JP3379999B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents
タイヤトレッド用ゴム組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウエットグリップ性能
(湿潤路面把握性)を損なうことなくかつ脆化温度を高
めることなしに耐摩耗性を向上させたタイヤトレッド用
ゴム組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】車両の走行安全性を高めるために、車両
に装着するタイヤのトレッドには高いウエットグリップ
性能と高い耐摩耗性とが要求される。また、低温でタイ
ヤを使用できるようにするためには、タイヤのトレッド
の脆化温度が低くなければならない。 【0003】従来、高いウエットグリップ性能を得るた
めに、タイヤトレッド用ゴム組成物には高いガラス転移
温度(Tg)を有するポリマーが使用されていた。しか
し、この場合、ポリマーのTgを高くするにつれてゴム
組成物の耐摩耗性が低下すると共に脆化温度が高くなる
という問題があった。また、高いTgのポリマー(Tg
>−35℃) と低いTgのポリマー(Tg≦−55℃) とを
ブレンドすることによりウエットグリップ性能と耐摩耗
性との両立をはかることが提案されているが(特開平1-
135845号公報) 、この場合においては耐摩耗性が十分で
ない。さらに、耐摩耗性の向上のために、特定のジエン
系ブロック重合体を用いることも行われているが(特開
平4-154821号公報) 、この場合においてもウエットグリ
ップ性能、耐摩耗性、および脆化温度の三者を満足させ
るのは困難である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、ウエットグ
リップ性能を損なうことなくかつ脆化温度を高めること
なしに耐摩耗性を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成
物を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明のタイヤトレッド
用ゴム組成物は、結合芳香族ビニル含有量30〜60重量
%、1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量35〜80モ
ル%で重量平均分子量80万〜120 万のジエン系芳香族ビ
ニル重合体(A)と、結合芳香族ビニル含有量0〜40重
量%、1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量0〜30
モル%で重量平均分子量80万〜120 万のジエン系重合体
又はジエン系芳香族ビニル重合体(B)からなり、Aの
重量平均分子量とBの重量平均分子量との差の絶対値が
24万以下であり、Aの配合量/Bの配合量が10〜90/90
〜10(重量部) であり、A+Bの合計量が全ゴム分100
重量部のうち30重量部以上であることを特徴とする。 【0006】このように本発明では、特定の重合体Aお
よびBを用いるために、上記目的の達成が可能となる。
以下、本発明の構成につき詳しく説明する。 結合芳香族ビニル含有量30〜60重量%、1,2-ビニル
および/又は3,4-ビニル結合量35〜80モル%で重量平均
分子量80万〜120 万のジエン系芳香族ビニル重合体
(A)。 【0007】このジエン系芳香族ビニル重合体は、共役
ジエン化合物とビニル芳香族化合物から構成される。共
役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプ
レン、ペンタジエンなどの共役ジオレフィンが挙げられ
るが、好ましい共役ジエン化合物はブタジエンである。
ビニル芳香族化合物としては、共役ジエン化合物と共重
合可能なものであればよく、例えば、スチレン、ビニル
トルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられるが、好
ましいビニル芳香族化合物はスチレンである。したがっ
て、ジエン系芳香族ビニル重合体としては、スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が好ましい。 【0008】結合芳香族ビニル含有量を30〜60重量%と
したのは、30重量%未満では0℃付近のtan δ(損失係
数) が低下してしまいウエットグリップ性能が不足する
こととなり、60重量%を超えると低温、特に−10〜10℃
付近の硬度が高くなってやはり低温度域でのウエットグ
リップ性能が低下してしまうからである。1,2-ビニルお
よび/又は3,4-ビニル結合量を35〜80モル%としたの
は、35モル%未満では重合体(B)と相溶化してしまう
ため脆化温度の上昇を招いてしまうと共に上記同様に0
℃付近のtan δの低下のためにウエットグリップ性能に
悪影響を与える可能性がある。80モル%を超えるもの
は、ポリマー重合上、製造が非常に難しく、現時点では
実用化は困難である。 【0009】重量平均分子量を80万〜120 万としたの
は、80万未満では十分な耐摩耗性の向上効果を得ること
ができない。120 万を超えると粘度上昇が著しく、混
練、押し出し等の加工性が悪化してしまうからである。
結合芳香族ビニル含有量0〜40重量%、1,2-ビニル
および/又は3,4-ビニル結合量0〜30モル%で重量平均
分子量80万〜120 万のジエン系重合体又はジエン系芳香
族ビニル重合体(B)。 【0010】このジエン系重合体又はジエン系芳香族ビ
ニル重合体は、共役ジエン化合物単独、又は共役ジエン
化合物とビニル芳香族化合物とから構成される。これら
の化合物の例示もまた、前記におけると同様である。
結合芳香族ビニル含有量が40重量%超では、脆化温度の
上昇を招き、また、耐摩耗性も悪化してしまう。結合芳
香族ビニル含有量が0の場合には、ビニル芳香族化合物
が存在しないことになるから、(B)はジエン系重合体
となる。したがって、この場合のジエン系重合体は、例
えば、ポリブタジエンゴム(BR)である。 【0011】1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量
が30モル%超では、重合体(A)と相溶化してしまうた
め脆化温度の上昇、耐摩耗性の悪化などを招いてしま
う。重量平均分子量を80万〜120 万としたのは、80万未
満ではやはり十分な耐摩耗性の向上効果が得られない。
120 万を超えるとやはり混練、押し出し等の加工が難し
くなり、実際的でないからである。 【0012】上記重合体AおよびBについて、Aの
重量平均分子量とBの重量平均分子量との差の絶対値が
24万以下(ゼロを含む)であり、Aの配合量/Bの配合
量が10〜90/90〜10(重量部) であり、A+Bの合計量が
全ゴム分100 重量部のうち30重量部以上、好ましくは40
重量部〜100 重量部である。 【0013】Aの重量平均分子量(Mw(A))とBの重量
平均分子量(Mw(B))との差を24万以下、すなわち|M
w(A)−Mw(B)|≦24万としたのは、24万超であると重合
体(A)、(B)各々の分子量を高くしたとしても十分
な耐摩耗性の向上効果は得られないからである。Aの配
合量/Bの配合量を10〜90/90〜10(重量部) としたの
は、Aの配合量が10重量部未満ではウエットグリップ性
能が不十分となり、90重量部を超えると脆化温度の低下
が不十分でかつ耐摩耗性も悪化してしまうからである。 【0014】A+Bの合計量が全ゴム分100 重量部のう
ち30重量部以上としたのは、30重量部未満では、優れた
ウエットグリップ性能、十分に低い脆化温度、かつ優れ
た耐摩耗性を得ることができないからである。この場
合、AおよびB以外のゴム分、すなわち残部のゴム分と
しては、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重
合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプ
レンゴム(IR)などのゴムを用いることができる。 【0015】本発明で使用される重合体(A)および
(B)は、その製造方法によって規定されるものではな
いが、以下のものが好適に利用できる。すなわち、アル
カリ土類金属基材触媒を開始剤として炭化水素溶媒中で
共重合されるいわゆる溶液重合ポリマーである。また、
それらは錫化合物又はケイ素化合物によってカップリン
グされていてもよい。さらには、特開昭60-137913 号公
報に開示されているように分子変性を行ってもよい。 【0016】重合体(A)と(B)の混合方法は、通
常、ゴム工業で使用される機械的混合の他、重合体が炭
化水素溶媒に溶解した状態でのいわゆるセメントブレン
ド法が使用できる。アルカリ土類金属基材触媒として
は、有機リチウム基材触媒が特に一般的であり、例え
ば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-プロピルリチ
ウム、1-プロピルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブ
チルリチウム、オクチルリチウム、n-デシルリチウム、
フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチル-フ
ェニルリチウム、4-ブチル-フェニルリチウム、シクロ
ヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、1,4-ジリ
チオ-ブテン-2などが挙げられるが、これらに限定され
るものではない。 【0017】炭化水素溶媒としては、脂肪族炭化水素、
芳香族炭化水素、脂環族炭化水素から選ばれ、特に炭素
数2〜12個を有するプロパン、n-ブタン、1-ブタン、n-
ペンタン、1-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、
プロペン、1-ブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテ
ン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンな
どが好ましい。また、これらの溶剤は、2種類以上を混
合して使用することもできる。 【0018】分子変性の例としては、分子中に下記式 の結合(式中、Mは酸素又は硫黄原子を表わす)を有す
る化合物と反応させることである。この化合物の例とし
ては、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセト
アミド、N,N-ジメチルベンズアミドなどのアミド類、N,
N'-ジメチル尿素、N,N'-ジメチルエチレン尿素などの尿
素類、t-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタ
ム、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドンな
どのラクタム類など特開昭61-103904 号公報に開示の化
合物、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチ
ルエチレンチオウレアなど特開昭61-268702 号公報に開
示の化合物などが挙げられる。 【0019】 本発明のゴム組成物には、カーボンブ
ラック、硫黄、プロセス油等の他の配合剤を必要に応じ
て適宜配合することができる。カーボンブラックとして
は、窒素比表面積(N2SA) ≧70m2/g、DBP 吸油量≧70ml
/100g の通常使用されているものを用いればよい。 【0020】 【実施例】表1および表2に示す配合内容(重量部)で
ゴム組成物を調製し(実施例1〜6、比較例1〜7)、
これらにつき下記によりウエットグリップ性能(0℃に
おけるtan δで表わす)、耐摩耗性、および脆化温度
(℃)を評価した。この結果を表1および表2に示す。
なお、表1および表2中、ST/VNは、結合スチレン
含有量/1,2-ビニル結合量を表わす。 【0021】tan δ(O℃) の測定方法:粘弾性スペクト
ロメータ(岩本製作所株式会社製)を用い、温度0℃、
歪率10±2%、周波数20Hzの条件で測定した。数値の大
きい方がウエットグリップ性能に優れている。耐摩耗性の測定方法 :ランボーン型摩耗試験機(上島製
作所株式会社製)を用い、室温(23℃) 、荷重5kg、ス
リップ率25% 、測定時間4分の条件で測定した。結果を
比較例4を100 とする指数で示す。数値の大きい方が耐
摩耗性がよい。 【0022】脆化温度の測定方法:JIS K 6301に規定さ
れた低温衝撃脆化試験方法に基づき実施した。温度の低
い方がよい。 【0023】【0024】 【0025】表1および表2から明らかなように、比較
例1は重合体(A)の重量平均分子量(Mw(A))が低
く、かつ分子量の差|Mw(A)−Mw(B)|が大きい場合で
あり、耐摩耗性が十分でない。比較例2、3、4はゴム
組成物が単一系ポリマーの場合であり、脆化温度がわる
く、さらに比較例2の場合にはtan δ(O℃) もわるい。
比較例5は重合体(A)のMw(A)が低い場合であり、ta
n δ(O℃) と耐摩耗性のバランスがわるい。比較例6は
重合体(A)のMw(A)が低く、かつ分子量の差|Mw(A)
−Mw(B)|が大きい場合であり、tan δ(O℃) および耐
摩耗性が十分でない。比較例7は重合体(A)のMw(A)
が低く、かつ分子量の差|Mw(A)−Mw(B)|が大きい場
合であり、やはりtan δ(O℃) と耐摩耗性のバランスが
わるい。 【0026】実施例1、2、3、4、5、6(本発明ゴ
ム組成物)は、それぞれ、tan δ(O℃) および脆化温度
がよく、耐摩耗性に優れている。表1に示すデータに基
づき、tan δ(O℃) と耐摩耗性との関係を図1に、tan
δ(O℃) と脆化温度との関係を図2にそれぞれ示す。図
1はtan δ(O℃) の増加に伴い耐摩耗性が減少すること
を示す。図1において、通常は線a付近にある。本発明
では線aを越えた部分(指示方向)にある。図2はtan
δ(O℃) の増加に伴い脆化温度が上昇することを示す。
図2において、通常は線b付近にある。本発明では線a
よりも下の部分(指示方向)にある。 【0027】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、特
定の重合体AおよびBを用いるために、ウエットグリッ
プ性能を損なうことなくかつ脆化温度を高めることなし
に耐摩耗性を向上させることが可能となる。
(湿潤路面把握性)を損なうことなくかつ脆化温度を高
めることなしに耐摩耗性を向上させたタイヤトレッド用
ゴム組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】車両の走行安全性を高めるために、車両
に装着するタイヤのトレッドには高いウエットグリップ
性能と高い耐摩耗性とが要求される。また、低温でタイ
ヤを使用できるようにするためには、タイヤのトレッド
の脆化温度が低くなければならない。 【0003】従来、高いウエットグリップ性能を得るた
めに、タイヤトレッド用ゴム組成物には高いガラス転移
温度(Tg)を有するポリマーが使用されていた。しか
し、この場合、ポリマーのTgを高くするにつれてゴム
組成物の耐摩耗性が低下すると共に脆化温度が高くなる
という問題があった。また、高いTgのポリマー(Tg
>−35℃) と低いTgのポリマー(Tg≦−55℃) とを
ブレンドすることによりウエットグリップ性能と耐摩耗
性との両立をはかることが提案されているが(特開平1-
135845号公報) 、この場合においては耐摩耗性が十分で
ない。さらに、耐摩耗性の向上のために、特定のジエン
系ブロック重合体を用いることも行われているが(特開
平4-154821号公報) 、この場合においてもウエットグリ
ップ性能、耐摩耗性、および脆化温度の三者を満足させ
るのは困難である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、ウエットグ
リップ性能を損なうことなくかつ脆化温度を高めること
なしに耐摩耗性を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成
物を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明のタイヤトレッド
用ゴム組成物は、結合芳香族ビニル含有量30〜60重量
%、1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量35〜80モ
ル%で重量平均分子量80万〜120 万のジエン系芳香族ビ
ニル重合体(A)と、結合芳香族ビニル含有量0〜40重
量%、1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量0〜30
モル%で重量平均分子量80万〜120 万のジエン系重合体
又はジエン系芳香族ビニル重合体(B)からなり、Aの
重量平均分子量とBの重量平均分子量との差の絶対値が
24万以下であり、Aの配合量/Bの配合量が10〜90/90
〜10(重量部) であり、A+Bの合計量が全ゴム分100
重量部のうち30重量部以上であることを特徴とする。 【0006】このように本発明では、特定の重合体Aお
よびBを用いるために、上記目的の達成が可能となる。
以下、本発明の構成につき詳しく説明する。 結合芳香族ビニル含有量30〜60重量%、1,2-ビニル
および/又は3,4-ビニル結合量35〜80モル%で重量平均
分子量80万〜120 万のジエン系芳香族ビニル重合体
(A)。 【0007】このジエン系芳香族ビニル重合体は、共役
ジエン化合物とビニル芳香族化合物から構成される。共
役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプ
レン、ペンタジエンなどの共役ジオレフィンが挙げられ
るが、好ましい共役ジエン化合物はブタジエンである。
ビニル芳香族化合物としては、共役ジエン化合物と共重
合可能なものであればよく、例えば、スチレン、ビニル
トルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられるが、好
ましいビニル芳香族化合物はスチレンである。したがっ
て、ジエン系芳香族ビニル重合体としては、スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が好ましい。 【0008】結合芳香族ビニル含有量を30〜60重量%と
したのは、30重量%未満では0℃付近のtan δ(損失係
数) が低下してしまいウエットグリップ性能が不足する
こととなり、60重量%を超えると低温、特に−10〜10℃
付近の硬度が高くなってやはり低温度域でのウエットグ
リップ性能が低下してしまうからである。1,2-ビニルお
よび/又は3,4-ビニル結合量を35〜80モル%としたの
は、35モル%未満では重合体(B)と相溶化してしまう
ため脆化温度の上昇を招いてしまうと共に上記同様に0
℃付近のtan δの低下のためにウエットグリップ性能に
悪影響を与える可能性がある。80モル%を超えるもの
は、ポリマー重合上、製造が非常に難しく、現時点では
実用化は困難である。 【0009】重量平均分子量を80万〜120 万としたの
は、80万未満では十分な耐摩耗性の向上効果を得ること
ができない。120 万を超えると粘度上昇が著しく、混
練、押し出し等の加工性が悪化してしまうからである。
結合芳香族ビニル含有量0〜40重量%、1,2-ビニル
および/又は3,4-ビニル結合量0〜30モル%で重量平均
分子量80万〜120 万のジエン系重合体又はジエン系芳香
族ビニル重合体(B)。 【0010】このジエン系重合体又はジエン系芳香族ビ
ニル重合体は、共役ジエン化合物単独、又は共役ジエン
化合物とビニル芳香族化合物とから構成される。これら
の化合物の例示もまた、前記におけると同様である。
結合芳香族ビニル含有量が40重量%超では、脆化温度の
上昇を招き、また、耐摩耗性も悪化してしまう。結合芳
香族ビニル含有量が0の場合には、ビニル芳香族化合物
が存在しないことになるから、(B)はジエン系重合体
となる。したがって、この場合のジエン系重合体は、例
えば、ポリブタジエンゴム(BR)である。 【0011】1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量
が30モル%超では、重合体(A)と相溶化してしまうた
め脆化温度の上昇、耐摩耗性の悪化などを招いてしま
う。重量平均分子量を80万〜120 万としたのは、80万未
満ではやはり十分な耐摩耗性の向上効果が得られない。
120 万を超えるとやはり混練、押し出し等の加工が難し
くなり、実際的でないからである。 【0012】上記重合体AおよびBについて、Aの
重量平均分子量とBの重量平均分子量との差の絶対値が
24万以下(ゼロを含む)であり、Aの配合量/Bの配合
量が10〜90/90〜10(重量部) であり、A+Bの合計量が
全ゴム分100 重量部のうち30重量部以上、好ましくは40
重量部〜100 重量部である。 【0013】Aの重量平均分子量(Mw(A))とBの重量
平均分子量(Mw(B))との差を24万以下、すなわち|M
w(A)−Mw(B)|≦24万としたのは、24万超であると重合
体(A)、(B)各々の分子量を高くしたとしても十分
な耐摩耗性の向上効果は得られないからである。Aの配
合量/Bの配合量を10〜90/90〜10(重量部) としたの
は、Aの配合量が10重量部未満ではウエットグリップ性
能が不十分となり、90重量部を超えると脆化温度の低下
が不十分でかつ耐摩耗性も悪化してしまうからである。 【0014】A+Bの合計量が全ゴム分100 重量部のう
ち30重量部以上としたのは、30重量部未満では、優れた
ウエットグリップ性能、十分に低い脆化温度、かつ優れ
た耐摩耗性を得ることができないからである。この場
合、AおよびB以外のゴム分、すなわち残部のゴム分と
しては、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重
合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプ
レンゴム(IR)などのゴムを用いることができる。 【0015】本発明で使用される重合体(A)および
(B)は、その製造方法によって規定されるものではな
いが、以下のものが好適に利用できる。すなわち、アル
カリ土類金属基材触媒を開始剤として炭化水素溶媒中で
共重合されるいわゆる溶液重合ポリマーである。また、
それらは錫化合物又はケイ素化合物によってカップリン
グされていてもよい。さらには、特開昭60-137913 号公
報に開示されているように分子変性を行ってもよい。 【0016】重合体(A)と(B)の混合方法は、通
常、ゴム工業で使用される機械的混合の他、重合体が炭
化水素溶媒に溶解した状態でのいわゆるセメントブレン
ド法が使用できる。アルカリ土類金属基材触媒として
は、有機リチウム基材触媒が特に一般的であり、例え
ば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-プロピルリチ
ウム、1-プロピルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブ
チルリチウム、オクチルリチウム、n-デシルリチウム、
フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチル-フ
ェニルリチウム、4-ブチル-フェニルリチウム、シクロ
ヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、1,4-ジリ
チオ-ブテン-2などが挙げられるが、これらに限定され
るものではない。 【0017】炭化水素溶媒としては、脂肪族炭化水素、
芳香族炭化水素、脂環族炭化水素から選ばれ、特に炭素
数2〜12個を有するプロパン、n-ブタン、1-ブタン、n-
ペンタン、1-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、
プロペン、1-ブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテ
ン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンな
どが好ましい。また、これらの溶剤は、2種類以上を混
合して使用することもできる。 【0018】分子変性の例としては、分子中に下記式 の結合(式中、Mは酸素又は硫黄原子を表わす)を有す
る化合物と反応させることである。この化合物の例とし
ては、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセト
アミド、N,N-ジメチルベンズアミドなどのアミド類、N,
N'-ジメチル尿素、N,N'-ジメチルエチレン尿素などの尿
素類、t-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタ
ム、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドンな
どのラクタム類など特開昭61-103904 号公報に開示の化
合物、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチ
ルエチレンチオウレアなど特開昭61-268702 号公報に開
示の化合物などが挙げられる。 【0019】 本発明のゴム組成物には、カーボンブ
ラック、硫黄、プロセス油等の他の配合剤を必要に応じ
て適宜配合することができる。カーボンブラックとして
は、窒素比表面積(N2SA) ≧70m2/g、DBP 吸油量≧70ml
/100g の通常使用されているものを用いればよい。 【0020】 【実施例】表1および表2に示す配合内容(重量部)で
ゴム組成物を調製し(実施例1〜6、比較例1〜7)、
これらにつき下記によりウエットグリップ性能(0℃に
おけるtan δで表わす)、耐摩耗性、および脆化温度
(℃)を評価した。この結果を表1および表2に示す。
なお、表1および表2中、ST/VNは、結合スチレン
含有量/1,2-ビニル結合量を表わす。 【0021】tan δ(O℃) の測定方法:粘弾性スペクト
ロメータ(岩本製作所株式会社製)を用い、温度0℃、
歪率10±2%、周波数20Hzの条件で測定した。数値の大
きい方がウエットグリップ性能に優れている。耐摩耗性の測定方法 :ランボーン型摩耗試験機(上島製
作所株式会社製)を用い、室温(23℃) 、荷重5kg、ス
リップ率25% 、測定時間4分の条件で測定した。結果を
比較例4を100 とする指数で示す。数値の大きい方が耐
摩耗性がよい。 【0022】脆化温度の測定方法:JIS K 6301に規定さ
れた低温衝撃脆化試験方法に基づき実施した。温度の低
い方がよい。 【0023】【0024】 【0025】表1および表2から明らかなように、比較
例1は重合体(A)の重量平均分子量(Mw(A))が低
く、かつ分子量の差|Mw(A)−Mw(B)|が大きい場合で
あり、耐摩耗性が十分でない。比較例2、3、4はゴム
組成物が単一系ポリマーの場合であり、脆化温度がわる
く、さらに比較例2の場合にはtan δ(O℃) もわるい。
比較例5は重合体(A)のMw(A)が低い場合であり、ta
n δ(O℃) と耐摩耗性のバランスがわるい。比較例6は
重合体(A)のMw(A)が低く、かつ分子量の差|Mw(A)
−Mw(B)|が大きい場合であり、tan δ(O℃) および耐
摩耗性が十分でない。比較例7は重合体(A)のMw(A)
が低く、かつ分子量の差|Mw(A)−Mw(B)|が大きい場
合であり、やはりtan δ(O℃) と耐摩耗性のバランスが
わるい。 【0026】実施例1、2、3、4、5、6(本発明ゴ
ム組成物)は、それぞれ、tan δ(O℃) および脆化温度
がよく、耐摩耗性に優れている。表1に示すデータに基
づき、tan δ(O℃) と耐摩耗性との関係を図1に、tan
δ(O℃) と脆化温度との関係を図2にそれぞれ示す。図
1はtan δ(O℃) の増加に伴い耐摩耗性が減少すること
を示す。図1において、通常は線a付近にある。本発明
では線aを越えた部分(指示方向)にある。図2はtan
δ(O℃) の増加に伴い脆化温度が上昇することを示す。
図2において、通常は線b付近にある。本発明では線a
よりも下の部分(指示方向)にある。 【0027】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、特
定の重合体AおよびBを用いるために、ウエットグリッ
プ性能を損なうことなくかつ脆化温度を高めることなし
に耐摩耗性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】tan δ(O℃) と耐摩耗性との関係図である。
【図2】tan δ(O℃) と脆化温度との関係図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭57−87443(JP,A)
特開 昭57−70137(JP,A)
特開 昭57−70134(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 9/00 - 9/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 結合芳香族ビニル含有量30〜60重量%、
1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量35〜80モル%
で重量平均分子量80万〜120 万のジエン系芳香族ビニル
重合体(A)と、結合芳香族ビニル含有量0〜40重量
%、1,2-ビニルおよび/又は3,4-ビニル結合量0〜30モ
ル%で重量平均分子量80万〜120 万のジエン系重合体又
はジエン系芳香族ビニル重合体(B)からなり、Aの重
量平均分子量とBの重量平均分子量との差の絶対値が24
万以下であり、Aの配合量/Bの配合量が10〜90/90〜1
0(重量部) であり、A+Bの合計量が全ゴム分100 重量
部のうち30重量部以上であるタイヤトレッド用ゴム組成
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18956793A JP3379999B2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-07-30 | タイヤトレッド用ゴム組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0741601A JPH0741601A (ja) | 1995-02-10 |
JP3379999B2 true JP3379999B2 (ja) | 2003-02-24 |
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JP (1) | JP3379999B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP4315501B2 (ja) * | 1998-10-27 | 2009-08-19 | 株式会社ブリヂストン | ゴム組成物、これをトレッドに用いた空気入りタイヤおよび競技用タイヤ |
-
1993
- 1993-07-30 JP JP18956793A patent/JP3379999B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0741601A (ja) | 1995-02-10 |
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