶液でpHを4〜5に保ちながら、80℃で3時間かけて添加し、濾過、水洗後105℃で乾燥させ、含水酸化ニッケル雲母チタン54.8部を得た。
【0037】
次に得られた含水溶性ニッケル雲母チタンと塩化カリウム2.75部を小型混合機にて均一に混合し、これを磁性坩堝に入れて、900℃で3時間焼成し、鮮やかな黄色の外観色と赤色の干渉色とをもつ光沢粉体51.0部を得た。
この製造例5で得たチタン系複合酸化物被覆雲母は、前記第3、4、実施形態で用いることができる。
次に実施例を挙げて本発明を説明する。
【0038】
[実施例1]
厚みが50μmのポリエステルフィルム全体にシリコーン樹脂溶液を塗布し、その樹脂が流れない程度に乾燥した時に、屈折率が1.9で200〜250メッシュの透明性ガラス微粒子球を散布してその半球以上が埋没しないように一重に付着乾燥させた後、120℃で3分間加熱処理をしてガラス微粒子球を仮付着させた。次いで、表2の配合比による製造例1の緑色干渉雲母チタンを含む透明着色スクリーン印刷用インキにて前記の透明ガラス微粒子球を仮付着したフィルムのガラス微粒子仮付着面上に模様をスクリーン印刷し、その模様が乾燥しないうちに80〜250メッシュのナイロン樹脂微粒子を散布付着乾燥させて、140℃で5分間以上熱処理をして、緑色干渉雲母チタンの干渉色と同色の緑色の反射光を呈する再帰反射模様フィルム(転写用フィルム)を得た。
【0039】
【表2】
【0040】
[実施例2]
厚みが50μmのポリエステルフィルム全面にシリコーン樹脂溶液を塗布し、その樹脂が流れない程度に乾燥した時に、屈折率が1.9で200〜250メッシュの透明性ガラス微粒子を散布してその半球以上が埋没しないように一重に付着乾燥させた後、120℃で3分間加熱処理をしてガラス微粒子球を仮付着させた。次いで表3の配合比による透明着色スクリーン印刷用インキにて該ガラス微粒子球を仮付着させたポリエステルフィルムに模様をスクリーン印刷した。次にこのフィルムに厚さ80nmになるようにアルミニウムを真空蒸着した。さらに、該表面にアクリル樹脂溶液を塗布し、これが乾燥しないうちに80〜250メッシュのナイロン樹脂微粒子を散布付着乾燥させて、140℃で5分間以上熱処理をして、低次酸化チタン・二酸化チタン被覆雲母の外観色(干渉色)と同色に近い青緑色反射光を呈する再帰反射模様フィルム(転写用フィルム)を得た。
【0041】
【表3】
【0042】
[実施例3]
厚みが50μmのポリエステルフィルム全面にシリコーン樹脂溶液を塗布し、その樹脂が流れない程度に乾燥した時に、屈折率が1.9で200〜250メッシュの透明性ガラス微粒子球を散布してその半球以上が埋没しないように一重に付着乾燥させた後、120℃で3分間加熱処理をしてガラス微粒子球を仮付着させた。次に表4の配合比による鮮やかな黄色の外観色と赤色干渉色とをもつ光沢粉体を含む透明着色スクリーン印刷用インキにて該ガラス微粒子球を仮付着させたポリエステルフィルムに模様を印刷した。
【0043】
次に、該印刷表面を平均粒子径20μmのアルミニウム粉末をアクリル塗料でクリアランス0.101mmのアプリケータを用いて塗装した。ついで、該表面にアクリル樹脂溶液を塗布し、これが乾燥しないうちに80〜250メッシュのナイロン樹脂微粒子を散布付着乾燥させて、140℃で5分間以上熱処理をして外観色が黄色で再帰反射光が赤色の再帰反射模様フィルム(転写用フィルム)を得た。
【0044】
【表4】
【0045】
[実施例4]
屈折率が1.9で200〜250メッシュの透明性ガラス微粒子球100gを1000mlのイソプロピルアルコール中に分散させながらチタニウムテトライソプロポキシド溶液150gを添加し、次いで30℃に分散溶液を保ちながら、水/イソプロピルアルコールの1:1混合溶液100mlを5ml/minの速度で滴下した。滴下後攪拌を4時間続けて濾別、水洗、200℃で3時間乾燥して黄色の干渉色をもった透明性ガラス微粒子球を得た。次に厚みが50μmのポリエステルフィルム全面にシリコーン樹脂溶液を塗布し、その樹脂が流れない程度に乾燥した時に、先に作成した黄色の干渉色をもった透明性ガラス微粒子球を散布してその半球以上が埋没しないように一重に付着乾燥させた後、120℃で3分間加熱処理をしてガラス微粒子球を仮付着させた。別に製造例4の雲母チタンを含む透明着色スクリーン印刷用インキにて前記の透明ガラス微粒子球を仮付着したフィルムのガラス微粒子仮付着面上に模様をスクリーン印刷し、その模様が乾燥しないうちに80〜250メッシュのナイロン樹脂微粒子を散布付着乾燥させて、140℃で5分間以上熱処理をして、黄色の反射光を呈する再帰反射模様フィルム(転写用フィルム)を得た。
【0046】
本発明における再帰反射材において、一定の方向性を持った直線光を照射した際に、干渉物質の干渉色によって描かれた図柄や文字が明瞭に観察できるように、用いられるガラス球の屈折率が1.7〜2.2、特に好ましくは1.8〜2.1、平均粒子径が20〜60μm、特に好ましくは30〜50μmであることが好適である。
【0047】
ガラス球の屈折率がこの値より大きいものや、小さいものであると、焦点がぼやけてしまい明瞭な反射光が得られなくなってしまう。またガラス球の粒子径がこの値より小さいとガラス粒子が樹脂層に埋没してしまったり、再帰反射し得る光の有効入射部分が狭くなったりしてしまう。逆にガラス球の粒子径がこの値より大きいと実施例に記したようなガラス粒子上に干渉物質をスクリーン印刷する場合、印刷が困難になってしまう。また焦点距離を合わせることも困難となり、さらにはガラス球間の隙間にインクが入り込んだりするなどの問題を生じることとなる。
【0048】
また実施例にあるような本発明の最外層部分にPETフィルムを用いた場合、最外層となるPETフィルムの厚さは23〜150μm、特に好ましくは38〜50μmであることが好適である。この値よりPETフィルムの厚さが厚いと焦点距離の調整が困難となり、薄いと柔らかいために製造に困難を来してしまう。
【0049】
本発明にかかる再帰反射材は、前述したように製品に使用した場合、極めて高い偽造防止性を発揮することができる。本発明における再帰反射材中の干渉物質は、一定の方向性を持つ直線光を周囲の光よりも強い強度で照射すると干渉色を生じる。このため本発明にかかる再帰反射材は、直線光を周囲の光よりも強い強度で照射したときにその照射方向からは干渉物質による干渉色が観察することができる。
【0050】
しかし、太陽光や照明など通常の光の元では光が様々な方向性を有しているため、本発明における再帰反射材中にも様々な方向から入射する。すると入射した光が様々に干渉し合い、干渉色を観察しづらくなる。このため、直線光入射方向以外からは、干渉色を観察することが困難である。よって、製品に本発明における再帰反射材を使用することで、直線光を照射したときに、干渉物質の干渉色によって図柄や文字が浮かび上がるようにしておくことにより、真性品であるか、偽造品であるかを判別することが可能となる。
【0051】
また、干渉物質の直線光と通常光の下で示す色彩の違いを利用して、干渉物質を配置する位置を操作することにより、直線光を照射したときに生じる干渉色によって図柄や文字などを描いておくことによって、外観色及び、基板色と干渉物質の外観色による合成された色彩が通常光の下で単色に見えても、直線光の下では図柄や文字が観察できるようになる。また、通常光の下で示す色彩と、直線光の下で示す色彩で別々の図柄や文字を描いておくことによって、通常光の下で観察される図柄や文字と、直線光の下で観察される図柄や文字が異なるものとしたりすることができ、意匠性と共に高い偽造防止性を付与することが可能である。
【0052】
このように本発明にかかる再帰反射材を製品に用いた際には、再帰反射性を有するためにコピー機などによる複写が困難であり、かつ、照射される光が通常光か、直線光かによって異なる色調を示すことができるため、製品に用いられた再帰反射材部分に直線光を発する直線光照射装置を使用して直線光を照射することによって、現れる色調や、図柄あるいは文字などを調べることによって偽造品か真性品かを直ちに見分けることが可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる着色光再帰反射材によれば、入射光同士による干渉作用により色調を付与することとしたので、色調の選択性が広く、しかも光の利用効率に優れる。
また、本発明において、干渉物質として光透過性の高い二酸化チタン被覆雲母あるいは低次酸化チタン被覆雲母を用い、且つ基板色を有色とすることにより、入射光帰還方向からは基板色と干渉色の合成された色調が観察され、他の方向からは基板色が観察され、意匠性を向上させることができる。
また、本発明において、干渉物質としてチタン系複合酸化物被覆雲母を用いることにより、入射光帰還方向からは複合酸化物色と干渉色の合成された色調が観察され、他の方向からは複合酸化物色が観察され、意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる着色光再帰反射材の概略構成の説明図である。
【図2】本発明の第一及び第二実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部構成の説明図である。
【図3】本発明の第三実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部構成の説明図である。
【図4】本発明の第四実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部構成の説明図である。
【図5】本発明の第五実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部構成の説明図である。
【図6】本発明の第六実施形態にかかる着色光再帰反射材の要部構成の説明図である。
【符号の説明】
10 着色光再帰反射材
12 反射基板
16 透明微小球
22 干渉物質
24 鱗片状雲母
26 二酸化チタン層
Claims (5)
- 入射光の一部に位相差を付与して再合成し、特定波長領域の光成分を干渉により強調し入射光とは異なる色調の着色光を入射光進入方向へ帰還させる着色光再帰反射材であって、
基板と、
前記基板上に整列配置された透明微小球と、
を含み、
前記基板上、もしくは前記透明微小球の基板への対向面に、有色の干渉色を生起する干渉物質層が設けられ、該干渉物質層には酸化金属被覆鱗片状粉体が用いられることを特徴とする着色光再帰反射材。 - 請求項1記載の反射材において、酸化金属被覆鱗片状粉体は酸化チタン層厚40nm以上の二酸化チタン被覆雲母及び/又は低次酸化チタン被覆雲母であることを特徴とする着色光再帰反射材。
- 請求項2記載の反射材において、前記基板は酸化チタン被覆雲母の干渉色とは異なる色調の有色であることを特徴とする着色光再帰反射材。
- 請求項1記載の反射材において、酸化金属被覆鱗片状粉体はその干渉色とは異なる色調の外観色を有するチタン系複合酸化物被覆雲母であることを特徴とする着色光再帰反射材。
- 請求項1〜4に記載の反射材において、干渉物質の配置する位置を操作することによって入射光に対して示す干渉色の違いで文字や図形を描くことを特徴とする着色光再帰反射材。
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