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JP3214964B2 - 回折光学素子 - Google Patents

回折光学素子

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JP3214964B2
JP3214964B2 JP25963993A JP25963993A JP3214964B2 JP 3214964 B2 JP3214964 B2 JP 3214964B2 JP 25963993 A JP25963993 A JP 25963993A JP 25963993 A JP25963993 A JP 25963993A JP 3214964 B2 JP3214964 B2 JP 3214964B2
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JP
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grating
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steps
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diffractive optical
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照弘 塩野
久仁 小川
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Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
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Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回折光学素子、特に、
斜め入射光に対してグレーティング周期の小さい領域で
も回折効率が良い回折光学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】回折光学素子は光の回折現象を利用する
光学素子であり、複数のグレーティングパターン(回折
格子)により構成されている。一般に、回折光学素子で
は回折効率がどのくらい達成できるかは非常に重要な要
素である。従来の回折光学素子として、図9に示すよう
な断面形状が階段状である垂直入射用の回折形のマイク
ロレンズが知られている。(J. Jahns and S. J. Walke
r : " Two-dimensional array of diffractive microle
nses fabricated by thin film deposition", Applied
Optics Vol. 29, No. 7, pp. 931-936 (1990).)。図9
において、(a)は平面図であり、(b)及び(c)は
その側部断面図である。図9から明らかなように、この
従来の回折光学素子は垂直入射光を集光あるいはコリメ
ートするものであり、基板上1に同心円のグレーティン
グパターン8,8’が設けられている。グレーティング
パターン8,8’は、外周に行くにつれてグレーティン
グ周期が小さくなるように構成されている。各グレーテ
ィングパターンの断面は階段形状であり、そのステップ
数(段数)は(b)に示すような2段階のものや、
(c)に示すような4段階のものから16段階程度のも
のが考えられている。このような従来の回折光学素子で
は、グレーティング周期が異なっていても、同一の素子
では素子全域でグレーティングの階段形状のステップ数
はすべて同じであり、また最大膜厚もすべて同じであ
る。(b)に示した2段階の回折光学素子では、入射光
を回折できる割合である回折効率は41%であるが、
(c)に示した4段階にすると回折効率は81%に向上
する。さらに、8段階にすると95%、16段階では9
9%というように、階段のステップ数が多いほど回折効
率が高くなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記回折効率及び階段
形状の断面を有するグレーティングパターンのステップ
数との関係を考慮すると、どのような種類の回折光学素
子であっても、階段形状のグレーティングパターンのス
テップ数が多ければ多いほど回折効率が高くなることは
容易に推定される。実際、入射光が垂直方向から傾いた
斜入射光になってきた場合、グレーティング周期が大き
い領域においては、ステップ数が多いほど回折効率はや
はり高かった。しかし、グレーティング周期が入射光の
波長に近い領域では、グレーティングパターンのステッ
プ数が多い素子では回折効率が急激に小さくなるという
問題点があることを本発明者らは見いだした。さらに、
グレーティング周期が入射光の波長に近い領域では、グ
レーティング周期が小さいため微細加工が難しく、グレ
ーティングパターンのステップ数が多い素子では設計通
りの階段形状が実現できず、その結果、光学特性が低下
するという問題点も有していた。本発明は、上記問題点
を解決するためになされたものであり、斜め入射光に対
して、回折光学素子全域にわたって回折効率が高く、グ
レーティング周期の小さい領域でも作製が容易な回折光
学素子を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の回折光学素子は、基板と、前記基板上に形
成された断面が階段形状であるグレーティング部を具備
する回折光学素子であって、前記グレーティング部は、
周期が入射波長の第1の所定数倍より小さい第1の領域
と、前記周期が前記入射波長の前記第1の所定数倍より
大きい第2の領域を具備し、前記第1の領域の階段形
状のステップ数は、前記第2の領域の階段形状のステッ
プ数より小さく、斜入射光に対して、前記周期が前記
入射波長の前記第1の所定数倍の近傍にあるとき、前記
第1の領域の回折効率は、前記第2の領域の回折効率と
実質的に等しいことを特徴とする。上記構成において、
グレーティング部は、第1の領域および第2の領域以外
の他の領域を具備し、階段形状のステップ数は、グレー
ティング部の周期が小さくなるにつれて徐々に小さくな
ることが好ましい。また、グレーティング部の周期が入
射波長の第1の所定数倍より大きい領域ではステップ数
は3以上であり、グレーティング部の周期が入射波長の
第1の所定数倍より小さい領域ではステップ数は2であ
り、前記第1の所定数は1.5〜3の間のいずれかの値
であることが好ましい。また、ステップ数が2の領域で
は、グレーティング部のディーティ比(1つの周期にお
ける空気層以外の領域の割合)は0.15〜0.5の間
のいずれかの値であることが好ましい。また、グレーテ
ィング部の周期が入射波長の第2の所定数倍より大きい
領域ではステップ数は4以上であり、グレーティング部
の周期が入射波長の第2の所定数倍よりも小さく、かつ
第1の所定数倍より大きい領域ではステップ数は3であ
り、前記第2の所定数は2〜5の間のいずれかの値(た
だし、前記第1の所定数は前記第2の所定数よりも小さ
い)であることが好ましい。また、グレーティング部の
周期が入射波長の第3の所定数倍より大きい領域ではス
テップ数は5以上であり、前記第3の所定数倍より小さ
く前記第2の所定数倍より大きい領域ではステップ数は
4であり、前記第3の所定数は4〜7の間のいずれかの
値(ただし、前記第2の所定数は前記第3の所定数より
も小さい)であることが好ましい。また、グレーティン
グ部の最大膜厚は、ステップ数に応じて異なることが好
ましい。また、グレーティング部のパターンは中心対称
で、かつ一方向に凸の曲線であり、前記凸の方向に周期
が徐々に小さくなることが好ましい。また、グレーティ
ング部のパターンは直線であり、徐々に周期が変化する
ことが好ましい。
【0005】
【作用】階段状断面を有するグレーティングに対して入
射光が垂直方向から傾斜して入射する場合、すべての領
域で階段状のステップ数が多いほど回折効率が高くなる
のではなく、グレーティング周期に応じて回折効率が高
くなるステップ数が存在する。そのため、各グレーティ
ング部の周期に応じてそのグレーティング部の階段状断
面のステップ数を最適な値に設定することにより、回折
光学素子全域にわたって回折効率が高くなる。また、グ
レーティング周期が小さくなるほど最適なステップ数が
小さくなる傾向があるので、グレーティング周期の小さ
い領域でも作製が容易になる。
【0006】
【実施例】本発明の回折光学素子の第1の実施例を図1
から図4までを用いて詳細に説明する。図1において、
(a)は本発明の回折光学素子の第1の実施例の基本構
成を示す断面図であり、(b)はその平面図である。図
2は第1の実施例におけるグレーティング周期と1次回
折光の回折効率との関係を示す図である。図3は第1の
実施例において、グレーティング部2Aのデューティ比
をパラメータとしたグレーティング周期と1次回折光の
回折効率との関係を示す図である。図4は第1の実施例
におけるの集光の様子を示す図である。図1に示すよう
に、第1の実施例に係る回折光学素子は、基板1及び基
板1上に形成されたグレーティング部2を具備する。こ
のグレーティング部2は、グレーティング周期が小さい
グレーティング部2Aの領域と、グレーティング周期が
大きいグレーティング部2Bの領域とからなる。各グレ
ーティング部2A及び2Bはそれぞれ断面が階段形状で
ある。グレーティング周期が大きいグレーティング部2
Bの領域では、階段形状のステップ数は3である。ま
た、グレーティング周期が小さいグレーティング部2A
の領域では、階段形状のステップ数は2である。図2に
示すように、グレーティング周期が、例えば入射光の波
長の1.6倍より小さい領域はステップ数2のグレーテ
ィング部2Aであり、それより大きい領域はステップ数
3のグレーティング部2Bである。
【0007】入射光が垂直方向から傾いた斜入射光であ
る場合、グレーティング周期が大きいグレーティング部
2Bの領域においては、階段形状のステップ数が多い回
折光学素子ほど回折効率は高く、階段形状のステップ数
が少ない回折光学素子では回折効率は低かった。しか
し、グレーティング周期が入射光の波長に近いグレーテ
ィング部2Aの領域では、ステップ数が多い素子は回折
効率が急激に小さくなり、一方、階段形状のステップ数
が少ない回折光学素子では、グレーティング周期が入射
光の波長に近づく領域でも回折効率の低下の割合が小さ
いか、むしろ回折効率は向上する傾向にあることを本発
明者らは発見した。その詳細を以下に述べる。入射光の
入射角がθ=20°、グレーティング部2A及び2Bの
屈折率がn=1.5の場合について、回折効率とグレー
ティング周期との関係を図2に示す。図2において実線
で示したように、グレーティング周期が大きい領域2B
では、ステップ数が3の素子は回折効率は50数%示
す。しかし、グレーティング周期が小さくなり、グレー
ティング周期が入射光の波長の2倍程度の領域2Aにな
ると急激に低下する。一方、点線で示したように、グレ
ーティング周期が大きい領域2Bでは、ステップ数が2
の素子は回折効率が30〜40%である。しかし、グレ
ーティング周期が小さくなり、グレーティング周期が入
射光の波長の2〜3倍程度の領域から回折効率は上昇す
る。例えば、グレーティング周期が入射光の波長の1.
6倍のところでステップ数が2の素子の回折効率とステ
ップ数3の素子の回折効率が同じになることがわかる。
従って、例えばグレーティング周期が入射光の波長の
1.6倍より大きい領域ではグレーティング部2の階段
形状のステップ数を3とし、これよりグレーティング周
期が小さい領域では階段形状のステップ数を2とするこ
とにより、回折光学素子全域にわたって回折効率を高く
することができる。
【0008】従来、グレーティング周期が入射光の波長
に近い領域では、グレーティング周期が小さいため微細
加工が難しく、ステップ数が多い素子では設計通りの階
段形状が実現できず、光学特性が悪くなるという問題点
を有していたが、本発明者らはグレーティング周期が小
さくなればなるほど最適ステップ数が小さくなる傾向が
あることを発見したので、それを応用すればグレーティ
ング周期の小さい領域でも回折光学素子の作製が容易に
なる。すなわち、従来、素子全域でステップ数3の階段
形状の回折光学素子を作製しようとした場合、グレーテ
ィング周期が大きい領域ではステップ数が3の階段形状
の加工は良好にできたが、グレーティング周期が小さな
領域では階段形状のエッジ部がだれ、うまく加工できな
かった。しかし、本実施例の回折光学素子では、グレー
ティング周期が入射光の波長の1.6倍より小さい領域
では、ステップ数が2の矩形形状でよいため、微細加工
が容易になり、設計通りに加工することが可能となる。
なお、本実施例では、ステップ数を2と3に切り換える
規格化グレーティング周期Λ/λ(Λ:グレーティング
周期)が1.6の場合について述べたが、ステップ数を
切り換える条件は入射光の入射角等によりその最適値は
変化するが、Λ/λ=1.5〜3の範囲内であれば実質
的に同様の効果を奏することを確認した。
【0009】第1の実施例の回折光学素子は、例えば口
径1mm(円形開口)、入射光の波長がλ=0.632
8μm、入射角θ=20°、焦点距離は2.5mmであ
る。ステップ数3のグレーティング部2Bは、グレーテ
ィング周期が、例えば1.0μmから2.0μmの範囲
内にあり、その最大膜厚は、例えばhB=0.84μm
である。また、ステップ数2のグレーティング部2A
は、グレーティング周期が、例えば0.89μmから
1.0μmの範囲内にあり、その最大膜厚は、例えばhA
=0.63μmである。このように、グレーティング部
2A,2Bの最大膜厚は、それらのステップ数に応じて
変えてある。ステップ数に応じて最大膜厚を変化させる
ことにより、回折効率を最適化することができる。グレ
ーティング部2Aでは、例えばデューティ比を0.3と
した。ここで、デューティ比とは、図1における(a)
に示すように、d1/ΛA、すなわち、1つのグレーティ
ング周期において空気層以外の物質が占める割合のこと
である。図3には、本実施例におけるグレーティング部
2Aのデューティ比をパラメータとした場合における、
グレーティング周期と1次回折光の回折効率との関係を
示す。図3から明らかなように、特に斜め入射のときに
は、ステップ数2のグレーティング部2Aのディーティ
比を0.15〜0.5の範囲内のいずれかの値にすれ
ば、グレーティング周期が入射光の波長の2倍以下の領
域において、回折効率が向上することがわかる。
【0010】図4に示すように、上記第1の実施例の回
折光学素子は、斜め入射光5を垂直に出射させる(出射
光6)透過形のオフアキシスレンズである。オフアキシ
スレンズとは、入射光の光軸と出射光の光軸が異なるレ
ンズのことである。図4において、光5が伝播する領域
の基板1の表面と裏面に反射層4A及び4Bが堆積され
ており、基板1内を光が繰返し反射されてジグザグに伝
播し、グレーティング部2から垂直出射される。斜入射
光5を垂直集光光にするために、グレーティング部2の
パターン形状は、図1の(b)に示すように中心対称
で、かつ一方向に凸の曲線であり、上記凸の方向にグレ
ーティング周期が徐々に小さくなり、同時にパターンの
曲率も大きくなるような形状に構成されている。さらに
詳述すると、図1及び図4に示す座標系において、入射
光の波長をλ、基板1の屈折率をn、入射角をθとする
と、第1の実施例の回折光学素子の位相シフト関数は、
Φ(x,y)=k((x2+y2+f21/2+nysin
θ−f)−2mπで表される。ただし、k=λ/2π、
mは0≦Φ≦2πを満たす整数であり、グレーティング
パターンの次数を表わしている。この位相シフト関数か
ら、次数mのグレーティング部2の曲線形状は、中心が
(0、−nsinθ(mλ+f)/(1−n2sin
2θ))であり、短軸(x軸)の長さdx=2(m2λ2
2mλf+n22sin2θ)1/2/(1−n2sin
2θ)1/2、長軸(y軸)の長さdy=dx/(1−n2
in2θ)1/2である楕円曲線の上部である。
【0011】基板1及びグレーティング部2は使用波長
に対して透明であればよく、例えばガラスや合成樹脂等
の材料で形成されている。使用光が赤外光の場合、基板
1及びグレーティング部2の材料として、SiやGaA
s等の半導体も使うことができる。上記第1の実施例の
回折光学素子の製造方法として、電子ビーム描画法を用
いた。すなわち、例えばPMMAやCMS等の電子ビー
ムレジスト等の電子ビームに感光する合成樹脂を基板1
上にコーティングし、合成樹脂コーティング層に電子ビ
ームを照射する。そのとき、製造する回折光学素子の断
面形状に応じて、電子ビームの照射量を制御して照射し
(ポジ形のレジストでは素子の膜厚が大きいところは電
子ビーム照射量を少なくし、現像後の残膜率を大きくす
る)、現像処理をすることによって、回折光学素子を形
成した。なお、回折光学素子の仕様として、上記以外に
も目的に応じて任意のものが作製可能である。
【0012】大量生産を行う場合、例えば、ニッケル電
鋳法で金型を作製し、例えば紫外線(UV)硬化樹脂を
用いて金型から複製することにより、原盤と同一のレン
ズ素子を低価格で作製することが可能である。特に、回
折光学素子がアレイ状に配列されている場合、この方法
を用いることにより、同一特性の回折光学素子を同時に
精度よく形成できる。また、例えばイオンビームエッチ
ングにより、合成樹脂(電子ビームレジスト)で形成し
たグレーティング部2の形状を、例えばガラス基板1に
転写することにより、温度的にも非常に安定する。
【0013】次に、本発明の回折光学素子の第2の実施
例の基本構成を図5に示す。図5は第2の実施例の基本
構成を示す平面図である。なお、上記第1の実施例と同
一の部分についてはその説明を省略し、異なる部分につ
いて説明する。図5に示すように、グレーティング部
2’のパターンは直線であり、徐々にグレーティング周
期が変化しているシリンドリカルオフアキシスレンズで
ある。すなわち、第2の実施例の回折光学素子は、斜め
入射光を一軸方向(y方向)のみ集光する。なお、断面
は図1の(a)に示した構成と実質的に同じである。従
って、このような一軸方向のシリンドリカルレンズで
も、グレーティング周期が大きい領域ではステップ数を
3とし、グレーティング周期が小さい領域ではステップ
数を2とすることにより、第1の実施例の回折光学素子
と同様の効果を奏する。
【0014】次に、本発明の回折光学素子の第3の実施
例を図6、図7及び図8を用いて説明する。図6は第3
の実施例の回折光学素子の基本構成を示す断面図であ
る。図7は第3の実施例の回折光学素子における入射光
の入射角が20°の場合のグレーティング周期と1次回
折光の回折効率との関係を示す図である。図8は第3の
実施例の回折光学素子における入射光の入射角が30°
の場合のグレーティング周期と1次回折光の回折効率と
の関係を示す図である。なお、上記第1の実施例と同一
の部分についてはその説明を省略し、異なる部分につい
て説明する。図6に示すように、第3の実施例に係る回
折光学素子は、最もグレーティング周期が大きい領域
(グレーティング部2D”)において、階段形状のステ
ップ数は5であり、グレーティング周期が小さくなるに
つれて、ステップ数を順に、4(グレーティング部2
C”)、3(グレーティング部2B”)、2(グレーテ
ィング部2A”)と小さくするように構成されたオフア
キシスレンズである。図7から明らかなように、それぞ
れのグレーティング部の規格化周期Λ/λは、例えば
1.2から1.6までの範囲はグレーティング部2A”
の領域に相当し、1.6から3.1までの範囲はグレー
ティング部2B”の領域に相当し、3.1から4.7ま
での範囲はグレーティング部2C”の領域に相当し、
4.7から5.5までの範囲はグレーティング部2D”
の領域に相当する。各領域におけるグレーティング部の
最大膜厚はそれぞれ、例えば、0.633μm(グレー
ティング部2A”)、0.84μm(グレーティング部
2B”)、0.95μm(グレーティング部2C”)、
1.01μm(グレーティング部2D”)である。本実
施例の回折光学素子は、例えば口径1mm(円形開
口)、入射光の波長がλ=0.6328μm、入射角θ
=20°、焦点距離は1.4mmである。第1の実施例
のオフアキシス形レンズと比較して、焦点距離が短いオ
フアキシスレンズである。このような焦点距離の短いオ
フアキシスレンズでは、グレーティング周期の変化の割
合が大きくなる。図7に示したように、ステップ数5の
回折光学素子の回折効率は、規格化周期が4.7のとこ
ろでステップ数4の素子の回折効率よりも小さくなる。
また、このステップ数4の素子の回折効率は、規格化周
期が3.1のところでステップ数3の素子の回折効率よ
りも小さくなる。同様に、ステップ数3の素子の回折効
率は、規格化周期が1.6のところでステップ数2の素
子の回折効率よりも小さくなる。従って、各グレーティ
ング部2A”、2B”、2C”、2D”の領域において
最適なステップ数を設定することにより、回折光学素子
全域にわたって回折効率を大きくすることができる。
【0015】図8に入射光の入射角が30°の場合の第
3の実施例の回折光学素子におけるグレーティング周期
と1次回折光の回折効率との関係を示す。図8に示すよ
うに、入射光の入射角等に基づいてステップ数を変化さ
せる場合、ステップ数を切り換えるべきグレーティング
周期の境界値は変化する。しかし、ステップ数を5から
4に変化させるべきグレーティング周期が入射光の波長
の4〜7倍程度の範囲内にあり、またステップ数を4か
ら3に変化させるべきグレーティング周期が入射光の波
長の2〜5倍程度の範囲内にあり、ステップ数を3から
2に変化させるべきグレーティング周期が入射光の波長
の1.5〜3倍程度の範囲内にあれば、同様の効果を奏
することを確認した。
【0016】なお、上記各実施例では、本発明を斜入射
光を垂直に集光するオフアキシスレンズに適用した場合
について説明したが、オフアキシス形レンズだけでなく
他の形式の回折光学素子に適用した場合であっても、入
射光が斜め方向の場合に同様の効果を奏する。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、回折光学
素子の各グレーティング部の周期に応じてグレーティン
グ部の階段形状のステップ数が異なるように構成したの
で、特に斜め入射光に対して光学素子全域にわたって回
折効率を高くすることが可能となる。また、グレーティ
ング周期が小さくなるほど最適なステップ数を小さくす
ることにより、グレーティング周期の小さい領域でも作
製が容易である回折光学素子を実現することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の回折光学素子の第1の実施例
の基本構成を示す断面図、(b)はその平面図
【図2】第1の実施例におけるグレーティング周期と1
次回折光の回折効率との関係を示す図
【図3】第1の実施例において、グレーティング部2A
のデューティ比をパラメータとしたグレーティング周期
と1次回折光の回折効率との関係を示す図
【図4】第1の実施例における集光の様子を示す図
【図5】本発明の回折光学素子の第2の実施例の基本構
成を示す平面図
【図6】本発明の回折光学素子の第3の実施例の基本構
成を示す断面図
【図7】第3の実施例における入射光の入射角が20°
の場合グレーティング周期と1次回折光の回折効率との
関係を示す図
【図8】第3の実施例における入射光の入射角が30°
の場合グレーティング周期と1次回折光の回折効率との
関係を示す図
【図9】(a)は従来の回折光学素子の構成を示す平面
図、(b)及び(c)はその断面図
【符号の説明】
1: 基板 2: グレーティング部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−150107(JP,A) 特開 平4−178601(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板上に形成された断面が
    階段形状であるグレーティング部を具備する回折光学素
    子であって、前記グレーティング部は、周期が入射波長
    の第1の所定数倍より小さい第1の領域と、前記周期が
    前記入射波長の前記第1の所定数倍より大きい第2の領
    を具備し、前記第1の領域の階段形状のステップ数
    は、前記第2の領域の階段形状のステップ数より小さ
    く、斜入射光に対して、前記周期が前記入射波長の
    記第1の所定数倍の近傍にあるとき、前記第1の領域の
    回折効率は、前記第2の領域の回折効率と実質的に等し
    いことを特徴とする回折光学素子。
  2. 【請求項2】 グレーティング部は、第1の領域および
    第2の領域以外の他の領域を具備し、階段形状のステッ
    プ数は、グレーティング部の周期が小さくなるにつれて
    徐々に小さくなることを特徴とする請求項1記載の回折
    光学素子。
  3. 【請求項3】 グレーティング部の周期が入射波長の第
    1の所定数倍より大きい領域ではステップ数は3以上で
    あり、グレーティング部の周期が入射波長の第1の所定
    数倍より小さい領域ではステップ数は2であり、前記第
    1の所定数は1.5〜3の間のいずれかの値であること
    を特徴とする請求項2記載の回折光学素子。
  4. 【請求項4】 ステップ数が2の領域では、グレーティ
    ング部のディーティ比(1つの周期における空気層以外
    の領域の割合)は0.15〜0.5の間のいずれかの値
    であることを特徴とする請求項3記載の回折光学素子。
  5. 【請求項5】 グレーティング部の周期が入射波長の第
    2の所定数倍より大きい領域ではステップ数は4以上で
    あり、グレーティング部の周期が入射波長の第2の所定
    数倍よりも小さく、かつ第1の所定数倍より大きい領域
    ではステップ数は3であり、前記第2の所定数は2〜5
    の間のいずれかの値(ただし、前記第1の所定数は前記
    第2の所定数よりも小さい)であることを特徴とする請
    求項3記載の回折光学素子。
  6. 【請求項6】 グレーティング部の周期が入射波長の第
    3の所定数倍より大きい領域ではステップ数は5以上で
    あり、前記第3の所定数倍より小さく前記第2の所定数
    倍より大きい領域ではステップ数は4であり、前記第3
    の所定数は4〜7の間のいずれかの値(ただし、前記第
    2の所定数は前記第3の所定数よりも小さい)であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の回折光学素子。
  7. 【請求項7】 グレーティング部の最大膜厚は、ステッ
    プ数に応じて異なることを特徴とする請求項1記載の回
    折光学素子。
  8. 【請求項8】 グレーティング部のパターンは中心対称
    で、かつ一方向に凸の曲線であり、前記凸の方向に周期
    が徐々に小さくなることを特徴とする請求項1記載の回
    折光学素子。
  9. 【請求項9】 グレーティング部のパターンは直線であ
    り、徐々に周期が変化することを特徴とする請求項1記
    載の回折光学素子。
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