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JP3223889B2 - 楽音合成装置、楽音合成方法および記憶媒体 - Google Patents

楽音合成装置、楽音合成方法および記憶媒体

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JP3223889B2
JP3223889B2 JP30090298A JP30090298A JP3223889B2 JP 3223889 B2 JP3223889 B2 JP 3223889B2 JP 30090298 A JP30090298 A JP 30090298A JP 30090298 A JP30090298 A JP 30090298A JP 3223889 B2 JP3223889 B2 JP 3223889B2
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tone
effect
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pitch
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千史 竹内
徹 北山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、効果アルゴリズム
プログラムを実行することにより、その効果が付与され
た楽音波形を合成する楽音合成装置、楽音合成方法およ
び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、楽音合成装置によってポリフォニ
ック(polyphonic)の楽音に効果を付与するときには、
まず、目的のポリフォニックの楽音を構成する各ノート
毎にそれぞれ対応する楽音波形を生成し、次に、この生
成された各楽音波形を混合してポリフォニックの楽音波
形を生成し、その楽音波形を、たとえばDSP(Digita
l Signal Processor)によって構成される効果回路に入
力し、該効果回路で所定の効果アルゴリズムプログラム
を実行することによってポリフォニックの楽音に当該効
果を付与していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の楽音合成装置では、各種の効果を押鍵音毎、すなわ
ちポリフォニックの楽音を構成する各ノート毎、個別に
そのノート各々の固有の情報(たとえば音高や音色)に
基づいた効果を付与し、その音響効果まで含めて緻密な
音色作りあるいは音色制御を行うことは困難であった。
【0004】本発明は、この点に着目してなされたもの
であり、ポリフォニックの楽音を構成する各ノート固有
の情報に基づいた効果を付与することによって効果の幅
を拡大し、かつ該効果を含めてノート毎、個別に緻密な
音色制御を行うことが可能な楽音合成装置、楽音合成方
法および記憶媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の楽音合成装置は、発生すべき楽音
の音色および音高を指定するための楽音指定手段と、該
指定された音色および音高に応じた基本楽音波形を発生
する基本波形発生手段と、効果アルゴリズムプログラム
を実行することにより、前記発生された基本楽音波形に
対して、当該基本楽音波形を遅延させる処理を含む効果
を付与する効果付与手段と、前記指定された音色に対応
する効果アルゴリズムプログラムを実行するように前記
効果付与手段を制御する制御手段とを有し、前記効果ア
ルゴリズムは、エレクトリックギターの電磁ピックアッ
プ特有の効果を付与するために、入力された前記基本楽
音波形を遅延する遅延量を前記エレクトリックギターの
想定されるピッキングの位置および前記電磁ピックアッ
プの想定される位置に応じて変更するアルゴリズムであ
って、前記ピッキング位置および前記ピックアップ位置
を、前記指定された楽音の音高に応じて制御するもので
あることを特徴とする。
【0006】また、請求項3に記載の楽音合成方法は、
楽音指定手段により発生すべき楽音の音色および音高を
指定する楽音指定工程と、該指定された音色および音高
に応じた基本楽音波形を発生する基本波形発生工程と、
効果アルゴリズムプログラムを実行することにより、前
記発生された基本楽音波形に対して、当該基本楽音波形
を遅延させる処理を含む効果を付与する効果付与工程
と、前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプ
ログラムを実行するように前記効果付与工程を制御する
制御工程とを有し、前記効果アルゴリズムは、エレクト
リックギターの電磁ピックアップ特有の効果を付与する
ために、入力された前記基本楽音波形を遅延する遅延量
を前記エレクトリックギターの想定されるピッキングの
位置および前記電磁ピックアップの想定される位置に応
じて変更するアルゴリズムであって、前記ピッキング位
置および前記ピックアップ位置を、前記指定された楽音
の音高に応じて制御するものであることを特徴とする。
【0007】さらに、請求項5に記載の記憶媒体は、楽
音指定手段により発生すべき音色および音高を指定する
楽音指定モジュールと、該指定された音色および音高に
応じた基本楽音波形を発生する基本波形発生モジュール
と、効果アルゴリズムプログラムを実行することによ
り、前記発生された基本楽音波形に対して、当該基本楽
音波形を遅延させる処理を含む効果を付与する効果付与
モジュールと、前記指定された音色に対応する効果アル
ゴリズムプログラムを実行するように前記効果付与モジ
ュールを制御する制御モジュールとを含み、前記効果ア
ルゴリズムは、エレクトリックギターの電磁ピックアッ
プ特有の効果を付与するために、入力された前記基本楽
音波形を遅延する遅延量を前記エレクトリックギターの
想定されるピッキングの位置および前記電磁ピックアッ
プの想定される位置に応じて変更するアルゴリズムであ
って、前記ピッキング位置および前記ピックアップ位置
を、前記指定された楽音の音高に応じて制御するもので
あることを特徴とする。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】さらに、請求項2に記載の楽音合成装置
は、発生すべき楽音の音色および音高を指定するための
楽音指定手段と、該指定された音色および音高に応じた
基本楽音波形を発生する基本波形発生手段と、効果アル
ゴリズムプログラムを実行することにより、前記発生さ
れた基本楽音波形に当該効果を付与する効果付与手段
と、前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプ
ログラムを実行するように前記効果付与手段を制御する
制御手段とを有し、前記効果アルゴリズムは、ランダム
信号を発生し、該ランダム信号に基づいてカットオフ周
波数を制御し、該カットオフ周波数がランダム制御され
たバンドパスフィルタにより前記発生した基本楽音波形
を帯域制限し、該帯域制限された楽音波形を、当該音高
に応じて少なくとも遅延量が制御されるループに注入す
るものであることを特徴とする。
【0012】
【0013】さらに、請求項4に記載の楽音合成方法
は、楽音指定手段により発生すべき楽音の音色および音
高を指定する楽音指定工程と、該指定された音色および
音高に応じた基本楽音波形を発生する基本波形発生工程
と、効果アルゴリズムプログラムを実行することによ
り、前記発生された基本楽音波形に当該効果を付与する
効果付与工程と、前記指定された音色に対応する効果ア
ルゴリズムプログラムを実行するように前記効果付与工
程を制御する制御工程とを有し、前記効果アルゴリズム
は、ランダム信号を発生し、該ランダム信号に基づいて
カットオフ周波数を制御し、該カットオフ周波数がラン
ダム制御されたバンドパスフィルタにより前記発生した
基本楽音波形を帯域制限し、該帯域制限された楽音波形
を、当該音高に応じて少なくとも遅延量が制御されるル
ープに注入するものであることを特徴とする。
【0014】
【0015】さらに、請求項6に記載の記憶媒体は、楽
音指定手段により発生すべき音色および音高を指定する
楽音指定モジュールと、該指定された音色および音高に
応じた基本楽音波形を発生する基本波形発生モジュール
と、効果アルゴリズムプログラムを実行することによ
り、前記発生された基本楽音波形に当該効果を付与する
効果付与モジュールと、前記指定された音色に対応する
効果アルゴリズムプログラムを実行するように前記効果
付与モジュールを制御する制御モジュールとを含み、前
記効果アルゴリズムは、ランダム信号を発生し、該ラン
ダム信号に基づいてカットオフ周波数を制御し、該カ
トオフ周波数がランダム制御されたバンドパスフィルタ
により前記発生した基本楽音波形を帯域制限し、該帯域
制限された楽音波形を、当該音高に応じて少なくとも遅
延量が制御されるループに注入するものであることを特
徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0017】図1は、本発明の実施の一形態に係る楽音
合成装置の概略構成を示すブロック図である。
【0018】同図に示すように、本実施の形態の楽音合
成装置は、音高情報を入力するとともにその発音を指示
するための鍵盤1と、音色の指定を含む各種情報を入力
するための複数のスイッチを備えたパネルスイッチ2
と、鍵盤1の各鍵の押鍵状態を検出する押鍵検出回路3
と、パネルスイッチ2の各スイッチの押下状態を検出す
るスイッチ検出回路4と、装置全体の制御を司るCPU
5と、該CPU5が実行する制御プログラムやテーブル
データ等を記憶するROM6と、演奏データ、各種入力
情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM7と、
タイマ割込み処理における割込み時間や各種時間を計時
するタイマ8と、各種情報等を表示する、たとえば大型
液晶ディスプレイ(LCD)若しくはCRT(Cathode
Ray Tube)ディスプレイおよび発光ダイオード(LE
D)等を備えた表示装置9と、記憶媒体であるフロッピ
ディスク(FD)20をドライブするフロッピディスク
ドライブ(FDD)10と、前記制御プログラムを含む
各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶
するハードディスク(図示せず)をドライブするハード
ディスクドライブ(HDD)11と、前記制御プログラ
ムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ
等を記憶するコンパクトディスク−リード・オンリ・メ
モリ(CD−ROM)21をドライブするCD−ROM
ドライブ(CD−ROMD)12と、外部からのMID
I(Musical Instrument Digital Interface)信号を入
力したり、MIDI信号として外部に出力したりするM
IDIインターフェース(I/F)13と、通信ネット
ワーク101を介して、たとえばサーバコンピュータ1
02とデータの送受信を行う通信インターフェース(I
/F)14と、後述するボイスパラメータを記憶するボ
イスパラメータメモリ15と、鍵盤1から入力された演
奏データや予め設定された演奏データ等を楽音信号に変
換するとともに各種効果を付与する音源部16と、該音
源部16からのデジタル楽音信号をアナログ楽音信号に
変換する、いわゆるCODECと呼ばれるDAC(Digi
tal-to-Analog Converter)17と、該DAC17から
の楽音信号を音響に変換する、たとえばアンプやスピー
カ等のサウンドシステム18とにより構成されている。
【0019】上記構成要素3〜17は、バス19を介し
て相互に接続され、CPU5にはタイマ8が接続され、
MIDII/F13には他のMIDI機器100が接続
され、通信I/F14には通信ネットワーク101が接
続され、音源部16にはDAC17が接続され、DAC
17にはサウンドシステム18が接続されている。
【0020】HDD11のハードディスクには、前述の
ように、CPU5が実行する制御プログラムも記憶で
き、ROM6に制御プログラムが記憶されていない場合
には、このハードディスクに制御プログラムを記憶させ
ておき、それをRAM7に読み込むことにより、ROM
6に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作を
CPU5にさせることができる。このようにすると、制
御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行え
る。
【0021】CD−ROMドライブ12のCD−ROM
21から読み出された制御プログラムや各種データは、
HDD11内のハードディスクにストアされる。これに
より、制御プログラムの新規インストールやバージョン
アップ等が容易に行える。なお、このCD−ROMドラ
イブ12以外にも、外部記憶装置として、光磁気ディス
ク(MO)装置等、様々な形態のメディアを利用するた
めの装置を設けるようにしてもよい。
【0022】通信I/F14は、上述のように、たとえ
ばLAN(Local Area Network)やインターネット、電
話回線等の通信ネットワーク101に接続されており、
該通信ネットワーク101を介して、サーバコンピュー
タ102等、ネットワーク101上の他のコンピュータ
に接続される。HDD11内のハードディスクに上記各
プログラムや各種パラメータが記憶されていない場合に
は、通信I/F14は、サーバコンピュータ102から
プログラムやパラメータをダウンロードするために用い
られる。クライアントとなるコンピュータ(本実施の形
態では、楽音合成装置)は、通信I/F14および通信
ネットワーク101を介してサーバコンピュータ102
へとプログラムやパラメータのダウンロードを要求する
コマンドを送信する。サーバコンピュータ102は、こ
のコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータ
を、通信ネットワーク101を介してコンピュータへと
配信し、コンピュータが通信I/F14を介して、これ
らプログラムやパラメータを受信してHDD11内のハ
ードディスクに蓄積することにより、ダウンロードが完
了する。
【0023】この他、外部コンピュータ等との間で直接
データのやりとりを行うためのインターフェースを備え
てもよい。
【0024】ボイスパラメータメモリ15は、たとえば
ROM,RAM、FDD、HDD、CD−ROMD,M
Oドライブ等どのような記憶媒体を用いて構成してもよ
い。ボイスパラメータメモリ15に記憶される音色デー
タライブラリ(後述するように、ボイスデータやDSP
プログラム等によって構成される)が置かれる場所は、
ボイスパラメータメモリ15を構成する記憶媒体に応じ
て様々であるが、たとえば、ボイスパラメータメモリ1
5がRAMによって構成される場合には、通常不揮発の
記憶媒体(前記ROM6、FD20、HD、CD−RO
M21、MO等)に置かれ、適宜読み出される。また、
前記通信ネットワーク101上、すなわち前記サーバコ
ンピュータ102または他のクライアント端末等に置く
ようにしてもよい。
【0025】なお、CPU5として処理速度が速いもの
を使用した場合には、音源部16の機能を一部または全
部CPU5側に移転するようにして、音源部16の負担
を軽くするようにしてもよい。この場合には、DAC1
7は、CPU5からバス19経由で楽音波形を受け取る
ことになる。
【0026】また、本発明を適用する装置としては、電
子楽器における楽音合成装置という典型的な形態に限ら
ず、ゲーム機やカラオケ装置等のアミューズメント機
器、TV装置等の各種家電機器、PCに代表されるコン
ピュータ装置およびシステム等が考えられる。
【0027】図2は、各種メモリのメモリマップを示
し、(a)はROM6のメモリマップを示し、(b)は
RAM7のメモリマップを示し、(c)および(d)は
ボイスパラメータメモリ15のメモリマップを示してい
る。
【0028】ROM6は、(a)に示すように、CPU
プログラム(PROGRAM)領域と固定データ領域とにより
構成され、CPUプログラム領域には、CPU5によっ
て実行される前記制御プログラムが予め格納され、固定
データ領域には、この制御プログラム以外の前記テーブ
ルデータや各種制御データ等が予め格納されている。
【0029】RAM7は、(b)に示すように、CPU
ワーキング領域(エリア)と複数個のバッファ領域とに
より構成され、CPUワーキング領域には、前述したよ
うに、演奏データ、各種入力情報および演算結果等が一
時的に記憶される。
【0030】バッファ領域は、第1系統のウェーブパラ
メータ(発音する音楽の波形を決定付けるパラメータあ
るいはパラメータ群)を記憶する第1のウェーブパラメ
ータバッファ(WAVEPARBUF1)と、第1系統のエフェク
ト(効果)パラメータを記憶する第1のエフェクトパラ
メータバッファ(EFCTPARBUF1)と、第2系統のウェー
ブパラメータを記憶する第2のウェーブパラメータバッ
ファ(WAVEPARBUF2)と、第2系統のエフェクトパラメ
ータを記憶する第2のエフェクトパラメータバッファ
(EFCTPARBUF2)と、ユーザにより発音指示(キーオ
ン)されたときに、このキーオンに対応する系統のウェ
ーブパラメータバッファの内容を、このキーオンに対応
するキーコードやタッチ(たとえばベロシティ)等の情
報に基づいて変更して記憶するキーオンウェーブバッフ
ァ(KEYONWAVEBUF)と、同様にこのキーオンに対応する
系統のエフェクトパラメータバッファの内容を、このキ
ーオンに対応するキーコードやタッチ等の情報に基づい
て変更して記憶するキーオンエフェクトバッファ(KEYO
NEFCTBUF)とにより構成されている。ここで、各ウェー
ブパラメータバッファおよびエフェクトパラメータバッ
ファともに、同様のバッファを2つ持つように構成した
のは、本実施の形態の楽音合成装置は、2系統(系統は
「音色」に対応するが、各系統に同一音色を割り当てる
ことができるため、「音色」という言葉を使用していな
い)の楽音波形を合成することができるように構成され
ているからである。
【0031】ボイスパラメータメモリ15は、複数個の
ボイスデータ(VOICE1-i)を記憶するボイスデータ領域
((c))と、複数個のDSPプログラムを記憶するD
SPプログラム領域((d))とにより構成されてい
る。そして、DSPプログラムは、基本となる楽音波形
を生成するウェーブプログラム(WAVEPRG1-j)とこの基
本楽音波形に効果を付与するエフェクトプログラム(NO
TEFCTPRG1-k)とにより構成されるため、DSPプログ
ラム領域は、ウェーブプログラム領域とエフェクトプロ
グラム領域とにより構成されている。
【0032】ボイスデータ領域に格納されている複数個
(i個)のボイスデータは、それぞれ同様のデータフォ
ーマットを有しているため、以下、第1番目のボイスデ
ータを代表させて、詳細に説明する。
【0033】ボイスデータは、(c)に示すように、当
該ボイスの名称を示すボイス名データ(VOICE NAME)
と、当該ボイスに対応する楽音波形を生成するために使
用するウェーブパラメータデータ(WAVEPAR)と、当該
ボイスに対応する効果を付与するために使用するエフェ
クトパラメータデータ(NOTEFCTPAR)と、たとえば音量
等の、当該ボイスに共通する共通パラメータデータ(CO
MMONPAR)とにより構成されている。なお、共通パラメ
ータデータは、ウェーブパラメータデータまたはエフェ
クトパラメータデータに組み込み、その格納領域を個別
に設けないようにしてもよい。
【0034】ウェーブパラメータデータには、当該ボイ
スに対応する基本楽音波形を生成するウェーブアルゴリ
ズムプログラムを指定するウェーブアルゴリズムデータ
(WAVEALG)と、この指定されたウェーブアルゴリズム
プログラムで使用する各種ウェーブパラメータ(WAVEPA
R1-m)とにより構成されている。また、エフェクトパラ
メータデータには、当該ボイスに対応する基本楽音波形
に付与する効果を生成するエフェクトアルゴリズムプロ
グラムを指定するエフェクトアルゴリズムデータ(NOTE
FCTALG)と、この指定されたエフェクトアルゴリズムプ
ログラムで使用する各種エフェクトパラメータ(NOTEFC
TPAR1-n)とにより構成されている。
【0035】また、前記ウェーブプログラム領域には、
各種ウェーブプログラム(WAVEPRG1-j)が格納され、各
ウェーブプログラムは、前記ウェーブアルゴリズムデー
タによって指定される。そして、前記エフェクトプログ
ラム領域には、各種エフェクトプログラム(NOTEFCTPRG
1-k)が格納され、各エフェクトプログラムは、前記エ
フェクトアルゴリズムデータによって指定される。
【0036】ユーザが各系統に対して音色を指定する
と、該指定された音色に対応するウェーブパラメータデ
ータ(WAVEPAR)が選択されて、そのウェーブパラメー
タデータのうちウェーブアルゴリズムデータによって指
定されたウェーブプログラムが、前記音源部16の当該
系統(指定された音色に対応する系統)のプログラムレ
ジスタに転送され、そのウェーブパラメータデータのう
ち各種ウェーブパラメータ(WAVEPAR1-m)が当該系統に
対応する前記第1または第2のウェーブパラメータバッ
ファに格納される。同様にして、指定された音色に対応
するエフェクトパラメータデータ(NOTEFCTPAR)が選択
されて、そのエフェクトパラメータデータのうちエフェ
クトアルゴリズムデータによって指定されたエフェクト
プログラムが、前記音源部16の当該系統のプログラム
レジスタに転送され、そのエフェクトパラメータデータ
のうち各種エフェクトパラメータ(NOTEFCTPAR1-n)が
当該系統に対応する前記第1または第2のエフェクトパ
ラメータバッファに格納される。
【0037】そして、ユーザがキーオン(発音指示)を
行うと、このキーオンに対応する系統のウェーブパラメ
ータバッファの内容が、このキーオンに対応するキーの
キーコードおよびタッチ等のデータに基づいて変更さ
れ、キーオンウェーブバッファに記憶された後、音源部
16の当該系統のパラメータレジスタ(ウェーブパラメ
ータを記憶するレジスタ)に転送される。同様にして、
このキーオンに対応する系統のエフェクトパラメータバ
ッファの内容が、このキーオンに対応するキーのキーコ
ードおよびタッチ等のデータに基づいて変更され、キー
オンエフェクトバッファに記憶された後、音源部16の
当該系統のパラメータレジスタ(エフェクトパラメータ
を記憶するレジスタ)に転送される。
【0038】図3は、音源部16の構成を示すブロック
図である。
【0039】同図に示すように、音源部16は、第1の
系統の基本楽音波形を生成するウェーブDSP(WAVEDS
P1)161およびこの基本楽音波形に効果を付与するエ
フェクトDSP(EFCTDSP1)162と、第2の系統の基
本楽音波形を生成するウェーブDSP(WAVEDSP2)16
3およびこの基本楽音波形に効果を付与するエフェクト
DSP(EFCTDSP2)164とにより構成されている。
【0040】ウェーブDSP161は、バス19と相互
に接続されるとともに、その生成された基本楽音波形に
効果を付与するため、エフェクトDSP162に接続さ
れている。同様にして、ウェーブDSP163も、バス
19と相互に接続されるとともに、その生成された基本
楽音波形に効果を付与するため、エフェクトDSP16
4に接続されている。
【0041】また、エフェクトDSP162は、バス1
9と相互に接続されるとともに、前記DAC17に接続
されている。エフェクトDSP164は、バス19と相
互に接続されるとともに、エフェクトDSP162に接
続されている。このように、エフェクトDSP164の
出力をエフェクトDSP162に入力するようにしたの
は、エフェクトDSP162は、ウェーブDSP161
が生成した基本楽音信号に効果を付与する機能に加え
て、この効果が付与された第1系列の楽音信号と、エフ
ェクトDSP164からの出力信号、すなわちウェーブ
DSP163が生成した基本楽音信号に効果が付与され
た第2系列の楽音信号とを結合(加算)してDAC17
に出力する機能を備えているからである。もちろん、第
1および第2系列のエフェクトDSP162,164を
ともに基本楽音信号に効果を付与する機能のみを有する
DSPとし、各エフェクトDSP162,164からの
出力信号を加算する加算器を別に設けるようにしてもよ
い。
【0042】このように、各DSP161〜164は、
それぞれ機能が異なるものの、この機能の違いはソフト
ウェアによって実現されるために、各DSP161〜1
64ともにハードウェア構成に違いはない。したがっ
て、以下、1つのDSPを代表させて、そのハードウェ
アの詳細を説明する。
【0043】図4は、上記4つのDSP161〜164
のうち、いずれか1つのDSP16k(kは、1〜4の
いずれかの整数値を示す)のハードウェアの詳細を示す
ブロック図である。
【0044】同図において、DSP16kは、バス19
のうちデータバスとのインターフェースをとるためのデ
ータバスインターフェース16k1と、このDSP16
kでの信号処理に必要なパラメータを格納するパラメー
タレジスタ(PARREG)16k2と、このDSP16kが
行う信号処理の手順を記述する制御プログラム(前記D
SPプログラム)を格納するプログラムメモリ(PRGME
M)16k3と、主としてパラメータレジスタ16k2
に記憶されたパラメータを参照し、プログラムメモリ1
6k3に記憶された制御プログラムに基づいて各種信号
処理演算を実行する信号処理演算部16k4と、信号処
理演算部16k4が信号処理演算を行うときに、その基
礎となる信号が必要な場合(たとえば、エフェクトDS
P162はその信号処理にウェーブDSP161により
生成された基本楽音信号を使用する)には、外部から信
号を入力して信号処理演算部16k4に出力する信号入
力部16k5と、信号処理演算時にその途中の演算結果
等を一時的に記憶する信号演算用RAM16k6と、信
号処理演算の終了した信号処理結果を一時的に蓄え、所
定のタイミングで外部に出力する信号出力部16k7と
により、主として構成されている。
【0045】パラメータレジスタ16k2およびプログ
ラムメモリ16k3は、データバスインターフェース1
6k1と相互に接続されるとともに、信号処理演算部1
6k4に接続されている。信号処理演算部16k4に
は、さらに、信号入力部16k5、信号演算用RAM1
6k6および信号出力部16k7が接続されている。
【0046】また、DSP16kが、たとえばエフェク
トDSP164のときには、信号入力部1645はデー
タバスインターフェース1641およびウェーブDSP
163の信号出力部1637と接続され、信号出力部1
647はデータバスインターフェース1641と接続さ
れている。なお、信号入力部1645や信号出力部16
47の動作や信号のやり取りの手順等は、システムに合
わせて、ソフトウェアあるいはDSPへの指示や設定パ
ラメータに応じて適宜、設定可能である。
【0047】図5は、音源部16が実行する楽音生成処
理を説明するための図である。
【0048】同図において、たとえば、ユーザがパネル
スイッチ2を操作することによって音色(ボイス)を選
択すると、そのボイスセレクト情報がチャンネル(C
H)/ボイスパラメータ指定部51に送信される。同様
にして、ユーザが鍵盤1を押鍵することによってノート
イベントが発生すると、そのノートイベント情報がチャ
ンネル/ボイスパラメータ指定部51に送信される。こ
こで、チャンネル/ボイスパラメータ指定部51は、た
とえばCPU5によって構成される。すなわち、チャン
ネル/ボイスパラメータ指定部51が行う処理はCPU
5が行う処理の一部である。
【0049】チャンネル/ボイスパラメータ指定部51
は、まず、キーオン/オフが指示された系統を指定し、
次に、キーオンが指示されたときにはその発音チャンネ
ルを指定する一方、キーオフが指示されたときにはその
発音中のチャンネルを指定する。そして、入力されたボ
イスセレクト情報およびノートイベント情報に基づい
て、キー情報(たとえば、キーオン/オフ、キーコード
およびタッチ)を生成するとともに、前述のようにして
記憶されたキーオンウェーブバッファおよびキーオンエ
フェクトバッファの内容を読み出す。さらに、指定され
た系統のウェーブDSP161または163の指定され
たチャンネルに上記キー情報および読み出された音色パ
ラメータ(すなわちキーオンウェーブバッファの内容)
を設定するとともに、指定された系統のエフェクトDS
P162または164の指定されたチャンネルに上記キ
ー情報および読み出された効果パラメータ(すなわちキ
ーオンエフェクトバッファの内容)を設定する。
【0050】これにより、指定された系統のウェーブD
SP161または163により、指定されたチャンネル
の基本楽音波形wavek(kは、1〜nのいずれかの
整数値)が生成され、エフェクトDSP162または1
64に出力される。この基本楽音波形wavekに対し
て、指定された系統のエフェクトDSP162または1
64により効果が付与され、効果が付与された楽音波形
choutkが出力される。そして、各系統の各楽音波
形出力choutk(k=1,‥,n)は、前述のよう
にエフェクトDSP162によって加算された後に、D
AC17に出力される。
【0051】本実施の形態では、1系統について同一音
色で異なる音高の楽音波形を8音(n=8)、全2系統
の楽音波形を合成できるように構成されている。すなわ
ち、各系統にそれぞれ異なった音色を割り当てた場合に
は、2音色の楽音波形を各音色に対して最大8音合成で
き、一方、各系統に同じ音色を割り当てた場合には、1
音色の楽音波形を最大16音合成できるように構成され
ている。
【0052】図6は、ある1つのチャンネル_kにおい
て、前記基本楽音波形wavekおよび楽音波形出力c
houtkを生成する方法をさらに詳細に説明するため
の図である。
【0053】本実施の形態では、1音は、複数(たとえ
ば4つ)のエレメントから構成されている。もちろん、
音によっては、全てのエレメントを使用せず、その一部
のエレメントから構成される場合もある。
【0054】同図において、前記音色パラメータとし
て、使用エレメント数、各エレメント毎の波形発生方
式、フィルタ係数や振幅の設定値、およびミキシング係
数が入力され、さらにキー情報が入力されると、これら
の音色パラメータに基づいてエレメント毎に基本楽音波
形が生成され、ミキシング係数により重み付けされた後
にミキシングされて、基本楽音波形wavekが生成さ
れる。同様にして、エフェクトDSP162または16
4には、前記効果パラメータとして、エフェクトアルゴ
リズムおよびこのアルゴリズムに対応するエフェクトパ
ラメータが入力されているので、これらの効果パラメー
タに基づいて、生成された基本楽音波形wavekに効
果が付与され、楽音波形出力choutkが生成され
る。
【0055】以上のように構成された楽音合成装置が実
行する制御処理を、以下、図7〜9を参照して詳細に説
明する。
【0056】図7は、本実施の形態の楽音合成装置、特
にCPU5が実行するメインルーチンの手順を示すフロ
ーチャートである。
【0057】同図において、まず、RAM7のクリア等
の初期設定を行う(ステップS1)。
【0058】次に、ユーザにより鍵盤1やパネルスイッ
チ2が操作されて、その操作演奏イベントが発生したか
否かを検出する操作演奏イベント検出処理を行い(ステ
ップS2)、この検出処理により音色指定イベントが発
生したか否かを判別する(ステップS3)。
【0059】ステップS3で、音色指定イベントが発生
したときには、図8を用いて後述する音色パラメータ設
定処理サブルーチンを実行する(ステップS4)一方、
音色指定イベントが発生しないときには、ステップS4
をスキップしてステップS5に進む。
【0060】ステップS5では、上記ステップS2の検
出処理によりキーオンイベントが発生したか否かを判別
し、キーオンイベントが発生したときには、図9を用い
て後述する発音指示処理サブルーチンを実行する(ステ
ップS6)一方、キーオンイベントが発生しないときに
は、ステップS6をスキップしてステップS7に進む。
【0061】ステップS7では、たとえば、キーオフイ
ベントが検出されたときの消音処理や、他のイベントが
検出されたときの当該イベント対応処理や音色データの
編集処理等のその他の処理を実行した後に、ステップS
2に戻って、上述の処理を繰り返す。
【0062】図8は、ステップS4の音色パラメータ設
定処理サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャート
である。
【0063】同図において、まず、音色指定イベントか
ら、ボイス番号および系列番号を決定し、それぞれRA
M7の所定領域VNO,MLTNOに記憶する(ステッ
プS11)。以下、領域VNOに記憶された内容をボイ
ス番号VNOといい、領域MLTNOに記憶された内容
を系列番号MLTNOという。
【0064】次に、ボイス番号VNOで指定されるボイ
スデータVOICE(VNO)中、すなわち前記図2(c)で説明
したボイスデータVOICE1-iのいずれかのデータ中、ウェ
ーブアルゴリズムデータWAVEALGによって示されるウェ
ーブプログラム、すなわち前記図2(d)で説明したウ
ェーブプログラムWAVEPRG1-jのいずれかを読み出して、
系列番号MLTNOで指定されるウェーブDSP(WAVE
DSP(MLTNO))、すなわちウェーブDSP161または1
63のいずれか一方のプログラムメモリ(PRGMEM)に設
定する(ステップS12)。
【0065】同様にして、ボイス番号VNOで指定され
るボイスデータVOICE(VNO)中、エフェクトアルゴリズム
データNOTEFCTALGによって示されるエフェクトプログラ
ム、すなわち前記図2(d)で説明したエフェクトプロ
グラムNOTEFCTPRG1-kのいずれかを読み出して、系列番
号MLTNOで指定されるエフェクトDSP(EFCTDSP
(MLTNO))、すなわちエフェクトDSP162または1
64のいずれか一方のプログラムメモリ(PRGMEM)に設
定する(ステップS13)。
【0066】そして、ボイス番号VNOで指定されるボ
イスデータVOICE(VNO)中、ウェーブパラメータデータWA
VEPARを読み出して、系列番号MLTNOで指定される
ウェーブパラメータバッファ(WAVEPARBUF(MLTNO))、
すなわち前記図2(b)で説明した第1または第2のウ
ェーブパラメータバッファ(WAVEPARBUF1,2)のいずれ
か一方に転送する(ステップS14)。
【0067】同様にして、ボイス番号VNOで指定され
るボイスデータVOICE(VNO)中、エフェクトパラメータデ
ータNOTEFCTPARを読み出して、系列番号MLTNOで指
定されるエフェクトパラメータバッファ(EFCTPARBUF(M
LTNO))、すなわち前記図2(b)で説明した第1また
は第2のエフェクトパラメータバッファ(EFCTPARBUF1,
2)のいずれか一方に転送した(ステップS15)後
に、本音色パラメータ設定処理を終了する。
【0068】図9は、前記ステップS6の発音指示処理
サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャートであ
る。
【0069】同図において、まず、発生されたキーオン
イベントxに対応する指定音色、すなわち系列番号を検
出し、RAM7の所定領域MLTNOxに記憶する(ス
テップS21)。以下、領域MLTNOxに記憶された
内容を系列番号MLTNOxという。
【0070】次に、系列番号MLTNOxで指定される
ウェーブDSP(WAVEDSP(MLTNOx))において空きチャ
ンネルがあるか否かを検索し(ステップS22)、空き
チャンネルが見つかったか否かを判別する(ステップS
23)。
【0071】ステップS23で、空きチャンネルが見つ
かったときにはステップS24に進む一方、見つからな
かったときにはステップS29に進む。
【0072】ステップS24では、系列番号MLTNO
xで指定されるウェーブパラメータバッファ(WAVEPARB
UF(MLTNOx))の内容を、キーオンイベントxに対応する
ベロシティ(VELOCITYx)やキーコード(KCx)に応じて
変更し、その結果を前記図2(b)で説明したキーオン
ウェーブバッファKEYONWAVEBUFに記憶する。
【0073】続くステップS25では、このキーオンウ
ェーブバッファKEYONWAVEBUFの内容を、系列番号MLT
NOxで指定されるウェーブDSP(WAVEDSP(MLTNO
x))のパラメータレジスタ(PARREGx)に転送する。
【0074】同様にして、系列番号MLTNOxで指定
されるエフェクトパラメータバッファ(EFCTPARBUF(MLT
NOx))の内容を、キーオンイベントxに対応するベロシ
ティ(VELOCITYx)やキーコード(KCx)に応じて変更
し、その結果をキーオンエフェクトバッファKEYONEFCTB
UFに記憶し(ステップS26)、このキーオンエフェク
トバッファKEYONEFCTBUFの内容を、系列番号MLTNO
xで指定されるエフェクトDSP(EFCTDSP(MLTNOx))
のパラメータレジスタ(PARREGx)に転送する(ステッ
プS27)。
【0075】そして、各DSPのチャンネルxに対して
発音開始の指示を行った(ステップS28)後に、本発
音指示処理を終了する。
【0076】ステップS29では、トランケートすべき
チャンネルを決定する。トランケートの方法には、たと
えば、最も減衰が進んでいるチャンネルをトランケート
チャンネルに決定する方法や最も古くキーオンされたチ
ャンネルをトランケートチャンネルに決定する方法等、
各種方法がある。しかし、本発明はトランケートの方法
に特徴があるわけではないので、いずれの方法を採用し
てもよい。
【0077】続くステップS30では、ステップS29
で決定されたチャンネルをトランケートするトランケー
ト処理を行い、トランケートが完了するまで、すなわち
ステップS31の判別の結果、その答えが“YES"に
なるまでトランケート処理を繰り返した後、ステップS
24に進む。
【0078】なお、本発音指示処理は、キーオンイベン
トが発生した後、対応するキーオフイベントが発生する
までに、他のキーオンイベントが発生しないという場合
を対象とし、同時に複数の楽音が発音される場合を考慮
していないが、本発音指示処理を繰り返して実行するこ
とにより、簡単に対処することができる。
【0079】以上説明したように、本実施の形態では、
系列毎に異なったエフェクトプログラムを設定し、この
エフェクトプログラムを実行することにより系列毎に異
なった効果を付与するようにしたので、ユーザは音色に
応じて思い通りの効果を付与することができ、効果の幅
を拡大することができる。
【0080】次に、各系列のエフェクトDSP162,
164で実行される10種類の効果付与処理を、図10
〜21を参照して具体的に説明する。
【0081】図10は、エレクトリックピアノの電磁ピ
ックアップ特有の効果(周波数特性)を付与する処理を
説明するための図であり、(a)は、そのアルゴリズム
をハードウェア的に示したものであり、(b)は、その
電磁ピックアップ周辺の構造を示したものである。
【0082】エレクトリックピアノの電磁ピックアップ
周辺は、(b)に示すように、振動子(Tine)とこれと
対向して置かれたピックアップ(Pickup)とによって、
主として構成されており、振動子をハンマ(図示せず)
で叩くことによって振動子が振動し、この振動をピック
アップが検出して電気信号に変換する。
【0083】(a)のアルゴリズムは、この電磁ピック
アップで検出される振動子の振動をシミュレートしてい
る。
【0084】(a)において、入力信号Inputは、乗算
器MLT1によりパラメータDriveの値と乗算され、そ
の振幅が変更される。ここで、パラメータDriveとは、
振動子の振幅の大きさを示すパラメータをいい、この値
が大きいほど入力信号Inputの音量変化に対する音色の
変化が強調される。このパラメータDriveは、ピックア
ップと振動子との距離を変えるものと言い換えてもよ
い。
【0085】パラメータDriveには、(a)に示すよう
に下線が付与されている。この下線は、入力信号Input
(すなわちウェーブDSP161または163が生成す
るあるチャンネルの基本楽音波形、以下、図面が変わっ
ても同様)固有の情報(その代表的なものは「音高」で
あるので、以下、説明の都合上「音高」に限定して説明
する)に応じて制御されるものであることを示してい
る。具体的には、パラメータDriveに対して、このパラ
メータDriveの値を、入力信号Inputの音高に応じて正方
向または負方向にシフトさせるシフト量を決定し、この
シフト量をパラメータDriveの値に加算することによっ
て、制御される。この制御方法は、音高に応じて制御さ
れるパラメータであれば、どのパラメータであっても共
通である。もちろん、この制御方法に限定する必要はな
く、音高に応じてそのパラメータの値を変化させる方法
であれば、どのような方法を採用してもよい。
【0086】乗算器MLT1の出力は2つに分岐され、
一方は積分器Integに供給され、この積分出力はハ
イパスフィルタHPF1により不要な低域成分が除去さ
れた後に、セレクタSEL1の入力端T0に供給され、
他方はセレクタSEL1の入力端T1に供給される。
【0087】セレクタSEL1のセレクト端子には、パ
ラメータPickup_typeが供給され、パラメータPickup_ty
peが“0"または“2"のときには、セレクタSEL1か
らは入力端T1に供給された信号が出力され、パラメー
タPickup_typeが“1"のときには、セレクタSEL1か
らは入力端T0に供給された信号が出力される。
【0088】ここで、パラメータPickup_typeは、0〜
2のいずれかの整数値を採るパラメータであり、“0"
は、セレクタSEL1および後段のセレクタ2でともに
入力端T1側の入力信号を選択するモードで浅めの効果
を狙う“normal"タイプとすることを示し、“1"は入力
信号Inputを速度波として扱い、乗算器MLT1に続く
積分器Integで積分して変位波とし、非線形テーブ
ルTBLの出力(磁束密度に対応)を微分器Diffの
出力を選択するというピックアップ周辺の動作を物理的
に追った構成で信号処理が行われる“integrate"タイプ
を示している。また“2"は、セレクタSEL1では入
力端T1、セレクタSEL2では入力端T0側を選択す
る“differentiate"タイプを選択するモードで高域が強
調される効果が得られる。
【0089】セレクタSEL1の出力は加算器ADDの
一方の入力端に供給され、加算器ADDの他方の入力端
にはパラメータPositionが供給される。パラメータPosi
tionは、ピックアップの中心に対する振動子のずれ位置
を示すパラメータであり、このパラメータPositionの値
は音高によって制御される。
【0090】図11は、パラメータPositionを音高に応
じてシフトするシフト量パラメータの特性の一例を示す
図であり、横軸は音高を示し、縦軸はシフト量パラメー
タの大きさを示している。なお、後述するパラメータAo
utも、パラメータPositionと同様の制御を行うため、図
11は、パラメータAoutをシフトするシフト量パラメー
タの特性も示している。このため、縦軸にはパラメータ
の名称が省略されている。
【0091】同図において、パラメータlow_break_poin
tは、パラメータPositionの音高による変化を与えるた
めの、“C3"より下側のブレークポイントを示し、パ
ラメータhigh_break_pointは、同様に、“C3"より上
側のブレークポイントを示している。
【0092】そして、パラメータPosition_high_kfは、
パラメータhigh_break_pointで設定した音高より上にお
けるパラメータPositionの傾きを示し、傾きが正で高音
側ほどパラメータPositionの値が大きく設定され、負で
低音側ほどパラメータPositionの値が大きく設定され
る。同様にして、パラメータPosition_high_mid_kfは、
“C3"とパラメータhigh_break_pointで設定した音高
との間おけるパラメータPositionの傾きを示し、パラメ
ータPosition_low_mid_kfは、“C3"とパラメータlow_
break_pointで設定した音高との間おけるパラメータPos
itionの傾きを示し、パラメータPosition_low_kfは、パ
ラメータlow_break_pointで設定した音高より下におけ
るパラメータPositionの傾きを示している。
【0093】図10に戻り、加算器ADDの出力は、前
記電磁ピックアップが生成する電磁場により検出信号に
ひずみ成分が付加される現象をシミュレートするための
非線形テーブルTBLに入力される。加算器ADDから
の出力信号、すなわちセレクタSEL1からの出力信号
にパラメータPositionの値分オフセットを加えた信号
は、その信号レベル(振幅)に応じて非線形テーブルT
BLが検索され、ひずみ成分が付加される。
【0094】非線形テーブルTBLの出力は2つに分岐
され、一方は微分器Diffに供給され、他方はハイパ
スフィルタHPF2に供給される。ハイパスフィルタH
PF2には、ピックアップ出力の低域をカットする周波
数を示すパラメータHighpassが供給される。
【0095】微分器Diffの出力はセレクタSEL2
の入力端T0に供給され、ハイパスフィルタHPF2の
出力はセレクタSEL2の入力端T1に供給される。そ
して、セレクタSEL2のセレクト端子には前記パラメ
ータPickup_typeが供給され、パラメータPickup_typeが
“2"のときには入力端T0に供給された信号、すなわ
ち微分器Diffにより微分された信号が出力され、パ
ラメータPickup_typeが“2"以外のときには入力端T1
に供給された信号、すなわちハイパスフィルタHPF2
により低域成分がカットされた信号が出力される。
【0096】セレクタSEL2の出力は、この出力信号
の高域成分をカットするロウパスフィルタLPFに供給
される。ロウパスフィルタLPFは、電磁ピックアップ
のインダクタンスによる特性を実現(シミュレート)す
るためのもので、カットオフ周波数を示すパラメータCu
toffと、電磁ピックアップの共振特性を示すパラメータ
Resonanceが供給されている。パラメータCutoffは、音
高に応じてその値が制御されるパラメータである。
【0097】ロウパスフィルタLPFの出力は乗算器M
LT2に供給され、他に供給されたピックアップの出力
レベルを示すパラメータAoutと乗算されて、出力信号Ou
tputが生成される。ここで、パラメータAoutは音高によ
って制御されるが、その制御方法は、上述したパラメー
タPositionの制御方法と同様であるので、その説明を省
略する。
【0098】なお、本アルゴリズムは、上述のように、
エフェクトDSP162,164で実行される効果付与
処理のソフトウェアプログラム(マイクロプログラム)
のアルゴリズムを示し、ハードウェアによって実現され
るものではない。しかし、図10では、本アルゴリズム
をハードウェアを用いて説明している。これは、ハード
ウェアを用いて説明した方が直感的に分かり易いという
説明上の理由からである。
【0099】図12は、エレクトリックギターの弦と電
磁ピックアップの関係における特有の効果(周波数特
性)を付与する処理を説明するための図であり、(a)
は、そのアルゴリズムをハードウェア的に示したもので
あり、(b)は、その電磁ピックアップ周辺の構造を示
したものである。
【0100】エレクトリックギターの電磁ピックアップ
周辺は、(b)に示すように、ブリッジBとナットNと
の間に張られた弦Sと、弦Sの長手方向の所定位置に設
けられた電磁ピックアップ(Pickup)とによって、主と
して構成されており、演奏者が弦Sを弾くことによって
発生する弦振動を電磁ピックアップが検出して電気信号
に変換する。
【0101】(a)は、この演奏者が弦Sを弾いてから
電気信号に変換されるまでをシミュレートする、すなわ
ち、ピッキングの位置およびピックアップの位置による
音色変化および電磁ピックアップの特性をシミュレート
するプログラムのアルゴリズムを示している。より具体
的には、ピッキングの位置およびピックアップの位置に
応じて、入力信号を弦振動に変換し、これを電磁ピック
アップで検出し、ピックアップ特有の周波数特性を付加
して出力する。(a)において、入力信号Inputは2つ
に分岐され、一方は遅延器Delay1を介して加算器
ADD1の一方の入力端に供給され、他方は、乗算器M
LT1を介して加算器ADD1の他方の入力端に供給さ
れる。乗算器MLT1には、ピッキングの位置による音
色の変化を与えるパラメータPicking_notchが供給さ
れ、乗算器MLT1は、このパラメータPicking_notch
の値に応じて入力信号Inputの振幅を調整し、加算器A
DD1に出力する。パラメータPicking_notchはその正
負極性および値によって、遅延器Delay1と乗算器
MTL1を経由したフィードフォワード路によって構成
される櫛形フィルタの共振峰特性を種々変化させること
ができ、それによって音色の多様な変化が得られる。パ
ラメータPicking_notchの値を正の範囲で変化させると
きは、ギター等で撥弦位置を変えて弾く操作のシミュレ
ーションに相当し、負の値とするときは現実の弦振動現
象では起こり得ない設定となり、新規音発生や特殊効果
の演出が可能となる。
【0102】遅延器Delay1には、加算器ADD2
により、フレットの位置を変えた場合に、ピッキング位
置とピックアップの位置の変化を同時に制御するパラメ
ータFlet_controlの値およびピッキングの位置を示すパ
ラメータPicking_positionの値が加算されて供給され
る。パラメータPicking_positionは、その値が、たとえ
ば“0"でブリッジB側ぎりぎり、“127"で弦Sの中
央を示している。また、パラメータPicking_position
も、音高によって制御されるパラメータであり、音高に
応じて決定されるシフト量だけその値が変更される。
【0103】加算器ADD1の出力は、2つに分岐さ
れ、一方は遅延器Delay2を介して加算器ADD3
の一方の入力端に供給され、他方は、乗算器MLT2を
介して加算器ADD3の他方の入力端に供給される。乗
算器MLT2には、ピックアップの位置による音色の変
化を与えるパラメータPickup_notchが供給され、乗算器
MLT2は、このパラメータPickup_notchの値に応じて
入力信号Inputの振幅を調整し、加算器ADD3に出力
する。パラメータPickup_notchはその正負極性および値
によって、遅延器Delay2と乗算器MTL2を経由
したフィードフォワード路によって構成される櫛形フィ
ルタの共振峰特性を種々変化させることができ、それに
よって音色の多様な変化が得られる。パラメータPickup
_notchの値を正の範囲で変化させるときは、エレクトリ
ックギターにおいて弦Sに対するピックアップの位置を
変化させた場合のシミュレーションに相当し、一方、負
の値とするときは現実では起こり得ない設定となり、新
規音発生や特殊効果の演出が可能となる。
【0104】遅延器Delay2には、加算器ADD4
により、前記パラメータFlet_controlの値およびピック
アップの位置を示すパラメータPickup_positionの値が
加算されて供給される。パラメータPickup_position
は、その値が、たとえば“0"でブリッジB側ぎりぎ
り、“127"で弦Sの中央を示している。また、パラ
メータPickup_positionも、音高によって制御されるパ
ラメータであり、音高に応じて決定されるシフト量だけ
その値が変更される。
【0105】図13は、弦モデルおよびその等価変換モ
デルを示す図であり、図12の遅延器Delay1,2
により弦Sに発生する弦振動をシミュレートできること
の理論的根拠を示している。図13中、(a)は、電磁
ピックアップの位置における弦振動、すなわち弦に発生
した弦振動が電磁ピックアップの位置まで伝達されたと
きの弦振動をモデリングしたものであり、(b)は、
(a)のモデルを等価変換したものを示している。
【0106】励振信号(振動)を与えたときに弦Sに発
生する弦振動は、一般的に(a)に示されるモデルで表
現されることが知られている。(a)中、各ブロックは
遅延器を示し、各遅延器の遅延量は想定される弦の振動
体としての実効的な長さやピッキングの位置および電磁
ピックアップの位置に応じて決定される。基本的には、
上下に対応し合う遅延器の遅延量は同等とする。ループ
回路の全遅延量、すなわち遅延器DL1,DL2,DM
1,DM2,DR1,DR2の全遅延量(dl1+dl
2+dm1+dm2+dr1+dr2)は、発生する楽
音の音高によって決定され、各遅延器の遅延量の配分
は、ピッキングの位置および電磁ピックアップの位置に
応じて決定される。
【0107】なお、弦の振動損失特性等を実現するため
には、ループ回路内にフィルタ等の任意の信号減衰要素
を適宜介挿すればよい。また、遅延器DR1およびDR
2間または遅延器DL1およびDL2間に、フィルタや
位相反転器を設置する場合があるが、この場合には、設
置された要素、すなわちフィルタまたは位置反転器は、
遅延器DR1,DR2,DL1,DL2のいずれかに含
まれるものとみなせばよい。
【0108】(a)のモデルを等価変換すると、(b)
のモデルが得られる。(b)において、遅延器DMの遅
延量dmは、上記遅延器DM1,DM2の各遅延量dm
1,dm2を加算したもの(dm=dm1+dm2)に
対応し、同様に、遅延器DRの遅延量dr、遅延器DL
の遅延量dlおよび遅延器DXの遅延量dxは、次のよ
うに対応する。
【0109】 dr=dr1+dr2 dl=dl1+dl2 dx=dt(=dr+dl+dm)−dl=dr+dm この(b)のモデルを再度等価変換(または簡単化)す
ることにより、図12の遅延器Delay1,2および
加算器1,3で構成される回路が得られる。すなわち、
図12の回路によって、弦Sに発生する弦振動をシミュ
レートすることができる。もちろん、図13(a)ある
いは(b)のような構成をそのまま図12の弦モデル部
分に用いるようにしてもよい。
【0110】図12に戻り、加算器ADD3の出力は、
積分器Integに供給され、この積分出力は、前記電
磁ピックアップが生成する電磁場により検出信号にひず
み成分が付加される現象をシミュレートするための非線
形テーブルTBLに入力される。非線形テーブルTBL
には、ピックアップと弦Sとの距離を示すパラメータDi
stanceが供給される。パラメータDistanceの値は、たと
えば積分器Integからの積分出力にオフセット(加
算)され、そのオフセット結果に基づいて、非線形テー
ブルTBLが検索され、所定のひずみ成分が付与された
信号が出力される。パラメータDistanceは、たとえば、
その値が小さい(近い)ほど出力レベルは大きく、電磁
ピックアップの歪みが強調されるように作用する。
【0111】非線形テーブルTBLの出力は、微分器D
iffに供給されて微分された後に、所定の周波数成分
を強調するエンファサイザ(イコライザとほぼ等価の動
作をする)Empに供給される。エンファサイザEmp
には、電磁ピックアップの種類を示すパラメータPickup
_typeが供給され、エンファサイザEmpは、このパラ
メータPickup_typeの値に応じて、そのピックアップに
応じて、入力信号の周波数成分を強調する。パラメータ
Pickup_typeは、たとえば0または1のいずれかの整数
値を採り、“0"のときには、シングルコイルピックア
ップ特有の高音の伸びのある音となるように周波数成分
が強調され、“1"のときには、ハムバッキングピック
アップ特有のメローな音になるように周波数成分が強調
される。
【0112】エンファサイザEmpの出力は、ハイパス
フィルタHPFに供給され、ハイパスフィルタHPFに
は、ピックアップ出力の低域をカットする周波数を示す
パラメータHighpassが供給される。このパラメータHigh
passも、音高により制御される。
【0113】ハイパスフィルタHPFの出力は2つに分
岐され、一方は、混合量を変更できる混合器MIXの一
方の入力端に直接供給され、他方は、ロウパスフィルタ
LPFを介して混合器MIXの他方の入力端に供給され
る。ロウパスフィルタLPFには、電磁ピックアップの
インダクタンスによる特性を実現するフィルタの、カッ
トオフ周波数を示すパラメータCutoff、および電磁ピッ
クアップの共振特性を示すパラメータResonanceが供給
され、ロウパスフィルタLPFは、これらパラメータCu
toff,Resonanceに応じて高域成分をカットした信号を
混合器MIXの他方の入力端に供給する。
【0114】混合器MIXには、電磁ピックアップの特
性をバイパスする割合、すなわちロウパスフィルタLP
Fによって高域成分がカットされた信号と、このロウパ
スフィルタLPFをバイパスした信号との混合比率を示
すパラメータFilter_bypassが供給され、混合器MIX
は、このパラメータFilter_bypassの値に応じてロウパ
スフィルタLPFからの出力信号およびハイパスフィル
タHPFから直接出力された信号を混合して、出力Outp
utとして外部に出力する。
【0115】図14は、入力信号を水音に変える効果を
付与する処理を説明するための図であり、そのアルゴリ
ズムをハードウェア的に示したものである。このアルゴ
リズムでは、入力信号にサンプル&ホールドLFO(Lo
w Frequency Oscilator)を使ったフィルターモジュレ
ーションをかけて、水が流れる感じを出し、音高に応じ
た共鳴弦を通すことでピッチ感を付けている。
【0116】同図において、入力信号Inputは2つに分
岐され、一方はバンドパスフィルタBRFに供給され、
他方は乗算器MLT1に供給される。
【0117】バンドパスフィルタBRFには、加算器A
DD1の出力およびこのフィルタBPFのレゾナンスを
示すパラメータResonanceが供給される。
【0118】加算器ADD1の一方の入力端には、フィ
ルタモジュレーションの中心周波数を示すパラメータCu
toffが供給され、他方の入力端には、乗算器MLT2の
出力が供給される。乗算器MLT2には、ノイズ発生器
Noiseによって発生されたノイズが、超低周波数発
振器LFOにより発生された信号に応じてサンプル/ホ
ールド回路S/Hによりサンプル/ホールドされ、ロウ
パスフィルタLPFにより高周波成分が除去された信号
が入力され、この信号と、他に入力されたフィルタモジ
ュレーションの深さを示すパラメータDepthの値とが乗
算される。そして、ノイズ発生器Noiseから乗算器
MLT2までの回路により、サンプル&ホールドLFO
が構成される。
【0119】超低周波数発振器LFOには、サンプル&
ホールドLFOのスピードを示すパラメータSpeedが供
給されている。パラメータSpeedは、その値が大きいほ
ど、すなわち速いほど水の流れが速いように聞こえる。
さらに、ロウパスフィルタLPFには、サンプル&ホー
ルドLFOのなめらかさを示すパラメータSmoothnessが
供給されている。パラメータSmoothnessは、その設定値
に従って水の粘性が変わるように聞こえる。
【0120】バンドパスフィルタBRFの出力は、加算
器ADD2の一方の入力端に供給され、加算器ADD2
の他方の入力端には乗算器MLT3の出力が供給され、
その加算結果がロウパスフィルタLPF2に供給され
る。
【0121】ロウパスフィルタLPF2には、共鳴弦内
の高域減衰量を示すパラメータHigh_dumpが供給されて
いる。パラメータHigh_dumpは、具体的には、弦の材質
に相当する。
【0122】ロウパスフィルタLPF2の出力は2つに
分岐され、一方は遅延器Delayに供給され、他方は
加算器ADD3に供給される。遅延器Delayには、
共鳴弦の音高を半音単位で設定するパラメータPitch_co
arse、および共鳴弦の音高の微調整をセント単位で行な
うパラメータPitch_fineが供給される。
【0123】遅延器Delayの出力は2つに分岐さ
れ、一方は外部への出力信号Output1となり、他方は乗
算器MLT3に供給される。乗算器MLT3には、他に
共鳴弦の共鳴の強さを示すパラメータFBが供給され、遅
延器Delayからの出力信号の振幅がパラメータFBに
より変更される、すなわちフィードバック量が調整され
る。ここで、パラメータFBの値は、大きくするほど音高
感がはっきりするが、あまり大きくし過ぎると水音の雰
囲気がなくなる。
【0124】加算器ADD3の他方の入力端には、エン
ベロープジェネレータEGの出力が供給され、エンベロ
ープジェネレータEGには、ノートオフ後の出力信号の
減衰時間を示すパラメータReleaseが供給され、エンベ
ロープジェネレータEGは、このパラメータReleaseに
応じてエンベロープ信号を生成する。
【0125】加算器ADD3の出力はハイパスフィルタ
HPFに供給され、ハイパスフィルタHPFには、水音
出力にかけるハイパスフィルタHPFのカットオフ周波
数を示すパラメータHighpassが供給され、ハイパスフィ
ルタHPFは、このパラメータHighpassで示される周波
数以下の周波数成分を除去した信号を乗算器MLT4に
供給する。
【0126】乗算器MLT4には、他に、水音の出力レ
ベルを示すパラメータWetが供給され、このパラメータW
etの値に応じて水音の出力レベルが調整された後に、加
算器ADD4の一方の入力端に供給される。
【0127】加算器ADD4の他方の入力端には、乗算
器MLT1の出力が供給される。乗算器MLT1には、
入力信号Inputの出力レベルを示すパラメータDryが供給
され、このパラメータDryの値に応じて入力信号Inputの
出力レベルが調整された後に、加算器ADD1に供給さ
れる。
【0128】加算器ADD1は、この入力信号Inputお
よび水音を示す信号、すなわち乗算器MLT4からの出
力信号を加算して出力信号Output2を生成して外部に出
力する。
【0129】図15は、アナログシンセサイザのPWM
(Pulse Width Modulation)効果と類似の効果を付与す
る処理を説明するための図であり、そのアルゴリズムを
ハードウェア的に示したものである。
【0130】本アルゴリズムは、次の原理に基づいて構
成されている。
【0131】すなわち、ノコギリ波形の位相をずらした
ものと元波形との差をとると、パルス波形となる。この
原理を用い、入力波形を遅延器に通したものと入力波形
との差をとり、遅延器の読み出し位置(位相)を超低周
波発振器やエンベロープジェネレータなどで変調すれば
ノコギリ波形に対してはPWM波形が得られる。結局は
櫛形(コム)フィルタとして働くため、どのような入力
に対しても、特定の倍音を弱める働きをする。遅延器が
入力信号の周期のちょうど半分の場合、偶数次倍音が打
ち消され、奇数次倍音のみとなる。このような櫛形状の
周波数特性を得ることで、アナログシンセサイザのVC
O(Voltage Controlled Oscillator)のPWMと同様
の周波数特性をシミュレートできる。結果としてどのよ
うな波形入力に対してもPWMのような「味」を持った
コーラス感を付与することができる。
【0132】図15において、入力信号Inputは2つに
分岐され、一方は、後述する各種パラメータに応じて遅
延量が決定される遅延器Delayおよび入力値“−
1"により入力信号(すなわち遅延器Delayからの
出力信号)を反転する乗算器MLT1を介して、混合量
を変更できる混合器MIXの一方の入力端に供給され、
他方は直接混合器MIXの他方の入力端に供給される。
混合器MIXには、入力信号Inputと遅延した信号の混
合量を示すパラメータBalanceが供給され、パラメータB
alanceは、“0"で入力信号Inputのみが出力信号Output
として出力され、“32"で入力信号Inputと遅延した信
号との差となり、通常のPWM効果が付与された信号が
出力信号Outputとして出力され、“−32"では和とな
り、コーラス効果が付与された信号が出力信号Outputと
して出力される。
【0133】遅延器Delayには、3つの入力端を備
えた加算器ADDの出力が供給され、遅延器Delay
は、この加算器ADDの出力値に応じて決定された遅延
量だけ入力信号Inputを遅延させる。
【0134】加算器ADDの3つの入力端には、パルス
幅を設定するパラメータPulse_width、遅延長を半音単
位で設定するパラメータPitch_coarseおよび3つの入力
端を備えた乗算器MLT2の出力が供給される。パラメ
ータPulse_widthは、たとえば“64“でパルス幅50
%となるように設定され、パラメータPitch_coarseは、
たとえば“0"でC3=261.63Hzに対応した遅
延長となるように設定されるが、通常は入力信号Input
の基本ピッチに設定しておく。
【0135】乗算器MLT2の3つの入力端には、エン
ベロープジェネレータEGの出力、パルス幅変調の深さ
を示すパラメータPWM_depth、および乗算器MLT3を
介して振幅調整された超低周波発振器LFOの出力が供
給される。
【0136】エンベロープジェネレータEGには、その
動作モードを示すパラメータEG_mode、エンベロープの
形状(深さ)を示すパラメータEG_shape、およびエンベ
ロープの到達時間を示すパラメータTimeが供給される。
パラメータEG_modeは、たとえば0〜2のいずれかの整
数値を採り、“0"のときには、エンベロープジェネレ
ータEGにより楽音波形のディケイ部のエンベロープが
発生され、“1"のときにはアタック部のエンベロープ
が発生され、“2"のときにはフェードインのエンベロ
ープが発生される。パラメータEG_shapeは、“0"でエ
ンベロープは発生されず(最大値のまま変化しない)、
“32"で深さが50%、“64"で100%となる。た
だし、フェードインが指定されているときには、“3
2"以上で遅延器Delayが動作する。パラメータTim
eは、音高によって制御されるパラメータであり、エン
ベロープの到達時間は音高によって変化が与えられる。
【0137】超低周波発振器LFOには、その動作モー
ドを示すパラメータLFO_mode、その周波数を示すパラメ
ータSpeed、出力波形の種類を示すパラメータWave、お
よびノートオンでリセットされる超低周波発振器LFO
の位相を示すパラメータPhaseが供給され、超低周波発
振器LFOは、これら各種パラメータに応じた出力波形
を発生する。ここで、パラメータLFO_modeは、たとえば
0〜2のいずれかの整数値を採り、“0"は、超低周波
発振器LFOをいずれのノートに対しても共通に用いる
モードを示し、“1"は、超低周波発振器LFOをノー
ト毎に用い、ノートオン時にリセットがかかるモードを
示し、“2"は、超低周波発振器LFOをノート毎に用
い、ノートオン時の位相がランダムに変化するモードを
示している。パラメータWaveは、たとえば0または1の
いずれかの整数値を採り、“0"は、超低周波発振器L
FOから三角波が出力されるモードを示し、“1"は、
超低周波発振器LFOから正弦波が出力されるモードを
示している。パラメータPhaseは、たとえば0°、90
°、180°、270°のいずれかの位相を採るように
設定される。
【0138】前記乗算器MLT3には、超低周波発振器
LFOにおけるパルス幅変調の深さを示すパラメータDe
pthが供給され、超低周波発振器LFOからの出力信号
は、パラメータDepthにより振幅が調整された後に、前
記乗算器MLT2に供給される。パラメータDepthは、
たとえば、“0"のときには超低周波発振器LFOから
の出力が無効となってエンベロープジェネレータEGか
らの出力のみが有効となり、“32"のときには超低周
波発振器LFOからの出力の振幅が振幅0からエンベロ
ープジェネレータEGのエンベロープの振幅まで振れる
ようになり、“64"のときには超低周波発振器LFO
からの出力の振幅の絶対値がエンベロープジェネレータ
EGからの出力の振幅まで振れる正および負の出力信号
となる。
【0139】図16は、ジェット機の上昇下降音のよう
な響きを付与するエフェクタであるフランジャ(flange
r)が生成する効果を付与する処理を説明するための図
であり、そのアルゴリズムをハードウェア的に示したも
のである。
【0140】本アルゴリズムは、次の原理に基づいてい
る。
【0141】すなわち、入力信号を遅延器を介して遅延
したものと、入力信号とを混合することで複数の周波数
にディップ(谷)を発生させ、遅延器からの出力を帰還
させることにより複数のピーク(山)を発生させる。遅
延長をエンベロープジェネレータや超低周波発振器で変
調させることにより、複数のディップやピークの周波数
が変化する特殊なフィルタとして動作させる。遅延長を
ピッチ周波数と正確に対応づけることで特殊な効果を得
ることが出来る。
【0142】図16において、入力信号Inputは2つに
分岐され、一方は加算器ADD1の一方の入力端に供給
され、他方は乗算器MLT1の一方の入力端に供給され
る。乗算器MLT1の他方の入力端には、入力信号Inpu
tの出力レベルを示すパラメータDryが供給され、入力信
号Inputは、このパラメータDryの値に応じて振幅調整さ
れた後に加算器ADD2の一方の入力端に供給される。
【0143】加算器ADD1の他方の入力端には、後述
する各種パラメータに応じて遅延量が決定される遅延器
Delayの出力が、乗算器MLT2により、その帰還
量(フランジャの帰還量)を示すパラメータFeedbackの
値に応じて振幅調整された後に、供給される。パラメー
タFeedbackは、その絶対値が大きいほど、入力信号Inpu
tの周波数のピークが強調される。
【0144】加算器ADD1の出力は遅延器Delay
に供給され、遅延器Delayの出力は2つに分岐され
て、一方は上記乗算器MLT2に供給され、他方は乗算
器MLT3の一方の入力端に供給される。乗算器MLT
3の他方の入力端には、フランジャ効果が付与された信
号の出力レベルを示すパラメータWetが供給され、乗算
器MLT3は、遅延器Delayからの出力、すなわち
フランジャ効果が付与された信号の振幅をパラメータWe
tの値により振幅調整して上記加算器ADD2の他方の
入力単に供給する。
【0145】加算器ADD2の出力は、乗算器MLT4
の一方の入力端に供給され、乗算器MLT4の他方の入
力端には、ノートオフ後の出力信号の減衰時間を示すパ
ラメータReleaseに応じて減衰時間が制御されたエンベ
ロープを出力するエンベロープジェネレータEG1の出
力が供給される。乗算器MLT4は、加算器ADD2か
らの出力の振幅を、エンベロープジェネレータEG1か
らのエンベロープの値により調整し、出力信号Outputと
して外部に出力する。
【0146】遅延器Delayには、エンベロープジェ
ネレータEG2からのエンベロープ出力および超低周波
発振器LFOからの出力信号を加算する加算器ADD3
の出力が供給され、遅延器Delayは、この加算結果
に応じた遅延量で加算器ADD1からの出力信号を遅延
させる。
【0147】エンベロープジェネレータEG2には、エ
ンベロープのアタック部の時間を示すパラメータAttac
k、エンベロープのディケイ部の時間を示すパラメータD
ecay、およびエンベロープの到達レベルを示すパラメー
タSustainが供給され、エンベロープジェネレータEG
2は、これらのパラメータに基づいてエンベロープを生
成して、乗算器MLT5に供給する。乗算器MLT5に
は、その出力レベルを調整するパラメータEG_depthが供
給され、乗算器MLT5は、エンベロープジェネレータ
EG2からのエンベロープの振幅を、パラメータEG_dep
thの値により調整して前記加算器ADD3に供給する。
【0148】ここで、パラメータAttackは、音高によっ
て制御されるパラメータであり、パラメータDecayも、
音高によって制御されるパラメータである。
【0149】超低周波発振器LFOには、その出力信号
の周波数を示すパラメータSpeedが供給され、超低周波
発振器LFOは、このパラメータSpeedの値に応じた周
波数の信号を生成して、乗算器MLT6に供給する。乗
算器MLT6には、その出力レベルを調整するパラメー
タLFO_depthが供給され、乗算器MLT6は、超低周波
発振器LFOからの出力の振幅を、パラメータLFO_dept
hの値により調整して前記加算器ADD3に供給する。
【0150】図17は、楽音信号に回転感や広がり・奥
行きを持たせるエフェクタであるフェイザ(Phaser)が
生成する効果を付与する処理を説明するための図であ
り、そのアルゴリズムをハードウェア的に示したもので
ある。
【0151】本アルゴリズムは、次の原理に基づいてい
る。
【0152】すなわち、入力信号にオールパスフィルタ
を介して位祖遅延を与えたものと、入力信号とを混合す
ることで複数の周波数にディップ(谷)を発生させ、オ
ールパスフィルタからの出力を帰還させることより複数
のピーク(山)を発生させる。このオールパスの係数を
エンベロープジェネレータや超低周波発振器で変調させ
ることにより、複数のディップやピークの周波数が変化
する特殊なフィルタとして動作させる。位相変化をピッ
チ周波数と正確に対応づけることで特殊な効果を得るこ
とが出来る。
【0153】図17から分かるように、本効果処理は上
記図16の効果処理に対して、遅延器Delayに代え
てオールパスフィルタAPFを使用したこと、エンベロ
ープジェネレータEG2に供給されるパラメータの種類
が異なる点のみが相違するため、この相違点についての
み説明する。
【0154】オールパスフィルタAPFは、入力信号In
putに位相遅延を付与するために用いている。
【0155】エンベロープジェネレータEG2には、そ
の動作モードを示すパラメータEG_mode、およびエンベ
ロープの到達時間を示すパラメータTimeが供給される。
パラメータEG_modeは、たとえば0または1のいずれか
の整数値を採り、“0"のときには、エンベロープジェ
ネレータEGによりディケイタイプ、すなわち減衰する
タイプのエンベロープが発生され、“1"のときにはア
タックタイプ、すなわち増加するタイプのエンベロープ
が発生される。
【0156】図18は、入力信号に倍音成分を付加する
効果を付与する処理を説明するための図であり、そのア
ルゴリズムをハードウェア的に示したものである。
【0157】本効果は、入力信号を遅延器に入力し、そ
の読みだし位置(位相)を入力信号により変調すること
で波形に歪みを与えることで実現できる。
【0158】図18において、入力信号Inputは3つに
分岐され、1つは乗算器MLT1の一方の入力端に供給
された後に、加算器ADD1の一方の入力端に供給さ
れ、1つは、遅延器Delayおよび乗算器MLT2を
介して加算器ADD1の他方の入力端に供給され、残り
の1つは入力信号Inputの高域成分をカットするロウパ
スフィルタLPFに供給される。加算器ADD1は、こ
の2つの入力を加算して出力信号Outputとして外部に出
力する。
【0159】乗算器MLT1には、入力信号Inputの出
力レベルを示すパラメータDryが供給され、入力信号Inp
utは、このパラメータDryの値に応じて振幅調整され
る。また、乗算器MLT2には、変調された信号の出力
レベルを示すパラメータWetが供給され、乗算器MLT
2は、遅延器Delayからの出力、すなわち変調され
た信号の振幅をパラメータWetの値により調整する。
【0160】遅延器Delayには、遅延長を半音単位
で設定するパラメータPitch_coarseおよび3つの入力端
を備えた加算器ADD2の出力が供給される。パラメー
タPitch_coarseは、たとえば“0"でC3=261.6
3Hzに対応した遅延長となるように設定されるが、変
調をより深くしたい場合にはその値を小さくする。基本
ピッチより“−12"に設定すれば2倍の遅延長とな
り、“−24"にすれば4倍の遅延長となる。
【0161】加算器ADD2の3つの入力端には、変調
の中心となる遅延器Delayの読み出し位置(位相)
を与えるパラメータPhase、変調の向きを示すパラメー
タPolarity、および乗算器MLT2の出力が供給され
る。パラメータPhaseは、その値を変更することによ
り、遅延器Delayの入力と読み出し位置との位相関
係が変化して入力信号Inputの音色が変化する。パラメ
ータPolarityは、たとえば0または1のいずれかの整数
値を採るパラメータであって、“0"のときには入力信
号Inputが増加すると遅延量も増加するように遅延器D
elayが制御され、“1"のときには入力信号Inputが
増加すると遅延量が減少するように遅延器Delayが
制御される。
【0162】乗算器MLT2には、前記ロウパスフィル
タLPFの出力が供給されるとともに、加算器ADD3
の出力が供給される。ロウパスフィルタLPFには、変
調に用いる入力信号Inputの高域成分をカットする周波
数を示すパラメータDrive_lowpassが供給される。パラ
メータDrive_lowpassは、音高によって制御されるパラ
メータである。
【0163】このようにして設定されたパラメータDriv
e_lowpassに応じて、ロウパスフィルタLPFは、高域
成分が除去された入力信号Inputを乗算器MLT2に供
給する。
【0164】加算器ADD3には、変調の深さを示すパ
ラメータDrive、および乗算器MLT3を介して振幅調
整されたエンベロープジェネレータEGからのエンベロ
ープ出力が供給される。パラメータDriveも、音高によ
って制御されるパラメータである。
【0165】エンベロープジェネレータEGには、その
動作モードを示すパラメータEG_mode、およびエンベロ
ープの到達時間を示すパラメータTimeが供給される。パ
ラメータEG_modeは、たとえば0または1のいずれかの
整数値を採り、“0"のときには、エンベロープジェネ
レータEGによりディケイタイプ、すなわち減衰するタ
イプのエンベロープが発生され、“1"のときにはアタ
ックタイプ、すなわち増加するタイプのエンベロープが
発生される。エンベロープジェネレータEGは、これら
のパラメータに応じたエンベロープを生成して、乗算器
MLT3に出力する。
【0166】乗算器MLT3には、その出力レベルを調
整するパラメータEG_depthが供給され、乗算器MLT3
は、エンベロープジェネレータEGからのエンベロープ
の振幅を、パラメータEG_depthの値により調整して前記
加算器ADD3に供給する。加算器ADD3は、この振
幅調整されたエンベロープおよびパラメータDriveの値
を加算して、乗算器MLT2に供給する。乗算器MLT
は、ロウパスフィルタLPFから出力された高域成分が
カットされた入力信号Inputの振幅を、加算器ADD3
からの出力値に応じて調整し、前記加算器ADD2に供
給する。
【0167】図19は、入力信号をモジュレータとして
用いた、ノンキャリア(キャリア周波数が零)FMオペ
レータによる効果を付与する処理を説明するための図で
あり、そのアルゴリズムをハードウェア的に示したもの
である。
【0168】本アルゴリズムは、次の原理に基づいてい
る。
【0169】すなわち、入力信号を加工してモジュレー
タ波形を得、これで正弦波を読み出す。変調が深いと読
み出す位相の変化が大きいので、高い周波数成分が強調
された音となり、変調が浅いと低い周波数成分が主とな
る。また、フィードバックFMにより、読み出す波形を
正弦波から倍音の多いノコギリ波まで変化させることも
できる。このようにして、いわゆるFMらしい音から、
アナログシンセサイザのような音まで得ることができ
る。
【0170】図19において、入力信号Inputは2つに
分岐され、一方は乗算器(アンプ)MLT1に供給さ
れ、他方は乗算器MLT2に供給される。乗算器MLT
1には、入力信号Inputの出力レベルを示すパラメータD
ryが供給され、乗算器MLT1は、このパラメータDry
の値に応じて入力信号Inputの振幅を調整し、加算器A
DD1の一方の入力端に供給する。
【0171】乗算器MLT2には、変調に用いる入力信
号Inputを増幅するゲインを示すパラメータPre_gainが
供給され、乗算器MLT2は、入力信号Inputの振幅を
パラメータPre_gainの値に応じて増幅し、ロウパスフィ
ルタLPF1に供給する。
【0172】ロウパスフィルタLPFには、変調信号の
高域成分をカットする周波数を示すパラメータPre_lowp
assが供給され、ロウパスフィルタLPFは、このパラ
メータPre_lowpassの値に応じて、乗算器MLT2から
の出力信号の高域成分を除去し、3つの入力端を備えた
乗算器MLT3の1つの入力端に供給する。
【0173】乗算器MLT3には、変調の深さを示すパ
ラメータDrive、および乗算器MLT4の出力が供給さ
れる。パラメータDriveは、音高によって制御されるパ
ラメータである。
【0174】乗算器MLT4には、その出力レベルを調
整するパラメータEG_depthが供給され、乗算器MLT4
は、エンベロープジェネレータEG1からのエンベロー
プの振幅を、パラメータEG_depthの値により調整して前
記乗算器MLT3に供給する。
【0175】エンベロープジェネレータEG1の出力は
2つに分岐され、一方は上記乗算器MLT4に供給さ
れ、他方は乗算器MLT5に供給される。乗算器MLT
5には、FMのフィードバック量をエンベロープジェネ
レータEG1からのエンベロープ出力で変調する変調量
を示すパラメータEdge_EG_depthが供給され、乗算器M
LT5は、入力されたエンベロープの振幅をパラメータ
Edge_EG_depthの値に応じて調整し、加算器ADD2の
一方の入力端に供給する。
【0176】加算器ADD2の他方の入力端には、FM
のフィードバック量を示すパラメータBiasが供給され、
加算器ADD2は、振幅調整されたエンベロープとパラ
メータBiasの値を加算し、パラメータEdge_EG_depthと
して乗算器MLT6の一方の入力端に供給する。
【0177】前記乗算器MLT3の出力は、ロウパスフ
ィルタLPF2に供給され、ロウパスフィルタLPF2
には、強調される倍音成分の周波数の上限を示すパラメ
ータCeilingが供給され、このパラメータCeilingの値に
応じて、ロウパスフィルタLPF2は、乗算器MLT3
からの出力信号の高域成分を除去し、加算器ADD3の
一方の入力端に供給する。加算器ADD3の他方の入力
端には、倍音成分を制御するパラメータOvertoneが供給
される。パラメータOvertoneは、その設定値が大きいほ
ど、出力信号Outputには偶数倍音が多くなる。
【0178】加算器ADD3の出力は、加算器ADD4
の一方の入力端に供給され、加算器ADD4の他方の入
力端には、前記乗算器MLT6の出力が供給される。加
算器ADD4は、これらの入力値を加算して、正弦波テ
ーブルTBLに供給する。正弦波テーブルTBLでは、
入力信号に応じて正弦波が読み出され、その出力を乗算
器MLT6を介してフィードバックするとともに、ハイ
パスフィルタHPFに供給する。
【0179】ハイパスフィルタHPFには、変調された
信号の低域成分をカットする周波数を示すパラメータHi
ghpassが供給され、ハイパスフィルタHPFは、このパ
ラメータHighpassに応じて、正弦波テーブルTBLから
の出力信号の低域成分をカットし、ロウパスフィルタL
PF3に供給する。パラメータHighpassは、音高によっ
て制御されるパラメータである。
【0180】ロウパスフィルタLPF3には、変調され
た信号の高域成分をカットする周波数を示すパラメータ
Lowpassが供給され、ロウパスフィルタLPF3は、こ
のパラメータLowpassに応じてハイパスフィルタHPF
からの出力信号の高域成分をカットし、加算器ADD5
の一方の入力端に供給する。パラメータLowpassも音高
によって制御されるパラメータであ。
【0181】加算器ADD5の他方の入力端には、エン
ベロープジェネレータEG2からのエンベロープが供給
され、加算器ADD5は、これらの値を加算して乗算器
MLT7に供給する。
【0182】乗算器MLT7には、変調された信号の出
力レベルを示すパラメータWetが供給され、乗算器ML
T7は、このパラメータWetの値に応じて加算器ADD
5からの出力信号の振幅を調整し、前記加算器ADD1
の他方の入力端に供給する。
【0183】加算器ADD1は、前記乗算器MLT1か
らの出力と加算器ADD1からの出力を加算し、出力信
号Outputとして外部に出力する。
【0184】図20は、入力信号(被変調波)を内部発
振器の信号でAM変調を行ったときの効果を付与する処
理を説明するための図であり、そのアルゴリズムをハー
ドウェア的に示したものである。
【0185】本アルゴリズムでは、変調度最大(たとえ
ば200%)の場合は乗算となり、いわゆるリング変調
器と等価になり、変調波と被変調波の和と差の周波数成
分を生じる。変調度が小さくなるに従って被変調波の周
波数成分が主となり、変調度0%では被変調波のみとな
る。本アルゴリズムでは変調波は正弦波であるが、AM
変調器をメインとサブの2つ用意して、より複雑な倍音
を付加することができる。
【0186】図20において、入力信号Inputは、3つ
の入力端を備えた乗算器MLT1の1つの入力端に供給
され、乗算器MLT1の他の2つの入力端には、メイン
発振器MainOSCの出力および加算器ADD1の出
力が供給される。
【0187】乗算器MLT1の出力は、同様に3つの入
力端を備えた乗算器MLT2の1つの入力端に供給さ
れ、乗算器MLT2の他の2つの入力端には、サブ発振
器SubOSCの出力および加算器ADD2の出力が供
給される。乗算器MLT2は、3つの入力端に供給され
た信号を全て乗算し、出力信号Outputとして外部に出力
する。
【0188】メイン発振器MainOSCには、メイン
発振器MainOSC側の変調波のピッチを半音単位で
設定するパラメータPitch_coarse、メイン発振器Mai
nOSC側の変調波のピッチの微調整をセント単位で行
なうパラメータPitch_fine、メイン発振器MainOS
C側の変調波の周波数オフセットを示すパラメータMain
_frequency_coarse、このパラメータMain_frequency_co
arseの微調整を行うパラメータMain_frequency_fine、
および乗算器MLT3の出力側が供給される。
【0189】サブ発振器SubOSCには、乗算器ML
T4からの出力、メイン発振器MainOSC側の変調
波の周波数オフセットを示すパラメータSub_frequency_
coarse、このパラメータSub_frequency_coarseの微調整
を行うパラメータSub_frequency_fine、および乗算器M
LT3の出力側が供給される。乗算器MLT4の一方の
入力端には、前記パラメータPitch_coarse,Pitch_fine
が供給され、他方の入力端には、サブ発振器SubOS
C側の変調波のピッチを、メイン発振器MainOSC
側のピッチに対する比率で設定するパラメータSub_pitc
hが供給される。乗算器MLT4は、パラメータPitch_c
oarse,Pitch_fineの各値を、パラメータSub_pitchの比
率で変更して、サブ発振器SubOSCに供給する。
【0190】前記乗算器MLT3には、エンベロープジ
ェネレータEGからのエンベロープ出力、およびその出
力レベルを調整するパラメータPEG_depthが供給され、
乗算器MLT3は、エンベロープジェネレータEGから
のエンベロープの振幅を、パラメータPEG_depthの値に
より調整してメインおよびサブ発振器MainOSC,
SubOSCに供給する。
【0191】エンベロープジェネレータEGからのエン
ベロープ出力は、乗算器MLT5,6にも供給される。
また、乗算器MLT5には、その出力レベルを調整する
パラメータMain_EG_depthが供給され、乗算器MLT5
は、エンベロープジェネレータEGからのエンベロープ
の振幅を、パラメータMain_EG_depthの値により調整し
て前記加算器ADD1の一方の入力端に供給する。さら
に、乗算器MLT6には、その出力レベルを調整するパ
ラメータSub_EG_depthが供給され、乗算器MLT6は、
エンベロープジェネレータEGからのエンベロープの振
幅を、パラメータSub_EG_depthの値により調整して加算
器ADD2の一方の入力端に供給する。
【0192】エンベロープジェネレータEGには、その
動作モードを示すパラメータEG_mode、およびエンベロ
ープの到達時間を示すパラメータTimeが供給され、エン
ベロープジェネレータEGは、これらパラメータEG_mod
e,Timeに応じたエンベロープを生成する。このパラメ
ータEG_mode,Timeは、前記図18で説明したパラメー
タEG_mode,Timeと同様であるため、その説明を省略す
る。
【0193】加算器ADD1の他方の入力端には、メイ
ン発振器MainOSC側の変調の深さを示すパラメー
タMain_Mod_depthが供給され、加算器ADD2の他方の
入力端には、サブ発振器SubOSC側の変調の深さを
示すパラメータSub_Mod_depthが供給される。加算器A
DD1は、パラメータMain_EG_depthの値により調整さ
れたエンベロープにパラメータMain_Mod_depthの値を加
算して、前記乗算器MLT1に供給する。また、加算器
ADD2は、パラメータSub_EG_depthの値により調整さ
れたエンベロープにパラメータSub_Mod_depthの値を加
算して、前記乗算器MLT2に供給する。
【0194】図21は、入力信号をローブーストフィル
タに通した後、オーバードライブ回路を経て出力すると
きの効果を付与する処理を説明するための図であり、そ
のアルゴリズムをハードウェア的に示したものである。
【0195】本アルゴリズムでは、ローブーストの量は
EGで制御することができるため、単に音を太くするだ
けでなく、アタック部分を強調したりしてコンプレッサ
のような効果を得ることもできる。オーバードライブも
ノート毎に効くため、通常のエフェクタと異なる効果が
得られる。
【0196】図21において、入力信号Inputは乗算器
MLT1の一方の入力端に供給され、乗算器MLT1の
他方の入力端には、入力信号Inputのレベルを示すパラ
メータAinが供給され、乗算器MLT1は、パラメータA
inに応じて入力信号Inputの振幅を調整してローブース
トフィルタLBFに供給する。
【0197】ローブーストフィルタLBFには、加算器
ADDの出力が供給され、加算器ADDの2つの入力端
には、ローブースト量を示すパラメータDrive、および
エンベロープジェネレータEGからのエンベロープ出力
が乗算器MLT2により振幅調整された出力が供給さ
れ、加算器ADDは、これらの出力を加算して、最終的
なローブースト量を決定しローブーストフィルタLBF
に供給する。
【0198】エンベロープジェネレータEGには、エン
ベロープのアタック部の時間を示すパラメータAttack、
エンベロープのディケイ部の時間を示すパラメータDeca
y、およびエンベロープの到達レベルを示すパラメータS
ustainが供給され、エンベロープジェネレータEGは、
これらのパラメータに基づいてエンベロープを生成し
て、乗算器MLT2に供給する。乗算器MLT2には、
その出力レベルを調整するパラメータDepthが供給さ
れ、乗算器MLT2は、エンベロープジェネレータEG
からのエンベロープの振幅を、パラメータDepthの値に
より調整して前記加算器ADDに供給する。
【0199】ローブーストフィルタLBFからの出力
は、乗算器MLT2の一方の入力端に供給され、乗算器
MLT2の他方の入力端には、オーバードライブ量を示
すパラメータOver_driveが供給され、乗算器MLT2
は、パラメータOver_driveの値に応じてローブーストフ
ィルタLBFからの出力の振幅を調整した後、この出力
値が所定の上限値を超えたときにその上限値に近づけ、
この出力値が所定の下限値を下回ったときにその下限値
に近づけるような特性のテーブルデータによって構成さ
れる飽和テーブルTBLに供給する。
【0200】飽和テーブルTBLは、入力された信号に
応じてテーブルデータを検索し、その検索結果をハイパ
スフィルタHPFに供給する。ハイパスフィルタHPF
には、出力信号の低域成分をカットする周波数を示すパ
ラメータHighpassが供給され、ハイパスフィルタHPF
は、このパラメータHighpassに応じて、飽和テーブルT
BLからの出力信号の低域成分をカットし、乗算器ML
T3に供給する。パラメータHighpassは、音高によって
制御されるパラメータであ。
【0201】乗算器MLT3には、出力レベルを示すパ
ラメータAoutが供給され、乗算器MLT3は、パラメー
タAoutの値に応じて、ハイパスフィルタHPFからの出
力の振幅を調整し、出力信号Outputとして外部に出力す
る。
【0202】このように、本実施の形態では、各効果ア
ルゴリズムにおいて使用されるパラメータ(本実施の形
態では一部のパラメータ)の値を、入力信号(ウェーブ
DSP161,163が発生した基本楽音信号)の音高
に応じて、すなわちノート毎に制御するようにしたの
で、付与する効果の幅をさらに拡大させることができ
る。
【0203】なお、効果付与対象の楽音の音高が発音中
に時々刻々と変化する場合には、その楽音の周波数デー
タ等で付与すべき効果をリアルタイムに制御するように
すればよい。
【0204】また、図10および図12〜21に示した
信号処理回路はDSPが行う信号処理アルゴリズムを回
路的に記述表現したものである。DSPを用いる以外
に、汎用のマイクロプロセッサ(たとえば前記CPU
5)で処理することも可能である。もちろん、これらを
図の通りにハードウェア化してもよい。
【0205】なお、上述した各実施の形態の機能を実現
するソフトウェアのプログラムを記録した記憶媒体を、
システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置
のコンピュータ(またはCPU5やMPU)が記憶媒体
に格納されたプログラムを読出し実行することによって
も、本発明の目的が達成されることは云うまでもない。
【0206】この場合、記憶媒体から読出されたプログ
ラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、
そのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成する
ことになる。
【0207】プログラムを供給するための記憶媒体とし
ては、たとえば、前記HDD11のハードディスク、C
D−ROM21,MO,MD,フロッピーディスク2
0、CD−R(CD- Recordable)、磁気テープ、不揮発
性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、他のMIDI機器100や通信ネットワーク10
1を介してサーバコンピュータ102からプログラムが
供給されるようにしてもよい。
【0208】また、コンピュータが読出したプログラム
を実行することにより、上述した各実施の形態の機能が
実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づ
き、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処
理の一部または全部を行い、その処理によって上述した
実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは云
うまでもない。
【0209】さらに、記憶媒体から読出されたプログラ
ムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコン
ピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリ
に書込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その
機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU5な
どが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によ
って上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含
まれることは云うまでもない。
【0210】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に依れば、
楽音指定手段により指定された音色および音高に応じて
基本楽音波形が複数のチャンネルで発生され、前記指定
された音色に対応する効果アルゴリズムプログラムが実
行されて、当該効果が前記発生した基本楽音波形に当該
各チャンネル毎に独立に付与され、該付与される効果の
特性が、当該各チャンネルの効果付与対象である基本楽
音波形の音高に応じて当該各チャンネル毎に独立に制御
されるので、効果の幅を拡大させることが可能となる効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る楽音合成装置のの
概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の各種メモリのメモリマップを示す図であ
る。
【図3】図1の音源部の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の4つのDSPのうち、いずれか1つのD
SPのハードウェアの詳細を示すブロック図である。
【図5】図1の音源部が実行する楽音生成処理を説明す
るための図である。
【図6】ある1つのチャンネルにおいて、図5の基本楽
音波形wavekおよび楽音波形出力choutkを生
成する方法をさらに詳細に説明するための図である。
【図7】図1の楽音合成装置、特にCPUが実行するメ
インルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図8】図7の音色パラメータ設定処理サブルーチンの
詳細な手順を示すフローチャートである。
【図9】図7の発音指示処理サブルーチンの詳細な手順
を示すフローチャートである。
【図10】エレクトリックピアノの電磁ピックアップ特
有の効果を付与する処理を説明するための図である。
【図11】パラメータPositionを音高に応じてシフトす
るシフト量パラメータの特性の一例を示す図である。
【図12】エレクトリックギターの弦と電磁ピックアッ
プの関係における特有の効果を付与する処理を説明する
ための図である。
【図13】弦モデルおよびその等価変換モデルを示す図
である。
【図14】入力信号を水音に変える効果を付与する処理
を説明するための図である。
【図15】アナログシンセサイザのPWM効果と類似の
効果を付与する処理を説明するための図である。
【図16】フランジャが生成する効果を付与する処理を
説明するための図である。
【図17】フェイザが生成する効果を付与する処理を説
明するための図である。
【図18】入力信号に倍音成分を付加する効果を付与す
る処理を説明するための図である。
【図19】入力信号をモジュレータとして用いた、ノン
キャリアFMオペレータによる効果を付与する処理を説
明するための図である。
【図20】入力信号を内部発振器の信号でAM変調を行
ったときの効果を付与する処理を説明するための図であ
る。
【図21】入力信号をローブーストフィルタに通した
後、オーバードライブ回路を経て出力するときの効果を
付与する処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 鍵盤(楽音指定手段) 2 パネルスイッチ(楽音指定手段) 5 CPU(楽音指定手段) 16 音源部(基本波形発生手段、効果付与手段、制御
手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−54877(JP,A) 特開 平6−138877(JP,A) 特開 昭62−194289(JP,A) 特開 平3−174593(JP,A) 特開 平5−46166(JP,A) 特開 平8−110776(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 1/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生すべき楽音の音色および音高を指定
    するための楽音指定手段と、 該指定された音色および音高に応じた基本楽音波形を発
    生する基本波形発生手段と、 効果アルゴリズムプログラムを実行することにより、前
    記発生された基本楽音波形に対して、当該基本楽音波形
    を遅延させる処理を含む効果を付与する効果付与手段
    と、 前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプログ
    ラムを実行するように前記効果付与手段を制御する制御
    手段とを有し、 前記効果アルゴリズムは、エレクトリックギターの電磁
    ピックアップ特有の効果を付与するために、入力された
    前記基本楽音波形を遅延する遅延量を前記エレクトリッ
    クギターの想定されるピッキングの位置および前記電磁
    ピックアップの想定される位置に応じて変更するアルゴ
    リズムであって、 前記ピッキング位置および前記ピックアップ位置を、前
    記指定された楽音の音高に応じて制御するものであるこ
    とを特徴とする楽音合成装置。
  2. 【請求項2】 発生すべき楽音の音色および音高を指定
    するための楽音指定手段と、 該指定された音色および音高に応じた基本楽音波形を発
    生する基本波形発生手段と、 効果アルゴリズムプログラムを実行することにより、前
    記発生された基本楽音波形に当該効果を付与する効果付
    与手段と、 前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプログ
    ラムを実行するように前記効果付与手段を制御する制御
    手段とを有し、 前記効果アルゴリズムは、ランダム信号を発生し、該ラ
    ンダム信号に基づいてカットオフ周波数を制御し、該カ
    ットオフ周波数がランダム制御されたバンドパ スフィル
    タにより前記発生した基本楽音波形を帯域制限し、該帯
    域制限された楽音波形を、当該音高に応じて少なくとも
    遅延量が制御されるループに注入するものであることを
    特徴とする楽音合成装置。
  3. 【請求項3】 楽音指定手段により発生すべき楽音の音
    色および音高を指定する楽音指定工程と、 該指定された音色および音高に応じた基本楽音波形を発
    生する基本波形発生工程と、 効果アルゴリズムプログラムを実行することにより、前
    記発生された基本楽音波形に対して、当該基本楽音波形
    を遅延させる処理を含む効果を付与する効果付与工程
    と、 前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプログ
    ラムを実行するように前記効果付与工程を制御する制御
    工程とを有し、 前記効果アルゴリズムは、エレクトリックギターの電磁
    ピックアップ特有の効果を付与するために、入力された
    前記基本楽音波形を遅延する遅延量を前記エレクトリッ
    クギターの想定されるピッキングの位置および前記電磁
    ピックアップの想定される位置に応じて変更するアルゴ
    リズムであって、 前記ピッキング位置および前記ピックアップ位置を、前
    記指定された楽音の音高に応じて制御するものであるこ
    とを特徴とする楽音合成方法。
  4. 【請求項4】 楽音指定手段により発生すべき楽音の音
    色および音高を指定する楽音指定工程と、 該指定された音色および音高に応じた基本楽音波形を発
    生する基本波形発生工程と、 効果アルゴリズムプログラムを実行することにより、前
    記発生された基本楽音波形に当該効果を付与する効果付
    与工程と、 前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプログ
    ラムを実行するように前記効果付与工程を制御する制御
    工程とを有し、 前記効果アルゴリズムは、ランダム信号を発生し、該ラ
    ンダム信号に基づいてカットオフ周波数を制御し、該カ
    ットオフ周波数がランダム制御されたバンドパスフィル
    タにより前記発生した基本楽音波形を帯域制限し、該帯
    域制限された楽音波形を、当該音高に応じて少なくとも
    遅延量が制御されるループに注入するものであることを
    特徴とする楽音合成方法。
  5. 【請求項5】 楽音指定手段により発生すべき音色およ
    び音高を指定する楽音指定モジュールと、 該指定された音色および音高に応じた基本楽音波形を発
    生する基本波形発生モジュールと、 効果アルゴリズムプログラムを実行することにより、前
    記発生された基本楽音波形に対して、当該基本楽音波形
    を遅延させる処理を含む効果を付与する効果付与モジュ
    ールと、 前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプログ
    ラムを実行するように前記効果付与モジュールを制御す
    る制御モジュールとを含み、 前記効果アルゴリズムは、エレクトリックギターの電磁
    ピックアップ特有の効果を付与するために、入力された
    前記基本楽音波形を遅延する遅延量を前記エレクトリッ
    クギターの想定されるピッキングの位置および前記電磁
    ピックアップの想定される位置に応じて変更するアルゴ
    リズムであって、 前記ピッキング位置および前記ピックアップ位置を、前
    記指定された楽音の音高に応じて制御するものであるこ
    とを特徴とするコンピュータが実現できるプログラムを
    格納した記憶媒体。
  6. 【請求項6】 楽音指定手段により発生すべき音色およ
    び音高を指定する楽音指定モジュールと、 該指定された音色および音高に応じた基本楽音波形を発
    生する基本波形発生モジュールと、 効果アルゴリズムプログラムを実行することにより、前
    記発生された基本楽音波形に当該効果を付与する効果付
    与モジュールと、 前記指定された音色に対応する効果アルゴリズムプログ
    ラムを実行するように前記効果付与モジュールを制御す
    る制御モジュールとを含み、 前記効果アルゴリズムは、ランダム信号を発生し、該ラ
    ンダム信号に基づいてカットオフ周波数を制御し、該カ
    ットオフ周波数がランダム制御されたバンドパスフィル
    タにより前記発生した基本楽音波形を帯域制限し、該帯
    域制限された楽音波形を、当該音高に応じて少なくとも
    遅延量が制御されるループに注入するものであることを
    特徴とするコンピュータが実現できるプログラムを格納
    した記憶媒体。
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