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JP3461741B2 - 耐食性に優れるプレコート鋼板 - Google Patents

耐食性に優れるプレコート鋼板

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JP3461741B2
JP3461741B2 JP37480398A JP37480398A JP3461741B2 JP 3461741 B2 JP3461741 B2 JP 3461741B2 JP 37480398 A JP37480398 A JP 37480398A JP 37480398 A JP37480398 A JP 37480398A JP 3461741 B2 JP3461741 B2 JP 3461741B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐食性に優れるプレ
コート鋼板に関するものであり、特に有毒とされている
6価クロムを含まないプレコート鋼板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】家電用、建材用、自動車用などに、従来
の加工後塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着
色した有機被膜を被覆したプレコート鋼が使用されるよ
うになってきている。この鋼板は、防錆処理を施した鋼
板およびめっき鋼板に有機被膜を被覆したもので、美観
を有しながら、加工性を有し、耐食性が良好であるとい
う特性を有している。
【0003】例えば、特開平8−168723号公報に
は皮膜の構造を規定することによって加工性と耐汚染
性、硬度に優れたプレコート鋼板を得る技術が開示され
ている。一方、特開平3−100180号公報には、特
定のクロメート処理液を用いることで端面耐食性を改善
したプレコート鋼板が開示されている。これらのプレコ
ート鋼板は、クロメート処理、クロム系防錆顔料を添加
した有機塗膜の複合効果によって耐食性と共に、加工
性、塗料密着性を有し、加工後塗装を省略して、生産性
や品質改良を目的としており、現在では汎用的に使用さ
れている。
【0004】また、塗膜中にクロム系防錆顔料を添加す
る場合は、下層塗膜中に添加し、その上に上層塗膜を設
けることが、一般的であり、このような塗膜構成にする
ことで、塗膜外への6価クロム溶出を防いでいる。一
方、特開平7−51620号公報にはリン酸亜鉛処理を
施した表面処理鋼板上にリン酸イオンを供給する顔料、
バナジン酸イオンを供給する顔料が混合した塗膜層を設
けることで耐食性の良いプレコート鋼板が開示されてい
るが、クロメート処理を施し、さらにクロム系防錆顔料
を添加した塗膜層を有するプレコート鋼板と比べると耐
食性は劣るため、実際に使用されている例は少ない。ま
た、このプレコート鋼板中の防錆顔料は、クロム系防錆
顔料を用いたときと同様に下層塗膜中に添加している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】クロメート処理および
クロム系顔料に含まれる6価のクロムは水溶性であり、
これが溶出することによって、被膜に発生した塗膜の傷
を補修する性質がある。従って、耐食性付与として今日
まで使用されてきている。しかしながら、クロメート処
理及びクロム系防錆顔料を含む有機皮膜から溶出する可
能性のある6価のクロムの毒性問題から、最近ではノン
クロム防錆処理、ノンクロム有機皮膜に対する要望が高
まっている。
【0006】そこで、本発明においては、このような要
望に応えるべく耐食性に優れるノンクロム系プレコート
鋼板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋼板もしくは
めっき鋼板の少なくとも片面に、下地処理層を有し、そ
の上に防錆顔料を含む下層防錆塗膜層を有し、更にその
上にバナジン酸イオンを放出するイオン源とリン酸イオ
ンを放出するイオン源を同時に含む防錆顔料を含む上層
防錆塗膜層を有するプレコート鋼板によって達する。
【0008】下層防錆塗膜中に含まれる防錆顔料も、バ
ナジン酸イオンを放出するイオン源とリン酸イオンを放
出するイオン源を同時に含む防錆顔料であることが好ま
しい。上層および下層防錆塗膜層に含まれるバナジン酸
イオンを放出するイオン源とリン酸イオンを放出するイ
オン源を同時に含む防錆顔料の添加量は、乾燥塗膜樹脂
100重量部に対して1〜100重量部であると好適で
ある。
【0009】本発明のプレコート鋼板の下地処理層は、
クロム酸を含まない水系の有機樹脂であることが、プレ
コート鋼板の非クロム化が完全に達成されという観点か
ら非常に望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のプレコート鋼板の防錆処
理は鋼板及びめっき鋼板の防錆を目的として開発された
ものであり、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼
板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、
アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板、ス
テンレス鋼板など一般に公知の鋼板およびめっき鋼板を
適用できる。
【0011】この鋼板およびめっき鋼板には、下地処理
前に湯洗、アルカリ脱脂などの通常の処理を行うことが
できる。本発明のプレコート鋼板は、防錆顔料を防錆塗
膜層に含有し、上層防錆塗膜層の含む防錆顔料に関して
は、バナジン酸イオンを放出するイオン源とリン酸イオ
ンを放出するイオン源を同時に含むことを特徴としてい
る。
【0012】防錆顔料は水及び酸素の存在する環境下で
リン酸イオンとバナジン酸イオンの両方を放出すれば良
い。リン酸イオンは水中において単独で存在することが
少なく、種々の形態例えば、縮重合体として存在する
が、そのような場合でも「リン酸イオン」の概念に含ま
れるものと理解される。また、バナジン酸イオンとは重
合バナジン酸イオンも含むと理解される。
【0013】本発明に用いる好適な防錆顔料はリン酸化
合物、バナジン酸化合物、及び必要により網目修飾イオ
ン源および/またはガラス上物質を含有する混合物を焼
成し、粉砕することにより得られる。本発明に使用する
リン酸化合物は、加熱によって、バナジウム化合物に作
用し、単なる混合体でない焼成生物を作ることが好まし
く、オルトリン酸、縮合リン酸、種々の金属のオルトリ
ン酸塩または縮合リン酸塩、五酸化リン、リン酸塩鉱物
市販の複合リン酸塩顔料、またはこれらの混合体物が挙
げられる。このようなリン酸化合物の具体例としてはリ
ン酸塩鉱物、例えば、モネタイト、トルフィル石、ウィ
トロック石、ゼノタイム、スターコライト、ストルーブ
石、ラン鉄鉱等が挙げられる。市販の複合リン酸顔料の
具体例としては例えばポリリン酸シリカ等が挙げられ
る。縮合リン酸としては例えば、ポリリン酸、メタリン
酸等が挙げられる。縮合リン酸塩としては例えば、メタ
リン酸塩、テトラメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、
ピロリン酸塩、酸性ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、
あるいはこれらの混合物が挙げられる。リン酸塩を形成
する金属種は特に限定する物ではなく、アルカリ金属、
アルカリ土類金属、その他の典型元素の金属種および遷
移金属が挙げられる。好ましい金属の例としてはマグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタ
ン、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
ル、亜鉛、アルミニウムなどが挙げられる。
【0014】本発明に用いるバナジウム化合物はバナジ
ウムの原子価が0,2,3,4,5の化合物のいずれか
1種以上が使用でき、このうち5価のバナジウム化合物
を1種以上含むことが望ましい。形態としては、金属、
酸化物、水酸化物、金属酸素酸塩、ハロゲン化物、硫酸
物、バナジル化合物などが例示できる。バナジウム化合
物の具体例としては、バナジウム(II)化合物例えば、
酸化バナジウム(II)、水酸化バナジウム(II)等、バ
ナジウム(III)化合物例えば酸化バナジウム(III)(V
2 3 )等、バナジウム(IV)化合物例えば酸化バナジ
ウム(IV)(V 2 4 )、ハロゲン化バナジル(VOX
2 )等、バナジウム(V)化合物例えば、酸化バナジウ
ム(V)(V2 5 )等、バナジン酸塩例えば、種々の
金属のオルトバナジン酸塩、メタバナジン酸塩またはピ
ロバナジン酸塩、ハロゲン化バナジル(VOX3 )等、
また、これらの混合物が挙げられる。バナジン酸の金属
種はリン酸塩で示した物と同じものが挙げられる。
【0015】上層防錆塗膜層に含まれるバナジン酸イオ
ンを放出するイオン源とリン酸イオンを放出するイオン
源を同時に含む防錆顔料の添加量が、乾燥塗膜樹脂10
0重量部に対して1〜100重量部であると好適であ
る。1重量未満では耐食性が悪く、100重量部以上で
あると塗膜の加工性が低下し、不適である。上層防錆塗
膜層には意匠性をだすために防錆顔料と共に、着色顔料
を添加しても良い。着色顔料としては、酸化チタン(T
iO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(Z
rO2 )、炭酸カルシウム(CaCO3 )、硫酸バリウ
ム(BaSO4 )、アルミナ(Al2 3 )、カオリン
クレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2 3 、Fe
3 4 )等の無機顔料や、有機顔料などの一般に公知の
着色顔料を用いることができる。着色顔料の添加量は任
意であり、求める色彩に応じて数種を混合して、必要量
添加することができる。しかし、バナジン酸イオンを放
出するイオン源とリン酸イオンを放出するイオン源を同
時に含む防錆顔料自体が白色であり、本防錆顔料を単独
で用いた場合でも家電、自動車分野などにおいて、広く
使用されている白色系の塗膜外観を得ることができる。
【0016】上層防錆塗膜層の厚さは1〜25μmが好
適であり、1μm未満であると耐食性が悪くなり、25
μm超では塗膜の加工性が劣る。上層防錆塗膜層のベー
ス樹脂としては、一般に公知の樹脂、例えば、ポリエス
テル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂などを使用することができる。
【0017】上層防錆塗膜層の塗布方法は、一般に公知
の塗布方法、例えば、ロールコート、カーテンフローコ
ート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬、バ
ーコート、刷毛塗りなどで行うことができる。本発明の
プレコート鋼板では、下層防錆塗膜層も防錆顔料にバナ
ジン酸イオンを放出するイオン源とリン酸イオンを放出
するイオン源を同時に含む防錆顔料を用いると、耐食性
良い上に、更に環境に優しく好適である。
【0018】下層防錆塗膜層に含まれる、バナジン酸イ
オンを放出するイオン源とリン酸イオンを放出するイオ
ン源を同時に含む防錆顔料は、前述の上層防錆塗膜層に
用いたものと同様のものを用いることができる。下層防
錆塗膜層のベース樹脂も前述の上層防錆塗膜層に用いた
ものと同様のものを用いることができる。下層防錆塗膜
層のバナジン酸イオンを放出するイオン源とリン酸イオ
ンを放出するイオン源を同時に含む防錆顔料の添加量も
上層防錆塗膜層と同様に、乾燥塗膜樹脂100重量部に
対して1〜100重量部であると好適である。1重量未
満では耐食性が悪く、100重量部以上であると塗膜の
加工性が低下し、不適である。
【0019】下層防錆塗膜層の厚さは1〜25μmが好
適であり、1μm未満であると耐食性が悪くなり、25
μm超では塗膜の加工性が劣る。下層防錆塗膜層の塗布
方法は、一般に公知の塗布方法、例えば、ローコート、
エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬、バーコー
ト、刷毛塗りなどで行うことができる。
【0020】本発明のプレコート鋼板では、下地処理層
に6価クロムを含まない水溶性樹脂を用いると、プレコ
ート鋼板の耐食性が良く、更には非クロム化が完全に達
成されるのでより好適である。なお、下地処理層に用い
る好適な水溶性樹脂は、本来水不溶性でありながらエマ
ルジョンやサスペンジョンのように不溶性樹脂が水中に
微分散された状態になり得るもの(水分散性樹脂)を含
めていう。
【0021】このような水溶性樹脂として使用できる樹
脂としてはポリオレフィン系樹脂、アクリルオレフィン
系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フ
ェノール樹脂、その他の熱硬化型の樹脂などを例示で
き、架橋可能な樹脂であるとより好適である。特に好ま
しい樹脂はアクリルオレフィン系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、および両者の混合樹脂である。これらの水溶性樹
脂の2種以上を混合して使用しても良い。
【0022】また、水溶性樹脂を用いた下地処理層中に
はリン酸化合物、タンニン酸、シリカ、シランカップリ
ング剤など耐食性や塗膜密着性に効果があるといわれて
いるので、このような一般に公知の添加物を添加するこ
とは本発明を逸脱するものではない。水溶性樹脂を用い
た場合の下地処理層の膜厚は、乾燥膜厚にして0.1μ
m以上が好適である。0.1μm未満では、防錆力が不
足する。一方膜厚が厚すぎると、下地処理層としては不
経済であり、塗装にも不都合である。そこで、膜厚の上
限としては40μm以下がよい。
【0023】下地処理層の塗布方法は、特に限定され
ず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコート、エ
アースプレー、エアーレススプレー、浸漬などが採用で
きる。
【0024】
【実施例】亜鉛めっき鋼板付着量が片面当たり20g/
2 で両面がめっきされた厚み0.6mmの電気亜鉛め
っき鋼板と、亜鉛めっき付着量が片面当たり60g/m
2で両面がめっきされた厚み0.6mmの溶融亜鉛めっ
き鋼板とをFC−364S(日本パ−カライジング製)
の2重量%濃度、60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬
することで脱脂を行い、水洗後、乾燥した。次いで、表
3に示す水溶性樹脂もしくはクロメート処理を下地処理
層としてロールコーターにて塗布し、熱風乾燥炉で乾燥
した。乾燥時の到達板温は150℃とした。
【0025】なお、下地処理層として用いる水溶性樹脂
にはいずれもリン酸アンモニウムを処理液に対して12
50ppm、タンニン酸(富士化学工業製:タンニン酸
AL)を処理液に対して10000ppm添加してい
る。次に、表2に示す成分については混合することによ
り防錆顔料を作製し、表3に示す成分については同じ表
に示す条件で焼成した後、粉砕することにより、リン酸
イオン源とバナジン酸イオン源の両者を含む防錆顔料を
作製した。次に、作製した防錆顔料を含むプライマー塗
料を下層防錆塗膜層としてロールコーターで塗布し、熱
風を吹き込んだ誘導加熱炉で到達板温が220℃となる
ように硬化乾燥した。
【0026】プライマー塗料には市販のポリエステル系
プライマー塗料、エポキシ樹脂系プライマー塗料、ウレ
タン樹脂系プライマー塗料を使用し、必要に応じて、こ
れらに添加されているクロム系防錆顔料を、後述する作
製した防錆顔料に変更したものを用いた。次に、下層防
錆塗膜層の上に、更に上層防錆塗膜層としてトップ塗料
をローラーカーテンコーターで塗布し、熱風を吹き込ん
だ誘導加熱炉で到達板温が220℃となるように硬化乾
燥した。
【0027】トップ塗料には市販のポリエステル系クリ
ヤー塗料、エポキシ樹脂系クリヤー塗料、ウレタン樹脂
系クリヤー塗料を使用し、これらに後述する作製した防
錆顔料を添加したものを用いた。なお、各硬化乾燥過程
のあとには、板を水冷した。このようにして作製したプ
レコート鋼板について以下の評価を行った。 1.塗膜密着性 塗装後の板を、塗装面に1mm角の碁盤目をカッターナ
イフで入れ、塗装面が凸となるようにエリクセン試験機
で7mm押し出した後に、テープ剥離試験を行った。碁
盤目の入れ方、エリクセンの押し出し方法、テープ剥離
の方法についてはJIS−K5400.8.2、及びJ
IS−K5400.8.5記載の方法に準じて実施し
た。また、テープ剥離後の評価はJIS−K5400.
8.5記載の評価の例の図によって行い、評点10点の
ときに○、6点以上10点未満のときに△、6点未満の
時に×と評価した。 2.塗膜の折り曲げ試験 塗装後の板を、180°折り曲げ加工を実施し、加工部
の塗膜を10倍ルーペで観察し、塗膜の割れの有無を調
べた。また、加工部に粘着テープを貼り付け、これを勢
い良く剥離したときの塗膜の残存状態を目視にて観察し
た。折り曲げ加工は20℃雰囲気中で、0.6mmのス
ペーサーを間に挟んで実施した。塗膜割れの評価は、塗
膜割れのない時を○、塗膜に若干の割れがある時を△、
塗膜に目視でも明確な割れのある時を×として評価し
た。また、テープで剥離後の塗膜残存状態の評価は、全
く剥離せずにめっき鋼板上に残存している場合を○、塗
膜が一部剥離している場合を△、折り曲げ加工部のほぼ
全面にわたって剥離が認められる場合を×と評価した。 3.耐食性 塗装後の板をJIS−K5400.9.1記載の方法で
塩水噴霧試験を実施した。試験時間は電気亜鉛めっき鋼
板の場合には120h、溶融亜鉛めっき鋼板の場合には
240hとした。クロスカット部の塗膜の評価方法は、
クロスカット片側の最大膨れ幅が1mm未満の場合に
○、1mm以上3mm未満の場合に△、3mm以上の場
合に×と評価した。また、切断時の返り(バリ)が塗装
鋼板の評価面側にくるように(下バリとなるように)作
製した平板についても、前述の塩水噴霧試験を実施し、
端面からの塗膜の膨れ幅を観察した。端面部の評価方法
は端面からの膨れ幅が3mm以内の場合には○、3mm
以上5mm未満の場合には△、5mm以上の場合には×
と評価した。 4.毒性 プレコート鋼板の構成上、環境上有毒である6価クロム
を全く含まないものを○、6価クロムを含むがプレコー
ト鋼板の最表面が6価クロムをを含まない樹脂で被覆さ
れているため、塗膜の外に6価クロムが溶出する恐れの
少ないものを△、クロムを含み、かつプレコート鋼板最
表面に被覆されている塗膜中にも6価クロムが含まれ、
塗膜の外に溶出する恐れのあるものを×と評価した。
【0028】以下、評価結果について述べる。本発明の
実施例1〜23,25〜27,31,32,34,37
〜39は、従来汎用的に用いられているプレコート鋼板
(クロメート処理層の上に防錆顔料を添加した下層防錆
塗膜を設け、さらに、その上に防錆顔料を添加しない上
層塗膜層を設けたプレコート鋼板:比較例5,7)に比
べ、クロムを全く含まず、毒性が少ないうえに、耐食性
が優れており、好適である。実施例24は上層防錆塗膜
層の防錆顔料添加量が少ないため、従来のプレコート鋼
板(比較例5,7)と耐食性が同等レベルであるが、ク
ロムを全く含まず、毒性が少ないため、好適である。実
施例29は、下層防錆塗膜の防錆顔料添加量が少ないた
め、従来のプレコート鋼板(比較例5,7)と耐食性が
同等レベルであるが、クロムを全く含まず、毒性が少な
いため、好適である。実施例33は下地処理層の付着量
が少ないため、従来のプレコート鋼板(比較例5,7)
と耐食性が同等レベルであるが、クロムを全く含まず、
毒性が少ないため、好適である。実施例28は上層防錆
塗膜層の防錆顔料添加量が多すぎるため、従来のプレコ
ート鋼板(比較例5.7)に比べ、塗膜の加工性、加工
部の密着性が劣るが、耐食性が良く、クロムを全く含ま
ず、毒性も少ないため、好適である。実施例30は下層
防錆塗膜の防錆顔料添加量が多すぎるため、従来のプレ
コート鋼板(比較例5.7)に比べ、塗膜の加工性、加
工部の密着性が劣るが、耐食性が良く、クロムを全く含
まず、毒性も少ないため、好適である。
【0029】実施例35,36,40は下地処理層もし
くは下層防錆塗膜中にクロムを含むため、従来のプレコ
ート鋼板(比較例5,7)と毒性は同等であるが、耐食
性に優れ好適である。一方、比較例1,2,6について
は、プレコート鋼板表面にクロムが溶出しやすく、毒性
も高いため、不適である。また、比較例2,3について
は従来のプレコート鋼板(比較例5,7)と耐食性、毒
性共に同等レベルであり、効果がない。
【0030】
【発明の効果】本発明により、環境上有毒である6価ク
ロムを使用せずに、塗膜の密着性、塗膜の加工性、耐食
性に優れたプレコート鋼板を提供することが可能となっ
た。従って、本発明は工業的価値の極めて高い発明であ
るといえる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 博康 千葉県君津市1番地 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平7−52309(JP,A) 特開 平7−51620(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/42 B05D 7/14 B32B 15/08 C23C 22/40

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板もしくはめっき鋼板の少なくとも片
    面に、下地処理層を有し、その上に防錆顔料を含む下層
    防錆塗膜層を有し、更にその上にバナジン酸イオンを放
    出するイオン源とリン酸イオンを放出するイオン源を同
    時に含む防錆顔料を含む上層防錆塗膜層を有することを
    特徴とするプレコート鋼板。
  2. 【請求項2】 下層防錆塗膜層に含まれる防錆顔料も、
    バナジン酸イオンを放出するイオン源とリン酸イオンを
    放出するイオン源を同時に含む防錆顔料であることを特
    徴とする請求項1記載のプレコート鋼板。
  3. 【請求項3】 上層防錆塗膜層に含まれる、バナジン酸
    イオンを放出するイオン源とリン酸イオンを放出するイ
    オン源を同時に含む防錆顔料の添加量が、乾燥塗膜樹脂
    100重量部に対して1〜100重量部であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のプレコート鋼板。
  4. 【請求項4】 下層防錆塗膜層に含まれる、バナジン酸
    イオンを放出するイオン源とリン酸イオンを放出するイ
    オン源を同時に含む防錆顔料の添加量が、乾燥塗膜樹脂
    100重量部に対して1〜100重量部であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレコート鋼
    板。
  5. 【請求項5】 下地処理層が、6価クロムを含まない樹
    脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のプレコート鋼板。
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