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JP3226255B2 - 楽音合成システム - Google Patents

楽音合成システム

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JP3226255B2
JP3226255B2 JP24856295A JP24856295A JP3226255B2 JP 3226255 B2 JP3226255 B2 JP 3226255B2 JP 24856295 A JP24856295 A JP 24856295A JP 24856295 A JP24856295 A JP 24856295A JP 3226255 B2 JP3226255 B2 JP 3226255B2
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Japan
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excitation
synthesis system
signal
tone
excitation signal
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ザ・サード ジュリアス・オー・スミス,
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Leland Stanford Junior University
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Leland Stanford Junior University
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、楽音合成技術に
関し、特に、自然楽器のメカニズムに従って楽音を合成
する“物理モデル式合成(physical-modeling synthesi
s)”として知られている楽音合成技術に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、物理モデルに基づく楽音合成は、
例えば“サンプリング”(または、“波形テーブル”)
合成およびFM合成のような現在の主流をなす楽音合成
方法と並んで、一般的に利用されている。このような物
理モデルに基づく楽音合成は、特に、吹奏楽器および弦
楽器のシミュレーションに特に有用である。自然楽器に
おける楽音発生上の物理的現象を正確にシミュレートす
ることによって、電子楽器は高品質の楽音を発生でき
る。
【0003】弦楽器の場合、楽音を合成するための構造
は、典型的には、フィルタ付きの遅延ループ、すなわ
ち、発生すべき楽音の1周期に対応する長さの遅延を実
現する閉ループと、閉ループに含まれたフィルタとを備
えている。前記閉ループには励振信号が入力され、該閉
ループ内を循環する。こうして、該閉ループの出力信号
を、楽音信号として取り出すことができる。この信号
は、前記フィルタの特性に従って減衰する。また、前記
フィルタは、弦における減衰、および、弦の終端部(例
えば、ギターのナットおよびブリッジ)における減衰を
シミュレートするものである。
【0004】実際の弦楽器において、弦は共鳴体すなわ
ち共振部に音響的に結合されており、該弦の物理的振動
は前記共振部を励振する。そこで、自然楽器を正確にシ
ミュレートするためには、フィルタ付きの遅延ループの
出力側にフィルタを設けることが必要であった。また、
高品質の楽音を得るには、楽器本体をシミュレートする
大きくて高価なフィルタによって、弦の出力を模する必
要があった。一般に、前記励振信号は、ホワイトノイズ
またはフィルタ処理されたホワイトノイズである。代案
として、前記閉ループに対して、物理的に正確な“プラ
ック(爪弾き)”音の波形を励振信号として与えてもよ
く、このようにして、より正確に弦の爪弾き音をシミュ
レートできる。
【0005】上述した従来の楽音合成システムは、図1
に示されている。フィルタ付きの遅延ループは、遅延素
子10とローパスフィルタ12とで構成されている。励
振源(例えば、励振テーブル)14は、加算器16を介
して、前記遅延ループに励振信号を与える。前記励振テ
ーブルの内容は、例えば押鍵に応じて発生されるトリガ
信号に応答して、メモリテーブルから自動的に読出し可
能である。前記フィルタ付きの遅延ループに入力される
励振信号は、該ループを循環し、前記フィルタ12の動
作によって時間的に変化する。こうして、前記遅延ルー
プから信号が取り出され、本体フィルタ18に与えられ
る。高品質の楽音合成を行うためには、複雑で高価な本
体フィルタ(典型的には、ディジタルフィルタ)または
追加のフィルタ付き遅延ループが必要である。
【0006】1つまたは複数のディジタル信号処理(D
SP)用のチップを使用して、楽音発生をソフトウエア
によって実現することの方がより一般的であるが、図1
に示した従来の楽音合成システムは、ハードウエアによ
っても実現可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の楽音合成シ
ステムは、極めて高品質の楽音合成を行うことが可能で
あるが、楽器本体をシミュレートするために複雑で高価
な本体フィルタを必要とする、という問題点を有する。
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡単に且
つ低コストで、高品質の楽音を合成できる物理モデル式
の楽音合成システムを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】 この発明に係る楽音合
成システムは、振動要素と該振動要素に音響的に結合さ
れた共振部材との共同作用によって発生される楽音を合
成するための楽音合成システムであって、励振信号を受
け取る入力部と、信号を遅延する遅延部と、信号をフィ
ルタ処理するフィルタとを閉ループ接続してなり、か
つ、該閉ループから出力を取り出す出力部を含み、この
ループにおける遅延量が合成すべき楽音の音高に対応
している閉ループ手段と、前記共振部材の応答に対応す
る成分を有する励振信号を前記入力部に対して供給する
励振手段を具備することを特徴とするものである。
【0009】 閉ループ手段の入力部に対して供給され
る励振信号は、この発明に従ってモデルしようとする共
振部材の応答に対応する成分を有する信号である。この
ように、モデルしようとする共振部材における応答に対
応する成分を有する信号を励振信号として閉ループ手段
に入力するので、従来必要とされていた高価な本体フィ
ルタを不要にすることができる。
【0010】 一実施態様によれば、前記励振手段は、
前記共振部材の第1の部分的応答に対応する成分を有す
る励振信号を前記入力部に対して供給するものであり、
更に、前記出力部から出力された楽音信号に対して、前
記共振部材の第2の部分的応答に従う共振を付加する共
振フィルタ手段を具備し、前記第1の部分的応答および
第2の部分的応答によって前記共振部材の総合的な応答
を表わし、この応答に従う特性を持つ楽音が合成される
ことを特徴とする。
【0011】
【0012】上記本発明に係る楽音合成システムにおい
ては、高価な本体フィルタを全く用いないようにするこ
とができ、且つ、複雑な本体フィルタを含んだ従来のシ
ステムによって発生される楽音と同等の品質の楽音が実
現可能である。
【0013】図1に示したような従来のフィルタ付きの
遅延ループおよび本体フィルタを含むシステムにおいて
は、これらのフィルタ付き遅延ループ及び本体フィルタ
は共に、リニアで、時間変化する構成要素である。従っ
て、これらの要素の配置順序を逆にすることが可能であ
る。そこで、前記本体フィルタを前記フィルタ付きの遅
延ループの前に配置替えすることによって、等価のシス
テムを実現できる(例えば図2)。このような配置替え
した構成における励振信号発生器の出力は、前記本体フ
ィルタに直接与えられる。ここで、弦が爪弾きされたま
たは叩き弾きされた場合には、該弦による励振が一般的
にインパルスの形態をとるということを認識することに
よって、前記本体フィルタの出力信号、すなわち、前記
遅延ループに与えられる励振信号が前記本体フィルタの
インパルス応答を表すことになる、ということが確めら
れた。
【0014】 この点に鑑みて、以下説明する実施
おいては、このインパルス応答が測定され、この測定さ
れたインパルス応答が集合励振信号として格納される。
このようにして、前記本体フィルタが除去可能になり、
前記集合励振信号が前記フィルタ付きの遅延ループに直
接に与えられる。このように、前記本体フィルタのイン
パルス応答に対応する適当な励振信号を与えることによ
って、高価な本体フィルタを必要とすることなく、高品
質の楽音が合成されることができる。加えて、実施例に
おいて、閉ループ手段の入力部に対して供給される励振
信号は、この発明に従ってモデルしようとする共振部材
若しくはシステムにおける第1の部分的応答に対応する
成分を有する信号であり、該共振部材若しくは共振シス
テムにおける第2の部分的応答に従う共振特性は、閉ル
ープ手段の出力信号に対して、共振フィルタ手段若しく
は共振付加手段によって付加される。このように、モデ
ルしようとする共振部材若しくは共振システムにおける
総合的な応答を部分的応答に分離し、閉ループの前後で
分担させる構成であるため、励振手段と共振フィルタ手
段若しくは共振付加手段の構成を簡単化することがで
き、その設計と製造コストも低廉にすることができる。
【0015】本発明の1つの実施の形態にあっては、従
来必要とされた複雑で高価な本体フィルタを除去できる
とともに、集合励振信号を格納するために必要なテーブ
ルのサイズを小さくすることもできる。共振部をダンプ
モードとリンギィ(ringy:鳴り響く)モードとに分解す
ることによって、かつ、ダンプモードのインパルス応答
のみを使用して集合励振信号を設定することによって、
励振テーブルのサイズを小さくすることができ、従っ
て、集合励振信号を格納するために必要なメモリのサイ
ズを小さくできる。
【0016】前記励振信号発生器は、固定された単一の
励振信号として、または、合成励振信号を形成するため
に組合わせられる複数の励振信号として実施されてよ
い。前記複数の励振信号の各々を制御可能に重み付けす
ることによって、多数の異なる合成励振信号が提供可能
になる。さらに、様々な励振信号は時間変化するよう制
御可能であり、そうすれば、固定された1組の励振信号
を使用するにも関わらず、意義ある制御性および楽音変
化を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発
明の一実施の形態を説明する。以下に説明する本発明
は、様々な遅延回路及びフィルタ等を含むハードウエア
の形態、若しくは、例えばDSPで実行される適当なア
ルゴリズムを使用するソフトウエアの形態、のいずれの
形態によって実現されるようになっていてもよいもので
ある。
【0018】図1は、遅延素子10とフィルタ12とを
含むフィルタ付きの遅延部と、ギターのような自然楽器
の共鳴体すなわち共振部をシミュレートするディジタル
の本体フィルタ18とを具備した従来のフィルタ付きの
遅延ループを示す図である。励振源14は、前記遅延ル
ープに励振信号を供給する。この発明の発明者は、前記
フィルタ付きの遅延ループおよび本体フィルタ18が、
基本的に、リニアな時間変化するシステムである、とい
うことを認識した。このため、結果として発生される楽
音の特性に変化をきたすことなく、図2に示すように、
前記フィルタ付きの遅延ループおよび本体フィルタ18
の順序を逆にすることが可能である。
【0019】すなわち、図2において、前記本体フィル
タ18は、前記フィルタ付きの遅延ループの前に設けら
れている。全体的な処理要件は同じであるので、この順
序の変更自体は意義ある利点をもたらすものではない。
しかし、従来の技術に示されるように、弦をシミュレー
トするための変数が横方向の加速波となるよう選択され
る場合、理想的な弦の爪弾き音はインパルスとなる。こ
の場合、弦を爪弾きするための前記励振テーブルの出力
は、各爪弾きごとに、その前後がゼロで挟まれた単一の
ゼロではないサンプル、すなわち、インパルスである。
その結果、前記フィルタ付きの遅延ループを励振するも
のは、前記本体フィルタ18のインパルス応答である。
前記本体フィルタ18は1つの音の発生中に変化しない
ので、本体のインパルス応答は固定される。この発明
は、この事実に着目して、本体フィルタを設ける必要性
を完全に除去することを意図するものである。本体フィ
ルタにインパルスを通過させる代りに、励振テーブルに
は、所望の本体フィルタのインパルス応答を表す集合励
振信号がロードされている。このようにして、共振する
楽器本体に対する弦の接続、または、その他の結合構造
をシミュレートするために必要であった高価な本体フィ
ルタ(または、DSPシステムにおけるフィルタ処理)
を不要にすることができる。
【0020】図3は、この発明に係る楽音合成システム
の一構成例を示す図である。この楽音合成システムは、
図3に示す例では、トリガ信号(例えば、キーオン信
号)22に応答して集合励振信号e(n)を供給するテ
ーブル20からなる励振源を備えている。前記集合励振
信号は、加算器24を介してフィルタ付きの遅延ループ
に与えられる。該遅延ループは、長さNが可変の遅延ラ
イン26と、ループフィルタ28とを備えている。前記
遅延ライン26の出力は、楽音合成出力x(n)として
取り出されるとともに、ループフィルタ28に戻される
(当該技術において知られているように、多数の出力を
取り出すことができる)。前記ループフィルタ28の出
力y(n)は、前記加算器24にフィードバックされ
る。前記遅延ライン26の長さNは、粗い音高制御を実
現する。
【0021】前記ループフィルタ28は、きめ細かな音
高制御を実現し、1つの演奏音の変化を決定する。この
フィルタは、通常、1つの音のデュレーション(継続時
間)の間固定されるが、1つの音の発生中において、演
奏者の手によってダンピング、2段の振幅エンべロープ
減衰(例えば、ピアノ音)、他の弦とのカプリングによ
る振幅エンべロープのうなり、前記音の名目上のカット
オフ時間の後に小さな減衰振幅エンベロープが持続する
擬似リバーブレーション、その他の時間変化する効果の
ような各種効果を発生するために変化可能である。前記
励振信号は、ギターの爪弾きをシミュレートする場合に
ピックが位置する箇所における物理的励振および本体フ
ィルタに起因する細部を含む、楽音の初期的なスペクト
ル成分を決定する。
【0022】f(n)(nは、0,1,2,...,Nf-1に等
しい変数)として表される前記ループフィルタのインパ
ルス応答(IR)は、湾曲や空気抵抗による振動中の弦
における損失、および、楽器本体に対する弦の結合によ
る損失によって決定される。特定のループフィルタ特性
の決定については既知であるので、ここでは詳細に説明
しない。前記インパルス応答f(n)は、前記弦と本体
との接続若しくは結合による理論的な損失に関する基本
的な物理に関する式によって得られる。前記弦の材料、
テンション(張力)および直径を使用して、弦の単位長
さ当りの損失を理論的に推定することがができる。例え
ばギターのブリッジのような本体接続点での損失は、前
記ブリッジの形状および楽器本体の共振から推定するこ
とができる。また、前記インパルス応答f(n)は、実
際の弦楽器の弦についての物理的測定値から求めること
もできる。さらに、数式および実際の物理的測定値に基
づいた推定値の組合わせを使用してもよい。
【0023】多くの異なる方法を用いて、前記励振信号
e(n)を設定することができる。この励振信号e
(n)は、弦の物理的な励振の性質、および、弦による
励振点に対する当該楽器の応答の両方によって設定され
る。例えば、ギターの場合、楽器本体に対する励振は、
ギターのブリッジにおいて発生する。図4はギターの物
理的ブロック図であり、この図において、弦32に励振
信号30が加えられることによって、該弦32が共振部
(ギター本体)34を励振するようになっている。物理
的システムにおいて、共振部は出力信号を選び出すこと
によって設定される。典型的な例では、ギター本体の表
板から数フィート離れた箇所の出力信号を選び出す。実
際、このような信号は、所望の出力ポイントで保持され
たマイクロホンを使用し、フォースハンマーによってギ
ターのブリッジを叩く操作に対するその出力ポイントで
の応答を記録することによって測定可能である。なお、
前記共振部は、ギター本体自体の共振特性のみならず、
空気の伝送特性をも含むものである。反響ルームにおい
てギターから遠く離れた出力ポイントが選択される場合
には、測定がなされる前記ルームの共振特性も含まれ
る。図5には、このような共振部の集合的な特性が示さ
れている。
【0024】全体的な共振部34は、ブリッジ接続 (br
idge coupling) 36、ギター本体38、空気吸収40
およびルーム応答42とを含む。一般的に、前記共振部
のインパルス応答をできるだけ短くできるよう、前記ギ
ターに比較的近い出力を選択するのが好ましい。しかし
ながら、すべての下流側のフィルタ処理を単一の共振部
に組み込むことができることによって提供される普遍性
は、この発明の重要な特徴である。これは、共振板と囲
いとが1つの共振部として組み合わされる図6のピアノ
モデルの場合、より明白である。この場合、全体的な共
振部34は、ブリッジ接続44、ピアノの共鳴板46、
ピアノの囲い48および空気/ルーム応答50で構成さ
れる。
【0025】前記共振部の構成要素に関する唯一の技術
的な要件は、これらの要素がリニアで時間変化する特性
を有するものである、ということである。上述の如く、
これら2つの特性は、これらの要素を任意の配置順序で
設けてよい、ということを意味する。前記弦もまたリニ
ア特性および時間変化特性を有する場合、前記共振部と
弦とは、図7に示すように配置順序を逆にしてよい。実
際、前記弦は、ほとんどすべての弦楽器の中で最もリニ
ア特性が小さな要素であるが、その非リニア性による主
な効果は、基本的な振動周波数が振幅と共にわずかに上
昇することである。このように配置順序を逆にする目的
のためには、前記弦は十分なリニア特性を有するものと
考えることができる。前記弦はビブラートが存在する場
合でも時間変化特性を有するが、これも二次的な効果で
ある。ゆっくりと時間変化する弦および共振部の配置順
序を変更することによる結果は、数学的には同じではな
いが、発生される楽音は基本的に同じに聞こえる。
【0026】図7に示すように前記弦および共振部の配
置順序を逆にした後、次のステップとして、図8に示す
ように励振信号と共振部とを組合わせることによって、
集合励振信号52を得る。この集合励振信号52は、図
7に示した共振部の出力と基本的に同じ出力a(n)を
提供するよう設定される。このためには、先ず、励振特
性を特定しなければならない。最も単純な例は、インパ
ルス応答である。物理的には、これは、加速波をモデル
するために弦が使用される場合、最も適当な選択であろ
う。この例の場合、理想的な爪弾きは、前記弦に入力さ
れる加速インパルスを発生する。この単純な例におい
て、前記集合励振信号52は、単に、選択された共振部
のサンプルされたインパルス応答である。
【0027】より複雑な例において、励振信号をe
(n)、共振部のインパルス応答をr(n)とした場
合、等価の集合励振信号a(n)は、下記の数式(1)
に示されたe(n)とr(n)との畳み込みによって与
えられる。
【数1】
【0028】前記集合励振信号が長い場合、なんらかの
技術によってこれを短くすることが望ましい。このため
には、信号処理に関する様々な参考文献に記載されてい
るように、先ず、前記信号a(n)を最小の位相に変換
することが有用である。こうして、オリジナルのマグニ
チュード・スペクトルに合致した最大の短縮化が実現さ
れる。そして、前記信号a(n)は、例えばスペクトル
分析に使用される様々なウィンドウ関数のいずれかの適
当な部分を使用することによって、ウィンドウ処理可能
である。有用なウィンドウの一例は指数関数ウィンドウ
である。というのは、指数関数ウィンドウは、共振部の
ダンピング率を均等に増加できるという効果を有するか
らである。
【0029】図9に示すように、励振信号は、楽器から
発生される音(例えば、弦の爪弾き音)を記録し、弦の
ループによる成分を除去するために逆フィルタ処理を行
うことによって、設定してもよい。図9において、弦ル
ープフィルタは、様々な方法の1つによって設定され、
逆フィルタ内に含まれている。その結果としての出力
は、爪弾きおよび本体フィルタに対応する成分を含んで
おり、励振信号として(または、変更された励振信号を
得るための基準信号として)使用可能である。
【0030】図10は、自然楽器の典型的な本体フィル
タのインパルス応答を示す図である。基本的に、このイ
ンパルス応答は、ダンプ振動波形である。励振信号がイ
ンパルスである最も単純な例において集合励振信号とし
て格納されるのは、このような応答である。励振信号が
インパルス以外である他の例において、前記集合励振信
号は、上述したような畳み込み結果であろう。この畳み
込みはインパルス応答によるものであるので、いずれの
場合も、畳み込み結果はダンプ振動波形で終わる。しか
し、様々な短縮技術によって、ダンプ振動波形以外の波
形を有する励振信号が提供される。このような短縮化さ
れた励振信号は、オリジナルのインパルス応答から得ら
れる(且つ、同様な結果を前記オリジナルのインパルス
応答に提供する)。
【0031】前記楽音合成システムは、異なるピック位
置、すなわち、弦に沿った異なる位置での励振信号の入
力をシミュレートするために使用可能である。前記遅延
ラインに沿った2つの異なる位置において弦を同時に励
振し、遅延ループのそのポイントに存在している成分に
加算することによって、弦上の特定のピック位置がシミ
ュレートされる。これは図13に示されており、ここに
おいて、遅延回路は2つの遅延回路54、56に分割さ
れており、これら遅延回路54、56の間に加算器58
が挿入されている。一般的に、ループ全体での遅延時間
に対するピック位置での遅延時間の比率は、弦の長さに
対するピック位置の比率に等しい。遅延回路54,56
による合計遅延長さNは、選択された音高に対応する所
望の楽音周期に対応している(ただし、N=「音高に対
応する遅延量」−「ループフィルタの遅延量」)。ここ
で、所望のピック位置に対応して遅延回路54の遅延量
Pが可変でき、これに伴い遅延回路56における残余の
遅延量N−Pを可変する。
【0032】図14は、上記に関連した技術として、励
振信号を遅延し、遅延されていない励振信号と加算する
ことによって、図13と基本的に同じ効果を実現するよ
うにした例を示す。図14においては、図13とは異な
り、遅延ループとは別に、ピック位置遅延回路60と加
算器62とが設けられている。上記と同様に、前記ピッ
ク位置遅延回路60は、弦における実際の爪弾きポイン
トを制御するために変化可能である。
【0033】この発明に係る楽音合成システムは、自然
楽器における多くの音放出ポイントの効果を実現するた
めに、多くの励振信号を提供できるよう変更されてもよ
い。木製および金属製の楽器に耳を傾ける人(リスナ
ー)は、前記楽器上の多くの音放出面からの信号を受け
取る。従って、両方の耳に異なる信号が到達する。さら
に、演奏者が前記楽器を動かすか、または、リスナーが
頭を動かすと、前記楽器から放出される混合音が動的に
変化する。このような自然現象を扱うためには、自然環
境における異なる出力信号に対応する多くの出力信号を
生成できるようにすることが有用である。この発明によ
ると、これは、図15に示すように、各々が異なる本体
フィルタまたは異なる全体的な共振システムを反映した
異なる成分を有する、多くの集合励振信号を供給するこ
とによって、簡単にシミュレート可能である。図15に
おいて、集合励振信号64、66が供給され、単一の弦
遅延ループ68に与えられる(個別の出力が所望の場
合、個別の弦ループを設けてよい)。2つの集合励振信
号のみが図示されているが、複数の異なる出力ポイント
でのクロスフェードをシミュレートするために、任意数
の励振信号が提供されてもよい。2つまたは3つ以上の
テーブルの間の補間が使用されてもよい。2つまたは3
つ以上の集合励振信号64,66を適宜補間して単一の
弦遅延ループ68に与えるようにしてもよい。
【0034】前記楽音合成システムにおける重要な変更
点は、励振テーブルを準定期的に読み出すことである。
弦の爪弾き音を開始するために単一のトリガ信号を与え
ることに代えて、トリガ信号は定期的(または、ビブラ
ートを考慮して、略定期的に)に与えられる。この例に
おいては、適当な出力レベルを提供できるよう、(例え
ば、テーブルの出力値を右シフトすることにより、また
は、テーブルの出力値に振幅エンべロープを付与するこ
とによって)励振信号の振幅を小さくできる。この技術
は、極めて高い品質の弓弾き弦をシミュレートすること
ができる。
【0035】前記励振テーブルが読み出されている間に
トリガ信号が発生される場合、2つの変形が可能であ
る。先ず、前記励振テーブルは最初から再スタートされ
てよく、このようにして、進行中の再生を中断してよ
い。このことは、図12に示されている。また、新たな
励振テーブルの再生スタートは、図11に示すように、
進行中の再生とオーバラップさせてもよい。この変形
は、励振テーブルの再生ごとに、個別の実行ポインタと
加算器とを必要とするので、より複雑なものとになる。
しかし、品質から見た場合、この方がより好ましい。
【0036】有用な変更例では、図15のような混合さ
れた励振信号を提供することに加えて、図16に示すよ
うに、複数の励振信号(テーブルまたはその他)を提供
し、時間的に変化可能な各励振信号ごとにゲイン制御を
提供する。図16において、励振信号発生器70は、M
個の励振信号を発生する。各励振出力は、時間的に変化
されることが可能なゲイン制御要素72を有する。集合
励振信号a(n)を提供するため、これらゲイン制御要
素72の出力は、加算器74によって組合わせられる。
この信号は、加算器80を介して、遅延ライン76およ
びループフィルタ78を含む遅延ループに与えられる。
このように各励振信号ごとにゲイン制御要素を設けるこ
とによって、広い範囲の励振信号を、固定された励振信
号についての時間変化するリニアな組合わせとして合成
する手段が提供される。すなわち、各励振信号は固定さ
れているが、各励振信号の相対的なゲインを制御するこ
とによって、前記遅延ループに与えられる合計励振信号
に対する相対的な寄与率を制御可能である。前記ゲイン
は、特定の値に設定され、1つの音の継続時間にわたっ
て保持されてよいし、または、前記フィルタ付きの遅延
ループ自体による変化に加えてさらに発生中の楽音の特
性を変化させるために、時間的に変化されてもよい。
【0037】例えば爪弾き音のような自由な振動におい
て、前記励振信号の1つのリニアな組合わせのみが使用
されるよう、典型的には、前記ゲインgi(n)が固定
される。一方、例えば弓弾きされる弦のような駆動振動
においては、楽音の特性を変化させるために、前記ゲイ
ンgi(n)を時間的に変化することができる。これ
は、各励振信号ごとに滑らかに変化するエンベロープを
供給して、複数の異なる励振信号の相対的な寄与率を制
御することによって実現可能である。前記励振信号を変
化させることによって実現される時間変化は、前記フィ
ルタ付きの遅延ループ内で実現される時間変化に付加さ
れる。
【0038】様々な励振テーブルの特性は、固定された
1組のテーブルから実現できる有用な変更の数を最大化
できるよう選択可能である。例えば、1組の励振テーブ
ルは、フイルタを備えたノイズ発生器の他に、ROMに
格納された多数の波形テーブルを含んでいてよい。該波
形テーブルは、異なる本体フィルタを考慮した様々な集
合励振信号を提供することができ、または、全体的な所
望の励振信号の主な要素(例えば、周波数)が異なる波
形テーブルで別々に提供され、可変に組み合わされる主
な要素についての分析に基づいてたものでもよい。これ
は、標準的な楽音発生に使用される(しかし、遅延ルー
プ楽音合成のための励振信号発生には使用されない)周
知のフーリエ合成に類似している。
【0039】図16に示した楽音合成システムは、弓弾
きされる弦の音をシミュレートするために有用である。
一般的に、このような音の正確なシミュレーションに
は、励振信号およびそのループを循環する信号を取り込
むための非リニア性のジャンクションを有し、非リニア
関数に従って信号をフィードバックする遅延ループが必
要である。しかし、図16の楽音合成システムは、前記
非リニア性のジャンクションを必要せず、それにも関わ
らず、フィルタ付きの遅延ループおよび時間変化する励
振信号のみを使用することによって、弓弾きされる弦の
高品質のシミュレーションを実現できる。なお、この点
に関し、各励振信号自体は、時間変化するものである
が、比較的短い固定された持続時間を有するものであ
る。弓弾きされる弦のシミュレート音のような持続した
楽音を発生するには、各励振信号が複数回反復され、各
励振信号の相対的強度の時間変化は所望の楽音変化をも
たらす。
【0040】図17には、演算上の重要な利点をもたら
す変更例が示されている。一般的に、楽音の初期的なア
タック部は、意義ある高周波数情報を含んでいる。通常
のフィルタ付きの遅延ループにおいて前記アタック部を
適切に合成するためには、前記ループフィルタのサンプ
リングレートは、比較的高いレートに維持されなければ
ならない。これは、前記合成楽音における高周波成分が
より少ないその他の部分には当てはまらない。
【0041】図17に示すように、この発明は、励振信
号の1つとして別個のアタック信号を供給し、フィルタ
付きの遅延ループの周囲に迂回させることによって、演
算上の要件を軽減するものである。前記アタック信号
は、トリガ信号に応答して他の励振信号と並列的に読み
出される継続時間が短い(例えば、100msの)高周波信
号を含む。図17において、前記アタック信号は符号8
2の箇所において供給され、増幅器84によってゲイン
制御され、出力合算ジャンクション86に与えられる。
付加的な励振テーブル88は、符号90の箇所において
適当に重み付けされ、92において合算されることによ
って、合成励振信号e(n)を提供する。この合成励振
信号e(n)は、遅延ライン94、ループフィルタ96
および加算器98を含むフィルタ付き遅延ループに入力
される。
【0042】高周波成分を処理する必要がないので、前
記ループフィルタ96におけるサンプリングレートは大
変低いレートでよい。例えば、ギターの低いE音のよう
な低音高の音を低コストで発生する場合において、弦ル
ープに入力される励振信号は1.5kHzに制限されてよく、
1.5kHzでハイパスされる記録された音の最初の100msec
が前記アタック信号に使用されてよい。また、3kHzのサ
ンプリングレートが前記遅延ループに使用されてよい。
前記ループの出力信号は、補間回路100によって22kH
zにアップサンプルされ、(同様に22kHzのサンプリング
レートで供給される)前記アタック信号に加算されてよ
い。前記合成励振信号z(n)は所望の高周波成分およ
び低周波成分の両方を含むが、それにも関わらず、前記
遅延ループの処理は大幅に簡略化される。前記弦ループ
のサンプリングレートは、音高の関数として制御されて
よい。
【0043】この発明の合成技術は、少数の指数関数的
減衰共振モードを有するビブラホン、および、タムタ
ム、マリンバ、鉄琴などその他の打楽器の楽音合成にも
適用可能である。これらの場合、複数のフィルタ付き遅
延ループの出力を合算し、これにより、一連の略調和振
動のモードの合算値として最も重要な共振モードを模す
ることができる。この技術は、吹奏楽器にも適用可能で
ある。この場合の励振テーブルは、前記吹奏楽器の管の
内部からのインパルス応答を、音孔および朝顔部分の外
部に供給する。楽音波形と励振信号との間の相互作用を
与える(典型的には、吹奏楽器の物理的シミュレーショ
ンに使用される)非リニア性のジャンクションが存在し
ないので、自然なアーティキュレーションを得るのは難
しい。しかし、この技術は、簡単に且つ低コストで実施
可能である。
【0044】図18〜図30には、この発明の他の実施
の形態が示されている。この実施の形態は、共振部を
“ダンプ”モードと“リンギィ”モードとに分けること
によって、励振テーブルのサイズを小さくでき、従っ
て、コストを軽減できるものである。この場合、最も少
なくダンプされた共振部分が抽出され、残存するより多
くダンプされた共振部分のみが弦との間で配置順序の入
れ替えが行われる。
【0045】図7および図8に関して上述したように、
最も簡単な例では、集合励振テーブル52は、基本的
に、選択された共振部(例えば、ギター本体)のサンプ
ル化されたインパルス応答になる。より複雑な例におい
て、集合励振信号は、共振部のインパルス応答が励振信
号e(n)によって畳み込まれる前記数式(1)に示し
た畳み込みを実行することによって与えられる。
【0046】前記畳み込み結果の長さ、従って、前記テ
ーブルに格納された集合励振信号に影響を与える前記共
振部のインパルス応答r(n)の長さは、その最も少な
くダンプされた共振によって決定されるようにしてい
る。この発明者は、より多くダンプされた共振から、最
も少なくダンプされた共振、すなわち、長く鳴響く(す
なわちリングする)モード(すなわちリンギィモード)
を除去することによって、弦との間で配置順序が入れ替
えられる前記共振部分は、より多くダンプされた部分の
みを有することになる、ことを発見した。この共振部分
は、より短いインパルス応答を有する。
【0047】配置順序が入れ替えられない長くリングす
る部分は、少数の2極フィルタ部またはその他の巡回型
フィルタ構造によってシミュレートされることができ
る。なお、この発明は、決して、ディジタルフィルタに
よる実施に限定されるものではなく、任意の適当なディ
ジタルフィルタまたはアナログフィルタを使用するもの
であってもよい。今日のほとんどのシンセサイザは、発
生された楽音信号について処理後の効果を付与するため
に多数の“付加的な”フィルタを使用しているので、こ
の発明は、前記共振部の“リンギィ”部分として作用す
るこれらのフィルタを利用することによって、前記集合
励振信号を格納するために必要な励振テーブルを大幅に
簡略化できる。
【0048】図18の(A)には、例えばギターの楽音
発生メカニズムがブロック図で示されており、この例に
おいて、トリガ信号が励振源30に供給されると、該励
振源30は、弦部32を励振するための励振信号e
(n)を発生する。前記弦部32は、最終出力信号x
(n)を発生する共振部34を励振する出力信号s
(n)を発生する。前記共振部34の特性は、図4〜図
6に関して上述したものと同じである。
【0049】これまで説明した実施の形態のように共振
部34と弦32とを即時に入れ替える代りに、前記共振
部34の特性は、図18の(B)に示すように、先ず、
“ダンプ”共振部102と“リンギィ”共振部104と
に分けられる。典型的には、前記共振部34は、先ず、
測定されたインパルス応答の形で研究される。この測定
されたインパルス応答は、例えば、フォースハンマー、
2チャンネルのA/D変換、および、当業者に知られて
いるMatLab(商標)プログラミング環境に利用可能なシ
ステム同定ソフトウエアを使用することによって得てよ
い。
【0050】前記2つのA/D変換チャンネルの一方
は、フォースハンマーによる打力に比例したフォースハ
ンマー出力を記録するものである。また、他方のA/D
変換チャンネルは、例えば、前記ハンマーによる操作に
対する前記共振部の応答を測定するマイクロホン出力を
記録するものである。前記システム同定ソフトウエア
は、基本的に、測定されたマイクロホン“出力”信号の
中からフォースハンマー“入力”信号を逆畳み込み(デ
コンボルブ:deconvolve)することによって、測定され
たインパルス応答を推定する。
【0051】前記逆畳み込み(デコンボルブ)機能を実
現するための単純な技術は、前記“入力”のフーリエ変
換によって前記“出力”のフーリエ変換を分割すること
によって、前記共振部の測定された周波数応答を得るこ
とである。代案として、市販のソフトウエアパッケージ
を使用して、より高度のデコンボルブ処理を行ってもよ
い。いずれかの上記技術を使用し、周波数応答の逆フー
リエ変換を行うことによって、前記インパルス応答が得
られる。
【0052】前記共振部34のインパルス応答が決定さ
れた後、前記インパルス応答の最もリングするモードが
“パラメトリックな形態”に変換される。すなわち、前
記共振部の周波数応答における最も狭い“ピーク”の各
々に対応する精確な共振周波数および共振帯域幅が、確
認され、“リンギィ部分”104に移される。最長のリ
ンギィモードは、最も狭い帯域幅に対応する。また、こ
の最長のリンギィモードは、典型的には、前記周波数応
答における最高のピークを含む。
【0053】従って、最長のリング時間を有する共振を
測定するための効果的な技術は、前記共振部34の測定
された周波数応答における最も狭く、最も高いスペクト
ルピークの精確な位置および帯域幅を求めることであ
る。狭い周波数応答ピークの中心周波数および帯域幅
は、前記共振部のリンギィ部分104における2つの極
を決定する。フィルタをその極および零点に関して表す
ことは、インパルス応答または周波数応答のような“非
パラメトリック”表現とは異なり、1種の“パラメトリ
ック”なフィルタ表記である。
【0054】当業者に知られているように、測定された
周波数応答ピークをパラメトリックな形態に変換するた
めのソフトウエアを含む市販のシステム同定ソフトウエ
ア製品が利用可能である。このような市販のシステム同
定ソフトウエア製品は、フォースハンマーと完全なデー
タ収集手段とを含むものである。さらに、当業者は、こ
の問題について書いた信号処理文献に精通している。一
例として、“Prony'smethod”は、指数関数的に減衰す
るシヌソイド(2極共振部のインパルス応答)の和につ
いての周波数および帯域幅を推定するための古典的な技
術である。より高度な最近の技術は、“matrix pencil
method(マトリックスペン方式)”と呼ばれている。
【0055】図19は、小規模なMatlabプログラムを使
用して実行された、前記共振部34のリンギィ部分10
4をパラメトリック形態に変換する方法を図示するもの
である。図示を簡略化するため、この図示例にあって
は、1つの周波数応答ピークのみが示されている。先
ず、デシベルによるスペクトル規模に基づいて動作する
二次補間用ピークファインダを使用して、前記ピークの
中心周波数が測定される。次に、前記測定されたデータ
をできるだけ忠実に模する周波数応答を有する2極フィ
ルタを設計するために、汎用フィルタ設計関数“invfre
gz ( )”が呼出される。
【0056】(図19の例で実行されたように)パラメ
トリックなフィルタ係数を求めるには、ディジタルフィ
ルタを設計するための既知の“equation−error method
(エクエーションエラー方式)”を使用可能である。前
記フィルタ設計プログラムがスペクトルピークに焦点を
当てるよう、同じく図19に示したように、(図上にオ
ーバーレイされるよう再正規化された後)重み付け関数
が使用される。この例に使用される重み付け関数は、0H
zから900Hzの範囲では“1”であり、900Hzから1100Hzの
範囲では“100”であり、その後“1”に戻る。図19の
重み付け関数は、1000Hzのスペクトルピークを中心とす
る矩形関数として現れる。
【0057】さらに、図19は、前記エクエーションエ
ラー方式によって設計された2極フィルタの大きさ−周
波数−応答のオーバーレイを示している。図示のよう
に、非パラメトリックな周波数応答とパラメトリックな
周波数応答との間の適合度は、前記ピーク近くにおいて
極めて高い。初期に測定された補間済ピーク周波数を使
用することによって、所望のフィルタの極角度を細かく
調整でき、こうして、前記エクエーションエラー方式を
この場合のピーク帯域幅のみを測定するための技術とす
ることができる。当業者に知られているように、信号処
理分野には、スペクトルピークを測定する多数の技術が
存在しており、この発明は、図示された技術に使用され
る場合に限定されるものではない。
【0058】前記共振部34のリンギィ部分104をパ
ラメトリック形態に変換する他の方法は、前記共振部の
極を求めるために、周知の線形予測符号化(LPC)技
術を使用した後に多項因数分解を行うものである。前記
LPCは、スペクトルピークを模するには特に優れてい
る。z平面の単位円に最も近い極が、前記共振部34の
リンギィ部分104について選択可能である。
【0059】前記リンギィ部分104を実現するために
前記LPCまたはその他任意の“最小位相”のパラメト
リック形態を使用する場合、これに対応する“ダンプ”
部分102は、特に線形予測符号化およびシステム識別
に関して周知の処理である“逆フィルタ処理”と呼ばれ
ている処理を利用することによって、前記共振部34の
完全インパルス応答、および、パラメトリックなすなわ
ちリンギィ部分104から算出可能である。
【0060】前記逆フィルタは、その零点が前記リンギ
ィ部分104の極に等しいオールゼロフィルタを用意す
ることによって構成される。前記リンギィ部分104が
零点を有するものである場合、これらの零点は、前記逆
方向フィルタの極となるので安定しなければならない。
ディジタルフィルタの場合、前記零点は、z平面におい
て1未満の大きさを有する必要がある。また、アナログ
フィルタの場合、前記零点はs平面の左半分に位置しな
ければならない。このようなフィルタは、“最小位相”
フィルタと呼ばれている。前記リンギィ部分104の推
定されたパラメトリック形態において最小ではない位相
が得られる可能性を小さくするには、既知のケプトスラ
ム“畳み込み”技術のような非パラメトリック方式を使
用して、共振部の初期のインパルス応答を最小位相イン
パルス応答に変換することが有用である。
【0061】ディジタルフィルタおよびアナログフィル
タのいずれの場合においても、零点が非最小位相である
場合、同じ周波数応答の大きさを持つ最小位相フィルタ
を実現できるよう、これらの零点は適当な周波数軸の周
りに反映されなければならない。こうして、前記逆フィ
ルタは、“残差”信号を得るために、前記共振部の完全
インパルス応答に適用される。この残差信号は、前記
“ダンプ部分”102のインパルス応答であり、前記弦
との配置順序入れ替え、および、“爪弾き音”信号のよ
うな弦励振信号との畳み込みに適している。前記残差信
号が前記リンギィ部分104すなわちパラメトリック共
振部(この場合、最小位相フィルタ)に供給される場
合、前記共振部34のオリジナルのインパルス応答を高
い精度で実現できる。一般的に、この場合の精度は、単
に、逆方向および順方向のフィルタ演算の間に発生する
数値丸め誤差によって影響される。
【0062】この発明者は、オールポールフィルタが便
利で操作が容易であると判断した。オールポールフィル
タは常に最小位相であり、前記LPC技術はこれらを容
易に算出する。当業者が理解するように、所定数の極お
よび零点を有するパラメトリック部分を発生可能なフィ
ルタ設計技術は多く存在しており、重み付け関数を使用
して、前記方法をインパルス応答34の最長にリングす
る成分に導くことができる。図19に図示したエクエー
ションエラー方式は、極のみならずパラメトリックすな
わちリンギィ部分の零点をも算出可能な方法の一例であ
る。こうして、前記パラメトリック部分104は、任意
数の極および零点を有してよく、任意の既知のフィルタ
実施技術を使用して実施してよい。
【0063】既知のディジタルフィルタ実施技術は、二
次フィルタ部分の直列接続および並列接続を含むもので
ある。当該技術分野において知られているように、任意
のリニアの時間変化型(LTI)フィルタの伝達関数
は、初歩的な二次部分の直列接続に組み込み可能であ
る。また、同様に当該技術分野において知られているよ
うに、すべてのLTIフィルタは、“部分分数拡張”演
算によって並列的な二次部分の和に分けられる。各前記
二次部分は、1つの周波数のみにおいて共振可能である
か、または、全く共振できないものである。
【0064】図20には、一般的な二次フィルタ部の
“Direct Form I”と呼ばれている実施形態(2つまで
の極、2つまでの零点および1つのゲイン係数)が示さ
れている。他の実施形態はいくつかあるが、このDirect
Form Iは、すべての乗算器の出力が典型的には2の補
数の演算を使用する共通の加算器に送られるので、数値
的には好ましい選択である。その結果、その結果、オバ
ーフローは出力の1つの桁のみに生じる。最高の品質を
得るために、フィードバック信号(図において、これら
のすべてはスケーリング係数b0〜b2の右方向)は2倍
の精度で実施可能である。これに応じて励振テーブルが
スケーリングされる場合、図20の係数b0は除去可能
である。図において、
【数2】 は、1単位(1サンプリング周期)の遅延を実現する、
単位遅延要素である。
【0065】二次フィルタ部が共振するものである場
合、その共振周波数および共振帯域幅は、次の式に従っ
て、フィードバック係数a1、a2によって決定される。 a1 = -2 R cos(2 Pi Fr / Fs ) (2) a2 = R2 (3) ここで、Frは共振周波数をサイクル/秒すなわちヘルツ
(Hz)で表した値であり、Fsはディジタルオーディオサ
ンプリングレートをHzで表した値であり、Piは3.141...
であり、Rは次の数式によって共振帯域幅に関連付けら
れる極半径である。 R = exp(-Pi Br / Fs) (4)
【0066】二次共振部に関する減衰Trの時定数は、 Tr = 1 / (Pi Br) (5) によって、帯域幅に関連付けられる。
【0067】前記時定数は、前記共振部のインパルス応
答が、1/e = exp(-1) で表せる率で減衰する時間(秒)
として定義される。この実施の形態において、“最もリ
ングする”二次部、すなわち、最長の減衰時間Tr(また
は、最小の帯域幅Br)を有する部分を識別する必要があ
る。これらの部分は、明確に、前記本体共振部34のパ
ラメトリック部分104の二次部として実施してよい。
【0068】図21は、2つの極のみを有する上記ほど
一般的ではない二次共振部を示す図である。前記パラメ
トリック部分104がオールポール型として選択され、
二次部が直列接続される場合に、この形態を使用でき
る。また、図22は、2つの2極部の直列接続を示す図
である。おそらくこれは最も便利な選択であろうが、こ
の発明者は、これが2つの二次部が並列接続された図2
3の例ほど数値的な性能において優れたものではない、
ということを発見した。当業者によって認識されるよう
に、適当な伝達関数の部分分数拡張は、各々が多くても
1つの零点と2つまでの極とを有する並列的な二次部を
もたらす。
【0069】一般的に、ディジタルフィルタが互いに素
な共振を発生する(すなわち、共振が周波数領域におい
て重なり合わない)場合、直列の二次部より並列の二次
部を使用することが数値的に好ましい。これは、直列の
二次部を使用した場合、ある周波数で共振ピークを得る
ためには、共振していない他のすべてのフィルタ部によ
って信号減衰を補償することも必要である、ということ
を考慮することによって理解することができる。一方、
並列の二次部を使用した場合には、共振している二次部
が基本的に単独で共振動作を行う。このように、概し
て、図23に示した並列の二次部は、図22に示した直
列の二次部より数値的に優れている。しかし、並列の二
次部は、直列の二次部に比べて算出するのに便利ではな
く、各々の出力の位相を適切に合せるためには、各二次
部ごとに零点を必要とする。
【0070】ほとんどの市販されている楽音シンセサイ
ザに設けられた効果プロセッサは、普通、“パラメトリ
ック・イコライザ部”を備えている。典型的には、各前
記パラメトリック・イコライザ部は、b0、b1、b2が
1つのゲイン制御を実現するよう制限されている図20
に示したような二次共振部である。通常、前記イコライ
ザ部のパラメータは、各イコライザ部ごとの中心周波
数、帯域幅およびゲインである。このため、普通、合成
された楽音における様々な周波数帯域の混合を調整する
ために使用されるパラメトリック・イコライザ部は、所
望の本体共振部のリンギィモードを実現するためにも使
用可能である。
【0071】前記共振部の分解が完了し、パラメトリッ
ク部すなわちリンギィモード部104が実現されると、
上記実施の形態において図18の(C)の如くなされた
ように、前記共振部34の最も多くダンプされた共振が
弦32と配置替えされる。次に、図18の(D)に示し
たように集合励振信号106を発生するために、このダ
ンプ共振部102は、例えば上記数式(1)を使用し
て、励振信号30と畳み込まれる。
【0072】このように、この実施の形態にあっては、
トリガ信号が集合励振信号106に与えられ、該集合励
振信号106は、励振信号a(n)を介して弦32を励
振する。こうして、前記弦32は、入力信号を処理し、
前記共振部34の長くリングする成分を含まない出力信
号r(n)を発生する。一方、これらの長くリングする
成分は、弦32の出力側において、合成中の信号の性質
に応じて直列または並列接続された、例えば多数の2極
フィルタ部である共振フィルタで構成されていてよいリ
ンギィモード共振部104を介して供給される。その結
果として該共振部104から出力される信号は、楽音信
号となる。
【0073】パラメトリックな共振部すなわちリンギィ
モード共振部104を別途有することによる付加的な利
点は、分解されていない共振部34ではただ1つの出力
信号のみが容易に利用可能であるのに対して、複数の出
力信号が利用可能になる、ということである。これら複
数の出力信号は、合成される楽音の品質を様々に向上さ
せるために使用可能である。一例として、前記並列接続
された二次共振部の出力は、様々異なる位置にステレオ
的に“パン(pan)”されることができる。このパンニ
ングは、シミュレートされる楽器の共振モードの空間的
な分布を模するよう選択可能である。このステレオ配置
をわずかに変更することによって、空間的に移動する楽
器をシミュレートできる。
【0074】前記パラメトリックな共振部すなわちリン
ギィモード共振部104の個々の共振部の様々なステレ
オ配置を実現するために、図23に示した2つの共振部
出力を取り込む1つの加算器は、一方が“左チャンネ
ル”用、他方が“右チャンネル”用である2つの加算器
によって置き換えられる。また、各前記共振部ごとに、
例えば乗算器である2つのスケーリング手段が使用さ
れ、一方のスケーリング手段は左チャンネルに合算され
る前の出力信号をスケーリングし、他方のスケーリング
手段は右チャンネルに合算される前の出力信号をスケー
リングする。それぞれのスケーリング係数を調節するこ
とによって、前記左チャンネルおよび右チャンネルに送
られる前記出力信号の量が、前記信号のステレオ配置を
決定することになる。
【0075】上記のように2つのスケーリング手段が使
用される場合、各共振部の“b”係数(例えば、図23
のb0aおよびb0b)のうちの1つを省くことができ
る。このため、ステレオ配置にためには、1つの付加的
な乗算器を必要とするだけですむ。また、前記ステレオ
配置の角度は、しばしば、あまり決定的な要素ではない
ので、前記2つのスケーリング係数は、0,1/8, 1/4, 3
/8, 1/2, 5/8, 3/4, 7/8, 1という値のみを想定できる
数のような、乗算を必要としない特別にクオンタイズさ
れた数であってよい。例えば、これらの数による乗算
は、1回または2回のシフトおよび零点または1つの固
定小数点加算もしくは減算を使用して(二値の固定小数
点で)実行可能である。
【0076】この実施の形態に係る技術を使用して実現
可能な励振テーブルのサイズ縮小は、ダンプ量が最も小
さい1つのモードが除外される前後における理想的なギ
ター本端の合成インパルス応答を観察することによって
例証されることができる。図24は、100Hzで共振する
シミュレートされたギター本体の初期インパルス応答を
示す図である。既知のように、ギターにおいては、一般
的に、ギター本体の主な共振は最長のリンギング共振を
提供し、故に、図25に示すような前記本体のインパル
ス応答のダンプ量が最も少ないリンギング要素を発生す
る。図26かに分るように、この単一の、二次の、ダン
プ量が最も少ない、100Hzの共振成分を除去することに
よって、前記励振テーブルを1桁短縮化できる。この例
において、前記除去される成分は、例えば、100Hzの共
振周波数を有する図21に示した単一の二次共振フィル
タ104によって作り出すことができる。
【0077】図27〜図29は、実際の古典ギターから
測定されたデータを使用する上記と同様な例を示す図で
ある。図27は、既知のケプトスラム“畳み込み”技術
を使用して最小位相に変換された共振部34の推定イン
パルス応答を示す。この場合、一方が110Hz、他方が220
Hzである2つの長くリングする低周波共振が存在する。
各々が周波数応答におけるスペクトルピークを発生する
2つのリング共振が存在するので、パラメトリック共振
部104は、少なくとも4つの極を有する必要がある。
前記エクエーションエラー方式を使用して算出されたこ
の4極のパラメトリック共振部104のインパルス応答
は、図28に示されている。逆方向フィルタ処理が行わ
れたが、図29には、残差インパルス応答102が示さ
れている。約12msecのインターバルで現れる小さなノイ
ズバーストは、図示された測定を行うために励振去れた
ギター弦のピッチに関連したものであり、この例には関
係ない。
【0078】この実施の形態に従って実現可能な励振テ
ーブルのサイズ縮小は、この楽音シンセサイザ全体のコ
ストを相当節約する。さらに、この実施の形態は比較的
簡単な共振フィルタを使用して“リンギィ”モード共振
部を実現し、且つ、前記フィルタが現在製造中のほとん
どのシンセサイザに既に存在するものであるので、付加
的なコストが必要でない。
【0079】前記共振部34のインパルス応答の最長リ
ンギング共振モードをパラメトリック部104に抽出す
ることによって実現されるコスト節約は、とりわけ、
(1)前記インパルス応答の継続時間、(2)前記最長
リンギィ共振モードを抽出した後に残る前記インパルス
応答の継続時間、(3)メモリのコスト、および、
(4)二次フィルタ部を実現するコストによって左右さ
れる。現在のハードウエアの傾向によれば、ローカルに
は少量のメモリのみが利用可能な次第によりコンパクト
化している構成において、より高速の処理を行うプロセ
ッサが提供されている。より多くのプロセッサ利用を犠
牲にしたメモリ使用量の減少は、歓迎すべきトレードオ
フ(引き換え)である。
【0080】このようにして、この実施の形態は、上記
第1の実施の形態の全体的な効果と同等の効果、すなわ
ち、従来必要であった高価で複雑な本体フィルタを不要
にできる。しかし、この実施の形態において、共振部を
そのダンプ成分に基づいた成分に抽出することによっ
て、共振フィルタを使用して簡単に模することができる
共振部を維持可能であり、かなりより複雑なダンプ部
を、下流側の共振特性を提供する集合励振信号を作り出
す励振と畳み込み可能である。
【0081】さらに、この技術は、既存の共振フィルタ
を使用してリンギィモード共振部を実現することによっ
てシンセサイザの能力を利用しながら、サイズが大きな
共振部の大部分を除去し、励振テーブルのサイズを小さ
くすることによって、楽音合成処理を簡略化することが
できる。この技術は、図15〜図17に示したような複
数の励振テーブルの使用を含む他の実施の形態と共に使
用可能である。
【0082】図18〜図29に関して上述した実施の形
態は図3、図12等に示した上記実施の形態の遅延ルー
プと共に使用されることもできるが、図30には、自己
フランジ弦すなわち仮想的にデチューンされた弦をシミ
ュレート可能な改良型のフィルタ付き遅延ループが示さ
れている。図30に示すように、入力信号(例えば、a
(n))は、加算器108および1周期遅延要素110
に与えられる。
【0083】前記遅延要素110は2つの出力を発生す
る。第1の出力は、移動式の被補間タップ112、すな
わち、前記遅延要素110のラインに沿って連続的に変
化する位置から取り出されることによって該取り出しポ
イントに比例した量だけ遅延された出力である。この出
力は、時間変化する値であってよいスケーリング係数g
によってスケーリングされることができる。前記遅延要
素110の出力は加算器114にも与えられ、こうし
て、前記加算器114は、ローパスフィルタ116およ
びその次の加算器108にフィードバックする。前記移
動式の被補間タップ112の出力は、前記加算器114
の下流側であって前記遅延ループの外部に設けられた加
算器118に与えられる。
【0084】上記構成によって、弦シンセサイザでは高
いコストを要する効果を奏するいくつかの特徴が実現さ
れる。先ず、低速で前後に移動式の被補間タップを使用
してフランジ弦が実現可能である。理想的には、多数の
独立に移動するタップは、(例えば、図30において破
線で示すように)最良のフランジ効果を奏する。各前記
タップは、前記出力に対して移動式の櫛形フィルタ処理
を付加する。単一の非移動式のタップは、前記弦に沿う
爪弾き、叩き弾きまたはその他の励振操作の位置をシミ
ュレートするために必要な固定された櫛形フィルタ処理
を実現することができる。この場合、前記物理的な励振
の正確な位置は十分には聞き取れないので、非移動式の
タップは補間を必要としない。
【0085】フランジ弦のシミュレーションの他に、よ
り高速の一方向性のタップを使用することによって、デ
チューンされた“第2の弦”をシミュレートできる。こ
の場合、前記タップの速度はドップラー偏移に対応す
る。前記移動式のタップが図30の右側に移動する速度
が速ければ速いほど、前記入力信号中のすべての周波数
のドップラー偏移が遅くなる。一方、前記移動式のタッ
プが図30の左側に移動する速度が速ければ速いほど、
前記周波数のドップラー偏移が速くなる。この実施の形
態において、前記移動式のタップが前記遅延ラインの端
に到達すると、該タップは、なんらかの方法で、他方側
に“循環”する必要がある。
【0086】最も簡単な例において、簡単な循環方法が
使用できる。前記遅延ラインの入口側端部に到達した一
方のタップの出力がフェードインすると同時に、前記遅
延ラインの出口側端部に到達した他方のタップの出力が
零点にフェードするようクロスフェードすることによっ
て、より良好な音が得られる。かくして、この場合、ク
ロスフェードの間、2つの移動式の非補間タップがアク
ティブ状態になる。より手のこんだ循環は、前記遅延ラ
インに沿う適当なジャンプ箇所を捜すことである。例え
ば、可能な場合、前記回り込みはゼロクロス点において
行われるようしてもよいし、様々な遅延ポイントでの相
関作用を算出してもよい。これらの技術のすべては、
“ハーモナイザ”および“ピッチシフト”アルゴリズム
との関係において、ある程度知られた技術である。異な
るタップ速度のタップを付加することによって、その他
のデチューンされた弦をシミュレートすることができ
る。このようにして時間変化するわずかに異なるチュー
ニングの、多数の仮想的な弦を作り出すことによって、
快い“コーラス効果”が得られる。
【0087】フランジングおよびドップラー偏移を使用
して、振動弦のカプラー効果を模することができる。こ
のようなカプリングは、リングする音の倍音の振幅エン
ベロープにおいて、ゆっくりしたうなりを発生する。
(あまり深くないノッチを有する)移動式の櫛形フィル
タは、フランジングによって、質的に同様な効果を奏す
ることができる。代案として、弦の出力を仮想的にデチ
ューンされた弦と加算することによって、同等な効果が
達成される。特定の例として、図30のスケーリング係
数gを0.25に設定し、前記タップ速度を0.25%のドップ
ラー周波数偏移を発生するよう設定すると、わずかにミ
ス同調されている2つの弦の間の和は、電気ギターに見
られるものと同様なうなりを発生する。
【0088】ほとんどすべての弦楽器音合成において必
要とされる複数弦のカプラー音のシミュレーションは、
この発明を使用する場合、コスト効率が良くなる。従来
においては、同様な複数弦のカプラー音をシミュレート
するためには、複数の弦シミュレータが必要であった。
しかし、この発明では、ただ1つの弦シミュレータを使
用して、複数弦のカプラー効果は1つまたは複数の移動
式タップによって付加されるようになっている。
【0089】上記の弦カプラーのシミュレーションの変
更例として、各々が図31に示す弦をシミュレートする
ものである2つのフィルタ付き遅延ループを接続したも
のを用いてもよい。この変更例において、各フィルタ付
き遅延ループの出力が合算され、その合算信号が、好ま
しくは約0.01以下の大きさを有する負の係数を使用して
スケーリングされる。図31に示すように、より精確な
シミュレーションを行うために、前記負の係数は、フィ
ルタによって、測定されたまたは理論的に予測された接
続特性から算出可能な伝達関数-Hb(z)と置き換えられ
る。このようにスケーリングされたまたはフィルタされ
た信号は、フィードバック路を介して各前記フィルタ付
き遅延ループにフィードバック加算され、好ましくは、
前記出力が前記ループから取り出された位置の直後の位
置において前記ループに導入される。カプラー音のため
に使用される出力は、前記ループの任意の位置から取り
出されてよい。
【0090】このような真正のカプラー法は、N個の弦
につき、次のように行われる。(N個の弦に対応する)
N個のフィルタ付き遅延ループの出力が合算され、この
合算された信号が「−イプシロン」によってスケーリン
グされ(または、-Hb(z)によってフィルタされ)、この
スケーリングされたまたはフィルタされた信号は、好ま
しくは、フィードバック路を介して各前記ループに導入
される。前記スケーリングされた(またはフィルタされ
た)信号は、“ブリッジ”の出力の物理的な解釈を表
す。前記スケーリングされた信号、または、ほとんどの
場合にはスケーリング前の合算信号は、接続された弦の
アセンブリの集合出力に関する優れた選択を提供する。
【0091】真正カプラーを実施するために負の係数が
使用される場合とは異なり、-Hb(z)のフィルタが使用さ
れる場合には、相互に接続された(カップルされた)す
べてのフィルタ付き遅延ループにおけるループフィルタ
を除去することができる。すなわち、接続されたすべて
のフィルタ付き遅延ループに必要なすべてのフィルタ処
理を提供するために、カプリング・フィルタ-Hb(z)を使
用することができる。個別のループフィルタが使用され
ない場合、前記カプリング・フィルタは共用ループフィ
ルタとみなすことができる。
【0092】さらに、これらの効果(すなわち、フラン
ジ、デチューンされた弦、コーラス、仮想カプラー、真
正カプラーなど)は、フィルタ付き遅延ループを使用す
るいずれの合成技術にも利用できる。その例としては、
吹奏楽器、金管楽器および打楽器のウエーブガイド合成
がある。
【0093】要約すると、この発明に従うと、トリガさ
れた(任意に処理されていてもよい)インパルス応答に
対応する励振信号を供給することによって、高価で複雑
な本体フィルタを必要とすることなく、高品質の“爪弾
かれた”、“叩き弾きされた”および“弓で弾かれた”
楽音を合成できる。弦のような振動要素の下流側に設け
られた共振システムの特性は、該下流側の共振システム
のインパルス応答を考慮した励振信号を適切に発生する
ことによって提供される。
【0094】この発明に係る楽音合成技術は、複雑な本
体フィルタを必要とする従来のシステムに比べて、その
構成が大幅に簡略化される。さらに、共振部をダンプモ
ードとリンギィモードとに分解し、しかる後、前記ダン
プモードを弦と入れ替えて励振信号と畳み込むことによ
って、従来使用されていた複雑で高価な本体フィルタを
除去できると共に、励振テーブルのサイズを小さくで
き、該励振テーブルに関わるコストを軽減できる。フラ
ンジ効果およびコーラス効果、ならびに、仮想的にデチ
ューンされた弦が、フィルタ付き遅延ループの遅延ライ
ンに沿って移動し、出力と合算される被補間タップを付
加するだけで、実現可能になる。
【0095】
【発明の効果】以上のように、この発明は、高価で複雑
な本体フィルタを必要としないので、簡単に且つ低コス
トで高品質の楽音を合成できる、という優れた効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本体フィルタを使用した従来のフィルタ付きの
遅延ループに基づく楽音合成システムを示すブロック
図。
【図2】フィルタ付きの遅延ループと本体フィルタとの
配置順序が入れ替えられた楽音合成システムを示すブロ
ック図。
【図3】本体フィルタのインパルス応答に対応する集合
励振信号が与えられる、この発明の一実施の形態に従う
楽音合成システムを示すブロック図。
【図4】ギターの楽音発生メカニズムを示すブロック
図。
【図5】ギターおよび周囲空間による楽音発生を示すブ
ロック図。
【図6】前記周囲空間を含むピアノの楽音発生メカニズ
ムを示すブロック図。
【図7】弦の前に共振部が配置された等価の楽音発生メ
カニズムを示すブロック図。
【図8】特定の励振に対する前記共振部の応答が集合励
振信号として使用される楽音発生メカニズムを示すブロ
ック図。
【図9】励振信号を設定する逆フィルタ方式を示すブロ
ック図。
【図10】本体フィルタのインパルス応答に対応する励
振信号の一例を示す図。
【図11】持続した楽音発生を実現するために反復的に
供給される励振信号の一例を示す図。
【図12】持続した楽音発生を実現するために反復的に
供給される励振信号の他の例を示す図。
【図13】ピックの位置の変化をシミュレート可能な楽
音発生システムを示すブロック図。
【図14】ピックの位置を変化させるための等価システ
ムを示すブロック図。
【図15】最終的な励振信号を発生するためにスケーリ
ングされて、加算される2つの励振テーブルを使用した
システムを示すブロック図。
【図16】時間変化する混合された励振信号発生器を組
込んだ楽音合成システムを示すブロック図。
【図17】遅延ループの外部でアタック成分を発生する
ための励振信号発生器を組込んだ楽音合成システムを示
すブロック図。
【図18】ギターの楽音発生メカニズムを示すブロック
図であって、(A)は該楽音発生メカニズムの一般例を
示し、(B)は共振部がダンプモード部とリンギィモー
ド部とに分解された例を示し、(C)は前記ダンプモー
ド部が弦の前に設けられた例を示し、(D)は励振信号
が前記ダンプモード部と畳み込まれた例を示す図。
【図19】非パラメトリックな周波数応答、パラメトリ
ックな周波数応答フィットおよび重み付け関数のオーバ
ーレイを示す図。
【図20】ディジタルの共振部を実現するための構成例
を示す図。
【図21】ディジタルの共振部を実現するための他の構
成例を示す図。
【図22】ディジタルの共振部を実現するための他の構
成例を示す図。
【図23】ディジタルの共振部を実現するための他の構
成例を示す図。
【図24】100Hzで共振するギター本体のシミュレート
されたインパルス応答を示す図。
【図25】図24に示したインパルス応答の最長のリン
ギングモード(最も少なくダンプされた成分)を示す
図。
【図26】図25の最も少なくダンプされた成分が除去
された図24に示した初期インパルス応答を示す図。
【図27】実際のギターから測定されたデータから算出
されたギター本体のインパルス応答を示す図。
【図28】図27に示したインパルス応答における2つ
の最長リンギングモードのパラメトリック推定値を示す
図。
【図29】逆フィルタ処理を使用して図28のパラメト
リック成分が除去された図27のインパルス応答を示す
図。
【図30】自己フランジ弦または仮想的にデチューンさ
れた弦を合成するために、フィルタ付きの遅延ループが
移動式の補間タップによって構成された楽音合成システ
ムを示すブロック図。
【図31】弦カプラーのシミュレーション技術の一実施
の形態を示すブロック図。
【符号の説明】
20 テーブル 26 遅延ライン 28 ループフィルタ 32 弦 34 共振部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジュリアス・オー・スミス, ザ・サー ド アメリカ合衆国 94306 カリフォルニ ア, パロアルト, コーネルストリー ト 2052 (56)参考文献 特開 昭53−88715(JP,A) 特開 平4−52697(JP,A) 特開 平5−11751(JP,A) 特開 平4−204599(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 7/08

Claims (43)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動要素と該振動要素に音響的に結合さ
    れた共振部材との共同作用によって発生される楽音を合
    成するための楽音合成システムであって、 励振信号を受け取る入力部と、信号を遅延する遅延部
    と、信号をフィルタ処理するフィルタとを閉ループ接続
    してなり、かつ、該閉ループから出力を取り出す出力
    含み、このループにおける遅延量が合成すべき楽音
    の音高に対応している閉ループ手段と、 前記共振部材の応答に対応する成分を有する励振信号を
    前記入力部に対して供給する励振手段を具備すること
    を特徴とする楽音合成システム。
  2. 【請求項2】 前記励振手段は、前記共振部材の第1の
    部分的応答に対応する成分を有する励振信号を前記入力
    部に対して供給するものであり、 更に、前記出力部から出力された楽音信号に対して、前
    記共振部材の第2の部分的応答に従う共振を付加する共
    振フィルタ手段を具備し、前記第1の部分的応答および
    第2の部分的応答によって前記共振部材の総合的な応答
    を表わし、この応答に従う特性を持つ楽音が合成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の楽音合成システム。
  3. 【請求項3】 前記励振手段が、前記共振部材の応答
    対応する値を格納した少なくとも1つのテーブルと、前
    記テーブルに格納された値を読み出して楽音の発生を開
    始するトリガ手段とを含む請求項1に記載の楽音合成シ
    ステム。
  4. 【請求項4】 前記励振手段が、少なくとも1つの前記
    応答に対応する値を格納した複数のテーブルと、少なく
    とも1つの演奏パラメータに基づいて前記テーブルに格
    納された値を補間することによって前記励振信号を提供
    する手段とをさらに具備した請求項1乃至のいずれか
    に記載の楽音合成システム。
  5. 【請求項5】 前記励振手段が、前記共振部材の第1の
    部分的応答に対応するデータを格納するテーブル手段
    と、前記テーブル手段から格納された前記データを読み
    出す読み出し手段とを含む請求項に記載の楽音合成シ
    ステム。
  6. 【請求項6】 前記読み出し手段が、演奏者の操作に応
    じて、前記テーブル手段から前記格納されたデータを読
    み出す請求項に記載の楽音合成システム。
  7. 【請求項7】 前記励振信号が減衰振動波形を有する請
    求項1乃至のいずれかに記載の楽音合成システム。
  8. 【請求項8】 前記励振信号が、合成すべき前記楽音の
    1周期より長い継続時間を有する請求項1乃至のいず
    れかに記載の楽音合成システム。
  9. 【請求項9】 前記励振信号が、前記共振部材に対応し
    た物理的対象物を励振することによって得られた記録を
    基にしたものである請求項1に記載の楽音合成システ
    ム。
  10. 【請求項10】 前記励振手段が、複数の励振信号を示
    すデータを格納するテーブル手段を含み、該テーブル手
    段に格納された前記データが、複数の共振部材に対応す
    る複数の物理的対象物を励振することによって得られた
    ものであり、前記励振手段が、選択された励振信号に対
    応する格納されたデータを前記テーブル手段から読み出
    す読み出し手段をさらに含む請求項に記載の楽音合成
    システム。
  11. 【請求項11】 前記励振手段が、前記励振信号を算出
    する演算手段を含む請求項1に記載の楽音合成システ
    ム。
  12. 【請求項12】 前記演算手段が所望の楽音をフィルタ
    処理する逆方向フィルタを含み、該逆方向フィルタが前
    記振動要素に基づいて決定されたフィルタ係数を含む請
    求項11に記載の楽音合成システム。
  13. 【請求項13】 前記総合的な応答を前記第1の部分的
    応答および第2の部分的応答に分離する分離手段をさら
    に具備した請求項に記載の楽音合成システム。
  14. 【請求項14】 前記分離手段が、前記総合的な応答
    おける前記第2の部分的応答を決定するために、フーリ
    エ変換におけるスペクトルピークを測定する手段を含む
    請求項13に記載の楽音合成システム。
  15. 【請求項15】 前記分離手段が、重み付け関数および
    フィルタ設計アルゴリズムを使用して、前記総合的な応
    における前記第2の部分的応答を決定する重み付け手
    段を含む請求項13に記載の楽音合成システム。
  16. 【請求項16】 前記振動要素が弦である請求項1乃至
    15のいずれかに記載の楽音合成システム。
  17. 【請求項17】 前記共振部材がギターの本体である請
    求項1乃至15のいずれかに記載の楽音合成システム。
  18. 【請求項18】 前記共振部材がバイオリンの本体であ
    る請求項1乃至15のいずれかに記載の楽音合成システ
    ム。
  19. 【請求項19】 前記共振部材がピアノの共鳴板および
    囲いである請求項1乃至15のいずれかに記載の楽音合
    成システム。
  20. 【請求項20】 前記共振部材が自然楽器からなるもの
    である請求項1乃至15のいずれかに記載の楽音合成シ
    ステム。
  21. 【請求項21】 少なくとも1つの付加的な閉ループ
    が、前記閉ループ手段に接続されていて、前記閉ループ
    手段と同様に励振されるようになっており、前記閉ルー
    手段および前記少なくとも1つの付加的な閉ループ
    が、異なるチューニングに対応する遅延量を含むもので
    ある請求項1乃至20のいずれかに記載の楽音合成シス
    テム。
  22. 【請求項22】 記閉ループ手段からの出力と前記少
    なくとも1つの付加的な閉ループからの出力を加算する
    加算手段をさらに具備した請求項21に記載の楽音合成
    システム。
  23. 【請求項23】 前記励振手段が、トリガ信号に応答し
    て読み出される値を格納したテーブルを含む請求項1又
    は2に記載の楽音合成システム。
  24. 【請求項24】 前記励振信号が、減衰振動形態を有す
    る請求項1又は2に記載の楽音合成システム。
  25. 【請求項25】 前記励振手段は、前記共振部材の応答
    に対応する成分からなる信号を変更した信号を前記励振
    信号として前記入力部に対して供給するものである請求
    に記載の楽音合成システム。
  26. 【請求項26】 前記テーブルが反復的に読み出される
    ことによって、持続した楽音を発生する請求項23に記
    載の楽音合成システム。
  27. 【請求項27】 前記励振手段は、前記共振部材のイン
    パルス応答に対応する成分の少なくとも一部分を有する
    信号を前記励振信号として前記入力部に 対して供給する
    ものである請求項に記載の楽音合成システム。
  28. 【請求項28】 前記励振信号が、前記部分的なインパ
    ルス応答と任意の励振関数との畳み込み結果からなる請
    求項27に記載の楽音合成システム。
  29. 【請求項29】 前記第1の部分的応答と第2の部分的
    応答の畳み込みが、前記共振部材の総合的な応答を示す
    ものである請求項に記載の楽音合成システム。
  30. 【請求項30】 前記励振手段は、第1の減衰振動形態
    を持つ励振信号を前記入力部に供給するものであり、 更に、 前記第1の減衰振動形態より遅いレートで減衰す
    る第2の減衰振動形態を持つ共振を前記出力部の出力に
    付加する共振付加手段を具備することを特徴とする請求
    項1に記載の楽音合成システム。
  31. 【請求項31】 前記励振手段が、基本的な励振信号を
    供給する手段と、前記基本的な励振信号を所定量遅延さ
    せる手段と、前記基本的な励振信号と遅延された前記基
    本的な励振信号とを加算し、その加算結果を前記閉ルー
    手段に与える手段とを含む請求項30に記載の楽音合
    成システム。
  32. 【請求項32】 前記励振信号と並列的に第2の励振信
    号を供給する第2の励振手段と、前記励振信号と前記第
    2の励振信号とを加算し、その加算結果としての励振信
    号を前記閉ループ手段に与える手段とをさらに具備した
    請求項30に記載の楽音合成システム。
  33. 【請求項33】 前記励振信号と並列的に第2の励振信
    号を供給する第2の励振手段と、前記励振信号と前記第
    2の励振信号とを補間し、補間された励振信号を前記閉
    ループ手段に与える補間手段とをさらに具備した請求項
    30に記載の楽音合成システム。
  34. 【請求項34】 前記補間手段が、制御信号に応答して
    前記励振信号と前記第2の励振信号とを可変に補間する
    手段と、前記制御信号を供給する手段とを含む請求項
    に記載の楽音合成システム。
  35. 【請求項35】 前記閉ループ手段が爪弾かれる弦に対
    応しており、前記所定量の遅延が前記弦が爪弾かれた位
    置を表すものである請求項31に記載の楽音合成システ
    ム。
  36. 【請求項36】 励振信号を循環させて第2の楽音信号
    を提供する第2の閉ループと、前記閉ループ手段の出力
    と前記第2の楽音信号とを合算することによって、組合
    わせ出力信号を発生する手段とをさらに具備した請求項
    30に記載の楽音合成システム。
  37. 【請求項37】 前記共振付加手段が複数の出力信号を
    発生する手段を含み、前記複数の出力信号の各々を加算
    する手段をさらに具備した請求項30に記載の楽音合成
    システム。
  38. 【請求項38】 前記閉ループ手段が、前記閉ループか
    ら、前記出力に対して可変量だけ遅延された第2の出力
    取り出す移動式の遅延ラインタップを含む請求項30
    に記載の楽音合成システム。
  39. 【請求項39】 前記閉ループ手段が、前記閉ループか
    ら、前記出力に対して遅延された第2の出力を取り出す
    固定式の遅延ラインタップを含む請求項30に記載の楽
    音合成システム。
  40. 【請求項40】 前記組み合わせ出力信号をフィルタ処
    理するカプリング用フィルタをさらに具備し、該カプリ
    ング用フィルタが、前記閉ループ手段及び前記第2の閉
    ループの少なくとも1つに供給されるフィードバック信
    号を発生するものである請求項36に記載の楽音合成シ
    ステム。
  41. 【請求項41】 前記励振手段が、各々が異なる励振信
    号を格納した複数の励振テーブルと、前記複数の励振テ
    ーブルの出力を混合することによって合成励振信号を提
    供する混合手段とを含むことを特徴とする請求項1又は
    2に記載の楽音合成システム。
  42. 【請求項42】 前記混合手段が、それぞれの重み付け
    係数に従って、前記複数の励振テーブルの出力の量を変
    化させる手段を含む請求項41に記載の楽音合成システ
    ム。
  43. 【請求項43】 前記重み付け関数を時間的に変化させ
    る手段をさらに含む請求項42に記載の楽音合成システ
    ム。
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