JP3436704B2 - 複屈折測定方法及びその装置 - Google Patents
複屈折測定方法及びその装置Info
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Description
に用いられる光書込用或いはピックアップ用などに用い
られるプラスチックスレンズ等のプラスチック製品なる
被検物の複屈折を測定する複屈折測定方法及びその装置
に関する。
関する複屈折の測定方法としては、位相変調法や回転検
光子法が知られている。これらの方法にあっては、透明
な被検物に平行ビームを照射し、被検物からの透過光を
フォトダイオード等の受光素子で受光し、被検物の複屈
折による透過光の偏光状態の変化を検出することによ
り、被検物の複屈折を求めるものである。
ol.27.No.3(1989)中の「位相変調法による複屈折 測定
と応用」p.127〜p.134等により報告されているように、
光弾性変調器(PEM)を利用して照射光を位相変調さ
せ、透明な被検物を透過した光のビート信号と変調信号
との位相から複屈折を求めるようにしている。
ック」(1981年7月25日発刊)田幸敏治、辻内順平、南茂
夫編、朝倉書店中の「偏光解析」p.256〜p.265等に報告
されているように、透明な被検物の背面に置いた検光子
を回転させながら検光子の背面の受光素子で透過光を受
光し、検光子の回転に伴う受光素子からの受光出力の変
化により複屈折を求めるようにしている。
ば、特開平4−58138号公報等に示されるように、
拡大した平行光を透明な被検物に照射し、その透過光を
CCDカメラ等の2次元センサで受光することにより、
被検物の複屈折を求めるようにしたものがある。
ば、位相変調法を測定原理に用い、波長の異なる複数の
光源を用いることにより、大きな複屈折の測定を可能と
している。
58138号公報例では、複屈折の測定結果が、複屈折
位相差にして0〜λ/4(λ:光源波長)の範囲内で得
られるため、その範囲を越える複屈折位相差の測定結果
は不確定となる。つまり、複屈折位相差の測定値をδと
し、真の複屈折位相差をδ′とした場合、 δ′=m・λ/2±δ(m:整数) ………………(1) なる関係となり、整数mの値が不確定となる。
は、光源波長λにより測定範囲が決まってしまうため、
測定範囲を越えるような大きな複屈折には対応できず、
かつ、複屈折分布が測定範囲を越える場合も同様に対応
できない。
合、細いレーザビームを被検物に照射し、その透過光を
フォトダイオードで受光する、いわゆる“点測定”であ
るため、被検物の2次元空間における複屈折を測定する
には被検物や測定装置を調整する必要があり、また、平
板でなくレンズ(非平行板)を測定するような場合、被
検物の透過光が屈折するため、そのセッティングが困難
である問題がある。
ンタ等で用いられる光書込み系用のプラスチックレンズ
は、小径のプラスチックレンズ、或いは光ディスクに比
べて肉厚が厚く光源波長で決まる測定範囲を上回るよう
な複屈折及び複屈折分布を持つ場合も十分に考えられ
る。
ては、光源波長による制約を受けることなく、大きな複
屈折の測定が可能であることが要求される。
受けることなく、その測定範囲を越えるような大きな複
屈折位相差の2次元空間分布の測定が可能な複屈折測定
方法及びその装置を提供することを目的とする。
に、被検物を透過した楕円偏光の回転方向の検出方法
や、楕円偏光の楕円長軸方向の検出方法を明らかにす
る。
る場合でも、歪みの少ない鮮明な被検物透過像を得るこ
とができ、高精度な測定が可能な複屈折測定装置を提供
することを目的とする。
うに被検物が複数のレンズよりなるレズ群の場合であっ
ても、その実使用に則した状態で測定が可能な複屈折測
定装置を提供することを目的とする。
屈折測定方法は、光源から発せられた波長λの光を偏光
素子によりほぼ円偏光の状態で所定位置に配設された被
検物に対して照射し、前記被検物の透過光の偏光状態に
おいて直交する2方向振動成分の位相差にほぼλ/4の
位相差を与える直線位相子及び前記被検物の透過光の偏
光の方向を任意に回転させる旋光子として作用するλ/
4板とこのλ/4板を透過した光の偏光状態を検出する
ための偏光子とを光のほぼ進行方向回りに回転させなが
らその回転角度を検知し、この偏光子を透過した光を結
像光学系によりアレイ状の受光素子のほぼ受光面上に結
像させ、検知された前記λ/4板及び前記偏光素子の回
転角度と前記受光素子により受光検出された受光出力と
に基づき前記被検物の複屈折を算出するとともに、前記
被検物を透過した光の楕円偏光の回転方向及びその楕円
長軸方向を検出して前記被検物の複屈折位相差の2次元
空間分布を測定するようにした。
明は、波長λの光を発する光源と、この光源からの光を
ほぼ円偏光の状態で被検物に照射させる偏光素子と、前
記被検物の透過光の偏光状態において直交する2方向振
動成分の位相差にほぼλ/4の位相差を与える直線位相
子及び前記被検物の透過光の偏光の方向を任意に回転さ
せる旋光子として作用するλ/4板と、このλ/4板を
透過した光の偏光状態を検出するための偏光子と、これ
らのλ/4板及び偏光子を各々ほぼ光の進行方向回りに
回転させる回転手段と、この回転手段によるこれらのλ
/4板及び偏光子の回転角度を検知する回転角検知手段
と、前記偏光子を透過した光を受光するアレイ状の受光
素子と、前記偏光子を透過した光を前記受光素子上に結
像させる結像光学系と、前記回転角検知手段により検知
された回転角度と前記受光素子により受光検出される受
光出力とに基づき前記被検物の複屈折を算出する演算手
段と、前記被検物を透過した光の楕円偏光の回転方向及
びその楕円長軸方向を検出して前記被検物の複屈折位相
差の2次元空間分布を測定する測定範囲拡大手段と、を
備える。
回転方向とその楕円長軸方向とを基にして、使用する光
源の波長により決まる測定範囲内で得られた複屈折の位
相差結果に所定の変換処理を加えることで、結果とし
て、その測定範囲を越えるような大きな複屈折位相差の
2次元空間分布を測定することができる。
屈折測定方法において、前記λ/4板を透過する楕円偏
光の楕円長軸方向を検出することにより、前記被検物を
透過した光の楕円偏光の回転方向を検出するようした。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の複屈折測定装置
において、前記測定範囲拡大手段は、前記λ/4板を透
過する楕円偏光の楕円長軸方向を検出することにより、
前記被検物を透過した光の楕円偏光の回転方向を検出す
る。
円長軸方向に着目すれば、楕円偏光の長軸方向の符号が
反転する個所を検出することで、被検物を透過した光の
楕円偏光の回転方向がわかるので、請求項1又は5記載
の発明を容易に実現できる。
屈折測定方法において、前記λ/4板を透過する楕円偏
光の楕円長軸方向の前記受光素子上における隣接素子間
での変化を検出することにより、前記被検物を透過した
光の楕円偏光の楕円長軸方向を検出するようした。請求
項7記載の発明は、請求項5記載の複屈折測定装置にお
いて、前記測定範囲拡大手段は、前記λ/4板を透過す
る楕円偏光の楕円長軸方向の前記受光素子上における隣
接素子間での変化を検出することにより、前記被検物を
透過した光の楕円偏光の楕円長軸方向を検出する。
方向の符号の傾向が変わるので、測定画素における光強
度変化の位相の符号のみからは一意的に位相差の範囲を
決定できないが、受光素子上における隣接素子同士で光
強度変化の位相の符号を比較することにより、符号の変
化を検出でき、この検出結果を基に修正することによ
り、測定範囲を広げることができ、請求項1又は5記載
の発明を容易に実現できる。
3記載の複屈折測定方法において、任意に設定した2次
元被検空間内での基準位置における複屈折位相差の絶対
量を推定し、推定された複屈折位相差の絶対量を測定さ
れた複屈折位相差の2次元空間分布の測定値全てに適用
して2次元空間全体における複屈折位相差の絶対量を測
定するようにした。
検空間において基準と設定した位置での複屈折測定値に
対する任意位置での測定値の変化分(分布と呼ぶ)が、
複屈折位相差の2次元空間分布として得られる。換言す
れば、基準位置での複屈折測定値に対する比較値とな
る。従って、基準位置での測定値が、既に、使用光源波
長により決まる測定範囲を越えている可能性もあり、こ
の場合の測定値は複屈折の絶対量とは必ずしもいえな
い。ここに、任意に設定した2次元被検空間内での基準
位置における複屈折位相差の絶対量を推定しておき、そ
の推定値を請求項1記載の発明の方法により測定された
基準位置での複屈折位相差の2次元空間分布の測定値全
てに適用することにより、2次元空間全体における複屈
折位相差の絶対量を知ることが可能となる。即ち、使用
する光源の波長により制限される測定範囲につき、それ
を越えるような大きな複屈折を持つ被検物でも2次元被
検空間全体における複屈折の絶対量を知ることができ
る。
屈折測定装置において、前記光源から発せられた光を発
散光又は収束光として前記被検物に照射させる照射光学
系と、前記被検物に対する前記照射光学系の光軸方向の
位置を移動調整する照射側移動手段と、前記λ/4板と
前記偏光子と前記受光素子と前記結像光学系とを一体と
して光軸にほぼ直交する方向に移動調整する受光側移動
手段とを備える。
歪み、光線のけられ、重なりによるノイズの少ない光弾
性干渉縞を得ることができ、被検物がレンズの場合でも
高精度な複屈折の測定が可能となる。また、被検物とし
てのレンズの口径が大きい場合にも、受光側移動手段に
より受光素子等を光学系光軸方向とほぼ垂直な方向に移
動させながら測定することで、その全面に渡っての測定
が可能となる。
載の複屈折測定装置において、前記被検物が複数のレン
ズからなるレンズ群であり、このレンズ群を保持する保
持手段を備える。
のレンズの場合、複数のレンズからなるレンズ群により
構成されるが、各レンズの持つ複屈折の相乗効果が書き
込み光学系の実使用状態においてレンズ群を透過するビ
ームに影響を与えるので、レンズ群としての実使用状態
での複屈折測定値が透過ビームを評価する上で有効な情
報となる。ここに、このようなレンズ群を保持する保持
手段を備えることで、レンズ群に関しても実使用状態で
の測定が可能となる。
ないし図4に基づいて説明する。図1は本実施の形態の
複屈折測定装置を示す構成図である。本実施の形態で測
定対象とする被検物1は図示しないホルダにより保持さ
れる。このような被検物1に対して、まず、波長λで直
線偏光状態の光を発する光源としての半導体レーザ2と
半導体レーザ2からの直線偏光をほぼ円偏光の状態に変
換する偏光素子としてのλ/4板3とが設けられてい
る。被検物1とλ/4板3との間には、円偏光状態の光
を平行化するビームエキスパンダ4が設けられている。
は、λ/4板5が設けられている。このλ/4板5は、
被検物1の透過光の偏光状態において直交する2方向振
動成分の位相差にほぼλ/4の位相差を与える直線位相
子及び被検物1の透過光の偏光の方向を任意に回転させ
る旋光子として作用する。即ち、λ/4板5は被検物1
を透過することでその複屈折により円偏光に近い楕円偏
光となった光束を直線偏光に近い楕円偏光に変換する。
また、λ/4板5の後段には、偏光子としての偏光板6
が配設されている。この偏光板6はλ/4板5を透過し
た光の偏光状態を検出する機能を持つ。偏光板6の後段
には、結像光学系を構成する結像レンズ7と、その結像
光を受光するアレイ状の受光素子としてのCCDカメラ
8が設けられている。結像レンズ7は被検物1の近傍と
結像関係が成立するようにその位置が調整されている。
また、結像レンズ7は材質的にはガラスレンズのように
その内部の複屈折が十分に除去されたものが用いられて
いる。
は、各々ほぼ光の進行方向回りに回転させるステッピン
グモータ9,10及びギヤ系11,12が回転手段13
として設けられている。これらのステッピングモータ
9,10には回転原点位置センサ(図示せず)が取り付
けられており、ステッピングモータ9,10のパルス数
を計数することによりλ/4板5、偏光板6各々の回転
角度の検知が可能とされている(実際には、後述するパ
ソコン中でのパルス数の計数動作に基づきλ/4板5、
偏光板6各々の回転角度が検知される…回転角検知手
段)。14はこれらのステッピングモータ9,10を駆
動するモータドライバであり、パソコン15及びパルス
発生器16からのパルスを受けてステッピングモータ
9,10を駆動する。
像データは、画像入力器17を通してパソコン15のメ
モリ中に取り込まれ、画像データ及びステッピングモー
タ9,10の回転角度データを基に、所定の演算方法に
よって被検レンズ1の複屈折位相差及び主軸方位が計算
される。このパソコン15中に含まれるCPUを始めと
する演算処理機能により被検物1の複屈折を算出する演
算手段としての機能、及び、後述する測定範囲拡大手段
の機能が実行される。ちなみに、CCDカメラ8により
撮像された画像はパソコン15のモニタ或いは専用のモ
ニタに表示される。
形態の場合の複屈折測定方法の原理について説明する。
なお、基本設定として、半導体レーザ2の偏光の方位は
地面に対して水平とし、λ/4板3の方位は地面に水平
な方向に対して45度に設定して、被検物1に円偏光を
照射するものとする。また、λ/4板5及び偏光板6の
方位が地面に対して水平なときを測定における回転原点
とする。
にセットし、λ/4板5の方位を回転原点から45度回
転した状態で、偏光板6を回転原点から(180/n)
度ずつ回転させる。nは予め設定された測定ポイント数
である。そこで、偏光板6が(180/n)度回転する
毎にCCDカメラ8で読み取ったCCD画像データをパ
ソコン15のメモリに取り込んで、偏光板6の回転角度
データとn枚のCCD画像データとを取得する。次に、
λ/4板5の方位を水平に対して0度にセットし(回転
原点に戻し)、前述した場合と同様に、偏光板6を回転
原点位置から(180/n)度ずつ回転させながら、C
CD画像データをパソコン15のメモリに取り込んで偏
光板6の回転角度データとn枚のCCD画像データとを
取得する。このようにしてパソコン15で取得した2n
枚のCCD画像データと偏光板6の回転角度データとを
基に、演算手段によって、以下の手順で演算処理するこ
とで、被検物1の複屈折を求める。
5度回転したとき、偏光板6の回転に伴い、CCDカメ
ラ8の各画素により検出される光強度I45は、 I45=(1/2)(1+cosδcos2θ−sinδcos2φsin2θ) ……(2) で表される。また、λ/4板5の方位を回転原点に戻し
たとき、偏光板6の回転に伴い、CCDカメラ8の各画
素により検出される光強度I0は、 I0 =(1/2)(1+sinδsin2φcos2θ−cosδsin2θ) ……(3) で表される。これらの(2)(3)式において、θは偏光
板6の主軸方位、δは被検物1の複屈折位相差、φは被
検レンズ1の主軸方位である。
の位相を各々ψ45,ψ0 とすると、(2)(3)式より、
これらの位相ψ45,ψ0 は、 ψ45=tan-1(−tanδsin2φ) …………………………………(4) ψ0 =tan-1(−1/tanδcos2φ) …………………………………(5) のように表される。
板6の回転角データとにより、ψ45,ψ0 とは、次の
(6)(7)式 ψ45=tan-1{Σ(I45i・sin2θi)/Σ(I45i・cos2θi)} …(6) ψ0 =tan-1{Σ(I0i・sin2θi)/Σ(I0i・cos2θi)} …(7) で計算される。
測定結果は、(8)式から明らかなように、0〜λ/4
(位相角にすると、0〜π/2)の範囲での測定値しか
得られないこととなる。
おいて、被検物1を透過した光の偏光状態と被検物1の
複屈折位相差とを対比させて示す説明図である。この場
合、当該複屈折測定装置の位相差測定範囲が0〜λ/4
であるため、図2における0〜λ/4,λ/4〜λ/
2,λ/2〜3λ/4〜λの範囲の位相差は全て同じ測
定結果となってしまう。
相差が(2m+1)・λ/4となる前後で楕円偏光の回
転方向が反転し、m・λ/2のとき、楕円偏光の長軸方
向が90度変化することがわかる。そこで、本実施の形
態では、パソコン15により実行される機能として、測
定範囲拡大手段の機能を持たせ、被検物1を透過した光
の楕円偏光の回転方向及びその楕円長軸方向の変化を検
出することにより、当該複屈折測定装置における複屈折
位相差の測定範囲を拡大することで、被検物1の複屈折
位相差の2次元空間分布を測定できるようにしたもので
ある。
方向の検出方法について説明する。以下の説明では、0
〜360度の角度を0〜λとして表すものとする。
を表しており、右回り楕円偏光は上半球、左回り楕円偏
光は下半球に位置し、左右の円偏光は各々下極、上極に
位置する。また、赤道上の位置は直線偏光を表し、S1
軸と球との交点が水平直線偏光、S2 軸と球との交点が
45度直線偏光を表す。図1の複屈折測定装置では、被
検物1に右円偏光を照射するため、被検物1の複屈折に
より楕円化された光は、上極の位置から下極に向かって
その位置が移ることになる。また、図1におけるλ/4
板5はλ/4の直線位相子、2Θの旋光子(Θ:λ/4
板5の水平に対する方位角)として作用するので、λ/
4板5を透過した光の偏光状態は、図3のS1S2平面内
でS1 軸と2Θの角度をなし、かつ、球の中心から延ば
した軸を回転軸として、λ/4だけ回転させた位置での
ものとなる。
水平)とした場合について、被検物の複屈折位相差δが
0〜λ/4の範囲、即ち、被検物1を透過した光が右回
り楕円偏光のとき、λ/4板5を透過した光の偏光状態
はS1 軸方向から球を観測して右側の下半球(左回り楕
円偏光)に位置する。一方、被検物の複屈折位相差δが
λ/4〜λ/2の範囲、即ち、被検物1を透過した光が
左回り楕円偏光のとき、λ/4板5を透過した光の偏光
状態はS1 軸方向から球を観測して左側の下半球(左回
り楕円偏光)に位置する。従って、両者で楕円偏光の長
軸方向の符号が反転しているため、それを検出すること
により、被検物1を透過した楕円偏光の回転方向がわか
る。
円偏光の長軸方向は、前述した位相ψ0 に相当するた
め、ψ0 の符号をみることによって被検物1を透過した
楕円偏光の回転方向を検知することができ、これによ
り、被検物1の複屈折位相差の範囲が0〜λ/4かλ/
4〜λ/2かを区別できる。即ち、 ψ0 ≦0 → 0≦δ≦λ/4 ψ0 >0 → λ/4<δ≦λ/2 と一意的に決めることにより、測定範囲を0〜λ/2ま
で拡大することができる。
長軸方向の検出方法について説明する。前述したよう
に、図1に示した複屈折測定装置では、CCDカメラ8
の各画素の出力に基づき複屈折の測定が実施され、前述
したように位相差δ、主軸方位φが計算されるが、任意
の画素での検出データにつき、それと隣り合う画素での
検出データと比較することにより、その測定値がλ/2
を上回っているか、或いは、0を下回っているかを判断
する。この結果、0〜λ/2を越える測定範囲での測定
を可能とする。
の方位を45度にセットした場合を考える。この場合
は、λ/4板5の作用による偏光状態の遷移は、S2 軸
を回転軸としてλ/4だけ回転するようにポアンカレ球
での位置を変える。被検物1の複屈折の主軸方位が0〜
λ/8の範囲にあるとすると、被検物1の複屈折位相差
が0〜λ/2のとき、S2 軸の方向から見て右半球に移
る。また、被検物1の複屈折位相差がλ/2〜λのと
き、S1 軸の方向から見て右半球に移り、両範囲で楕円
偏光の楕円長軸方向の符号が反転する。被検物1の複屈
折の主軸方位がλ/8〜λ/4の範囲にあるときは逆に
被検物1の複屈折位相差が0〜λ/2のとき、S1 軸の
方向から見て左半球に移り、被検物1の複屈折位相差が
λ/2〜λのとき、S1 軸の方向から見て左半球に移
る。ここでの楕円偏光の楕円長軸方向は、前述した
(4)式の位相ψ45に相当する。
円偏光の楕円長軸方向の符号の傾向が変わるので、CC
Dカメラ8における測定画素におけるψ45の符号のみか
ら一意的に位相差の範囲を決定できないが、隣合う画素
同士でψ45の符号を比較することにより、符号の変化は
検出できる。
の測定結果の分布の一例を示すと、図4(a)に示すよ
うになる。図4(a)において、横軸は測定位置を表
し、縦軸は位相差測定値を表し、正しい位相差の分布
(本来の値)と、図1の複屈折測定装置において測定範
囲を前述のように0〜λ/2まで拡大した後の位相差分
布(測定値)とを対比して示している。図4(a)にお
いて、位相差測定値が0度或いは180度になる前後で
測定値の増減の傾向が変化する。上述のように、位相差
測定値が0度、或いは、180度になる前後では隣合う
画素同士でのψ45の符号の変化が検出されるので、それ
を基に増減を修正すると、図4(b)に示すように、測
定範囲を−λ/2〜λ/2まで拡大することができる。
そして、その後、さらに隣接する画素同士でλの段差を
検出し、その段差を補正することにより、光源である半
導体レーザ2の波長に制限されず、大きな複屈折位相差
を測定できる。
て説明する。本実施の形態では、2次元被検空間内の基
準と設定する位置にて、複屈折位相差の絶対量を推定す
るための構成が付加されている。図5において、21は
白色光源ユニット、22は偏光板23とλ/4板24と
による円偏光子、25は偏光板26とλ/4板27とに
よる円偏光子である。これにより、被検物1には円偏光
が照射され、被検物1の複屈折がないときには図の観察
者の方向から見ると消光状態が得られるように、各々の
偏光板23,26が調整されている。
察者の方向から観察される光弾性干渉縞は被検物1の位
相差のみの影響を受けており、また、光源に白色光源ユ
ニット21を用いているので、干渉縞が着色して観察さ
れる。λ/4板24,27には波長依存性があるため、
中心波長からずれるに従い若干の誤差を生ずるものの、
干渉色と位相差とには一定の関係(ニュートンのカラー
スケールなど)があるので、この干渉縞を見ることによ
って、2次元被検空間内の基準位置における位相差の大
凡の推定が可能である。
られる位相差測定結果をδとすると、その絶対量δ′
は、 δ′=m・λ±δ(m:縞次数) ……………………………(10) として表され、縞次数mが特定できれば位相差の絶対量
δ′を求めることができる。
り位相差が採るべき大凡の範囲を推定できるため、その
範囲に入るようにして、(10)式の縞次数mを決定す
ることができる。
たような複屈折測定装置により被検物1の複屈折位相差
の2次元空間分布を測定した後、図5に示すような構成
を用いて、任意に設定した2次元被検空間内での基準位
置における複屈折位相差の絶対量を推定、即ち、基準位
置における縞次数mを決定する。次に、その縞次数mを
先に測定した2次元空間分布の測定値全てに適用するこ
とで、2次元空間全体における複屈折位相差の絶対量を
知ることができる。
ける複屈折位相差の絶対量を知る(推定する)方法とし
ては、干渉色からの判別法以外にも、例えば、回転検光
子法などの点測定法において光源に多波長を用いて測定
するようにしてもよい。
て説明する。本実施の形態では、まず、図1に示した構
成において、被検物1に代えて、被検物としての被検レ
ンズ31が用いられ、これに対応してビームエキスパン
ダ4に代えて、照射光学系32が用いられている。この
照射光学系32はレンズ33とピンホール34とにより
構成されている。レンズ33は、顕微鏡における対物レ
ンズと同等の役目を果たすもので、被検レンズ31に対
して発散光を照射する。ピンホール34はスペイシャル
フィルタとして作用する。これらのレンズ33とピンホ
ール34とは光軸方向に移動可能なステージ35に搭載
されており、このステージ35を駆動するためのステッ
ピングモータ(図示せず)の回転により光軸方向に進退
移動する。ここに、ステージ35とステッピングモータ
等とにより照射側変位手段が構成されており、被検レン
ズ31に対するレンズ33の光軸方向の位置(距離)が
調整自在とされている。また、このステッピングモータ
には回転原点位置センサが設けられており、レンズ33
と被検レンズ31との距離を予め所定距離に設定し、そ
の状態をステージ35の移動原点としておけば、ステッ
ピングモータに供給するパルス数を計数することで、ス
テージ35の移動に伴うレンズ33と被検レンズ31と
の距離の変化を検知できる。
7、CCDカメラ8及び回転手段13がベース36に搭
載され、ガイド37により測定光学系の光軸に対してほ
ぼ直交する方向(図面上、矢印で示す上下方向)に移動
自在とされている。このベース36はステッピングモー
タ38により変位駆動される。ここに、これらのベース
36、ガイド37、ステッピングモータ38等により、
λ/4板5と偏光板6と結像レンズ7とCCDカメラ8
とを一体として光軸に直交する方向に移動調整する受光
側変位手段39が構成されている。
レンズ33を(11)式 Δ=f0 +f1 ………………………………………(11) ただし、f0 ;レンズ33の焦点距離 f1 ;被検レンズ31の焦点距離 Δ ;レンズ31,33間の間隔 を満たすような位置に設置する(即ち、レンズ33と被
検レンズ31とがアフォーカル系を構成する)ことで、
ほぼ平行光束となる。
うにコリメートし、被検レンズ31の近傍を結像レンズ
7及びCCDカメラ8により観察することにより、光学
的な歪み、光線のけられ、重なりによるノイズの少ない
光弾性干渉縞画像を得ることができる。よって、被検物
が被検レンズ31である場合も、高精度な複屈折測定が
可能となる。また、被検レンズ31の口径が大きい場合
も、ベース36を光学系光軸とほぼ垂直な方向に移動さ
せながら測定を行うことで、被検レンズ31の全面に渡
る測定が可能となる。
る。本実施の形態は、被検物がレーザプリンタ等におけ
る書込み光学系用のレンズのような場合に適用される。
このような場合、被検物は複数のレンズからなるレンズ
群により構成される。ここに、各レンズの持つ複屈折の
相乗効果が書き込み光学系の実使用状態においてレンズ
群を透過するビームに影響を与えるので、レンズ群とし
ての実使用状態での複屈折測定値が透過ビームを評価す
る上で有効な情報となる。そこで、本実施の形態では、
このようなレンズ群をホルダ(図示せず)等の保持手段
で保持するとともに、図6における被検レンズ(レンズ
群)31に発散光を照射するレンズ33と被検レンズ3
1との間隔を、書き込み光学系における実使用時の点光
源とレンズ群との間隔に相当するようにセットしてから
測定を実施させるものである。これより、レンズ群に関
しても実使用状態に則した状態での測定が可能となる。
検物を透過した光の楕円偏光の回転方向とその楕円長軸
方向とを基にして、使用する光源の波長により決まる測
定範囲内で得られた複屈折の位相差結果に所定の変換処
理を加えることで、結果として、その測定範囲を越える
ような大きな複屈折位相差の2次元空間分布を測定する
ことができる。
4板を透過する楕円偏光の楕円長軸方向に着目し、楕円
偏光の長軸方向の符号が反転する個所を検出すること
で、被検物を透過した光の楕円偏光の回転方向がわかる
ことから、請求項1又は5記載の発明を容易に実現でき
る。
物の主軸方位により楕円長軸方向の符号の傾向が変わる
ので、測定画素における光強度変化の位相の符号のみか
らは一意的に位相差の範囲を決定できないが、受光素子
上における隣接素子同士で光強度変化の位相の符号を比
較することにより、符号の変化を検出でき、この検出結
果を基に修正することにより、測定範囲を広げることが
でき、請求項1又は5記載の発明を容易に実現できる。
した2次元被検空間内での基準位置における複屈折位相
差の絶対量を推定しておき、その推定値を請求項1記載
の発明の方法により測定された基準位置での複屈折位相
差の2次元空間分布の測定値全てに適用することによ
り、2次元空間全体における複屈折位相差の絶対量を知
ることが可能となる。即ち、使用する光源の波長により
制限される測定範囲につき、それを越えるような大きな
複屈折を持つ被検物でも2次元被検空間全体における複
屈折の絶対量を知ることができる。
過光に関して光学的な歪み、光線のけられ、重なりによ
るノイズの少ない光弾性干渉縞を得ることができ、被検
物がレンズの場合でも高精度な複屈折の測定が可能とな
る。また、被検物としてのレンズの口径が大きい場合に
も、受光側移動手段により受光素子等を光学系光軸方向
とほぼ垂直な方向に移動させながら測定することで、そ
の全面に渡っての測定が可能となる。
タ等における書込み光学系用のレンズの場合、複数のレ
ンズからなるレンズ群により構成されるが、このような
レンズ群に関しても実使用状態での測定が可能となる。
示す構成図である。
折位相差とを対比させて示す説明図である。
である。
の分布及び修正後の分布を示す特性図である。
る。
示す構成図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 光源から発せられた波長λの光を偏光素
子によりほぼ円偏光の状態で所定位置に配設された被検
物に対して照射し、前記被検物の透過光の偏光状態にお
いて直交する2方向振動成分の位相差にほぼλ/4の位
相差を与える直線位相子及び前記被検物の透過光の偏光
の方向を任意に回転させる旋光子として作用するλ/4
板とこのλ/4板を透過した光の偏光状態を検出するた
めの偏光子とを光のほぼ進行方向回りに回転させながら
その回転角度を検知し、この偏光子を透過した光を結像
光学系によりアレイ状の受光素子のほぼ受光面上に結像
させ、検知された前記λ/4板及び前記偏光素子の回転
角度と前記受光素子により受光検出された受光出力とに
基づき前記被検物の複屈折を算出するとともに、前記被
検物を透過した光の楕円偏光の回転方向及びその楕円長
軸方向を検出して前記被検物の複屈折位相差の2次元空
間分布を測定するようにした複屈折測定方法。 - 【請求項2】 前記λ/4板を透過する楕円偏光の楕円
長軸方向を検出することにより、前記被検物を透過した
光の楕円偏光の回転方向を検出するようした請求項1記
載の複屈折測定方法。 - 【請求項3】 前記λ/4板を透過する楕円偏光の楕円
長軸方向の前記受光素子上における隣接素子間での変化
を検出することにより、前記被検物を透過した光の楕円
偏光の楕円長軸方向を検出するようした請求項1記載の
複屈折測定方法。 - 【請求項4】 任意に設定した2次元被検空間内での基
準位置における複屈折位相差の絶対量を推定し、推定さ
れた複屈折位相差の絶対量を測定された複屈折位相差の
2次元空間分布の測定値全てに適用して2次元空間全体
における複屈折位相差の絶対量を測定するようにした請
求項1,2又は3記載の複屈折測定方法。 - 【請求項5】 波長λの光を発する光源と、 この光源からの光をほぼ円偏光の状態で被検物に照射さ
せる偏光素子と、 前記被検物の透過光の偏光状態において直交する2方向
振動成分の位相差にほぼλ/4の位相差を与える直線位
相子及び前記被検物の透過光の偏光の方向を任意に回転
させる旋光子として作用するλ/4板と、 このλ/4板を透過した光の偏光状態を検出するための
偏光子と、 これらのλ/4板及び偏光子を各々ほぼ光の進行方向回
りに回転させる回転手段と、 この回転手段によるこれらのλ/4板及び偏光子の回転
角度を検知する回転角検知手段と、 前記偏光子を透過した光を受光するアレイ状の受光素子
と、 前記偏光子を透過した光を前記受光素子上に結像させる
結像光学系と、 前記回転角検知手段により検知された回転角度と前記受
光素子により受光検出される受光出力とに基づき前記被
検物の複屈折を算出する演算手段と、 前記被検物を透過した光の楕円偏光の回転方向及びその
楕円長軸方向を検出して前記被検物の複屈折位相差の2
次元空間分布を測定する測定範囲拡大手段と、を備える
複屈折測定装置。 - 【請求項6】 前記測定範囲拡大手段は、前記λ/4板
を透過する楕円偏光の楕円長軸方向を検出することによ
り、前記被検物を透過した光の楕円偏光の回転方向を検
出する請求項5記載の複屈折測定装置。 - 【請求項7】 前記測定範囲拡大手段は、前記λ/4板
を透過する楕円偏光の楕円長軸方向の前記受光素子上に
おける隣接素子間での変化を検出することにより、前記
被検物を透過した光の楕円偏光の楕円長軸方向を検出す
る請求項5記載の複屈折測定装置。 - 【請求項8】 前記光源から発せられた光を発散光又は
収束光として前記被検物に照射させる照射光学系と、前
記被検物に対する前記照射光学系の光軸方向の位置を移
動調整する照射側移動手段と、前記λ/4板と前記偏光
子と前記受光素子と前記結像光学系とを一体として光軸
にほぼ直交する方向に移動調整する受光側移動手段とを
備える請求項5記載の複屈折測定装置。 - 【請求項9】 前記被検物が複数のレンズからなるレン
ズ群であり、このレンズ群を保持する保持手段を備える
請求項5又は8記載の複屈折測定装置。
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JP05520599A JP3436704B2 (ja) | 1999-03-03 | 1999-03-03 | 複屈折測定方法及びその装置 |
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