JP3463221B2 - 用紙搬送ローラの回転駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばプリンタ装置や
複写機等における定着ローラ等のように、圧接部材と協
働して用紙を挟持搬送する用紙搬送ローラの回転駆動装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図１２は、電子写真方式を採用した通常
の画像形成装置（ここでは一例としてプリンタ装置を示
す）の全体図である。この装置は、用紙Ｐを積載収納し
装置本体に着脱自在な給紙カセット１、積載された用紙
を一枚ずつ給送する給紙ローラ２、この給紙ローラ２に
よって給送されてきた用紙を受け継いで搬送するスリッ
プローラ対３、このスリップローラ対３により搬送され
てきた用紙を一旦待機させ所定のタイミングで再搬送す
る待機ローラ対４、この待機ローラ対４によって搬送さ
れてきた用紙に画像情報に基づきトナー画像を形成する
画像形成部５（感光体ドラム５ａ、帯電器５ｂ、光書き
込みヘッド５ｃ、現像器５ｄ、転写器５ｅ、クリーナ５
ｆ等）、上記トナー画像を用紙に定着させる定着ローラ
対６、定着済みの用紙を装置外へ排出する排紙ローラ対
７等を備えている。

【０００３】このような装置には、用紙を挟持し搬送す
るための用紙搬送手段として、例えばスリップローラ対
３、待機ローラ対４、定着ローラ対６、排紙ローラ対７
等、回転駆動される用紙搬送ローラとこれに圧接されて
従動回転する圧接ローラとからなる各種の搬送ローラ対
が配設されている。これらの搬送ローラ対は、ジャム処
理等の必要性から、２つのローラを互いに離間可能な構
成としたり、或いは本体駆動系から２つのローラの少な
くとも一方を切り離し可能な構成とすることが望まし
い。そのような構成の一例を図１３〜図１５に示す。

【０００４】図１３の例は、例えば定着ローラ対の場合
であり、用紙搬送ローラ（定着ローラ）１１とこれにバ
ネ等により圧接された圧接ローラ１２とからなる搬送ロ
ーラ対を備え、用紙搬送ローラ１１の一端に連結された
搬送ローラ用ギア１３に、本体駆動源からの駆動力が伝
達されて回転する駆動ギア１４が噛み合っており、この
駆動ギア１４の回転により用紙搬送ローラ１１が回転駆
動され、これに伴い圧接ローラ１２が従動回転するもの
である。このような構成において、ローラ１１、１２間
で紙ジャムが発生した場合には、バネ等による圧接ロー
ラ１２の圧接を一旦解除する操作を行ってからジャム紙
を除去するか、或いはローラ１１、１２間に挟まってい
るジャム紙をそのまま強引に引っ張って除去するように
している。

【０００５】図１４の例は、上記図１３の構成におい
て、搬送ローラ用ギア１３と駆動ギア１４との間にアイ
ドルギア１５を介在させ、このアイドルギア１５を装置
本体のルーフ開閉動作と連動してギア１３、１４ から
離間する方向と係合する方向とに移動自在に構成したも
のである。このような構成において、ジャムが発生して
ルーフを開放した場合には、これと連動してアイドルギ
ア１５がギア１３、１４から離間するので、用紙搬送ロ
ーラ１１（図１３）が空転可能な状態となり、この状態
でローラ１１、１２間のジャム紙を引っ張って除去する
ようにする。

【０００６】図１５の例は、例えば排紙ローラ対の場合
（ただし、用紙搬送ローラと圧接ローラとからなる搬送
ローラ対は図示されていない）であり、用紙搬送ローラ
の回転軸であるローラ軸２１の一端にプーリ２２が設け
られ、また、本体駆動源からの駆動力が伝達されて回転
する駆動ギア２３と噛合するもう１つの駆動ギア２４に
もこれと同軸にプーリ２５が設けられ、２つのプーリ２
２、２５がベルト２６によって連結されたものである。
このような構成において、排紙ローラ対間で紙ジャムが
発生した場合には、そのジャム紙を強引に引っ張ると、
ベルト２６が滑ってローラ軸２１が回転し、ジャム紙を
除去することができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】図１３や図１５の例の
ように、ロール間に挟まったジャム紙を除去するのに強
引に引っ張ったのでは、ジャム紙が破けてしまったり、
或いは、破けないまでも強い力を必要とするために処理
作業に手間取るといった問題が生じる。

【０００８】また、図１４の例のように、用紙搬送ロー
ラと駆動源とを切り離す機構を設ければ、上記の問題は
解消されるが、このような機構はかなり複雑なものとな
り、装置の大型化やコストアップを招来するという問題
があった。

【０００９】本発明は、上記従来の問題点に鑑み、簡単
な機構により、軽く引っ張るだけでジャム紙を取り出す
ことの可能な用紙搬送ローラの回転駆動装置を提供する
ことを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、支持部材に軸受を介して回転自在に支持さ
れており、所定方向への回転により圧接部材と協働して
用紙を挟持搬送する用紙搬送ローラの回転駆動装置にお
いて、外周にギア部を有し、前記用紙搬送ローラに形成
された係合部材と係合し前記用紙搬送ローラに対して回
転しつつ軸方向に摺動すべく外嵌する搬送ローラ用ギア
と、該搬送ローラ用ギアの前記軸方向の移動範囲を第１
位置から第２位置に規制する規制部材と、前記搬送ロー
ラ用ギアを前記第１位置の方向へ付勢する付勢部材と、
前記搬送ローラ用ギアと係合可能なギア部を外周に有す
る、駆動源と連結された駆動ギアとを備え、前記搬送ロ
ーラ用ギアと前記用紙搬送ローラとは、前記搬送ローラ
用ギアが前記用紙搬送ローラに対して前記所定方向に回
転しようとする際に前記第１位置方向へ移動し、前記所
定方向とは反対方向に回転しようとする際に前記第２位
置方向へ移動する関係で係合しており、前記駆動ギア
を、前記搬送ローラ用ギアが前記第１位置にある時に互
いに噛み合い前記第２位置にある時に噛み合いが解除す
べく配設したことを特徴とする。

【００１１】

【作用】通常の用紙搬送のために、駆動源から駆動力の
伝達された駆動ギアが搬送ローラ用ギアを所定方向に回
転駆動しようとすると、搬送ローラ用ギアが第１位置方
向へ移動し、駆動ギアと搬送ローラ用ギアとが互いに噛
み合った状態となる。そして、この状態のまま駆動ギア
の駆動力が搬送ローラ用ギアに伝達され、これにより用
紙搬送ローラは所定方向へ回転駆動されるので、圧接部
材と協働して用紙の挟持搬送が行われる。

【００１２】一方、ジャム処理時には、用紙搬送ローラ
と圧接部材との間に挟持されているジャム紙を軽く引っ
張れば、それによる用紙搬送ローラの回転力が搬送ロー
ラ用ギアに伝達され、すなわち搬送ローラ用ギアが用紙
搬送ローラに対して上記所定方向とは反対方向に回転さ
せられるため、搬送ローラ用ギアが付勢部材の付勢力に
抗して第２位置方向へ移動し、駆動ギアと搬送ローラ用
ギアとの噛み合いが解除される。従って、そのままジャ
ム紙を軽く引っ張り続けるだけで、それに伴って用紙搬
送ローラが空転し、ジャム紙は難無く取り出せる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。図１は本発明の第１実施例の要部構
成を示す分解斜視図であり、図２及び図３はその動作を
説明するための図である。なお、本実施例は、図１２に
示した定着ローラ対６に対して適用した場合を考えてお
り、定着ローラ対６を構成する一方のローラである用紙
搬送ローラ（定着ローラ）に対して図１のような機構を
適用したものである。

【００１４】まず、図２又は図３に示すように、円筒状
の用紙搬送ローラ（定着ローラ）３０は、軸受３１を介
して支持部材としてのフレーム３２に回転自在に支持さ
れており、その矢印Ａ方向への回転により不図示の圧接
ローラと協働して用紙を挟持搬送しながら熱定着を行う
構成となっている。そして、図１に示すように、円筒状
の用紙搬送ローラ３０の一端部側には係合部材としての
一対のらせん状の溝３０ａ、３０ｂが互いに軸対称に設
けられ、また、この用紙搬送ローラ３０に対し軸方向に
摺動可能に外嵌する搬送ローラ用ギア３３の内周には上
記溝３０ａ、３０ｂとそれぞれ係合する突起部３３ａ、
３３ｂが設けられている。これにより、搬送ローラ用ギ
ア３３を用紙搬送ローラ３０に対して回転させると、突
起部３３ａ、３３ｂがらせん状の溝３０ａ、３０ｂに沿
って案内されることで、搬送ローラ用ギア３３はその回
転方向（矢印Ｂ₁ 、Ｂ₂ 方向）に応じた軸方向（矢印Ｃ
₁、Ｃ₂ 方向）に摺動する構成となっている。

【００１５】用紙搬送ローラ３０の最端部には止め輪３
４が取り付けられ、この止め輪３４は、搬送ローラ用ギ
ア３３の脱落を防止すると共に矢印Ｃ₁ 方向への移動を
規制する規制部材として作用する。これにより、搬送ロ
ーラ用ギア３３の矢印Ｃ₁ 方向への移動は搬送ローラ用
ギア３３が止め輪３４に当接する第１位置（図２に示す
位置）まで可能であり、一方、矢印Ｃ₂ 方向への移動は
突起部３３ａ、３３ｂが溝３０ａ、３０ｂの端部に当接
する第２位置（図３に示す位置）まで可能である。ま
た、搬送ローラ用ギア３３と軸受３１との間には付勢部
材としての圧縮バネ３５が配置され、搬送ローラ用ギア
３３を上記第１位置の方向（矢印Ｃ₁ 方向）へ常時付勢
している。

【００１６】更に、図２又は図３に示すように、本体駆
動源と連結された駆動ギア３６が、その駆動力を搬送ロ
ーラ用ギア３３に伝達すべく該搬送ローラ用ギア３３と
係合可能に設けられている。そして、この駆動ギア３６
は、図２に示すように搬送ローラ用ギア３３が第１位置
にある時に互いに噛み合い、図３に示すように搬送ロー
ラ用ギア３３が第２位置にある時に噛み合いが解除され
るような位置に配置されている。しかも、搬送ローラ用
ギア３３と駆動ギア３６とは両方ともはすばギアを使用
しており、そのギア歯の噛み合い関係は、駆動ギア３６
が矢印Ｄ方向に回転してその駆動力を搬送ローラ用ギア
３３に伝達する際に駆動ギア３６が搬送ローラ用ギア３
３を矢印Ｃ₁ 方向へ押す力が生じ、かつ、これとは逆に
停止中の駆動ギア３６に対して搬送ローラ用ギア３３が
矢印Ｂ₁ 方向へ回転しようとする際には駆動ギア３６が
搬送ローラ用ギア３３を矢印Ｃ₂ 方向へ押す力が生じる
よう設定されている。

【００１７】以上の構成からなる本実施例の装置におけ
る動作を、図２及び図３を用いて以下に説明する。ま
ず、通常の用紙搬送のために、図２に示すように本体駆
動源から駆動力を受けて駆動ギア３６が矢印Ｄ方向へ回
転すると、搬送ローラ用ギア３３が圧縮バネ３５による
矢印Ｃ₁ 方向への付勢力を受けながら駆動ギア３６と噛
み合って矢印Ｂ₁ 方向へ回転を開始する。すると、溝３
０ａ、３０ｂと突起部３３ａ、３３ｂとの係合関係によ
り、搬送ローラ用ギア３３は矢印Ｂ₁ 方向へ回転しつつ
矢印Ｃ ₁ 方向へ摺動していき、図２に示すように駆動ギ
ア３６と確実に噛み合う位置である第１位置へ落ち着
く。そして、この状態のまま駆動ギア３６の駆動力が搬
送ローラ用ギア３３に伝達され、これにより用紙搬送ロ
ーラ３０は矢印Ａ方向へ回転駆動されるので、不図示の
圧接ローラと協働して用紙の挟持搬送が行われる。

【００１８】一方、用紙搬送ローラ３０と不図示の圧接
ローラとの間で紙ジャムが発生した場合には、用紙搬送
ローラ３０と圧接ローラとの間に挟持されているジャム
紙を用紙搬送方向へ軽く引っ張れば、それに伴い用紙搬
送ローラ３０が図３に示すように矢印Ａ方向へ回転す
る。すると、搬送ローラ用ギア３３が用紙搬送ローラ３
０に対して矢印Ｂ₂ 方向に回転させられたことになるた
め、溝３０ａ、３０ｂと突起部３３ａ、３３ｂとの係合
関係により、搬送ローラ用ギア３３は圧縮バネ３５の付
勢力に抗して矢印Ｃ₂ 方向へ摺動していき、図３に示す
ように駆動ギア３６との噛み合いが完全に解除される位
置である第２位置へ落ち着く。従って、そのままジャム
紙を軽く引っ張り続ければ、それに伴って用紙搬送ロー
ラ３０が空転し、ジャム紙を難無く取り出すことができ
る。

【００１９】この状態から駆動ギア３６が再び駆動を開
始すると、搬送ローラ用ギア３３が圧縮バネ３５により
矢印Ｃ₁ 方向へ押されて駆動ギア３６との噛み合いが得
られ、その後は上記のようにはすばギアどうしの噛み合
い関係から搬送ローラ用ギア３３が第１位置へ移動し、
用紙の挟持搬送が可能となる。従って、圧縮バネ３５は
搬送ローラ用ギア３３を駆動ギア３６にわずかでも噛み
合うように矢印Ｃ₁ 方向へ付勢すれば良く、強力なバネ
を用いる必要はない。

【００２０】このように、本実施例によれば、ジャム処
理時にはそのジャム紙を軽く引っ張るだけで用紙搬送ロ
ーラ３０が回転し、ジャム紙を破ったりすることなく簡
単に取り出すことができるので、極めてスムーズな処理
作業が可能となる。しかも、図１に示したような極めて
簡単な構成を付加するだけでよいので、装置の大型化や
コストアップを抑えることができる。

【００２１】なお、上記第１実施例では、溝３０ａ、３
０ｂが用紙搬送ローラ３０の内周から外周へ貫通する切
欠き状のものとしたが、少なくとも用紙搬送ローラ３０
の外周に突起部３３ａ、３３ｂと係合可能な溝が設けら
れていれば、同様な作用が得られる。

【００２２】また、搬送ローラ用ギア３３を第１位置へ
移動させるに十分な付勢力の圧縮バネを用いて搬送ロー
ラ用ギア３３と駆動ギア３６とを平歯車で構成すること
もできる。

【００２３】次に、図４は本発明の第２実施例の要部構
成を示す分解図であり、図５及び図６はその動作を説明
するための図である。なお、本実施例も、図１２に示し
た定着ローラ対６に対して適用した場合を考えており、
定着ローラ対６を構成する一方のローラである用紙搬送
ローラ（定着ローラ）に対して図４のような機構を適用
したものであり、前記第１実施例よりも一層簡素な構成
としたものである。

【００２４】まず、図には示していないが、円筒状の用
紙搬送ローラ（定着ローラ）４０は、前記第１実施例と
同様、軸受を介してフレーム等の支持部材に回転自在に
支持されており、その矢印Ｅ方向への回転により不図示
の圧接ローラと協働して用紙を挟持搬送しながら熱定着
を行う構成である。そして、図４に示すように、円筒状
の用紙搬送ローラ４０の一端部側の外周には係合部材と
しての一対の突起部４０ａ、４０ｂが互いに軸対称な位
置に設けられ、また、この用紙搬送ローラ４０に対し軸
方向に摺動可能に外嵌する搬送ローラ用ギア４１にはこ
れと同軸の円筒部４２が一体的に設けられ、この円筒部
４２には上記突起部４０ａ、４０ｂとそれぞれ係合する
らせん状の溝４２ａ、４２ｂが設けられている。これに
より、搬送ローラ用ギア４１を用紙搬送ローラ４０に対
して回転させると、突起部４０ａ、４０ｂとらせん状の
溝４２ａ、４２ｂとの係合により、搬送ローラ用ギア４
１はその回転方向（矢印Ｆ₁ 、Ｆ₂ 方向）に応じた軸方
向（矢印Ｇ₁ 、Ｇ₂ 方向）に摺動する構成となってい
る。

【００２５】用紙搬送ローラ４０の端部は小径の段部４
０ｃとなっており、その最端部に上記段部４０ｃよりも
大径の抜け止め部４３が設けられ、また、搬送ローラ用
ギア４１における円筒部４２とは反対側のフランジ面
に、上記段部４０ｃに沿って摺動可能であって上記抜け
止め部４３と当接可能な抜け止め爪４４が一体的に設け
られ、これら抜け止め部４３と抜け止め爪４４とは、搬
送ローラ用ギア４１の脱落を防止し、矢印Ｇ₁ 方向への
移動を規制する規制部材として作用する。これにより、
搬送ローラ用ギア４１の矢印Ｇ₁ 方向への移動は搬送ロ
ーラ用ギア４１の抜け止め爪４４が抜け止め部４３に当
接する第１位置（図５に示す位置）まで可能であり、一
方、矢印Ｇ₂ 方向への移動は突起部４０ａ、４０ｂが溝
４２ａ、４２ｂの端部に当接する第２位置（図６に示す
位置）まで可能である。また、搬送ローラ用ギア４１の
円筒部４２の端部には付勢部材としてのバネ部４５が一
体的に設けられ、搬送ローラ用ギア４１を上記第１位置
の方向（矢印Ｇ₁ 方向）へ常時付勢している。

【００２６】更に、前記実施例と同様、本体駆動源と連
結された駆動ギア４６が、図５に示すように搬送ローラ
用ギア４１が第１位置にある時に互いに噛み合い、図６
に示すように搬送ローラ用ギア４１が第２位置にある時
に噛み合いが解除されるような位置に配置されている。
本実施例においても、搬送ローラ用ギア４１と駆動ギア
４６は両方ともはすばギアを使用しており、そのギア歯
の噛み合い関係は、駆動ギア４６が矢印Ｈ方向に回転し
てその駆動力を搬送ローラ用ギア４１に伝達する際に駆
動ギア４６が搬送ローラ用ギア４１を矢印Ｇ₁ 方向へ押
す力が生じ、かつ、これとは逆に停止中の駆動ギア４６
に対して搬送ローラ用ギア４１が矢印Ｆ ₁ 方向へ回転し
ようとする際には駆動ギア４６が搬送ローラ用ギア４１
を矢印Ｇ ₂ 方向へ押す力が生じるよう設定されている。

【００２７】以上の構成からなる本実施例の装置におけ
る動作を、図５及び図６を用いて以下に説明する。ま
ず、通常の用紙搬送のために、図５に示すように本体駆
動源から駆動力を受けて駆動ギア４６が矢印Ｈ方向へ回
転すると、搬送ローラ用ギア４１がバネ部４５による矢
印Ｇ₁ 方向への付勢力を受けながら駆動ギア４６と噛み
合って矢印Ｆ ₁ 方向へ回転を開始する。すると、突起部
４０ａ、４０ｂと溝４２ａ、４２ｂとの係合関係によ
り、搬送ローラ用ギア４１は矢印Ｆ₁ 方向へ回転しつつ
矢印Ｇ₁方向へ摺動していき、図５に示すように駆動ギ
ア４６と確実に噛み合う位置である第１位置へ落ち着
く。そして、この状態のまま駆動ギア４６の駆動力が搬
送ローラ用ギア４１に伝達され、これにより用紙搬送ロ
ーラ４０は矢印Ｅ方向へ回転駆動されるので、不図示の
圧接ローラと協働して用紙の挟持搬送が行われる。

【００２８】一方、用紙搬送ローラ４０と不図示の圧接
ローラとの間で紙ジャムが発生した場合には、用紙搬送
ローラ４０と圧接ローラとの間に挟持されているジャム
紙を用紙搬送方向へ軽く引っ張れば、それに伴い用紙搬
送ローラ４０が図６に示すように矢印Ｅ方向へ回転す
る。すると、搬送ローラ用ギア４１が用紙搬送ローラ４
０に対して矢印Ｆ₂ 方向に回転させられたことになるた
め、突起部４０ａ、４０ｂと溝４２ａ、４２ｂとの係合
関係により、搬送ローラ用ギア４１はバネ部４５の付勢
力に抗して矢印Ｇ₂ 方向へ摺動していき、図６に示すよ
うに駆動ギア４６との噛み合いが完全に解除される位置
である第２位置へ落ち着く。従って、そのままジャム紙
を軽く引っ張り続ければ、それに伴って用紙搬送ローラ
４０が空転し、ジャム紙を難無く取り出すことができ
る。

【００２９】この状態から駆動ギア４６が再び駆動を開
始すると、搬送ローラ用ギア４１がバネ部４５により矢
印Ｇ₁ 方向へ押されて駆動ギア４６との噛み合いが得ら
れ、その後は上記と同様にして搬送ローラ用ギア４１が
第１位置へ移動し、用紙の挟持搬送が可能となる。

【００３０】従って、本実施例によっても、前記第１実
施例と同様な効果が得られる他、搬送ローラ用ギア４１
と円筒部４２、抜け止め爪４４及びバネ部４５とを一体
的に構成したため、部品点数を著しく減らすことがで
き、より一段と簡素な構成とすることができる。

【００３１】なお、上記第２実施例では、溝４２ａ、４
２ｂが円筒部４２の内周から外周へ貫通する切欠き状の
ものとしたが、少なくとも円筒部４２の内周に突起部４
０ａ、４０ｂと係合可能な溝が設けられていれば、同様
な作用が得られる。

【００３２】また、上記第２実施例でも搬送ローラ用ギ
ア及び駆動ギアにはすばギアを使用しているが、はすば
ギアの使用は上述のように搬送ローラ用ギアをその摺動
を助ける方向に押す力が発生し、好都合と言えるが、こ
のようなはすばギアを使用せずとも、通常の平歯車でも
十分な作用が得られる。

【００３３】ところで、このようなギアに関して言え
ば、従来のギアだと、摩耗を防ぐためにギア間にグリー
スを塗布していたが、グリースがギアに不均一に付着し
たり、或いは歯面に塗布されているグリースへ紙粉やト
ナー等の塵埃が付着してグリースの質が低下したりする
と、ギアの回転に負担を与え、後に二次的障害につなが
るという問題が起こっていた。そこで、このような問題
を解消するために、上記の搬送ローラ用ギアや駆動ギア
に対して以下のような構成を取り入れることは非常に有
効である。

【００３４】すなわち、通常、互いに噛み合った２つの
ギア（特に平歯車）の回転により、各ギアの歯先に付着
した余分なグリースは歯元へ移動し、更に歯元からフラ
ンジ外部へと排出されるという事実、また、歯元へ移動
しなかった余分なグリースは次の歯面へ移動し、その歯
先から歯元へと移動が繰り返されるという事実に鑑み、
少なくとも一方のギアの歯先と歯元に、余分なグリース
を排出するための溝を設けたものである。その一例を図
７〜図９に示す。この例は、２つのギア（平歯車）５
１、５２のうち、一方のギア５１は通常の平歯車であ
り、もう一方のギア５２が図９に示すようにその歯先中
央と歯元にそれぞれ溝５３、５４を設けたものである。
なお、図９では、ギア５１の噛み合い面の中央部が若干
膨らんでいるように見えるが、実際は平坦面である。こ
のような構成において、ギア５１、５２の歯先に付着し
た余分なグリースは溝５３を通って歯元へ移動し、更に
歯元から溝５４を通ってフランジ外部へと排出されるの
で、余分なグリースや塵埃の付着したグリースの排出が
極めてスムーズに行われる。また、他の例を図１０及び
図１１に示す。この例は、２つのギア（平歯車）６１、
６２の両方が、その歯先端部と歯元にそれぞれ溝６３、
６４を設けたものである。このような構成において、ギ
ア５１、５２の歯先に付着した余分なグリースは、歯先
両端の溝６３や歯元の溝６４を介してフランジ外部へと
排出されるので、上記の例と同様に不要なグリースをス
ムーズに排出可能である。以上のようにギアの歯先と歯
元に溝を設けるだけで、不要なグリースが迅速に排出さ
れるので、グリースの付着量が一定になってギアトルク
も一定に維持され、また、塵埃の付着等によるバックラ
ッシュ障害をも有効に防止できる。

【００３５】なお、以上の実施例では用紙搬送ローラが
定着ローラである場合を例として述べたが、本発明は定
着ローラに限定されるものではなく、その他にも、図１
２に示したようなスリップローラ対３、待機ローラ対
４、排紙ローラ対７等を構成する各用紙搬送ローラに対
して適用可能である。

【００３６】また、用紙搬送ローラと協働して用紙を挟
持搬送する圧接部材は、必ずしも圧接ローラである必要
はなく、用紙を支障なく搬送可能な各種形状の部材を使
用可能である。

【００３７】

【発明の効果】本発明によれば、ジャム処理時にはその
ジャム紙を軽く引っ張るだけで、ジャム紙を破ったりす
ることなく簡単に取り出すことができるので、極めてス
ムーズな処理作業が可能となる。しかも、極めて簡単な
構成を付加するだけでよいので、装置の大型化やコスト
アップを抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の要部構成を示す分解斜視
図である。

【図２】上記第１実施例における用紙搬送時の状態を示
す図である。

【図３】上記第１実施例におけるジャム処理時の状態を
示す図である。

【図４】本発明の第２実施例の要部構成を示す分解図で
ある。

【図５】上記第２実施例における用紙搬送時の状態を示
す図である。

【図６】上記第２実施例におけるジャム処理時の状態を
示す図である。

【図７】グリース排出用の溝を設けたギアの一例を示す
図である。

【図８】図７に示したギアの断面図である。

【図９】図７に示したギア５２の要部斜視図である。

【図10】グリース排出用の溝を設けたギアの他の例を示
す図である。

【図11】図１０に示したギア６１、６２の要部斜視図で
ある。

【図12】電子写真方式を採用した通常の画像形成装置の
全体図である。

【図13】従来の用紙搬送ローラの回転駆動機構の一例を
示す斜視図である。

【図14】従来の用紙搬送ローラの回転駆動機構の他の例
を示す図である。

【図15】従来の用紙搬送ローラの回転駆動機構の更に他
の例を示す斜視図である。

【符号の説明】

３ スリップローラ対 ４ 待機ローラ対 ６ 定着ローラ対 ７ 排紙ローラ対 ３０ 用紙搬送ローラ ３０ａ、３０ｂ 溝 ３１ 軸受 ３３ 搬送ローラ用ギア ３３ａ、３３ｂ 突起部 ３４ 止め輪 ３５ 圧縮バネ ３６ 駆動ギア ４０ 用紙搬送ローラ ４０ａ、４０ｂ 突起部 ４１ 搬送ローラ用ギア ４２ 円筒部 ４２ａ、４２ｂ 溝 ４３ 抜け止め部 ４４ 抜け止め爪 ４５ バネ部 ４６ 駆動ギア

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−303264（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−175533（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−119665（ＪＰ，Ａ) 実開 平５−24636（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−181452（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−50225（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B65H 5/06 B41J 13/00 B41J 13/02 G03G 15/00 510

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持部材に軸受を介して回転自在に支持
   されており、所定方向への回転により圧接部材と協働し
   て用紙を挟持搬送する用紙搬送ローラの回転駆動装置に
   おいて、 外周にギア部を有し、前記用紙搬送ローラに形成された
   係合部材と係合し前記用紙搬送ローラに対して回転しつ
   つ軸方向に摺動すべく外嵌する搬送ローラ用ギアと、 該搬送ローラ用ギアの前記軸方向の移動範囲を第１位置
   から第２位置に規制する規制部材と、 前記搬送ローラ用ギアを前記第１位置の方向へ付勢する
   付勢部材と、 前記搬送ローラ用ギアと係合可能なギア部を外周に有す
   る、駆動源と連結された駆動ギアとを備え、 前記搬送ローラ用ギアと前記用紙搬送ローラとは、前記
   搬送ローラ用ギアが前記用紙搬送ローラに対して前記所
   定方向に回転しようとする際に前記第１位置方向へ移動
   し、前記所定方向とは反対方向に回転しようとする際に
   前記第２位置方向へ移動する関係で係合しており、 前記駆動ギアを、前記搬送ローラ用ギアが前記第１位置
   にある時に互いに噛み合い前記第２位置にある時に噛み
   合いが解除すべく配設したことを特徴とする用紙搬送ロ
   ーラの回転駆動装置。
2. 【請求項２】 前記圧接部材は前記用紙搬送ローラに圧
   接し従動回転する圧接ローラである請求項１記載の用紙
   搬送ローラの回転駆動装置。
3. 【請求項３】 前記用紙搬送ローラは画像形成装置の定
   着ローラである請求項１記載の用紙搬送ローラの回転駆
   動装置。
4. 【請求項４】 前記搬送ローラ用ギアと前記駆動ギアが
   はすばギアからなる請求項１記載の用紙搬送ローラの回
   転駆動装置。
5. 【請求項５】 前記用紙搬送ローラの前記係合部材は該
   用紙搬送ローラの外周に設けられたらせん状の溝であ
   り、前記搬送ローラ用ギアの内周に設けられた突起部が
   前記らせん状の溝と係合することにより前記搬送ローラ
   用ギアが前記用紙搬送ローラに対して回転しつつ軸方向
   に摺動可能となる請求項１記載の用紙搬送ローラの回転
   駆動装置。
6. 【請求項６】 前記用紙搬送ローラの前記係合部材は該
   用紙搬送ローラの外周に設けられた突起部であり、前記
   搬送ローラ用ギアの内周に設けられたらせん状の溝が前
   記突起部と係合することにより前記搬送ローラ用ギアが
   前記用紙搬送ローラに対して回転しつつ軸方向に摺動可
   能となる請求項１記載の用紙搬送ローラの回転駆動装
   置。