JP3443990B2 - α−オレフィンの重合方法 - Google Patents
α−オレフィンの重合方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高活性触媒を用いてα
−オレフィンを重合し、立体規則性及び溶融流動性の高
いα−オレフィン重合体を製造する方法に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術及びその問題点】近年、α−オレフィンを
重合するために、マグネシウム、チタン、ハロゲン元
素、及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、周期律
表 I〜 III族金属の有機金属化合物、及び第三成分とし
ての電子供与体からなる高活性触媒系が、特開昭57-633
10号公報、特開昭58-83016号公報、特開昭59-58010号公
報、特開昭60-44507号公報などに数多く提案されてい
る。さらに、特開昭62-11705号公報、特開昭63- 258907
号公報、特開平4-370103号公報などには、第三成分とし
て特定の有機ケイ素化合物を用いることを特徴とする重
合触媒が開示されている。一般に、α−オレフィン重合
体を製造する場合には、ポリマーの溶融流動性を向上さ
せるために、水素などの連鎖移動剤を使用し、ポリマー
のメルトフローレイト(M.F.R.)を高める方法がとられて
いる。 【0003】しかし、上記の触媒系においては、通常、
連鎖移動剤の水素使用量に対する生成ポリマーの溶融流
動性の依存性が小さいため、溶融流動性を向上させるた
めには多量の水素を使用する必要がある。また、水素な
どの連鎖移動剤の使用量を増してポリマーの溶融流動性
を向上させた場合、一般に、沸騰ヘプタン不溶分(H.
I.)が大きく低下する。 【0004】特開平2-84404 号公報、特開平4-202505号
公報には、第三成分の有機ケイ素化合物として、シクロ
ペンチルアルキルジメトキシシラン、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン、ジ(置換シクロペンチル)ジメトキ
シシランなどを用いた触媒系が開示されている。しか
し、これらの触媒系はポリマーの溶融流動性の水素依存
性が小さく、溶融流動性の高いポリマーを得る場合には
不利となる。特に、バルク重合プロセスにおいて大量の
水素を充填することは、装置耐圧上の問題がある。 【0005】したがって、前記公報に記載されている各
種の高活性触媒は、高活性でかつポリマーの立体規則性
を向上させる優れた触媒であると言われているが、特に
溶融流動性の高いポリマーを得る場合に、上記の欠点は
大きな問題となり、その解決が望まれている。 【0006】 【発明の目的】本発明は、高活性触媒を用いてα−オレ
フィンを重合させて、立体規則性及び溶融流動性の高い
α−オレフィン重合体を製造する方法を提供する。 【0007】 【問題点解決のための技術的手段】本発明は、〔A〕マ
グネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を
必須とする触媒固体成分、〔B〕有機アルミニウム化合
物成分、及び〔C〕一般式 Si(OR1) 2(NR2R3) 2 (式中、R1、R2、及びR3は炭素数 1〜10の炭化水素基を
示す。)で表わされる有機ケイ素化合物とからなる触媒
の存在下に、α−オレフィンを重合する方法を提供す
る。 【0008】本発明においては、成分〔A〕としてマグ
ネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必
須とする触媒固体成分を使用する。この触媒固体成分の
製造方法は特に限定されず、例えば、特開昭54-94590号
公報、同56-55405号公報、同56-45909号公報、同56-163
102 号公報、同57-63310号公報、同57-115408 号公報、
同58-83006号公報、同58-83016号公報、同58-138707 号
公報、同59-149905 号公報、同60-23404号公報、同60-3
2805号公報、同61-18330号公報、同61-55104号公報、特
開平2-77413 号公報、同2-117905号公報などに提案され
ている方法が採用できる。代表的な製造方法として、
(1)塩化マグネシウムなどのマグネシウム化合物、電子
供与体、及びTiCl4 などのハロゲン化チタン化合物を共
粉砕する方法、 (2)溶媒にマグネシウム化合物及び電子
供与体を溶解し、この溶液にハロゲン化チタン化合物を
添加して触媒固体を析出させる方法などが挙げられる。 【0009】成分〔A〕としては、特開昭60-152511 号
公報、同61-31402号公報、同62-81405号公報に記載の触
媒固体成分が、本発明の効果を達成する上で特に好まし
い。これら記載の製造方法によれば、ハロゲン化アルミ
ニウムと有機ケイ素化合物を反応させ、さらにグリニヤ
ール化合物を反応させて固体を析出させる。上記反応で
使用することのできるハロゲン化アルミニウムは、無水
のハロゲン化アルミニウムが好ましいが、吸湿性により
完全に無水のものを用いることが困難であり、少量の水
分を含有するハロゲン化アルミニウムも用いることがで
きる。ハロゲン化アルミニウムの具体例としては、三塩
化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三沃化アルミニ
ウムを挙げることができる。特に三塩化アルミニウムが
好ましい。 【0010】上記反応で使用される有機ケイ素化合物の
具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、トリメチルモノエトキシシラン、トリメチルモノブ
トキシシランを挙げることができる。特に、メチルフェ
ニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシランが好ましい。 【0011】ハロゲン化アルミニウムと有機ケイ素化合
物の反応における化合物の使用量は、元素比(Al/Si)
で通常 0.4〜 1.5、好ましくは 0.7〜 1.3の範囲であ
り、反応するに際しヘキサン、トルエンなどの不活性溶
媒を使用することが好ましい。反応温度は通常10〜 100
℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は通常 0.2〜
5時間、好ましくは 0.5〜 3時間である。 【0012】上記反応で使用されるグリニヤール化合物
の具体例としては、エチルマグネシウムクロライド、プ
ロピルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムク
ロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチル
マグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイ
ド、プロピルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシ
ウムブロマイド、エチルマグネシウムアイオダイドが挙
げられる。グリニヤール化合物の溶媒としては、例え
ば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロ
ピルエーテル、ジイソアミルエーテル等の脂肪族エーテ
ル、テトラヒドロフランなどの脂肪族環状エーテルを使
用することができる。 【0013】グリニヤール化合物の使用量は、前記ハロ
ゲン化アルミニウムと有機ケイ素化合物の反応生成物の
調製に使用されたハロゲン化アルミニウムに対する元素
比(Mg/Al)で通常0.5 〜 3、好ましくは 1.5〜 2.3の
範囲である。反応温度は通常-50〜 100℃、好ましくは
-20〜50℃、反応時間は通常 0.2〜 5時間、好ましくは
0.5〜 3時間である。 【0014】ハロゲン化アルミニウムとケイ素化合物と
の反応、続いてグリニヤール化合物との反応において得
られた白色系の固体を、電子供与体及びハロゲン化チタ
ン化合物と接触処理する。接触処理の方法としては、
(1)固体をハロゲン化チタン化合物で処理した後、電子
供与体で処理し、さらに再度ハロゲン化チタン化合物で
処理する方法、および、 (2)固体をハロゲン化チタン化
合物と電子供与体の共存下で処理した後、ハロゲン化チ
タン化合物で処理する方法、などの従来良く知られた方
法が採用できる。例えば上記固体を不活性溶媒中に分散
させ、これに電子供与体または/及びハロゲン化チタン
化合物を溶解する、あるいは不活性溶媒を使用せずに電
子供与体または/及び液状ハロゲン化チタン化合物の中
に固体を分散させる。この場合、固体と電子供与体また
は/及びハロゲン化チタン化合物との接触処理を攪拌
下、温度は通常50〜 150℃、接触時間は特に制限はない
が通常0.2 〜 5時間で行うことができる。また、この接
触処理を複数回行うこともできる。 【0015】接触処理に使用できるハロゲン化チタン化
合物の具体例としては、テトラクロロチタン、テトラブ
ロモチタン、トリクロロモノブトキシチタン、トリブロ
モモノエトキシチタン、トリクロロモノイソプロポキシ
チタン、ジクロロジエトキシチタン、ジクロロジブトキ
シチタン、モノクロロトリエトキシチタン、モノクロロ
トリブトキシチタンを挙げることができる。特に、テト
ラクロロチタン、トリクロロモノブトキシチタンが好ま
しい。 【0016】上記の接触処理で使用する電子供与体とし
ては、好ましくは芳香族エステル、特に、オルトフタル
酸ジエステルが好ましい。ジエステルの具体例として
は、オルトフタル酸ジエチル、オルトフタル酸ジイソブ
チル、オルトフタル酸ジペンチル、オルトフタル酸ジヘ
キシル、オルトフタル酸ジ-2- エチルヘキシル、オルト
フタル酸ジ-n- ヘプチルが挙げられる。上記の接触処理
の後に、一般には処理固体を処理混合物から分離し、不
活性溶剤で充分洗浄して得られる固体を、本発明の触媒
固体成分〔A〕としてα−オレフィンの重合触媒として
使用することができる。 【0017】本発明の成分〔B〕としての有機アルミニ
ウム化合物としては、アルキルアルミニウム、ハロゲノ
アルキルアルミニウムなどが使用できるが、アルキルア
ルミニウムが好ましい。特に好ましいのはトリアルキル
アルミニウムであり、具体例としては、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチル
アルミニウムなどが挙げられる。前記有機アルミニウム
化合物類はいずれも混合物としても使用することができ
る。また、アルキルアルミニウムと水との反応によって
得られるポリアルミノキサンも同様に使用することがで
きる。α−オレフィンの重合触媒として有機アルミニウ
ム化合物の使用量は、触媒固体成分〔A〕のチタンに対
する元素比(Al/Ti) で、 0.1〜 500、好ましくは 0.5〜
150である。 【0018】本発明の成分〔C〕は、一般式 Si(OR1) 2(NR2R3) 2 (式中、R1、R2、及びR3は炭素数 1〜10の炭化水素基を
示す。)で表わされる有機ケイ素化合物である。 【0019】R1、R2、及びR3として好ましい炭化水素基
は、炭素数 1〜10の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素
基であり、特に好ましくは炭素数 1〜8 の不飽和あるい
は飽和脂肪族炭化水素基である。具体例としてはメチ
ル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イ
ソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-アミル、n-ヘキシ
ル、イソアミル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フ
ェニル、オクチル基などが挙げられる。 【0020】その内、R1として好ましいのはメチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、イソブチル基、R2及び
R3として好ましいのはメチル、エチル、n-プロピル、イ
ソプロピル、n-ブチル、t-ブチル基などが挙げられる。
R2及びR3が同じであっても異なっていてもよい。 【0021】また、本発明の成分(C)の有機ケイ素化
合物としては、ケイ素原子に結合している二個のアミノ
基のNR2R3 が同じものである有機ケイ素化合物であって
も、異なっている有機ケイ素化合物であってもよい。 【0022】具体的な化合物としては、ビス(ジエチル
アミノ)ジメトキシシラン、ビス(ジ-n- プロピルアミ
ノ)ジメトキシシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)
ジメトキシシラン、ビス(ジ-n- ブチルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(ジ-t- ブチルアミノ)ジメトキシシ
ラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエトキシシラン、ビス
(ジ-n- プロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ
イソプロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-n-
ブチルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-t- ブチル
アミノ)ジエトキシシランなど有機ケイ素化合物が挙げ
られる。 【0023】また、(ジエチルアミノ)(ジ-n- プロピ
ルアミノ)ジメトキシシラン、(ジイソプロピルアミ
ノ)(ジ-n- プロピルアミノ)ジメトキシシランなど有
機ケイ素化合物が挙げられる。 【0024】また、ビス(メチルエチルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(メチル-n- プロピルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(エチル-n- プロピルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(ジ-n- ブチルアミノ)ジメトキシシ
ラン、ビス(ジ-t- ブチルアミノ)ジメトキシシラン、
ビス(ジエチルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-n
- プロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジイソプ
ロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-n- ブチル
アミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-t- ブチルアミ
ノ)ジエトキシシランなどのが挙げられる。 【0025】成分〔C〕の使用量は、成分〔B〕のアル
ミニウムに対する成分〔C〕のシランの元素比(Si/Al)
で0.01〜 1が好ましく、特に0.05〜0.33が好ましい。 【0026】本発明においては、水素などの連鎖移動剤
を使用することができる。所望の立体規則性(H.I.)及び
溶融流動性(M.F.R.)を有するα−オレフィン重合体を製
造するための水素の使用量は、重合方法及び重合条件に
よって、適宜決定することができるが、通常、水素分圧
0.05〜 1.0の範囲である。 【0027】本発明において、α−オレフィン重合時、
各触媒成分の接触順序として特に制限はないが、成分
〔C〕の有機ケイ素化合物と成分〔A〕の触媒固体だけ
が直接接触することはあまり好ましくない。 【0028】本発明で用いられるα−オレフィンとして
は、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチルペン
テン-1、1-オクテンなどが挙げられる。本発明において
は、上記α−オレフィンの単独または共重合を行うこと
ができ、さらに上記α−オレフィンとエチレンとの共重
合を行うことができる。また、本発明においては、プロ
ピレンを単独重合させ、ついでエチレン又はエチレンと
プロピレンとの混合物を上記単独重合体の存在下に共重
合させて、プロピレンのブロック共重合体を製造するこ
とができる。 【0029】本発明における重合法としては、ヘキサ
ン、ヘプタン等の無極性溶媒を使用するスラリー重合
法、モノマーを気体状態で触媒と接触させる気相重合
法、あるいは液体状態のモノマーを溶媒としてその中で
重合させるバルク重合法等が採用できる。重合圧力は 1
〜200kg/cm2 、好ましくは10〜80kg/cm2、重合温度は通
常10〜 100℃、好ましくは30〜90℃、重合時間は通常
0.1〜10時間、好ましくは 0.5〜 7時間の範囲である。 【0030】また、本発明では、オレフィンを前記の各
種重合方法に従って予備重合してから、本重合を行うこ
とが好ましい。予備重合は、本重合を行う前に、予め触
媒固体成分〔A〕を、有機アルミニウム化合物成分
〔B〕及び有機ケイ素化合物成分〔C〕と接触処理し、
固体の洗浄によって接触処理固体を調製することができ
る。さらに、触媒固体成分〔A〕又は前記の接触処理固
体を用いて、有機アルミニウム化合物成分〔B〕及び有
機ケイ素化合物成分〔C〕の存在下、限定された量のα
−オレフィンを予備重合することもできる。接触処理固
体を用いる場合は、予備重合において有機ケイ素化合物
成分〔C〕を省くことができる。これらの接触処理固
体、予備重合固体、あるいは予備重合の後に固体を洗浄
したものを本重合に用いることによって、触媒固体当た
りの重合活性及びポリマーの立体規則性を向上させるこ
とができる。 【0031】本発明においては、前記の接触処理固体あ
るいは予備重合固体を、本重合における触媒固体成分と
して用いる場合は、本重合において有機ケイ素化合物成
分〔C〕を省くことができる。 【0032】本発明の接触処理としては、成分〔A〕、
成分〔B〕及び成分〔C〕を混合し、通常、 0〜 100
℃、 0.1〜10時間反応する。各成分の混合順序は、特に
限定されないが、通常、成分〔A〕、成分〔B〕、成分
〔C〕の順が好ましい。接触処理した後に、不活性炭化
水素溶媒で固体を洗浄、ロ過、分離して、予備重合ある
いは本重合で触媒固体成分として用いる。 【0033】本発明における予備重合は、気相法、スラ
リー法、塊状法などで行うことができる。予備重合にお
いて得られた固体は分離してから本重合に用いる、ある
いは、分離せずに本重合を続けて行うことができる。 【0034】予備重合時間は通常 0.1〜10時間であり、
触媒固体成分1g当たり0.1 〜100gの予備重合体が生成す
るまで予備重合を続けることが好ましい。触媒固体成分
1g当たり0.1g未満であると本重合活性が充分でなく触媒
残渣が多くなり、α−オレフィン重合体の立体規則性も
充分でない。また、100gを越えると、α−オレフィン重
合体の結晶性が低下する傾向がある。予備重合温度は、
0 〜 100℃、好ましくは10〜90℃で各触媒成分の存在下
に行う。50℃を越えるような高い温度で予備重合を行う
場合は、α−オレフィン濃度を小さくするか、重合時間
を短くすることが好ましい。そうでないと触媒固体成分
1g当たり 0.1〜100gの予備重合体の生成を制御すること
が困難であり、また、本重合で得られるα−オレフィン
重合体の結晶性が低下する。 【0035】予備重合での有機アルミニウム成分の使用
量は、通常、触媒固体成分のチタン原子に対して Al/Ti
モル比が 0.5〜1000、好ましくは 1〜 100である。シリ
ケート化合物の使用量は、通常有機アルミニウム化合物
成分のアルミニウム原子に対して Si/Alモル比が0.01〜
1、好ましくは 0.1〜 0.5である。また予備重合に、必
要に応じて水素を共存させることができる。 【0036】 【発明の効果】本発明における触媒を用いてα−オレフ
ィンを製造した場合に、活性が高く、ポリマーの立体規
則性が高く、且つ溶融流動性が大きいα−オレフィン重
合体を与えることができる。 【0037】〔実施例〕以下に本発明の実施例を説明す
る。 【0038】実施例において、「重合活性」とは、触媒
固体成分1g当たりの生成ポリマーの収量(g) である。立
体規則性(H.I.)は、熱ヘプタンで20時間抽出した重合体
残部の割合(%) を示す。 【0039】溶融流動性(M.F.R.)は ASTM D-1238に従っ
て測定した 230℃、2.16kgの荷重下、10分間の溶融重合
体の重量(g) を表す。 【0040】実施例1〜4 (1) 触媒固体成分〔A〕の調製 無水塩化アルミニウム15ミリモルをトルエン40mlに添加
し、次いで、メチルトリエトキシシラン15ミリモルを攪
拌下に滴下し、滴下終了後25℃で 1時間反応させた。反
応生成物を-5℃に冷却した後、攪拌下にブチルマグネシ
ウムクロライド30ミリモルを含むジイソプロピルエーテ
ル18mlを30分間で反応生成物に滴下し、反応溶液の温度
を-5〜 0℃の範囲内に保った。滴下終了後徐々に昇温
し、30℃で1時間反応を続けた。析出した固体を濾別
し、トルエン及びn-ヘプタンで洗浄した。次に、得られ
た固体4.9gをトルエン30mlに懸濁させ、この懸濁液に四
塩化チタン 150ミリモル、フタル酸ジ-n- ヘプチル 3.3
ミリモルを添加し、攪拌下に90℃で 1時間反応させた。
同温度で固体を濾別し、トルエン、次いでn-ヘプタンで
洗浄した。さらに、再度固体をトルエン30mlに懸濁さ
せ、四塩化チタン 150ミリモルを添加し、攪拌下に90℃
で 1時間反応させた。同温度で固体を濾別し、固体をト
ルエン次いでn-ヘプタンで洗浄した。得られた触媒固体
成分中のチタン含有量は3.55重量% であった。この固体
をヘプタン80mlに懸濁し触媒固体成分のヘプタンスラリ
ーを調製した。 【0041】(2) プロピレンの重合 攪拌機付の内容積 2Lのオートクレーブ内に触媒固体成
分のヘプタンスラリー(触媒固体成分として 7.9mg)を
封入した硝子アンプルを取りつけた後、オートクレーブ
内を窒素で置換した。次に、トリエチルアルミニウム
2.1ミリモル含有するn-ヘプタン溶液 2.1mlをオートク
レーブに仕込んだ。さらに、第三成分として表1記載の
有機ケイ素化合物0.35ミリモル含有するn-ヘプタン溶液
1.74mlを仕込んだ。続いて、表2記載の水素を導入後、
液体プロピレン1200ml導入してオートクレーブを振とう
した。オートクレーブを10℃に冷却し、攪拌開始ととも
に触媒固体成分の入った硝子アンプルを破砕し、10分間
予備重合した。引き続きオートクレーブ内を70℃に昇温
し、70℃で 1時間重合を行った。重合終了後、未反応プ
ロピレンガスを放出し、重合体を50℃で20時間減圧乾燥
して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。重合活性お
よび重合体の特性についての測定結果を表2に示す。 【0042】比較例1〜4 成分[C]としてシクロヘキシルメチルジメトキシシラ
ンを用い、水素の使用量(Kg/cm2)を表2に示した様に
した以外は、実施例1と同様にして行った。重合活性お
よび重合体の特性についての測定結果を表2に示す。 【0043】 【表1】 【0044】 【表2】
−オレフィンを重合し、立体規則性及び溶融流動性の高
いα−オレフィン重合体を製造する方法に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術及びその問題点】近年、α−オレフィンを
重合するために、マグネシウム、チタン、ハロゲン元
素、及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、周期律
表 I〜 III族金属の有機金属化合物、及び第三成分とし
ての電子供与体からなる高活性触媒系が、特開昭57-633
10号公報、特開昭58-83016号公報、特開昭59-58010号公
報、特開昭60-44507号公報などに数多く提案されてい
る。さらに、特開昭62-11705号公報、特開昭63- 258907
号公報、特開平4-370103号公報などには、第三成分とし
て特定の有機ケイ素化合物を用いることを特徴とする重
合触媒が開示されている。一般に、α−オレフィン重合
体を製造する場合には、ポリマーの溶融流動性を向上さ
せるために、水素などの連鎖移動剤を使用し、ポリマー
のメルトフローレイト(M.F.R.)を高める方法がとられて
いる。 【0003】しかし、上記の触媒系においては、通常、
連鎖移動剤の水素使用量に対する生成ポリマーの溶融流
動性の依存性が小さいため、溶融流動性を向上させるた
めには多量の水素を使用する必要がある。また、水素な
どの連鎖移動剤の使用量を増してポリマーの溶融流動性
を向上させた場合、一般に、沸騰ヘプタン不溶分(H.
I.)が大きく低下する。 【0004】特開平2-84404 号公報、特開平4-202505号
公報には、第三成分の有機ケイ素化合物として、シクロ
ペンチルアルキルジメトキシシラン、ジシクロペンチル
ジメトキシシラン、ジ(置換シクロペンチル)ジメトキ
シシランなどを用いた触媒系が開示されている。しか
し、これらの触媒系はポリマーの溶融流動性の水素依存
性が小さく、溶融流動性の高いポリマーを得る場合には
不利となる。特に、バルク重合プロセスにおいて大量の
水素を充填することは、装置耐圧上の問題がある。 【0005】したがって、前記公報に記載されている各
種の高活性触媒は、高活性でかつポリマーの立体規則性
を向上させる優れた触媒であると言われているが、特に
溶融流動性の高いポリマーを得る場合に、上記の欠点は
大きな問題となり、その解決が望まれている。 【0006】 【発明の目的】本発明は、高活性触媒を用いてα−オレ
フィンを重合させて、立体規則性及び溶融流動性の高い
α−オレフィン重合体を製造する方法を提供する。 【0007】 【問題点解決のための技術的手段】本発明は、〔A〕マ
グネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を
必須とする触媒固体成分、〔B〕有機アルミニウム化合
物成分、及び〔C〕一般式 Si(OR1) 2(NR2R3) 2 (式中、R1、R2、及びR3は炭素数 1〜10の炭化水素基を
示す。)で表わされる有機ケイ素化合物とからなる触媒
の存在下に、α−オレフィンを重合する方法を提供す
る。 【0008】本発明においては、成分〔A〕としてマグ
ネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必
須とする触媒固体成分を使用する。この触媒固体成分の
製造方法は特に限定されず、例えば、特開昭54-94590号
公報、同56-55405号公報、同56-45909号公報、同56-163
102 号公報、同57-63310号公報、同57-115408 号公報、
同58-83006号公報、同58-83016号公報、同58-138707 号
公報、同59-149905 号公報、同60-23404号公報、同60-3
2805号公報、同61-18330号公報、同61-55104号公報、特
開平2-77413 号公報、同2-117905号公報などに提案され
ている方法が採用できる。代表的な製造方法として、
(1)塩化マグネシウムなどのマグネシウム化合物、電子
供与体、及びTiCl4 などのハロゲン化チタン化合物を共
粉砕する方法、 (2)溶媒にマグネシウム化合物及び電子
供与体を溶解し、この溶液にハロゲン化チタン化合物を
添加して触媒固体を析出させる方法などが挙げられる。 【0009】成分〔A〕としては、特開昭60-152511 号
公報、同61-31402号公報、同62-81405号公報に記載の触
媒固体成分が、本発明の効果を達成する上で特に好まし
い。これら記載の製造方法によれば、ハロゲン化アルミ
ニウムと有機ケイ素化合物を反応させ、さらにグリニヤ
ール化合物を反応させて固体を析出させる。上記反応で
使用することのできるハロゲン化アルミニウムは、無水
のハロゲン化アルミニウムが好ましいが、吸湿性により
完全に無水のものを用いることが困難であり、少量の水
分を含有するハロゲン化アルミニウムも用いることがで
きる。ハロゲン化アルミニウムの具体例としては、三塩
化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三沃化アルミニ
ウムを挙げることができる。特に三塩化アルミニウムが
好ましい。 【0010】上記反応で使用される有機ケイ素化合物の
具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、トリメチルモノエトキシシラン、トリメチルモノブ
トキシシランを挙げることができる。特に、メチルフェ
ニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシランが好ましい。 【0011】ハロゲン化アルミニウムと有機ケイ素化合
物の反応における化合物の使用量は、元素比(Al/Si)
で通常 0.4〜 1.5、好ましくは 0.7〜 1.3の範囲であ
り、反応するに際しヘキサン、トルエンなどの不活性溶
媒を使用することが好ましい。反応温度は通常10〜 100
℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は通常 0.2〜
5時間、好ましくは 0.5〜 3時間である。 【0012】上記反応で使用されるグリニヤール化合物
の具体例としては、エチルマグネシウムクロライド、プ
ロピルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムク
ロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチル
マグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイ
ド、プロピルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシ
ウムブロマイド、エチルマグネシウムアイオダイドが挙
げられる。グリニヤール化合物の溶媒としては、例え
ば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロ
ピルエーテル、ジイソアミルエーテル等の脂肪族エーテ
ル、テトラヒドロフランなどの脂肪族環状エーテルを使
用することができる。 【0013】グリニヤール化合物の使用量は、前記ハロ
ゲン化アルミニウムと有機ケイ素化合物の反応生成物の
調製に使用されたハロゲン化アルミニウムに対する元素
比(Mg/Al)で通常0.5 〜 3、好ましくは 1.5〜 2.3の
範囲である。反応温度は通常-50〜 100℃、好ましくは
-20〜50℃、反応時間は通常 0.2〜 5時間、好ましくは
0.5〜 3時間である。 【0014】ハロゲン化アルミニウムとケイ素化合物と
の反応、続いてグリニヤール化合物との反応において得
られた白色系の固体を、電子供与体及びハロゲン化チタ
ン化合物と接触処理する。接触処理の方法としては、
(1)固体をハロゲン化チタン化合物で処理した後、電子
供与体で処理し、さらに再度ハロゲン化チタン化合物で
処理する方法、および、 (2)固体をハロゲン化チタン化
合物と電子供与体の共存下で処理した後、ハロゲン化チ
タン化合物で処理する方法、などの従来良く知られた方
法が採用できる。例えば上記固体を不活性溶媒中に分散
させ、これに電子供与体または/及びハロゲン化チタン
化合物を溶解する、あるいは不活性溶媒を使用せずに電
子供与体または/及び液状ハロゲン化チタン化合物の中
に固体を分散させる。この場合、固体と電子供与体また
は/及びハロゲン化チタン化合物との接触処理を攪拌
下、温度は通常50〜 150℃、接触時間は特に制限はない
が通常0.2 〜 5時間で行うことができる。また、この接
触処理を複数回行うこともできる。 【0015】接触処理に使用できるハロゲン化チタン化
合物の具体例としては、テトラクロロチタン、テトラブ
ロモチタン、トリクロロモノブトキシチタン、トリブロ
モモノエトキシチタン、トリクロロモノイソプロポキシ
チタン、ジクロロジエトキシチタン、ジクロロジブトキ
シチタン、モノクロロトリエトキシチタン、モノクロロ
トリブトキシチタンを挙げることができる。特に、テト
ラクロロチタン、トリクロロモノブトキシチタンが好ま
しい。 【0016】上記の接触処理で使用する電子供与体とし
ては、好ましくは芳香族エステル、特に、オルトフタル
酸ジエステルが好ましい。ジエステルの具体例として
は、オルトフタル酸ジエチル、オルトフタル酸ジイソブ
チル、オルトフタル酸ジペンチル、オルトフタル酸ジヘ
キシル、オルトフタル酸ジ-2- エチルヘキシル、オルト
フタル酸ジ-n- ヘプチルが挙げられる。上記の接触処理
の後に、一般には処理固体を処理混合物から分離し、不
活性溶剤で充分洗浄して得られる固体を、本発明の触媒
固体成分〔A〕としてα−オレフィンの重合触媒として
使用することができる。 【0017】本発明の成分〔B〕としての有機アルミニ
ウム化合物としては、アルキルアルミニウム、ハロゲノ
アルキルアルミニウムなどが使用できるが、アルキルア
ルミニウムが好ましい。特に好ましいのはトリアルキル
アルミニウムであり、具体例としては、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチル
アルミニウムなどが挙げられる。前記有機アルミニウム
化合物類はいずれも混合物としても使用することができ
る。また、アルキルアルミニウムと水との反応によって
得られるポリアルミノキサンも同様に使用することがで
きる。α−オレフィンの重合触媒として有機アルミニウ
ム化合物の使用量は、触媒固体成分〔A〕のチタンに対
する元素比(Al/Ti) で、 0.1〜 500、好ましくは 0.5〜
150である。 【0018】本発明の成分〔C〕は、一般式 Si(OR1) 2(NR2R3) 2 (式中、R1、R2、及びR3は炭素数 1〜10の炭化水素基を
示す。)で表わされる有機ケイ素化合物である。 【0019】R1、R2、及びR3として好ましい炭化水素基
は、炭素数 1〜10の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素
基であり、特に好ましくは炭素数 1〜8 の不飽和あるい
は飽和脂肪族炭化水素基である。具体例としてはメチ
ル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イ
ソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-アミル、n-ヘキシ
ル、イソアミル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フ
ェニル、オクチル基などが挙げられる。 【0020】その内、R1として好ましいのはメチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、イソブチル基、R2及び
R3として好ましいのはメチル、エチル、n-プロピル、イ
ソプロピル、n-ブチル、t-ブチル基などが挙げられる。
R2及びR3が同じであっても異なっていてもよい。 【0021】また、本発明の成分(C)の有機ケイ素化
合物としては、ケイ素原子に結合している二個のアミノ
基のNR2R3 が同じものである有機ケイ素化合物であって
も、異なっている有機ケイ素化合物であってもよい。 【0022】具体的な化合物としては、ビス(ジエチル
アミノ)ジメトキシシラン、ビス(ジ-n- プロピルアミ
ノ)ジメトキシシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)
ジメトキシシラン、ビス(ジ-n- ブチルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(ジ-t- ブチルアミノ)ジメトキシシ
ラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエトキシシラン、ビス
(ジ-n- プロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ
イソプロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-n-
ブチルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-t- ブチル
アミノ)ジエトキシシランなど有機ケイ素化合物が挙げ
られる。 【0023】また、(ジエチルアミノ)(ジ-n- プロピ
ルアミノ)ジメトキシシラン、(ジイソプロピルアミ
ノ)(ジ-n- プロピルアミノ)ジメトキシシランなど有
機ケイ素化合物が挙げられる。 【0024】また、ビス(メチルエチルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(メチル-n- プロピルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(エチル-n- プロピルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)ジメト
キシシラン、ビス(ジ-n- ブチルアミノ)ジメトキシシ
ラン、ビス(ジ-t- ブチルアミノ)ジメトキシシラン、
ビス(ジエチルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-n
- プロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジイソプ
ロピルアミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-n- ブチル
アミノ)ジエトキシシラン、ビス(ジ-t- ブチルアミ
ノ)ジエトキシシランなどのが挙げられる。 【0025】成分〔C〕の使用量は、成分〔B〕のアル
ミニウムに対する成分〔C〕のシランの元素比(Si/Al)
で0.01〜 1が好ましく、特に0.05〜0.33が好ましい。 【0026】本発明においては、水素などの連鎖移動剤
を使用することができる。所望の立体規則性(H.I.)及び
溶融流動性(M.F.R.)を有するα−オレフィン重合体を製
造するための水素の使用量は、重合方法及び重合条件に
よって、適宜決定することができるが、通常、水素分圧
0.05〜 1.0の範囲である。 【0027】本発明において、α−オレフィン重合時、
各触媒成分の接触順序として特に制限はないが、成分
〔C〕の有機ケイ素化合物と成分〔A〕の触媒固体だけ
が直接接触することはあまり好ましくない。 【0028】本発明で用いられるα−オレフィンとして
は、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチルペン
テン-1、1-オクテンなどが挙げられる。本発明において
は、上記α−オレフィンの単独または共重合を行うこと
ができ、さらに上記α−オレフィンとエチレンとの共重
合を行うことができる。また、本発明においては、プロ
ピレンを単独重合させ、ついでエチレン又はエチレンと
プロピレンとの混合物を上記単独重合体の存在下に共重
合させて、プロピレンのブロック共重合体を製造するこ
とができる。 【0029】本発明における重合法としては、ヘキサ
ン、ヘプタン等の無極性溶媒を使用するスラリー重合
法、モノマーを気体状態で触媒と接触させる気相重合
法、あるいは液体状態のモノマーを溶媒としてその中で
重合させるバルク重合法等が採用できる。重合圧力は 1
〜200kg/cm2 、好ましくは10〜80kg/cm2、重合温度は通
常10〜 100℃、好ましくは30〜90℃、重合時間は通常
0.1〜10時間、好ましくは 0.5〜 7時間の範囲である。 【0030】また、本発明では、オレフィンを前記の各
種重合方法に従って予備重合してから、本重合を行うこ
とが好ましい。予備重合は、本重合を行う前に、予め触
媒固体成分〔A〕を、有機アルミニウム化合物成分
〔B〕及び有機ケイ素化合物成分〔C〕と接触処理し、
固体の洗浄によって接触処理固体を調製することができ
る。さらに、触媒固体成分〔A〕又は前記の接触処理固
体を用いて、有機アルミニウム化合物成分〔B〕及び有
機ケイ素化合物成分〔C〕の存在下、限定された量のα
−オレフィンを予備重合することもできる。接触処理固
体を用いる場合は、予備重合において有機ケイ素化合物
成分〔C〕を省くことができる。これらの接触処理固
体、予備重合固体、あるいは予備重合の後に固体を洗浄
したものを本重合に用いることによって、触媒固体当た
りの重合活性及びポリマーの立体規則性を向上させるこ
とができる。 【0031】本発明においては、前記の接触処理固体あ
るいは予備重合固体を、本重合における触媒固体成分と
して用いる場合は、本重合において有機ケイ素化合物成
分〔C〕を省くことができる。 【0032】本発明の接触処理としては、成分〔A〕、
成分〔B〕及び成分〔C〕を混合し、通常、 0〜 100
℃、 0.1〜10時間反応する。各成分の混合順序は、特に
限定されないが、通常、成分〔A〕、成分〔B〕、成分
〔C〕の順が好ましい。接触処理した後に、不活性炭化
水素溶媒で固体を洗浄、ロ過、分離して、予備重合ある
いは本重合で触媒固体成分として用いる。 【0033】本発明における予備重合は、気相法、スラ
リー法、塊状法などで行うことができる。予備重合にお
いて得られた固体は分離してから本重合に用いる、ある
いは、分離せずに本重合を続けて行うことができる。 【0034】予備重合時間は通常 0.1〜10時間であり、
触媒固体成分1g当たり0.1 〜100gの予備重合体が生成す
るまで予備重合を続けることが好ましい。触媒固体成分
1g当たり0.1g未満であると本重合活性が充分でなく触媒
残渣が多くなり、α−オレフィン重合体の立体規則性も
充分でない。また、100gを越えると、α−オレフィン重
合体の結晶性が低下する傾向がある。予備重合温度は、
0 〜 100℃、好ましくは10〜90℃で各触媒成分の存在下
に行う。50℃を越えるような高い温度で予備重合を行う
場合は、α−オレフィン濃度を小さくするか、重合時間
を短くすることが好ましい。そうでないと触媒固体成分
1g当たり 0.1〜100gの予備重合体の生成を制御すること
が困難であり、また、本重合で得られるα−オレフィン
重合体の結晶性が低下する。 【0035】予備重合での有機アルミニウム成分の使用
量は、通常、触媒固体成分のチタン原子に対して Al/Ti
モル比が 0.5〜1000、好ましくは 1〜 100である。シリ
ケート化合物の使用量は、通常有機アルミニウム化合物
成分のアルミニウム原子に対して Si/Alモル比が0.01〜
1、好ましくは 0.1〜 0.5である。また予備重合に、必
要に応じて水素を共存させることができる。 【0036】 【発明の効果】本発明における触媒を用いてα−オレフ
ィンを製造した場合に、活性が高く、ポリマーの立体規
則性が高く、且つ溶融流動性が大きいα−オレフィン重
合体を与えることができる。 【0037】〔実施例〕以下に本発明の実施例を説明す
る。 【0038】実施例において、「重合活性」とは、触媒
固体成分1g当たりの生成ポリマーの収量(g) である。立
体規則性(H.I.)は、熱ヘプタンで20時間抽出した重合体
残部の割合(%) を示す。 【0039】溶融流動性(M.F.R.)は ASTM D-1238に従っ
て測定した 230℃、2.16kgの荷重下、10分間の溶融重合
体の重量(g) を表す。 【0040】実施例1〜4 (1) 触媒固体成分〔A〕の調製 無水塩化アルミニウム15ミリモルをトルエン40mlに添加
し、次いで、メチルトリエトキシシラン15ミリモルを攪
拌下に滴下し、滴下終了後25℃で 1時間反応させた。反
応生成物を-5℃に冷却した後、攪拌下にブチルマグネシ
ウムクロライド30ミリモルを含むジイソプロピルエーテ
ル18mlを30分間で反応生成物に滴下し、反応溶液の温度
を-5〜 0℃の範囲内に保った。滴下終了後徐々に昇温
し、30℃で1時間反応を続けた。析出した固体を濾別
し、トルエン及びn-ヘプタンで洗浄した。次に、得られ
た固体4.9gをトルエン30mlに懸濁させ、この懸濁液に四
塩化チタン 150ミリモル、フタル酸ジ-n- ヘプチル 3.3
ミリモルを添加し、攪拌下に90℃で 1時間反応させた。
同温度で固体を濾別し、トルエン、次いでn-ヘプタンで
洗浄した。さらに、再度固体をトルエン30mlに懸濁さ
せ、四塩化チタン 150ミリモルを添加し、攪拌下に90℃
で 1時間反応させた。同温度で固体を濾別し、固体をト
ルエン次いでn-ヘプタンで洗浄した。得られた触媒固体
成分中のチタン含有量は3.55重量% であった。この固体
をヘプタン80mlに懸濁し触媒固体成分のヘプタンスラリ
ーを調製した。 【0041】(2) プロピレンの重合 攪拌機付の内容積 2Lのオートクレーブ内に触媒固体成
分のヘプタンスラリー(触媒固体成分として 7.9mg)を
封入した硝子アンプルを取りつけた後、オートクレーブ
内を窒素で置換した。次に、トリエチルアルミニウム
2.1ミリモル含有するn-ヘプタン溶液 2.1mlをオートク
レーブに仕込んだ。さらに、第三成分として表1記載の
有機ケイ素化合物0.35ミリモル含有するn-ヘプタン溶液
1.74mlを仕込んだ。続いて、表2記載の水素を導入後、
液体プロピレン1200ml導入してオートクレーブを振とう
した。オートクレーブを10℃に冷却し、攪拌開始ととも
に触媒固体成分の入った硝子アンプルを破砕し、10分間
予備重合した。引き続きオートクレーブ内を70℃に昇温
し、70℃で 1時間重合を行った。重合終了後、未反応プ
ロピレンガスを放出し、重合体を50℃で20時間減圧乾燥
して、白色の粉末状ポリプロピレンを得た。重合活性お
よび重合体の特性についての測定結果を表2に示す。 【0042】比較例1〜4 成分[C]としてシクロヘキシルメチルジメトキシシラ
ンを用い、水素の使用量(Kg/cm2)を表2に示した様に
した以外は、実施例1と同様にして行った。重合活性お
よび重合体の特性についての測定結果を表2に示す。 【0043】 【表1】 【0044】 【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒成分の調製工程及び重合方法を示
すフローチャートである。
すフローチャートである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平8−143621(JP,A)
特開 平4−348111(JP,A)
特開 昭63−199703(JP,A)
特開 平6−298830(JP,A)
特開 平6−73118(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 4/64 - 4/658
CA(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 〔A〕マグネシウム、チタン、ハロゲン
元素、及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、
〔B〕有機アルミニウム化合物成分、及び〔C〕 一般式 Si(OR1) 2(NR2R3) 2 (式中、R1、R2、及びR3は炭素数 1〜10の炭化水素基を
示す。)で表わされる有機ケイ素化合物とからなる触媒
の存在下に、α−オレフィンを重合する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28815394A JP3443990B2 (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | α−オレフィンの重合方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28815394A JP3443990B2 (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | α−オレフィンの重合方法 |
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JPH08143620A JPH08143620A (ja) | 1996-06-04 |
JP3443990B2 true JP3443990B2 (ja) | 2003-09-08 |
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ID=17726497
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JP28815394A Expired - Fee Related JP3443990B2 (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | α−オレフィンの重合方法 |
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WO2005026180A1 (ja) | 2003-09-08 | 2005-03-24 | Ube Industries, Ltd. | トリアルコキシハロシランの製造方法及びアルコキシ(ジアルキルアミノ)シランの製造方法、並びにα−オレフィンの重合又は共重合に用いられるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒、その触媒成分及びその触媒を用いたα−オレフィンの重合方法 |
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US10654947B2 (en) | 2011-10-28 | 2020-05-19 | Formosa Plastics Corporation, Usa | Cyclic organosilicon compounds as electron donors in Zeigler-Natta catalyst systems for producing propylene polymer having high melt-flowability |
WO2019004418A1 (ja) | 2017-06-30 | 2019-01-03 | 三井化学株式会社 | プロピレン系重合体、その製造方法、プロピレン系樹脂組成物および成形体 |
-
1994
- 1994-11-22 JP JP28815394A patent/JP3443990B2/ja not_active Expired - Fee Related
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