JP3200007B2 - 光結合器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
を入力するために使用される光結合器、及びその製造方
法に関する。
結合器としては、例えば、プリズムを光導波路に押し付
け密着させて構成されるプリズムカプラがある。プリズ
ムカプラでは、プリズムが有る部分と無い部分との境界
(以後、プリズムの「エッジ」と称する)付近に光を入
射する際に、プリズムの有る部分でプリズムと光導波路
との間の空気ギャップをトンネル効果的に通過して光導
波路に入射した光が、基板側で反射された後にはプリズ
ムが存在しないために光導波路の外に出られず、光導波
路の内部を伝搬していくという現象を利用する。
対する許容性が大きい反面で、プリズムカプラと光導波
路とを一体化することが難しい。そこで、従来では、プ
リズムを光導波路の上に接着剤で接着してプリズムカプ
ラを形成している。
9503号公報に記載されているプリズムカプラの構成
を示す断面図である。
に光導波路の導波層202を形成し、さらにその上に、
導波層202よりも屈折率の低い等価ギャップ層203
を形成する。そして、等価ギャップ層203の上に、接
着剤205によってプリズム204を接着している。こ
の場合、プリズム204に入射した光(不図示)は、接
着部205からトンネル効果的に等価ギャップ層203
を透過して導波層202に入り、導波層202の中を伝
搬する。
(a)の構成において、接着部205の端部に誘電体薄
膜による遮光層207を形成している。また、図12
(c)の構成では、同じく図12(a)の構成におい
て、金属薄膜による遮光層206を等価ギャップ層20
3の上に形成している。これらの遮光層207及び20
6は、適切な大きさの開口部211及び212を有して
いる。それぞれの構成において、プリズム204に入射
した光209は、接着部205からトンネル効果的に等
価ギャップ層203を透過して導波層202に入り、導
波層202の中を伝搬する。
号公報に開示されている、光導波路素子に一体化された
プリズムカプラの構成である。このプリズムカプラで
は、誘電体膜(第2ギャップ層)305により、光30
8が入射する部分に直線的なエッジ309を形成してい
る。また、この第2ギャップ層305は、光導波路から
の光の再結合、すなわちプリズムから光導波路に結合し
た光が再びプリズム側に出ていくことを抑制する機能も
有する。
路は、以下のように形成される。すなわち、基板301
としてSi基板を使用し、その表面にSiO2層をバッ
ファ層302として形成する。バッファ層302の上に
は、SiON層をコア層303として形成する。さら
に、コア層303の上には、それぞれがSiO2からな
る第1ギャップ層304及び第2ギャップ層305を形
成する。これによって、光導波路が構成される。また、
第2ギャップ層305を設けないことによって形成され
た溝に光硬化性の接着剤306を注入して、この接着剤
306によって高屈折率のフリントガラスからできたプ
リズム307を光導波路に接着している。
ラの結合原理は以下の通りである。プリズム307に入
射した光308は、第2ギャップ層305の無い部分で
第1ギャップ層304をトンネル効果的に透過して、コ
ア層303に入る。コア層303に入った光は、バッフ
ァ層302とコア層303との境界で反射された後に、
光導波路の表面方向に再び進む。しかし、今度は第2ギ
ャップ層305があるためにコア層303の上に存在す
る膜の厚さが相対的に大きくなり、光がコア層303の
外へ透過できない。この結果、光は光導波路のコア層3
03の中を伝搬していき、光の再結合が小さくなる。
トダイオード310が設けられている。フォトダイオー
ド310の上では、バッファ層302に溝が設けられて
いて、コア層303が基板301に直接に接している。
コア層303の内部を伝搬してきた光は、この部分を通
ってフォトダイオード310に導かれる。
05との階段状構造は、これらの層を形成するSiO2
を所定の箇所で第2ギャップ層305の厚さの分だけエ
ッチングで掘り込んで第1ギャップ層304の厚さを決
め、これによって、第2ギャップ層305の有る部分と
無い部分との境界を形成する。
は、接着部205のエッジ部分が直線的ではないので、
入射光のスポット(光導波路202の上で入射方向が長
径となる楕円状になる)の長径方向の入射位置(エッジ
からスポットの中心までの距離で定める)を最適にしよ
うとしても、結合効率(入射光から光導波路の内部の導
波光への変換効率)が短径方向の位置に応じて変化して
しまう。従って、結合効率が最大になる光の入射位置を
正確に定めることが困難である。ある位置に光の入射位
置を定めても、必ずしも最大結合効率を得ることができ
ない。
ビームスポットの長径に対して相対的に決まるものであ
る。例えば、約10μmの長径を有する入射ビームスポ
ットを持つ入射ビームに対しては、±2.5μmの位置
ずれで最大効率の90%まで結合効率が低下する。この
ことから、ここでの直線とは、小さい入射ビームに対し
ても直線とみなせるような直線性、すなわち、フォトリ
ソグラフィーで得られるような直線性を有する直線のこ
とである。具体的には、直線の度合いで、中心線からの
ずれが±0.5μm程度以下の直線性を有する直線を意
味する。
示す構成では、遮光層207及び206を設けることに
よって接着部205に直線的なエッジを形成している。
しかし、例えば図12(c)の構成では、導波層202
と遮光層(金属薄膜)206との間には等価ギャップ層
203が存在するだけであるので、導波層202を伝搬
する光が金属薄膜206によって吸収されて次第に減衰
し、結合効率が実質的に低下する。
は、導波層であるコア層303と接着剤306との間に
存在している第1ギャップ層304及び第2ギャップ層
305の屈折率とコア層303の屈折率との差が、比較
的小さい。第2ギャップ層305を設けることによっ
て、第2ギャップ層305の上に存在してコア層303
よりも高い屈折率を有する高屈折率領域(具体的には、
接着剤306及びプリズム307)によるコア層303
の内部の導波光への影響を抑制して、コア層303を中
心とする光導波路に一旦入った光がその外部に出にくい
状態になっている。しかし、導波光のパワーが集中する
コア層303と高屈折率領域とは、第2ギャップ層30
5によっても完全に分離されていない。従って、高屈折
率領域が光の入射位置から光の伝搬方向にはみ出す分だ
け、再結合による光の損失が発生する。この再結合は、
理論的には、第2ギャップ層305の厚さを十分に厚く
することによって完全に除去可能である。しかし、第2
ギャップ層305を厚くすると、膜応力の増加、或いは
光結合器が一体化される光導波路素子の特性の変化な
ど、好ましくない影響をもたらすことがある。
されたものであって、その目的は、(1)光導波路素子
に積層される膜の厚さを増加させることなく再結合によ
る結合効率の低下を防ぎ、安定した結合効率を有する光
結合器を提供すること、及び、(2)そのような光結合
器の製造方法を提供すること、である。
板と、該基板の上に積層された光導波路構造であって、
少なくとも該基板上に積層された第1誘電体層と該第1
誘電体層の上に積層された第2誘電体層とを含む、光導
波路構造と、該光導波路構造の上に設置された光入射手
段と、該光入射手段を該光導波路構造に接着する接着部
と、を備える光結合器であって、該接着部の屈折率
nb、該第1誘電体層の屈折率n1、及び該第2誘電体層
の屈折率n2の間には、nb>n1>n2なる関係が成立
し、該接着部は該光導波路構造の表面と交わるエッジ面
を有し、該エッジ面と該光導波路構造の表面との交線は
直線であって、該光入射手段は、該エッジ面から該光導
波路構造における光の進行方向に向かって長さPLだけ
突出しており、該突出部と該光導波路構造の表面との間
には該エッジ面の高さに等しい所定の高さ以上の空気ギ
ャップが設けられており、そのことによって上記目的が
達成される。
気の屈折率na、前記基板の屈折率ns、前記接着部の屈
折率nb、前記第1誘電体層の屈折率n1、前記第2誘電
体層の屈折率n2、該第1誘電体層の厚さt、該第2誘
電体層の厚さu、前記光入力手段の前記突出部の長さP
Lに対して、以下の関係式(1)及び(2)を満たすよ
うに設定されている(但し、関係式(1)のαrはhの
関数であって、TE光及びTM光それぞれに対する関係
式(2)の方程式の虚数解の虚部のうちで絶対値の大き
いほうである)。
TM光に対する実効屈折率とが実質的に等しい。例え
ば、前記基板の屈折率ns=約1.44、前記接着部の
屈折率nb=約1.57、前記第1誘電体層の屈折率n1
=約1.53、前記第2誘電体層の屈折率n2=約1.
43、該第1誘電体層の厚さt=約570nm、及び該
第2誘電体層の厚さu=約100nmである。
ズムである。
基板に所定の角度で接着された誘電体板である。
記接着部の屈折率とが実質的に等しい。
構成を有する光結合器の製造方法が提供される。該方法
は、前記基板の上に前記光導波路構造を形成する工程
と、該光導波路構造の表面にフォトレジストを塗布する
工程と、該フォトレジストに溝を形成する工程と、該フ
ォトレジストの上に前記光入射手段を配置して、接着剤
で該光入射手段を該光導波路構造に接着固定する工程
と、該フォトレジストを除去する工程と、を包含してお
り、そのことによって上記目的が達成される。
剤である。
ズムであって、前記接着固定工程は、前記溝の上に該プ
リズムを配置する工程と、該溝に前記接着剤を注入して
該プリズムを前記光導波路構造に接着固定する工程と、
をさらに包含する。
体板であって、前記接着固定工程は、該誘電体板を前記
光導波路構造の表面に対して所定の角度をなすように保
持する工程と、前記溝を覆うように前記接着剤を供給し
て該誘電体板を該光導波路構造に接着固定する工程と、
をさらに包含する。
溝を形成する工程は、該溝の形成の後処理としてRIE
処理(酸素プラズマ処理)を行う工程をさらに包含す
る。
光導波路構造を有する光導波路素子に一体的に形成され
る。このとき、接着部を構成する接着剤が光導波路構造
と光入射手段(すなわち、プリズム或いは誘電体板)と
を接着すると同時に、接着部に形成されたエッジ面が結
合機能を果たす。これによって、光導波路構造に含まれ
る第2誘電体層の厚さを増やすことなく、光結合器を光
導波路素子にその機能を妨げずに一体化することができ
て、膜応力の増加などの問題点の発生も回避できる。
面(例えば、第2誘電体層表面)からの高さを適切に設
定することによって、第2誘電体層の上方に位置してい
て第1誘電体層よりも高い屈折率を有する領域(プリズ
ムや接着部)を、光導波路構造から完全に分離できる。
これによって、再結合に起因する損失を根本的に除去で
きて、光導波路素子に光結合器を一体化する際に、光導
波路の厚さを増すことなく再結合を低減することができ
る。
さや屈折率を適切に設定することによって、TE光及び
TM光に対する結合効率をほぼ等しくすることができ
る。さらに、接着部の屈折率と光入射手段(プリズム或
いは誘電体板)の屈折率とを等しくすることで、これら
の界面での反射率を最小にすることができる。また、プ
リズムを用いる場合には、プリズムと光導波路との間に
存在する接着剤の厚さが薄いために接着剤が薄膜のよう
に作用して引き起こされる多重反射を、ほぼ完全に除去
できる。
光結合機能を果たす接着部のエッジ面は、フォトレジス
トで形成した溝の形状を転写するかたちで形成され、ま
たその高さはフォトレジストの厚さで決定される。従っ
て、フォトレジストを厚くすれば、光導波路構造(第2
誘電体層)表面からの接着部のエッジ面の高さとして、
再結合の影響を完全に除去できるだけの高さを確保する
ことができる。
ば、製造時間を短縮できるとともに、接着剤の固化過程
における光入射手段(プリズム或いは誘電体板)の位置
ずれが抑制されて、結合効率の低下防止に貢献する。ま
た、誘電体板はプリズムよりも加工が容易であるため
に、誘電体板を用いて光結合器を構成すれば、プリズム
を用いる場合に比べて製造コストの削減を図ることがで
きる。
体板)を光導波路表面に接着する前に、溝形成工程の後
処理として、溝の形成プロセスで光導波路の表面に生じ
たレジスト現像液の有機残さの除去や光導波路表面の変
質層の除去のためのRIE処理(酸素プラズマ処理)を
行えば、光入射手段を光導波路に接着する際の接着力が
高まる。
おける光結合器100の構成を示す断面図である。
第1誘電体層1及び第2誘電体層2が積層されて、光導
波路6が構成されている。第2誘電体層2の上には、プ
リズム4が、結合用のエッジ面7が形成された接着部5
を介して接着されている。ここで、接着部5となる接着
剤は透明であることが好ましい。接着部5のエッジ面7
は光導波路6の表面に交わっており、エッジ面7と光導
波路6の表面との交線は直線である。プリズム4は、エ
ッジ面7から光導波路6における光の進行方向に向かっ
てある長さだけ突出しており、突出部と光導波路6の表
面との間には、エッジ面7の高さに等しい所定の高さ以
上の空気ギャップが設けられている。
に接着して光結合器100が構成されているが、このう
ちのプリズム4は、入射光を空気中から、導波路6より
も高い屈折率を有する領域に導く役割を果たしている。
これに対して、実際に光の結合に関係しているのは、接
着部5のエッジ面7である。その光の結合原理を、以下
に説明する。プリズム4の中から接着部5のエッジ面7
の付近に達した入射光は、接着部5と第2誘電体層2と
の境界に全反射の入射角で入射するにもかかわらず、第
2誘電体層2をトンネル効果的に透過して第1誘電体層
1に入る。しかし、光は、基板3には透過せずに、基板
3と第1誘電体層1との境界で全反射されて、光導波路
6の表面方向に向かう。しかし、今度は第1誘電体層1
の上に第2誘電体層2に接する接着部5が存在しないの
で、基板3の方向に全反射される。以後は、このような
全反射を光導波路6の上下の境界で繰り返しながら、光
は光導波路6の内部を伝搬していく。
について説明する。
される光導波路素子の用途によって、その構成材料を適
切に選択する。具体的には、ガラス基板のような単なる
誘電体基板が使用できることに加えて、受光素子と一体
化した光導波路素子に対する光結合器として用いる場合
には、Si基板の上に誘電体層が形成されている基板を
使用することができる。誘電体層としては、SiO
2層、リンドープけい酸ガラス(PSG)層、或いはス
ピンコート可能なガラス材料(SOG)層などを形成す
る。
00が一体的に形成される光導波路素子の導波層の材料
に依存して変わるが、導波層の構成材料として知られて
いるSiON、或いはコーニング社製の#7059ガラ
スなどを使用することができる。本実施形態では、コー
ニング社製の#7059ガラスを第1誘電体層1として
用いる。
1誘電体層1よりも低い屈折率を有する材料を使用す
る。例えば、上記のように第1誘電体層1としてコーニ
ング社製の#7059ガラスを使用する場合には、Si
O2やSOGを用いる。
照して、図1に示す光結合器100を、図2(a)及び
(b)に上面図及び断面図を示す光導波路素子に一体化
して形成した構成を説明する。光結合器100は、図2
(a)に「A」として示す領域に、形成される。なお、
以下の説明では、プリズム104、接着部105、第1
誘電体層101、第2誘電体層102、及び基板103
(但し、基板3が、Si等の半導体基板や金属基板の表
面に誘電体層を形成した基板である場合には、その誘電
体層)の屈折率を、それぞれnp、nb、n1、n2、及び
nsとする。
に模式的に示すように、同時に入射して伝搬してきたT
E光及びTM光の2種類の偏光を偏光分離部109でそ
れぞれに分離し、その後に異なるフォトダイオード10
8a及び108bで受光する構成になっている。また、
この光導波路素子では、図2(b)の断面図に示すよう
に、フォトダイオード108(図2(a)の108a及
び108bを総称的に示す)を形成したSi基板111
の表面に誘電体層110を形成した基板103を用いて
いる。基板103の表面上であって偏光分離部109に
相当する箇所には、テーパ状の端部を有する高さ約80
nmのTa2O5層109aが形成されている。さらに、
それらの最表面には、導波層としてコーニング社製の#
7059ガラス層101(屈折率n1=約1.53)を
厚さ約570nmに積層する。これによって、光導波路
106が構成される。上記の構成において、Si基板1
11の表面の誘電体層110としては、屈折率ns=約
1.44のSiO2層を設ける。なお、上記の屈折率の
値は、いずれも波長780nmの光に対する測定値であ
る。
路素子の領域A(図2(a)参照)に、図1の光結合器
100を形成した構成を示す断面図である。この場合に
は、#7059ガラス層101が図1の構成における第
1誘電体層1として機能し、さらにその上に、図1の第
2誘電体層2として機能する屈折率n2=約1.43を
有するSiO2層102を形成する。さらにその後に、
接着部105を介してプリズム104を第2誘電体層1
02の上に形成して、光結合器100を形成する。な
お、第2誘電体層(SiO2層)102の屈折率値n
2は、第1誘電体層101、プリズム104及び接着部
105の屈折率値n1、np及びnbの値よりも小さい。
及びnsの値よりも大きい必要がある。特に、プリズム
104と接着部105との界面での光の反射を抑制する
ためには、接着部105の屈折率nbと同じか或いはそ
れに近い値であることが望ましい。例えば、プリズム1
04と接着部105との間の界面への光の入射角をθbi
とし、プリズム104と接着部105との間の界面での
反射率を所望の値R以下に抑制するためには、接着部1
05の屈折率nbを、以下の2つの条件式を満たすよう
に設定する必要がある。
1.57の材料(例えば硝材LF5)で形成する場合に
は、プリズム104と接着部105との間の界面での反
射をほぼ0にするためには、プリズム104の屈折率n
p=約1.57に近い屈折率nbを有するUV硬化型の接
着剤によって接着部105を形成する。具体的には、ロ
ックタイト社製のLX−2310Cを用いることができ
る。
法を説明する。
に対する結合効率とTM偏光に対する結合効率とをほぼ
等しくし、且つ最大値にできるだけ近付けるためには、
TE光に対する最適入射角θTEとTM光に対する最適入
射角θTMとをほぼ等しくするように、光結合器100を
構成する。ここで、TE光及びTM光に対する実効屈折
率NTE及びNTM(光導波路における各モードの位相定数
を波数ko=2π/λ(λは波長)で除した値)を用い
て、
ほぼ等しくする条件はNTE≒NTMとなる。
105、第1誘電体層101、第2誘電体層102、及
び基板103の屈折率をそれぞれna、nb、n1、n2、
及びnsとし、第1誘電体層101及び第2誘電体層1
02の厚さをそれぞれt及びuとし、接着部105のエ
ッジ面の第2誘電体102の表面からの高さをhとした
ときに、下記の関係式(2)に含まれる方程式の複素解
βTE及びβTMの実部として求めることができる。
が入射する部分ではh=0である。光結合器100を構
成する各部分の屈折率や膜の厚さが、それぞれna=
1.0、nb=約1.57、n1=約1.53、n2=約
1.43、ns=約1.44、及びt=約570nmで
あるとき、u=約100nmとして上記方程式の解を求
めると、 NTE=1.4852及びNTM=1.4842
であって、 NTE≒NTMが満たされる。従って、光結合
器100を構成する各部分の厚さや屈折率の値を、上記
のように設定すればよい。
する場合には、図3に示すプリズム104の底角φを、
以下に示す角度θopにおよそ等しくすることによって、
TE偏光及びTM偏光のそれぞれの最適な入射方向に対
してプリズム104の斜面がほぼ垂直になり、両偏光に
対する結合効率をほぼ等しく且つ最大値に近付けること
ができる。
=1.4842について、上式よりθop=約71゜とな
る。従って、プリズム104の底角は約71゜とする。
このような形状の設定に加えて、プリズム104の表面
に無反射コーティングを施すことによって、プリズム1
04の入射面での反射率をさらに低減できる。
対して反射による損失が最も小さくなるように定めれば
よい。例えば、図1の形状の他に、図4に示す光結合器
150のように、入射光を面で一旦全反射させてから光
導波路に入射させる形状を有するプリズム4aであって
もよい。なお、図4で、図1と同じ構成要素には同じ参
照番号を付しており、その説明は省略する。
体層102の表面からの高さhの決定方法を、図5を参
照して説明する。
面の高さhが十分でないと、光導波路6の上に高さhだ
け離れて存在しているプリズム4などの高屈折率領域に
向けて、図5に示すように光導波路6を伝搬する導波光
が透過(再結合)して、結合効率が低下する。これよ
り、図5に示す光の入射位置からプリズム4がはみ出し
ている長さをPLとし、TE及びTM両偏光に対する放
射係数(先述の方程式の複素解βTE及びβTMの虚部)の
うちで絶対値が大きい方をαr(hの関数)としたとき
に、接着部5のエッジ面の光導波路6(具体的には、第
2誘電体層)の表面からの高さhは、次式を満たすこと
が望ましい。
nmとし、基板103の屈折率が約1.44、第1誘電
体層101の屈折率が約1.53、第2誘電体層102
の屈折率が約1.43である光導波路106にプリズム
104を接着した場合における、接着部105における
エッジ面の高さhと規格化伝送パワーとの関係を示すグ
ラフである。ここで、規格化伝送パワーとは、再結合損
失による結合効率の最大結合効率からの低下分(上式の
左辺に相当)を最大結合効率から引いたものである。図
6(a)〜(c)の縦軸は、1mm伝搬時(PL=1m
m)の規格化伝送パワーであって、この値が1に近いほ
ど、再結合による結合効率の低下が小さいことになる。
なお、図6(a)、(b)及び(c)は、それぞれプリ
ズムの屈折率npが1.58,1.57及び1.56の
場合のグラフである。但し、接着部105の屈折率はプ
リズムの屈折率にほぼ等しいとする。また、図6(a)
〜(c)の各グラフで、はTE偏光入射で第1誘電体
層101の厚さが約100nmである場合、はTE偏
光入射で第1誘電体層101の厚さが約50nmである
場合、はTM偏光入射で第1誘電体層101の厚さが
約100nmである場合、はTM偏光入射で第1誘電
体層101の厚さが約50nmである場合のデータを示
す。
着部の屈折率が変化しても、接着部のエッジ面の高さh
が約0.6μm以上であれば、再結合を完全に抑制して
結合効率の低下を抑えることができる。
作成する部分)の光導波路を光導波路52として、図7
(a)〜(g)を参照して本実施形態における光結合器
の製造方法を説明する。
52の上に、フォトレジスト51を塗布する。ここで、
フォトレジスト51の厚さwは、エッジ面の高さhに対
応する。先に述べたようにエッジ面の高さhが約0.6
μm以上であれば、再結合による結合効率の低下をほぼ
なくすことができる。従って、フォトレジスト51の厚
さwも、少なくとも約0.6μm以上とする必要があ
る。但し、接着剤の屈折率は周辺温度など様々な条件で
変化するので、プリズム54と光導波路52との間の接
着剤が薄膜として機能しないように、接着部のエッジ面
の高さhを決定するフォトレジスト51の厚さwは、
0.6μmよりも十分に厚くすることが好ましい。ここ
で、プリズム54と光導波路52との間の接着剤が薄膜
として機能しない条件とは、多重反射を抑制できるよう
にフォトレジスト51の厚さwを定めることであって、
ビーム径Lを基準にしてその範囲の多重反射を除去すれ
ば、その影響はほぼ完全に除去できる。従って、多重反
射の影響を考慮したフォトレジスト51の厚さw、すな
わちエッジ面の高さhの設定条件は、
の上面図に示すように、フォトレジスト51をパターニ
ングして、接着剤注入用の溝53を形成する。この際、
プリズム54を接着する前に、溝53の形成工程の後処
理として、溝53の形成プロセスで光導波路52の表面
に生じたレジスト現像液の有機残さの除去や光導波路5
2の表面の変質層の除去のためのRIE処理(酸素プラ
ズマ処理)を行うことが好ましい。これによって、プリ
ズム54を光導波路52に接着する際の接着力が高ま
る。
(e)の上面図に示すように、プリズム54の位置を、
そのエッジBがフォトレジスト51の上の溝53のエッ
ジCに平行になるように、位置調整装置57を用いて調
整する。調整後には、調整された位置に調整装置57で
保持したまま、光導波路52の上に塗布されたフォトレ
ジスト51にプリズム54を押し付ける。このとき、図
7(d)に示すように溝53をまたぐようにプリズム5
4を設置すると、プリズム54がフォトレジスト51の
表面と2ヶ所で接することになるために、光導波路52
の表面とプリズム54の底面との平行度がよくなる。そ
の結果、光結合器への結合効率が最大になる最適入射角
で光が入射したときに、入射面での反射が最小になるよ
うに決定されているプリズム54の底角の、光導波路5
2の表面と入射角とがなす角度からのずれを最小に抑え
ることができる。これによって、光結合器への入射角が
最適入射角からずれることによる結合効率の低下を抑制
することができる。なお、プリズム54の固定の際に光
導波路52の表面にプリズム54を押さえ付けることに
よって、上記の効果を増すことができる。
にUV硬化性など光硬化性の接着剤55を注入する。そ
して、UV光などの光照射を行って接着剤55を固化
し、プリズム54を固定する。ここで、使用する接着剤
55は光硬化性以外のものであってもよいが、光硬化性
接着剤を使用すれば、固定に要する時間が短くなり、固
定時のプリズム54の位置ずれなどに起因する結合効率
の低下を低減することができる。なお、接着剤55とフ
ォトレジスト51との選択は、両者がお互いに接した際
に化学的に安定する組み合わせを選ぶ。例えば、接着剤
55にロックタイト社製のLX−2310Cを用いる場
合には、フォトレジスト51としては東京応化(株)製
のポジ型フォトレジストPMERを選べばよい。
に示すようにフォトレジスト51を除去する。ここで、
接着剤55と光導波路52との間に挟まれた部分のフォ
トレジスト51の除去は、接着剤55と光導波路52と
の間のギャップが広いほど早く進む。従って、この部分
のフォトレジスト51の除去を容易にするためには、フ
ォトレジスト51を厚く塗布することが好ましい。例え
ば、粘性の高いフォトレジスト51を厚く塗布する。具
体的には、東京応化(株)製のポジ型フォトレジストP
MERを約15μmずつ重ねて塗布し、合計の厚さwを
約30μmとする(一層を塗布した後にベークして次層
を重ね塗りする)。この結果、光結合器の接着部55の
エッジ面56の高さhは、約30μmとなる。
の溝形状を転写したかたちで、プリズム54のエッジに
相当するエッジ面56が接着剤55によって形成され
る。ここで、エッジ面56と光導波路52の表面との交
線は直線である。
ッジ面56の高さhを規定する際には、光導波路52の
表面に対して90゜で交わるとしているが、これは必ず
しも90゜にする必要はない。例えば、この角度は、図
8(a)に示す光結合器170のように、レジストの露
光や現像の際の条件により90゜よりも小さい角度(図
8(a)では70゜)になり得る。この場合には、光結
合器170の接着部55のエッジ面56が、光導波路5
2の表面に対して約70゜の角度をなす。このようにエ
ッジ面56が光導波路52の表面に対して傾斜していて
も、傾斜している部分では伝搬長が短いことから、光結
合器の結合効率の低下はない。また、傾斜方向が逆であ
っても、同様に問題は生じない。
フォトレジスト51とを完全に密着させることは困難で
あるので、フォトレジスト51とプリズム54との間の
隙間に接着剤が回り込んで、フォトレジスト51の除去
後の最終的な形状が図8(b)のような形状になること
がある。しかし、図8(b)の光結合器180では、再
結合に関わるプリズム54の一部分が接着剤に置き換え
られただけであって、接着剤とプリズムとの屈折率の差
が小さければ、光結合器の特性が大きく変化することは
ない。さらに、接着部55のエッジ面56の高さhが十
分に高ければ、不都合は発生しない。なお、図8(b)
の光結合器180におけるエッジ面56の高さhは、図
中に示す通りである。
(a)〜(g)と同じ構成要素には同じ参照番号を付し
ており、その詳細な説明はここでは省略する。
効率を説明する。
0μmとなる入射光を、最適入射角(図3での入射角θ
iがθopに一致する)で、接着部55のエッジから約4
μm離れた位置に入射ビームの中心が位置するように入
射した場合の結合効率は、TE偏光及びTM偏光のそれ
ぞれに対して約80%になる。なお、結合効率は、先述
の方程式の複素解βTE及びβTMの虚部αrに対して、exp
(−koαrx)で表される光導波路上のx方向の界分布
(x方向は、光導波路に垂直な、光の進行方向)と、入
射光のx方向のガウス分布形状の重なり積分で求めるこ
とができる。
の実施形態における光結合器200の構成を示す断面図
である。
に第1誘電体層11及び第2誘電体層12が積層され
て、光導波路16が構成されている。第2誘電体層12
の上には、誘電体板14が、結合用のエッジ面17が形
成された接着部15を介して接着されている。ここで、
接着部15となる接着剤は、透明であることが好まし
い。接着部15のエッジ面17は光導波路16の表面に
交わっており、エッジ面17と光導波路16の表面との
交線は直線である。接着部15は、エッジ面17から光
導波路16における光の進行方向に向かってある長さだ
け突出しており、突出部と光導波路16の表面との間に
は、エッジ面17の高さに等しい所定の高さ以上の空気
ギャップが設けられている。
TE光及びTM光の実効屈折率NTE及びNTMから決定さ
れる光結合器200の入射角θOPで規定される入射方向
に垂直になるように、すなわち、誘電体板14が光導波
路16の表面に対してなす角度φが入射角θOPにほぼ等
しくなるように、その位置が調整されて配置されてい
る。位置の調整後には、誘電体板14は、前述のように
接着剤15で光導波路16に接着される。
て接着部15のエッジ面17の付近に達した入射光は、
接着部15と第2誘電体層12との境界に入射し、さら
に第2誘電体層12をトンネル効果的に透過して第1誘
電体層11に入る。光は、基板13には透過せずに、基
板13と第1誘電体層11との境界で全反射されて、光
導波路16の表面方向に向かう。しかし、今度は光導波
路16の上に第2誘電体層12に接する接着部15が存
在しないので、光は基板13の方向に全反射される。以
後は、このような全反射を光導波層16の上下の境界で
繰り返しながら、光は光導波層16の内部を伝搬してい
く。
について説明する。
導波路素子の用途によって、その構成材料を適切に選択
する。具体的には、ガラス基板のような単なる誘電体基
板が使用できることに加えて、受光素子と一体化した光
導波路素子に対する光結合器として用いる場合には、S
i基板の上に誘電体層が形成されている基板を使用する
ことができる。誘電体層としては、SiO2層、リンド
ープけい酸ガラス(PSG)層、或いはスピンコート可
能なガラス材料(SOG)層などを形成する。
1.44のSiO2層を形成した基板13を使用する。
200が一体的に形成される光導波路素子の導波層の材
料に依存して変わるが、導波層の構成材料として知られ
ているSiON、或いはコーニング社製の#7059ガ
ラスなどを使用することができる。本実施形態では、屈
折率n1=約1.53のコーニング社製の#7059ガ
ラスを第1誘電体層11として用いる。また、第1誘電
体層11の厚さtは約570nmとする。
第1誘電体層11よりも低い屈折率を有する材料を使用
する。例えば、上記のように第1誘電体層11としてコ
ーニング社製の#7059ガラスを使用する場合には、
SiO2やSOGを用いる。
00を、図2(a)及び(b)に上面図及び断面図を示
した光導波路素子に一体化して形成した構成を説明す
る。図10は、光導波路素子の領域A(図2(a)参
照)に、図9の光結合器200を形成した構成を示す断
面図である。なお、光導波路素子の構成は第1の実施形
態で説明した通りであり、同じ構成要素には同じ参照番
号を付しているので、ここではその詳細な説明を省略す
る。
法を説明する。
実施形態においてと同様に、TE偏光に対する結合効率
とTM偏光に対する結合効率とをほぼ等しくし且つ最大
値にできるだけ近付けるために、TE光に対する最適入
射角θTEとTM光に対する最適入射角θTMとをほぼ等し
くするように、光結合器200を構成する。先述のよう
に、この目的の達成のためには、TE光及びTM光に対
する実効屈折率NTE及びNTMについてNTE≒NTMが成立
するように、第2誘電体層102の厚さを決定する。例
えば、第2誘電体層102を屈折率n2=約1.43で
あるSiO2層を用いて形成し、接着剤15としてロッ
クタイト社製のUV硬化性接着剤LX−2310Cを用
いて光結合器200を構成するときには、第2誘電体層
102の厚さuを約100nmとする。
に、NTE=1.4852及びNTM=1.4842であっ
て NTE≒NTMが満たされる。また、このとき、光結合
器200への最適入射角θopは約71゜になるから、誘
電体板114は、光が最適入射角で入射した際に誘電体
板114の表面での反射が最小になるように、光導波路
の表面に対して約71゜傾けて位置調整し、接着剤11
5で接着する。このような設定に加えて、誘電体板11
4の表面に無反射コーティングを施すことによって、誘
電体板114の入射面での反射率をさらに低減できる。
02の表面からの高さhは、第1の実施形態においてと
同様にして決定される。具体的には、光の波長を780
nmとし、基板103の屈折率が約1.44、第1誘電
体層101の屈折率が約1.53、第2誘電体層102
の屈折率が約1.43、接着部115の屈折率が約1.
57であり、第1及び第2誘電体層101及び102の
厚さt及びuがそれぞれt=約570nm且つu=約1
00nmであるので、接着部115のエッジ面の高さh
が約0.6μm以上であれば、再結合を完全に抑制して
結合効率の低下を抑えることができる。
の屈折率の差は小さい方が好ましい。例えば、接着部1
15と誘電体板114との境界での反射率を所定の値R
以下にするためには、誘電体板114にほぼ垂直に光が
入射していることから、接着部115を形成する接着剤
の屈折率nbと誘電体板114の屈折率npとを、
X−2310Cを使用する場合には、その屈折率が約
1.57であるので、反射率Rを最小にするためには、
誘電体板114として屈折率が約1.57である材料を
使用することが好ましい。なお、誘電体板の加工はプリ
ズム加工よりも容易であるので、図9に示す本実施形態
の光結合器200は、図1に示した第1の実施形態の光
結合器100よりも低コストで製造できる。
を作成する部分)の光導波路を光導波路52として、図
11(a)〜(f)を参照して本実施形態における光結
合器の製造方法を説明する。
路52の上に、フォトレジスト51を塗布する。ここ
で、フォトレジスト51の厚さwは、エッジ面の高さh
に対応する。先に述べたようにエッジ面の高さhが約
0.6μm以上であれば、再結合による結合効率の低下
をほぼなくすことができる。従って、フォトレジスト5
1の厚さwも、少なくとも約0.6μm以上とする必要
がある。但し、接着剤の屈折率は周辺温度など様々な条
件で変化するので、接着剤が薄膜として機能しないよう
に、接着部のエッジ面の高さhを決定するフォトレジス
ト51の厚さwは、0.6μmよりも十分に厚くするこ
とが好ましい。
に、フォトレジスト51をパターニングして、接着剤注
入用の溝53を形成する。この際、誘電体板61を接着
する前に、溝53の形成工程の後処理として、溝53の
形成プロセスで光導波路52の表面に生じたレジスト現
像液の有機残さの除去や光導波路52の表面の変質層の
除去のためのRIE処理(酸素プラズマ処理)を行うこ
とが好ましい。これによって、誘電体板61を光導波路
52に接着する際の接着力が高まる。
(d)の上面図に示すように、誘電体板61の位置を、
そのエッジB’がフォトレジスト51の上の溝53のエ
ッジC’に平行になるように、位置調整装置62を用い
て調整する。調整後には、調整された位置に調整装置6
2で保持したまま、光導波路52の上に塗布されたフォ
トレジスト51の表面に誘電体板61を置く。この状態
で、溝53を覆うように光硬化性(例えばUV硬化性)
接着剤63を注入して、誘電体板61を接着する。
光などの光照射を行って接着剤63を固化し、誘電体板
61を固定する。ここで、使用する接着剤63は光硬化
性以外のものであってもよいが、光硬化性接着剤を使用
すれば、固定に要する時間が短くなり、固定時の誘電体
板61の位置ずれなどに起因する結合効率の低下を低減
することができる。なお、接着剤63とフォトレジスト
51との選択は、接着剤がフォトレジストを溶かさない
こと、及びUV光照射によって接着剤63の固化以外の
変化(例えば、両者の境界での気体の発生、など)が起
こらないことを条件に、両者がお互いに接した際に化学
的に安定する組み合わせを選ぶ。例えば、接着剤63に
ロックタイト社製のLX−2310Cを用いる場合に
は、フォトレジスト51としては東京応化(株)製のポ
ジ型フォトレジストPMERを選べばよい。
(f)に示すようにフォトレジスト51を除去する。こ
こで、接着剤63と光導波路52との間に挟まれた部分
のフォトレジスト51の除去は、接着剤63と光導波路
52との間のギャップが広いほど早く進む。従って、こ
の部分のフォトレジスト51の除去を容易にするために
は、フォトレジスト51を厚く塗布することが好まし
い。例えば、粘性の高いフォトレジスト51を厚く塗布
する。具体的には、東京応化(株)製のポジ型フォトレ
ジストPMERを約15μmずつ重ねて塗布し、合計の
厚さwを約30μmとする(一層を塗布した後にベーク
して次層を重ね塗りする)。この結果、光結合器の接着
部63のエッジ面64の高さhは、約30μmとなる。
の溝形状を転写したかたちで、エッジ面64が接着部6
3に形成される。ここで、エッジ面64と光導波路52
の表面との交線は直線である。
導波路52の表面に対して必ずしも90゜にする必要は
ない。エッジ面64が光導波路52の表面に対して傾斜
していても、光結合器の結合効率が低下することはな
い。
ビームスポットの長径(図10のL)が約10μmとな
る入射光を、最適入射角(図10での入射角θ1がθop
に一致する)で、接着部のエッジ面から約4μm離れた
位置に入射ビームの中心が来るように入射した場合の結
合効率は、TE偏光及びTM偏光のそれぞれに対して約
80%になる。
接着剤が光導波路と光入射手段(プリズム或いは誘電体
板)とを接着すると同時に、接着剤に形成されたエッジ
面によって結合機能を果たす。これによって、第2誘電
体層の厚さを増やすことなく、光導波路素子の機能を妨
げずに一体化することができて、膜応力の増加などの問
題点の発生も回避できる。
面からの高さを適切に設定することによって、第2誘電
体層の上方に位置していて第1誘電体層よりも高い屈折
率を有する領域(プリズムや接着剤)を、光導波路から
完全に分離できる。これによって、再結合に起因する損
失を根本的に除去できて、光導波路素子に光結合器を一
体化する際に、光導波路の厚さを増すことなく再結合を
低減することができる。
さや屈折率を適切に設定することによって、TE光及び
TM光に対する結合効率をほぼ等しくすることができ
る。さらに、接着剤の屈折率とプリズム或いは誘電体板
の屈折率とを等しくすることで、これらの界面での反射
率を最小にすることができる。また、プリズムを用いる
場合には、プリズムと光導波路との間に存在する接着剤
の厚さが薄いために接着剤が薄膜のように作用して引き
起こされる多重反射を、ほぼ完全に除去できる。
光結合機能を果たす接着部のエッジ面は、フォトレジス
トで形成した溝の形状を転写するかたちで形成され、ま
たその高さはフォトレジストの厚さで決定される。従っ
て、フォトレジストを厚くすれば、第2誘電体層表面か
らの接着部のエッジ面の高さとして、再結合の影響を完
全に除去できるだけの高さを確保することができる。
ば、製造時間を短縮できるとともに、接着剤の固化過程
におけるプリズム或いは誘電体板の位置ずれが抑制され
て、結合効率の低下防止に貢献する。また、誘電体板は
プリズムよりも加工が容易であるために、誘電体板を用
いて光結合器を構成すれば、プリズムを用いる場合に比
べて製造コストの削減を図ることができる。
路表面に接着する前に、溝形成工程の後処理として、溝
の形成プロセスで光導波路の表面に生じたレジスト現像
液の有機残さの除去や光導波路表面の変質層の除去のた
めのRIE処理(酸素プラズマ処理)を行えば、プリズ
ム或いは誘電体板を光入射手段を光導波路に接着する際
の接着力が高まる。
成を示す断面図である。
に形成される光導波路素子の構成を示す上面図及び断面
図である。
的に形成した構成を示す断面図である。
の構成を示す断面図である。
合部のエッジ面の高さと規格化伝送パワーとの関係を示
すグラフである。
を示す断面図及び上面図である。
における光結合器の他の構成を示す断面図である。
成を示す断面図である。
成した構成を示す断面図である。
程を示す断面図及び上面図である。
それぞれ示す断面図である。
る。
Claims (11)
- 【請求項1】 基板と、 該基板の上に積層された光導波路構造であって、少なく
とも該基板上に積層された第1誘電体層と該第1誘電体
層の上に積層された第2誘電体層とを含む、光導波路構
造と、 該光導波路構造の上に設置された光入射手段と、 該光入射手段を該光導波路構造に接着する接着部と、 を備える光結合器であって、 該接着部の屈折率nb、該第1誘電体層の屈折率n1、及
び該第2誘電体層の屈折率n2の間には、nb>n1>n2
なる関係が成立し、 該接着部は該光導波路構造の表面と交わるエッジ面を有
し、該エッジ面と該光導波路構造の表面との交線は直線
であって、 該光入射手段は、該エッジ面から該光導波路構造におけ
る光の進行方向に向かって長さPLだけ突出しており、
該突出部と該光導波路構造の表面との間には該エッジ面
の高さに等しい所定の高さ以上の空気ギャップが設けら
れており、 前記エッジ面の高さhは、空気の屈折率n a 、前記基板
の屈折率n s 、前記接着部の屈折率n b 、前記第1誘電体
層の屈折率n 1 、前記第2誘電体層の屈折率n 2 、該第1
誘電体層の厚さt、該第2誘電体層の厚さu、前記光入
力手段の前記突出部の長さP L に対して、以下の関係式
(1)及び(2)を満たすように設定されている(但
し、関係式(1)のα r はhの関数であって、TE光及
びTM光それぞれに対する関係式(2)の方程式の虚数
解の虚部のうちで絶対値の大きいほうである)、 光結合
器。 【数1】 【数2】 - 【請求項2】 TE光に対する実効屈折率とTM光に対
する実効屈折率とが実質的に等しい、請求項1に記載の
光結合器。 - 【請求項3】 前記基板の屈折率ns=約1.44、前
記接着部の屈折率nb=約1.57、前記第1誘電体層
の屈折率n1=約1.53、前記第2誘電体層の屈折率
n2=約1.43、該第1誘電体層の厚さt=約570
nm、及び該第2誘電体層の厚さu=約100nmであ
る、請求項2に記載の光結合器。 - 【請求項4】 前記光入射手段がプリズムである、請求
項1〜3のいずれかに記載の光結合器。 - 【請求項5】 前記光入射手段が前記基板に所定の角度
で接着された誘電体板である、請求項1〜3のいずれか
に記載の光結合器。 - 【請求項6】 前記光入射手段の屈折率と前記接着部の
屈折率とが実質的に等しい、請求項1〜5のいずれかに
記載の光結合器。 - 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかに記載の光結合
器の製造方法であって、該方法は、 前記基板の上に前記光導波路構造を形成する工程と、 該光導波路構造の表面にフォトレジストを塗布する工程
と、 該フォトレジストに溝を形成する工程と、 該フォトレジストの上に前記光入射手段を配置して、接
着剤で該光入射手段を該光導波路構造に接着固定する工
程と、 該フォトレジストを除去する工程と、 を包含する、製造方法。 - 【請求項8】 前記接着剤が光硬化性の接着剤である、
請求項7に記載の製造方法。 - 【請求項9】 前記光入射手段がプリズムであって、前
記接着固定工程は、前記溝の上に該プリズムを配置する
工程と、該溝に前記接着剤を注入して該プリズムを前記
光導波路構造に接着固定する工程と、をさらに包含す
る、請求項7または8に記載の製造方法。 - 【請求項10】 前記光入射手段が誘電体板であって、
前記接着固定工程は、該誘電体板を前記光導波路構造の
表面に対して所定の角度をなすように保持する工程と、
前記溝を覆うように前記接着剤を供給して該誘電体板を
該光導波路構造に接着固定する工程と、をさらに包含す
る、請求項7または8に記載の製造方法。 - 【請求項11】 前記フォトレジストに溝を形成する工
程は、該溝の形成の後処理としてRIE処理(酸素プラ
ズマ処理)を行う工程をさらに包含する、請求項7〜1
0のいずれかに記載の製造方法。
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