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JP3279878B2 - 電子写真記録装置 - Google Patents

電子写真記録装置

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JP3279878B2
JP3279878B2 JP19285495A JP19285495A JP3279878B2 JP 3279878 B2 JP3279878 B2 JP 3279878B2 JP 19285495 A JP19285495 A JP 19285495A JP 19285495 A JP19285495 A JP 19285495A JP 3279878 B2 JP3279878 B2 JP 3279878B2
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photoreceptor
surface layer
photoconductor
layer
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永 樋口
弘志 林
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  • Cleaning In Electrography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアモルファス無機感
光体を用いた電子写真記録装置に関し、詳しくは耐刷に
よって生じる高湿度環境下における画像流れを防止した
電子写真記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真記録装置は、電子写真感光体の
周囲に帯電手段および露光手段・現像手段・転写手段・
クリーニング手段・除電手段などの各プロセス手段を設
けて成る記録装置である。この記録方式では、まず帯電
手段および露光手段によって感光体の表面上に静電潜像
を形成し、次いで現像手段によってその静電潜像をトナ
ーにより可視像化し、転写手段によってそのトナー像を
記録紙などの媒体に転写し、定着手段によって定着し
て、記録画像を得る。
【0003】この記録画像の解像度などの画像品質は静
電潜像の形成とその保持の如何に依るが、特に感光体の
表面抵抗が高いことが要求され、この表面抵抗は高湿度
環境下においても高く維持されなければならない。
【0004】しかしながら、例えば感光体にアモルファ
スシリコン系感光体を用い、クリーニング手段にゴム系
のクリーニングブレードを用いた電子写真記録装置で
は、わずか数千枚程度の耐刷を行なっただけでも高温高
湿環境下で著しい画像流れを生じてしまい、実用上支障
があった。
【0005】このような画像流れ現象は、高温高湿環境
下や感光体の表面酸化によって感光体表面への吸着水分
量が増加することと、水分の存在でイオン化して半導電
性を示す色々な物質が耐刷でもって感光体表面に付着す
ることなどで、感光体の表面抵抗が低下してしまって引
き起こされるものと考えられてきた。
【0006】例えば帯電手段がコロナチャージャーの場
合、コロナ放電による生成物が耐刷によって感光体表面
に付着し、帯電手段が帯電ローラーの場合も、局所放電
による生成物が耐刷によって感光体表面に付着する。こ
れらの帯電生成物はいわゆる塩類であり、これらが感光
体表面に付着し、さらに水分が吸着すると、感光体の表
面抵抗を著しく低下させてしまう。
【0007】また、記録紙の添加剤や紙粉も耐刷によっ
て感光体表面に付着する。これらも水分の存在により感
光体の表面抵抗を著しく低下させてしまう。
【0008】また、現像剤であるトナーは、例えば低融
点樹脂のスチレン−アクリル系樹脂などと着色剤のカー
ボン微粒子などとの混合物であり、現像手段や転写手段
・クリーニング手段でもってその低融点樹脂が感光体表
面に薄く被膜され、いわゆるフィルミング現象を生じる
ことがあった。このような被膜は上記の帯電生成物や記
録紙の添加剤などを取り込んでしまうことがあり、やは
り水分の存在で感光体の表面抵抗を著しく低下させてし
まうことがあった。
【0009】さらに、アモルファスシリコン(以下、ア
モルファスシリコンをa−Siと略記する)系感光体の
ような無機系感光体の表面層は、帯電手段から発生する
オゾンなどによってその表面に表面酸化層を生じやす
い。このような表面酸化層は水分の吸着を容易にするた
め、表面に上記付着物などが存在する場合には感光体の
表面抵抗をより一層低下させてしまう。
【0010】そこで以上のような種々の原因に対して、
以下のような対策が従来行なわれてきた。
【0011】まず帯電生成物を減らすために、コロナチ
ャージャーの排気を改善したり、帯電手段をコロナチャ
ージャーから生成物の少ない帯電ローラーに変更したり
された。さらにその上で、感光体表面に付着した帯電生
成物を除去するために、転写手段とクリーニング手段の
間にスポンジローラーなどからなる摺擦手段を設けるこ
となどが行なわれてきた。
【0012】また、感光体に付着した記録紙の添加剤や
紙粉などを除去するため、前記と同様に転写手段とクリ
ーニング手段の間にスポンジローラーなどからなる摺擦
手段を設けたり、ウレタンやシリコーンなどのゴム板か
ら成るクリーニングブレードを感光体表面に当接させて
除去するクリーニング手段が用いられてきた。
【0013】また、感光体にフィルミング現象を生じた
低融点樹脂の被膜を除去するためには、現像剤に砥粒を
外添したり、現像キャリア粒子の表面に硬い微粒子を付
着させて表面改質したりして、スポンジローラーなどと
組み合わせて感光体表面を研磨するようにした摺擦また
は研磨手段を、転写手段とクリーニング手段の間に設け
ることが有効とされてきた。
【0014】さらに、無機系感光体の表面酸化に対して
は、前述の帯電生成物の低減化と同様の対策や、スポン
ジローラーなどから成る摺擦または研磨手段が有効とさ
れてきた。
【0015】しかしながら、以上の対策をいくつか組み
合わせたとしても、画像流れの完全な防止は困難であっ
たため、その対策として、感光体に面状ヒーターや管状
ヒーターを内挿して、感光体表面が35〜50℃程度の一定
温度になるように加熱し、感光体表面の吸着水分量を減
らすことが実用上行なわれてきた。これは、感光体の加
熱を行なえば吸着水分量が減少し、水の存在で始めてイ
オン電導性を示す付着物の影響は無くなったり小さくな
ったりしてしまうため、帯電生成物あるいは記録紙の添
加剤や紙粉・フィルミング・感光体の表面酸化(表面変
質)などの多少の存在は問題にならなくなることに基づ
くものである。
【0016】ところが上記のような従来の電子写真記録
装置において、近時、次のような課題が生じた。
【0017】まず、感光体の加熱をやめて、加熱用のヒ
ーターおよび温度制御回路を無くす必要が生じた。ま
た、感光体は回転して使用されるので、ヒーターへの電
力供給や感光体の温度検出、もしくはヒーターと温度制
御回路への電力供給にスリップリングなどの回転導入端
子が必要であるが、これも無くす必要が生じた。
【0018】これらは、電子写真記録装置において部品
を削減して低コスト化を図る要求が強くなってきたため
である。また、ヒーターや温度制御回路などのような部
品は、記録装置の安全性や信頼性の観点からも無くす必
要があった。
【0019】さらに、感光体加熱ヒーターを使用した場
合、記録装置の主電源を一旦切ると、感光体が再び所定
温度に温まるまでの数分間以上使用できないという問題
点があった。
【0020】この対策としては常時ヒーターに通電して
おくことがあるが,そのためには夜間も常時通電してお
かなければならず、夜間でも主電源を切ることができな
いので、省エネルギーおよび安全性に問題があった。
【0021】さらに、感光体がa−Si系感光体の場
合、ヒーターにより35〜50℃に加熱するとa−Si光導
電層中で熱励起キャリアの発生が増え、帯電電位の低下
や暗減衰による表面電位の低下が数十〜百数十Vもあっ
て、記録画像濃度の確保が困難であるという問題点があ
った。そして、この電位低下の対策としてa−Si光導
電層の層厚を増すと、a−Si系感光体のコスト増加を
引き起こし、市場競争力を低下させてしまうという問題
点があった。
【0022】しかし、感光体の加熱を止めた場合、耐刷
後に高温高湿環境下に数時間以上放置すると画像流れが
生じるという問題点があった。
【0023】これについては、耐刷に応じて感光体の表
面を種々の付着物とともに削りとってしまうことが解決
策として考えられてきた。
【0024】ところがそのような例として、感光体表面
が柔らかい材料で構成されたOPC(有機光導電体)系
感光体では、従来のゴム系のクリーニングブレードでも
感光体表面が削れるため高温高湿環境下でも画像流れが
生じないが、その反面、感光体の寿命が記録装置よりも
著しく短くなり、頻繁に感光体の交換が必要となって、
サービスの煩わしさやランニングコストの増加、あるい
は廃棄物となるためのゴミ問題(地球環境問題)などの
問題点を引き起こしていた。
【0025】一方、少なくとも表面層が高硬度の材料で
構成されたa−Si系感光体では、従来のゴム系のクリ
ーニングブレードなどでは感光体表面が削れないため、
前述のように現像剤への砥粒の外添や現像キャリアの表
面改質と摺擦または研磨手段との組み合わせによって感
光体表面が研磨されていた。しかしこの場合、砥粒の添
加は現像剤の現像性能や転写性能に悪影響を及ぼすた
め、高い画像品質を得ることが困難になるという問題点
があった。
【0026】また、砥粒などについてはその硬さや粒度
・純度などに細心の注意が必要で、感光体の表面層を薄
く均一に研磨することは難しく、画像の黒スジの原因と
なるような感光体表面層のキズ発生を防止することが難
しいという問題点もあった。
【0027】特にa−Si系感光体は、表面層の厚みが
薄く、表面層にキズが入るとそこが電位低下を引き起こ
して画像スジを発生させやすいという問題点があった。
【0028】これに対して、これまでも電子写真記録装
置において、クリーニング手段に金属などの高硬度のブ
レードを使用して感光体表面の良好なクリーニングを行
なうことが提案されており、a−Si系感光体を用いた
場合についても同様の提案がなされていた。
【0029】例えば特開昭59−219770号には、a−Si
を感光体とする画像形成装置において、帯状のステンレ
スやリン青銅の金属製エンドレスクリーニングブレード
が当接するクリーニング装置が開示されている。それに
よれば、常に均一にドラム表面を研磨して表面をリフレ
ッシュし、初期の表面状態を保ち、画像流れ・画像抜け
(白抜け)・画像濃度ムラなどを防げるというものであ
る。
【0030】また特開昭61−140974号および特開昭61−
140975号には、クリーニング装置に使用する薄板ブレー
ドの材料として金属が挙げられ、感光体としてa−Si
が例示されている。
【0031】また特開昭62−278586号には、a−Si光
導電層を有する感光体と、金属製部材を使用するクリー
ニング手段を具備する電子写真複写装置が開示され、金
属製部材を使用するクリーニング手段として、鋼・アル
ミニウム・亜鉛・銅などの金属またはこれらの金属粉を
プラスチック材料中に分散させた材質からなる、金属ブ
レードおよび金属ブラシが記載され、a−Si系感光体
としては、水素化a−Si・フッ素化a−Si・フッ素
化アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)・ア
モルファスシリコンナイトライド(a−SiN)など
を、単体あるいは機能を分離して層状に組み合わせて使
用することが記載されている。それによれば、30℃85%
RHの下での連続1000枚の複写においても画像のぼやけ
(画像流れ)が発生せず、良好な画質を安定的に得るこ
とができたというものである。
【0032】また特開平3−215886号には、ブレード清
掃部材を、弾性を有する板厚 100μm以下の金属薄板、
例えばSUS304Hのステンレス鋼板、工具鋼板、ベリリ
ウム銅、燐青銅板などにより構成したクリーニング装
置、ならびにそのブレード清掃部材を剪断加工により製
作することが開示されており、特開平3−217888号に
は、同様のブレード清掃部材を金属製支持部材に紫外線
硬化型嫌気性接着剤で接着したクリーニング装置が開示
されている。そして、いずれもa−Si感光体を用いて
温度30℃湿度80%の環境で 50000枚コピーテストした結
果、感光体ドラムの周面に傷を付けることもなく、良好
な清掃効果が得られたことが記載されている。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ように金属ブレードを用いたクリーニング手段およびそ
れを具備した電子写真記録装置によっても、a−Si感
光体を用いて感光体の加熱を行なわずに高温高湿環境下
での画像流れ発生を防止した記録装置を提供しようとし
た場合には、次のような点が不明であり、また問題点も
あった。
【0034】すなわち、特開昭59−219770号のクリーニ
ング装置ならびに画像形成装置では、a−Siよりもさ
らに高硬度のa−SiCなどの表面層に対する効果は不
明であり、高温高湿環境下での画像流れについても記載
されていない。またクリーニング装置の構成が複雑にな
って部品点数も増加し、製作・調整が困難であるととも
に長期にわたって安定した画像品質を得ることが難しい
という問題点があった。
【0035】また特開昭61−140974号および特開昭61−
140975号のクリーニング装置でも、薄板ブレードに用い
る金属およびa−Si感光体の表面層については具体的
に記載されておらず、高温高湿環境下での画像流れにつ
いても記載されていない。またクリーニング手段による
感光体表面層の研磨についても記載されていない。
【0036】また特開昭62−278586号の電子写真複写装
置では、クリーニング手段がプラスチック材料中に金属
粉を分散させたものであり、長期に使用する場合には均
一に安定したクリーニングが行なえず、感光体の表面層
を傷付けて黒スジなどの画像不良を発生させてしまうと
いう問題点があった。
【0037】そして特開平3−215886号ならびに特開平
3−217888号のクリーニング装置では、金属薄板から成
るブレード清掃部材の感光体への接触圧力により、感光
体表面の酸化層の除去が十分にできずに高温高湿環境下
で画像流れが発生したり、感光体表面が削られて感光体
の寿命が著しく短く成ってしまうことがあるという問題
点があった。
【0038】本発明は、上記事情に鑑みて本発明者が鋭
意研究を進めた結果完成したものであり、その目的は、
a−Si系感光体などのアモルファス無機感光体を用い
た電子写真記録装置において、感光体の加熱を必要とせ
ずに、耐刷によって生じる高温高湿環境下における画像
流れを防止した電子写真記録装置を提供することにあ
る。
【0039】また本発明の他の目的は、a−Si系感光
体などのアモルファス無機感光体を用いた電子写真記録
装置において、感光体表面層を薄くかつ均一に研磨する
ことによって、長期の使用における画像スジや高温高湿
環境下における画像流れの発生を防止できるクリーニン
グ手段を具備した、感光体の加熱を必要とせずに高い画
像品質を長期にわたって安定して得られる高信頼性の電
子写真記録装置を提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】本発明の電子写真記録装
置は、導電性筒状基板の上に光導電層とアモルファスシ
リコンカーバイドまたはアモルファスカーボンから成る
表面層とが順次積層され、これらアモルファスシリコン
カーバイドまたはアモルファスカーボンの組成比がa−
Si1-xx にて0.7≦x≦1.0である感光体と、
水濡れ性が前記表面層よりも大きい厚み0.05mm〜
1.0mmの金属製薄板を厚み0.1mm〜5.0mm
の弾性支持部材に取着して成るクリーニング部材を有す
るクリーニング手段とを具備し、前記感光体の表面層を
前記クリーニング部材の金属製薄板により感光体の1回
転当たり0.0001〜0.05Å/回転の表面層研磨
速度で研磨することを特徴とするものである。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真記録装置は、ア
モルファスシリコンカーバイド(以下、アモルファスシ
リコンカーバイドをa−SiCと略記する)またはアモ
ルファスカーボン(以下、アモルファスカーボンをa−
Cと略記する)から成る表面層が積層された感光体に対
して、クリーニング手段のクリーニング部材として弾性
支持部材に取着した金属製薄板を当接させて摺擦するこ
とにより表面を研磨し、さらにその表面層研磨速度を感
光体1回転当たり0.0001〜0.05Å/回転としたことによ
り、感光体の長寿命特性を維持しつつ、表面層を薄くか
つ均一に研磨してその表面の種々の付着物を除去するこ
とができるものであり、その結果、感光体の加熱を必要
とせずに、耐刷によって生じる高温高湿環境下における
画像流れを防止することができるものである。
【0045】また本発明の電子写真記録装置は、上記構
成によって感光体表面層を薄くかつ均一に研磨すること
によって、長期の使用における画像スジや高温高湿環境
下における画像流れの発生を感光体の加熱を必要とせず
に防止できるものとなり、その結果、長期にわたって高
い画像品質を安定して得られる高信頼性の電子写真記録
装置となる。
【0046】さらに本発明の電子写真記録装置によれ
ば、クリーニング部材として金属製薄板を弾性支持部材
に取着したものを用いているので、金属製薄板を弾性支
持部材の弾力により一定かつ均一な圧力でもってソフト
なタッチで感光体の表面層に当接させることができ、一
定の条件で均一に表面層を摺擦して研磨することができ
る。
【0047】また、従来のゴム製ブレードのクリーニン
グ部材の場合、ブレードが感光体に吸着して異音が発生
したりブレードがめくれたりするという問題があるた
め、これを両者の摩擦を低減し摺動性を向上させて防ぐ
目的で、フッ素を含む樹脂粉末(フッ化ビニールなど)
などから成る粉体潤滑剤を使用していたが、金属製薄板
を用いることによりそのような問題はなくなり、粉体潤
滑剤も不要となる。
【0048】さらにまた、本発明の電子写真記録装置に
よれば、クリーニング部材に用いる金属製薄板に表面層
よりも水濡れ性が大きいものを用いるので、表面層への
種々の付着物を高温高湿環境下において湿った状態でも
容易に掻き取って除去することができ、しかも表面層表
面の水分を吸着・吸収する作用もあるため、湿った付着
物を確実に除去して画像流れの発生を防止できる。
【0049】また、本発明の電子写真記録装置によれ
ば、クリーニング部材に用いる金属製薄板の厚みを0.05
mm〜1.0 mmとしたことにより、表面層と当接する金
属製薄板のエッジ部が適度な強度と弾性を有し、感光体
の面振れ量を吸収して表面層に確実かつ均一に当接して
摺擦できるようになり、残留トナーのクリーニング不良
を引き起こしたり感光体表面を傷付けたりすることがな
くなり、しかも画像流れの原因となる種々の付着物や表
面層の酸化層を一様に除去できる。
【0050】さらに本発明の電子写真記録装置によれ
ば、感光体の表面層を組成比がa−Si1-x x におい
て 0.7≦x≦1.0 であるa−SiCまたはa−Cで構成
したことにより、表面層が高硬度であるため、金属製薄
板を用いてその表面を摺擦し研磨しても、感光体表面を
ほとんど傷付けることなく画像流れの原因となる付着物
を除去することができる。そして、電位特性や画像特性
などの感光体の諸特性をほとんど変化させることなく長
期にわたって良好な画質の記録画像が得られる、高信頼
性の電子写真記録装置となる。
【0051】以下、本発明の電子写真記録装置を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0052】本発明の電子写真記録装置としては、カー
ルソン法や容量像法(NP法・KIP法など)などの外
部電荷潜像方式のものが代表例として挙げられるが、光
背面方式と言われる背面露光同時現像方式などであって
もよい。以下の実施例ではカールソン法を例にとって説
明する。
【0053】図1は本発明の電子写真記録装置の実施例
を示す概略構成図であり、ここではLEDプリンタを例
にとっている。また図2は、本発明の電子写真記録装置
で用いる感光体の層構成を示す断面図である。
【0054】図1の電子写真記録装置1は、ドラム状の
感光体2の外周面に、帯電手段であるコロナ帯電器3
と、その帯電後に光照射して静電潜像を形成するための
露光手段である露光器4と、静電潜像を現像してトナー
像を感光体2の表面に形成するためのトナー5を備えた
現像手段である現像器6と、そのトナー像を被転写材7
に転写する転写手段である転写器8と、その転写後に感
光体表面に残留した残留トナーを除去するクリーニング
手段9と、残余静電潜像を除去する除電手段10とを配設
した構成である。また、11は被転写材7に転写されたト
ナー像を熱もしくは圧力により固着させて記録画像を得
るための定着器である。なお同図において、感光体2の
内部の矢印は感光体2の回転方向を示し、被転写材7の
下側の矢印は被転写材7の進行方向を示す。
【0055】感光体2は、導電性筒状基板12の上に光導
電層13とa−SiCまたはa−Cから成る表面層14とが
順次積層された構成となっている。
【0056】また、クリーニング手段9はクリーニング
部材15を有している。このクリーニング部材15は金属製
薄板16を弾性支持部材17に取着したものであり、固定治
具18を介してクリーニング手段9に配設されている。な
お19はクリーニング部材15により感光体2の表面から除
去したトナーや付着物を回収したり感光体2の表面を摺
擦するためのクリーニングローラーであるが、本発明に
おいては必ず必要とするものではない。
【0057】なお、20は感光体2の表面に現像されたト
ナー像であり、21は被転写材7に転写された転写トナー
像、22は定着器11により被転写材7に固着された記録画
像であり、23は転写されずに感光体2の表面に残留した
残留トナーを示している。
【0058】また上記電子写真記録装置1はプリンタの
構成であるが、露光器4に代えて原稿からの反射光を通
すレンズやミラーなどの光学系を用いれば、複写機とし
ての電子写真記録装置となる。
【0059】本発明の電子写真記録装置1に用いる感光
体2は、上述のように導電性筒状基板12の上に光導電層
13と表面層14とが順次積層された構成であるが、さらに
必要に応じて、基板12と光導電層13との間に基板12から
光導電層13へのキャリアの注入を阻止するキャリア注入
阻止層や、長波長光による露光光が基板12の表面で反射
して記録画像に干渉縞が発生するのを防止するための長
波長光吸収層を設けてもよい。また光導電層13と表面層
14との間にも、光キャリアをスムーズに走行させるため
の遷移層や、光感度を高めるためのキャリア励起層を設
けてもよい。
【0060】導電性筒上基板12は、アルミニウム(A
l)あるいはSUS・Zn・Cu・Fe・Ti・Ni・
Cr・Ta・Sn・Au・Agなどの金属材料やそれら
の合金材料などの導電部材で構成するか、もしくは樹脂
やガラス・セラミックスなどの表面に上記金属やITO
・SnO2 などの透明導電性材料による導電性膜を蒸着
などにより形成して導電処理したもので構成してもよ
い。中でもアルミニウム合金材料を用いると、低コスト
で感光体2の軽量化が可能なばかりか、光導電層13やキ
ャリア注入阻止層にa−Si系材料を用いた場合にそれ
らとの密着性が高く、それにより感光体2の信頼性も向
上するといった点で好適である。
【0061】光導電層13には、従来既知のa−Si系を
始めとして、a−Se系やCdS系・OPC系などの感
光体材料を用いることができるが、中でもa−Siまた
はa−Siと炭素(C)・窒素(N)・酸素(O)など
との合金系材料であるa−Si系材料を用いると、高い
光感度特性や高速応答性・繰り返し安定性・耐熱性・耐
久性などの優れた電子写真特性が安定して得られ、さら
にa−SiCまたはa−Cからなる表面層14との整合性
に優れるという点で好ましい。
【0062】そのようなa−Si系材料には、a−Si
・a−SiC・a−SiN・a−SiO・a−SiGe
・a−SiCN・a−SiNO・a−SiCO・a−S
iCNOなどが挙げられる。これらは、例えばグロ−放
電分解法・各種スパッタリング法・各種蒸着法・ECR
法・光CVD法・触媒CVD法・反応性蒸着法などによ
り成膜形成し、その成膜形成に当たってダングリングボ
ンド終端用に水素(H)やハロゲン元素(F・Cl)を
膜中に1〜40原子%含有させる。また、各層の暗導電率
や光導電率などの電気的特性および光学的バンドギャッ
プなどについて所望の特性を得るために、周期律表第II
Ia族元素(以下、IIIa族元素と略す)や第Va 族元素
(以下、Va 族元素と略す)を含有させたり、炭素
(C)・窒素(N)・酸素(O)等の元素の含有量を調
整して上記諸特性を調整するとよい。
【0063】上記IIIa族元素およびVa 族元素としては
それぞれホウ素(B)およびリン(P)が、共有結合性
に優れて半導体特性を敏感に変え得る点で、その上優れ
た光感度が得られるという点で望ましい。その含有量と
しては、C・N・O等の元素と共に含有させる場合、II
Ia族元素は 0.1〜20,000ppmがよく、Va 族元素は0.
1〜10,000ppmがよい。また、C・N・O等の元素を
含有させないかまたは微量含有させる場合は、IIIa族元
素は0.01〜200 ppm、Va 族元素は0.01〜100 ppm
含有させるのがよい。これらの元素は層厚方向にわたっ
て勾配を設けてもよく、その場合には層全体の平均含有
量が上記範囲内であればよい。
【0064】またa−Si系材料は、微結晶シリコン
(μc−Si)を含んでいてもよい。
【0065】μc−Siを含むことにより、光導電層13
の暗および光導電率を高めることができ、この層13の設
計自由度が増す。μc−Siは、上記と同様の形成法で
成膜条件を変えることによって形成することができる。
例えばグロ−放電分解法では、基板温度および高周波電
力を高めに設定し、希釈ガスとしての水素流量を増すこ
とによって形成できる。また、μc−Siを含む場合に
も上記と同様の不純物元素を添加させることも可能であ
る。
【0066】a−Si系のキャリア注入阻止層を設ける
場合は、上記のa−Si系材料に光導電層13より多くの
IIIa族元素やVa 族元素を含有させて導電型を調整した
り、より多くのC・N・Oを含有させて高抵抗としたも
のが用いられる。
【0067】表面層14は、組成比がa−Si1-x x
おいて 0.7≦x≦1.0 であるa−SiCまたはa−Cか
らなることを特徴とする。このような組成比であれば、
長寿命の感光体の表面層として十分な高硬度特性(モー
ス硬度で5〜11)と高抵抗特性(抵抗率で1×1012Ω・
cm以上)を有し、耐環境性にも優れ、また表面の変質
もほとんど生じることがなくなるという点で好適であ
る。
【0068】このような表面層14は上記のa−Si系材
料と同様の薄膜形成手段により形成し、その成膜形成に
当たってダングリングボンド終端用もしくは硬度調整用
として、水素(H)やハロゲン(F・Cl)を膜中に5
〜200 原子%含有させる。
【0069】また表面層14と光導電層13の両方にa−S
iCを用いた場合には、光導電層13に含まれるC量に比
べて表面層14中のC量を多く含有させるとよい。さら
に、この表面層14にも電気的特性の調整用としてIIIa族
元素やVa 族元素を含有させてもよい。
【0070】上記各層の厚みとしては、光導電層13の厚
みは通常5〜100 μm、好適には15〜80μmとするとよ
く、表面層14の厚みは0.05〜5μm、好適には 0.1〜2
μmがよい。またキャリア注入阻止層を設ける場合、そ
の厚みは 0.1〜10μm、好適には 0.3〜5μmがよく、
これにより良好な電子写真特性のa−Si系電子写真感
光体となる。
【0071】また、表面層14と光導電層13との間には上
述のように遷移層を設けるのがよく、この遷移層は、表
面層14と光導電層13の中間の元素組成で合金系材料の含
有量を変化させ、含有量の勾配を有するようにするのが
良い。このような遷移層を設けることにより、光導電層
13で生成された光キャリアの走行がスムーズになる。
【0072】この遷移層の厚みは1μm以下、好適には
0.05〜0.5 μm程度がよい。
【0073】次に、クリーニング部材15は、上記のよう
に金属製薄板16を弾性支持部材17に取着したものであ
り、固定治具18を介してクリーニング手段9に配設され
て金属製薄板16が感光体2の表面層14に当接しており、
感光体2の回転に従って表面層14の表面を摺擦・研磨す
ることによって、画像流れの原因となる付着物を除去す
る。
【0074】このように金属製薄板16を弾性支持部材17
に取着した構成としたことにより、厚みが薄いことで感
光体2の表面の軸方向に均一に一定の接触条件で当接で
きる一方で曲げ強度が不足する金属製薄板16を、弾性支
持部材17により補強して感光体2への接触状態を均一か
つ一定に維持することができ、しかも弾性支持部材17が
その弾性により程よく金属製薄板16を支えるため、感光
体2の表面への金属製薄板16の当接をソフトにする作用
もある。従って、このようなクリーニング部材15によれ
ば、常に均一かつ一定の当接条件で感光体2の表面を摺
擦して研磨することができ、それにより感光体2への傷
付きを生じない状態で画像流れの原因となる付着物を確
実に除去できるようになるものである。
【0075】また本発明の電子写真記録装置1に好適な
クリーニング部材15の構成例を、図3(a)および
(b)にそれぞれ断面図で示す。
【0076】図3(a)のクリーニング部材15は金属製
薄板16が弾性支持部材17に接着剤層24を介して取着され
ている例であり、弾性支持部材17はさらに接着剤層25に
より固定部材18に取着されている。またこの例では、金
属製薄板16と弾性支持部材17との間の固定部材18側の約
半分に接着剤層24を設けており、感光体2に当接する側
は接着せずにフリーな重ね合わせ状態としている。この
ような構成とすれば、金属製薄板16が感光体2の表面に
よりソフトかつ確実に当接するようになり、感光体2の
面振れなどによる当接表面の変動にも十分に追従できる
ものとなる。
【0077】また図3(b)のクリーニング部材15は金
属製薄板16と弾性支持部材17とを全面で接着し、あるい
は金属製薄板16を蒸着などの方法により弾性支持部材17
上に形成して、両者を一体的に取着させた例であり、弾
性支持部材17は図3(a)と同様に接着剤層25により固
定部材18に取着されている。このような構成とすれば、
金属製薄板16の厚みをより薄くしても感光体2の表面に
均一かつ確実に当接させることができ、弾性支持部材17
の弾性を十分に活かして感光体2の当接表面の変動にも
十分に追従できるものとなる。
【0078】上記のようなクリーニング部材15であれ
ば、感光体2の表面層14に当接する部位が金属製薄板16
となっているため、従来のゴム系ブレードのような弾性
がないので、表面層14の表面の付着物が湿った状態であ
っても、それらを掻き取る形で容易に除去することがで
きる。
【0079】しかも、金属製薄板16は酸化物を作り易い
金属であることから、水に対する濡れ性がよい。そのた
め感光体2の表面の水分を吸収・吸着する傾向があっ
て、それによっても湿った状態の付着物をより掻き取り
易いという利点を有する。
【0080】金属性薄板16の材料としては、SUS304
などの各種ステンレスを始めとして、コバール・42アロ
イ・1070などの純アルミニウム・5052などのアルミニウ
ム合金・Ti・Ta・Cu・Zn・Ni・Fe・黄銅・
Pb・Mo・W・青銅・モネルあるいはこれらの合金類
が挙げられる。これらは市販の鏡面板材を利用すればよ
い。また、これらにクロムメッキやニッケルメッキを施
したもの、これらの材料から構成された積層状態の蒸着
膜などでもよい。
【0081】金属性薄板16として鏡面板材を利用する場
合の外形加工法としては、フォトプロセス−ケミカルエ
ッチング法やシャーリング法・レーザービーム法・水ジ
ェット法・ダイシングソー法などが挙げられる。
【0082】外形加工の際には、端部エッジ(コーナ
ー)にカケやバリ・反り・突起などが残ってはならな
い。そのためには、所望の外形に加工した金属性薄板16
を複数枚重ねて、必要に応じてワックスなどで仮接着
し、重ねた端面を研削または研磨すると、鏡面の端面と
なり、良好なエッジ(コーナー)が得られて好ましい。
【0083】金属性薄板16の厚みは、使用する材料の弾
性や強度などに応じて適宜選択するが、好適には0.05m
m〜1.0 mm、より好適には0.10mm〜0.60mmとする
と、感光体2の表面を軸方向および周方向共により均一
に研磨できるといった点で好ましい。厚みが0.05mmよ
り薄い場合は、薄すぎて強度が不足するために薄板とし
て製作することが難しく、他方、1.0 mmを越える場合
は、弾性が不足して感光体2の面振れなどの変動を吸収
することができなくなり、残留トナーのクリーニング不
良を引き起こしたり感光体2の表面を傷付けたりする傾
向があるため好ましくない。
【0084】また金属製薄板16の幅は5mm〜50mm、
好適には10mm〜30mm程度とするるのが、感光体2の
表面を良好に研磨できるように、金属製薄板16の感光体
2への押圧力などの接触条件を確保できるという点で好
ましく、長さは感光体2の記録長(軸長)に応じて、10
0 mm〜1000mm程度の範囲で適宜設定する。
【0085】弾性支持部材17の材料としては、ゴム系の
材料として、ポリウレタンゴム・シリコーンゴム・クロ
ロプレンゴム・天然ゴム・イソプレンゴム・スチレンゴ
ム・ブタジエンゴム・ニトリルゴム・フッ素ゴム・アク
リルゴム・ブチルゴム・クロロスルフォン化ポリエチレ
ンゴム・エチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられ、樹
脂系の材料として、POM(ポリアセタール)・PA
(MCナイロン)・ポリカーボネート・ポリエチレンや
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)・PFA・F
EP・PVDF・ETFE・PCTFEなどのフッ素樹
脂、あるいはポリ塩化ビニル・ベークライト・ポリエス
テル・スチレン−オレフィン系・エポキシ・フェノール
・ポリプロピレン・メタクリル・ABS・ポリイミド・
ポリアミドなどが挙げられる。
【0086】また弾性支持部材17の厚みも、使用する材
料の弾性や強度などに応じて適宜選択するが、好適には
0.1 mm〜5.0 mm、より好適には0.2 mm〜3.0 mm
とすると、感光体2の表面を軸方向および周方向共によ
り均一に研磨できるといった点で好ましい。厚みが0.1
mmより薄い場合は、支持部材としての強度が不足し、
他方、5.0 mmを越える場合は、かなり弾性のある材料
でも感光体の軸方向に均一かつ一定の接触条件で当接す
ることが難しくなる傾向があるため好ましくない。
【0087】また弾性支持部材17の幅も、5mm〜50m
m、好適には10mm〜30mm程度とするのが、感光体2
の表面を良好に研磨できるように金属製薄板16の感光体
2への押圧力などの接触条件を確保できるという点で好
ましく、長さも感光体2の記録長(軸長)に応じて、10
0 mm〜1000mm程度の範囲で適宜設定する。なお、弾
性支持部材17の幅および長さは、金属製薄板16とほぼ同
じサイズに設定する。
【0088】固定部材18の材料としては、SUS・Fe
などの金属あるいはこれらの合金、およびPOM・AB
Sなどの樹脂系の材料などが挙げられる。
【0089】また固定部材18の厚みも、使用する材料の
弾性や強度などに応じて適宜選択するが、好適には1m
m〜5mmの範囲で、感光体2の表面を軸方向および周
方向共により均一に研磨できるように設定すればよい。
【0090】また固定部材18の幅は、弾性支持部材17と
の接着面が弾性支持部材17の幅に応じて、2mm〜45m
m程度の範囲で適宜設定すればよい。長さは、感光体2
の記録長(軸長)とクリーニング手段9への取り付け部
分の長さに応じて、100 mm〜1000mm程度の範囲で適
宜設定すればよい。
【0091】そして固定部材18のクリーニング手段9へ
の取り付けは、接着剤や接着テープにより固定したり、
ネジ止めにより固定すればよい。
【0092】次に、図4(a)および(b)にクリーニ
ング部材15と感光体2との当接状態を断面図で示す。
【0093】図4(a)はクリーニング部材15が感光体
2の表面層14にカウンター方向、すなわち感光体2の回
転方向と逆向きにクリーニング部材15が当接している場
合を示しており、この場合は金属製薄板16が同図の上側
にきて、表面層14の移動方向に逆らうように当接してい
る。
【0094】また図4(b)はクリーニング部材15が感
光体2の表面層14にウイズ方向、すなわち感光体2の回
転方向と同じ向きにクリーニング部材15が当接している
場合を示しており、この場合は金属製薄板16が同図の下
側にきて、表面層14の移動方向に従うように当接してい
る。
【0095】いずれの場合も金属製薄板16の端面エッジ
(コーナー)が感光体2の表面に一定の圧力(弾力)で
当接し、感光体2の回転に伴ってその表面を摺擦し研磨
するようになっている。カウンター方向とウイズ方向の
いずれを採用するかは、電子写真記録装置の仕様に基づ
いて適宜選択すればよい。
【0096】そして本発明の電子写真記録装置1は、上
記クリーニング手段9の金属製薄板16により感光体2の
表面層14を感光体2の1回転当たり0.0001〜0.05Å/回
転の表面層研磨速度で研磨することを特徴とするもので
ある。表面層研磨速度を上記範囲に設定すると、感光体
2が1回転することによる1プロセス毎に、プロセスに
伴って表面層14の表面に付着する付着物や、帯電に伴っ
て発生するオゾンによる表面層14の酸化を経常的に研磨
して除去でき、しかも表面層14に傷が付いて画像スジな
どの画像不良が発生したり表面層14が極端に磨耗して寿
命が短くなったりすることもなくなるので、その結果、
感光体2を加熱しなくても高温高湿環境下で画像流れが
発生することがなくなり、かつ長期にわたって高品質な
記録画像が得られる高信頼性の電子写真記録装置1とな
る。
【0097】上記表面層研磨速度が感光体2の1回転当
たり0.0001Å/回転より小さくなると、表面の付着物や
酸化層を経常的に研磨して確実かつ効果的に除去できな
くなってしまうため、長期にわたって使用すると高温高
湿環境下での画像流れが発生する傾向が見られる。他
方、0.05Å/回転より大きくなると、表面層14の磨耗が
大きくなって感光体2の寿命が短くなってしまうため実
用的でなくなり、また表面の傷付きも発生し易くなる傾
向があるため、好ましくない。なお、表面層研磨速度が
0.01Å/回転以下であれば、最適の表面層厚みでもって
数十万枚から百万枚以上まで感光体2の寿命を延ばすこ
とができる。
【0098】なお、帯電器3および露光器4・トナー5
・現像器6・被転写材7・転写器8・除電手段10・定着
器11には、通常用いられる種々のものが使用可能であ
る。
【0099】
【実施例】以下に具体例を述べる。 〔例1〕導電性筒状基板として、アルミニウム合金から
成る肉厚 2.5mm、外径30mm、長さ 254mmの引き抜
き管の外周面を鏡面加工して洗浄したものを用意し、こ
れをグロー放電分解成膜装置にセットして、表1および
表2に示す成膜条件により、キャリア注入阻止層および
光導電層ならびに表面層を順次積層して、それぞれa−
SiC表面層を有する感光体Aとa−C表面層を有する
感光体Bとを作製した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】上記2種類の感光体AおよびBの表面層の
組成を、それぞれの一部を5mm角に切り出してXPS
分析により求めた。分析に際してはSiとCとの組成の
合計を1.0 として、両元素の組成比を算出した。その結
果を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】表3の結果より、感光体Aの表面層は、そ
の組成をa−Si1-x x と表わしてx=0.8 のa−S
iCであり、感光体Bの表面層はa−Cであることが確
認された。
【0105】かくして得られた2種類の感光体Aおよび
Bについて、まず従来の電子写真記録装置による耐刷実
験を以下のように行なった。
【0106】クリーニング手段としては、ポリウレタン
ゴム製の長さ 238mm×幅18mm×厚み2mmのクリー
ニングブレードを用い、幅9mmを機器本体に両面テー
プにより接着した。またポリウレタンゴム製の外径9m
mの摺擦ローラーを併設し、感光体を加熱するためのヒ
ーターは取り除いた。この電子写真記録装置に感光体A
およびBを装着し、それぞれ 5,000枚ずつ耐刷した後で
電源を切って高温高湿環境下(33℃、85%RH)に10時
間放置してから、再び画像出しを行なって画像評価を行
なったところ、いずれも著しい画像流れを生じた。
【0107】〔例2〕次に、以下のようにして本発明の
電子写真記録装置により同様に画像評価を行なった。ま
ず金属製薄板として長さ 238mm×幅18mm×厚み 0.1
mmのSUS304 のものを、弾性支持部材として長さ 2
38mm×幅18mm×厚み2mmのポリウレタンゴムを用
意し、両者の幅18mmのうちの9mm分を図3(a)に
示すように両面テープにより接着してクリーニング部材
とし、さらに弾性支持部材の幅18mmのうちの9mm分
を同じく両面テープにより固定治具に接着してクリーニ
ング手段を用意した。また上記のような摺擦ローラーや
感光体を加熱するためのヒーターは設けなかった。この
電子写真記録装置に感光体AおよびBを装着し、それぞ
れ 5,000枚ずつ耐刷した後で電源を切って高温高湿環境
下(33℃、85%RH)に10時間放置してから、再び画像
出しを行なって画像評価を行なったところ、いずれにお
いても画像流れの発生は認められず、また画像キズの発
生も認められず、十分な解像力を有する良好な画像が得
られた。なお、この場合の感光体Aの表面層研磨速度は
0.001Å/回転であり、感光体Bの表面層研磨速度は
0.005Å/回転であった。
【0108】この結果より、本発明の電子写真記録装置
によれば、耐刷によって生じる高温高湿環境下における
画像流れを防止することができ、良好な画像を安定して
得られることが確認できた。
【0109】〔例3〕次に〔例2〕の電子写真記録装置
にOPC系感光体を装着して同様の画像評価を行なった
ところ、感光体の表面にひどい削れが生じ、画像キズや
カブリが発生するとともに帯電特性にも変動を生じて、
耐刷に耐える状態ではなかった。
【0110】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の電子写真記
録装置によれば、a−SiCまたはa−Cから成る表面
層が積層された感光体に対して、クリーニング部材とし
て弾性支持部材に取着した金属製薄板を当接させて摺擦
することにより表面を研磨し、さらにその表面層研磨速
度を感光体1回転当たり0.0001〜0.05Å/回転としたこ
とにより、感光体の長寿命特性を維持しつつ表面層を薄
くかつ均一に研磨してその表面の種々の付着物を除去す
ることができ、その結果、感光体の加熱を必要とせず
に、耐刷によって生じる高温高湿環境下における画像流
れを防止することができた。そして、長期にわたって高
い画像品質を安定して得られる高信頼性の電子写真記録
装置を提供することができた。
【0111】また本発明の電子写真記録装置によれば、
クリーニング部材に用いる金属製薄板の厚みを0.05mm
〜1.0 mmとし、さらにその金属製薄板を弾性支持部材
に取着したものを用いたことにより、金属製薄板のエッ
ジ部を一定かつ均一な圧力で感光体の表面層に当接させ
ることができ、それにより一定の条件で均一に表面層を
摺擦して研磨して高温高湿環境下における画像流れを効
果的に防止することができた。
【0112】また、本発明の電子写真記録装置によれ
ば、クリーニング部材に用いる金属製薄板に表面層より
も水濡れ性が大きいものを用いるので、表面層への種々
の付着物を高温高湿環境下において湿った状態でも容易
に掻き取って除去することができ、しかも表面層表面の
水分を吸着・吸収する作用もあるため、湿った付着物を
確実に除去して画像流れの発生をさらに有効に防止でき
た。
【0113】さらに本発明の電子写真記録装置によれ
ば、感光体の表面層を組成比がa−Si1-x x におい
て 0.7≦x≦1.0 である高硬度のa−SiCまたはa−
Cで構成したことにより、金属製薄板でその表面を研磨
しても、感光体表面をほとんど傷付けることなく画像流
れの原因となる付着物を除去することができ、長期にわ
たって良好な画質の記録画像が得られるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真記録装置の実施例を示す概略
構成図である。
【図2】本発明の電子写真記録装置で用いる感光体の層
構成を示す断面図である。
【図3】(a)および(b)は、それぞれ本発明の電子
写真記録装置に好適なクリーニング部材の構成例を示す
断面図である。
【図4】(a)および(b)は、それぞれ本発明の電子
写真記録装置におけるクリーニング部材と感光体との当
接状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・電子写真記録装置 2・・・・感光体 12・・・・導電性筒状基板 13・・・・光導電層 14・・・・表面層 9・・・・クリーニング手段 15・・・・クリーニング部材 16・・・・金属製薄板 17・・・・弾性支持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−235974(JP,A) 特開 平6−308869(JP,A) 特開 平6−250413(JP,A) 特開 昭63−43162(JP,A) 特開 平1−243067(JP,A) 特開 昭64−70789(JP,A) 特開 平6−186763(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 21/10 - 21/12 G03G 21/00 345 G03G 5/00 - 5/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性筒状基板の上に光導電層とアモルフ
    ァスシリコンカーバイドまたはアモルファスカーボンか
    ら成る表面層とが順次積層され、これらアモルファスシ
    リコンカーバイドまたはアモルファスカーボンの組成比
    がa−Si 1-x x にて0.7≦x≦1.0である感光
    体と、水濡れ性が前記表面層よりも大きい厚み0.05
    mm〜1.0mmの金属製薄板を厚み0.1mm〜5.
    0mmの弾性支持部材に取着して成るクリーニング部材
    を有するクリーニング手段とを具備し、前記感光体の表
    面層を前記クリーニング部材の金属製薄板により感光体
    の1回転当たり0.0001〜0.05Å/回転の表面
    層研磨速度で研磨することを特徴とする電子写真記録装
    置。
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