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JP3346643B2 - 水分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

水分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法

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JP3346643B2
JP3346643B2 JP07109694A JP7109694A JP3346643B2 JP 3346643 B2 JP3346643 B2 JP 3346643B2 JP 07109694 A JP07109694 A JP 07109694A JP 7109694 A JP7109694 A JP 7109694A JP 3346643 B2 JP3346643 B2 JP 3346643B2
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water
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monomer
weight
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隆茂 前川
匡一 金子
俊 鎌田
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Asahi Glass Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低温キュアが可能な水
分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリフルオロアルキル基を含
有する重合性モノマーの重合体や共重合体またはポリフ
ルオロアルキル基を含有する化合物を、有機溶媒溶液ま
たは水系分散液として繊維製品等に処理し、それらの表
面に撥水撥油性を付与する技術が知られている。
【0003】また従来より、洗濯やドライクリーニング
等に対する撥水撥油性の耐久性向上を目的として、ポリ
フルオロアルキル基含有重合性単量体とともに接着性基
を有する単量体モノマーを共重合させたり、ポリフルオ
ロアルキル基を含有する重合体と皮膜強度の高いポリマ
ーとをブレンドする試みがなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の撥水撥
油剤においては、撥水撥油性の耐久性を強固に発現させ
るために、撥水撥油剤を布帛に処理した後に、150〜
200℃の高温で1〜5分間の熱処理を実施することが
必須であった。しかし、繊維径が10μm以下の極細合
成繊維や、異形断面糸、新合繊(割繊糸)等の繊維製品
またはウール等の高温に弱い天然繊維製品に撥水撥油処
理をする場合に、高温での熱処理を必須とすることは、
風合いの粗硬化や、染色堅牢度の低下を招く問題があっ
た。このため、低温条件の処理でも高い撥水撥油性を発
揮し、かつ耐久性にも優れる加工剤が望まれていた。
【0005】また、従来の撥水撥油剤においては、環境
中の自然な汚れ等により、撥水性が経時的に低下する問
題や、また、汚れがあると撥水撥油性が著しく低下する
問題があった。このような汚れは現実的な使用環境下で
は避けられないものであることから、撥水撥油性の耐久
性に優れた加工剤が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、低温熱処
理時の撥水撥油性の耐久性発現機構および撥水機能の強
化方法について詳細に検討した。その結果、特定の物性
を有する重合体を特定の形態で含ませた水分散型撥
剤組成物が上記の問題を解決し得ることを見いだし
た。しかも本発明者等は、該組成物従来の撥水撥油剤
に必要であった高温処理を実施しなくても温和な処理条
件で撥水撥油性の耐摩擦性、耐洗濯性、耐ドライクリー
ニング性等の実用的な耐久性を長期間にわたって持続可
能な優れた組成物であることを見いだした。
【0007】すなわち本発明は、第1の重合体と第2の
重合体の少なくとも2種の重合体を含む重合体粒子であ
り、第1の重合体はポリフルオロアルキル基を含む重合
体であり、かつ、第2の重合体は下記モノマーBの重合
単位を含む重合体である、重合体粒子を含む水分散型撥
水撥油剤組成物およびその製造方法を提供する。 モノマーB:ホモポリマーのガラス転移点が30℃以上
であり、かつ、エステル部分が炭素数5以上の、環式炭
化水素基、多環式炭化水素基または分岐であるアルキル
基を有する(メタ)アクリレート。ただし、フッ化ビニ
リデン50〜80重量%、六フッ化プロピレン20〜5
0重量%およびその他共重合可能な単量体0〜30重量
%からなる単量体を重合してなる含フッ素重合体と(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル40〜100重量%お
よびその他共重合可能な単量体0〜60重量%からなる
単量体を重合してなるアクリル系重合体とが複合してな
る複合重合体粒子が水性媒体に分散されている含フッ素
重合体水性分散液を除く。
【0008】本発明の撥水撥油剤組成物は、少なくとも
2種の重合体を含む重合体粒子を含むことを特徴とす
る。少なくとも2種の重合体のうちの1種は、ポリフル
オロアルキル基を含む第1の重合体である。なお、以下
において「ポリフルオロアルキル基」を「Rf基」と記
す。
【0009】Rf基とは、アルキル基の水素原子の2個
以上がフッ素原子に置換された基である。Rf基中のフ
ッ素原子の割合は、(Rf基中のフッ素原子の数)/
(Rf基中のフッ素原子の数+Rf基中の水素素原子の
数)が60%以上である場合が好ましく、特に80%以
上である場合が好ましい。また、Rf基は水素原子の
または全部が塩素原子に置換されていてもよい。
【0010】Rf基は、直鎖または分岐の構造が好まし
く、特に直鎖の構造が好ましい。分岐の構造である場合
には、分岐部分がRf基の末端付近に存在することが好
ましい。また、分岐部分は炭素数が1〜4程度の短鎖で
ある場合が好ましい。また、Rf基の炭素数は4〜20
が好ましく、特に6〜16が好ましい。
【0011】Rf基として特に好ましいのは、上記のフ
ッ素原子の割合が実質的に100%である場合のペルフ
ルオロアルキル基またはペルフルオロアルキル基部分を
含有するRf基である。ペルフルオロアルキル基も直鎖
の構造が好ましい。直鎖のペルフルオロアルキル基とし
ては、Cm2m+1−[ただし、mは4〜20の整数であ
る。]で表される場合が好ましい。
【0012】本発明におけるf基を含む第1の重合体
としては、Rf基含有モノマーの重合単位を含む重合体
が好ましい。Rf基含有モノマーとは、上記のRf基と重
合性不飽和基を有する化合物を意味する。Rf基含有モ
ノマーのRf基は、上記のRf基と同様の意味を示し、好
ましい態様も同じである。さらに、Rf基含有モノマー
は、Rf基の炭素数の異なる化合物の2種以上の混合物
であってもよく、その場合、Rf基の平均炭素数は6以
上が好ましい。
【0013】Rf基含有モノマーとしては、前記のCm
2m+1−[ただし、mは4〜20の整数である。]で表さ
れるペルフルオロアルキル基と重合性不飽和基を有する
化合物が好ましい。ペルフルオロアルキル基含有モノマ
ーは、mの数の異なる化合物の2種以上の混合物であっ
てもよいが、mの平均が6以上である場合が好ましい。
6未満であるものを採用した場合には、最終的に撥水撥
油性が低くなり、目的の機能を発現しない恐れがある。
mの平均値は、6〜16程度の範囲が好ましく、特に8
〜14の範囲が好ましく、さらに9〜12である場合が
好ましい。mの値が大きすぎるものは常温で固体状であ
り、昇華性も高く、取扱いが困難である。
【0014】Rf基含有モノマーにおいてRf基と重合性
不飽和基とは、直接または結合基を介して間接的に結合
しており、間接的に結合している場合が好ましい。結合
、2価以上の結合基である。たとえば、アルキレン
基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、エーテ
結合、フェニレンオキシ基、スルホニル基が好まし
い。これらのRf基含有モノマーは、公知または周知の
化合物が採用され、Rf基含有アルコール、Rf基含有カ
ルボン酸またはRf基含有スルホン酸等から容易に合成
され得る。
【0015】これらのうち、本発明におけるRf基含有
モノマーとしては、Rf基の1個が、重合性の不飽和基
と2価の結合基を介して連結している構造の化合物が好
ましい。例えば、Rf基含有アクリレート、Rf基含有メ
タクリレート、Rf基含有スチレン、Rf基含有ビニルエ
ステルおよびRf基含有フマレート等が好ましい。
【0016】さらに、本発明におけるRf基含有モノマ
ーとしては、汎用性の点から、特に、上記のRf基を含
有するアクリレートまたはメタクリレートが好ましい。
なお、本明細書においてアクリレートとメタクリレート
とをまとめて(メタ)アクリレートと記し、両者を意味
する。他の化合物についても同様である。
【0017】好ましいRf基含有モノマーは、下式E
表すことができる。
【0018】 f −Q 1 −X・・・式E
【0019】ただし、式Eにおいて、RfはRf基を、Q
1は2価の有機基を、Xは重合性不飽和基を含有する1
価の有機基を示す。
【0020】Rfは、上記のRf基と同様の意味を示し、
好ましい態様も同じである。
【0021】Q1は、2価の有機基を示し、−(CH2
n+p−、−(CH2nONH(CH2p−、−(C
2nCONH(CH2p−、−(CH2nSO2NH
(CH2p−、−(CH2nNHCNH(CH2p
等が好ましい。ただし、nおよびpは0または1以上の
整数を示し、n+pは2〜22の整数である。これらの
うち、Q1としては、−(CH2n+p−、−(CH2n
CONH(CH2p−、−(CH2nSO2NH(C
2p−であり、かつ、pが2以上の整数であり、n+
pが2〜6である場合が好ましく、特にn+pが2〜6
である場合の−(CH2n+p−、すなわち、ジメチレン
基〜ヘキサメチレン基が好ましい。
【0022】Xは、重合性不飽和基を含有する1価の有
機基を示し、オレフィン類の残基、ビニルエーテル類の
残基、ビニルエステル類の残基、(メタ)アクリレート
類の残基、スチレン類の残基等が好ましい。オレフィン
類の残基としては−CR1=CH2または−OCH2−φ
−CR1=CH2が好ましく、(メタ)アクリレート類の
残基としては−OCCR1=CH2、ビニルエーテル類
の残基としては−OCR1=CH2、ビニルエステル類の
残基としては−COCR1=CH2、スチレン類の残基
としては−φ−CH=CH2または−O−φ−CH=C
2が好ましい。ただし、R1は水素原子、メチル基また
はハロゲン原子であり、φはフェニレン基である。これ
らのうち、Xとしては(メタ)アクリレート類の残基が
好ましく、特にR1が水素原子またはメチル基である場
合の−OCCR1=CH2、すなわち、(メタ)アクリ
イルオキシ基が好ましい。
【0023】Rf基含有モノマーは1種または2種以上
を用いることができる。通常の場合、Rf基含有モノマ
ーはRf基の炭素数が異なる化合物の2種以上の混合物
として用いられる。本発明におけるRf基含有モノマ
しては、以下の例を挙げられるがこれらに限定されな
い。
【0024】 F(CF 2 10 (CH 2 2 OCOCH=CH 2 F(CF 2 10 (CH 2 2 OCOC(CH 3 )=CH 2 (CF 3 2 CF(CF 2 6 (CH 2 2 OCOCH=CH 2 Cl(CF 2 10 (CH 2 3 OCOCH=CH 2 H(CF 2 10 (CH 2 2 OCOCH=CH 2 F(CF 2 10 (CH 2 11 OCOCH=CH 2 F(CF 2 10 CONH(CH 2 5 OCOCH=CH 2 F(CF 2 8 SO 2 N(C 3 7 )C 2 4 OCOCH=CH 2 F(CF 2 10 OC 2 4 (CH 2 2 OCOCH=CH 2 F(CF 2 10 CH 2 COOCH=CH 2 F(CF 2 10 (CH 2 2 COOCH=CH 2 F(CF 2 10 (CH 2 3 OCOCH=CH 2
【0025】 F(CF 2 8 (CH 2 2 OCH=CH 2 F(CF 2 8 CH 2 CF 2 CH 2 CH 2 OCOCH=CH 2 F(CF 2 8 (CH 2 4 OCOCH=CH 2 F(CF 2 8 CONH(CH 2 3 CH=CH 2 F(CF 2 10 CONH(CH 2 2 CH=CH 2 F(CF 2 14 SO 2 NH(CH 2 2 CH=CH 2 F(CF 2 14 (CH 2 6 OCOC(CH 3 )=CH 2 H(CF 2 10 CH=CH 2 F(CF 2 8 (CH 2 2 OCH 2 −φ−CH=CH 2 F(CF 2 8 (CH 2 2 OCH 2 −φ−CH 2 CH 2 OCOCH=CH 2
【0026】
【0027】
【0028】本発明におけるRf基含有モノマーとして
は、他のモノマーとの重合性、および繊維上に形成する
皮膜の柔軟性、基材に対する接着性、溶媒に対する溶解
性、乳化重合の容易性等の観点から、特に(メタ)アク
リレート類が好ましい。
【0029】また、第1の重合体においては、Rf基含
有モノマーの重合単位以外に他の重合性モノマーの重合
単位を含んでいてもよい。他の重合性モノマーとして
は、上記のRf基含有モノマーと重合可能な不飽和基を
含有する化合物であれば特に限定されない。また他の重
合性モノマーは1種または2種以上を用いることがで
き、2種以上の場合には任意の割合で用いることができ
る。なお以下において、他の重合性モノマーを共重合性
モノマーと記す。
【0030】共重合性モノマーとしては、(メタ)アク
リレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテ
ル類、ビニルエステル類、フマレート類、マレエート類
等が挙げられる。これらの共重合性モノマーは、炭化水
素基やベンゼン環を有する場合が好ましく、特に炭化水
素基を有する場合が好ましい。また共重合性モノマーと
しては、塩化ビニル、エチレン、塩化ビニリデン、フッ
化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチ
レン、スチレン類等であってもよい。
【0031】共重合性モノマーが炭化水素基を有する場
合、炭化水素基としては長鎖の炭化水素基が好ましく、
炭素数が14以上である場合が好ましく、特に14〜2
4の場合が好ましい。また、炭化水素基は直鎖、分岐、
環を有する構造のいずれであってもよいが直鎖である
場合が好ましい。直鎖の炭化水素基としては、飽和アル
キル基が好ましい。共重合性モノマーとして、長鎖の炭
化水素基を有するモノマーを用いる場合に、炭素数4〜
12程度の短鎖の炭化水素基を有する共重合性モノマー
を含ませることもできるが、短鎖の炭化水素基を有する
共重合性モノマーは、撥水性を低下させるため、高い割
合で使用することは困難である。
【0032】長鎖の炭化水素基を有する共重合性モノマ
ーとしては、直鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリ
レート類が好ましく、セチル(メタ)アクレート、ステ
アリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート等が好ましい。
また、共重合性モノマーがベンゼン環を有する場合、ベ
ンゼン環を有する(メタ)アクリレート類が好ましい。
また、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。ベンゼ
ン環を有する(メタ)アクリレート類としては、フェニ
ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
またはこれらのベンゼン環にメチル基、メトキシ基、
塩素原子等が結合した化合物が好ましい。
【0033】第1の重合体において、Rf基含有モノマ
ーおよび共重合性モノマーは、エポキシ基、ハロゲン原
子、水酸基、アミド基、アミノ基、イミノ基アルコキ
シシリル基、N−メチロール基、N−アルキルオキシア
ルキル基、ブロック化されたイソシアート基等の重合
性不飽和以外の反応性基を含有していてもよい。例え
ば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、−トリメトキシシリルプロピル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト等が好ましい。
【0034】また、ブロック化されたイソシアート基
を有するRf基含有モノマーおよび共重合性モノマーと
しては、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシ
アネートとを少なくとも1個のイソシアネート基が残る
割合で反応させて得られた反応生成物のブロック化物、
水酸基含有(メタ)アクリレートおよび少なくとも1個
のブロック化イソシアネート基と少なくとも1個のフリ
ーのイソシアネート基とを有するポリイソシアネート誘
導体を反応させて得られる反応生成物等が好ましい。
【0035】水酸基含有(メタ)アクリレートとして
は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエ
チレン/オキシプロピレン)グリコールモノ(メタ)ア
クリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート等が好
ましい。
【0036】またポリイソシアネートとしては、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等
の脂肪族ポリイソシアネート、またはイソホロンジイソ
シアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、ビス
(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ポ
リイソシアネート、およびそれらのヌレート変性体、プ
レポリマー変性体、ビュレット変性体等が挙げられ、脂
肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートが
好ましい。
【0037】またブロック化剤としては、オキシム類、
アルキルケトオキシム類、フェノール類、β−ジケトン
類、マロン酸エステル類、ラクタム類、アルカノール類
等が挙げられる。具体的には、シクロヘキサンオキシ
ム、メチルエチルケトオキシム、フェノール、クレゾー
ル、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、イソプロ
ルアルコール、t−ブチルアルコール、ε−カプロラク
タム、マレイン酸イミド、重亜硫酸ナトリウム等が挙げ
られ、シクロヘキサンオキシム、メチルエチルケトオキ
ム等が好ましい。
【0038】本発明における第1の重合体がRf基含有
モノマーの重合単位を含む重合体である場合、Rf基含
有モノマーの量は、50〜100重量%程度が好まし
く、特に55〜100重量%、さらに80〜100%
優れた撥水撥油性を発現するのに好ましい。
【0039】第1の重合体の分子量は、1000〜10
0000の範囲が好ましく、特に5000〜10000
0程度が好ましい。この範囲からはずれるものは撥水撥
油性の耐久性または初期性能が劣るため好ましくない。
特に、100000以上の高分子量領域の場合には、熱
処理を低温で実施した場合に、高い撥水性の維持ができ
ない恐れがあるので好ましくない。
【0040】第1の重合体の合成方法としては、特に限
定されず、上記のRf基含有モノマーの1種または2種
以上を含む重合性モノマーを公知または周知の重合方法
によって重合せしめる方法が挙げられる乳化重合法ま
たは分散重合法により重合せしめるのが好ましい。
【0041】乳化重合法または分散重合法により重合せ
しめる場合、上記の重合性モノマーを、乳化剤および重
合媒体の存在下に、重合開始剤を加えて重合せしめる方
法が例示され得る。乳化剤としては特に限定されず、ノ
ニオン型、カチオン型、アニオン型、両性型の公知また
は周知の乳化剤の1種以上が採用され得る。乳化剤の量
は、重合性モノマーの100重量部に対して、0.5〜
20重量部が好ましく、特に、撥水撥油性および分散液
の安定性の点から1〜10重量部程度が好ましい。
【0042】重合媒体としては、水を含む媒体であり、
所望により有機溶剤を含ませてもよい。有機溶剤として
は水溶性の有機溶剤が好ましく、エステル系、ケトン
系、エーテル系等の有機溶剤が好ましい。エステル系の
有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸
ジエチル等が好ましく、ケトン系の有機溶剤としては、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセト
ン等が好ましく、エーテル系の有機溶剤としては、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチ
レングリコール、およびこれらのモノメチルエーテ
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が好まし
い。これらのうち、有機溶剤としては、引火性が低い等
の点からエーテル系の有機溶剤が好ましい。水と有機溶
剤の比率は特に限定されず、いずれの割合であってもよ
い。重合開始剤としては、水溶性または油溶性の重合開
始剤が好ましく、アゾ系、過酸化物系、レドックス系等
の汎用の開始剤が重合温度に応じて使用できる。重合温
度は特に限定されないが、20℃〜150℃が好まし
い。
【0043】また、第1の重合体を得る反応において
は、分子量を制御する目的で、連鎖移動剤を含ませても
よい。連鎖移動剤としてはメルカプタン類が好ましい。
メルカプタン類としては、下式(1)〜(4)で表され
る化合物等が好ましく、特に式(1)のR2がアルキル
基である場合のアルキルメルカプタン類が好ましい。
【0044】
【化1】
【0045】ただし、式(1)〜(4)において、R2
はアルキル基またはアリール基を示す。R3はアルキレ
ン基を示す。Aは末端にメルカプト基を含有する1価の
有機基を示す。aは1〜3の整数を示す。R4は炭素数
が20以下の非置換または置換の1価の炭化水素基を示
す。bは0〜3の整数であり、0<a+b<4である。
【0046】上記の重合反応においては重合を開始する
前段階として重合性モノマー、水、および乳化剤からな
る混合物を、ホモミキサーまたは高圧乳化機等で処理
し、あらかじめ前分散させてもよい。
【0047】上記の方法で合成された第1の重合体は、
媒体中で微粒子として存在するのが好ましい。微粒子の
粒子径は、0.001〜1μmが好ましい。粒子径が小
さすぎる場合は、安定な分散液を得るための多量の乳化
剤が必要となり、また、撥水撥油性も低下する。1μm
以上の場合には、媒体中で重合体微粒子が沈降し好まし
くない。特に好ましい粒子径の範囲は0.01〜1μm
である。該粒子径は、動的光散乱装置、電子顕微鏡等に
より測定できる。通常の乳化重合の方法で、乳化剤の存
在下に重合を実施した場合、平均粒子径は、通常上記の
好ましい範囲に含まれる。
【0048】本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、上
記の第1の重合体と第2の重合体の少なくとも2種の重
合体を含む重合体粒子を含むことを特徴とする。第2の
重合体は、前記モノマーBの重合単位を含む重合体であ
る。第2の重合体は、温和な熱処理条件でも撥水撥油性
の耐久性が向上し、前述した実用撥水性の耐久性を向上
させる効果がある。
【0049】第2の重合体は前記モノマーBの重合単位
を含む重合体であり、ホモポリマーのガラス転移点は、
40℃以上が好ましく、特に40〜200℃が好まし
い。
【0050】
【0051】該モノマーBのエステル部分は、炭素数5
以上の環式炭化水素基、多環式炭化水素基、分岐を有
するアルキル基であ、特に炭素数5以上の環式炭化水
素基が好ましい。炭素数5以上の環式炭化水素基として
はシクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基が好まし
い。また、これらの基にアルキル基、ハロゲン等の置換
基が結合していてもよい。炭素数5以上の多環式炭化水
素基としては、イソボルニル基等が好ましい。炭素数5
以上の分岐を有するアルキル基としては、3,3−ジメ
チルブチル基等が好ましい。
【0052】モノマーBとしては、上記のモノマーのう
、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデ
シル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレ
ート、トリル(メタ)アクリレート、3,3−ジメチル
ブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0053】本発明における第2の重合体は、モノマー
の1種または2種以上の重合単位を含んでいてもよ
い。また、第2の重合体はその他の重合性モノマーの重
合単位を含んでいてもよい。
【0054】その他の重合性モノマーとしては、Rf
を含有しない重合性モノマーが好ましく、特に前記の第
1の重合体において、共重合性モノマーとして例示した
化合物が好ましい。しかし、その他の重合性モノマーと
してRf 基含有モノマーを採用した場合には、第1の重
合体のRf基の総量(重量部)に比較して、その他の重
合性モノマーのRf基の総量が、相対的に少ない量(重
量部)となるような量であるのが好ましい。Rf 基含有
ノマーとしては、第1の重合体において例示したRf
基含有モノマーと同様の化合物が採用され得る。
【0055】第2のモノマーとしては、分子内に反応性
基を含有する反応性モノマーを含ませてもよい。反応性
を有する基としては、エポキシ基、ハロゲン原子、ヒド
ロキシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシシリル
基、N−メチロール基、N−アルキルオキシ基、イミノ
ブロック化されたイソシアート基等が挙げられ、
これらの例としては、第1の重合体いて分子内に重
合性不飽和以外の反応性基を含有するモノマーとして
例示したものと同様の例が挙げられる。該反応性モノマ
ーを含ませた場合には、繊維処理時に繊維表面との接着
性を改善し、洗濯中やドライクリーニング中加工剤の
脱落を防止できる利点がある。
【0056】第2の重合体において、モノマーBの重合
単位の割合は、第2の重合体中に1〜95重量%が好ま
しく特に5〜80重量%が好ましくとりわけ5〜7
0重量%が好ましい
【0057】第2の重合体を合成する方法としては、上
記のモノマーBを含む第2のモノマーを重合せしめる方
が好ましい。ここで、第2のモノマーは、モノマーB
の1種もしくは2種以上、または、モノマーBの1種
しくは2種以上と他のモノマーの1種または2種以上を
含む混合物を意味する。
【0058】第1の重合体の存在下に第2のモノマーを
重合せしめる方法としては、特に限定されないが、第1
の重合体が微粒子として存在する乳濁液または分散液
に、第2のモノマーを、一括してまたは数段階に分割し
て加え、つぎに重合開始剤を加えて重合させる方法(い
わゆるシード乳化重合法)が好ましい。重合開始剤とし
ては特に限定されず、有機過酸化物、アゾ系化合物、過
硫酸塩等の重合開始剤、またはγ−線のような電離性放
射線等が挙げられるが、アゾ系化合物またはアゾ系化合
物の塩が好ましい。
【0059】重合の際、第1の重合体の乳濁液または分
散液に、水や有機溶媒等を含ませてもよい。水や有機溶
媒を含ませることにより、最終的な固形分濃度を調整し
たり、第2のモノマーの重合収率を高めることができ
る。有機溶剤としては、水溶性の有機溶剤が好ましく、
エステル系、ケトン系、エーテル系等の有機溶剤がより
好ましく、特にエーテル系の有機溶剤が好ましい。エー
テル系の有機溶剤としては、第1の重合体におけるもの
と同様の有機溶剤が好ましい。水と有機溶剤の比率は特
に限定されず、いずれの割合であってもよい。
【0060】第2のモノマーの重合を開始する前に、第
1の重合体と第2のモノマーを含む混合物をよく撹拌す
るのが好ましく、これにより、最終的な収率を向上させ
ることもできる。また、第2のモノマーの重合において
も、連鎖移動剤を存在させてもよい。該連鎖移動剤とし
ては、上記と同様のものが例示され得る。
【0061】第1の重合体に対する第2のモノマーの量
は(第2のモノマーの重量)/(第1の重合体の固形分
重量)が0.05〜10程度である場合が好ましい。ま
た、重合温度は特に限定されないが、20℃〜150℃
が好ましい。
【0062】本発明における重合体粒子は、少なくとも
第1の重合体と第2の重合体を含む重合体粒子である
が、その他の重合体を含んでいてもよい。また、第1の
重合体および第2の重合体は、それぞれ1種または2種
以上であってもよい。第1の重合体および第2の重合体
が、それぞれ2種以上含まれる場合は、上記のシード乳
化重合法を逐次実施することにより合成する方法が望ま
しい。
【0063】第1の重合体と第2の重合体を含む重合体
粒子において、第2の重合体の存在形態は、第1の重合
体微粒子分散液に共存する乳化剤量や、第1の重合体と
第2のモノマーの疎水性の大小関係または第2のモノマ
の水相への分配係数により変化するものであるが、第
1の重合体の微粒子面または内部に第2の重合体が
存在した形態の重合体粒子が好ましい。重合体粒子にお
いては、第1の重合体と第2の重合体が層状に層分離し
たコア−シェル型が性能上好ましいが、層形態が海−
島構造や重合体の部が局在化しているもの、または、
他の重合体分子鎖等がからみあった形態であってもよ
い。そして、このような形態をとることにより、第1の
重合体の分散液と第2の重合体の分散液をそれぞれ製造
して混合する手法では到底得られない優れた撥水撥油
得られると推定される。
【0064】重合体粒子が、第1の重合体と第2の重合
体が層状に層分離したコア−シェル型である場合、コア
部には、Rf基を含有する第1の重合体が存在し、シェ
ル部には第2の重合体が存在するのが好ましい。第2の
重合体は、Rf基を含有しない場合が好ましいが、Rf
が存在する場合には、第1の重合体と比較して、Rf
重量%が相対的に少ない場合が好ましく、第1の重合
のRf基の重量の値と比較して、第2の重合体
のRf基の重量の値が10以上少ない値が好ましく、
特に30以上少ない場合が好ましい。
【0065】本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、上
記の重合体粒子が水を含む媒体中に分散した組成物であ
る。該組成物は、重合体粒子を水を含む所望の媒体中に
分散させて調製してもよいが、通常は重合反応におい
て、重合媒体を所望の媒体とすることによりそのまま水
分散型撥水撥油剤組成物が調製され得る。媒体として
は、水を含む媒体であり、水、または水と有機溶剤を含
む媒体が好ましい。有機溶剤を用いる場合の量は、上記
の重合体粒子の100重量部に対して0〜40重量部程
度が好ましい。
【0066】さらに、本発明の水分散型撥水撥油剤組成
物においては、上記の重合体粒子の量が、媒体の100
重量部に対して1〜50重量部程度の濃度である場合が
好ましく、該濃度となるように水や有機溶媒で調整する
のが好ましい。また、濃度は目的や組成物の形態によっ
て適宜変更され得る。さらに、本発明の水分散型撥水撥
油剤組成物には、他の添加成分を配合することもでき
る。例えば、他の撥水剤撥油剤、架橋剤、防虫剤、難
燃剤、帯電防止剤、防シワ剤などの添加剤を適宜添加併
できる。
【0067】本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、被
処理物品の種類や前記調製形態などに応じて、任意の方
法で被処理物品に適用される。例えば、浸漬塗布等の被
覆加工方法により被処理物の表面に付着させ乾燥する方
法が採用される。また、本発明の水分散型撥水撥油剤
成物で処理した製品は、150℃以下の温和な条件で熱
処理した場合にも高い撥水撥油性を示し、その耐久性に
も優れている。通常の場合、熱処理温度は100〜13
0℃程度が好ましく、特に115〜125℃程度が好ま
しい。また、熱処理時間は、5分以内が好ましく、特に
30秒〜2分程度が好ましい。また、熱処理は150℃
以上の高温処理であってもよく、高温で処理する場合に
は処理時間を通常の場合よりも短縮できる。
【0068】本発明の水分散型撥水撥油剤組成物で処理
される製品としては、素材が天然繊維、合成繊維および
その混紡繊維等である繊維製品だけでなく、撥水撥油耐
久性が要求される金属、ガラス、樹脂等の物品に対して
も限定なく用いられる。特に、本発明の水分散型撥水撥
油剤組成物は繊維製品の処理に適している。繊維製品に
処理した場合には、処理の風合いが柔軟であり、しか
も温和な熱処理条件、すなわち低温キュア条件下、布帛
類に初期撥水撥油性、初期防汚性、耐摩擦性、耐洗濯
性、耐ドライクリーニング性、耐降雨性等の実用的な撥
水撥油機能を付与し得る。
【0069】
【実施例】以下本発明を合成例(例1〜6)、実施例
(例7〜15)、比較例(例16〜 19)で具体的に説
明するが、本発明はこれら例に限定されない。なお、
例における各種評価は以下に示す方法および基準にし
たがって実施した。
【0070】[撥水性の評価方法] JIS−L−1092のスプレー法による撥水性ナンバ
ー(表1参照)で表す。通常シャワー水温は27℃とし
た。なお、下記の撥水性ナンバーに+(−)印を付して
表した評価結果は、それぞれの評価がナンバーで表した
ものよりもわずかに良い(低い)ものを示す。
【0071】[降雨試験の評価方法] JIS−L−1092(C)法記載の方法(ブンデスマ
ン試験)にしたがい、降雨量を100cc/分、降雨水
温を20℃、降雨時間10分とする条件で降雨させ、
表面の濡れ状態を表1の撥水性ナンバーにしたがって判
定した。
【0072】[撥油性の評価方法] 表2に示す試験溶液を試験布上の2ケ所に数滴(径約4
mm)置き、30秒後の浸透状態により判別した(AA
TCC−TM118−1966)。
【0073】[粒子径測定方法] レーザー式光散乱法(大塚電子社製)によって測定し
た。
【0074】[ホモポリマーのガラス転移点] ホモポリマーのガラス転移点(以下Tg(℃)と記す)
はJ.ブンドラップ等編「ポリマーハンドブック第3
版」(J.Wiley 1989年)に記載された値、
およびカタログ値を採用した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】[例1] ペルフルオロアルキルエチルアクリレート[Cm2m+1
24OCOCH=CH2:mは、6、8、10、1
2、14、16の混合物で、平均は9である。](以下
FAと記す。)3013g、ドデシルメルカプタン5
5.8g、ノニオン系乳化剤のポリオキシエチレン2級
アルキルエーテル155g、アルキルジメチルアミン酢
酸塩15.5g、水5032gをホモジナイザーで前分
散した後、高圧ホモジナイザー(マントンゴウリン社製
乳化機)を用いて、400kg/cm2で処理し乳化液
を得た。乳化液の7000gを10リットルのステンレ
製オートクレーブにいれ、アゾビスイソブチロニト
リル39.8gを加えた後、窒素置換した。60℃に昇
温後、8時間重合させることにより固形分38.8%
(重合収率97.0%)、平均粒子径0.13μmの
の重合単位を含む第1の重合体の分散液を得た。ポリ
マー分散液を蒸発乾固したポリマーの分子量はGPC測
定の結果、約17000であった。
【0078】[例2〜5] 表3に示す組成のモノマーの100重量部、分子量調節
剤のドデシルメルカプタンを表3に示す量を用いて
と同様に第1の重合体の分散液を得た。なお、表3中の
略号は、以下の意味を示す。 CEA:セチルアクリレート BZMA:ベンジルメタクリレート
【0079】
【表3】
【0080】[例6] 10リットルステンレス製オートクレーブに、1で
製造した第1の重合体のポリマー分散液(固形分濃度3
8.8%)の5000g(固形分1940g;100重
量部)、およびFAの349g(60重量部)、シクロ
ヘキシルメタクリレートの175g(30重量部:ホモ
ポリマーのTg=83℃)、グリシジルメタクリレート
の58.2重量部(10重量部)を仕込んだ。さらにジ
プロピレングリコールモノメチルエーテル252g、水
359gを加え、総固形分量が40重量%になるように
調整した。混合物を撹拌した後、2,2’−アゾビス
(2−アミジノプロパン)二塩酸塩25.0gを加え、
窒素置換の後、60℃で15時間重合させた。冷却後、
分散液を取り出した。固形分濃度は38.2重量%であ
った。光散乱法により粒子径を測定したところ0.13
μmであった。分散液の透過型電子顕微鏡観察の結果、
第2の重合体は第1の重合体の内部に存在するコア−シ
ェル型の微粒子として存在し、他に水相中で重合したも
のも一部認められた。
【0081】得られた分散液の固形分濃度を20重量%
に調整してラテックス原液とした。ラテックス原液の1
0重量部にメラミン樹脂(スミテックスジフェンM3/
住友化学工業社製)の0.3重量部、触媒(スミテック
スアクセラレーターACX/住友化学工業社製)の0.
3重量部、水の89.4重量部を加えたものをラテック
ス処理液とした。ラテックス処理液を用いて撥水撥油
等を測定した。
【0082】撥水撥油試験はポリエステルドスキン布を
試験布として行い、撥水撥油処理はつぎのように行っ
た。すなわち、ラテックス処理液に試験布を浸漬し、2
本のゴムローラーの間で試験布をしぼって、ウエットピ
ックアップを60重量%とした。ついで、110℃で9
0秒間乾燥し、さらに120℃で60秒間熱処理した。
得られた試験布について撥水撥油性を測定したところ、
撥水性ナンバーは100、撥油性ナンバーは6であっ
た。さらにこの試験布をJIS−L−0217−103
法にて20回繰り返し洗濯を行った後、風乾し試験に供
したところ、撥水性ナンバーは80+、撥油性ナンバー
は5であった。
【0083】また、降雨試験はポリエステル高密度織物
を試験布として行い、同様のラテックス処理液を用いて
処理した後、110℃で90秒間乾燥し、さらに170
℃で60秒間熱処理した。得られた試験布について降雨
試験を実施したところ、撥水性ナンバーは100であっ
た。さらに、この試験布を同様の方法で10回繰り返し
洗濯を行った後、風乾し降雨試験を実施したところ、撥
水性ナンバーは80+を維持していた。
【0084】[例7〜1] 1リットルガラス製オートクレーブを用い、例1、3、
5で合成した第1重合体の分散液500gに対して、
第2のモノマーとして表4に示したものを用い、さらに
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルの量を2
5.2g、水の量を35.9g、2,2’−アゾビス
(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の量を2.5gに変
更して、例6と同様の製造方法で分散液およびラテック
ス処理液を製造した。同様の評価を行った結果を表5に
示す。
【0085】[例15 1で製造した第1の重合体の分散液を水で希釈し、固
形分濃度を20重量%に調整したものをラテックス原液
とし、例6と同様の処方でポリエステルドスキン布、お
よびポリエステル高密度織物に処理した。ポリエステル
ドスキン布の撥水撥油性およびポリエステル高密度織物
の耐降雨性を評価した結果を表5に示す。
【0086】[例16FA 186g、シクロヘキシルメタクリレート93g、
グリシジルメタクリレート31g、ノニオン系乳化剤の
ポリオキシエチレン2級アルキルエーテル15.5g、
アルキルジメチルアミン酢酸塩1.6g、水503.2
gをホモジナイザーで前分散した後、高圧ホモジナイザ
ー(マントンゴウリン社製乳化機)を用いて、400k
g/cm2で処理し乳化液を得た。乳化液700gを1
リットルのガラス製オートクレーブにいれ、アゾビスイ
ソブチロニトリル3.1gを加えた後、窒素置換した。
60℃に昇温後、8時間重合させることにより固形分3
6.0%(重合収率90.0%)、平均粒子径0.19
μmの分散液を得た。
【0087】分散液の固形分濃度を20重量%に調整し
たものの30重量部に、例1で合成した第1の重合体の
ポリマー分散液を固形分濃度20重量%に調整したもの
の100重量部を加えて原液とした。原液を水で希釈
(原液の水に対する割合は6重量%)したものをラテッ
クス処理液とし、例6と同様に撥水撥油性を測定し
た。ポリエステルドスキン布の撥水撥油性およびポリエ
ステル高密度織物の耐降雨性を表5に示す。
【0088】[例17 6のシクロヘキシルメタクリレートの代わりに、2−
エチルヘキシルメタクリレート(ホモポリマーのTg
−10℃)を用いる以外は同様の方法で分散液を製造し
た。得られた分散液を6と同様の処方でラテックス処
理液とし、ポリエステルドスキン布およびポリエステル
高密度織物に処理し、撥水撥油性および耐降雨性を評価
した。結果を表5に示す。
【0089】[例18] 1リットルガラス製オートクレーブを用い、例1で合成
した第1の重合体の分散液500gに対して、第2のモ
ノマー組成をFA/エチレングリコールモノメチルエー
テルモノメタクリレート(ホモポリマーのTg=16
℃)/グリシジルメタクリレート=5/4/1(重量
部)とし、第1の重合体の分散液中の固形分濃度/第2
の重合体=100/30(重量部)となるように用い、
さらにジプロピレングリコールモノメチルエーテルの量
を25.2g、水の量を35.9g、2,2’−アゾビ
ス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の量を2.5gに
変更して6と同様の製造方法で分散液およびラテック
ス処理液を製造し、同様の評価を行った。結果を表5に
示す。
【0090】なお、表4において、用いた略号の意味、
およびホモポリマーのガラス転移点(Tg(℃))は以
下の通りである。 ST:スチレン(Tg=100) DMBMA:3,3−ジメチルブチルメタクリレート
(Tg=45) CYMA:シクロヘキシルメタクリレート(Tg=8
3) IBMA:イソボルニルメタクリレート(共栄油脂
IBMA)(Tg=180 EA:2−ヒドロキシエチルアクリレート GMA:グリシジルメタクリレート HE:2−ヒドロキシエチルメタクリレート/イソホロ
ンジイソシアネート/メチルエチルケトオキシム=1/
2/1縮合物
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【発明の効果】本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、
少なくと2種の重合体を含む重合体粒子を有効成分と
することにより、従来のフッ素系の撥水撥油剤や、2種
の重合体を各々合成して混合した撥水撥油剤組成物では
達成できなかった撥水撥油性の耐久性を示す。本発明の
組成物においては、低温で熱処理した場合にも、優れた
撥水撥油性およびその耐久性を示すため、熱処理に弱い
特殊な繊維や天然繊維を処理した場合にも、それらの繊
維になんら悪影響を及ぼさない利点がある。また、耐降
雨性およびその耐久性にも優れているため、実用性な点
でも有利な組成物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−258499(JP,A) 特開 平3−7784(JP,A) 特開 昭62−32102(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C09K 3/18 C08F 2/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の重合体と第2の重合体の少なくとも
    2種の重合体を含む重合体粒子であり、第1の重合体は
    ポリフルオロアルキル基を含む重合体であり、かつ、第
    2の重合体は下記モノマーBの重合単位を含む重合体で
    ある、重合体粒子を含む水分散型撥水撥油剤組成物。 モノマーB:ホモポリマーのガラス転移点が30℃以上
    であり、かつ、エステル部分が炭素数5以上の、環式炭
    化水素基、多環式炭化水素基または分岐を有するアルキ
    ル基である(メタ)アクリレート。ただし、フッ化ビニ
    リデン50〜80重量%、六フッ化プロピレン20〜5
    0重量%およびその他共重合可能な単量体0〜30重量
    %からなる単量体を重合してなる含フッ素重合体と(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステル40〜100重量%お
    よびその他共重合可能な単量体0〜60重量%からなる
    単量体を重合してなるアクリル系重合体とが複合してな
    る複合重合体粒子が水性媒体に分散されている含フッ素
    重合体水性分散液を除く。
  2. 【請求項2】第1の重合体が、ポリフルオロアルキル基
    含有モノマーの重合単位を含む重合体である請求項1に
    記載の水分散型撥水撥油剤組成物。
  3. 【請求項3】第2の重合体が、ポリフルオロアルキル基
    を含まない重合体である請求項1または2に記載の水分
    散型撥水撥油剤組成物。
  4. 【請求項4】第2の重合体が、第1の重合体と比較して
    相対的に少ない量のポリフルオロアルキル基を含む重合
    体である請求項1または2に記載の水分散型撥水撥油剤
    組成物。
  5. 【請求項5】重合体粒子が、第1の重合体の粒子の表面
    または内部に第2の重合体が存在する重合体粒子である
    請求項1、2、3または4に記載の水分散型撥水撥油剤
    組成物。
  6. 【請求項6】前記モノマーBを含む第2のモノマーを、
    第1の重合体の粒子の存在下で乳化重合せしめることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水分散型撥
    水撥油剤組成物の製造方法。
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