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JP3408623B2 - 導電性シートの成形法 - Google Patents

導電性シートの成形法

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JP3408623B2
JP3408623B2 JP10498594A JP10498594A JP3408623B2 JP 3408623 B2 JP3408623 B2 JP 3408623B2 JP 10498594 A JP10498594 A JP 10498594A JP 10498594 A JP10498594 A JP 10498594A JP 3408623 B2 JP3408623 B2 JP 3408623B2
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JP
Japan
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die
sheet
resin
conductive
temperature
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JP10498594A
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隆文 石田
正明 糸井
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抵抗値分布の少ない導電
性シートの成形法に関するものであって、このようにし
て得られる導電性シートを用いることにより、安定した
面状発熱体を製造することが可能である。従って、暖房
や融雪などの用途に有効に利用することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱可塑
性樹脂に導電性粒子を配合した発熱組成物を製造する
際、その抵抗値をコントロールすることが重要である。
特に組成物をT−ダイを用いて成形する際、押出機及び
T−ダイの条件をどのように選定するかが大きく抵抗値
に影響する。
【0003】一般にフラットなシートを、T−ダイを用
いて押し出す場合、スリット開度はフラットであり、一
定である。T−ダイの内部設計により、スリットには均
一に樹脂を供給することが可能である。しかしながら、
熱可塑性樹脂に導電性粒子を配合した発熱組成物を押出
成形する際、T−ダイ両端における壁面での剪断履歴の
違いにより、大きく抵抗値が異なることが明らかになっ
た。このような発熱シート内で抵抗値の偏り及び分布が
ある場合は、極端に温度が上昇することがあり、時には
溶融断線することがある。
【0004】また、シート内の抵抗値の振れ幅を最小に
するためにも、押出機及びT−ダイの条件をどのように
選定するかが大切であることが明らかになった。
【0005】本発明は、T−ダイの温度条件及びT−ダ
イのリップ開度を規定することにより、上記従来の問題
点を解消し、抵抗値分布の少ない導電性シートの成形法
を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、結
晶性熱可塑性樹脂30〜90重量%と導電性粒子70〜
10重量%とからなる導電性組成物を、T−ダイにより
押出成形して導電性シートを成形するにあたり、該T−
ダイの幅方向の中央部の温度〔TC (℃)〕と端部の温
度〔TE (℃)〕の関係が次式を満足する値となるよう
に設定すると共に 0.6≧(TE −TC )/(TC )≧0.02 該T−ダイの幅方向の中央部のリップ間隙(LC )と端
部のリップ間隙(LE )の関係が次式を満足する値とな
るように設定して成形を行なうことを特徴とする導電性
シートの成形法を提供するものである。 2.3≧(LE −LC )/(LC )≧0.03
【0007】本発明では、結晶性熱可塑性樹脂と導電性
粒子とからなる導電性組成物を、T−ダイにより押出成
形して導電性シートを成形する。ここで結晶性熱可塑性
樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、その共重
合樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂、熱可
塑性ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ノ
リル樹脂、ポリスルホンなどを挙げることができる。
【0008】前記ポリオレフィン樹脂として具体的に
は、例えば高密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,
低密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン等のポ
リエチレン類、アイソタクチックポリプロピレン,シン
ジオタクチックポリプロピレン,アタクチックポリプロ
ピレン等のポリプロピレン類、ポリブテン、4−メチル
ペンテン−1樹脂等を挙げることができる。また、ポリ
オレフィン系共重合樹脂として、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共
重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチ
レン−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共
重合体などのオレフィンとビニル化合物との共重合体等
や、さらにフッ素含有エチレン共重合体、並びにこれら
の変性体を使用することができる。
【0009】なお、このポリオレフィン系樹脂として
は、ポリオレフィン樹脂,オレフィン系共重合体、一部
のジエン系重合体を、単独で若しくは2種以上を組み合
わせて用いることができる。
【0010】また、前記ポリアミド系樹脂として具体的
には、例えばナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、
ナイロン66、ナイロン610等を挙げることができ
る。次に、前記ポリアセタールは、単一重合体であって
もよいし、或いは共重合体であってもよい。さらに、前
記熱可塑性ポリエステル樹脂として具体的には、例えば
ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート等を挙げることができる。
【0011】また、結晶性熱可塑性樹脂としては、上記
の他に、例えばトランス−1,4−ポリイソプレン、シ
ンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン等のジエン
系重合体や共重合体などを使用することもできる。
【0012】これら結晶性熱可塑性樹脂は、1種のみを
用いてもよいし、或いは2種以上を混合して用いてもよ
い。本発明において用いる結晶性熱可塑性樹脂として
は、これらの中でもポリオレフィン系樹脂が好ましく、
特にエチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−エチル
アクリレート共重合体等のエチレン系共重合体が好まし
い。さらにまた、トランス−1,4−ポリイソプレン等
も好適である。なお、本発明においては、結晶性熱可塑
性樹脂としては、必要に応じて、本発明の目的に支障の
ない範囲内で他のポリマーや添加物との組成物として使
用することもできる。
【0013】次に、本発明においては導電性粒子を用い
る。ここで導電性粒子としては、各種のものを用いるこ
とができ、例えば、カーボンブラック粒子(オイルファ
ーネスブラック,サーマルブラック,アセチレンブラッ
ク),グラファイト粒子等の粒状物、金属粉末等の粉状
物、炭素繊維等の繊維を粉砕した物、金属酸化物粉体、
ガラス粒子に導電性材料を被覆した粒子、或いはこれら
の混合物等を挙げることができる。これらの中でも、カ
ーボンブラック粒子,グラファイト粒子等の粒状物が好
ましく、特にカーボンブラック粒子が好ましい。これら
の導電性粒子は単独で用いてもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0014】また、これら導電性粒子の平均粒径につい
ては特に制限はないが、通常、平均粒径が10〜200
nm、好ましくは15〜100nmのものが用いられ
る。ここで平均粒径が10nm未満のものであると、得
られる組成物の導電性が高くなり過ぎることとなり、一
方、平均粒径が200nmを超えたものであると、得ら
れる組成物の導電性が低くなり過ぎるため好ましくな
い。上記導電性粒子としては、平均粒径を異にする2種
以上の導電性粒子を混合したものであってもよい。ま
た、導電性粒子として繊維粉砕物を用いる場合、そのア
スペクト比は、通常1〜1000,好ましくは1〜10
0程度である。
【0015】前記結晶性熱可塑性樹脂と上記導電性粒子
との配合割合は、通常、前者30〜90重量%に対し、
後者70〜10重量%の割合、好ましくは前者55〜7
5重量%に対し、後者45〜25重量%の割合である。
ここで導電性粒子の配合量が10重量%より少ないと、
発熱体とした場合に発熱体の抵抗が大きくなり、発熱体
が実用上充分に発熱しないことがあり、一方、導電性粒
子の配合量が70重量%を超えると、正温度係数特性が
充分に発現しないことがあるので、いずれも好ましくな
い。
【0016】本発明においては、必要に応じて、結晶性
熱可塑性樹脂と導電性粒子を混合して得られる混合物に
対して、半導電性物質を配合してもよい。この半導電性
物質を配合することにより、耐電圧性を一層向上させる
ことができる。ここで半導電性物質としては、通常、比
抵抗が10-2〜108 Ωcmの無機物質が用いられる。
このような半導電性物質として具体的には、炭化ケイ
素,炭化ホウ素などの炭化物、チタンブラック等を例示
することができ、これらの中でも炭化ケイ素,炭化ホウ
素など炭化物が特に好ましい。
【0017】半導電性物質としては、粉体又は繊維を用
いることができ、特に粉体が好ましい。半導電性粉体と
しては、平均粒径が300μm以下、好ましくは100
μm以下のものが用いられる。ここで平均粒径が300
μmを超えたものであると、樹脂への均一な分散が行な
い難いため、好ましくない。また、半導電性繊維として
は、糸径が0.1〜100μmであり、繊維長が1〜5
000μmのものが好適である。
【0018】上記した如き半導電性物質の配合量は、通
常、結晶性熱可塑性樹脂と導電性粒子を混合して得られ
る混合物100重量部に対して、10〜300重量部、
好ましくは15〜200重量部である。ここで半導電性
物質の配合量が上記割合未満であると、耐電圧性の改良
が充分にできない。一方、半導電性物質の配合量が上記
割合を超えたものであると、混練が困難となるため好ま
しくない。
【0019】上記した如き結晶性熱可塑性樹脂と導電性
粒子、さらに必要に応じて加える半導電性物質とを前記
所定の割合で配合し、これを混練して混練物(導電性組
成物)を形成させる。混練温度は、通常、使用する結晶
性熱可塑性樹脂の融点以上、好ましくは融点より20℃
以上高い温度である。このような温度で混練することに
より、目的とする抵抗値に合った導電性粒子の分散状態
になったものを得ることができる。また、混練時間とし
ては、上記混練温度に達してからの混練時間が5分間以
上であれば充分である。混練物は、どのような形で回収
されてもよいが、通常、ペレット形状で回収される。
【0020】この工程における分散は、加圧ニーダー、
二軸混練機、混練用オーブンロール、バンバリーミキサ
ー、単軸往復動スクリュー、単軸スクリュー押出機、二
軸スクリュー押出機等、各種の混練機によって行なうこ
とが可能である。本工程では、後に述べる架橋剤を添加
してもよいが、添加しなくともよい。すなわち、本工程
では、架橋反応をあまり進めないことが重要であり、そ
のような温度領域で実施することが可能である。
【0021】ここで架橋剤としては、結晶性熱可塑性樹
脂の種類に応じて、有機過酸化物,硫黄化合物,オキシ
ム類,ニトロソ化合物,アミン化合物,ポリアミン化合
物等から適宜選択して用いることができる。
【0022】有機過酸化物として具体的には、ベンゾイ
ルパーオキサイド,ラウロイルパーオキサイド,ジクミ
ルパーオキサイド,t−ブチルパーオキサイド,t−ブ
チルパーオキシベンゾエート,t−ブチルクミルパーオ
キサイド,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキシン−3等を挙げることができるが、
これらの中でも特に2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。このよ
うな架橋剤の添加量は、結晶性熱可塑性樹脂100重量
部に対し、通常0.01〜5重量部,好ましくは0.0
5〜2重量部である。なお、架橋剤による架橋に際して
は放射線を利用して行なうこともできる。また、トリア
リルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビ
ニルベンゼンなどの架橋助剤を添加してもよい。
【0023】次に、上記の如き混練工程で得られた分散
物(導電性組成物)を、押出成形して所望の形状のシー
トを得る。この押出成形工程では、供給された分散物に
充分な剪断力を加えた状態で、有機過酸化物による樹脂
架橋化及び混練を行ないながら、成形を実施する。な
お、本発明においては押出成形機等を用いて、混練と成
形とを1台の機械で行なうことができる。成形の際に結
晶性熱可塑性樹脂を架橋しておくことにより、成形され
る導電性シートを硬化させ、これにより耐熱性を向上さ
せ、通電の際の熱変形や熱軟化等を防止することがで
き、しかも発熱体としての抵抗値も安定させることが可
能である。
【0024】この押出成形工程においては、押出機及び
これに接続されたダイス(T−ダイ)によって成形さ
れ、ダイス温度分布とリップ開度とは、それぞれ以下に
示すように規定することが必要である。 ダイス温度分布の調節 ダイス温度は、以下の式に表される関係であることが必
要である。すなわち、T型ダイス(T−ダイ)の幅方向
の中央部の温度をTC (℃)とし、T型ダイス(T−ダ
イ)の幅方向の端部の温度をTE (℃)とした場合に、
次式を満足する値となるように設定して成形を行なうこ
とが必要である。 0.6≧(TE −TC )/(TC )≧0.02 つまり、ダイスの幅方向の温度コントロールを行なうも
のであり、ダイス温度分布(α)〔(TE −TC )/
(TC )〕が、0.02〜0.6の範囲となるように設
定して成形を行なうことが必要である。
【0025】ここでダイス温度は、用いる結晶性熱可塑
性樹脂の融点より高い温度であることが必要であり、特
に用いる結晶性熱可塑性樹脂の融点より20℃程度高い
温度に設定する必要がある。このような温度分布を成形
時に持たせるのは、理由は定かでないが、抵抗値のシー
ト幅に対する分布を最小にするためである。推定される
理由としては、ダイス末端及び中央における樹脂組成物
に均一な剪断応力をかけるためであると考えられる。
【0026】 ダイスのリップ開度の調節 次に、ダイスのリップ開度は、以下の式に表される関係
であることが必要である。すなわち、T型ダイス(T−
ダイ)の幅方向の中央部のリップ間隙をLC とし、T型
ダイス(T−ダイ)の幅方向の端部のリップ間隙をLE
とした場合に、次式を満足する値となるように設定して
成形を行なうことが必要である。 2.3≧(LE −LC )/(LC )≧0.03 つまり、ダイスのリップ開度のコントロールを行なうも
のであり、T型ダイスのリップ開度(β)〔(LE −L
C )/(LC )〕が0.03〜2.3の範囲となるよう
に設定して成形を行なうことが必要である。
【0027】なお、ダイスのリップ開度の絶対値は特に
制限はないが、通常は0.1〜5mm、好ましくは0.
2〜1mmである。ここでダイスのリップ開度を調整す
るのは、理由は定かでないが、抵抗値のシート幅に対す
る分布を最小にするためである。推定される理由として
は、ダイス末端及び中央における樹脂組成物に均一な剪
断応力をかけるためであると考えられる。
【0028】本発明においては、上記のダイス温度分
布の調節とのダイスのリップ開度の調節とを同時に行
なうことが必要であり、両方の調節を同時に行なうこと
により、抵抗値分布の少ない導電性シートを得ることが
できる。
【0029】本発明において、T型ダイス(T−ダイ)
に樹脂組成物を流入させる場合、二軸押出機、一軸押出
機等を用いることが可能である。この場合、押出機のシ
リンダー温度が重要であり、特に樹脂組成物がスクリュ
ーにより圧縮される部分は、用いる結晶性熱可塑性樹脂
の融点より、少なくとも20℃以上高い温度が必要であ
り、好ましくは用いる結晶性熱可塑性樹脂の融点より5
0℃以上高い温度が必要である。すなわち、剪断のかか
る部分では、充分に樹脂が加熱されており、剪断力が均
質にかかることが必要である。
【0030】このようにして、目的とする導電性シート
を得ることができる。本発明において得られる導電性を
有するシートは、抵抗値が均質であり、良好なシート形
状を有する。得られるシートの抵抗値は特に規定するも
のではないが、0.1〜105 Ω・cmである。抵抗値
の振れ幅は、±50%以下であり、好ましくは30%以
下とする。また、結晶性熱可塑性樹脂と導電性粒子を選
ぶことにより、正温度係数特性(PTC特性)成形体を
製造することも可能である。
【0031】本発明により製造される導電性シートは、
適当な電極線を取り付けることにより、面状ヒーター
(面状発熱体)とすることも可能である。電極を設ける
際には、例えば導電性粒子を配合した段階で電極線を被
覆して、被覆電極成形体を作成し、導電性シートに接着
融合させることが可能である。また、このような面状ヒ
ーター(面状発熱体)にさらに外装樹脂を塗布などし
て、発熱体素子とすることもできる。
【0032】ここで、電極の素材としては、特に制限は
なく、通常のものを用いることができ、例えば、銀,
銅,ニッケル,アルミニウム,金等を挙げることができ
る。電極は、発熱体素子の表面及び/又は裏面の対向す
る位置に、銀ペースト等の導電性ペーストをスクリーン
印刷したり、或いは塗布したりするなどの方法により、
形成することができる。また、金属箔や金属メッシュを
圧着する方法や、その後、エッチングすることにより、
例えばクシ形状等の任意の形状に加工することができ
る。また、金属線を埋め込んで形成することもできる。
【0033】このようにして発熱体素子に電極を設けた
後、発熱体素子を耐熱性を有する外装材で被覆してもよ
い。外装材としては、比較的低温で硬化する樹脂を、発
熱体表面に塗布することにより、或いは金属板(箔)や
耐熱性のある樹脂フィルム又は樹脂シートを、発熱体素
子に積層することにより得ることができる。
【0034】ここで低温で硬化する樹脂としては、例え
ばシリコーン樹脂,低温硬化型のエポキシ樹脂,ウレタ
ン樹脂等の接着剤が挙げられる。また、金属板(箔)と
しては、例えばアルミニウム,鉄,銅等が挙げられ、粘
着絶縁フィルムや接着剤を介在させて、発熱体素子に接
着すればよい。
【0035】さらに、耐熱性のある樹脂フィルム又は樹
脂シートとしては、例えば、塩化ビニリデン樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂,ポリブチレンフタレート
樹脂などのポリエステル樹脂、ナイロン6,ナイロン6
6等のポリアミド樹脂や芳香族ポリアミド樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、酢酸セルロース系樹脂,カルボキシメ
トキシセルロース樹脂などのセルロース樹脂,ポリイミ
ド樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プ
ロピレン共重合体,ポリブチレン,ポリブテン−1等の
ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエ
ーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
シアノアリールエーテル等の樹脂からなるフィルム又は
シートが挙げられる。
【0036】これら各種のフィルム又はシートの中か
ら、どのフィルム又はシートを使用するかは、発熱体素
子に使用した結晶性熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜決
定すればよい。上記のフィルム又はシートのうち、特に
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム,ポリ塩化ビ
ニリデン樹脂フィルムやポリエチレンフィルムを用いる
ことが好ましい。これらのフィルム又はシートの厚さ
は、通常1〜200μm,好ましくは1〜100μmで
ある。
【0037】このような樹脂フィルム又は樹脂シートを
発熱体素子に積層する場合には、例えば、樹脂フィルム
又はシートに予め接着剤を塗布した後、発熱体素子に貼
り合わせる方法が用いられる。その場合には、ドクター
ブレード等で接着剤を塗布するか、或いは樹脂フィルム
又はシートを接着剤中に浸漬する方法等公知の方法によ
り行なえばよい。また、これら樹脂フィルム又はシート
に熱溶融材料を積層したものを、発熱体素子に熱融着す
る方法を採用してもよい。発熱体素子と樹脂フィルム又
はシートとを貼り合わせる場合には、樹脂フィルム又は
シート中に空気が入らないようにして発熱体素子に貼り
合わせ、室温で数時間放置させて硬化させればよい。こ
のとき、40〜150℃で熱処理することにより、硬化
速度が大きくなり、強度が増すので好ましい。また、減
圧下で硬化させると、気泡のないものが得られるので好
ましい。
【0038】
【実施例】次に本発明を実施例により、詳しく説明す
る。 実施例1 エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA樹脂,
日本ユニカー社製,商品名:DPDJ6182,ガラス
転移温度:−30℃,示差走査熱量計による結晶融解温
度:90℃)66重量%に、カーボンブラック〔吸油量
(A法 JISK−6221−1982)125ml/
100g、揮発分 0.5%、pH値7.5、三菱化成
社製、商品名:ダイヤブラックE、平均粒径43nm)
34重量%を配合した配合物を、二軸混練機で混練し、
ペレット形状の混練物を得た。このペレット状混練物
に、有機過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキシン−3を、前
記EEA樹脂に対して、0.2重量%の割合で添加し分
散させた。
【0039】このようにして得られた組成物を、T型ダ
イスを有する一軸押出機を用いて押出成形し、シートを
得た。この成形の際のT型ダイス(T−ダイ)の温度
は、T−ダイの幅方向の中央部の温度(TC )が200
℃であり、端部の温度(TE )が240℃であった。従
って、ダイス温度分布(α)〔(TE −TC )/
(TC )〕は0.2であった。また、シート幅は700
mmであった。T型ダイスのリップは、第1表に示すよ
うに調整し、T型ダイスのリップ開度(β)〔(LE
C )/(LC )〕は0.4であった。また、一軸押出
機内で樹脂が圧縮される部分のシリンダー温度は、20
0℃であった。得られたシートの幅方向の抵抗値を測定
した。すなわち、成形したシートを24.0℃の恒温室
に放置し、4探針法により測定した。平均抵抗値は60
0Ω・cmであり、抵抗値の振れ幅は、±10%であっ
た。また、シートの厚みの平均値は0.5mmであり、
振れ幅は、±9%であった。このようにして得られた導
電性シートの両端に電極線を取付け、通電したところ、
良好に発熱し、25℃の恒温室において45℃に発熱し
た。
【0040】実施例2 実施例1において、T−ダイの幅方向の中央部の温度
(TC )を200℃とし、かつ、端部の温度(TE )を
205℃とした〔すなわち、ダイス温度分布(α)を
0.025とした〕こと以外は、実施例1と同様にして
シートを得た〔つまりT型ダイスのリップ開度(β)
は、実施例1と同じく0.4とした。〕。得られたシー
トの幅方向の抵抗値を実施例1と同様にして測定したと
ころ、平均抵抗値は580Ω・cmであり、抵抗値の振
れ幅は、±20%であった。また、シートの厚みの平均
値は0.5mmであり、振れ幅は、±12%であった。
このようにして得られた導電性シートの両端に、電極線
を取付け、通電したところ(200V印加)、良好に発
熱し、25℃の恒温室において45℃に発熱した。
【0041】実施例3 実施例1において、T−ダイの幅方向の中央部の温度
(TC )を200℃とし、かつ、端部の温度(TE )を
300℃とした〔すなわち、ダイス温度分布(α)を
0.5とした〕こと以外は、実施例1と同様にしてシー
トを得た〔つまりT型ダイスのリップ開度(β)は、実
施例1と同じく0.4とした。〕。得られたシートの幅
方向の抵抗値を実施例1と同様にして測定したところ、
平均抵抗値は610Ω・cmであり、抵抗値の振れ幅
は、±25%であった。また、シートの厚みの平均値は
0.5mmであり、振れ幅は、±16%であった。この
ようにして得られた導電性シートの両端に、電極線を取
付け、通電したところ(200V印加)、良好に発熱
し、25℃の恒温室において44℃に発熱した。
【0042】比較例1 実施例1において、T−ダイの幅方向の中央部の温度
(TC )を200℃とし、かつ、端部の温度(TE )を
202℃とした〔すなわち、ダイス温度分布(α)を
0.01とした〕こと以外は、実施例1と同様にしてシ
ートを得た〔つまりT型ダイスのリップ開度(β)は、
実施例1と同じく0.4とした。〕。得られたシートの
幅方向の抵抗値を実施例1と同様にして測定したとこ
ろ、平均抵抗値は560Ω・cmであり、抵抗値の振れ
幅は、±50%であった。また、シートの厚みの平均値
は0.5mmであり、振れ幅は、±40%であった。こ
のようにして得られた導電性シートの両端に、電極線を
取付け、通電したところ、不均一な発熱が起こり、発熱
体内で8℃の温度差が生じた。
【0043】比較例2 実施例1において、T−ダイの幅方向の中央部の温度
(TC )を200℃とし、かつ、端部の温度(TE )を
360℃とした〔すなわち、ダイス温度分布(α)を
0.8とした〕こと以外は、実施例1と同様にしてシー
トを成形した〔つまりT型ダイスのリップ開度(β)
は、実施例1と同じく0.4とした。〕。シート成形
時、両端からの吐出量が増加し、シート成形性が不良で
あり、シート切れを起こした。部分的に得られた成形シ
ートを24.0℃の恒温室に放置し、4探針法により抵
抗値を測定したところ、平均抵抗値は650Ω・cmで
あり、抵抗値の振れ幅は、±60%であった。また、シ
ートの厚みの平均値は0.6mmであり、振れ幅は、±
50%であった。このようにして得られた導電性シート
の両端に電極線を取付け、通電したところ、不均一な発
熱が起こり、発熱体内で8℃の温度差が生じた。
【0044】実施例4 実施例1において、T型ダイスのリップ開度(β)を第
1表のように調整した〔すなわち、β=0.05とし
た。〕こと以外は、実施例1と同様にしてシートを得た
〔つまりダイス温度分布(α)は、実施例1と同じく
0.2とした〕。得られたシートの幅方向の抵抗値を実
施例1と同様にして測定したところ、平均抵抗値は60
0Ω・cmであり、抵抗値の振れ幅は、±30%であっ
た。また、シートの厚みの平均値は0.5mmであり、
振れ幅は、±15%であった。このようにして得られた
導電性シートの両端に、電極線を取付け、通電したとこ
ろ、良好に発熱し、25℃の恒温室において45℃に発
熱した。
【0045】実施例5 実施例1において、T型ダイスのリップ開度(β)を第
1表のように調整した〔すなわち、β=2.0とし
た。〕こと以外は、実施例1と同様にしてシートを得た
〔つまりダイス温度分布(α)は、実施例1と同じく
0.2とした〕。得られたシートの幅方向の抵抗値を実
施例1と同様にして測定したところ、平均抵抗値は62
0Ω・cmであり、抵抗値の振れ幅は、±25%であっ
た。また、シートの厚みの平均値は0.6mmであり、
振れ幅は、±20%であった。このようにして得られた
導電性シートの両端に、電極線を取付け、通電したとこ
ろ、良好に発熱し、25℃の恒温室において44℃に発
熱した。
【0046】比較例3 実施例1において、T型ダイスのリップ開度(β)を第
1表のように調整した〔すなわち、β=0.01とし
た。〕こと以外は、実施例1と同様にしてシートを得た
〔つまりダイス温度分布(α)は、実施例1と同じく
0.2とした〕。得られたシートの幅方向の抵抗値を実
施例1と同様にして測定したところ、平均抵抗値は57
0Ω・cmであり、抵抗値の振れ幅は、±50%であっ
た。また、シートの厚みの平均値は0.5mmであり、
振れ幅は、±30%であった。このようにして得られた
導電性シートの両端に、電極線を取付け、通電したとこ
ろ、不均一な発熱が起こり、発熱体内で9℃の温度差が
生じた。
【0047】比較例4 実施例1において、T型ダイスのリップ開度(β)を第
1表のように調整した〔すなわち、β=2.5とし
た。〕こと以外は、実施例1と同様にしてシートを成形
した〔つまり、ダイス温度分布(α)は、実施例1と同
じく0.2とした〕。シート成形時、両端からの吐出量
が増加し、シート成形性が不良であり、シート切れを起
こした。部分的に得られた成形シートを24.0℃の恒
温室に放置し、4探針法により抵抗値を測定したとこ
ろ、平均抵抗値は650Ω・cmであり、抵抗値の振れ
幅は、±65%であった。また、シートの厚みの平均値
は0.6mmであり、振れ幅は、±50%であった。こ
のようにして得られた導電性シートの両端に電極線を取
付け、通電したところ、不均一な発熱が起こり、発熱体
内で10℃の温度差が生じた。
【0048】
【表1】
【0049】上記実施例と比較例の結果によれば、ダイ
ス温度分布(α)が0.025〜0.5であり、かつ、
リップ開度(β)が0.05〜2.00の範囲におい
て、抵抗値分布が少なく、シート厚みの振れ幅も少ない
ことが分かる。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法によれば、抵抗値分布の少
ない(抵抗値の振れ幅の少ない)導電性シートを成形す
ることができる。また、本発明の方法によれば、シート
厚みの振れ幅の少ない導電性シートを成形することがで
きる。本発明の方法により得られる導電性シートを用い
ることにより、安定した面状発熱体を製造することが可
能である。このような面状発熱体は、床暖房に代表され
る暖房用途、屋根融雪,道路融雪などに代表される融雪
用途などに有効に利用することができる。特に、本発明
の方法により得られる導電性シートに保護層を設け、道
路表面に敷設する道路融雪用途などへ利用することがが
将来期待される。
【0051】(1).結晶性熱可塑性樹脂30〜90重
量%と導電性粒子70〜10重量%とからなる導電性組
成物を、T−ダイにより押出成形して導電性シートを成
形するにあたり、該T−ダイの幅方向の中央部の温度
〔TC (℃)〕と端部の温度〔TE (℃)〕の関係が次
式を満足する値となるように設定すると共に 0.6≧(TE −TC )/(TC )≧0.02 該T−ダイの幅方向の中央部のリップ間隙(LC )と端
部のリップ間隙(LE )の関係が次式を満足する値とな
るように設定して成形を行なうことを特徴とする導電性
シートの成形法。 2.3≧(LE −LC )/(LC )≧0.03
【0052】(2).結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフ
ィン樹脂である前記(1)記載の導電性シートの成形
法。
【0053】(3).導電性粒子がカーボンブラックで
ある前記(1)記載の導電性シートの成形法。
【0054】(4).結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフ
ィン樹脂であり、かつ、導電性粒子がカーボンブラック
である前記(1)記載の導電性シートの成形法。
【0055】(5).ポリオレフィン樹脂がエチレン系
共重合体である前記(4)記載の導電性シートの成形
法。
【0056】(6).結晶性熱可塑性樹脂と導電性粒子
とからなる導電性組成物が、混練により結晶性熱可塑性
樹脂が架橋化した導電性組成物である前記(1)記載の
導電性シートの成形法。
【0057】(7).押出機のシリンダー温度が、用い
る結晶性熱可塑性樹脂の融点より、少なくとも20℃以
上高い温度である前記(1)記載の導電性シートの成形
法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 B29L 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 47/00 - 47/96

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性熱可塑性樹脂30〜90重量%と
    導電性粒子70〜10重量%とからなる導電性組成物
    を、T−ダイにより押出成形して導電性シートを成形す
    るにあたり、該T−ダイの幅方向の中央部の温度〔TC
    (℃)〕と端部の温度〔TE (℃)〕の関係が次式を満
    足する値となるように設定すると共に 0.6≧(TE −TC )/(TC )≧0.02 該T−ダイの幅方向の中央部のリップ間隙(LC )と端
    部のリップ間隙(LE )の関係が次式を満足する値とな
    るように設定して成形を行なうことを特徴とする導電性
    シートの成形法。 2.3≧(LE −LC )/(LC )≧0.03
  2. 【請求項2】 結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹
    脂であり、かつ、導電性粒子がカーボンブラックである
    請求項1記載の導電性シートの成形法。
  3. 【請求項3】 結晶性熱可塑性樹脂と導電性粒子とから
    なる導電性組成物が、混練により結晶性熱可塑性樹脂が
    架橋化した導電性組成物である請求項1記載の導電性シ
    ートの成形法。
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JP6352209B2 (ja) * 2015-03-25 2018-07-04 富士フイルム株式会社 ポリエステルフィルム及びその製造方法、太陽電池用裏面保護シート、並びに太陽電池モジュール

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