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JP3431028B2 - 鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材用潤滑剤組成物およびそれを用いた潤滑方法 - Google Patents

鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材用潤滑剤組成物およびそれを用いた潤滑方法

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JP3431028B2
JP3431028B2 JP23701992A JP23701992A JP3431028B2 JP 3431028 B2 JP3431028 B2 JP 3431028B2 JP 23701992 A JP23701992 A JP 23701992A JP 23701992 A JP23701992 A JP 23701992A JP 3431028 B2 JP3431028 B2 JP 3431028B2
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tin
steel
zinc
lubricating
lubricant composition
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英夫 五十嵐
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な鋼のスズまたはス
ズ−亜鉛熱拡散処理材用潤滑剤組成物およびそれを用い
た潤滑方法に関するものである。さらに詳しくは、本発
明は鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材に対して優
れた耐荷重性及び耐摩耗性を示し、例えば、チエーン,
ウオームギアー,キャタピラーなどの潤滑に好適に用い
られる潤滑剤組成物、およびこのものを用いて鋼のスズ
またはスズ−亜鉛熱拡散処理材を使用した各種部品を潤
滑する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材
においては、その表面にFe−Sn系又はFe−Sn−
Znの金属間化合物が形成されている。この金属間化合
物は、一般に未処理鋼に比べて表面硬度,耐摩耗性,耐
焼付性などに優れる性質を有しており、したがって、鋼
のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材は、例えばチエー
ンのピンやブッシュ,ウオームギアー,キャタピラーな
どに用いることが期待されている。従来、鋼材に対して
は、極圧剤としてイオウ化合物,リン化合物,有機モリ
ブデン化合物などを含有する潤滑油剤が用いられいてい
る。このような潤滑油剤を、前記鋼のスズまたはスズ−
亜鉛熱拡散処理材に用いた場合、未処理鋼材のときと比
べて熱拡散処理に起因して耐荷重性能は向上するもの
の、著しい耐荷重性能を示さず、したがって、該潤滑油
剤は、ピンまたはブッシュに鋼のスズまたはスズ−亜鉛
熱拡散処理材を用いたチエーン、あるいはこの熱拡散処
理材を素材とするウオームギアーやキャタピラーなどの
部品の潤滑剤としては、充分に満足しうるものではな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材
に対して優れた耐荷重性及び耐摩耗性を示す潤滑剤組成
物、およびこのものを用いて、熱拡散処理材を使用した
部品を潤滑する方法を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機亜鉛化合
物又は有機亜鉛化合物と硫化エステルとを含有する潤滑
剤組成物が、鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材に
対して、優れた耐荷重性及び耐摩耗性を示す(鋼材に対
する場合に比べて5倍程度の耐荷重性能を示す)ことを
見出した。本発明はこのような知見に基づいてなされた
ものである。すなわち本発明は、有機亜鉛化合物又は有
機亜鉛化合物と硫化エステルとを含有することを特徴と
する潤滑剤組成物を提供するとともに、鋼のスズまたは
スズ−亜鉛熱拡散処理材を用いた被潤滑部品を該潤滑剤
組成物で処理することを特徴とする潤滑方法をも提供す
るものである。
【0005】本発明の潤滑剤組成物においては、基油と
して、通常温度40℃における動粘度が2.0〜600c
Stの鉱物油や合成油が用いられる。この動粘度が2.0
cSt未満では油膜が形成されにくくて焼付現象が発生
するおそれがあり、600cStを超えると粘度が高す
ぎて摩擦面への供給不足が生じて焼付現象を起こす傾向
がみられる。該鉱物油としては、特に制限はなく、種々
のもの、例えばパラフィン基系原油,中間基系原油,ナ
フテン基系原油などを常圧蒸留するか又は常圧蒸留の残
渣油を減圧蒸留して得られる留出油、あるいはこれを常
法に従って精製することによって得られる精製油、具体
的には溶剤精製油,水添精製油,脱ロウ処理油,白土処
理油などを挙げることができる。
【0006】一方、合成油としては、例えばポリブテ
ン,ポリプロピレンさらには炭素数3〜14のα−オレ
フィンオリゴマーなどのポリ−α−オレフィン(PA
O)、またアルキルベンゼン,フタル酸エステルなどの
ジエステル,ポリオールエステルなどが挙げられる。こ
れらの鉱物油や合成油は、それぞれ一種用いてもよい
し、二種以上を組み合わせて用いてもよく、また一種以
上の鉱物油と一種以上の合成油とを組み合わせて用いて
もよい。また本発明の潤滑剤組成物は、エマルジョン等
の含水型のものでもよい。
【0007】本発明の潤滑剤組成物においては、有機亜
鉛化合物を含有することが必要である。この有機亜鉛化
合物としては、たとえばプライマリーアルキル基やセカ
ンダリーアルキル基を有するZn−ジチオホスフェート
(Zn−DTPと略称する)、Zn−カーバメイト,Z
n−ステアレート,Zn−フェネート,Zn−ナフテネ
ート,Zn−サリチレートなどが挙げられる。これらの
有機亜鉛化合物は一種用いてもよいし、二種以上を組み
合わせて用いてもよく、その含有量は、通常組成物全量
に対して0.1〜5重量%の範囲で選ばれる。この含有量
が0.1重量%未満では耐焼付性能に著しく劣り、5重量
%を超えると高温にて沈澱物が生成する傾向がみられ、
不適当である。
【0008】本発明の潤滑剤組成物においては、場合に
より性能をさらに向上させるために、硫化エステルを前
記有機亜鉛化合物と併用してもよい。該硫化エステルと
しては、例えばオレイン酸のメチル,ブチル,オクチ
ル,オレイルエステルなどの脂肪酸エステルの硫化物、
ダイマー酸やトリマー酸のメチル,ブチル,オクチル,
オレイルエステルなどの硫化物、さらには硫化油脂など
が挙げられる。これらの硫化エステルは一種用いてもよ
いし、二種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有
量は、通常組成物全量に対して0.1〜7重量%の範囲で
選ばれる。この含有量が0.1重量%未満では、併用効果
が充分に発揮されないし、7重量%を超えるとその量の
割には効果の向上があまり認められない。
【0009】本発明の潤滑剤組成物には、所望に応じ、
本発明の目的が損なわれない範囲で、従来潤滑油剤に慣
用されている各種添加成分、例えばその他の耐荷重添加
剤,さび止め剤,腐食防止剤,粘度指数向上剤,酸化防
止剤などを添加することができる。本発明の潤滑剤組成
物は、鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材を使用し
た各種部品の潤滑に用いられる。該鋼のスズまたはスズ
−亜鉛熱拡散処理材とは、鋼にスズまたはスズ−亜鉛を
メッキ処理したものを、温度と時間をあるパターンで保
持することにより、スズまたはスズ−亜鉛の元素が鋼表
面層に1〜5μm程度の深さまで拡散侵入することによ
って、従来の成分元素からなる鋼の性質とは異なる新し
い性能を有する化合物(金属間化合物)を表層にもつ材
料のことである。このような鋼のスズまたはスズ−亜鉛
熱拡散処理材を使用した部品は、多数考えられるが、潤
滑剤によってさらに耐焼付性等を向上できれば、例えば
ウオームギアーやキャタピラー、さらにはピンまたはブ
ッシュに該熱拡散処理材を用いたチエーンなどに使用す
ることができ、さらに油圧ポンプや圧縮機のベーンやガ
イドブッシュにも用いられる。本発明の潤滑剤組成物
は、その目的を満たし、これらの部品の潤滑に好適に用
いられる。なお、チエーンの潤滑に適用する場合には、
該潤滑剤組成物にワックスや、ポリメタクリレート,ポ
リブテンなどのポリマーなどを配合して、潤滑剤のチエ
ーンへの付着性を向上させるのが望ましい。
【0010】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお、合格焼付荷重は次のようにして求めた。合格焼付荷重 チムケン試験機(JIS K−2519又はASTM
D−2782参照)を用い、主軸回転数3600rpm
(速度9.23m/sec)、油温40℃の条件にて、階
段荷重方式(5分間毎に5Lbsずつ荷重を増加する)
により、合格焼付荷重を求めた。
【0011】実施例1〜3及び比較例1〜4 第1表に示す組成の潤滑剤組成物を調製し、通常の鋼材
(未処理品)及び鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理
材(処理品)について合格焼付荷重を求めた。その結果
を第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】*1:プライマリーアルキル基(炭素数3
〜6)を有するZn−ジチオホスフェートである。 *2:ダイマー酸オクチルエステルの硫化物 *3:モリブデンジチオホスフェートである。
【0014】
【発明の効果】本発明の潤滑剤組成物は、鋼のスズまた
はスズ−亜鉛熱拡散処理材に対して優れた耐荷重性及び
耐摩耗性を示し、鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理
材を用いた各種部品の潤滑に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 133/18 C10M 133/18 141/08 141/08 141/10 141/10 159/20 159/20 163/00 163/00 F16G 13/02 F16G 13/02 B //(C10M 141/08 C10M 129:10 129:10 129:40 129:40 129:54 129:54 129:58 129:58 133:18 133:18 135:06 135:06) C10M 137:10 A (C10M 141/10 159:20 135:06 C10N 10:04 137:10) 30:06 (C10M 163/00 40:00 G 135:06 40:06 159:20) 40:32 C10N 10:04 80:00 30:06 40:00 40:06 40:32 80:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 137/10 C10M 129/10 - 129/14 C10M 129/26 - 129/64 C10M 133/18 C10M 135/06 C10M 141/08 - 141/10 C10M 159/20 - 159/22 C10M 163/00 C10N 10:04 C10N 30:06 C10N 40:00 C10N 40:06 C10N 40:32 C10N 80:00 F16G 13/00 - 13/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機亜鉛化合物を含有することを特徴と
    する鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材用潤滑剤組
    成物。
  2. 【請求項2】 有機亜鉛化合物と硫化エステルとを含有
    することを特徴とする鋼のスズ、またはスズ−亜鉛熱拡
    散処理材用潤滑剤組成物。
  3. 【請求項3】 鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材
    を用いた被潤滑部品を請求項1又は2記載の潤滑剤組成
    物で処理することを特徴とする潤滑方法。
  4. 【請求項4】 鋼のスズまたはスズ−亜鉛熱拡散処理材
    を用いた被潤滑部品が、チェーンのピン又はブッシュで
    ある請求項3記載の潤滑方法。
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