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JP3451501B2 - 写真用支持体 - Google Patents

写真用支持体

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JP3451501B2
JP3451501B2 JP28216194A JP28216194A JP3451501B2 JP 3451501 B2 JP3451501 B2 JP 3451501B2 JP 28216194 A JP28216194 A JP 28216194A JP 28216194 A JP28216194 A JP 28216194A JP 3451501 B2 JP3451501 B2 JP 3451501B2
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film
layer
polyester
temperature
heat
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孝敏 矢島
昌人 高田
真美 石井
本田  誠
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真用支持体に関し、
詳しくは透明性、機械的強度に優れ、巻き癖カールの低
減された、特に巻き癖カールの低減によりロール状で熱
処理することにより生ずる下引き層塗設時の塗布故障や
フィルムの平面性が改良された二軸延伸ポリエステルフ
ィルムからなる写真用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、写真感光材料の用途は多様化して
おり、撮影時のフィルム巻き出しの高速化、撮影倍率の
高倍率化、撮影装置の小型化が著しく進んでいる。この
ため写真感光材料用の支持体としては、優れた機械的強
度、寸法安定性などの性質が要求されている。更に、ロ
ールフィルム状の写真感光材料では、その巻芯の小径化
が要求されている。
【0003】一般のカラーネガフィルムの様なロールフ
ィルム状の写真感光材料では、従来からトリアセチルセ
ルロースフィルム(以下、TACフィルムという。)が
使われてきた。ところが、TACフィルムは機械的強度
が小さいうえに、吸湿による寸法変化が大きくフィルム
を薄くすることができなかった。更に、巻芯を小径化す
ることにより巻ぐせカールは増大する。このため新た
に、現像処理前のプレスプライス工程での搬送不良が問
題となった。つまり、大量に処理する現像所では、撮影
済みの写真フィルムを一本づつ処理するのではなく、ま
ず何本かを接合して長尺にしてから、一度に処理してい
るのが普通であり、撮影済み写真フィルムの巻ぐせカー
ルが大きすぎると、写真フィルムの接合が困難となるの
である。
【0004】二軸延伸したポリエチレンテレフタレート
フィルム(以下、PETフィルムという)は、優れた透
明性、機械的強度、寸法安定性を有しており、フィルム
の薄膜化が必要なマイクロフィルムや、寸法安定性が厳
しく要求される印刷感材、透明性や腰の強さが要求され
るレントゲン用フィルムで使用されている。ところが、
PETフィルムには、TACフィルムにみられるような
現像処理後の巻きぐせ回復性がなく、ロールフィルム状
の写真感光材料に用いると、現像処理後の巻きぐせカー
ルが大きすぎ、仕分け作業時の取扱い性に劣るばかり
か、例えば現像処理後、写真印画紙に画像を焼き付ける
工程などで、擦り傷の発生、焦点のぼけ、搬送時のジャ
ミングなどが生じてしまうという問題があった。また、
PETフィルムは、TACフィルムに比べ巻ぐせは付き
難いが、巻芯を小径化した場合には、十分とは言えなか
った。
【0005】一般に、ポリエステルフィルムは機械的強
度や寸法安定性に優れている。従ってPETフィルムに
代表されるポリエステルフィルムの巻ぐせカールを低減
することにより、ひいては、現像処理後の巻ぐせカール
も低減することができ、上記の種々の問題を解決できる
と思われる。
【0006】この様な観点から、ポリエステルフィルム
の巻ぐせカールを低減する方法として、特開昭51-16358
号には、熱可塑性樹脂フィルムをTg−5℃〜Tg−30℃で
0.1〜1500時間、加熱処理する方法が提案されている。
更に、特開平6-35118号には、Tgが90℃〜200℃のポリエ
ステルフィルムを下塗り後、50℃〜Tgで0.1〜1500時
間、加熱処理する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】熱可塑性樹脂フィルム
をTg−5℃〜Tg−30℃で0.1〜1500時間、加熱処理する
方法は、PETフィルムやポリエチレンナフタレンジカ
ルボキシレートフィルム(以下、PENフィルムとい
う)をはじめ、結晶性や半結晶性の熱可塑性樹脂の巻ぐ
せカールを低減する効果があリ、有効に思われた。とこ
ろが、このような比較的高温での長時間熱処理はフィル
ムの品質を著しく損なうという問題がある。
【0008】つまり、一般に写真感光材料は、プラスチ
ックフィルムなどを基材とし、その表面に接着層、帯電
防止層などの各種機能性層や写真感光層などが積層され
ている。その製造手順としては、通常、広巾で長尺のプ
ラスチックフィルムに、先に挙げたような機能性層を塗
設し、比較的径の大きな巻心に中間製品として巻き取ら
れる。その後、最終の製品形態に断裁され、包装加工さ
れることになる。
【0009】この中間製品は、可能な限り広巾で長尺で
あることが、切替え時間の短縮や生産性向上の点から有
利であり、中間製品の重量はますます増大の方向にあ
る。この結果、巻心部には相当な荷重がかかることにな
る。
【0010】ところで、熱可塑性樹脂フィルムは、その
Tg近傍に加熱されると、急激に弾性率が低下してしまう
ことは、良く知られている。従って、大きな荷重がかか
っている条件下で、熱可塑性樹脂フィルムをそのTg近傍
で長時間加熱処理すると、フィルムはその荷重に耐えら
れず、シワ、折れ、押されなどが発生してしまう。この
様な表面故障は、たとえ目視で見えないような微小な場
合でも、その後の下引き層塗設工程で下引き層を塗設す
ると塗布故障やフィルムの平面性の劣化として顕在化し
てくるため写真用支持体としては使用に耐えないのが実
情であった。
【0011】Tgが90℃〜200℃のポリエステルフィルム
を下塗り後、50℃〜Tgで0.1〜1500時間、加熱処理する
方法は、原理的には特開昭51-16358号に記載の方法と全
く同じ方法であり、従って、巻ぐせカールを十分に低減
するためには、フィルムのTg近傍での加熱処理が必要
である。例えば、Tgが90℃のポリエステルフィルムで
は、60℃以上で加熱処理しないと十分に効果が得られな
いし、Tgが120℃のポリエステルフィルムでは、90℃以
上で加熱処理しないと十分に効果が得られないのが実情
である。従って、フィルムのTgが高く、非常に高い温度
で加熱処理しなくてはならないので、次のような新たな
問題が生じる。
【0012】つまり、一般に写真感光材料は、その常用
可能な最高温度は、高々50℃であり、これより高温での
使用は短時間の場合に限られる。そして、各種機能性層
からなる下塗り層の耐熱性も、この常用温度条件を考慮
して設計されてあるのが普通である。従って、これら下
塗り層は、フィルムの巻ぐせカールを十分に低減するた
めの加熱処理に耐えることができず、素材の劣化や分解
をはじめ添加物の塗膜表面への移行やブリードアウト、
塗膜表面のひび割れなどのさまざまな問題を生じるので
ある。
【0013】以上説明したように、これまで、撮影時の
フィルム巻き出しの高速化、撮影倍率の高倍率化、撮影
装置の小型化などを可能とする優れた機械的強度、寸法
安定性を有し、かつ巻芯を小径化しても巻ぐせカールが
付き難く、プレスプライス工程での搬送不良がない写真
用支持体は得られていなかったのである。
【0014】従って、本発明の目的は透明性、機械的強
度に優れ、更に巻ぐせカールが小さく、しかも下引き層
塗設後の塗布故障が少なく、平面性に優れた写真用支持
体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0016】(1)二軸延伸ポリエステルフィルムからな
る写真用支持体であり、該二軸延伸ポリエステルフィル
ムが、縦方向の熱収縮率を−0.05%以上0.20%以下、横
方向の熱収縮率を0.0%以上0.30%以下の範囲に調整さ
れた後、該二軸延伸ポリエステルフィルムのガラス転移
温度以下、ガラス転移温度から30℃低い温度以上でロー
ル状で熱処理されていることを特徴とする写真用支持
体。
【0017】(2)前記二軸延伸ポリエステルフィルム
が、縦方向の熱収縮率を0.0%以上0.15%以下の範囲に
調整された後、該二軸延伸ポリエステルフィルムのガラ
ス転移温度以下、ガラス転移温度から30℃低い温度以上
でロール状で熱処理されていることを特徴とする(1)に
記載の写真用支持体。
【0018】(3)前記二軸延伸ポリエステルフィルム
が、横方向の熱収縮率を0.05%以上0.25%以下の範囲に
調整された後、該二軸延伸ポリエステルフィルムのガラ
ス転移温度以下、ガラス転移温度から30℃低い温度以上
でロール状で熱処理されていることを特徴とする(2)に
記載の写真用支持体。
【0019】(4)前記二軸延伸ポリエステルフィルムが
エチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートユニット
を70重量%以上含有していることを特徴とする請求項
1、2又は3に記載の写真用支持体。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルは、特に限定されるものではない
が、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分
とするフィルム形成性を有するポリエステルであること
が好ましい。
【0022】主要な構成成分のジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフ
タレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
カルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェ
ニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカ
ルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げる
ことができる。また、ジオール成分としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、テトラメチレング
リコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ
エトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシ
エチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール
などを挙げることができる。これらを主要な構成成分と
するポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安
定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタ
ル酸及び/又は2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジオール
成分として、エチレングリコール及び/又は1,4-シクロ
ヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエス
テルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート
又はポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート
を主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸
と2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールか
らなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステル
の二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステ
ルが好ましい。ポリエステルに対してエチレン-2,6-ナ
フタレンジカルボキシレートユニットが70重量%以上含
有していると、透明性、機械的強度、寸法安定性などに
高度に優れたフィルムが得られる。ポリエチレンテレフ
タレートを主構成成分とするフィルムに比べポリエチレ
ン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートを主構成成分と
するフィルムの方が機械的強度や耐熱性に優れているこ
とは良く知られている。一方、ポリエチレン-2,6-ナフ
タレンジカルボキシレートを主構成成分とするフィルム
には、蛍光を発光する性質や樹脂の価格が高いなどの不
利な面もある。従って、使用される目的に応じて、通常
はポリエチレンテレフタレートを主構成成分とするフィ
ルムを使用し、特に高度に薄膜化が必要な場合や高い温
度で酷使されるような場合はポリエチレン-2,6-ナフタ
レンジカルボキシレートを主構成成分或いは構成成分と
するフィルムを使用すれば良い。更に両者を混合するこ
とによりお互いの欠点を補うことができる。
【0023】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範
囲であれば、更に他の共重合成分が共重合されていても
良いし、他のポリエステルが混合されていても良い。こ
れらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオ
ール成分、又はそれらから成るポリエステルを挙げるこ
とができる。
【0024】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルには、フィルムのデラミネーショ
ンを起こし難くするため、スルホネート基を有する芳香
族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、ポリオ
キシアルキレン基を有するジカルボン酸又はそのエステ
ル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオ
ールなどを共重合してもよい。中でもポリエステルの重
合反応性やフィルムの透明性の点で、5-ナトリウムスル
ホイソフタル酸、2-ナトリウムスルホテレフタル酸、4-
ナトリウムスルホフタル酸、4-ナトリウムスルホ-2,6-
ナフタレンジカルボン酸及びこれらのナトリウムを他の
金属、(例えばカリウム、リチウムなど)やアンモニウ
ム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物又はそのエ
ステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ポリエチレングリコール-ポ
リプロピレングリコール共重合体及びこれらの両端のヒ
ドロキシ基を酸化するなどしてカルボキシル基とした化
合物などが好ましい。この目的で共重合される割合とし
ては、ポリエステルを構成する二官能性ジカルボン酸を
基準として、0.1〜10モル%が好ましい。
【0025】また、フィルムの耐熱性を向上する目的で
は、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環又はシクロ
ヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。
これらの共重合割合としては、ポリエステルを構成する
二官能性ジカルボン酸を基準として、1〜20モル%が好
ましい。
【0026】本発明に用いられるポリエステルには、酸
化防止剤が含有されていても良い。特にポリエステル
が、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を含む場合
に効果が顕著となる。含有させる酸化防止剤はその種類
につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用するこ
とができるが、例えばヒンダードフェノール系化合物、
ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などの酸
化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒ
ンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。
【0027】酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステ
ルに対して0.01〜2重量%、好ましくは0.1〜0.5%であ
る。酸化防止剤の含有量をこの範囲とすることで、写真
感光材料の未露光部分の濃度が高くなるいわゆるかぶり
現象を防止でき、かつ、フィルムのヘーズを低く抑えら
れるので、透明性に優れた写真用支持体が得られる。な
お、これらの酸化防止剤は一種を単独で使用しても良い
し、二種以上を組合せて使用しても勿論良い。
【0028】本発明に用いられるポリエステルには、ラ
イトパイピング現象を防止する目的で、染料を含有させ
ることが好ましい。このような目的で配合される染料と
しては、その種類に特に限定があるわけではないが、フ
ィルムの製造上、耐熱性に優れていることが必要であ
り、アンスラキノン系やペリノン系の染料が挙げられ
る。また、色調としては、一般の写真感光材料に見られ
るようにグレー染色が好ましい。これらの染料として
は、Bayer社製のMACROLEXシリーズ、住友化学株式会社
製のSUMIPLASTシリーズ、三菱化成株式会社製のDiaresi
nシリーズなどの中から一種単独で、若しくは二種以上
の染料を必要な色調となるように混合して用いることが
できる。この際、フィルムの分光透過率を400〜700nmの
波長範囲で60%以上85%以下とし、更に600〜700nmの波
長範囲で分光透過率の最大と最小の差が10%以内とする
ように染料を用いることが、ライトパイピング現象を防
止し、かつ良好な写真プリントを得る上で好ましい。
【0029】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに
は、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑
性付与手段としては、特に限定はないが、ポリエステル
に不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエ
ステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析
出方法、或いは界面活性剤などをフィルム表面に塗布す
る方法などが一般的である。これらの中でも、析出する
粒子を比較的小さくコントロールできる内部粒子析出方
法が、フィルムの透明性を損なうことなく易滑性を付与
できるので好ましい。触媒としては、公知の各種触媒が
使用できるが、特にCa、Mnを使用すると高い透明性が得
られるので好ましい。これらの触媒は一種でも良いし、
二種以上を併用しても良い。
【0030】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは
異種のポリエステルからなる多層構成であっても良い。
例えば、エチレンテレフタレートユニット又はエチレン
-2,6-ナフタレンジカルボキシレートユニットを主構成
成分とするポリエステルからなる層をA層、他のポリエ
ステルからなる層をB層或いはC層とした場合、A層と
B層とからなる二層構成でも良いし、A層/B層/A
層、A層/B層/C層、B層/A層/B層又はB層/A
層/C層などの三層構成でも良い。更に四層以上の構成
も勿論可能であるが、製造設備が複雑になるので実用上
あまり好ましくない。A層の厚みは、ポリエステルフィ
ルムの全体の厚みに対し、30%以上の厚みであることが
好ましく、更に50%以上の厚みであることが好ましい。
【0031】B層或いはC層を構成するポリエステルと
して、透明性、機械的強度、寸法安定性などの優れたポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジ
カルボキシレート或いは他のホモポリエステル、或いは
他の共重合ポリエステルを用いることで、フィルム全体
の透明性、機械的強度、寸法安定性などを向上すること
ができる。
【0032】更に、本発明の二軸延伸ポリエステルフィ
ルムが多層構成を有する場合は、上記の酸化防止、ライ
トパイピング防止、易滑性などの機能付与、又は上記以
外の各種添加剤の添加は、表面層のみに行えばよいの
で、フィルムの透明性を高く維持できる。本発明のポリ
エステルフィルムには、更にその両側に他のポリエステ
ルからなる層を積層することにより、フィルム表面への
オリゴマー析出を高度に防止することができる。この
時、両側に積層される他のポリエステル(ポリエステル
D)からなる層を構成するポリエステルとしては、前述
のポリエステルを用いることが好ましい。ポリエステル
DのTgは、内層のポリエステルのTgより高いことが好ま
しい。ポリエステルDのTgは、内層のポリエステルのTg
より5℃以上、更に15℃以上高いことが好ましい。ま
た、ポリエステルDからなる層の厚さは、フィルムの吸
水性を維持するため、ある範囲で薄いことが必要であ
り、0.05〜10μmが好ましい。
【0033】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
原料のポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけ
ではなく、従来公知のポリエステルの製造方法に従って
製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分
と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めに
ジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、
これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを
減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することに
より重合させるエステル交換法を用いることができる。
この際、必要に応じてエステル交換触媒或いは重合反応
触媒を用い、或いは耐熱安定剤を添加することができ
る。また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、
結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫
外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止
剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
【0034】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム
は、下記の方法で求めたフィルムの巻ぐせカールが110m
-1以下であることが好ましい。フィルムの巻ぐせカール
があまり大きいと、プレスプライス工程での搬送性や仕
分け作業時の作業性が劣る。また、巻ぐせカールは適度
にある方が、フィルムカートリッジからフィルム先端部
を出させるのが容易となり、いわゆるベロ出し性に優れ
るので好ましい。従って、フィルムの巻ぐせカールのよ
り好ましい範囲は5〜90m-1である。
【0035】<巻ぐせカール>巾35mm、長さ1200mmの寸
法の写真感光材料を、23℃、55%RHの条件下で1日調
湿した後、その写真感光層側を内側にして直径7mmの巻
き芯に巻き付け戻らないように固定する。次いで、この
フィルムをポリエチレン製のパトローネケースに入れ、
50℃、20%RHの条件下で4時間加熱処理し、更に23
℃、55%RHの条件下で1時間放冷する。その後フィル
ムを巻き芯から解放し、フィルムの巻きの外側の端を上
にしてクリップでつまみ、ぶらさげる。この状態で更
に、23℃、55%RHの条件下で1時間放置する。こうし
た後、フィルムの下端の巻ぐせカールの程度を曲率半径
の逆数で求める。単位はm-1である。
【0036】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
厚みは特に限定がある訳ではない。その使用目的に応じ
て必要な強度を有する様に設定すればよい。特にフィル
ムがカラーネガ用写真感光材料に用いられる場合は、20
〜125μm、特に40〜90μmであることが好ましい。ま
た、医用や印刷用写真感光材料に用いられる場合は、50
〜200μm、特に60〜150μmであることが好ましい。この
範囲より薄いと、必要な強度が得られない場合があり、
厚いと従来の写真感光材料用支持体に対しての優位性が
なくなってしまう。
【0037】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに
は、巾方向にカールを付与することが、写真印画紙への
焼付け工程で、すり傷の発生やピントのぼけなどの問題
がない写真感光材料を得る上で好ましい。なお、フィル
ムのカールの凸側に写真感光層を設け、かつその面を内
側にして巻いた場合にその効果が発揮される。
【0038】この様な目的でフィルムに付与するカール
の程度は、設ける写真感光層の厚み、弾性率、吸湿膨張
係数などにより変化するので一概に決められないが、写
真感光材料としたときに写真感光層側が凸にならない範
囲でできるだけフラットになるように付与すればよく、
通常、23℃、20%RHの条件下で5m-1〜50m-1である。
なお、カールの程度は、以下の様にして求めた値であ
る。
【0039】<巾方向のカール度>フィルムから巾35m
m、長さ2mmの寸法に切出した試験片を、23℃、20%R
Hの条件下で1日調湿した後、サンプルの巾方向のカー
ルの曲率半径をメートルで求め、その逆数で巾方向のカ
ール度を表す。単位はm-1である。
【0040】フィルムに巾方向のカールを付与する方法
は、特に限定があるわけではなく、例えば、共重合成分
や主構成成分の異なるポリエステルを積層する方法、固
有粘度の異なる同種又は異種のポリエステルを積層する
方法、更に三層構成とし、両外層の厚みを変化させる方
法、表裏の延伸条件や熱固定条件を変化させフィルムの
厚み方向で分子配向や結晶化度の分布を持たせる方法な
どが挙げられる。また、レゾルシンなどで薬液処理する
方法なども挙げられる。更に、これらの方法を適宜組合
せたり、四層以上の層構成のなかでこれらの方法を用い
てカールを付与することも勿論可能である。
【0041】これらの中で、二層構成で主構成成分が同
じで共重合成分の異なるポリエステルを積層する方法、
又は中心層と両外層が、主構成成分が同じで共重合成分
の異なるポリエステルを積層した三層構成とし、両外層
の厚みを変化させる方法が、カールの程度を調整し易い
ので好ましい。この目的で両外層の層の厚みを変化させ
る場合は、両外層の厚みをそれぞれd1、d2とすると、
1.1≦d1/d2≦10とすることがフィルムの製造上好ま
しい。上記範囲にないフィルムでは延伸が著しく困難と
なる場合がある。
【0042】また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィ
ルムは、ヘーズが3%以下であることが好ましい。更に
好ましくは1%以下である。ヘーズが3%より大きいと
フィルムを写真感光材料用支持体として用いた場合、写
真用印画紙に焼付けた画像がぼけてしまい不鮮明にな
る。上記ヘーズは、ASTM-D1003-52に従って測定したも
のである。
【0043】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
Tgは、60℃以上が好ましく、更に70℃以上が好ましい。
Tgは示差走査熱量計で測定するところのベースラインが
偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度と
の平均値として求められる。Tgがこの値以上であると、
現像処理機の乾燥工程でのフィルムが変形がなく、現像
処理後の巻きぐせカールの小さい感光材料が得られる。
【0044】次に、本発明のポリエステルフィルムの製
造方法について説明する。
【0045】未延伸シートを得る方法及び縦方向に一軸
延伸する方法は、従来公知の方法で行うことができる。
例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱
風乾燥又は真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシ
ート状に押出して、静電印加法などにより冷却ドラムに
密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次い
で、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/又は
赤外線ヒーターなどの加熱装置を介してポリエステルの
ガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱
し、一段又は多段縦延伸する方法である。延伸倍率は、
通常2.5倍〜6倍の範囲で、続く横延伸が可能な範囲と
する必要がある。シートが多層構成の場合の延伸温度の
設定は各構成層のポリエステルのTgのなかで最も高いTg
を基準にすることが好ましい。
【0046】この際、ポリエステルを積層する場合も、
従来公知の方法でよい。例えば、複数の押出機及びフィ
ードブロック式ダイ或いはマルチマニフォールド式ダイ
による共押出法、積層体を構成する単層フィルム又は積
層フィルム上に積層体を構成するその他の樹脂を押出機
から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる押出ラ
ミネート法、積層体を構成する単層フィルム又は積層フ
ィルムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介して積層
するドライラミネート法などが挙げられる。中でも、製
造工程が少なくてすみ、各層間の接着性が良好な共押出
法が好ましい。
【0047】次に、上記の様にして得られた縦方向に一
軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm−20℃の
温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定する。横延伸倍
率は通常3〜6倍であり、また、縦、横延伸倍率の比
は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好まし
い特性を有するように適宜調整する。本発明の場合、巾
方向の弾性率が長手方向の弾性率より大きくなるように
する。使用目的に応じて変化させても良い。この時、2
つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲
で順次昇温しながら横延伸すると巾方向の物性の分布が
低減でき好ましい。更に横延伸後、フィルムを、その最
終横延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間
保持すると巾方向の物性の分布が更に低減でき好まし
い。
【0048】熱固定は、その最終横延伸温度より高温
で、Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固
定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を
1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが
好ましい。
【0049】熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷
却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットしロ
ール状に巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、
Tg以上の温度範囲内で、巾方向及び/又は長手方向に0.
1〜10%弛緩処理することが好ましい。また、冷却は、
最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速
度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段
は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複
数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行う
ことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。な
お、冷却速度は、最終熱固定温度をT1,フィルムが最
終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとしたと
き、(T1−Tg)/tで求めた値である。これら熱固定条
件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルム
を構成するポリエステルにより異なるので、得られた二
軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有する
ように適宜調整することにより決定すればよい。
【0050】また、上記フィルム製造に際し、延伸の前
及び/又は後で帯電防止層、易滑性層、接着層、バリア
ー層などの機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ
放電処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応じて
施すことができる。更に、強度を向上させる目的で、多
段縦延伸、再縦延伸、再縦横延伸、横・縦延伸など公知
の延伸フィルムに用いられる延伸を行うこともできる。
勿論カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、
粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重
合・再重合などの処理を行った後、同じ品種のフィルム
用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再
利用してもよい。
【0051】以上のようにして得られた二軸延伸ポリエ
ステルフィルムは、まだ巻ぐせが付きやすい性質なの
で、本発明では、更に二軸延伸ポリエステルフィルム
を、そのTg以下、Tg−30℃以上の温度で熱処理を行う。
処理温度は高いほど短時間で巻ぐせカールの低減効果が
得られるが、あまり高温では、フィルムのシワや押され
や折れが発生しやすくなり下引き層塗設後の塗布故障が
改良されない。処理温度が低いときは長い処理時間が必
要となるが、低すぎると十分な巻ぐせカールの低減効果
が得られなくなる。処理時間は、特に限定はないが、0.
1時間以上から巻ぐせカールの低減効果が認められ、長
時間にするほど高い効果が得られるので所望の効果が得
られるように適宜設定することができるが、あまり長い
と生産性に劣るので通常1500時間までが現実的である。
【0052】熱処理する場合、フィルムの縁や中央部に
部分的に或いは全長に渡ってエンボス加工、端部を折り
曲げる加工、部分的にフィルムの厚みを厚くするなどに
よりフィルムとフィルムの密着を防止することが好まし
い。中でもエンボス加工を施す方法が最も簡単でかつ確
実であり好ましい。勿論これらの方法を複数組合わせて
もよい。このような目的では、エンボス加工は通常10〜
100μmの凹凸ができるように加工するのが好ましい。
【0053】熱処理する際使用する芯及び巻き取る芯は
特に限定されないが、フィルムが巻かれても撓みなどを
起こさない強度を備え、かつ熱処理温度に耐える材質、
構造であることが好ましい。芯の表面は平滑なほどよ
く、表面粗さ(RMAX)で2.0μm以下が好ましい。これ
らの例としては樹脂ロール、繊維強化樹脂ロール、金属
ロール、セラミックコーティングロールなどが挙げられ
る。芯径は、あまり小さすぎると巻芯部にしわなどが発
生しやすいので、ある程度大きい方が好ましく、通常75
mm以上、更に200mm以上が好ましい。巻き取られたフィ
ルムロールのロール直径は、あまり大きすぎると均一な
処理が難しくなるので、ある程度小さい方が好ましく、
通常1000mm以下、更に850mm以下が好ましい。またフィ
ルムロール巾は特に限定はないが、生産性の点から広い
ほうが好ましく、150mm以上3500mm以下が一般的であ
る。
【0054】本発明では上記の巻ぐせカールの低減を目
的とした熱処理をロール状で行う際に、フィルムの縦方
向の熱収縮率を−0.05%以上0.2%以下、横方向の熱収
縮率を0.0%以上0.3%以下とし、更に好ましくは縦方向
の熱収縮率を0.0%以上0.15%以下、横方向の熱収縮率
を0.05%以上0.25%以下とする点に特徴がある。フィル
ムの熱収縮率を特定の範囲になるように調整することで
下引き層塗設後の塗布故障が良好で、フィルムの平面性
も良好な写真用支持体が得られる。
【0055】通常の二軸延伸フィルムの製造方法による
だけでは、上記のフィルム特性を得ることは非常に困難
である。即ちテンターを用いた逐次二軸延伸方法では、
横方向(フィルム巾方向)の熱収縮率はクリップレール
の巾を狭めることで調整可能であるが、縦方向(フィル
ム長手方向)は調整機構がないためである。薄手フィル
ムを主体にしたテンシライズドフィルムのように再縦延
伸装置が備わっていればこの工程で調節可能であるが写
真用支持体に使われるフィルムは厚物であるため、この
様な再縦延伸の様な装置は通常使用されない。更に、い
わゆるボーイング現象のため巾方向に物性の分布がどう
しても生じてしまう。この為、仮にフィルムの巾方向の
中央部分ではフィルムの熱収縮率を上記の範囲に調整で
きたとしてもフィルムの巾方向の端部ではフィルムの熱
収縮率が大きくなりすぎるのである。
【0056】そこで本発明のフィルムを得るためにはフ
ィルムの特に縦方向の熱収縮率を調整する方法が必要と
なる。採用可能な方法は、例えば特公昭60-22616号、同
62-43857号、特開昭61-233523号、同62-134244号、同62
-158016号などが挙げられるが、特にこれらに限定され
る訳ではない。
【0057】本発明では前記の熱処理に続いて、更にフ
ィルムの表面に少なくとも1層の下引き層を塗設するこ
とにより塗布故障がなく下引き層塗設後の平面性に優れ
た写真用支持体を得ることができる。
【0058】一般にポリエステルフィルムの様な疎水性
のフィルムに親水性の写真乳剤層を直接塗設しても必要
な接着力は得られない。そこで通常フィルム表面に下引
き層を塗設することが必要である。下引き層に用いるこ
とのできる素材は特に限定されないが、例えば塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アク
リル酸、イタコン酸、無水マレイン酸を出発原料とする
共重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、ポリエス
テル、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、グ
ラフト化ゼラチン、ニトロセルロースなどやこれらの混
合物などを挙げることができる。これら下引き層中には
界面活性剤、帯電防止剤、アンチハレーション剤、クロ
スオーバーカット剤、着色染料、顔料、増粘剤、塗布助
剤、カブリ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線
安定剤、エッチング処理剤、磁性粉、マット剤などの各
種添加剤を一種又は二種以上含有していてもよい。
【0059】下引き層を塗設する方法は特に限定はな
く、従来から知られている各種の方法を用いることがで
きる。例えば上記の素材を適当な溶媒に溶かした溶液或
いは分散液とし、エアーナイフコーター、ディップコー
ター、カーテンコーター、ワイヤーバーコーター、グラ
ビアコーター、エクストルージョンコーターなどを用い
てフィルム表面に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
この際必要に応じてコロナ放電処理、紫外線処理、グロ
ー放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面活性化
処理する方法やレゾルシン処理、フェノール類処理、ア
ルカリ処理、アミン処理、トリクロル酢酸処理などのエ
ッチング処理する方法を用いても良い。勿論これらの処
理を組合せてもよい。中でもコロナ放電処理が好ましく
用いられる。また、作業環境の点から塗布液は水分散液
或いは水溶液であることが好ましい。
【0060】下引き層は一層又は二層以上から構成され
ていてもよく、更に、帯電防止層、易滑性層、バリアー
層、アンチハレーション層、クロスオーバーカット層、
紫外線吸収層、磁気記録層などが含まれていても良い。
【0061】以上のようにして下引き層が塗設されたフ
ィルムは常温まで冷却され巻き取られ、次工程に送られ
るまでの間保管される。この際、フィルムの水分率を0.
2%以下に調節することにより、保管による巻ぐせを防
止することができるので好ましい。
【0062】次に、写真感光材料を形成する方法につい
て説明する。
【0063】写真感光材料は、本発明の写真用支持体の
少なくとも一方の側に写真乳剤層が設けられており、写
真乳剤層はハロゲン化銀乳剤を塗設することによって形
成することができる。写真乳剤層は、写真用支持体の片
面又は両面に設けることができる。また、写真乳剤層
は、それぞれの面に一層又は二層以上設けることができ
る。ハロゲン化銀乳剤は、写真用支持体上に直接或いは
他の層、例えば、ハロゲン化銀乳剤を含まない親水性コ
ロイド層を介して塗設することができる。また、ハロゲ
ン化銀乳剤層は、異なる感度、例えば高感度及び低感度
の各ハロゲン化銀乳剤層に分けて塗設してもよい。この
場合、各ハロゲン化銀乳剤層の間に中間層を設けてもよ
い。更に、ハロゲン化銀乳剤層の上や中間層、或いはハ
ロゲン化銀乳剤層と写真用支持体の間の任意の場所に親
水性コロイド層、保護層、アンチハレーション層、バッ
キング層、マスキング層などの非感光性層を設けてもよ
い。
【0064】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、
例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略
す)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の“1.乳剤製造
法(Emulsion preparation and types)”、及びRD N
o.18716、648頁、グラフキデ著「写真の物理と化学」ポ
ールモンテル社刊(P.Glkides,Chemie et Phyzique Pho
tographique ,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真
乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Daffin,Photo
graphic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼ
リクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプ
レス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Pho
tographic Emulsion,Focal Press 1964)などに記載さ
れた方法を用いて調製することができる。
【0065】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、
米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,41
3,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0066】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤に
は、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができ
る。このような工程で使用される添加剤は、RD No.17
643、RD No.18716及びRD No.308119(それぞれ、以
下、RD 17643、RD 18716及びRD 308119と略
す。)に記載されている。表1にその記載箇所を示す。
【0067】
【表1】
【0068】本発明の写真感光材料がカラー写真感光材
料である場合、使用することができる写真用添加剤は上
記RDに記載されている。表2にその関連のある記載箇
所を示す。
【0069】
【表2】
【0070】また本発明の写真感光材料がカラー写真感
光材料である場合、種々のカプラーを使用することがで
き、その具体例は下記RD 17643及びRD 308119に記
載されている。表3にその関連ある記載箇所を示す。
【0071】
【表3】
【0072】またこれら添加剤は、RD 308119 1007
頁 XIV項に記載されている分散法などにより、写真感光
層に添加することができる。
【0073】本発明の写真感光材料がカラー写真感光材
料である場合には、前述のRD 308119 VII−K項に記載
されているフィルター層や中間層などの補助層を設ける
ことができる。
【0074】上記カラー写真感光材料を構成する場合、
前述のRD 308119 VII−K項に記載されている順層、逆
層、ユニット構成などの様々な層構成をとることができ
る。
【0075】本発明の写真感光材料を現像処理するに
は、例えばT.H.ジェームズ著、セオリイ オブ ザ フ
ォトグラフィック プロセス第4版(The Theory of Th
e Photografic Process Forth Edition)第291頁〜第33
4頁及びジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサ
エティ(JournaI of the American Chemical Society)
第73巻、第3,100頁(1951)に記載されている、それ自
体公知の現像剤を使用することができる。また前記カラ
ー写真感光材料は前述のRD 17643 28〜29頁、RD 18
716 615頁及びRD 308119 XIXに記載された通常の方
法によって、現像処理することができる。
【0076】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0077】以下の実施例において、熱収縮率、ガラス
転移温度及び融点、フィルムヘーズ、固有粘度、弾性率
及び破断強度、巻きぐせカールの各値及び下引き層塗設
後の塗布故障、平面性、プレスプライス搬送性の各評価
ランクは下記により求められたものである。
【0078】(1)熱収縮率 フィルムから150mm×150mmのサンプルを切出し、23℃、
55%RHの条件下で1日調湿した後、100mm間隔の罫書
き線を入れる。そして、130℃で30分間熱処理を行い、
更に23℃、55%RHの条件下で1日調湿した後の罫書き
線の間隔を測定する。熱処理前後の罫書き線の間隔の差
を求め、熱処理前の間隔に対する100分率で表す。な
お、熱処理前に対して収縮する方向を+、伸びる方向を
−とした。
【0079】(2)ガラス転移温度Tg及び融点Tm フィルム或いはペレット10mgを、毎分300cm3の窒素気流
中、300℃で溶融し、直ちに液体窒素中で急冷する。こ
の急冷サンプルを示差走査型熱量計(理学電器社製、D
SC8230型)にセットし、毎分100ccの窒素気流中、毎
分10℃の昇温速度で昇温し、Tg及びTmを検出する。Tgは
ベースラインが偏奇し始める温度と、新たにベースライ
ンに戻る温度との平均値、Tmはその吸熱ピークのピーク
温度とした。なお、測定開始温度は、測定されるTgより
50℃以上低い温度とする。
【0080】(3)フィルムヘーズ ASTM-D1003-52に従って測定した。
【0081】(4)固有粘度 フィルム或いはペレットを、フェノールと1,1,2,2-テト
ラクロロエタンの混合溶媒(重量比60/40)に溶かし、
濃度0.2g/dl、0.6g/dl、1.0g/dlの溶液を作製
し、ウベローデ型粘度計により、20℃で、それぞれの濃
度(C)における比粘度(ηsp)を求める。次いで、η
sp/CをCに対してプロットし、得られた直線を濃度ゼ
ロに補外して を求める。単位は、dl/gで示される。
【0082】(5)弾性率及び破断強度 フィルムを、巾10mm、長さ200mmの大きさに切出し、23
℃、55%RHの条件下で12時間調湿した後、(株)オリエ
ンテック社製テンシロン(RTA−100)を用い、チャ
ック間を100mmにし、引張り速度100mm/分で引張り試験
をし弾性率及び破断強度を求めた。
【0083】(6)巻きぐせカール 巾35mm、長さ1200mmの寸法の写真感光材料を、23℃、55
%RHの条件下で1日調湿した後、その写真感光層側を
内側にして直径7mmの巻き芯に巻き付け戻らないように
固定する。次いで、このフィルムをポリエチレン製のパ
トローネケースに入れ、50℃、20%RHの条件下で4時
間加熱処理し、更に23℃、55%RHの条件下で1時間放
冷する。その後フィルムを巻き芯から解放し、フィルム
の巻きの外側の端を上にしてクリップでつまみ、ぶらさ
げる。この状態で更に、23℃、55%RHの条件下で1時
間放置する。こうした後、フィルムの下端の巻ぐせカー
ルの程度を曲率半径の逆数で求める。単位はm-1であ
る。
【0084】(7)塗布故障 フィルム1m2あたりの表面故障の数を目視評価し、下記
の基準でランク付けした。なお、このランク付けにおけ
る実用性は、写真感光材料としての品質の許容性に基づ
いて決定されたものであり、ランク○以上であることが
必要である。
【0085】 ランク 表面故障の数 ◎ 0個 ○ 1〜3個 × 4個以上 (8)平面性 フィルムを、23℃、55%RHの条件下で12時間調湿した
後に、平らな盤の上に広げ、その波打ちの程度を目視に
て評価し、以下の基準でランク付けした。なお、このラ
ンク付けにおける実用性は、写真感光材料としての品質
の許容性に基づいて決定されており、ランク○以上であ
ることが必要である。
【0086】 ランク 波打ちの程度 ◎ 良好 ○ 良く見ると波打ちが分かる × 波打ちが大きい (9)プレスプライス搬送性 上記巻ぐせカールの測定と同様にして巻ぐせを付けた写
真感光材料を用いて、巻芯側が先頭になるようにしてノ
ーリツプレスプライサーPS−35−1(ノーリツ鋼機
株式会社製)に挿入した。各水準10本づつ通し搬送不良
の発生数により下記の基準でランク付けした。
【0087】 ランク 搬送不良の発生数 ◎ 0 本 ○ 1 本 × 2〜10本 以下のようにして、ポリエステルを準備した。
【0088】(ポリエステルA)2,6-ナフタレンジカル
ボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量
部にエステル交換触媒として酢酸カルシウム水和物0.1
重量部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行っ
た。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05重量部、
リン酸トリメチルエステル0.03重量部を添加した。次い
で、徐々に昇温、減圧にし、290℃、0.5mmHgで重合を行
い、固有粘度0.60のポリエチレン-2,6-ナフタレートを
得た。
【0089】(ポリエステルB)ポリエステルAにバイ
エル社製染料マクロレックスグリーンG、マクロレック
スレッド5Rを1:1の割合で添加し、押出し機を用い
て染料濃度が2000ppmのマスターペレットを作製した。
【0090】以上のようにして得られた各々のポリエス
テルを用いて、以下のようにしてフィルムを得た。
【0091】ポリエステルAとポリエステルBを重量比
9:1の割合になるようにタンブラー型混合機でブレン
ドした。この後、150℃で8時間真空乾燥した後、300℃
でTダイから層状に溶融押出し、50℃の冷却ドラム上に
静電印加しながら密着させ、冷却固化させ未延伸シート
を得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用い
て、135℃で縦方向に3.3倍延伸した。
【0092】得られた一軸延伸フィルムをテンター式横
延伸機を用いて、第一延伸ゾーン145℃で総横延伸倍率
の50%延伸し、更に第二延伸ゾーン155℃で総横延伸倍
率3.3倍となるように延伸した。次いで、100℃で2秒間
熱処理し、更に第一熱固定ゾーン200℃で5秒間熱固定
し、第二熱固定ゾーン230℃で15秒間熱固定した。次い
で、230℃で横方向に弛緩処理した後、80℃まで冷却
し、フィルムをテンタークリップから解放した。更に空
気浮遊式のオーブン内を走行張力を5kg/mに保ちなが
ら通過させ縦方向の弛緩処理を行い室温まで冷却し巻き
取り、厚さ85μmの二軸延伸フィルムを得た。この時、
横方向の弛緩率と縦方向の弛緩処理温度、時間を表4の
様に変化させ熱収縮率の異なるフィルム(水準1〜11)
を作製した。得られたフィルムの熱収縮率を表4に示し
た。
【0093】以上のようにして得られたフィルム(水準
1〜11)を巾1mにスリットしその両縁部にエンボスリ
ングを押付けながら高さ15μm、巾10mmのエンボス加工
を施した後、直径200mm、表面粗さ(RMAX)0.8μmのS
US製の巻芯に、初期張力25kgf、最終張力20kgfとなる
ように張力を変化させながら1000m巻き取った。
【0094】次いで、フィルムを巻芯に巻かれた状態の
まま、110℃、24時間巻ぐせ低減のための熱処理を行っ
た。得られたフィルムの各物性値について測定し、結果
を表5に示した。尚、熱処理は24時間かけて昇温し所定
温度で所定時間処理した後更に24時間かけて常温まで冷
却した。
【0095】次いで、以下のようにして下引き層、及び
バック層を塗設した。
【0096】フィルムの一方の面に8W/(m2・min)
のコロナ放電処理を施し、その上に、常温、常湿下で、
下記下引塗布液A−1を50m/minの速さでロールフィ
ットコーティングパン及びエアーナイフを使用して塗布
し、乾燥温度90℃で30秒間乾燥し、乾燥膜厚0.8μmの下
引層A−1を形成した。このフィルムの他方の面に同様
の方法で、下記下引塗布液B−1を塗布、乾燥し、乾燥
膜厚0.8μmの下引層B−1を形成した。
【0097】 〈下引塗布液A−1〉 ブチルアクリレート30重量%、t-ブチルアクリレート20重量%、 スチレン25重量%、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート 25重量%の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.6g ヘキサメチレン-1,6-ビス(エチレン尿素) 0.8g 水で仕上げる 1000ml 〈下引塗布液B−1〉 ブチルアクリレート40重量%、スチレン20重量%及びグリシジル アクリレート40重量%の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.6g ヘキサメチレン-1,6-ビス(エチレン尿素) 0.8g 水で仕上げる 1000ml 更に下引層A−1及び下引層B−1の上に8W/(m2
min)のコロナ放電処理を施し、同様にして下引層A−
1の上に下記下引塗布液A−2を塗布、乾燥し、乾燥膜
厚0.1μmの下引層A−2を形成し、また、下引層B−1
の上には、下記下引塗布液B−2を塗布、乾燥し、乾燥
膜厚0.8μmの下引層B−2を形成した。
【0098】 〈下引塗布液A−2〉 ゼラチン 10g 化合物(UL−1) 0.2g 化合物(UL−2) 0.2g 化合物(UL−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径:3μm) 0.1g 水で仕上げる 1000ml 〈下引塗布液B−2〉 水溶性導電性ポリマー(UL−4) 60g 化合物(UL−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g 硫酸アンモニウム 0.5g 硬化剤(UL−6) 12g ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g 水で仕上げる 1000ml 上記下引層を塗設したフィルムを用いて、下引層B−2
の上に8W/(m2・min)のコロナ放電を施し、下記塗
布液MC−1を乾燥膜厚1μmになるように塗布した。
【0099】(MC−1)下記の成分を一緒にディゾル
バーで混和し、その後サンドミルで分散し、分散液とし
た。
【0100】 ニトロセルロース 70重量部 ラウリン酸 1重量部 オレイン酸 1重量部 ブチルステアレート 1重量部 シクロヘキサノン 75重量部 メチルエチルケトン 150重量部 トルエン 150重量部 Co被着γ-Fe2O3(長軸0.2μm、短軸0.2μm、Hc=650エルステッド) 5重量部 更に、MC−1の塗布層の上に、下記塗布液OC-1を10ml
/m2になるように塗布した。
【0101】 〈OC−1〉 カルナバワックス 1g トルエン 700ml メチルエチルケトン 300ml この時、下引き済フィルムからサンプリングし、塗布故
障、平面性の評価を行った。結果を表6に示した。
【0102】<写真感光層の塗設>上記のフィルムの下
引き層A−2の表面に25W/(m2/min)のコロナ放電
処理を施し、下記の写真構成層を順次形成して、カラー
写真感光材料を作成した。なお、以下に示した写真構成
層における数量の表示は特に記載のない限り1m当た
りの量で示したものである。
【0103】またハロゲン化銀とコロイド銀は銀に換算
して示した。
【0104】 〈写真構成層〉 第1層;ハレーション防止層(HC) 黒色コロイド銀 0.15g 紫外線吸収剤(UV−1) 0.20g カラードシアンカプラー(CC−1) 0.02g 高沸点溶媒(Oil−1) 0.20g 高沸点溶媒(Oil−2) 0.20g ゼラチン 1.6g 第2層;中間層(IL−1) ゼラチン 1.3g 第3層;低感度赤感性乳剤層(R−L) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.3μm、平均ヨウド含有量2.0モル%) 0.4g 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.4μm、平均ヨウド含有量8.0モル%) 0.3g 増感色素(S−1) 3.2×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−2) 3.2×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−3) 0.2×10-4(モル/銀1モル) シアンカプラー(C−1) 0.50g シアンカプラー(C−2) 0.13g カラードシアンカプラー(CC−1) 0.07g DIR化合物(D−1) 0.006g DIR化合物(D−2) 0.01g 高沸点溶媒(Oil−1) 0.55g ゼラチン 1.0g 第4層;高感度赤感性乳剤層(R−H) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.7μm、平均ヨウド含有量7.5モル%) 0.9g 増感色素(S−1) 1.7×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−2) 1.6×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−3) 0.1×10-4(モル/銀1モル) シアンカプラー(C−2) 0.23g カラードシアンカプラー(CC−1) 0.03g DIR化合物(D−2) 0.02g 高沸点溶媒(Oil−1) 0.25g ゼラチン 1.0g 第5層;中間層(IL−2) ゼラチン 0.8g 第6層;低感度緑感性乳剤層(G−L) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.4μm、平均ヨウド含有量8.0モル%) 0.6g 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.3μm、平均ヨウド含有量2.0モル%) 0.2g 増感色素(S−4) 6.7×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−5) 0.8×10-4(モル/銀1モル) マゼンタカプラー(M−1) 0.17g マゼンタカプラー(M−2) 0.43g カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.10g DIR化合物(D−3) 0.02g 高沸点溶媒(Оil−2) 0.7g ゼラチン 1.0g 第7層;高感度緑感性乳剤層(G−H) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.7μm、平均ヨウド含有量7.5モル%) 0.9g 増感色素(S−6) 1.1×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−7) 2.0×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−8) 0.3×10-4(モル/銀1モル) マゼンタカプラー(M−1) 0.30g マゼンタカプラー(M−2) 0.13g カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.04g DIR化合物(D−3) 0.004g 高沸点溶媒(Oil−2) 0.35g ゼラチン 1.0g 第8層;イエローフィルター層(YC) 黄色コロイド銀 0.1g 添加剤(HS−1) 0.07g 添加剤(HS−2) 0.07g 添加剤(SC−1) 0.12g 高沸点溶媒(Oil−2) 0.15g ゼラチン 1.0g 第9層;低感度青感性乳剤層(B−L) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.3μm、平均ヨウド含有量2.0モル%) 0.25g 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.4μm、平均ヨウド含有量8.0モル%) 0.25g 増感色素(S−9) 5.8×10-4(モル/銀1モル) イエローカプラー(Y−1) 0.6g イエローカプラー(Y−2) 0.32g DIR化合物(D−1) 0.003g DIR化合物(D−2) 0.006g 高沸点溶媒(Oil−2) 0.18g ゼラチン 1.3g 第10層;高感度青感性乳剤層(B−H) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.8μm、平均ヨウド含有量8.5モル%) 0.5g 増感色素(S−10) 3×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−11) 1.2×10-4(モル/銀1モル) イエローカプラー(Y−1) 0.18g イエローカプラー(Y−2) 0.10g 高沸点溶媒(Oil−2) 0.05g ゼラチン 1.0g 第11層;第1保護層(PRO−1) 沃臭化銀(平均粒径0.08μm) 0.3g 紫外線吸収剤(UV−1) 0.07g 紫外線吸収剤(UV−2) 0.10g 添加剤(HS−1) 0.2g 添加剤(HS−2) 0.1g 高沸点溶媒(Oil−1) 0.07g 高沸点溶媒(Oil−3) 0.07g ゼラチン 0.8g 第12層;第2保護層(PRO−2) 化合物A 0.04g 化合物B 0.004g ポリメチルメタクリレート(平均粒径:3μm) 0.02g ゼラチン 0.7g ―沃臭化銀乳剤の調製― 第10層に使用した沃臭化銀乳剤は以下の方法で調製し
た。
【0105】平均粒径0.33μmの単分散沃臭化銀粒子
(沃化銀含有率2モル%)を種結晶として、沃臭化銀乳
剤をダブルジェット法により調製した。
【0106】下記組成の溶液〈G−1〉を温度70℃、pA
g7.8、pH7.0に保ち、よく撹拌しながら0.34モル相当の
種乳剤を添加した。
【0107】(内部高沃度相-コア相-の形成)その後、
下記組成の溶液〈H−1〉と下記組成の溶液〈S−1〉
とを1:1の流量比を保ちながら、加速された流量(終
了時の流量が初期流量の3.6倍)で86分をかけて添加し
た。
【0108】(外部低沃度相-シェル相-の形成)続い
て、pAg10.1、pH6.0に保ちながら、〈H−2〉と〈S
−2〉とを1:1の流量比で加速された流量(終了時の
流量が初期流量の5.2倍)で65分を要して添加した。
【0109】粒子形成中のpAgとpHとは、臭化カリウム
水溶液と56%酢酸水溶液とを用いて制御した。粒子形成
後に、常法のフロキュレーション法によって水洗処理を
施し、その後ゼラチンを加えて再分散し、40℃にてpH
及びpAgをそれぞれ5.8及び8.0に調整した。
【0110】得られた乳剤は、平均粒径0.80μm、分布
の広さが12.4%、沃化銀含有率8.5モル%の八面体沃臭
化銀粒子を含む単分散乳剤であった。
【0111】 〈G−1〉 オセインゼラチン 100.0g 下記化合物−Iの10重量%エタノール溶液 25.0ml 28%アンモニア水溶液 440.0ml 56%酢酸水溶液 660.0ml 水で仕上げる 5000.0ml (化合物−I:ポリイソプロピレンオキシ・ポリエチレンオキシ・ジ琥珀酸ナ トリウム) 〈H−1〉 オセインゼラチン 82.4g 臭化カリウム 151.6g 沃化カリウム 90.6g 水で仕上げる 1030.5ml 〈S−1〉 硝酸銀 309.2g 28%アンモニア水溶液 当量 水で仕上げる 1030.5ml 〈H−2〉 オセインゼラチン 302.1g 臭化カリウム 770.0g 沃化カリウム 33.2g 水で仕上げる 3776.8ml 〈S−2〉 硝酸銀 1133.0g 28%アンモニア水溶液 当量 水で仕上げる 3776.8ml 第10層以外の乳剤層に使用される沃臭化銀乳剤について
も、同様の方法で、種結晶の平均粒径、温度、pAg、p
H、流量、添加時間及びハライド組成を変化させて、平
均粒径及び沃化銀含有率が異なる前記各乳剤を調製し
た。
【0112】何れも分布の広さ20%以下のコア/シェル
型単分散乳剤であった。各乳剤は、チオ硫酸ナトリウ
ム、塩化金酸及びチオシアン酸アンモニウムの存在下に
て最適な化学熟成を施し、増感色素、4-ヒドロキシ-6-
メチル-1,3,3a,7-テトラザインデン、1-フェニル-5-メ
ルカプトテトラゾールを加えた。
【0113】尚、上述の感光材料は、更に、化合物SU
−1、SU−2、粘度調整剤、硬膜剤H−1、H−2、
安定剤ST−1、カブリ防止剤AF−1、AF−2(重
量平均分子量10,000のもの及び1,100,000のもの)、染
料AI−1,AI−2及び化合物DI−1(9.4mg/
m2)を含有する。
【0114】上記多層カラー写真感光材料を形成するの
に用いた各化合物の構造を以下に示す。
【0115】
【化1】
【0116】
【化2】
【0117】
【化3】
【0118】
【化4】
【0119】
【化5】
【0120】
【化6】
【0121】
【化7】
【0122】
【化8】
【0123】
【化9】
【0124】
【化10】
【0125】
【化11】
【0126】以上のようにして得られた写真感光材料を
巾35mm、長さ120mmに裁断し、その両縁部にJIS7519-198
2に記載されている様にパーフォレーション加工を施し
た。この裁断されたれた写真感光材料について、巻ぐせ
カールを測定し、更にプレスプライス搬送性を評価し
た。結果を表6に示した。
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】表4〜表6から明らかなように、フィルム
の熱収縮率を本発明の範囲とした後、巻ぐせカール低減
のための熱処理を行ったものは、下引き層塗設後の塗布
故障、平面性が改良されており、透明性、強度、巻ぐせ
カール、プレスプライス適性にも優れていることが分か
る。
【0131】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
り、透明性、機械的強度に優れ、更に巻ぐせカールが小
さく、しかも下引き層塗設後の塗布故障が少なく、平面
性に優れた写真用支持体を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 誠 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式 会社内 (56)参考文献 特開 平7−253638(JP,A) 国際公開94/19722(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/795 G03C 1/81

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる
    写真用支持体であり、該二軸延伸ポリエステルフィルム
    が、縦方向の熱収縮率を−0.05%以上0.20%以下、横方
    向の熱収縮率を0.0%以上0.30%以下の範囲に調整され
    た後、該二軸延伸ポリエステルフィルムのガラス転移温
    度以下、ガラス転移温度から30℃低い温度以上でロール
    状で熱処理されていることを特徴とする写真用支持体。
  2. 【請求項2】 前記二軸延伸ポリエステルフィルムが、
    縦方向の熱収縮率を0.0%以上0.15%以下の範囲に調整
    された後、該二軸延伸ポリエステルフィルムのガラス転
    移温度以下、ガラス転移温度から30℃低い温度以上でロ
    ール状で熱処理されていることを特徴とする請求項1に
    記載の写真用支持体。
  3. 【請求項3】 前記二軸延伸ポリエステルフィルムが、
    横方向の熱収縮率を0.05%以上0.25%以下の範囲に調整
    された後、該二軸延伸ポリエステルフィルムのガラス転
    移温度以下、ガラス転移温度から30℃低い温度以上でロ
    ール状で熱処理されていることを特徴とする請求項2に
    記載の写真用支持体。
  4. 【請求項4】 前記二軸延伸ポリエステルフィルムがエ
    チレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートユニットを7
    0重量%以上含有していることを特徴とする請求項1、
    2又は3に記載の写真用支持体。
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