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JP3419291B2 - 低温焼結磁器組成物及びそれを用いた多層セラミック基板 - Google Patents

低温焼結磁器組成物及びそれを用いた多層セラミック基板

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JP3419291B2
JP3419291B2 JP00155198A JP155198A JP3419291B2 JP 3419291 B2 JP3419291 B2 JP 3419291B2 JP 00155198 A JP00155198 A JP 00155198A JP 155198 A JP155198 A JP 155198A JP 3419291 B2 JP3419291 B2 JP 3419291B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低温焼結磁器組成
物、及びそれを用いた多層セラミック基板に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子機器の小型化に伴い、電子
機器を構成する各種電子部品を実装するのにセラミック
基板が汎用されている。最近では、このセラミック基板
への電子部品の実装密度をさらに高めるため、セラミッ
クグリーンシートの表面に導電材料のペーストで回路パ
ターンを形成したものを複数枚積層し、これを焼成して
一体化した多層セラミック基板が開発されている。そし
て、従来、このような多層セラミック基板の材料として
はアルミナが用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多層セ
ラミック基板の材料としてアルミナを用いた場合には、
以下のような問題点を有していた。
【0004】アルミナの焼結温度が1500〜160
0℃と高温であるため、焼成に多量のエネルギーが必要
となりコスト高となる。
【0005】多層基板内部に形成される内部回路の導
電材料は、高温の焼成温度に耐えうるWやMoなどの高
融点金属に限定されているが比抵抗が高いため、回路パ
ターンそのものの抵抗値が高くなる。
【0006】アルミナの熱膨張係数がアルミナ基板の
上に搭載される半導体を構成するシリコンチップよりも
大きいため、シリコンチップに熱ストレスが加わりそれ
によりクラックを発生させる原因となる。
【0007】アルミナそのものの誘電率が約10と高
いため、回路内部を伝搬する信号の遅延時間が大きくな
る。
【0008】又近年、数M〜数十MHz帯を利用したL
CR回路内蔵型のLSI搭載用多層基板の必要性が強ま
っている。この基板の特性としては、前記問題点の解決
に加えて、特に基板材料の誘電容量の温度変化率が低
く、例えば±30ppm/℃以下であることが必要とな
る。
【0009】そこで、本発明の目的は、比較的低温で焼
結が可能であり、熱膨張係数及び誘電率が小さく、かつ
静電容量の温度変化率が小さな、低温焼結用磁器組成
物、及びそれを用いた多層セラミック基板を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の低温焼結磁器組成物は、コージェライトが
60〜85重量%と、ガラス成分が15〜40重量%と
からなる主成分100重量部に、副成分としてTiO2
が25重量部以下添加されており、前記ガラス成分は、
SiO 2 が20〜60重量%、B 2 3 が30〜50重量
%、MgOが5〜30重量%、Al 2 3 が0〜15重量
%、R 2 Oが1〜5重量%(但し、Rはアルカリ金属)
で構成されていることを特徴とする。
【0011】
【0012】ここで、TiO2は負の静電容量の温度係
数を持つ材料であり、コージェライトとガラスからなる
材料系に添加、焼成することによって、温度係数の絶対
値を小さく制御できる。
【0013】さらに、本発明の多層セラミック基板は、
上記の低温焼結磁器組成物を誘電体又は絶縁体材料とし
て用いたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の低温焼結磁器組成
物、及び多層セラミック基板の実施の形態を、実施例に
基づき説明する。
【0015】(実施例1)まず、コージェライトの原料
であるSiO2、MgO、Al23を秤量し、混合物を
得た。この混合物を1350℃〜1400℃で仮焼し、
その後粉砕して平均粒径1〜3μmのMg2Al4Si5
18組成のコージェライトの粉末を得た。
【0016】次に、ガラスを作製するため、ガラスの原
料粉末として、SiO2、B23、MgCO3、Al23
及びLi2CO3を準備した。
【0017】その後、SiO2:B23:MgO:Al2
3:Li2O=27:40:22:8:3(重量比)の
ガラスが得られるように、各原料粉末を秤量し混合した
後、1450〜1550℃で1〜4時間加熱溶融し、急
冷してガラス化した。得られたガラス片をジルコニアボ
ールミルで微粉砕し、平均粒径0.5〜3μmのガラス
粉末を得た。
【0018】次に、得られたガラス粉末と前記コージェ
ライト粉末、及びあらかじめ準備しておいたTiO2
末を、表1に示すように配合し、ジルコニアボールミル
等で3〜4時間湿式混合するなどしてガラス粉末とセラ
ミックス粉末との均質な混合粉末を得た。なお、TiO
2の添加量は、コージェライトとガラスの全量100重
量部に対する重量部である。その後、これら混合粉末に
有機バインダー及び溶媒のトルエンを添加混合して、ボ
ールミルで十分混練して均一に分散させた後、減圧下で
脱泡処理してスラリーを調節した。なお、バインダー、
溶媒、可塑剤などの有機ビヒクル類は、通常用いられる
もので十分であり、その成分については特別の限定を要
しない。
【0019】
【表1】
【0020】そしてこのスラリーから、ドクターブレー
ドを用いたキャスティング法により、フィルム上に0.
2mm厚のセラミックグリーンシートを作製した。その
後、このセラミックグリーンシートを乾燥した後、フィ
ルムから剥がし、これを打ち抜いて所定の大きさのセラ
ミックグリーンシートとした。
【0021】その後、このセラミックグリーンシートを
複数枚積層し、プレス成形してセラミック成形体とした
後、これらのセラミック成形体を200℃/時間の速度
で昇温し、980℃で2時間焼成してセラミック焼結体
を得た。
【0022】次に、これらのセラミック焼結体につい
て、熱膨張係数、誘電率、誘電率の温度係数を測定し
た。その結果を焼結状態とともに表2に示す。なお、表
1及び表2中、試料番号に*印を付したものは本発明の
範囲外のものである。
【0023】
【表2】
【0024】表2から明らかなように、本発明のコージ
ェライトが60〜85重量%とガラス成分が15〜40
重量%とからなる主成分100重量部に、副成分として
TiO2を25重量部以下添加した低温焼結磁器組成物
は、980℃という比較的低い温度で焼成しても、焼結
性が良く、かつアルミナと比較しても誘電率が6.0〜
7.0と小さく、また熱膨張係数も3.5〜4.3pp
m/℃と小さく、さらに誘電率の温度係数が+30〜−
5ppm/℃以下と小さなセラミック基板を得ることが
できる。
【0025】これに対して、試料番号1〜4に示すよう
に、ガラス量が15重量%未満では1000℃以下では
十分に焼結せず、一方、試料番号17〜20に示すよう
にガラス量が40重量%を超えると、焼成温度が低くな
り過ぎて焼成時に溶解することがあり、また、ガラス成
分が多くなるため強度が弱くなる。したがって、ガラス
量は15〜40重量%であることが好ましい。
【0026】又、試料番号8、12、16に示すよう
に、TiO2量が25重量部を超えると、誘電率の温度
係数の絶対値が大きくなり、又熱膨張係数及び誘電率も
大きくなるため多層基板材料として好ましくない。
【0027】(実施例2)まず、実施例1と同様にしてコ
ージェライトの粉末を得た。又、表3に示す組成のガラ
スが得られるように、その他は実施例1と同様にしてガ
ラス粉末を作製した。
【0028】次に、得られたガラス粉末と前記コージェ
ライト粉末、及びあらかじめ準備しておいたTiO2
末を、表3に示すように配合し、ジルコニアボールミル
等で3〜4時間湿式混合するなどしてガラス粉末とセラ
ミックス粉末との均質な混合粉末を得た。なお、ガラス
とコージェライトの混合比率は重量比で20/80であ
り、TiO2の添加量はガラスとコージェライトの全量
100重量部に対して15重量部である。その後、これ
ら混合粉末に有機バインダー及び溶媒のトルエンを添加
混合して、ボールミルで十分混練して均一に分散させた
後、減圧下で脱泡処理してスラリーを調節した。
【0029】その後、実施例1と同様にして、グリーン
シートを作成し、積層し、プレス成形した後、980℃
で2時間焼成してセラミック焼結体を得た。
【0030】
【表3】
【0031】次に、これらのセラミック焼結体につい
て、熱膨張係数、誘電率、誘電率の温度係数、誘電損失
を測定した。その結果を焼結状態とともに表4に示す。
なお、表3及び表4中、試料番号に*印を付したものは
本発明の範囲外のものである。
【0032】
【表4】
【0033】表4に示す通り、ガラス成分としては、S
iO2、B23、MgO、Al23及びLi2Oからな
り、これら成分の割合が以下の量であることが好まし
い。
【0034】即ち、試料番号21及び試料番号24に示
すように、SiO2が20重量%未満では、ガラスの粘
度が下がりすぎてセラミック粒子間で発泡する。一方、
試料番号23に示すように、SiO2が60重量%を超
えるとガラスの粘度が上がり、焼結性が低下する。した
がって、SiO2量は20〜60重量%が好ましい。
【0035】又、試料番号23に示すように、B23
30重量%未満ではガラスの粘度が上昇して、焼結性が
低下する。一方、試料番号24に示すように、B23
50重量%を超えるとガラスの化学的安定性が低下し、
発泡する。したがって、B23は30〜50重量%が好
ましい。
【0036】又、試料番号25に示すように、MgOが
5重量%未満では、ガラスの粘度が上がりすぎて焼結せ
ず、一方、試料番号26に示すように、MgOが30重
量%を超えるとコージェライトと反応し発泡する。した
がって、MgOは5〜30重量%が好ましい。
【0037】又、Al2O3はガラスの化学的安定性を
向上させるために添加するものであるが、試料番号28
に示すように、15重量%を超えるとガラスの粘度が上
がりすぎ焼結しない。したがって、Al23は0〜15
重量%が好ましい。
【0038】さらに、Li2Oは、試料番号29に示す
ように1重量%未満では焼結せず、一方、試料番号30
に示すように、5重量%を超えると発泡する。したがっ
て、R2Oは1〜5重量%が好ましい。
【0039】(実施例3)実施例1の試料番号10に示
す磁器組成物を用いて、スラリーを作製し、ドクターブ
レードを用いたキャスティング法で50μm厚のセラミ
ックグリーンシートを作製した。乾燥後、これを打ち抜
いて所定の大きさのセラミックグリーンシートとした。
次いで、こららセラミックグリーンシートに、表面回路
パターン、コンデンサパターン、コイルパターンなどを
Cuペーストを用いてスクリーン印刷した。又、パンチ
ャーによりバイアホール用の穴を開け、Cuペーストを
充填した。
【0040】その後、これらグリーンシートを積み重ね
圧着して積層体としたした後、N2雰囲気中、990℃
で焼成し、図1に示す多層セラミック基板1を得た。な
お、図1において2は誘電体あるいは絶縁体としてのセ
ラミック層、3は多層セラミック基板中に形成されたコ
ンデンサ素子、4はコイル素子である。
【0041】次に、得られた多層セラミック基板1の表
面に、バンプ5を介してSiベアチップを搭載した。
【0042】以上得られたSiチップ搭載の多層セラミ
ック基板について、多層セラミック基板の熱膨張係数が
小さくSiベアチップに近いため、熱膨張係数の違いに
よるクラックの発生を防止することができた。また、基
板の誘電率が小さいため、信号伝播速度が速く、導体パ
ターン間のクロストークノイズを低く抑えることができ
た。又、セラミック層の静電容量の温度係数が小さいた
め、コンデンサ素子の温度安定性を高めることができ
た。
【0043】なお、上記各実施例ではガラスの原料粉末
として、酸化物又は炭酸塩を用いたが、これ以外に水酸
化物などを適宜用いることができる。
【0044】又、又上記各実施例では、アルカリ金属が
Liの場合について説明したが、Li以外のアルカリ金
属、すなわち、Na、K、Rb、Cs及びFrのいずれ
を用いても同様の効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、1000℃以下の焼成温度で緻密であって、熱
膨張係数及び誘電率が小さく、かつ静電容量の温度変化
率が小さな、多層セラミック基板用の低温焼結磁器組成
物を得ることができる。
【0046】したがって、この低温焼結磁器組成物を用
いて多層セラミック基板を作製することにより、アルミ
ナ基板を用いた場合よりも優れた性能を有するものが得
られる。
【0047】即ち、熱膨張係数が小さく、基板とシリコ
ンチップの熱膨張係数の違いから生ずるクラック等が抑
制されるため、湿度などによる劣化が抑えられた信頼性
の高い多層セラミック基板を得ることができる。又、誘
電率が低いため、信号伝播速度の速い多層セラミック基
板を得ることができる。又、1000℃以下で焼結する
ため、導電材料としてCu、Ag/Pdなどの低融点で
あって抵抗値の低い材料を用いることができ、回路の導
電抵抗を低減させた多層セラミック基板を得ることがで
きる。さらに、基板材料の静電容量の温度変化率が小さ
いため、高周波対応のLCR内蔵多層セラミック基板を
得るのに最適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層セラミック基板の一例を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 多層セラミック基板 2 セラミック層 3 コンデンサ素子 4 コイル素子 5 バンプ 6 Siベアチップ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コージェライトが60〜85重量%と、
    ガラス成分が15〜40重量%とからなる主成分100
    重量部に、副成分としてTiO2が25重量部以下添加
    されており、 前記ガラス成分は、 SiO 2 20〜60重量% 2 3 30〜50重量% MgO 5〜30重量% Al 2 3 0〜15重量% 2 1〜 5重量% (但し、Rはアルカリ金属) で構成されていることを特徴とする、低温焼結磁器組成
    物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の低温焼結磁器組成物を
    誘電体又は絶縁体材料として用いたことを特徴とする、
    多層セラミック基板。
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