JP3257104B2 - 液状ガスケット組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はフランジ等の隙間部に
おいて、フランジ面で起こるずれや開口に対して十分に
対応し、かつフランジ部等で生ずる振動に対し好適な追
従性を呈して防振性を発揮する液状ガスケット組成物に
関する。

【０００２】

【従来の技術】ガスケットはフランジ等の接合部或はそ
の他の隙間部の二つの接合面から液体もしくは気体等の
流動性物質の漏洩防止を目的とし、前記接合面の間に配
置される材料であり、特に液状ガスケットは液体の状態
で接合面に塗布され、時間の経過とともに粘弾性或は粘
着性のある材料片に変化する特徴がある。

【０００３】これら液状ガスケットの材料としては、従
来例えばシリコーン、アクリル酸系エステルモノマー、
合成ゴム、合成樹脂或はこれらの組み合わせによる配合
物等が多く使用されてきた。

【０００４】しかし、フランジ部等は熱による膨張や収
縮、或は内圧、脆化等により締付力が緩和し、フランジ
部にずれ（フランジ面に平行方向）や開口（フランジ面
と垂直方向）の応力が生じ、このため従来の液状ガスケ
ットのみではこれらずれや開口といった応力に追従して
行くことができず、流動性物質の漏洩現象が発生する。

【０００５】また、フランジ部等ではいろいろな振動が
発生するが、フランジ部に形成されるガスケットにはこ
のような振動に追従してこれを低減させる防振性が要求
されるが、従来の液状ガスケットではこのような防振性
に欠ける面があった。

【０００６】従来、フランジ部でのずれや開口に追従さ
せるため、或は防振性を向上させるために、液状ガスケ
ット中に鋼球、ガラスビーズ等の球形粒状物を配合して
形成されるガスケット材料の膜厚を厚くする試みがなさ
れている( 特開平1-51708 号) 。

【０００７】また、防振性の向上に関しては材料中に金
属繊維を分散して比重を高める方法が行われてきた( 特
開昭54-45363号) 。

【０００８】

【発明が解決しようとする問題点】しかし、液状ガスケ
ット中に鋼球、ガラスビーズ等の硬い粒状充填剤を含有
させる場合には、形成されるガスケット材料の膜厚を多
少厚くすることができるが、その反面弾性に乏しくな
り、フランジ等で生ずる振動に対して追従性がなくな
り、防振効果が得られない。

【０００９】また、液状ガスケット中に鋼球、ガラスビ
ーズのような硬い粒状充填剤を含有させても、前述のず
れや開口といった応力に追従することができず、流動性
物質の漏洩を防ぐことができない。

【００１０】一方、防振性の向上のために、液状ガスケ
ット中に金属繊維を配合して比重を高めるという手法
は、現在問題視されている部品等の軽量化に反すること
になり、好ましくない。

【００１１】そこでこの発明の目的は、フランジ面で起
きるずれや開口に対し十分に追従し、且つそこで生ずる
振動を吸収できる液状ガスケット組成物を提供すること
にある。

【００１２】

【問題点を解決するための手段】このため、この発明で
は液状ガスケット中に平均粒径が0.1 〜3.0mm のゴム粒
子を5 〜50容量% 分散せしめた液状ガスケット組成物を
提案するものである。

【００１３】この発明を適用する液状ガスケットとして
は、例えば変性アルキッドポリエステル、ポリブデン、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、トリアジン樹脂、アク
リル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹
脂等、ゴム系としてブチルゴム、ポリウレタン、シリコ
ーンゴム、ポリサルファイド、クロロプレンゴム、ニト
リルゴム等を有機溶剤に溶解又は水に分散させた溶剤揮
発タイプの液状ガスケット、ラジカル重合性アクリルモ
ノマー、湿気硬化性のポリシロキサンを使った反応性液
状ガスケット等を挙げることができる。

【００１４】また、この発明で使用するゴム粒子はその
材質が上記液状ガスケットに対して不溶性であって、液
状ガスケットを使用する接合部での圧縮に対して破壊さ
れることなく高弾性を呈し、且つ圧縮歪みの小さなもの
が好ましく、具体的には天然ゴム、架橋ゴム、イソプレ
ンゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウ
レタンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、スチレンブタジ
エンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、
ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、塩素化ポリエチ
レン、ポリエステルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ク
ロルスルホン化ポリエチレン等の材料を挙げることがで
きる。

【００１５】この発明ではゴム粒子の平均粒径が0.1 〜
3.0mm の範囲のものを使用しているが、これはフランジ
部接合面の隙間と面幅に関係しており、粒径の直径が0.
1mm以下では、ずれや開口に対して追従し得なくなり、
また3.0mm 以上では隙間部に液状ガスケットが充填され
ず、流体圧力によりガスケットと共に押し流されてしま
う。

【００１６】上記ゴム粒子は液状ガスケット中に5 〜50
容量% 含有されるが、これはゴム粒子の含有量が5 容量
% 以下ではガスケット材料の弾性を発揮できず、フラン
ジ接合面での追従性が現れない。また50容量% を越える
と、接合面で隙間箇所を作り、流動性物質の浸透漏洩を
招くためである。

【００１７】

【発明の効果】この発明によれば、液状ガスケット中に
平均粒径0.1 〜3.0mm のゴム粒子を5〜50容量% 分散せ
しめることによって、フランジ面で起こるずれや開口に
対して十分に追従し、流動性物質の漏洩を防止でき、ま
たフランジ部で生ずる振動に対して好適に追従し、防振
効果を発揮する。

【００１８】

【実施例】以下、この発明の実施例を示す。 実施例１ シリコーンゴム系無溶剤型液状ガスケット（株式会社ス
リーボンド製「スリーボンド1216」）中に下記表１に示
す各直径のゴムを20容量% 混練し、弾性を有する液状ガ
スケット( 実施例１〜16) を調整した。

【００１９】同様に鋼球及びガラス球をそれぞれ配合し
たもの（比較例１、２）、何も配合せず「スリーボンド
1216」のみのもの（参考例１）をそれぞれ調整し、この
液状ガスケットを使用してフランジを組み付け、下記の
条件で加振後、下記の耐圧性（漏洩）試験を行い、その
結果を下記表１に示す。

【００２０】加振条件：耐圧試験治具をエミック（株）
社製加振機514-A に固定し、周波数3KHzで30分間加振し
た。 耐圧性試験：JIS K 6820に規定された試験治具及び方法
を使用して実施した。

【００２１】なお、下記表１中ASTM(American Society
for Testing and material) 略語で示されるゴム名称は
天然ゴム（ＮＲ）、イソプレンゴム（ＩＲ）、スチレン
ブタジエンゴム（ＳＢＲ）、ニトリルゴム（ＮＢＲ）、
ブタジエンゴム（ＢＲ）、クロロプレンゴム（ＣＲ）、
イソブチレンゴム（ＩＩＲ）、アクリルゴム（ＡＣ
Ｍ）、ウレタンゴム（Ｕ）、シリコーンゴム（Ｑ）、フ
ッ素ゴム（ＦＫＭ）、ポリスルフィドゴム（Ｔ）、エチ
レンプロピレンゴム（ＥＰＭ）、クロロスルホン化ポリ
エチレンゴム（ＣＳＭ）、エピクロルヒドリンゴム（Ｅ
ＣＯ）、塩素化ポリエチレンゴム（ＣＭ）である。

【００２２】

【表１】

【００２３】実施例２ 実施例１と同じシリコーンゴム系無溶剤型液状ガスケッ
ト「スリーボンド1216」に平均粒径0.5mm のスチレンブ
タジエンゴムを下記表２に示す各量を混練し、得られた
液状ガスケットを使用してフランジを組み付け、実施例
と同様な条件で加振後、耐圧性（漏洩）試験を行い、そ
の結果を下記の表２に示す。

【００２４】

【表２】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−163864（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−294381（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−121184（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−137984（ＪＰ，Ａ) 特公 昭43−18631（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F16J 15/14 C09K 3/10

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液状ガスケット中に、該液状ガスケット
   に対して不溶性であって、液状ガスケットを使用する接
   合部での圧縮に対して破壊されることなく高弾性を呈
   し、且つ圧縮歪みの小さなゴム粒子であって、その平均
   粒径が0.1〜3.0mmのものを５〜50容量％分散させたこと
   を特徴とする液状ガスケット組成物。