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JP3465454B2 - 発電装置 - Google Patents

発電装置

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Publication number
JP3465454B2
JP3465454B2 JP33381195A JP33381195A JP3465454B2 JP 3465454 B2 JP3465454 B2 JP 3465454B2 JP 33381195 A JP33381195 A JP 33381195A JP 33381195 A JP33381195 A JP 33381195A JP 3465454 B2 JP3465454 B2 JP 3465454B2
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真 谷口
梅田  敦司
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02JCIRCUIT ARRANGEMENTS OR SYSTEMS FOR SUPPLYING OR DISTRIBUTING ELECTRIC POWER; SYSTEMS FOR STORING ELECTRIC ENERGY
    • H02J7/00Circuit arrangements for charging or depolarising batteries or for supplying loads from batteries
    • H02J7/14Circuit arrangements for charging or depolarising batteries or for supplying loads from batteries for charging batteries from dynamo-electric generators driven at varying speed, e.g. on vehicle
    • H02J7/1438Circuit arrangements for charging or depolarising batteries or for supplying loads from batteries for charging batteries from dynamo-electric generators driven at varying speed, e.g. on vehicle in combination with power supplies for loads other than batteries

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Control Of Charge By Means Of Generators (AREA)
  • Control Of Eletrric Generators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電装置に関し、
特に異なる定格電圧をもつ複数の電気負荷に並列給電可
能な車両用として好適な発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の車両用バッテリ及び電気負荷は1
2V定格であるが、近年、それよりも高い定格電圧の電
気負荷(以下単に高電圧負荷とも言う)を搭載する事が
行なわれており、このような高電圧負荷への給電は、通
常の12V定格のバッテリ及び電気負荷である低圧バッ
テリ及び低電圧負荷から切り離した発電機を高電圧発電
モードで発電して高電圧負荷に給電する発電電圧切換方
式を採用している。
【0003】例えば、実公昭63−84839号公報
は、三相星型電機子巻線の中性点を切り換えスイッチの
一方の切り換え出力端及び低電圧負荷を通じて接地する
一方、この三相星型電機子巻線の各出力端から出力され
る三相交流電圧を三相全波整流器で整流して切り換えス
イッチの他方の切り換え出力端及び高電圧負荷を通じて
接地し、上記切り換えスイッチでこれら両負荷への給電
を切り換えることを提案している。
【0004】しかし、このような高電圧発電時において
バッテリで低電圧負荷に給電する技術では、始動直後な
どバッテリ容量の低下時に低電圧負荷への給電電圧が低
下し、例えばエンジン制御装置(ECU)などの電子機
器に悪影響を及ぼす可能性が考えられる。このため、特
公昭61−33735号公報は、バッテリ電圧が所定レ
ベル以下に低下すると発電機をバッテリ充電側に自動的
に切り換えることを提案する。
【0005】また、特開平5−122863号公報は、
高電圧発電時におけるバッテリ電圧低下を回避するため
に、発電された高電圧をDC−DCコンバータのような
降圧装置を通じてバッテリに印加することを提案してい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高電圧
発電時にバッテリ電圧低下を検出して低電圧発電モード
に切り換える案は運転最中の高電圧負荷に重大な支障を
与える可能性があり、降圧装置の追加は装置規模の増大
を招く欠点がある。本発明は上記問題点に鑑みなされた
ものであり、装置構成の大規模化を抑止しつつ高電圧負
荷及び低電圧負荷の双方に同時給電可能な発電装置を提
供することを、その目的としている。
【0007】このような発電電圧切換方式の発電装置で
は、装置を高電圧発電可能な仕様で設計せざるを得ず、
装置が大型化してしまうという問題があった。具体的に
説明すれば、所定回転数での発電電圧は界磁束と電機子
巻線ターン数とに応じて変化するので、高電圧発電のた
めには磁気鉄心断面積、界磁巻線ターン数、界磁巻線断
面積、電機子巻線ターン数を低回転域で高電圧発電可能
な仕様にて設計する必要がある。しかるに、このような
高電圧負荷に給電する高電圧発電モードはたとえば除霜
用のデフロスタや排気ガス浄化用の触媒ヒータの駆動な
ど通常、低回転域において一時的に使用されるのが通常
であり、残りの大部分の期間は低電圧負荷及び低圧バッ
テリに給電される。したがって、このような残りの大部
分の期間においては界磁電流を低減した状態で用いねば
ならず、結局、単に一時的な高電圧運転だけのために、
高電圧発電のための磁気鉄心断面積、界磁巻線ターン
数、界磁巻線断面積、電機子巻線ターン数の増大による
発電機の体格、重量の増大を許容せねばならないという
苦痛があった。
【0008】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、発電機の体格、重量の増大を回避しつつ高電圧負
荷及び低電圧負荷の双方に同時給電可能な発電装置を提
供することを、その他の目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の装置によ
れば、星型接続された複数の電機子巻線の各出力端の発
電電圧が高圧整流手段で全波整流されて高電圧負荷の高
電位端に印加される際に、各電機子巻線の中性点の電圧
が低圧整流手段により整流されて低電圧負荷に印加され
る。なお、上記低圧整流手段の整流は、低圧整流手段を
通じての中性点から低電圧負荷への一方的な給電を意味
する。
【0010】このようにすれば、高低両負荷を互いに異
なる電圧で同時に駆動することができ、しかも回路構成
としては低圧整流手段の追加だけでよいという極めて優
れた効果が得られる。更に説明すると、その平均電圧値
が高圧整流手段から出力される高電圧(全波整流電圧)
の約1/2となり、基本周波数が発電電圧の相電圧の3
倍となる交流電圧が電機子巻線の中性点に発生するの
で、高電圧負荷に給電しない場合には高圧整流手段のロ
ーサイドスイッチ(トランジスタなどの3端子スイッチ
以外にダイオードすなわち2端子スイッチも包含するも
のとする)と低圧整流手段とを通じて中性点電圧の整流
電圧が低圧整流手段に印加され、高電圧負荷に給電する
場合には高圧整流手段により全波整流された直流電圧が
高電圧負荷に給電されるとともに中性点電圧の整流電圧
が低電圧負荷に印加され、両負荷が同時駆動される。バ
ッテリが低電圧負荷と並列接続される場合には、中性点
電圧の整流電圧がバッテリ電圧を超える場合に、正確に
は整流電圧が低圧整流手段の電圧降下とバッテリ電圧と
の和を超える場合に、バッテリが充電されることにな
る。当然、バッテリ電圧が低下すれば低圧整流手段の導
通時間が延長されて給電量が増加し、バッテリ電圧が上
昇すれば低圧整流手段の導通時間が短縮されて給電量が
減少し、バッテリ電圧は中性点電圧に連動する所定値に
維持されることになる。
【0011】請求項1記載の装置によれば更に、低圧整
流手段を半導体スイッチング素子で構成し、それを中性
点が低電圧負荷の高電位端より所定電位だけ高電位の場
合に導通させる。
【0012】
【0013】
【0014】このようにすれば、ダイオードのPN接合
順方向電圧降下による電力損失を解消することができ
【0015】
【0016】
【0017】請求項記載の装置によれば、星型接続さ
れた複数の電機子巻線から出力される発電電圧が高圧整
流手段で全波整流されて高電圧負荷に給電され、電機子
巻線の中性点の電圧(中性点電圧)が低圧整流手段で整
流されて低電圧負荷に給電される。また、電圧制御手段
は、高圧整流手段のハイサイド側の半導体整流手段及び
ローサイド側の半導体整流手段の少なくとも一方が有す
る半導体スイッチング素子(例えばMOSFET)を導
通制御して位相が電機子巻線の出力端の電圧(相電圧と
もいう)よりも進んだ進相電流を電機子巻線へ適量給電
して発電電圧を調節する。
【0018】このようにすれば、以下の作用効果を奏す
ることができる。第一に、装置構成の大規模化を抑止し
つつ高電圧負荷及び低電圧負荷の双方に同時給電可能な
発電装置を提供することができる。第二に、発電機の体
格、重量の増大を回避しつつ高電圧負荷及び低電圧負荷
の双方に同時給電可能な車両用発電装置を提供すること
ができる。詳しく説明すると、高圧整流手段が発電電圧
の全波整流電圧を高電圧負荷に給電するとき、星型接続
された電機子巻線の中性点には、上記全波整流電圧に対
してある割合の平均電圧値と独特の波形とを有する中性
点電圧が発生する。したがって、この中性点電圧を整流
して低電圧負荷に給電すれば、簡単な装置構成で高低同
時給電を実現することができる。
【0019】また、本構成では、電機子巻線に進相電流
を給電することにより発電電圧の増大を図るので、界磁
束発生用の電気回路及び磁気回路の負担増大を抑止しつ
つ、高電圧発電が可能となり、発電機の体格、重量の増
大を抑止しつつ高電圧負荷及び低電圧負荷の双方に同時
給電可能な発電装置を提供することができる。請求項
記載の装置によれば、請求項記載の装置において更
に、界磁電流制御により、高電圧負荷の非駆動時に低圧
整流手段の出力電圧を所定の低値に制御し、高電圧負荷
の駆動時に高圧整流手段の出力電圧を所定の高値に制御
する。これにより、高電圧負荷の非駆動時に低電圧負荷
に好適な低電圧を印加でき、高電圧負荷の駆動時に高電
圧負荷に好適な高電圧を印加できる。なお、好適例とし
て、上記所定の高値は、低圧整流手段の出力電圧が所定
の低値となる電圧値に設定される。このようにすれば、
高電圧負荷の断続にかかわらず、低電圧負荷には一定電
圧(低値)を印加することができる。
【0020】請求項記載の装置によれば、請求項2又
は3記載の装置において更に、進相電流給電を少なくと
も高電圧負荷駆動時に実施するので、請求項記載の装
置と同じく、発電機の体格、重量の増大を抑止しつつ高
電圧負荷及び低電圧負荷の双方に同時給電することがで
きる。請求項記載の装置によれば、請求項3又は4
載の装置において更に、高電圧負荷へ給電しない場合で
かつ界磁電流が所定値を超えない場合に進相電流の給電
を停止する。このようにすれば、進相電流による低圧整
流手段の整流(出力)電圧の変動増大を回避することが
できる他、進相電流の抵抗損失に起因する損失増大を防
止することができる。
【0021】請求項記載の装置によれば、請求項
のいずれか記載の装置において更に、高電圧負荷へ
給電しない場合でかつ界磁電流が所定値を超える場合に
進相電流の給電を行う。このようにすれば、低電圧負荷
へ大電流給電が必要な場合でも界磁系(界磁電気回路、
界磁磁気回路)の機能向上を図ることなく、単に電機子
電流の通電位相制御(進相電流制御)だけで出力増大を
図ることができ、特に発電電圧が低下しやすい低回転時
などにおいて有効である。
【0022】請求項記載の装置によれば、請求項2,
5,6のいずれか記載の装置において更に、高圧整流手
段の全波整流電圧を負荷切換スイッチによって高電圧負
荷給電時以外は低電圧負荷に印加する。このようにすれ
ば、中性点電圧を整流して低電圧負荷に印加するのに比
べて、電機子巻線の発電電圧レベルを大幅に低下させる
ことができるので、各種電力損失を大幅に削減すること
ができる。
【0023】請求項記載の装置によれば、請求項
のいずれか記載の装置において更に、低電圧負荷と
並列接続される低圧バッテリの端子電圧を所定の低値に
維持するように発電電圧が制御される。このようにすれ
ば、例えば定格12Vの車載の低圧バッテリの端子電圧
の変動を防止でき、それによって駆動される車両用の電
子機器や電気機器の動作不良を回避することができる。
なお、この場合、高電圧負荷に印加する全波整流電圧の
電位変動は大きくなるが、通常、高電圧負荷は一時的な
用途や電圧変動を許容可能な用途に用いられることが多
く、大きな問題とはならない。
【0024】また本実施例では、中性点が低圧整流手段
を通じて低圧バッテリに接続されるので、中性点電圧の
変動が抑止される。特に、進相電流通電時には発電電圧
の波形歪みの増大が大きいので中性点電圧の変動が大き
いが、この中性点電圧の変動抑止により、全波整流電圧
自体の変動も抑止することができる。請求項記載の装
置によれば、請求項乃至のいずれか記載の装置にお
いて更に、高電圧負荷給電時に高電位直流出力端の電位
が所定の高値となるように発電電圧を調節する。このよ
うにすれば、高電圧負荷にその定格電圧を印加すること
ができ、一定の供給電力量を安定供給することができ
る。
【0025】なお、この場合には、低電圧負荷やそれと
並列接続された低圧バッテリの電位が最適な低値から変
動する場合が生じるが、上述したように、通常は高電圧
負荷の使用は短時間であり、この間は、低圧バッテリの
充電又は放電により、低電圧負荷の印加電圧の変動を良
好に抑止することができる。請求項10記載の装置によ
れば、請求項乃至のいずれか記載の装置において更
に、低圧バッテリの端子電圧が所定の許容範囲を逸脱し
たかどうかを検出し、逸脱する場合に低圧バッテリの端
子電圧が所定の低値となるように発電電圧を調節する。
このようにすれば、許容電圧レベルを超えて変動するこ
とがなく、低圧バッテリの過放電や過充電や大きな端子
電圧変動を防止することができる。
【0026】請求項11記載の装置によれば、請求項
乃至10のいずれか記載の装置において更に、低圧整流
手段をダイオードで構成するので、回路構成が簡単とな
る。請求項13記載の装置によれば、請求項2,4,1
のいずれか記載の装置において更に、発電機が永久磁
石により界磁東を発生するので界磁コイル及びそれへの
給電機構を省略することができ、発電機の構成が簡単と
なる。また、例えばトランジスタからなる電圧調整用の
断続制御手段を必要な断続比率(デューティ比)で断続
して整流電圧を所定の高電圧に調節するので、電圧変動
を簡単に安定化することができる。なお、この装置にお
いて、進相電流は整流手段の複数相間の還流すなわち自
己短絡により、言い換えれば整流手段が電機子巻線を短
絡することにより流す。
【0027】なお、高電圧負荷が並列接続された高電圧
バッテリを含まない場合には高電圧負荷と並列に平滑コ
ンデンサを接続したり、高電圧負荷や平滑コンデンサと
整流手段の出力端との間にチョークコイルを介設したり
して、半導体スイッチング素子の断続により発生する交
流電圧成分を抑止することができる。ただし、高電圧負
荷が例えばデフロスタなどのように直流電圧であること
を要求しない負荷の場合にはノイズ電力の点で許される
範囲でこのような交流電圧成分抑止回路の小型化又は省
略を図ることができる。
【0028】
【実施例】
【0029】
【実施例】
(第1の実施例)本発明の発電装置の一実施例を図1に
示すブロック図を参照して説明する。この発電装置は、
三相同期発電機(車両用交流発電機)1と、その交流発
電電流を整流する三相全波整流器(高圧整流手段)3
と、直流の低電圧を出力するダイオード(低圧整流手
段)4と、発電電圧制御用のコントローラ(発電電圧制
御手段)5とからなる。なお、発電機1と三相全波整流
器3とコントローラ5とは一体に形成され、通常、オル
タネータと呼ばれている。
【0030】発電機1は、星型接続された電機子巻線1
a、1b、1c及び界磁巻線2を有し、電機子巻線1
a、1b、1cで生じた発電電圧はダイオード31〜3
6からなる三相全波整流器3により整流され、界磁巻線
2に通電される界磁電流はコントローラ5により制御さ
れる。界磁巻線2に界磁電流を通電し、電機子巻線1
a、1b、1cの内部を回転することにより、電機子巻
線1a、1b、1cに三相交流電圧が誘導される。
【0031】三相全波整流器3の高電位出力端30は高
電圧負荷開閉スイッチ6を通じて高電圧負荷13に給電
し、電機子巻線1a、1b、1cの中性点1dは低電圧
給電用のダイオード4を通じて低電圧負荷12及びバッ
テリ11に給電している。なお、三相全波整流器3の低
電位出力端は接地されている。コントローラ5は、マイ
コン構成を有し、界磁電流の導通率をPWM制御して必
要な発電電圧を発生させる。例えば、コントローラ5
は、バッテリ電圧VBを読み込み、バッテリ電圧VBが
13.5V(低値)となるように内蔵の出力スイッチン
グトランジスタ(図示せず)をPWM制御する。なお、
この時、三相全波整流器3の高電位出力端30の電圧は
約24Vとなる。
【0032】次に、この装置の動作を説明する。発電機
1を駆動するエンジンの始動直後において、スイッチ6
は不図示のエンジン制御装置(ECU)により開かれて
おり、コントローラ5の発電電圧設定用の内蔵レジスタ
(図示せず)には第1の調整電圧(低値)13.5Vが
セットされている。電機子巻線1a、1b、1cには中
性点の電圧をベクトル中心とする3相対称交流電圧が発
生しており、コントローラ5は、読み込んだバッテリ電
圧VBを第1の調整電圧13.5Vと比較して、バッテ
リ電圧VBが低い場合に界磁電流を通電し、バッテリ電
圧VBが高い場合に界磁電流を遮断する。
【0033】この実施例では、バッテリ11は中性点1
dから給電されている。したがって、中性点1dの電圧
Vmがバッテリ電圧VBにダイオード4の電圧降下分
(約0.8V)を加えた電圧(約14.3V)を超える
場合にバッテリ11が充電され、バッテリ11が低下す
れば、上述の原理で界磁電流が増加されて中性点1dの
電圧Vmが上昇し、バッテリ11への充電電流が増え、
逆の場合には界磁電流が減少されて中性点1dの電圧V
mが降下し、バッテリ11への充電電流が減少する。
【0034】次に、スイッチ6がECUにより閉じら
れ、コントローラ5がスイッチ6の閉成を検出すると、
コントローラ5の発電電圧設定用の内蔵レジスタ(図示
せず)には第2の調整電圧(高値)24Vがセットさ
れ、コントローラ5は、バッテリ電圧VBの代わりに三
相全波整流器3の高電位出力端30の全波整流電圧Vo
を読み込み、それを第2の調整電圧24Vと比較して、
全波整流電圧Voが低い場合に界磁電流を通電し、全波
整流電圧Voが高い場合に界磁電流を遮断する。これに
より、高電圧負荷13には平均値が略24Vとなる高電
圧が印加されることになる。なお、この時、電機子巻線
1a、1b、1cの中性点1dの電圧Vmは、約14.
3Vになるように設計されており、これにより発電機1
は高電圧負荷13を駆動するとともに、バッテリ11に
給電することもできる。
【0035】更に説明すると、ダイオード31〜36の
順方向電圧降下分を0.8Vとすれば、三相全波整流器
3は、24.8Vを超え、かつ他の2相よりも高い電圧
を発生している相のハイサイドダイオ−ドと、−0.8
Vより低く、かつ他の2相よりも低い電圧を発生してい
る相のローサイドダイオ−ドとの間で回路を形成し、3
相全波整流を実施する。この時、中性点1dは各相電圧
の3倍の周波数と、高電位出力端30の電圧Voの約1
/2の平均電圧をもち、中性点電圧Vmが14.3Vを
超える場合にバッテリ11に給電され、中性点電圧Vm
が14.3Vを下回るとこの給電が停止する。
【0036】この時、バッテリ電圧VBが低下すれば、
中性点1dからバッテリ11への給電電流が増大し、高
電位出力端30の出力電圧Voが低下し、これにより界
磁電流の導通率が増加されて発電電圧が増加され、バッ
テリ電圧11への給電電流が増加される。逆に、バッテ
リ電圧VBが増大すれば、バッテリ電圧11への給電電
流が減少される。この結果、出力電圧Voに基づく界磁
電流制御により高電圧負荷13への印加電圧を必要な値
に制御できるとともに、バッテリ電圧VBも一定範囲に
制御することができる。
【0037】本実施例の動作を図2のフロ−チャ−トに
示す。なお、このフロ−チャ−トはコントローラ5によ
り遂行される。まず、スイッチ6の状態を検出し(10
0)、スイッチ6がON状態であれば警告して(101
0)、ステップ100にリターンし、スイッチ6がOF
Fであれば内蔵のレジスタに第1の調整電圧13.5V
をセットし(102)、エンジン始動まで待機し(10
4)、エンジンが始動したら、スイッチ6の状態を再度
読み込み(106)、スイッチ6がオフかどうかを確認
し(108)、この初期状態ではスイッチ6がOFFで
あるので、レジスタに第1の調整電圧13.5Vをセッ
トし(110)、バッテリ電圧VBを検出し(11
2)、バッテリ電圧VBが13.5V以下かどうかを調
べ(114)、以下であれば界磁電流を増加し(11
6)、超えれば界磁電流を減少して(117)、ステッ
プ106にリターンする。
【0038】一方、ステップ108にて、スイッチ6が
オンしたことを確認すれば、レジスタに第2の調整電圧
24Vをセットし(120)、出力電圧Voを検出し
(122)、出力電圧Voが24V以下かどうかを調べ
(124)、以下であれば界磁電流を増加し(12
6)、超えれば界磁電流を減少して(127)、ステッ
プ106にリターンする。
【0039】本実施例の効果を図3及び表1に示す実験
結果により説明する。従来、バッテリ11は高電圧発電
時に放電し放しであったが、本実施例では高電圧負荷1
3の駆動時でもバッテリ電圧VBに最適な充電を行うこ
とができる。この実験例では、定格24Vの1.8KW
の高電圧負荷13には発電機1の回転数3000rpm
にて24Vで1.8KWの電力が給電できた。この時、
バッテリ11への給電電流は、バッテリ電圧VBが11
Vの時に55A、12Vの時に40A、13Vの時に3
0A、14Vの時に10Aであった。
【0040】すなわち、高電圧負荷13への出力電圧V
oを24Vに制御する場合において、バッテリ電圧VB
の変動に応じてその充電電流を良好に制御することがで
きた。
【0041】
【表1】 (実施例2)実施例2を図4を参照して説明する。
【0042】この実施例は、スイッチ6の代わりに負荷
切換スイッチ60を採用した点が異なり、それに合わせ
てコントローラ5の制御動作を多少修正している。負荷
切換スイッチ60の共通端子は三相全波整流器3の出力
端30に接続され、その一方の切り換え端子は高電圧負
荷13の高電位端に接続され、その他方の切り換え端子
は低電圧負荷12及びバッテリ11の高電位端に接続さ
れている。なお、界磁巻線2は三相全波整流器3の高電
位出力端30から給電されている。
【0043】コントローラ5は、負荷切換スイッチ60
の切り換え状態と負荷切換スイッチ60の共通端子の電
圧すなわち出力端30の出力電圧Voに基づいて界磁電
流を制御する。すなわち、コントローラ5は負荷切換ス
イッチ60の切り換え状態を検出し、負荷切換スイッチ
60が低電圧負荷12側に切り換えられている場合には
その内蔵レジスタに13.5V(低値)を設定し、負荷
切換スイッチ60が高電圧負荷13側に切り換えられて
いる場合にはその内蔵レジスタに24V(高値)を設定
する。
【0044】このようにすれば、高電圧負荷13の駆動
時には実施例1と同様にバッテリ11及び低電圧負荷1
2はダイオード4を通じて給電され、高電圧負荷13の
非駆動時にはバッテリ11及び低電圧負荷12は負荷切
換スイッチ60を通じて出力電圧Voが印加される。し
たがって、高電圧負荷13の非駆動時における必要界磁
電流を実施例1に比べて大幅に低減することができる。
【0045】この実施例のフロ−チャ−トを図5に示
す。このフローチャートは、図2のそれにほぼ同じであ
り、ただ、図2のステップ101をステップ10100
に置換し、図2のステップ112でバッテリ電圧VBを
入力し、ステップ114でバッテリ電圧VBを13.5
Vと比較する代わりに、ステップ1120で出力電圧V
oを入力し、ステップ1140で出力電圧Voを13.
5Vと比較するものである。
【0046】ステップ10100は、負荷切換スイッチ
60をバッテリ11側に切り換えたかどうかを判断する
ステップであり、バッテリ11側に切り換えてある場合
には低電圧発電モードとしてステップ102に進み、高
電圧負荷13側に切り換えてある場合にはステップ10
10に進んで警告を出す。本実施例によれば、コントロ
ーラ5は単一の電圧入力信号を検出すればよく、回路構
成が簡単となる。 (実施例3)実施例3を図6を参照して説明する。
【0047】この実施例は、実施例2の三相全波整流器
3に中性点電圧設定用のダイオード37、38を追加し
たものである。ダイオード37のアノードは中性点1d
に接続され、そのカソードは高電位出力端30に接続さ
れている。ダイオード38のアノードは接地され、その
カソードは中性点1dに接続されている。これらダイオ
ード37、38の作用を以下に説明する。
【0048】これらのダイオード37、38はいわゆる
エキサイタダイオ−ドであって、中性点1dの電位を所
定範囲に規定することにより図7に示すように特に高回
転時において出力電流の増大を実現するものである。す
なわち、中性点電圧Vmが出力電圧Vo+0.8Vを超
えるとダイオード37がオンし、これにより中性点電圧
Vmの最高値は出力電圧Vo+0.8Vに規定される。
同様に、中性点電圧Vmが接地電圧Vo−0.8Vを下
回るとダイオード38がオンし、これにより中性点電圧
Vmの最低値は接地電圧Vo−0.8Vに規定される。
このような中性点電圧Vmのクランプにより、中性点電
圧Vmからダイオード37、38を通じての電流が負荷
に給電されることになり、特に高回転域すなわち中性点
電圧Vmが高い場合において出力が増加する(エキサイ
タ効果)。
【0049】高電圧負荷13の駆動時において、ダイオ
ード4、38を通じてバッテリ11及び低電圧負荷12
にエキサイタ電流を給電する回路が構成され、このエキ
サイタ電流の分だけ、バッテリ11及び低電圧負荷12
に給電する電流も増大する。なお、この実施例のフロ−
チャ−トは図5と同じである。 (実施例4)実施例4を図8を参照して説明する。この
実施例は、実施例2のダイオ−ド4をオルタネータ(例
えば図1において破線で示す)の内部に設けず、オルタ
ネータには中性点出力端子Nのみを設けておき、ダイオ
−ド4をスイッチ60と同一基板61に搭載したもので
ある。このようにすれば、オルタネータ自体は中性点出
力端子Nを設ける以外は従来と同じであり、オルタネー
タの共通化を図ることができるとともに、部品点数を削
減することができる。 (実施例5)実施例5を図9を参照して説明する。この
実施例は、低圧整流手段として、ダイオード4の代わり
にNチャンネルMOSFET40を用いたものである。
このMOSFET40は、コントローラ5により制御さ
れる。具体的に説明すれば、高電圧負荷13に給電する
時において、中性点電圧Vmがバッテリ電圧VBより大
きいかどうかを調べ、大きい場合にMOSFET40を
オンし、そうでない場合にオフする。これにより、MO
SFET40によりバッテリ11を充電することができ
る。
【0050】なお、MOSFET40のPウエル領域
は、中性点1d側のN型領域に接続される。このように
すれば、このMOSFET40の上記Pウエル領域とバ
ッテリ側のN型領域とが構成する寄生ダイオード(図示
せず)を通じてバッテリ電圧が中性点1dに印加される
のが防止される。本実施例によれば、ダイオード4にお
いて避けることができないそのPN接合順方向電圧降下
に伴う電力損失を解消できる他、MOSFET40の開
閉タイミングの制御により、自由かつ界磁電流制御より
格段に急速に給電制御を行えるという優れた作用効果を
奏することができる。例えば、このような給電制御は、
発電機の負荷を高速に断続してエンジンなどの振動を低
減する場合など、高速の発電電流スイッチングが必要な
場合において、特に有効である。
【0051】本実施例の制御動作を図10のフロ−チャ
−トを参照して説明する。このフローチャートは図5の
フロ−チャ−トのステップ126、127の後で、ステ
ップ128〜134を実行するものである。ステップ1
28にて中性点電圧Vmを検出し、Vm>12.4Vで
あれば(130)、MOSFET40をONし(13
2)、そうでなければMOSFET40をOFFして
(134)、ステップ106に戻る。これにより、バッ
テリ11は低電圧負荷12の消費電流を無視すれば、1
2.4Vまで充電されることになる。 (実施例6)実施例6を図11を参照して説明する。こ
の実施例は、図8に示す実施例4において、ダイオード
4をMOSFET40に置換したものである。
【0052】なお、MOSFET40自体の動作は実施
例6のMOSFET40と同じである。このようにすれ
ば、実施例5で述べた作用効果を奏するとともに、更に
実施例4と同様にオルタネータの共通化を図ることがで
きるとともに、部品点数を削減することができる。 (実施例7)実施例7を図12を用いて説明する。本実
施例は実施例2(図4参照)において、発電機1の回転
子を、界磁巻線2をもつ界磁コイル型から永久磁石をも
つ界磁ロータ21に置換し、界磁巻線2へ流す界磁電流
を制御するレギュレータ5を省略し、チョッパ回路(断
続制御手段)52及び制御回路(レギュレータ)51を
設けた点が異なっている。
【0053】チョッパ回路52は、整流器3から出力さ
れる全波整流電圧Voがコレクタに印加されるnpnト
ランジスタ521と、そのエミッタと切り換えスイッチ
60の共通端子とを接続するチョークコイル523と、
アノードが接地されるとともにカソードがチョークコイ
ル523の入力端に接続されるダイオード522と、チ
ョークコイル523の出力端と接地間とに接続される平
滑コンデンサ524とから構成されている。ダイオード
522、チョークコイル523及びコンデンサ524は
公知の電圧平滑手段(高周波成分除去手段)を構成して
いる。
【0054】制御回路51の制御動作(図13参照)
は、図4におけるレギュレータ5の制御動作(図5参
照)と基本的に同じであるが、チョッパ回路52内のト
ランジシタ521を断続制御する点が異なっている。す
なわち、切り換えスイッチ60に出力される高電圧は、
チョッパ回路52及び制御回路51により調整される。
すなわち、制御回路51はスイッチ60の状態検出と出
力端子の出力電圧Voを検出し、出力電圧Voが所定値
(13.5V or 24V)より高ければトランジス
タ521をオフし、逆に出力電圧Voがこの所定値より
低ければオンして、低電圧負荷12又は高電圧負荷13
に出力する電圧を調整する。
【0055】制御回路51の制御動作例を図13に示す
フロ−チャ−トを参照して説明する。このフロ−チャ−
トは実施例2のフロ−チャ−ト(図5)に対してステッ
プ100〜1140、ステップ120〜1240までは
同じで異なるステップについてのみ説明する。スイッチ
60がバッテリ側に接続されている時、出力電圧Voが
所定値13.5Vを超える時にトランジスタ521をオ
フし(S117)、13.5Vに満たない時にトランジ
スタ521をオンする(S116)。また、スイッチ6
0が高電圧負荷側に接続されている時、出力電圧Voが
所定値24Vを超える時にトランジスタ521をオフし
(S127)、24Vに満たない時はトランジスタ52
1をオンする(S126)。
【0056】このようにすれば、永久磁石界磁型発電機
を用いても高低二種類の電気負荷を切り換え駆動するこ
とができ、かつ電圧レベルを所望値に調節することがで
きる。 (実施例8)本発明の車両用発電装置の一実施例を図1
4に示すブロック図を参照して説明する。
【0057】この車両用発電装置は、三相同期発電機
(車両用交流発電機)1と、その交流発電電流を整流す
る三相全波整流器(高圧整流手段)3と、直流の低電圧
を出力するダイオード(低圧整流手段)4と、発電電圧
制御用のコントローラ(電圧制御手段)5とからなる。
高圧整流手段3はMOSFET(半導体スイッチング素
子)31〜33からなるハイサイドのハーフブリッジ
と、ダイオード(半導体素子)34〜36からなるロー
サイドのハーフブリッジとから構成され、コントローラ
5はMOSFET31〜33のゲート駆動信号を算出し
増幅して出力するマイコン装置からなる。
【0058】次に、MOSFET31〜33について説
明する。ハイサイドスイッチであるMOSFET31
は、図15に示すようにNチャンネルタイプである。M
OSFET31は、発電時のドレイン領域である電機子
コイル側のN型領域と、その発電時のソース領域である
バッテリ側のN型領域と、ゲート電極31a直下のPウ
エル領域とを有し、このPウエル領域は電機子コイル側
のN型領域と短絡されて電位設定されている。したがっ
て、Pウエル領域とバッテリ側のN型領域との間のPN
接合が寄生ダイオード31bを形成している。また、電
機子コイル側のN型領域は低抵抗31cを通じて電機子
巻線1aに接続され、低抵抗31cの両端の電位Pa、
Vaが電流検出用にコントローラ5に出力される。低抵
抗31cは、半導体基板上に絶縁膜を介して配設された
所定抵抗率の多結晶半導体層又は金属配線などをパター
ニングして形成されている。おり、この低抵抗31Cの
電圧効果を検出することにより、チャンネル電流を検出
可能としている。
【0059】同様に、他相のMOSFET32、33も
同様の構成となっており、それらの低抵抗32c及び3
3cの両端の電位Pb、Vb及びPc、Vcがコントロ
ーラ5に出力される。また、寄生ダイオード31bと同
様に寄生ダイオード32b、33bが形成され、これら
寄生ダイオード31b、32b、33bは発電時の電流
経路にもなる。結局、相電圧Va〜Vcと電位Pa〜P
cとの間の各相電位差(電圧降下)からMOSFET3
1〜33の通過電流を検出することができる。
【0060】なお、ゲート電圧G1〜G3は充分に高
く、MOSFET31〜33は非飽和動作領域(すなわ
ち、チャンネルが空乏層でピンチオフされない動作モー
ド)で動作するものとする。発電機1と三相全波整流器
3とコントローラ5とは一体に構成され、通常、オルタ
ネータと呼ばれている。発電機1は、星型接続された電
機子巻線1a、1b、1c及び界磁巻線2を有し、電機
子巻線1a、1b、1cで生じた発電電圧はダイオード
34〜36およびMOSFET31〜33からなる三相
全波整流器3により整流され、界磁巻線2に通電される
界磁電流はコントローラ5により制御される。界磁巻線
2に界磁電流を通電し、電機子巻線1a、1b、1cの
内部を回転することにより、電機子巻線1a、1b、1
cに三相交流電圧Va、Vb、Vcが誘導される。
【0061】三相全波整流器3の高電位直流出力端30
は高電圧負荷開閉スイッチ6を通じて高電圧負荷13に
給電し、電機子巻線1a、1b、1cの中性点1dは低
電圧給電用のダイオード4を通じて低電圧負荷12及び
バッテリ11に整流電圧を給電している。三相全波整流
器3の低電位直流出力端は接地されている。コントロー
ラ5は、マイコン構成を有し、界磁電流の導通率をPW
M制御して必要な発電電圧を発生させる。
【0062】以下、コントローラ5の基本制御動作を説
明する。コントローラ5は、高電圧負荷非駆動時、バッ
テリ電圧VBを読み込み、バッテリ電圧VBが13.5
V(低値)となるように内蔵の界磁スイッチングトラン
ジスタ(図示せず)をPWM制御して界磁電流を調節す
る。なお、本実施例では、この時の三相全波整流器3の
高電位出力端30の電圧Voの平均値は約24Vとな
る。
【0063】また、コントローラ5は、高電圧負荷駆動
時、高圧整流器出力端子の電圧Voを読み込み、Voが
24V(高値)となるように内蔵の界磁スイッチングト
ランジスタ(図示せず)をPWM制御する。この時、界
磁スイッチングトランジスタの導通率が100%に達し
ても、Voが24V未満であれば、MOSFET31〜
33のターンオフ時点を遅延し、電機子巻線1a、1
b、1cに相電圧Va、Vb、Vcより位相が進んだ進
相電流を通電する。これにより発電電圧を増大する。
【0064】次に、本実施例の発電装置の動作を説明す
る。発電機1を駆動するエンジンの始動直後において、
スイッチ6は不図示のエンジン制御装置(ECU)によ
り開かれており、コントローラ5の発電電圧設定用の内
蔵レジスタ(図示せず)には第1の調整電圧(低値)1
3.5Vがセットされている。電機子巻線1a、1b、
1cには中性点の電圧をベクトル中心とする3相対称交
流電圧が発生しており、コントローラ5は、読み込んだ
バッテリ電圧VBを第1の調整電圧13.5Vと比較し
て、バッテリ電圧VBが低い場合に界磁電流を通電し、
バッテリ電圧VBが高い場合に界磁電流を遮断する。
【0065】この実施例では、バッテリ11は中性点1
dから給電されている。したがって、中性点1dの電圧
Vmがバッテリ電圧VBにダイオード4の電圧降下分
(約0.8V)を加えた電圧(約14.3V)を超える
場合にバッテリ11が充電され、バッテリ11が低下す
れば、上述の原理で界磁電流が増加されて中性点1dの
電圧Vmが上昇し、バッテリ11への充電電流が増え、
逆の場合には界磁電流が減少されて中性点1dの電圧V
mが降下し、バッテリ11への充電電流が減少する。
【0066】次に、スイッチ6がECUにより閉じら
れ、コントローラ5がスイッチ6の閉成を検出すると、
コントローラ5の発電電圧設定用の内蔵レジスタ(図示
せず)には第2の調整電圧(高値)24Vがセットさ
れ、コントローラ5は、バッテリ電圧VBの代わりに三
相全波整流器3の高電位出力端30の全波整流電圧Vo
を読み込み、それを第2の調整電圧24Vと比較して、
全波整流電圧Voが低い場合に界磁電流を通電し、全波
整流電圧Voが高い場合に界磁電流を遮断する。
【0067】ここで界磁電流が最大つまり界磁スイッチ
ングトランジスタの導通率が100%に達していてもV
0 <24Vであれば、前述したようにMOSFET31
〜33のターンオフタイミングを遅延して進相電流を増
加し、Voが高い場合に進相電流を減少する。これによ
り、高電圧負荷13には平均値が略24Vとなる全波整
流電圧が印加されることになる。なお、この時、電機子
巻線1a、1b、1cの中性点1dの電圧Vmは、約1
4.3Vになるように設計されており、これにより発電
機1は高電圧負荷13を駆動するとともに、バッテリ1
1に給電することもできる。
【0068】更に説明すると、ダイオード34〜36の
順方向電圧降下分を0.8V、MOSFET31〜33
の電圧降下分を約0.4Vとすれば、三相全波整流器3
は、24.4Vを超え、かつ他の2相よりも高い電圧を
発生している相のハイサイドMOSFETと、−0.8
Vより低く、かつ他の2相よりも低い電圧を発生してい
る相のローサイドダイオードとの間で回路を形成し、三
相全波整流を実施する。この時、中性点1dは各相電圧
の3倍の周波数と、高電位出力端30の電圧Voの約1
/2の平均電圧とをもつ中性点電圧Vmが12.8V
(=バッテリ電圧VB+ダイオード4の電圧降下0.8
V)を超えるとバッテリ11が充電され、中性点電圧V
mがそれを下回るとこの充電が停止する。
【0069】ここで、もしバッテリ電圧VBが低下する
と、中性点1dからバッテリ11への給電電流が増大
し、高電位直流出力端30の出力電圧Voが低下する。
上述したように出力電圧Voは、高電圧負荷給電時に、
界磁電流又は進相電流の制御により一定化されているの
で、出力電圧Voの低下は界磁電流又は進相電流の増強
による発電電圧の増大により補償される。
【0070】逆に、バッテリ電圧VBが増大すれば、中
性点1dからバッテリ電圧11への給電電流が減少し、
高電位直流出力端30の出力電圧Voが増大する。上述
したように出力電圧Voは、高電圧負荷給電時に、界磁
電流又は進相電流の制御により一定化されているので、
出力電圧Voの増大は界磁電流又は進相電流の削減によ
る発電電圧の低下により補償される。
【0071】すなわち、高電圧負荷13へ給電する場合
に、高電圧負荷への出力電圧Voが一定値になるように
発電電圧を制御すると、たとえ低電圧負荷12及びバッ
テリ12への出力電圧(バッテリ端子電圧)の変動が生
じてもそれに応じて低電圧負荷12及びバッテリ12へ
の出力電流が良好に増減できるという作用効果を奏する
ことができる。
【0072】コントローラ5の具体的な制御動作例を図
16のフローチャートを参照して説明する。まずスイッ
チ6の状態を検出し(100)、スイッチ6がON状態
であれば警告して(1010)、ステップ100にリタ
ーンし、スイッチ6がOFFであれば内蔵のレジスタに
調整電圧Vrefとして13.5Vをセットし(10
4)、エンジン始動まで待機し(106)、エンジンが
始動したら、スイッチ6の状態を再度読み込み(10
8)、スイッチ6がオフかどうかを確認し(110)、
スイッチ6がOFFであれば、ステップ112へ進んで
Vrefを13.5Vにセットし、MOSFET31〜
33を全てOFFし(114)、バッテリ電圧VBを検
出し(116)、バッテリ電圧VBが13.5V以下か
どうかを調べ(118)、以下であれば界磁電流を所定
量だけ増加し(122)、超えれば界磁電流を所定量だ
け減少して(120)、ステップ108にリターンす
る。
【0073】一方、ステップ110にて、スイッチ6が
オンしていれば、レジスタに調整電圧として24Vをセ
ットし(130)、出力電圧Voを検出し(132)、
出力電圧Voが24V以下かどうかを調べ(134)、
以下であればMOSFET31〜33を後述する制御タ
イミングで順番に導通させた後、MOSFET31〜3
3のターンオフタイミングを遅延して進相電流を所定量
だけ増加させ(136)、ステップ141へジャンプす
る。出力電圧Voが24V以上であれば、MOSFET
31〜33のターンオフ遅延時間T2 が0か(非進相モ
ード)否か調べ(138)、T2 が0であればステップ
141へジャンプし、T2 が0でなければT2 を所定量
だけ減少させて(140)、ステップ141へ進む。
【0074】ステップ141では、まだ出力電圧Voが
24V以下かどうかを調べ、以下であれば界磁電流を増
加し、そうでなければ界磁電流を減少してステップ10
8へ進む。次に、進相電流給電による発電電圧制御の具
体例について図17〜図20を参照して説明する。ただ
し、本実施例では、進相電流給電は高電圧負荷13に給
電する場合(高電圧発電モード)においてのみ採用され
る。図17は進相電流通電を実施しない場合のa相電圧
Va、a相電流iaと、素子31、34の動作タイミン
グとの関係を示すタイミングチャートであり、図18は
進相電流通電を実施する場合のa相電圧Va、a相電流
iaと、素子31、34の動作タイミングとの関係を示
すタイミングチャートであり、図19は進相電流通電を
実施する場合のMOSFET31〜33開閉用のフロー
チャートであり、図20は進相電流通電を実施しない場
合のMOSFET31〜33開閉用のフローチャートで
ある。
【0075】この実施例では、ハイサイドスイッチであ
るMOSFET31aのターンオフタイミングは、その
相電流が正から負になる時点t1 よりT2 だけ遅れた時
点t 1 ’に実施され、他のハイサイドスイッチであるM
OSFET32、33のターンオフタイミングも同様で
ある。一方、MOSFET31〜33のターンオンタイ
ミングは、本実施例では、ターンオフタイミングから略
180度位相期間後まで延長している。このようにすれ
ば、このターンオフ時点の遅延により進相電流成分がバ
ッテリ11から各電機子巻線1a、1b、1cに給電さ
れ、これにより有効な界磁束が実質的に増強される。例
えば、MOSFET31は、図18に示すようにt1に
達してもOFFせず、期間T2だけOFFタイミングを
遅らせる。この結果、MOSFET31はバッテリ11
から電機子コイル1aへ電流を引き込むことができ、こ
れにより増磁作用を生むα(図18参照)だけ位相が進
んだ電流(進相電流)がステータコイル1aに供給され
ることになる。ここで充電期間T1とOFF遅延期間T
2との和は電気角で180°以下にする必要がある。こ
れら一連の制御をb相には電気的に120°遅らせて
(1周期の1/3の期間遅延して)、c相には電気的に
120°進ませて(1周期の2/3の期間遅延して)制
御することで3相の進相制御が可能となる。
【0076】図19のフローチャートにより、進相制御
モードを行うサブルーチンの一例を説明する。このサブ
ルーチンは図16のメインルーチンとは独立に定期的に
実行されるものとする。まず、このルーチンを実行する
のが初回か2回目以降かを判定するフラグF2が1かど
うかを調べ(200)、2回目以降(F2=1)であれ
ば、ステップ206に飛び、初回(F2=0)であれ
ば、各MOSFET31〜33の導通(オン)動作だけ
を図20の非進相制御ルーチンを用いて行い(20
2)、フラグF2を1にセットしてステップ206に進
む(204)。なお、フラグF2は電源電圧投入時に0
にリセットされるものとする。
【0077】ステップ206では、まず、ハイサイドス
イッチ31がオンしている期間においてハイサイドスイ
ッチ31の電流すなわち電機子電流iaが正から負へ、
すなわち固定子巻線1aから高電位直流出力端へ流出す
る向きから固定子巻線1aへ流入する向きに変化したか
どうかを調べ(206)、変化したら内蔵タイマaをス
タートし(208)、変化しなければステップ210へ
進む。
【0078】ステップ210では、まず、ハイサイドス
イッチ32がオンしている期間においてハイサイドスイ
ッチ32の電流すなわち電機子電流ibが正から負へ、
すなわち固定子巻線1bから高電位直流出力端へ流出す
る向きから固定子巻線1bへ流入する向きに変化したか
どうかを調べ(210)、変化したら内蔵タイマbをス
タートし(212)、変化しなければステップ214へ
進む。
【0079】ステップ214では、まず、ハイサイドス
イッチ33がオンしている期間において、ハイサイドス
イッチ33の電流すなわち電機子電流icが正から負
へ、すなわち固定子巻線1cから高電位直流出力端へ流
出する向きから固定子巻線1cへ流入する向きに変化し
たかどうかを調べ(214)、変化したら内蔵タイマc
をスタートし(216)、変化しなければステップ21
8へ進む。
【0080】ステップ218では、タイマaがオーバー
したかどうかすなわち所定の遅延時間(進相電流通電時
間)ΔT=T2 だけ経過したかどうかを調べ、オーバー
していなければ直接にステップ224に進み、オーバー
していれば、ハイサイドスイッチ31をオフし、タイマ
aを0にリセットしてからステップ224へ進む。ステ
ップ224では、タイマbがオーバーしたかどうかすな
わち所定の遅延時間ΔT=T2 だけ経過したかどうかを
調べ、オーバーしていなければ直接にステップ230に
進み、オーバーしていれば、ハイサイドスイッチ32を
オフし、タイマbを0にリセットしてからステップ23
0へ進む。
【0081】ステップ230では、タイマcがオーバー
したかどうかすなわち所定の遅延時間ΔT=T2 だけ経
過したかどうかを調べ、オーバーしていなければ直接に
メインルーチンへ戻る。オーバーしていれば、ハイサイ
ドスイッチ33をオフし、タイマcを0にリセットして
からメインルーチンへ戻る。なお、電機子電流iaは低
抵抗31cの電圧降下で検出でき、電機子電流ib、i
cも同じように検出される。
【0082】このようにすれば、このターンオフ時点の
遅延により進相電流成分がバッテリ11から各電機子コ
イル1a、1b、1cに給電され、これにより発電に有
効な界磁束が増強される。例えば、MOSFET31
は、t1に達してもOFFせず、期間ΔT=T2 だけタ
ーンオフが遅延する。これにより、バッテリ11から電
機子巻線1a〜1cへ電流を引き込むことができ、これ
により増磁作用を生むα(図18参照)だけ位相の進ん
だ電流が電機子巻線1aに供給されることになる。ここ
で充電期間T1 と遅延期間ΔT=T2 との和は電気角で
180°以下にする必要がある。なお、a相に対してb
相を電気的で120°遅らせ、c相を電気的に120°
進ませて制御しても3相の進相制御が可能となる。
【0083】なお上記実施例では、各MOSFET31
〜33はそれぞれ180度期間だけオンするようにした
が、オン期間は180度未満としてもよい。この場合に
は、各相のインバータ回路においてそれぞれハイサイド
スイッチ及びローサイドスイッチ(ダイオード)の両方
がオフする期間が生じるので、この場合には、以下のよ
うに制御を行えばよい。
【0084】例えば、a相について説明すれば、ハイサ
イドスイッチ31及びローサイドダイオード34がオフ
している期間に、a相の固定子巻線1aの相電圧Vaが
三相全波整流器3の高電位直流出力端の出力電圧Voよ
り高くなればハイサイドスイッチ31をオンする。一
方、オンしたハイサイドスイッチ31のオフは、上記と
同様に相電圧Vaが出力電圧V0 より低くなってから所
定の遅延期間ΔT後、実施すればよい。b、c相の制御
も同じである。なお、上記素子開閉制御はa相だけに行
い、b、c相のスイッチの制御はa相スイッチングタイ
ミンを120度ずらして行うこともできる。
【0085】本実施例によれば高電圧負荷駆動時にバッ
テリ及び低電圧負荷に同時に電力供給できるだけでなく
高圧側、低圧側をそれぞれ独立して出力電圧制御できる
ため、バッテリの状態に左右されることなく、特にバッ
テリ電圧VBが低下している際にも高電圧負荷13を最
適電圧で駆動できる。なお、高電圧負荷非駆動時にはM
OSFET31〜33をオフするものの、MOSFET
の寄生ダイオード312a、322b、332cとロー
サイドハーフブリッジダイオード34〜36で全波整流
器が構成されることになるが、スイッチ6が開のため電
流は流れない。
【0086】更に、上記実施例では、三相全波整流器3
のハイサイドスイッチ(ハイサイド側の整流素子をい
う)にMOSFET31〜33を用いたが、そのローサ
イドスイッチに用いてもよく、両方に用いてもよいこと
は当然である。更に、低圧整流手段をなすダイオード4
はトランジスタとしてもよいことは当然である。例えば
バイポーラトランジスタを非飽和動作させてそのエミッ
タ、コレクタ電圧を略等しくなるようにベース電流を注
入すれば、ダイオードの電圧降下を回避して電力損失を
低減することができる。また、ダイオード4をスイッチ
ング素子と制御手段で構成すればバッテリ状態によらず
よりきめ細かな電力コントロールができる。
【0087】また、本実施例では、電流センサー付MO
SFETを利用したが、ロータリエンコーダ等の界磁極
位置検出装置を利用し、この位置信号に基づいてMOS
FETのON/OFFを制御すればより正確に制御でき
る。 (実施例9)実施例9を図21を参照して説明する。こ
の実施例は、実施例14の開閉スイッチ6の代わりに高
電位直流出力端30を高電圧負荷13側あるいはバッテ
リVB側のどちらかへ切り換える切換スイッチ60にて
構成したものである。図22のフローチャートに示すそ
の制御動作自体は、図16に示す実施例8の制御動作と
本質的に同じであり、ただ、そのステップ102にてス
イッチ6のオンがなされているかどうかを判定する代わ
りにステップ1020にて切換スイッチ60が高電圧負
荷13側に倒されているかどうかを判別する点、また同
様に、ステップ110にてスイッチ6のオンがなされて
いるかどうかを判定する代わりにステップ1100にて
切換スイッチ60が高電圧負荷13側に倒されているか
どうかを判別する点だけが異なっているが、これらステ
ップすべて高電圧負荷13に給電中かどうかを調べるも
のであり、機能的には同じである。 (実施例10)実施例10を図23を参照して説明す
る。
【0088】図23のフローチャートは実質的に図16
又は図22のフローチャートのステップ108以降を変
更したものであるので、ステップ108以降を説明す
る。まず、ステップ108にてスイッチ6のオン又は切
換スイッチ60が高電圧負荷13側へ倒れていることを
検出した場合、すなわち高電圧負荷13に給電中である
場合、出力電圧Voを読み込み(202)、その平均電
圧Vomを算出し(204)、算出した平均電圧Vom
が24V未満かどうかを調べ(206)、未満でなけれ
ば進相電流通電中かどうかを調べ(208)、通電中で
あれば進相電流通電量を所定量削減し(210)、その
後、ステップ106へリターンする。
【0089】ステップ208にて進相電流通電中でなけ
れば界磁電流Ifを所定量削減して(212)、ステッ
プ106へリターンする。ステップ206にて平均電圧
Vomが24V未満であれば界磁電流Ifを制御するた
めのスイッチングトランジスタのPWM制御オンデュー
ティ比が100%かどうかを調べ(214)、100%
でなければIfを所定量増加して(216)、ステップ
106へリターンする。ステップ214にて界磁電流I
fを制御するためのスイッチングトランジスタのPWM
制御オンデューティ比が100%であれば、進相電流通
電量が最大かどうか(なお、最大とはその回転域での発
電電圧が最大となる値とし、あらかじめ設定されている
ものとする)を調べ(218)、最大であれば直接、最
大でなければ進相電流を所定量増加して(220)、ス
テップ106へ進む。
【0090】次に、ステップ108にてスイッチ6のオ
フ又は切換スイッチ60が低電圧負荷12側へ倒れてい
ることを検出した場合、すなわち高電圧負荷13に給電
中でない場合、バッテリ電圧VBを読み込み(20
0)、その平均電圧VBmを算出し(224)、算出し
た平均電圧VBmが13.5V未満かどうかを調べ(2
26)、未満でなければ進相電流通電中かどうかを調べ
(228)、通電中であれば進相電流通電量を所定量削
減し(230)、その後、ステップ106へリターンす
る。ステップ228にて進相電流通電中でなければ界磁
電流Ifを所定量削減して(234)、ステップ106
へリターンする。ステップ226にて平均電圧Vomが
24V未満であれば上述したステップ214へ進む。
【0091】このように制御すれば以下の作用効果を奏
する。まず、この実施例では、高電圧負荷13に給電す
るかどうかにかかわらず、発電不足状態であればまず界
磁電流Ifを増大してそれでも不足する場合に進相電流
を通電し、発電過剰状態であればまず進相電流通電を削
減してそれでも過剰する場合に界磁電流Ifを削減する
ので、進相電流通電によるリップル増大に伴う電圧変動
を低減することができ、また、進相電流通電による電力
損失を低減することができ、かつ、小型軽量の発電機の
出力増大を実現することができる。
【0092】また、高電圧負荷13へ給電する場合に
は、高電圧負荷13の出力電圧Voを優先してその調整
電圧24Vに保つ制御を行うが、前述したように、ダイ
オード4を通じたバッテリ充電電流が増大すると出力電
圧Voが低下し、ダイオード4を通じたバッテリ充電電
流が減少すると出力電圧Voが上昇するので、バッテリ
電圧VBも許容範囲に維持することができる。 (実施例11)実施例11を図24を参照して説明す
る。
【0093】図24のフローチャートは図23のフロー
チャートのステップ106、108、202〜212を
省略したものである。すなわち、本実施例によれば、高
電圧負荷13へ給電するしないにかかわらず、バッテリ
11の平均電圧VBmを調整電圧13.5Vに維持する
制御を行う。このようにすれば、以下の作用効果を奏す
る。まず、高電圧負荷13の電圧変動はある程度の範囲
で通常許容されるがバッテリ11の電圧変動は電子機器
などの誤動作を招く可能性が考慮されるので、本実施例
によれば制御優先順位が高いバッテリ11の電圧変動を
抑止することができる。なお、高電圧負荷13への通電
電流が増大すると中性点電圧Vmが低下し、バッテリ1
1への給電電流量が減るので、バッテリ電圧VBが低下
し、発電電圧増大向きに制御が働き、その逆の場合には
発電電圧減少向きに制御が働くので、本実施例でも間接
的に出力電圧Voも一定範囲に制御することができる。 (実施例12)実施例12を図25を参照して説明す
る。
【0094】この実施例は、図25のフローチャートに
示すように、図23のフローチャートのステップ202
をステップ2020に、ステップ204をステップ20
40に置換し、更に、ステップ204とステップ206
との間にステップ205を追加したものである。すなわ
ち、ステップ2020では出力電圧Vo及びバッテリ電
圧VBを読み込み、ステップ2040ではそれらの平均
値であるVom、VBmを算出する。そして、ステップ
205では、バッテリ電圧VBの平均値VBmが、所定
の最低許容値VBthLから所定の最高許容値VBth
Hまでの範囲内かどうかを調べ、範囲内であればステッ
プ206へ進む。そして範囲外であれば、バッテリ電圧
VBをこの許容範囲内に至急、引き戻すべくステップ2
26へジャンプする。
【0095】このようにすれば、図23の実施例におい
てなんらかの原因でバッテリ電圧VBが許容範囲外に逸
脱して過充電や過放電となるという不具合を回避するこ
とができる。なお、上記実施例では、双方向に導通可能
な半導体整流手段にMOSFETを用いたが、これはバ
イポーラトランジスタ(例えば、IGBT)にダイオー
ドを逆方向に並設して構成してもよい。 (実施例13)実施例13を図26を用いて説明する。
本実施例は実施例9(図21参照)において、発電機1
の回転子を、界磁巻線2をもつ界磁コイル型から永久磁
石をもつ界磁ロータ21に置換し、界磁巻線2へ流す界
磁電流を制御するレギュレータ5を省略し、チョッパ回
路(断続制御手段)52及び制御回路(レギュレータ)
51を設けた点が異なっている。
【0096】チョッパ回路52は、整流器3から出力さ
れる全波整流電圧Voがコレクタに印加されるnpnト
ランジスタ521と、そのエミッタと切り換えスイッチ
60の共通端子とを接続するチョークコイル523と、
アノードが接地されるとともにカソードがチョークコイ
ル523の入力端に接続されるダイオード522と、チ
ョークコイル523の出力端と接地間とに接続される平
滑コンデンサ524とから構成されている。ダイオード
522、チョークコイル523及びコンデンサ524は
公知の電圧平滑手段(高周波成分除去手段)を構成して
いる。
【0097】制御回路51の制御動作(図27参照)
は、図21におけるレギュレータ5の制御動作(図22
参照)と基本的に同じであるが、チョッパ回路52内の
トランジシタ521を断続制御する点が異なっている。
すなわち、切り換えスイッチ60に出力される高電圧
は、チョッパ回路52及び制御回路51により調整され
る。すなわち、制御回路51はスイッチ60の状態検出
と出力端子の出力電圧Voを検出し、出力電圧Voが所
定値(13.5V or 24V)より高ければトラン
ジスタ521をオフし、逆に出力電圧Voがこの所定値
より低ければオンして、低電圧負荷12又は高電圧負荷
13に出力する電圧を調整する。
【0098】制御回路51の制御動作例を図27に示す
フロ−チャ−トを参照して説明する。このフロ−チャ−
トは図22に示すフロ−チャ−トに対してほぼ同じで異
なるステップについてのみ説明する。スイッチ60がバ
ッテリ側に接続されている時、出力電圧Voが所定値1
3.5Vを超える時にトランジスタ521をオフし(S
122)、13.5Vに満たない時にトランジスタ52
1をオンする(S120)。また、スイッチ60が高電
圧負荷側に接続されている時、出力電圧Voが所定値2
4Vを超える時にトランジスタ521をオフし(S14
2)、24Vに満たない時はトランジスタ521をオン
する(S143)。
【0099】このようにすれば、永久磁石界磁型発電機
を用いても高低二種類の電気負荷を切り換え駆動するこ
とができ、かつ電圧レベルを進相電流制御及び界磁電流
制御の2つの制御モードにより所望値に調節することが
できる。 (実施例14)実施例14を図28を用いて説明する。
本実施例は図16において、ステップ141〜143を
省略し、ステップ136及び140からステップ116
へジャンプし、更にステップ118においてVrefを
13.5Vに固定するものである。
【0100】このようにすれば、高電圧負荷駆動時にお
いて高電圧負荷13に印加する高電圧(全波整流電圧)
Voは進相電流制御(ステップ132〜140)により
調節し、この時、低電圧負荷12及びバッテリ11に印
加する低電圧は界磁電流制御(ステップ116〜12
2)により調節することができる。 (実施例15)実施例15を図29を用いて説明する。
本実施例は図22において、ステップ141〜143を
省略し、ステップ136及び140からステップ116
へジャンプし、更にステップ118においてVrefを
13.5Vに固定するものである。
【0101】このようにすれば、実施例14と同様に、
高電圧負荷駆動時において高電圧負荷13に印加する高
電圧(全波整流電圧)Voは進相電流制御(ステップ1
32〜140)により調節し、この時、低電圧負荷12
及びバッテリ11に印加する低電圧は界磁電流制御(ス
テップ116〜122)により調節することができる。
すなわち、高電圧負荷非給電時には通常のように界磁電
流の増減により発電電圧を調節してバッテリ電圧VBを
所望値に制御する。一方、高電圧負荷給電時にはまず進
相電流通電量の制御により高電圧負荷への給電電圧Vo
を制御した後、バッテリ電圧VBを界磁電流制御にて調
節しているので、両電圧Vo、VBをそれぞれ好ましい
範囲に収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の装置を示す回路図である。
【図2】図1に示す装置の制御動作を示すフローチャー
トである。
【図3】図1に示す装置の出力電流変化と従来の装置を
示す出力電流変化とを示すタイミングチャートである。
【図4】実施例2の装置を示す回路図である。
【図5】図4に示す装置の制御動作を示すフローチャー
トである。
【図6】実施例3の装置を示す回路図である。
【図7】図6に示す装置の出力電流と発電機回転数との
関係を示す特性図である。
【図8】実施例4の装置を示す回路図である。
【図9】実施例5の装置を示す回路図である。
【図10】図9に示す装置の制御動作を示すフローチャ
ートである。
【図11】実施例6の装置を示す回路図である。
【図12】実施例7の装置を示す回路図である。
【図13】図12に示す装置の制御動作を示すフローチ
ャートである。
【図14】実施例8の装置を示す回路図である。
【図15】図14に示す三相全波整流器3の1相のイン
バータ回路を示す図である。
【図16】図14に示すコントローラ5の制御動作を示
すフローチャートである。
【図17】図14に示す装置の非進相電流通電動作を示
すタイミングチャートである。
【図18】図14に示す装置の進相電流通電動作を示す
タイミングチャートである。
【図19】図14に示すコントローラ5の進相電流通電
時の制御動作を示すフローチャートである。
【図20】図14に示すコントローラ5の非進相電流通
電時の制御動作を示すフローチャートである。
【図21】実施例9の装置を示す回路図である。
【図22】図21に示すコントローラ5の制御動作を示
すフローチャートである。
【図23】実施例10の装置のコントローラ5の制御動
作を示すフローチャートである。
【図24】実施例11の装置のコントローラ5の制御動
作を示すフローチャートである。
【図25】実施例12の装置のコントローラ5の制御動
作を示すフローチャートである。
【図26】実施例13の装置を示す回路図である。
【図27】実施例13の装置のコントローラ5の制御動
作を示すフローチャートである。
【図28】実施例14の装置のコントローラ5の制御動
作を示すフローチャートである。
【図29】実施例15の装置のコントローラ5の制御動
作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1は車両用同期発電機(車両用交流発電機)、1a,1
b,1cは電機子巻線、2は界磁巻線、3、3aは三相
全波整流器(高圧整流手段)、4はダイオード(低圧整
流手段)、5はコントローラ(電圧制御手段)、11は
バッテリ、12は低電圧負荷、13は高電圧負荷、31
〜36はダイオード又は半導体スイッチング素子、40
はMOSFETである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−29009(JP,A) 特開 昭61−247237(JP,A) 特開 平5−122863(JP,A) 特開 昭52−111131(JP,A) 実公 昭63−21156(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02J 7/14 - 7/24 H02P 9/00 - 9/48

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の高電圧が印加される高電圧負荷及
    び前記高電圧より低い所定の低電圧が印加される低電圧
    負荷と、 星型接続されて中性点を形成する複数の電機子巻線を有
    する多相交流発電機と、 前記電機子巻線から出力される発電電圧を全波整流して
    前記高電圧負荷の高電位端に印加する高圧整流手段と、 前記高圧整流手段が前記高電圧負荷に給電する祭に前記
    電機子巻線の中性点の電圧を整流して低電圧負荷の高電
    位端に印加する低圧整流手段とを、 備え、 前記低圧整流手段は、前記電機子巻線の中性点と前記低
    電圧負荷の高電位端とを接続するとともに前記中性点か
    ら前記低電圧負荷の高電位端へ通電する低圧整流用の半
    導体スイッチング素子を有し、 前記電圧制御手段は、前記中性点が前記低電圧負荷の高
    電位端より所定電位だけ高電位となる場合に前記低圧整
    流用の半導体スイッチング素子を導通させる発電装置。
  2. 【請求項2】 所定の高電圧が印加される高電圧負荷及
    び前記高電圧より低い所定の低電圧が印加される低電圧
    負荷と、 星型接続されて中性点を形成する複数の電機子巻線を有
    する多相交流発電機と、 前記電機子巻線から出力される発電電圧を全波整流して
    前記高電圧負荷の高電位端に印加する高圧整流手段と、 前記高圧整流手段が前記高電圧負荷へ給電する際に前記
    電機子巻線の中性点の電圧を整流して前記低電圧負荷の
    高電位端に印加する低圧整流手段と、 前記位相が前記電機子巻線の出力端の電圧より進んだ進
    相電流を前記電機子巻線へ給電する進相電流制御手段と
    を備え、 前記高圧整流手段は、前記電機子巻線の各出力端と高電
    位直流出力端とを個別に接続する第一の半導体整流手
    段、並びに、前記電機子巻線の各出力端と低電位直流出
    力端とを個別に接続する第二の半導体整流手段とを備
    え、前記両半導体整流手段の少なくとも一方は双方向導
    通可能な半導体スイッチング素子を有し、 前記進相電流制御手段は、前記半導体スイッチング素子
    を導通制御して前記進相電流の給電を行うことを特徴と
    する発電装置。
  3. 【請求項3】 前記発電機は界磁巻線を有し、該界磁巻
    線に通電する界磁電流の制御により前記発電機の発電電
    圧を調整する電圧制御手段を備え、 前記電圧制御手段は、前記高電圧負荷の非駆動時に前記
    界磁電流を調整して前記低圧整流手段の出力電圧を前記
    所定の低電圧に制御し、前記高電圧負荷の駆動時に前記
    界磁電流を調整して前記高圧整流手段の出力電圧を前記
    低電圧より高い前記所定の高電圧に制御する請求項
    載の発電装置。
  4. 【請求項4】 前記進相電流制御手段は、前記高電圧負
    荷へ給電する場合に前記半導体スイッチング素子を自己
    短絡させることにより前記電機子巻線への前記進相電流
    の給電を行う請求項2又は3記載の発電装置。
  5. 【請求項5】 前記進相電流制御手段は、前記高電圧負
    荷へ給電しない場合でかつ前記界磁電流が所定値を越え
    ない場合に前記進相電流の給電を停止する請求項3又は
    記載の発電装置。
  6. 【請求項6】 前記進相電流制御手段は、前記高電圧負
    荷へ給電しない場合でかつ前記界磁電流が所定値を超え
    る場合に前記進相電流の給電を行う請求項3乃至5のい
    ずれか記載の発電装置。
  7. 【請求項7】 前記高圧整流手段の高電位出力端と前記
    高電圧負荷の高電位端及び前記低電圧負荷の高電位端の
    どちらか一方とを切り換え可能に接続する負荷切換スイ
    ッチを備え、前記電圧制御手段及び進相電流制御手段
    は、前記負荷切換スイッチが前記低電圧負荷側に接続さ
    れる場合に前記界磁電流もしくは進相電流給電量を調整
    して前記高圧整流手段の出力電圧を前記所定の低電圧に
    制御し、前記負荷切換スイッチが前記高電圧負荷側に接
    続される場合に前記界磁電流及び進相電流を調整して前
    記高圧整流手段の出力電圧を前記低電圧より高い前記所
    定の高電圧に制御するとともに前記低圧整流手段の出力
    電圧を前記所定の低電圧に制御する請求項3,5,6
    いずれか記載の発電装置。
  8. 【請求項8】 前記低圧整流手段から給電される低圧バ
    ッテリを備え、 前記電圧制御手段は、前記高電圧負荷の給電時に前記低
    圧バッテリの端子電圧が前記所定の低電圧となるように
    前記発電電圧を調整する請求項3乃至7のいずれか記載
    の発電装置。
  9. 【請求項9】 前記低圧整流手段から給電される低圧バ
    ッテリを備え、 前記電圧制御手段は、前記高電圧負荷の給電時に前記高
    電位直流出力端の電位が前記所定の高電圧となるように
    前記発電電圧を調整する請求項3乃至8のいずれか記載
    の発電装置。
  10. 【請求項10】 前記低圧整流手段から給電される低圧
    バッテリを備え、 前記電圧制御手段は、前記低圧バッテリの端子電圧が所
    定の許容範囲を逸脱する場合に前記低圧バッテリの端子
    電圧が前記所定の低電圧となるように前記発電電圧を調
    整するものである請求項3乃至9のいずれか記載の車両
    用発電装置。
  11. 【請求項11】 前記低圧整流手段は、アノードが前記
    中性点に接続され、カソードが前記低電圧負荷の高電位
    端に接続されるダイオードからなる請求項2乃至10
    いずれか記載の発電装置。
  12. 【請求項12】 永久磁石界磁型の前記発電機から前記
    高圧整流手段を通じて出力される整流電圧を前記高電圧
    負荷の駆動時に断続することにより前記整流電圧を前記
    所定の高電圧に変換する断続制御手段を備える請求項
    2,4,11のいずれか記載の発電装置。
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