JP3344308B2 - 超高強度ラインパイプ用鋼板およびその製造法 - Google Patents
超高強度ラインパイプ用鋼板およびその製造法Info
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Description
CO2 腐食性に優れた引張強度が900N/mm2以上の超高強度
ラインパイプ用鋼板およびその製造法に関する。
減が強く要請されている。特に、ラインパイプに対して
は輸送効果の向上が要請されており、そのために、ライ
ンパイプ用鋼板に対して、よりいっそうのコスト低減お
よび高強度化といった要求性能の複合化・高度化が求め
られている。
H2S やCO2 等といった腐食性ガスが多量に含まれてお
り、その輸送に使用されるラインパイプには、コスト低
減および高強度化とともに、これらの腐食性ガスに対す
る耐腐食性も要求される。
イプ用鋼板は、一般的に、炭素当量の上限値を0.45%
(以下、本明細書においては特にことわりがない限り
「%」は「重量%」を意味するものとする。)程度に限
定した鋼組成を用いるとともに、加速冷却プロセスを適
用することにより、フェライトと上部ベイナイトとの混
合組織とした鋼板が知られている。
鋼板に対しては、よりいっそうの高強度、すなわち引張
強度が900N/mm2を超える超高強度化が要求されている。
しかし、従来のラインパイプ用鋼板ではいずれも強度が
不足し、このような超高強度を満足することができな
い。
は、例えば、特開平8−209290号公報、同8−209291号
公報、同8−269544号公報、同8−269545号さらには同
8−269546号公報等により提案されているが、いずれ
も、ラインパイプ用鋼板ではないために耐CO2 腐食性が
不足する。また、これらの提案により得られる鋼板で
は、中心偏析を十分に抑制することが不可能であるた
め、鋼板に局部的に発生する硬度上昇によって水素誘起
割れ等が発生し、耐HIC 性も不足する。そのため、ライ
ンパイプ用鋼板として用いることはできない。
よび耐CO2 腐食性に優れ、引張強度が900N/mm2以上であ
る超高強度ラインパイプ用鋼板を提供することはできな
かった。
耐CO2 腐食性に優れた引張強度が900N/mm2以上の超高強
度ラインパイプ用鋼板およびその製造法を提供すること
であり、より具体的には、降伏強度YS:800N/mm2以上、
引張強度TS:900N/mm2以上、母材靱性、HAZ 靱性(vE-40
℃) :100J以上、耐HIC 性(NACE96 時間 CLR) :10.0%
以下、耐CO2 腐食速度:0.1mm/年以下を満足する超高強
度ラインパイプ用鋼板およびその製造法を提供すること
である。
よび組織、さらには製造条件を最適化することにより、
耐HIC 性および耐CO2 腐食性に優れた引張強度が900N/m
m2以上の超高強度ラインパイプ用鋼板を提供する点であ
る。
C:0.03〜0.10%、Si:0.05〜0.40%、Mn:1.00〜1.50
%、P:0.030 %以下、S:0.0020%以下、Cu:0.50%
以下、Cr:0.81〜1.50%、Nb:0.01〜0.10%、V:0.01
〜0.10%、Ti:0.005 〜0.030%、Al:0.06%以下、
N:0.007 %以下、Ca:0.0005〜0.0050%、B:0.0004
〜0.0020%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組
成を有し、炭素当量Ceq.:0.48〜0.60%であって、下部
ベイナイトおよびラス状マルテンサイトの混合組織から
なることを特徴とする、耐HIC 性および耐CO2 腐食性に
優れた引張強度が900N/mm2以上の超高強度ラインパイプ
用鋼板である。
用鋼板は、さらに、Ni:Cu (%)/2以上2.0 %以下およ
びMo:0.1 〜0.6 %の一方または双方を含有すること
が、望ましい。
鋼組成を有するスラブを、1000〜1200℃に加熱した後、
表面温度が700 〜850 ℃の範囲内で仕上圧下率65%以上
を確保して仕上圧延を行って熱延鋼板とし、圧延完了後
に引き続いてこの熱延鋼板がAr 3 変態点以上の温度域で
水冷を開始し、200 〜450 ℃の温度域まで水冷を行うこ
とを特徴とする、耐HIC 性および耐CO2 腐食性に優れた
引張強度が900N/mm2以上の超高強度ラインパイプ用鋼板
の製造法である。
用鋼板の製造法においては、スラブが、連続鋳造設備の
鋳型から引き抜く際に鋳型出口の鋳片厚さに比べてロー
ルキャビティを大きくしたロール間で鋳片をバルジング
させ、凝固が完了する前に大圧下を加えることにより製
造された連続鋳造スラブであることが、望ましい。
ジングゾーン内に鋳片引抜き方向に配列されたガイドロ
ールの鋳片厚み方向の間隔を段階的に増加させて、鋳片
の液相線クレータエンドとバルジングゾーン終端との間
で鋳片にバルジングを生じさせることにより、鋳片の最
大厚みを鋳型の短辺長さの10〜50%分厚くし、次いで、
バルジングゾーン終端から凝固完了点までの間で、少な
くとも一対の圧下ロールを用いて鋳片の厚み方向にその
一対あたり前記鋳型の短辺長さの10%以上の圧下を与え
ることにより、製造される。
バルジングにより現出させ、その部分を効果的に圧下で
きる。したがって、比較的小さい圧下荷重で未凝固部に
大圧下を効果的に作用させることにより、負偏析帯を生
じることなく、セミマクロ偏析をも含んで中心偏析を軽
減させることができる。
インパイプ用鋼板の組成を限定する理由を説明する。
では、所定の強度を得難い。一方、C含有量が0.10%を
越えると、連続鋳造スラブを用いた場合には、その中心
部にCが過度に濃化し偏析帯を形成し、また、凝固過程
における包晶反応の影響によりスラブ割れが発生し易く
なる。そこで、本発明では、C含有量は0.03%以上0.10
%以下と限定する。同様の観点から、0.04%以上、0.09
%以下であることがそれぞれ望ましい。
た鋼を強化する成分として効果がある。Si含有量が0.05
%未満では脱酸が不十分となる。一方、Si含有量が0.40
%超であると、溶接熱影響部に縞状マルテンサイトが多
く生成し、靱性を極度に劣化させる。そこで、本発明で
は、Si含有量は0.05%以上0.40%以下と限定するが、鋼
板の板厚とのバランスを考慮して決定することが望まし
い。
化する元素であり、1.00%未満では強度が不足し所望の
超高強度鋼が得られない。一方、1.50%超含有すると、
スラブの中心部にMnが濃化し偏析帯を形成し、耐HIC 性
能を劣化させるとともに、鋼板水冷に伴って平坦度が悪
化する。そこで、本発明では、Mn含有量は1.00%以上1.
50%以下と限定する。同様の観点から、Mn含有量の上限
は1.41%であることが、下限は1.10%であることが望ま
しい。
およびSは、いずれも不純物であって、できるだけ少な
い方が好ましい。P含有量が0.030 %を越えるとスラブ
の中心偏析度が上昇し、局部的に硬度が上昇する。ま
た、S含有量が0.0020%を越えると鋼に対して有害な介
在物であるMnSが多く生成する。そこで、本発明では、
P含有量は0.030 %以下、S含有量は0.0020%以下にそ
れぞれ限定する。
あるが、Cuチェッキング防止のためNiを約Cu/2以上の割
合で添加する。そのため、Cu添加量が多いと必然的にコ
スト高になる。そこで、本発明では、Cu含有量は0.50%
以下と限定する。
程において中心偏析部に濃化し難い元素であるととも
に、鋼板の水冷時においてオーステナイトのフェライト
やパーライトへの変態を遅らせて焼き入れ性を向上し、
鋼板の強度を上昇させる。Crの添加量が0.81%未満では
所望の強度が得られず、一方、Crの添加量が1.50%を越
えると、溶接時の作業性を極度に低下させるとともにコ
ストが上昇する。そこで、本発明では、Cr含有量は0.81
%以上1.50%以下と限定する。同様の観点から、Cr含有
量の上限は1.40%、下限は0.85%であることが望まし
い。
靱性を向上させる元素であり、特に、オーステナイト未
再結晶領域で仕上圧延を行うことによりオーステナイト
粒を細粒化し、鋼板をAr3 変態点以上から急冷すること
により強靱でかつ均一な下部ベイナイト細粒組織を得る
ことができる。したがって、Nb含有量は、成品に求める
強度と靱性とのバランスに応じて決定するが、Nb含有量
が0.01%未満ではこれらの効果が得られず、一方、Nb含
有量が0.10%超ではスラブ加熱時の固溶が不完全になる
とともに、コスト高になる。そこで、本発明では、Nb含
有量は0.01%以上0.10%以下と限定する。同様の観点か
ら、Nb含有量の上限は0.075 %、下限は0.015 %である
ことが望ましい。
固溶強化および仕上圧延による析出硬化により、鋼の強
度を向上させる。後述する、本発明の仕上温度範囲で、
析出硬化に効果があるV添加量の範囲は、0.01%以上0.
10%以下である。そこで、本発明では、V含有量は0.01
%以上0.10%以下と限定する。
上含有することにより、鋼の強度を向上させ、スラブの
品質も安定させる。しかし、0.030 %超含有すると、溶
接熱影響部(HAZ) の靱性を劣化させる。そこで、本発明
では、Ti含有量は0.005 %以上0.030 %以下と限定す
る。同様の観点から、Ti含有量の上限は0.026 %、下限
は0.010 %であることが望ましい。
れて脱酸剤として用いられるが、0.06%超含有すると、
介在物量が増加して耐HIC 性を低下させる。そこで、本
発明では、Al含有量は0.06%以下と限定する。
に鋼中に含有されるが、0.007 %超含有されるとスラブ
品質の悪化を招く。そこで、本発明では、N含有量は0.
007 %以下と限定する。なお、低N化によりHAZ 靱性が
向上するため、例えば−40℃でのシャルピー吸収エネル
ギー:200J以上のように、良好なHAZ 靱性が要求される
場合には、N含有量は0.0010%以下に限定することが望
ましい。
おいては非常に有害な介在物を形態制御して低減させる
ことに有効である。また、Caを添加することによって伸
長性のMnSを低減し、鋼自体の靱性も向上する。Ca含有
量が0.0005%未満ではこのような効果が得られず、一
方、Ca含有量が0.0050%を超えるとCa系介在物が増加す
るとともにコスト高となる。そこで、本発明では、Ca含
有量は0.0005%以上0.0050%%以下と限定する。[B:
0.0004〜0.0020%]Bは、鋼の焼き入れ性を高める元素
であり、本発明が対象とする超高強度鋼については、母
材強度を確保するために0.0004%以上含有する。しか
し、0.0020%を超えて含有すると、母材靱性およびHAZ
靱性を劣化させる。そこで、本発明では、B含有量は0.
0004%以上0.0020%以下と限定する。同様の観点から、
B含有量の上限は0.0019%、0.0018%であることが、下
限は0.0005%、0.0006%であることがそれぞれ望まし
い。
加元素であって、母材強度および靱性を高めることがで
きる。また、Cu添加時にはCuチェッキング防止のためNi
をCu (%)/2 以上の割合で添加する。しかし、Ni含有量
が2.0 %を超えると、現地溶接能率が極端に低下し、か
つNi上昇のコストアップに見合うだけの効果が得られな
い。そこで、Niを添加する場合には、その含有量はCu
(%)/2 以上2.0 %以下と限定する。
添加元素であって、スラブの凝固過程において中心偏析
部に濃化し難い元素である。また、鋼板の水冷時におい
てオーステナイトのフェライトやパーライトへの変態を
遅らせて焼き入れ性を向上し鋼板の強度を上昇させる。
Mo含有量が0.1 %未満では鋼板の強化効果が認められ
ず、一方、0.6 %を越えると、溶接時の作業性を極度に
低下させるとともにコストが高くなる。そこで、Moを添
加する場合には、その含有量は0.1 %以上0.6 %以下と
限定する。
たは複合して添加してよい。
象とする超高強度鋼を製造するには、各元素を上述した
範囲内に限定するだけでは、目標とする母材性能を満足
することが困難である。そこで、本発明では、母材強度
を確保するために炭素当量Ceq.:0.48%以上とする。一
方、炭素当量が0.60%を超えると、母材靱性およびHAZ
靱性を劣化させるとともに、現地周溶接時の能率を極度
に低下させる。そこで、本発明では、炭素当量Ceq.は0.
48%以上0.60%以下と限定する。なお、本発明では、炭
素当量Ceq.は、下記式により算出される。
る。
ンパイプ用鋼板の組織を限定する理由を説明する。
板は、下部ベイナイトおよびラス状マルテンサイトの混
合組織からなる。このように、下部ベイナイトとラス状
マルテンサイトとの混合組織を有するため、極めて高い
強度および高靱性を有する。
プ用鋼板の製造法を説明する。 [スラブ加熱]本発明で用いるスラブは、連続鋳造スラブ
や造塊スラブ等を用いることができ、特定のスラブには
限定されない。ただし、連続鋳造スラブを用いる場合に
は、連続鋳造設備の鋳型から引き抜く際に鋳型出口の鋳
片厚さに比べてロールキャビティを大きくしたロール間
で鋳片をバルジングさせ、凝固が完了する前に大圧下を
加えることにより製造された連続鋳造スラブであること
がより望ましい。この連続鋳造スラブを用いることによ
り、中心偏析を軽減または解消することができるため、
耐HIC 性を向上させることができる。
℃以下のスラブ加熱温度に加熱する。スラブ加熱温度
は、靱性確保のためには低い方が好ましいが、1000℃未
満では所定の強度を得ることができないことがあり、一
方、1200℃を越えるとオーステナイト粒が粗大化して靱
性が劣化する。そこで、本発明では、スラブ加熱温度
は、1000℃以上1200℃以下と限定する。
たスラブに対して、熱間圧延を行って、所望の板厚の熱
延鋼板とするが、本発明では、この熱間圧延において、
表面温度が700℃以上850 ℃以下となる温度域で、65%
以上の仕上圧下率を確保して仕上圧延を行う。なお、仕
上圧下率は、スラブ厚をTとし、鋼板仕上厚をtとした
場合に、(T−t)/T×100(%)により算出され
る。
のは、圧延直後に行う水冷過程において、鋼板の水冷開
始温度をAr3 変態点以上に維持するためである。すなわ
ち、オーステナイト未再結晶領域で仕上圧延を完了して
鋼板をAr3 変態点以上から急冷することにより、強靱か
つ細粒な組織が得られる。仕上温度が850 ℃超では母材
靱性が低下し、一方、仕上温度が700 ℃未満ではフェラ
イト変態が開始して均一な組織が得られず耐HIC 性が低
下してしまう。
中心部まで圧下が浸透せず所望の細粒組織が得られな
い。そこで、本発明では、表面温度が700 ℃以上850 ℃
以下となる温度域で65%以上の仕上圧下率を確保して仕
上圧延を行う。スラブ加熱後に行われる圧延に関して
は、上記の条件以外の条件限定は不要である。通常の圧
延条件により、所望の板厚の熱延鋼板とすればよい。
対して、直ちに水冷を開始し、200 ℃以上450 ℃以下の
温度域で水冷を停止する。水冷停止温度が200 ℃未満に
なると、強度上昇は期待できず、逆に母材靱性を劣化さ
せるとともに冷却に長時間を要して製造能率が極端に低
下する。一方、水冷停止温度が450 ℃超になると、鋼板
の焼き入れ性が不十分となり、所定の下部ベイナイトお
よびラス状マルテンサイトの混合組織を得ることができ
ず、強度および靱性が劣化する。さらに、板厚中心部の
組織制御が不十分となり、拡散性元素が濃化し易くなっ
て母材の硬度分布が不均一になり耐HIC 性が劣化する。
そこで、本発明では、水冷停止温度は200 ℃以上450 ℃
以下と限定する。
まで冷却することにより、成品である超高強度ラインパ
イプ用鋼板が得られる。この超高強度ラインパイプ用鋼
板は、下部ベイナイトおよびラス状マルテンサイトの混
合組織からなり、降伏強度YS:800N/mm2以上、引張強度
TS:900N/mm2以上、母材靱性、HAZ 靱性(vE-40℃) :10
0J以上、耐HIC 性(NACE96 時間 CLR) :10.0%以下、耐
CO2 腐食速度:0.1mm/年以下という、超高強度ラインパ
イプ用鋼板として極めて適した特性を備える。
CO2 腐食性が確保される。具体的には、Mn:1.50%以
下、P:0.030 %以下、Al:0.06%以下、Ca:0.0005%
以下、仕上温度:700 ℃以上、および水冷停止温度:45
0 ℃以下に限定することにより、耐HIC 性および耐CO2
腐食性が確保される。
n:1.00%以上、Cu:0.50%以下、Cr:0.81%以上、N
b:0.01%以上、V:0.01〜0.10%、Ti:0.005 %以
上、B:0.0004%以上、スラブ加熱温度:1000〜1200
℃、仕上温度:850 ℃以下、仕上圧下率:65%以上、水
冷停止温度:200 〜450 ℃、Ceq.:0.48%以上、および
組織:下部ベイナイトとラス状マルテンサイトとの混合
組織に限定することにより、900N/mm2以上の引張強度が
確保される。
り具体的に説明する。 (実施例1)表1に示す組成を有する鋼種1〜鋼種14から
なるラインパイプ用鋼板を、本発明で規定する加熱温
度、仕上温度、水冷開始温度、水冷停止温度および仕上
圧下率を全て満足した条件で、製造した。
も、下部ベイナイトおよびラス状マルテンサイトの混合
組織からなり、降伏強度YS:800N/mm2以上、引張強度T
S:900N/mm2以上、母材靱性、HAZ 靱性(vE-40℃) :100
J以上、耐HIC 性(NACE96 時間 CLR) :10.0%以下、耐C
O2 腐食速度:0.1mm/年以下という、超高強度ラインパ
イプ用鋼板として極めて適した特性を備えていた。
〜鋼種21からなる厚さが235mm のスラブ連続鋳造プロセ
スにより製造した。
量が本発明の範囲の上限を超えているため、スラブ割れ
が発生した。また、鋼種9〜11は、いずれも、Cu含有量
に対するNi含有量が本発明の範囲の下限を下回っている
ためCuチェッキングが発生した。さらに、鋼種12および
13は、ともに、Ti含有量が本発明の範囲を下回っている
ため、スラブに横ヒビが発生した。そのため、鋼種6〜
13については、いずれも、後述する確認実験を行わなか
った。
て、以下に列記するスラブ加熱温度、仕上温度および仕
上圧下率、水冷開始温度および水冷停止温度により、板
厚が20mmのラインパイプ用鋼板を製造し、試料No.1〜試
料No.40 とした。
は、NbおよびVの双方を含有するが、高靱性鋼製造を目
的とした、初期オーステナイト粒の粗大化の抑制効果を
確認するため、本実施例ではスラブ加熱温度を1050℃ま
たは950 ℃とした。なお、1200℃超の高温加熱は、量産
ベースでは原単位が悪化してコスト高となり、現実的な
条件ではないため、行っていない。
ラブ厚は、圧延能率を考慮して、約5.0 mmとした。仕上
圧延では、フェライト変態が開始して耐HIC 性の劣化防
止を確認するため、表面温度が680 〜870 ℃の範囲内で
仕上温度を変更した。さらに、仕上圧下率は、結晶粒微
細化の程度を確認するため、80〜95%の範囲で圧下率を
変更した。
了した鋼板を、下部ベイナイトおよびラス状マルテンサ
イトの混合組織が得られるか否かを確認するため、640
〜850 ℃の水冷開始温度で水冷を開始し、150 〜500 ℃
の水冷停止温度で水冷を停止した。水冷後は空冷に切り
換え、常温まで冷却した。
組織、平坦度、母材強度、母材靱性、耐HIC 性、耐CO2
腐食性、HAZ 靱性および焼入れ性を調査した。そして、
強度:YS≧800N/mm2、TS≧900N/mm2、母材靱性およびHA
Z 靱性(vE-40℃)0≧100J、耐HIC 性:NACE96時間 CLR≦
10.0%、耐CO2 腐食速度:0.1mm/年以下を合否基準とし
て、合否を判定した。試験結果を、鋼種条件および圧延
条件とともに、表3および表4にまとめて示す。
17、18、20および21は、いずれも、本発明で規定する条
件を全て満足する本発明例である。これらの本発明例
は、いずれも、上述した合否基準を満足し、超高強度ラ
インパイプ用鋼板として極めて適していることがわか
る。
が本発明の範囲の上限を上回っているため、所望の組織
を得ることができず、母材強度および母材靱性がいずれ
も劣化した。
囲の下限を下回っているため、母材靱性が劣化した。試
料No.6は仕上温度が本発明の範囲の上限を上回っている
ため、母材靱性が劣化した。
を下回っているため、耐HIC 性が劣化した。試料No.13
、16、19および22は、いずれも、スラブ加熱温度が本
発明の範囲の下限を下回っているため、母材強度が劣化
した。
囲の上限を上回っているため、耐HIC 性および鋼板平坦
度が劣化した。試料No.26 〜28は、Cr含有量が本発明の
範囲の下限を下回っているため、母材強度が劣化した。
囲の上限を上回っているため、HAZ靱性が劣化した。試
料No.32 および33は、Mo含有量が本発明の範囲の下限を
下回っているため、母材強度が劣化した。
の範囲の下限を下回っているため、母材靱性が劣化し
た。試料No.36 〜38は、V含有量が本発明の範囲の下限
を下回っているため、母材強度が劣化した。
上限を上回っているため、母材靱性が劣化した。さら
に、試料No.40 は、炭素当量Ceq.が本発明の範囲の下限
を下回っているため、母材強度が不足した。このよう
に、本発明で規定する条件を一つでも満足しないと、所
望の超高強度ラインパイプ用鋼板を製造することができ
ない。
り、耐HIC 性および耐CO2 腐食性に優れた引張強度が90
0N/mm2以上の超高強度ラインパイプ用鋼板、より具体的
には、降伏強度YS:800N/mm2以上、引張強度TS:900N/m
m2以上、母材靱性、HAZ 靱性(vE-40℃) :100J以上、耐
HIC 性(NACE96 時間 CLR) :10.0%以下、耐CO2 腐食速
度:0.1mm/年以下を満足する超高強度ラインパイプ用鋼
板を提供できることになった。かかる効果を有する本発
明の意義は、極めて著しい。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.05
〜0.40%、Mn:1.00〜1.50%、P:0.030 %以下、S:
0.0020%以下、Cu:0.50%以下、Cr:0.81〜1.50%、N
b:0.01〜0.10%、V:0.01〜0.10%、Ti:0.005 〜0.0
30 %、Al:0.06%以下、N:0.007 %以下、Ca:0.000
5〜0.0050%、B:0.0004〜0.0020%、残部Feおよび不
可避的不純物からなる鋼組成を有し、炭素当量Ceq.:0.
48〜0.60%であって、下部ベイナイトおよびラス状マル
テンサイトの混合組織からなることを特徴とする、耐HI
C 性および耐CO2 腐食性に優れた引張強度が900N/mm2以
上の超高強度ラインパイプ用鋼板。 - 【請求項2】 さらに、重量%で、Ni:Cu (%)/2 以上
2.0 %以下、および/またはMo:0.1 〜0.6 %を含有す
ることを特徴とする、請求項1に記載された耐HIC 性お
よび耐CO2 腐食性に優れた引張強度が900N/mm2以上の超
高強度ラインパイプ用鋼板。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載された鋼
組成を有するスラブを、1000〜1200℃に加熱した後、表
面温度が700 〜850 ℃の温度域で仕上圧下率65%以上を
確保して仕上圧延を行って熱延鋼板とし、圧延完了後に
引き続いて前記熱延鋼板がAr 3 変態点以上の温度域で水
冷を開始し、200 〜450 ℃の温度域まで水冷を行うこと
を特徴とする、耐HIC 性および耐CO2 腐食性に優れた引
張強度が900N/mm2以上の超高強度ラインパイプ用鋼板の
製造法。 - 【請求項4】 前記スラブは、連続鋳造設備の鋳型から
引き抜く際に鋳型出口の鋳片厚さに比べてロールキャビ
ティを大きくしたロール間で鋳片をバルジングさせ、凝
固が完了する前に大圧下を加えることにより製造された
連続鋳造スラブである請求項3記載の耐HIC 性および耐
CO2 腐食性に優れた引張強度が900N/mm2以上の超高強度
ラインパイプ用鋼板の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP02724698A JP3344308B2 (ja) | 1998-02-09 | 1998-02-09 | 超高強度ラインパイプ用鋼板およびその製造法 |
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