JP3428847B2 - 窒化処理方法およびそれに用いる装置 - Google Patents
窒化処理方法およびそれに用いる装置Info
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Description
ファスナーや、金型,シャフト,ベーン等に用いられる
高クロム鋼部品に対して有効な窒化処理方法およびそれ
に用いる装置に関するものである。
は、耐熱強度や耐食性に優れているため、ボルトやねじ
等のファスナー類をはじめ、金型,シャフト,ベーン
等、近年ますます需要が増大する傾向にある。
せる方法としては、各種の方法があるが、工業的に最も
よく用いられているのは、窒素(N),炭素(C)等の
侵入固溶元素を外部から金属表面に浸透させる拡散浸透
処理である。このうち、窒素を浸透させる窒化処理は、
浸炭等の他の処理に比べて処理温度が低いため、金属部
品の歪みや変形が小さく、材料の劣化も少ないという利
点を有している。しかしながら、一般に、高クロム鋼の
表面は、酸化クロム(Cr2 O3 )を主成分とする不働
態皮膜が形成されており、外部からのN原子の浸透が阻
止されるため、他の金属に比べて、窒化処理が困難であ
る。特に、NH3 ガスを窒化源とするガス窒化法では、
良好な窒化層が形成されないという問題があり、実用化
されていなかった。
高クロム鋼をフッ素系ガス雰囲気中で加熱保持してフッ
化処理することにより、表面の酸化皮膜(不働態皮膜)
を除去するとともにフッ化膜を形成して表面を活性化
し、そののち、ガス窒化処理をして窒化層を形成する方
法が開発されている。この方法であれば、ガス窒化法に
よって、高クロム鋼に対しても良好な窒化層を形成させ
ることができる。
ような窒化処理炉で行われる。この窒化処理炉は、炉の
前側(図では左側)に開閉扉41が設けられ、内部が処
理室50となった1室型の炉である。図において、42
はヒータであり、43は搬送用金具であり、44は炉内
雰囲気を攪拌するファンである。また、45は窒化雰囲
気ガスを供給するNH3 ガス供給配管、46はフッ素系
ガスを供給するNF3ガス供給配管、47はN2 ガス供
給配管である。そして、45a,46a,47aは、そ
れぞれNH3 ガス供給バルブ、NF3 ガス供給バルブ、
N2 ガス供給バルブである。また、48は排ガス配管で
あり、49は排ガスを無毒化する排ガス処理装置であ
る。この窒化処理炉は、1室の処理室50で加熱,フッ
化処理,窒化処理,冷却の全プロセスを行うようになっ
ている。したがって、設備費用は安価ですむが、バッチ
処理となるため、生産性が極めて悪いという問題があ
る。
に、図3に示すような窒化炉装置も提案されている。こ
の窒化炉装置は、炉の中央部が開閉可能な隔壁31で2
分割されており、この隔壁31の前側(図では左側)が
フッ化処理と窒化処理が行われる処理室32に形成さ
れ、後側(図では右側)が冷却室33に形成されてい
る。また、上記処理室32の前側面には、被処理物を装
入する装入扉34が設けられ、冷却室33の後側面に
は、被処理物を排出する排出扉35が設けられている。
そして、上記処理室32および冷却室33の床面には、
それぞれ装入された被処理物を搬送するための搬送手段
(コンベア)36a,36bが設けられている。そし
て、上記冷却室33にはN2 ガス供給配管47が接続さ
れ、N2 ガスで被処理物を冷却するようになっている。
それ以外は図2の装置と同様であり、同じ部分には同じ
符号を付している。この装置では、フッ化処理と窒化処
理をひとつの処理室32で行い、窒化処理が終了した後
に被処理物を冷却室33に搬送して冷却することによ
り、生産能率の向上を図るようにしている。
置では、被処理物の表面に水分や空気が吸着したまま炉
内に装入されることから、上記吸着水分等が、被処理物
の加熱により放出されて不純物ガスとなって雰囲気中に
混入し、しかも高温になるほど放出量が増加する。そし
て、フッ化処理により酸化皮膜が除去されて活性化され
た被処理物の表面が、上記不純物ガスによって再酸化さ
れる。このように、被処理物表面が再酸化されると、再
び表面に不働態皮膜が形成されて窒素原子の浸透が阻ま
れ、窒化むら等が起こりやすくなるという問題がある。
理とを同じ処理室32で行うため、窒化処理を終えて次
の被処理物を処理室32内に装入した場合に、その被処
理物は、窒化処理温度(550〜580℃)付近の48
0〜500℃まで加熱されてしまう。これに対し、フッ
化処理に最適な温度範囲は300〜400℃であり、そ
れよりも高温ではフッ素系ガスと鉄との反応速度が速く
なるため、フッ素系ガスの消費量が多くなるという問題
がある。
処理終了後に次の被処理物を装入する前に、予め処理室
32内を所定のフッ化処理温度まで冷却しておく必要が
あるが、このようにすると、チャージ毎に炉内を冷却す
るのに時間がかかり、生産効率が極めて悪くなるという
問題がある。
てつぎの被処理物を処理室32内に装入する時、装入と
同時に外気が処理室32内に巻き込まれ、その侵入空気
によって被処理物,炉内壁,治具等の表面も酸化されそ
の酸化物層によってフッ化処理にむらが生じ、窒化むら
が生じる原因となっている。また、被処理物同士が接触
している面接触部分は、特にフッ化されにくくなり、窒
化むらが生じる傾向が顕著である。
もので、フッ化処理ののち窒化処理を行う窒化法におい
て、窒化むらを生じることなく、しかも、高能率で低コ
ストに量産処理できる窒化処理方法およびそれに用いる
装置の提供をその目的とする。
め、本発明の窒化処理方法は、高クロム鋼をフッ素系ガ
ス雰囲気下での加熱保持によりフッ化処理して表面酸化
皮膜を除去したのち、窒化雰囲気下で加熱保持して窒化
処理することにより表面に窒化層を形成させる窒化処理
方法であって、上記フッ化処理後窒化処理前に、高クロ
ム鋼を一旦窒化雰囲気下で加熱保持して表面に仮窒化層
を形成させる仮窒化処理を行い、上記仮窒化処理温度T
2とフッ化処理温度T1と窒化処理温度T 3 とが下記の
式(1)の関係にすることを要旨とする。
が開閉可能な隔壁で分割され、フッ化処理室と、このフ
ッ化処理室に上記隔壁を介して連通する窒化処理室と、
この窒化処理室に上記隔壁を介して連通する冷却室が形
成され、上記フッ化処理室に高クロム鋼を装入する装入
扉が設けられるとともに、上記冷却室に高クロム鋼が排
出される排出扉が設けられ、上記各室の床面に、それぞ
れ高クロム鋼を上記フッ化処理室から冷却室まで移動可
能な状態で支受する支持台が設けられ、フッ化処理室と
窒化処理室に、室内加熱手段および雰囲気ガス撹拌手段
が設けられ、フッ化処理室にフッ素系ガス供給パイプと
排気パイプとが接続され、上記窒化処理室に窒化雰囲気
ガス供給パイプと排気パイプとが接続されている、請求
項1記載の窒化処理方法に用いることを要旨とする。
化処理後窒化処理前に仮窒化処理を行うことにより、フ
ッ化処理後の高クロム鋼(被処理物)の最表層のクロム
原子を窒素原子と反応させて窒化クロムとして固定す
る。これにより、被処理物の表面に吸着した水分等の不
純物ガスが雰囲気中に混入していたとしても、最表層部
分のクロム濃度が低下しているためクロムの再酸化が防
止され、不働態皮膜の再生を防ぐ。これにより、窒素原
子が浸透しやすくなり、窒化むらが起こらず、高品質の
窒化層を形成することができる。
理温度T1 と仮窒化処理温度T2と窒化処理温度T 3 と
の関係をT1≦T2 ≦T 3 としたことから、フッ化処理
の際に被処理物が加熱され過ぎず、高温下でのフッ素系
ガスの大量消費という問題がなくなる。
処理と窒化処理を別々の処理室で行うようにしたため、
被処理物を窒化処理室に装入したときに外気が侵入する
ことがなく、被処理物表面,炉内壁,治具等の表面酸化
が防止され、従来のように窒化むらが起こることがな
い。また、全ての処理室に被処理物が滞留した状態で連
続的に処理でき、所定のサイクルタイムで連続的に被処
理物が排出されるという高能率の処理が可能となり、低
コストで操業性よく連続ガス窒化処理を行うことができ
る。
図面に基づいて詳しく説明する。
形態を示している。すなわち、炉本体が開閉可能な隔壁
10b,10cによって3室に区切られており、前側
(図示の左側)のフッ化処理室11と、このフッ化処理
室11に続く窒化処理室12と、後側の冷却室13とが
形成されている。また、上記フッ化処理室11の前側面
には、開閉可能の装入扉10aが設けられ、上記冷却室
13の後側面には、同じく開閉可能の排出扉10dが設
けられている。また、上記フッ化処理室11および窒化
処理室12内には、それぞれ昇温用の加熱手段(ヒー
タ)14および雰囲気ガス攪拌用の攪拌手段(ファン)
15が設けられている。さらに、上記各室11,12,
13の床面には、被処理物搬送用の搬送手段(トレイプ
ッシャー)16a,16b,16cが設けられている。
室12および冷却室13には、それぞれ窒素ガスを供給
するN2 ガス供給配管17が接続されている。また、フ
ッ化処理室11および窒化処理室12には、それぞれ窒
化雰囲気ガスとしてNH3 ガスを供給するNH3 ガス供
給配管19が接続されている。さらに、フッ化処理室1
1には、フッ素系ガスとしてNF3 ガスを供給するNF
3 ガス供給配管18が接続されている。また、フッ化処
理室11には、排ガス処理装置21が設けられた排ガス
供給配管20が接続され、フッ化処理に用いるフッ素系
の有毒ガスを無害化して排出するようになっている。ま
た、窒化処理室12および冷却室13にも、同様に排ガ
ス処理装置21が設けられた排ガス供給配管20が接続
されている。図において、17a,17b,17cはN
2 ガス供給配管17の供給バルブであり、18aはNF
3 ガス供給配管18の供給バルブであり、19a,19
bはNH3 ガス供給配管19の供給バルブである。
10aを開けてフッ化処理室11に装入され、ここでフ
ッ化処理されたのち隔壁10bを開けて窒化処理室12
に搬送されて窒化処理され、そののち、隔壁10cを開
けて冷却室13に搬送されて冷却され、最終的に排出扉
10dから炉外へ取り出されるようになっている。
化処理はつぎのようにして行われる。すなわち、まず、
高クロム鋼部品からなる被処理物は、耐熱鋼製バスケッ
ト等に詰められる。そして、装入扉10aを開け、フッ
化処理室11に上記被処理物を装入した後、N2 ガス雰
囲気でフッ化処理室11内をパージしながら昇温し、所
定のフッ化処理温度T1 (300℃〜400℃)に達す
ると、NF3 ガス供給配管18の供給バルブ18aを開
いてNF3 ガスをフッ化処理室11内に導入し、10〜
15分間フッ化処理する。このフッ化処理によって被処
理物表面の酸化皮膜(不働態皮膜)が除去されるととも
に、フッ化膜が形成され表面が活性化する。フッ化処理
が終了すると、NF3 ガス供給配管18の供給バルブ1
8aを閉じ、N2 ガスを供給しながら昇温し、仮窒化処
理温度T2 (400〜450℃)に達するとNH3 ガス
供給配管19の供給バルブ19aを開け、NH3 ガスを
フッ化処理室11内に導入し、30〜60分間仮窒化処
理を行う。
送手段16a,16bにより窒化処理室12に搬送す
る。このとき、窒化処理室12内は、その直前に窒化処
理された被処理物が冷却室13に搬出された直後であ
り、すでに窒化処理温度T3 (560℃〜580℃)に
設定されている。そして、被処理物が窒化処理温度T3
まで昇温されたのち、NH3 ガス供給配管19の供給バ
ルブ19bを開け、NH3ガスが導入され、所定のNH
3 ポテンシャルの窒化雰囲気に設定して所定時間の窒化
処理を行う。窒化処理が終了すると、上記供給バルブ1
9bを閉じ、隔壁10cを開けて、搬送手段16b,1
6cにより冷却室13まで被処理物を搬送する。つぎ
に、冷却室13につながるN2 ガス供給配管17の供給
バルブ17cを開け、被処理物をN2 ガスにより冷却
し、冷却完了後に排出扉10dを開けて被処理物を炉外
へ取り出し、一連の処理サイクルが終了する。
ンであるが、本発明では、フッ化処理の後にNH3 ガス
を添加して仮窒化処理を行うことをポイントとしてい
る。すなわち、フッ化処理終了後、窒化処理に入る前
に、予め上記仮窒化処理により被処理物表面のクロム原
子を窒素と反応させて、窒化クロム(CrN)として固
定し、これによりクロム原子の酸化反応を防止して被処
理物の再酸化を防ぐのである。
る。
下記の反応が起こり、酸化皮膜(不働態皮膜)が除去さ
れてフッ化膜が形成されている。
ガスや、H2 O,O2 等の不純物ガスが存在しなければ
安定しているが、実際の窒化処理雰囲気中には上記不純
物ガスやH2 ガスが存在し、これらのガスにより破壊さ
れる。上記不純物ガスは、被処理物や炉壁,治具等の表
面に吸着されていたガスが、加熱により表面から放出さ
れたものであり、温度が高くなるほど放出量も増加す
る。したがって、上記フッ化膜は、炉内温度が高くなる
ほど不純物ガスによって破壊され、被処理物の表面は再
酸化されて不働態皮膜が再生することになる。このよう
に不働態皮膜が形成されると、窒化処理の際に窒素原子
の浸透が阻まれて窒化むらの原因になる。本発明の仮窒
化処理は、上記のような不働態皮膜の再生を防止するも
のであり、被処理物の最表層のクロム原子を窒素原子と
反応させ、窒化クロム(CrN)として固定し、最表層
部分のクロム濃度を低下させてクロムの酸化反応を防止
してクロム酸化物(不働態皮膜)の再生を防ぎ、その後
の窒化処理(550〜580℃)を容易にするものであ
る。
500℃の温度範囲に設定するのが好ましく、400〜
450℃の範囲であればさらに好ましい。クロムと酸素
の親和力は、クロムと窒素の親和力よりも大きいため、
500℃を超える高温では、仮窒化される以前に酸化さ
れてしまい、窒化むらが生じる傾向が強くなるからであ
る。一方、380℃未満では、仮窒化され難くなって窒
化処理時に再酸化が生じ、やはり窒化むらが生じやすく
なる。
50℃の温度範囲でもフッ化の効果が認められるが、3
00〜350℃の範囲に設定することが好ましい。すな
わち、フッ素と鉄の反応速度が、温度の上昇に伴って急
激に増大することから、フッ化処理温度T1 が高温にな
ると、高温下でフッ素系ガスの消費量が多くなるからで
ある。さらに、高温下では被処理物同士の接触面部分
に、フッ素系ガスが浸透し難くなり(接触面部分の隙間
にフッ素系ガスが浸透する前に反応してしまう)、窒化
むらが生じやすくなるという理由もある。一方、フッ化
処理温度T1 が低すぎると、フッ化反応が起こり難くな
って酸化皮膜の除去が不完全になり、やはり窒化むらが
生じやすくなる。
T2 を380〜500℃に設定し、フッ化処理温度T1
を300〜350℃に設定して、これらの関係を、T1
≦T 2 とすることにより、フッ化処理の際に被処理物が
加熱され過ぎないようにし、高温下でのフッ素系ガスの
大量消費量を防ぎ、しかも効果的に窒化むらを防止する
ようにしているのである。
処理室11で行うようにした場合には、仮窒化処理が安
定するという利点がある。すなわち、窒化処理温度T3
は、550〜580℃の温度範囲に設定され、仮窒化処
理温度T2 は380〜500℃に設定される。上述した
ように、仮窒化処理が高温では良好な窒化層が得られ
ず、仮窒化処理温度T2 を窒化処理温度T3 に比べて低
く設定し、これらの関係をT2 ≦T3 とすることによ
り、フッ化膜が安定して再酸化が有効に防止されるので
ある。したがって、仮窒化処理温度T2 よりも高温に設
定される窒化処理室12ではなく、より低温に設定され
るフッ化処理室11において仮窒化処理を行うようにし
たものである。なお、フッ化処理室11で仮窒化処理を
行う場合には、NF3 ガスによるフッ化を行った直後の
フッ化処理室11内にNH3 ガスを吹き込むため、炉内
壁,ヒータ14,ファン15,搬送手段16a等は、フ
ッ化,窒化,酸化のいずれにも耐性のある高ニッケル基
合金を使用することが望ましい。
処理物をフッ化処理室11から窒化処理室12に搬送し
た後、ただちに装入扉10aが開かれ、フッ化処理室1
1につぎの被処理物が装入され、つぎの処理サイクルが
スタートする。この際、昇温時間やパージ時間を含め、
フッ化処理室11,窒化処理室12での被処理物の滞留
時間が、ほぼ同等の時間となり、常にフッ化処理室1
1,窒化処理室12,冷却室13の全ての処理室に被処
理物が滞留した状態で、それぞれの被処理物がつぎの処
理室に搬送されて連続的に処理されるようになってい
る。
窒化処理室に搬入される前に一旦フッ化処理室11で前
処理されるため、窒化処理室12内に外気を巻き込むこ
とがなく、従来のように、炉壁等が酸化することによる
NF3 ガスの消費量の増大や、窒化むらといった弊害が
生じない。また、全ての処理室に被処理物が滞留した状
態で連続的に処理するようにしているため、所定のタク
トタイム毎に連続的に被処理物が排出されるという高能
率の連続窒化処理が可能となる。
は、フッ化処理室11,窒化処理室12,冷却室13の
3室を設けたが、これに限定されるものではない。すな
わち、フッ化処理室11の挿入扉10aを開けた時の空
気の同伴侵入を最小限に抑えるために、フッ化処理室1
1の前側に、さらにN2 を充満させた取入室(図示せ
ず)を設けるようにしてもよい(すなわち、合計で4室
になる)。これにより、被処理物をフッ化処理室11内
に装入する前に、一旦上記取入室でN2 雰囲気に保持
し、フッ化処理室11におけるパージ時間を短縮させ、
サイクルタイムを短縮することができるようになる。ま
た、窒化処理室12を仮窒化処理室と本窒化処理室とに
分割し(すなわち、合計で4室もしくは5室になる)、
仮窒化処理と本窒化処理とをそれぞれ単独で行うように
してもよい。
した被処理物を、そのままフッ化処理室11で仮窒化処
理を行ったのち、窒化処理室12に搬送して窒化処理を
行うようにしたが、これに限定されるものではない。す
なわち、フッ化処理終了後の被処理物を、窒化雰囲気で
仮窒化処理温度T2 に昇温された窒化処理室12に搬送
し、ここで仮窒化処理を行い、そののち窒化処理温度T
3 に昇温して窒化処理を行うようにしてもよい。このよ
うにすることにより、NH3 ガスは窒化処理室12だけ
に導入され、フッ化処理室11にはNF3 ガスだけが導
入されてNH3ガスが導入されることがないため、フッ
化処理室11のパージ時間を節約することができる。
ガスとして、NH3 ガスを単独で使用しているが、これ
に限定するものではなく、上記NH3 ガスに、RXガス
等の変成ガスを混合して混合ガスとして使用してもよ
い。
理後窒化処理前に仮窒化処理を行うことにより、フッ化
処理後の被処理物最表層のクロム原子を窒素原子との反
応により窒化クロムとして固定し、最表層部分のクロム
濃度を低下させてクロムの酸化反応を防止して再酸化を
防止し、不働態皮膜の再生を防ぐ。これにより、通常の
NH3 ガス窒化法では窒化が困難であった高クロム鋼部
品に対し、窒化むらを生じさせず、高品質の窒化層を形
成させることができるようになる。また、窒化処理室内
に外気が巻き込まれないため、従来のような、被処理
物,炉壁等が酸化することによる窒化むらや、フッ素系
ガスの消費量の増大といった弊害が生じない。また、全
ての処理室に被処理物が滞留した状態で連続的に処理す
るようにしているため、所定のサイクルタイムで連続的
に被処理物が排出されるという高能率の処理が可能とな
り、低コストで操業性よく連続ガス窒化処理を行うこと
ができる。したがって、本発明を、セルフドリリングス
クリュー,タッピングスクリュー,ソケットボルト,六
角ボルト,ナット,ワッシャー等のファスナー類や各種
のシャフト類,コンプレッサーのベーン類,ピストンリ
ング等の自動車部品等の高クロム鋼部品に適用すること
により、どのような形状の部品であっても、また、取扱
上どのような治具セッティング状態であっても、効率的
に高品質の窒化層を得ることができるようになる。
理装置を用いて、下記の条件で窒化処理を行った。 被処理物:エンジンバルブ 材質:SUH35(20%Cr) 寸法:φ6mm,重量:40g 治具:材質:ニッケル基耐熱合金 寸法:幅400mm,高さ120mm 窒化装置:フッ化処理室寸法:φ1580,奥行1700mm 窒化処理室寸法 :φ1580,奥行1700mm 冷却室寸法 :幅1090,高さ1545mm,奥行5000mm 各室壁面,ファン,隔壁,装入扉の内壁面,ヒータ,コンベア :ニッケル基耐熱合金 設定値:フッ化処理温度T1 :300℃ 仮窒化処理温度T2 :300〜570℃ 窒化処理温度T3 :570℃ フッ化処理時間 : 75分 窒化処理時間 : 75分 N2 ガスによる冷却時間 : 75分以内 タクトタイム : 75分 炉内への被処理物の装入量 :9000本/ロット
理物の窒化処理を行った結果、いずれの場合でも、窒化
むらは全くなく、また、NF3 ガスの消費量は、経済的
な水準で実施された。
Claims (4)
- 【請求項1】 高クロム鋼をフッ素系ガス雰囲気下での
加熱保持によりフッ化処理して表面酸化皮膜を除去した
のち、窒化雰囲気下で加熱保持して窒化処理することに
より表面に窒化層を形成させる窒化処理方法であって、
上記フッ化処理後窒化処理前に、高クロム鋼を一旦窒化
雰囲気下で加熱保持して表面に仮窒化層を形成させる仮
窒化処理を行い、上記仮窒化処理温度T2とフッ化処理
温度T1と窒化処理温度T 3 とが下記の式(1)の関係
にあることを特徴とする窒化処理方法。 【数1】 - 【請求項2】 炉本体内が開閉可能な隔壁で分割され、
フッ化処理室と、このフッ化処理室に上記隔壁を介して
連通する窒化処理室と、この窒化処理室に上記隔壁を介
して連通する冷却室が形成され、上記フッ化処理室に高
クロム鋼を装入する装入扉が設けられるとともに、上記
冷却室に高クロム鋼が排出される排出扉が設けられ、上
記各室の床面に、それぞれ高クロム鋼を上記フッ化処理
室から冷却室まで移動可能な状態で支受する支持台が設
けられ、フッ化処理室と窒化処理室に、室内加熱手段お
よび雰囲気ガス撹拌手段が設けられ、フッ化処理室にフ
ッ素系ガス供給パイプと排気パイプとが接続され、上記
窒化処理室に窒化雰囲気ガス供給パイプと排気パイプと
が接続されている、請求項1記載の窒化処理方法に用い
る窒化処理装置。 - 【請求項3】 フッ化処理室に窒化雰囲気ガス供給パイ
プが接続され、フッ化処理終了後のフッ化処理室に窒化
雰囲気ガスを供給して仮窒化処理を行うように構成した
請求項2記載の窒化処理装置。 - 【請求項4】 フッ化処理終了後の高クロム鋼を窒化処
理室に搬送し、窒化処理室で仮窒化処理を行うように構
成した請求項2記載の窒化処理装置。
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