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JP3471407B2 - 加工性に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性に優れた熱延鋼板の製造方法

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JP3471407B2
JP3471407B2 JP04730994A JP4730994A JP3471407B2 JP 3471407 B2 JP3471407 B2 JP 3471407B2 JP 04730994 A JP04730994 A JP 04730994A JP 4730994 A JP4730994 A JP 4730994A JP 3471407 B2 JP3471407 B2 JP 3471407B2
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JP
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rolled steel
steel sheet
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直樹 吉永
学 高橋
薫 川崎
一夫 小山
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Nippon Steel Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電、建材等
に用いられる加工性に優れた熱延鋼板を低コストで安定
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用鋼板に代表される加工用
鋼板の分野においては、素材費削減の観点から、従来よ
り用いられてきた冷延鋼板に代わって、薄手熱延鋼板の
需要が増加しつつある。しかしながら、このような薄手
熱延鋼板においては、圧延時の冷却が著しく速く進行す
るため、仕上げ温度がAr3 変態点(以下、Ar3 点)
を下回ることが多く、伸びの劣化、材質特性の異方性、
操業の不安定性等の問題の原因となっていた。
【0003】このような問題を改善すべく、Ar3 点を
低下させる目的でBを添加した熱延鋼板が開発されてい
る。特開昭63−76822号公報は、その代表的な技
術で、極低炭素鋼あるいは、低炭素鋼に0.0015〜
0.0045%のBを添加し、仕上げ温度をAr3 点以
上とすることにより、優れた加工性を有する熱延鋼板を
得るものである。また、特開昭63−216925号公
報、特開昭63−143224号公報、特開昭63−1
43225号公報には、Bの効果を助長する技術とし
て、TiやNbを添加する方法や熱延加熱温度を限定す
る方法についての開示がある。さらに、特開平2−10
4614号公報には、B添加鋼における材質の異方性を
改善するために、仕上げ圧延の最終スタンドでの圧下率
を規定する技術が開示されている。
【0004】しかしながら、Bは、速度論理にAr3
を低下させる元素であるため、Bを添加しても冷却速度
によっては、Ar3 点が充分に下がらなかったり、C量
によってBの効果が充分に発揮されなかったりして、熱
延の仕上げ温度がAr3 点以下となってしまい、加工性
の劣化や操業安定性の低下の原因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の薄手熱延鋼板に
おいては、板厚が薄いために冷却が速く進行し、熱延仕
上げ温度がAr3 点を下回り、加工性の劣化を招いた
り、操業を不安定にする要因となっていた。本発明の目
的は、Ar3 点を効果的にかつ安価に低下させることに
よって、加工性に優れた熱延鋼板を安定して製造する方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者らは、種々のC量を含有する鋼を用い
て、Ar3 点に及ぼすBの影響について鋭意検討した。
その結果を、BのAr3点に対する効果は、C量に極め
て大きく依存することを発見した。すなわち、Ar3
を充分に低下せしめるためには、0.0015%超のB
量が必要であり、かつ、0.01%以上のC量が必要で
あることが明らかとなった。C量が0.01%未満の場
合には、たとえBを多量に添加してもAr3 点はほとん
ど低下しないか、わずかに低下する程度である。さら
に、BとCとは、B(%)×C(%)>6×10-5を満
たす必要がある。
【0007】Bの効果にC量の依存性があることの理由
は、必ずしも明らかではないが、以下のような機構に基
づくものと推測される。すなわち、γ→α変態の進行に
はCのαからγへの拡散を伴う。このCの拡散をBが抑
制することによって変態が遅れ、Ar3 点が低下するも
のと思われる。また、BのAr3 点に及ぼす効果には、
冷却速度の影響も大きい。この観点で仕上げ熱延中の9
00℃以下での冷却速度は、10℃/s以上とする必要
がある。これが満たされないと、たとえCやB量が適当
であってもAr3 点が充分に低下せず、仕上げ圧延温度
がAr3 点以下となってしまう。
【0008】すなわち本発明による加工性に優れた熱延
鋼板の製造方法は以下の通りである。 (1)量%で、C :0.01〜0.1%、 M
n:0.03〜0.6%、Si:0.003〜0.5
%、 Al:0.01〜0.2%、P :0.05%以
下、 S :0.02%以下、N :0.007
%以下、 B :0.0015超〜0.01%、か
つB(%)×C(%)>6×10-5を満たす範囲で含有
し、残部は鉄および不可避的不純物よりなるスラブを仕
上げ熱延中の900℃以下での平均冷却速度を10℃/
s以上、仕上げ圧延温度をAr3 変態点以上855℃以
とする熱間圧延を行うことを特徴とする加工性に優れ
た熱延鋼板の製造方法。および、 (2)質量%でさらに、Ti:0.003〜0.05%
を含有する上記(1)記載の加工性に優れた熱延鋼板の
製造方法である。
【0009】
【作用】本発明における熱延鋼板の製造方法は、C量,
B量およびC量とB量との関係、さらに仕上げ熱延中の
900℃以下での平均冷却速度を限定することにより、
Ar3 点を効率的に低下させて、加工性に優れた熱延鋼
板を提供するものである。以下に本発明について詳細に
説明する。
【0010】まず、本発明の化学成分限定理由について
説明する。Cは、本発明において最も重要な元素の1つ
である。Cは、Bとの複合添加によって、Ar3 点を低
下させる効果を有する。したがって、0.01%以上添
加する。0.01%未満の添加では、Ar3 点を低下さ
せる効果が充分でなく、また、脱炭コストの上昇を招
く。一方、Cが0.1%を超えると加工性や時効性の劣
化を招くので、0.1%を上限とする。Ar3 点を充分
に低減させ、優れた加工性を確保するために好ましいC
の範囲は、0.015〜0.06%である。
【0011】Siは、その量の増加に伴って降伏強度が
上昇し、伸びが低下し、メッキ性を損なうので0.5%
以下とする。下限は製鋼コストの理由から0.003%
とする。Mnは、Ar3 点を低下させるのに有効な元素
である。ただし、0.6%を超えると合金コストが著し
く上昇し、伸びやメッキ性の劣化を招くので0.6%を
上限とする。また、0.03%未満では、固溶Sに基づ
く熱間脆化を誘発し、製鋼コストを上昇させるので、
0.03%を下限とする。製造コスト、熱間脆性、加工
性、メッキ性の観点から、0.1〜0.4%がMnの好
ましい範囲である。
【0012】Pは、偏析の激しい元素であるため、0.
05%超では熱間割れの原因となり、2次加工性も著し
く阻害される。さらに、Ar3 点も上昇してしまう。ま
た、溶融亜鉛メッキの合金化速度が著しく遅滞化される
ため0.05%以下とする。特に強度を上昇させる必要
のない場合には、0.02%以下が適正な範囲である。
Sは、その添加量を0.02%以下とする。S量が0.
02%超では、熱間割れが生じ易くなり、またSをMn
Sとして無害化するために必要なMn量も増加するので
0.02%を上限とする。
【0013】Alは、脱酸剤として少なくとも0.01
%を添加することが必要である。また、Nを固定するた
めにも0.01%の添加が必須である。Alが0.01
%未満では、NがAlN以外にBNを形成してしまい、
Bの効果が低下する。しかし、0.2%を超えるとコス
トアップとなるばかりか介在物の増加を招き、加工性を
劣化させる。0.02〜0.06%がAlの好ましい範
囲である。
【0014】Nは、その増加とともにAl等の窒化物形
成元素を増量しなければならずコスト高となるうえ、B
Nとして析出するB量が増加し、Ar3 点を低下させる
のに有効な固溶B量が減ってしまうので少ないほど望ま
しい。したがって、0.007%以下とする。好ましく
は0.003%以下とする。
【0015】Bは、本発明において最も重要な元素の1
つである。Bは、Cとの複合添加によって、Ar3 点を
低下させる効果を有する。したがって、0.0015%
超添加する。0.0015%以下の添加では、Ar3
を低下させる効果が充分でない。一方、Bが0.01%
を超えると加工性の劣化を招くので、これを上限とす
る。Ar3 点を充分に低減させ、優れた加工性を確保す
るために好ましいBの範囲は、0.0020%超〜0.
0060%である。
【0016】さらに、BとCは、B(%)×C(%)
が、6×10-5以上となるように添加しなくてはならな
い。すなわち、BやCは、いずれもAr3 点を低下させ
る元素であるが、両者が複合添加されてはじめて顕著な
効果を発現するからである。特にAr3 点を大きく低下
させたいときには、B(%)×C(%)>1×10-4
することが望ましい。
【0017】Tiは、0.003〜0.05%の範囲で
必要に応じて添加してもよい。TiはNをTiNとして
固定する効果を有し、BNとして析出するB量を減少さ
せることを通じてAr3 点を低下させる。0.003%
未満の添加では、Nを固定する効果が充分ではなく、
0.05%超添加しても大きな効果はなく、微細析出物
が増加し、加工性を劣化させたり、コストアップを招く
ので0.05%を上限とする。なお、本発明における鋼
のAr3 点は、850℃未満で、必要に応じて800℃
以下とすることも可能である。
【0018】上記成分を得るための原料は特に限定しな
いが、鉄鉱石を原料として、高炉、転炉により成分を調
製する方法以外にスクラップを原料としてもよいし、こ
れを電炉で溶製してもよい。スクラップを原料の全部ま
たは一部として使用する際には、Cu,Cr,Ni,S
n,Sb,Zn,Pb,Mo等の元素を含有してもよ
い。
【0019】次に製造プロセスに関する限定理由を述べ
る。熱間圧延に供するスラブは、特に限定するものでは
ない。すなわち、連続鋳造スラブや薄スラブキャスター
で製造したもの等であればよい。また、鋳造後に直ちに
熱間圧延を行う、連続鋳造−直接圧延(CC−DR)の
ようなプロセスにも適合する。
【0020】熱間圧延における加熱温度は1000〜1
300℃の範囲で、仕上げ熱延温度をAr3 点以上とす
るために必要な温度とすればよい。仕上げ熱延温度がA
3点以上855℃以下であれば、加熱温度はなるべく
低い方がよく、この観点で好ましくは、1150℃以下
とする。
【0021】仕上げ熱延中の900℃以下での冷却速度
は、本発明において特に重要である。すなわち、これを
10℃/s以上とする必要がある。10℃/s未満で
は、たとえC量とB量が適当であっても、Ar3 点が充
分に低下せず、圧延中にAr3点を下回ってしまう。冷
却速度を10℃/s以上とするためには、鋼板温度が9
00℃となる前に鋼板の板厚をなるべく薄くしておくこ
とが1つの方法である。この観点では、数スタンドから
なる仕上げ熱延工程において、前段での圧下率を高め、
900℃になる前の板厚を薄くしておくことが肝要であ
る。この他に、スタンド間冷却等を用いて、冷却速度を
制御してもよい。なお、Ar3 点をより効果的に低下さ
せるためには、冷却速度を20℃/s以上とすることが
好ましい。冷却速度の上限は特に限定するものではない
が、操業の安定性や鋼板の加工性の観点から60℃/s
程度までとするのがよい。熱間圧延は、粗圧延終了後に
バー接合して連続的に仕上げ熱延を行っても構わない。
【0022】仕上げ熱延後の冷却速度は、特に限定する
ものではないが、材質上は、なるべく徐冷するのがよ
い。これは、冷却速度が速すぎると、鋼板が硬質化する
ためである。熱延後の巻取り温度も特に限定するもので
はない。しかし、時効性を確保するためには、250℃
以上で巻取り、また、より優れた加工性を確保するため
には、550℃以上で巻取るのがよい。さらに、優れた
深絞り性の必要な冷延鋼板用の素材として用いる場合に
は、650℃以上で巻取ることが好ましい。
【0023】調質圧延は目的に応じて行う。すなわち、
形状矯正や表面粗度の調整、さらには時効性の確保の観
点から圧下率0.3%以上の調質圧延を施すことが好ま
しい。なお、調質圧延は、仕上げ熱延後にインラインで
行ってもよいし、巻取り後や酸洗後にオフラインで行っ
てもよい。なお、巻取り後には酸洗することが望まし
い。
【0024】本発明による熱延鋼板は、巻取り後や酸洗
後あるいは調質圧延後にそのまま製品としてもよいし、
これに種々の表面処理を施してもよい。さらに、この熱
延鋼板を冷延素材として用いても構わない。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例をもって詳細に述べ
る。 (実施例1)表1に示す化学成分を有する極低炭素鋼お
よび低炭素鋼を実機にて出鋼し、実機にて、加熱温度1
140℃、仕上げ熱延中の900℃以下での冷却速度3
0℃/s、仕上げ圧延後の冷却速度約10℃/s、巻取
り温度600℃の熱間圧延を施した。なお、板厚および
仕上げ圧延温度は種々変化させた。巻取り後、酸洗し、
圧下率1.0%の調質圧延を施し、引張試験に供した。
ここで、引張試験は、JIS5号試験片を用いて行っ
た。結果を表1に併記した。
【0026】表1から明らかなように、本発明の成分を
有する鋼では、Ar3 点が充分に低下するため、仕上げ
温度をAr3 点以上とすることができ、優れた材質を得
られることが分かる。これに対して、比較例では、Ar
3 点が充分に低下しないため、仕上げ温度を確保するこ
とができずしたがって材質が劣悪なものになった。
【0027】
【表1】
【0028】(実施例2)仕上げ熱延中の900℃以下
での冷却速度の影響について調査するために、実施例1
の表1に示した鋼No.7,20,21,22を用いて、
加熱温度1120〜1160℃、巻取り温度650℃と
する熱間圧延を施した。仕上げ温度は、鋼No.7および
20では、830〜840℃とし、鋼No.21および2
2では、それぞれ810〜815℃、795〜805℃
とした。なお、仕上げ圧延後の冷却速度は、約20℃/
sとした。また、鋼No.7,20,21,22の板厚
は、それぞれ、1.2,1.2,1.0,0.8mmとし
た。巻取り後、酸洗し、圧下率0.8%の調質圧延を施
し、引張試験に供した。ここで、引張試験は、JIS5
号試験片を用いて行った。結果を表2に記載した。
【0029】表2から明らかなように、本発明の熱延条
件、すなわち、仕上げ圧延中の900℃以下での冷却速
度を10℃/s以上とし、かつ、仕上げ圧延温度をAr
3 点以上855℃以下とした場合には、優れた材質を得
られることが分かる。これに対して比較例では、仕上げ
温度を確保することができずしたがって材質が著しく
劣化した。
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、Ar3
を効果的に低下させることによって、加工性に優れた熱
延鋼板を低コストで安定して製造することができ、冷延
鋼板の代替として使用することも可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 一夫 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平2−104614(JP,A) 特開 平5−271761(JP,A) 特開 昭62−205231(JP,A) 特開 昭64−31934(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C21D 9/46 - 9/48 C22C 38/00 - 38/60 B21B 1/00 - 3/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 量%で、 C :0.01〜0.1%、 Mn:0.03〜0.6%、 Si:0.003〜0.5%、 Al:0.01〜0.2%、 P :0.05%以下、 S :0.02%以下、 N :0.007%以下、 B :0.0015超〜0.01%、 かつB(%)×C(%)>6×10-5を満たす範囲で含
    有し、 残部は鉄および不可避的不純物よりなるスラブを仕上げ
    熱延中の900℃以下での平均冷却速度を10℃/s以
    上、仕上げ圧延温度をAr3 変態点以上855℃以下
    する熱間圧延を行うことを特徴とする加工性に優れた熱
    延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 量%でさらに、Ti:0.003〜
    0.05%を含有する請求項1記載の加工性に優れた熱
    延鋼板の製造方法。
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