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JP3244793U - 下着 - Google Patents

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JP3244793U
JP3244793U JP2023003608U JP2023003608U JP3244793U JP 3244793 U JP3244793 U JP 3244793U JP 2023003608 U JP2023003608 U JP 2023003608U JP 2023003608 U JP2023003608 U JP 2023003608U JP 3244793 U JP3244793 U JP 3244793U
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智子 小林
崇 野村
Original Assignee
オグランジャパン株式会社
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Abstract

【課題】尿漏れや軽失禁による濡れ戻りの影響を低減する下着を提供する。【解決手段】前立て2と、前記前立てと連設された身頃11とを備えた下着であって、前記前立ては、前立て本体と、前記前立て本体における使用者の身体側に設けられた裏地7と、前記前立て本体および前記裏地の間に設けられた撥水性生地6とを有し、前記身頃から見て、前記裏地、前記撥水性生地、前記前立て本体の順に重ねて前記前立てが前記身頃に対して縫着部101、102において縫着され、前記前立て本体は、前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着され、前記撥水性生地および前記裏地は、前記縫着部から見て前記第1方向と反対側の第2方向に延びるように縫着され、前記第1方向に折り返されて前記縫着部を覆う下着である。【選択図】図5

Description

本考案は、男性の軽失禁や尿漏れに対応する下着に関する。
従来、排尿後の残尿の漏れや軽失禁などに悩まされている男性は少なくなく、尿漏れの量によっては、下着からの濡れ戻りにより、ズボン等のアウターまで滲みだすおそれがあった。
そこで、特許文献1では前立て部と身頃の縫着位置をずらし、また、特許文献2では表側前立て部と裏側前立て部との縫着部そのものを減らしている。
特開2014-114516号公報 特開2012-268252号公報
本考案は、尿漏れや軽失禁によるアウターへの濡れ戻りの影響を低減する下着の提供を課題とするものである。
本考案は、上記課題を解決するものであり、前立てと、前記前立てと連設された身頃とを備えた下着であって、前記前立ては、前立て本体と、前記前立て本体における使用者の身体側に設けられた裏地と、前記前立て本体および前記裏地の間に設けられた撥水性生地とを有し、前記身頃から見て、前記裏地、前記撥水性生地、前記前立て本体の順に重ねて前記前立てが前記身頃に対して縫着部において縫着され、前記前立て本体は、前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着され、前記撥水性生地および前記裏地は、前記縫着部から見て前記第1方向と反対側の第2方向に延びるように縫着され、前記第1方向に折り返されて前記縫着部を覆う下着である。
また、本考案は、前記前立て本体と前記撥水性生地の間には、保水性を有する中生地が設けられ、前記前立て本体および前記中生地は、前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着されていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記前立て本体は、上前立てと、前記上前立てに対し使用者の身体側に設けられた下前立てとからなり、前記身頃から見て、前記裏地、前記撥水性生地、前記上前立て、前記下前立ての順に重ねて前記前立てが前記身頃に対して縫着部において縫着されていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記前立て本体と前記撥水性生地の間には、保水性を有する中生地が設けられ、前記前立て本体および前記中生地は前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着されていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記前立て本体は、使用者の身体側とは反対側の面に防水層が形成されていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記中生地は、使用者の身体側とは反対側の面に防水層が形成されていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記撥水性生地は、前記前立て本体の一の側辺部に沿って所定の幅で形成されたことを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記撥水性生地は、前記縫着部に沿って前記前立て本体の一部のみ覆うように形成されていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記撥水性生地は、前記縫着部に沿って前記中生地の一部のみ覆うように形成されていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記上前立てと前記下前立ては、それらの一の側辺部に前立て開口部を備え、前記縫着部は、前記前立てにおいて前記下前立ての開口部を設けていない側の側辺部に設けられていることを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記下前立ては、前記縫着部とは反対側の側辺部に折り返し片を備え、前記折り返し片が前記縫着部方向へ折り返されて前記裏地の一部を覆うことを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記中生地は、前記縫着部とは反対側の側辺部に折り返し片を備え、前記折り返し片が前記縫着部方向へ折り返されて前記裏地の一部を覆うことを特徴とする下着である。
また、本考案は、前記身頃から見て、前記下前立ての本体、前記裏地、前記折り返し片の順に重ねてそれらが互いに縫着され、さらに、その縫着した部分の上から防水加工されたバインダーが設けられている下着である。
また、本考案は、前記身頃から見て、前記下前立ての本体、前記中生地、前記裏地、前記折り返し片の順に重ねてそれらが互いに縫着され、さらに、その縫着した部分の上から防水加工されたバインダーが設けられている下着である。
また、本考案は、前記バインダーは、前記前立ての下辺部まで達するように設けられていることを特徴とする下着である。
さらに、本考案は、前立てと、前記前立てと連設された身頃とを備えた下着であって、前記前立ては、上前立てと、前記上前立てに対し使用者の身体側に設けられた下前立てと前記下前立てにおける使用者の身体側に設けられた裏地と、前記下前立てと前記裏地の間に設けられた保水性を有する中生地および撥水性生地とを有し、前記身頃から見て、前記裏地、前記撥水性生地、前記上前立て、前記下前立て、前記中生地の順に重ねて前記前立てが前記身頃に対して縫着部において縫着され、前記上前立て、前記下前立ておよび前記中生地は、前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着され、前記撥水性生地および前記裏地は、前記縫着部から見て前記第1方向と反対側の第2方向に延びるように縫着され、前記第1方向に折り返されて前記縫着部を覆い、前記撥水性生地は、前記縫着部に沿って前記中生地の一部のみ覆い、前記中生地は、使用者の身体側とは反対側の面に防水層が形成されるとともに、前記縫着部とは反対側の側辺部に折り返し片を備え、前記折り返し片が前記縫着部方向へ折り返されて前記裏地の一部を覆い、前記身頃から見て、前記下前立て、前記中生地の本体、前記裏地、前記折り返し片の順に重ねてそれらが互いに縫着され、さらに、その縫着した部分の上から防水加工されたバインダーが設けられている下着である。
本考案に係る下着は、尿漏れや軽失禁によるアウターへの濡れ戻りの影響を低減することができる。
本考案に係る下着の正面図である。 本考案に係る下着を裏返した状態の図である。 本考案に係る下着の前立ての各構成部材を分解して表した図である。 図1のIV-IV断面図である。 図1のV-V断面図である。 (a)本考案に係る下着の前立ての製造工程のうち、第一工程を表した図である。(b)図6(a)のVIb断面図である。 (a)本考案に係る下着の前立ての製造工程のうち、第二工程を表した図である。(b)図7(a)のVIIb断面図である。 (a)本考案に係る下着の前立ての製造工程のうち、第三工程を表した図である。(b)図8(a)のVIIIb断面図である。 (a)本考案に係る下着の前立ての製造工程のうち、第四工程を表した図である。(b)図9(a)のIXb断面図である。 (a)本考案に係る下着の前立ての製造工程のうち、第五工程を表した図である。(b)図10(a)のXb断面図である。 (a)本考案に係る下着の前立ての製造工程のうち、第六工程を表した図である。(b)図11(a)のXIb断面図である。 (a)本考案に係る下着の前立ての製造工程のうち、第七工程を表した図である。(b)図12(a)のXIIb断面図である。 本考案に係る下着の変形例1における撥水性生地および吸水性生地の図である。 本考案にかかる下着の変形例1におけるV-V断面図である。 本考案にかかる下着の変形例2におけるV-V断面図である。
以下、本考案の下着の実施形態を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本考案はこれら実施形態に何ら制約されるものではない。
<下着1の基本構成>
図1は、本考案の下着1の正面図、図2は本考案の下着1を裏返した状態の図である。図1、2に示すように、本考案の下着1は、男性の局部を被覆できるように前方中央に設けられた前立て2と、前立て2の両側辺部22、23と下辺部24に連設され、腰回りを被覆する身頃11と、前立て2の上辺21および身頃11の上端に連設されたウエストゴム12を備える。なお、本実施形態のものは、身頃11が一枚の生地より構成されているが、身頃11は複数枚の生地を1枚につなぎ合わせて形成してもよい。
前立て2は、下着1の表側に露出して設けられた上前立て3と、上前立て3に対して使用者の身体側に設けられた下前立て4からなる前立て本体20を備える。そして、下前立て4の裏側には、使用者の身体に面して裏地7が設けられている。さらに、後述するように、下前立て4と裏地7の間には、中生地5と撥水性生地6が設けられている。なお、本明細書において、「表側」とは使用者が着用した状態で下着1の外側に面する側を意味し、「裏側」とは下着1の使用者の身体に面する側を意味する。
上前立て3は、その側辺部(図1の側辺部23側)において身頃11に縫着されていない部分がある。また、下前立て4は、上前立て3の前記側辺部とは反対側の側辺部(図2の側辺部22側)において、身頃11に縫着されていない部分がある。そして、上前立て3と下前立て4の身頃11に縫着されていないこれらの側辺部22、23の一部において、男性局部を出し入れ可能な開口部(開口部25、26)を形成している。
なお、図1、2に示すように、上前立て3側の開口部25よりも、下前立て4側の開口部26の方が、開口寸法において縦方向に長く形成されている。すなわち、開口部25では、開口の上端と下端はいずれも前立て2の側辺部23の途中に位置しているのに対し、開口部26では、開口の下端は前立て2の下辺部24まで達している。このように、開口部26に下部の開口を広く取ることにより、男性局部の出し入れが行いやすくなるとともに、尿の身頃側への濡れ戻りや滲み出しを防ぐことに寄与する。この点については、後に詳述する。なお、ここで「濡れ戻り」とは、いったん生地に吸収された尿が縫着部の縫目などを通じて下着の外側へ滲み出すことを意味する。
<前立ての各構成部材について>
図3は、裁断して縫着する前の前立て2の各生地を、下着1の表側(図面の右上)から裏側(図面の左下)に配置する順番に並べて示したものである。
図3に示すように、上前立て3は、上辺31よりも下辺34が短い縦長の略四辺形に形成されている。そして、その一方の側辺部の上部に形成された側辺部32aと同じ側辺部の下部に形成された側辺部32bの間に、生地の内側方向に湾曲する凹辺部35を備える。上前立て3は、凹辺部35部分が身頃11に縫着されず、かかる凹辺部35と下前立て4との間に前立て2の開口部25が形成される。本実施形態の上前立て3は、身頃11と同じ生地により形成されている。
下前立て4は、上辺41よりも下辺44が短い縦長の略四辺形に形成されている。そして、一方の側辺部の上部に形成された側辺部43の下側に、生地の内側方向に湾曲する凹辺部45を備える。下前立て4は、凹辺部45において身頃11に縫着されず、かかる凹辺部45と上前立て3との間に前立て2の開口部26が形成される。本実施形態の下前立て4は、身頃11と同じ生地により形成されている。なお、下前立て4の凹辺部45は、上前立て3の凹辺部35とは反対側の側辺部に形成されている。
中生地5は、上辺51よりも下辺54が短い縦長の略四辺形に形成されている。そして、一方の側辺部の上部に形成された側辺部53の下側に、生地の内側方向に湾曲する凹辺部55を備える。そして、上部の側辺部53と凹辺部55との境界には、凹辺部55側が突出するように段差部56が設けられている。かかる中生地5の凹辺部55は、下前立て4の凹辺部45と同じ側の側辺部に形成されている。
中生地5の凹辺部55には、段差部56の幅で中生地5の内側方向へ折り返し可能な折り返し片58が形成されている。詳しくは、折り返し片58を折り返すための折れ目57は、後述する裏地7の凹辺部75に沿うように形成されている。そして、中生地5と裏地7を重ね、折れ目57から折り返し片58を折り返すことにより、折り返し片58は裏地7の凹辺部75に沿った裏地7の一部を覆うことができる。
本実施形態の中生地5は、吸水性を有する綿等のパイル生地により形成されている。また、綿等の天然繊維以外に、キュプラ、ビスコースレーヨン等の再生セルロース繊維、吸水加工されたポリエステル等の合成繊維等、吸水性を有する繊維を用いることができ、また、編地としてフライス編みやスムース編み、更には天竺編み等の緯編地や、ラッセル編み等の経編地が好適に用いられる。
また、本実施形態の中生地5の表側の面、すなわち、下前立て4に面する側には防水加工が施されている(防水層501、後述する図4参照)。かかる防水層としては、防水性と透湿性を備えたポリウレタンシートが好適に用いられる。
撥水性生地6は、縦長の略矩形状に形成されている。撥水性生地6は、前立て2のその他の部材(上前立て3、下前立て4、中生地5、裏地7)と縦方向の長さがほぼ同一に形成されており、横方向の幅は前立て2のその他の部材よりも短くなるように形成されている。本実施形態の撥水性生地6は、前立て2のその他の部材に対し、横方向の幅が約1/2に形成されている。
撥水性生地6の形状や寸法はこれに限定されないが、後述するように、上前立て3、下前立て4および中生地5の各側辺部(側辺部32a、32b、側辺部42、側辺部52)を表裏から挟み込み、少なくとも、縫着部101(図4、5参照)を被覆するのに十分な横幅に形成されている必要がある。さらに、撥水性生地6により中生地5の吸尿を阻害しない程度の横幅とすることが好ましい。すなわち、撥水性生地6の横幅が広すぎると、撥水性生地6により覆われていない中生地5の露出面が減少し、中生地5の吸尿を阻害するおそれがある。以上の観点により、撥水性生地6の横幅は、4~9cmの範囲が好ましい。かかる撥水性生地6として、生地の表面をシリコンやフッ素でコーティングし、水を玉状にしてはじく撥水性生地を好適に使用することができる。
裏地7は、中生地5から折り返し片58を除いた形状とほぼ同一の形状に形成されている。ただし、後述の通り裏地7の側辺部72は折り返されて中生地5の側辺部52を表裏から挟み込むため、その折り返す分だけ裏地7の横方向の幅が広く形成されている。そして、一方の側辺部の上部に形成された側辺部73の下側に、生地の内側方向に湾曲する凹辺部75を備える。かかる裏地7の凹辺部75は、下前立て4の凹辺部45と同じ側の側辺部に形成されている。裏地7には、水分の吸収拡散性に優れ、濡れ戻りの防止機能を有する素材が好ましい。
<前立ての構成について>
図4は図1のIV-IV断面、図5は図1のV-V断面を表す。各図において、身頃11よりも上側は下着1の裏側(使用者の身体側)、下側は下着1の表側(外側)を表している。図4、5に示すように、前立て2は、身頃11から見て、前立て本体20(上前立て3、下前立て4)、中生地5、撥水性生地6および裏地7の順に重ねて設けられている。なお、これらのうち、中生地5は、防水層501が下前立て4に面するように設けられている。
図4に示すように、前立て2の開口部25より上部では、撥水性生地6の一方の側辺部63を除いて、上前立て3、下前立て4、中生地5、撥水性生地6および裏地7の両側辺部が身頃11の裏側で、端部111、112近くに縫着されている(縫着部101、102)。
まず、端部111側における縫着部101について説明する。縫着部101は、前立て2において、下前立て4の開口部26を設けていない側の側辺部23に設けられている。かかる縫着部101では、身頃11から見て、裏地7、撥水性生地6、上前立て3、下前立て4および中生地5の順に、それらの各側辺部(側辺部72、62、32a、42、52)が、身頃11の裏側で端部111に沿って縫着されている。
ここでの縫着の特徴的な点として、上前立て3、下前立て4および中生地5は、縫着部101から見て、使用者の身体に沿うように身頃11の端部112側へ延びるように縫着されているのに対し、裏地7と撥水性生地6は、縫着部101から見て上前立て3、下前立て4および中生地5とは反対側へ延びるように縫着されている。すなわち、上前立て3、下前立て4および中生地5は、前立ての一般的な向き(以下、「第1方向」という)で縫着されているのに対し、裏地7と撥水性生地6はその反対側の向き(以下、「第2方向」という)で身頃11と重なるように縫着されている。
縫着部101部分では、撥水性生地6が、上前立て3、下前立て4および中生地5側の第1方向へ、それらの各側辺部(側辺部32a、42、52)を巻き込むように折り返されている。このように折り返された撥水性生地6により、縫着部101を含む中生地5の一部が覆われている。これにより、縫着部101の縫目から尿の濡れ戻りや滲み出しを防ぐことができる。なお、撥水性生地6により覆われていない中生地5部分から尿を吸収する。
さらに、撥水性生地6の上から重ねるように、裏地7が上前立て3、下前立て4および中生地5側の第1方向へ、それらの各側辺部(側辺部32a、42、52)を巻き込むように折り返されている。このように折り返された裏地7により、撥水性生地6と中生地5の全体が覆われている。これにより、撥水性生地6が裏地7と中生地5の間に挟まれて固定される。
図5に示すように、上前立て3の開口部25が設けられている部分では、縫着部101において上前立て3の凹辺部35のみ身頃11に縫着されていない。そして、身頃11に縫着されない上前立て3の凹辺部35には、凹辺部35を表裏から挟み込むようにバインダー301が設けられている。
次に、身頃11の端部112側における縫着部102について説明する。図4に示すように、前立て2の開口部25より上部では、身頃11から見て、上前立て3、下前立て4、中生地5、裏地7の順に、それらの側辺部33、43a、53、73が、身頃11の裏側で端部112に沿って縫着されている。なお、撥水性生地6はその他の生地よりも幅が狭い形状のため、側辺部63側は縫着部102において縫着されず、自由端を形成している。
また、図5に示すように、下前立て4の開口部26が設けられている部分では、下前立て4、中生地5および裏地7の各側辺部(凹辺部45、55、75)はいずれも身頃11に縫着されておらず、自由端を形成している。さらに、上前立て3と下前立て4同士も縫着されず、互いに離間可能に設けられ、上前立て3の開口部25と下前立て4の開口部26を形成している。
下前立て4の開口部26が設けられている部分では、中生地5の凹辺部55に沿って設けられた折り返し片58が裏地7側へと折り返されている。このように折り返された中生地5で裏地7を表裏から挟み込んだ状態で、中生地5と重なっている下前立て4とともに縫着されている(縫着部201)。
中生地5は、防水層501を外側にした状態で折り返し片58が折り返されている。そして、かかる防水層501の上から、縫着部201を覆うようにバインダー302が設けられている。このように、防水層501を外側にした中生地5により裏地7の側辺部を表裏から挟み込み、さらにその上からバインダー302を設けることにより、縫着部201の縫目からの尿の濡れ戻りや滲み出しを防ぐことができる。なお、本実施形態では、中生地5に折り返し片58を設けたものについて説明したが、かかる折り返し片58を設けずに、その他の濡れ戻り防止手段を設けてもよい。
<前立て部の製造工程について>
図6~図12により、前立て2の一連の製造工程について説明する。なお、これらの図(a)では、前立て2は下着1の裏側(使用者の身体側)から見た状態で示され、図(b)はそれらの断面を模式的に表している。
図6の第一工程では、上前立て3の凹辺部35に沿ってバインダー301をつける。縫着で使用される糸は特に限定されないが、撥水加工を施したものが好適に使用され、ポリプロピレン糸、ポリエステル撥水加工糸、アクリル系撥水加工糸、ナイロン撥水加工糸、アセテート撥水加工糸及びエチレンビニルアルコール撥水加工糸などが好適に用いられる。以下説明する各工程で使用される糸についても、かかる撥水糸を使用することが好ましい。
図7の第二工程では、身頃11側からみて上前立て3、下前立て4、中生地5の順に各生地を重ね、上前立て3の側辺部32a、32bに沿って、下前立て4の側辺部42、中生地5の側辺部52をそれぞれ撥水糸で仮止めする(縫着部202)。
図8の第三工程では、身頃11側からみて裏地7、撥水性生地6の順に各生地を重ね、さらに、裏地7と撥水性生地6が身頃11と重なる向きに各生地の側辺部(側辺部72、62)と身頃11の端部111を揃えて配置する。そして、それらの側辺部62、72に沿って身頃11の裏側の端部111に撥水糸で仮止めする(縫着部203)。
図9の第四工程では、前記第二工程で縫着された上前立て3、下前立て4および中生地5の各側辺部(側辺部32a、32b、42、52)を、前記第三工程で縫着された身頃11の端部111と裏地7および撥水性生地6の各側辺部(側辺部72、62)に重ねて配置する。このとき、上前立て3、下前立て4および中生地5は、身頃11とは重ならない向き(第2方向)に配置される。上前立て3、下前立て4および中生地5と、身頃11、裏地7および撥水性生地6の各生地は、それらの縫着部202、203部分で互いに縫着される(縫着部101)。かかる縫着部101では、撥水糸によりフラットシーマで縫製される。このようなフラットシーマの縫製により、縫目による肌への違和感がなく、着用感を損なわない。
図10の第五工程では、撥水性生地6と裏地7を中生地5の上に重ねるように中生地5側の第1方向へと折り返す。そして、それらの各生地の上辺(上辺31、41、51、61、71)に沿って互いに撥水糸で仮止めする(縫着部204)。同様に、各生地の下辺(下辺34、44、54、64、74)に沿って互いに撥水糸で仮止めする(縫着部205)。このとき、縫着部204の仮止めは、各生地の側辺部(側辺部33、43a、53、73)まで達することなく、その手前で止めることが好ましい。さらに、縫着部205の仮止めも、各生地の側辺部(側辺部33、43b、55、75)まで達することなく、その手前で止めることが好ましい。このように、縫着部204、205を各生地の両側辺部の端まで縫わずマージンを設けることで、後述する第六工程の作業が行いやすくなる。
図11の第六工程では、中生地5の折り返し片58を裏地7の上に重ねるように裏地7側へ折り返す。そして、中生地5により裏地7の凹辺部75を表裏から挟み込んだ状態で、裏地7、中生地5、下前立て4の各側辺部(凹辺部75、53、45)に沿って撥水糸により仮止めする(縫着部206)。
図12の第七工程では、縫着部206の上からバインダー302を取り付ける。バインダーは撥水加工を施したフライス生地を使用し、撥水糸にて縫着する。さらに、裏地7、中生地5、下前立て4、上前立て3の各側辺部(側辺部73、53、43a、33)に沿って身頃11の端部112に撥水糸で仮止めし(図示せず)、さらにその上から撥水糸によりフラットシーマで縫着する(縫着部102)。縫着部102は、撥水糸によりフラットシーマで縫製されている。このようなフラットシーマの縫製により、縫目の違和感がなく、着用感を損なわない。
さらに、図示しないが、その後の工程として、前立て2を構成する各生地の上辺(上辺31、41、51、61、71)を、ウエストゴム12へ3本針ミシンにて縫着する。また、前立て2を構成する各生地の下辺(下辺34、44、54、64、74)も、身頃11にフラットシーマで縫着する。これらの縫着においても、撥水糸が使用される。
<作用効果>
本考案の下着1によると、排尿後に尿道から残存していた尿などが滴下した場合、裏地7を介して中生地5のパイル生地に素早く吸収される。裏地7は吸収拡散性に優れている上、濡れ戻りを防止する機能も有しているため、肌側はサラリとした着心地を維持することができる。
中生地5には下前立て4側の面に防水加工が施されているため、吸収された尿が下前立て4に滲み出すおそれはない。そして、側辺部52が撥水性生地6により表裏から挟まれた状態となっており、縫着部101の縫目から身頃11側への尿の滲み出しを防止する。また、下前立て4の開口部26では、中生地5の凹辺部55にはバインダー302が取り付けられているため、縫着部201の縫目から身頃11側への尿の滲み出しを防ぐことができる。さらに、前立て2の各縫着部を撥水糸により縫着することで、かかる滲み出し防止の効果を高めることができる。
このように、前立て2の側辺部23およびバインダー302部分に濡れ戻りや滲み出し防止の処理が施されているため、側辺部23およびバインダー302に挟まれた領域からアウター側へ尿が移ることを防ぐことができる。さらに、下前立て4の開口部26が前立て2の下辺部24まで設けられ、バインダー302も下辺部24に連設されているため、尿が付着しやすい前立て2の下部において、開口部26側から身頃11への尿が滲み出すことをより防ぐことができる。
なお、開口部25、26の上部(図2のAの領域)では、中生地5の側辺部53は下前立て4および上前立て3を介して身頃11にフラットシーマで縫着されているが(図4参照)、開口部25の上部においては、尿漏れによる尿が付着する可能性が低いため、中生地5からアウター側へと滲み出すおそれも少ない。また、外から視認できる縫着部の位置などは従来の下着と変わらないため、見た目や着用感を損なうおそれもない。
<変形例1>
図13、14に示すように、本考案にかかる下着1の変形例として、撥水性生地6の側辺部63側に吸水性を有する生地を連設してもよい。かかる吸水性生地を設ける場合、上記第一工程と第二工程の間で、吸水性生地8を撥水性生地6の側辺部63に沿って縫着部208で仮止めする(図13)。この変形例では、吸水性生地8は裏地7と相似する形状に形成されており、撥水性生地6の側辺部63に沿って、側辺部82側を少し余らすように縫着される。そして、撥水性生地6と吸水性生地8を裏地7に縫着する際は、吸水性生地8が撥水性生地6と裏地7の間に位置するように縫着する(図14)。なお、図14および図15は、図1におけるV-V断面(図5)に相当する位置における断面図である。
吸水性生地8の凹辺部85は、裏地7の凹辺部75とともに中生地5により表裏から挟み込まれ、撥水糸による仮止め後にバインダー302を取り付けられる。また、吸水性生地8のその他の辺部(上辺81、側辺部83、下辺84)も、前立て2を構成するその他の部材の対応する辺部にそれぞれ縫着される。
なお、吸水性生地8をさらに重ねることにより生地全体が厚みを増すため、必要に応じて、上記の第五工程において、縫着部204、205のほかに、側辺部83に沿って仮止めをしてもよい。
かかる吸水性生地8として、吸水性を有する綿製のパイル生地などを好適に使用することができる。このように、中生地5と裏地7の間にさらに綿製のパイルや綿製のパイル以外の吸水性生地を追加で設けることにより、20~50cc程度の量の失禁にも対応することが可能となる。
<変形例2>
図15は、本考案にかかる下着1の変形例2を示す。図に示すように、前立て2から中生地5を省略し、下着1の表側から見て、上前立て3、下前立て4、撥水性生地6および裏地7の順に重ねて設けられている。
下前立て4は、吸水性を有する素材で形成されており、下前立て4の表側の面、すなわち、上前立て3に面する側には防水加工が施されている(防水層401)。
以上説明した本考案にかかる下着1の実施形態とその変形例では、いずれも、前立て本体20が上前立て3と下前立て4により構成され、男性局部を出し入れするための開口部25、26を備えたタイプの下着であったが、その他の変形例として、前立て本体20が1枚の生地により形成され、開口部25、26を有さないものであってもよい。
さて、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
1…下着
2…前立て
3…上前立て
4…下前立て
5…中生地
6…撥水性生地
7…裏地
8…吸水性生地
11…身頃
12…ウエストゴム
13…足ぐり
20…前立て本体
58…折り返し片
101、102…縫着部
301、302…バインダー

Claims (17)

  1. 前立てと、
    前記前立てと連設された身頃と
    を備えた下着であって、
    前記前立ては、
    前立て本体と、
    前記前立て本体における使用者の身体側に設けられた裏地と、
    前記前立て本体および前記裏地の間に設けられた撥水性生地と
    を有し、
    前記身頃から見て、前記裏地、前記撥水性生地、前記前立て本体の順に重ねて前記前立てが前記身頃に対して縫着部において縫着され、
    前記前立て本体は、前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着され、
    前記撥水性生地および前記裏地は、前記縫着部から見て前記第1方向と反対側の第2方向に延びるように縫着され、前記第1方向に折り返されて前記縫着部を覆う
    下着。
  2. 前記前立て本体と前記撥水性生地の間には、保水性を有する中生地が設けられ、
    前記前立て本体および前記中生地は、前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着されていることを特徴とする
    請求項1に記載の下着。
  3. 前記前立て本体は、
    上前立てと、
    前記上前立てに対し使用者の身体側に設けられた下前立てとからなり、
    前記身頃から見て、前記裏地、前記撥水性生地、前記上前立て、前記下前立ての順に重ねて前記前立てが前記身頃に対して縫着部において縫着されていることを特徴とする
    請求項1に記載の下着。
  4. 前記前立て本体と前記撥水性生地の間には、保水性を有する中生地が設けられ、
    前記前立て本体および前記中生地は前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着されていることを特徴とする
    請求項3に記載の下着。
  5. 前記前立て本体は、使用者の身体側とは反対側の面に防水層が形成されていることを特徴とする
    請求項1または3に記載の下着。
  6. 前記中生地は、使用者の身体側とは反対側の面に防水層が形成されていることを特徴とする
    請求項2または4に記載の下着。
  7. 前記撥水性生地は、前記前立て本体の一の側辺部に沿って所定の幅で形成されたことを特徴とする
    請求項1ないし4のいずれかに記載の下着。
  8. 前記撥水性生地は、前記縫着部に沿って前記前立て本体の一部のみ覆うように形成されていることを特徴とする
    請求項1または3に記載の下着。
  9. 前記撥水性生地は、前記縫着部に沿って前記中生地の一部のみ覆うように形成されていることを特徴とする
    請求項2または4に記載の下着。
  10. 前記上前立てと前記下前立ては、それらの一の側辺部に前立て開口部を備え、
    前記縫着部は、前記前立てにおいて前記下前立ての開口部を設けていない側の側辺部に設けられていることを特徴とする
    請求項3または4に記載の下着。
  11. 前記下前立ては、前記縫着部とは反対側の側辺部に折り返し片を備え、
    前記折り返し片が前記縫着部方向へ折り返されて前記裏地の一部を覆うことを特徴とする
    請求項10に記載の下着。
  12. 前記中生地は、前記縫着部とは反対側の側辺部に折り返し片を備え、
    前記折り返し片が前記縫着部方向へ折り返されて前記裏地の一部を覆うことを特徴とする
    請求項10に記載の下着。
  13. 前記身頃から見て、前記下前立ての本体、前記裏地、前記折り返し片の順に重ねてそれらが互いに縫着され、さらに、その縫着した部分の上から防水加工されたバインダーが設けられている
    請求項11に記載の下着。
  14. 前記身頃から見て、前記下前立ての本体、前記中生地、前記裏地、前記折り返し片の順に重ねてそれらが互いに縫着され、さらに、その縫着した部分の上から防水加工されたバインダーが設けられている
    請求項12に記載の下着。
  15. 前記バインダーは、前記前立ての下辺部まで達するように設けられていることを特徴とする
    請求項13に記載の下着。
  16. 前記バインダーは、前記前立ての下辺部まで達するように設けられていることを特徴とする
    請求項14に記載の下着。
  17. 前立てと、
    前記前立てと連設された身頃と
    を備えた下着であって、
    前記前立ては、
    上前立てと、
    前記上前立てに対し使用者の身体側に設けられた下前立てと
    前記下前立てにおける使用者の身体側に設けられた裏地と、
    前記下前立てと前記裏地の間に設けられた保水性を有する中生地および撥水性生地と
    を有し、
    前記身頃から見て、前記裏地、前記撥水性生地、前記上前立て、前記下前立て、前記中生地の順に重ねて前記前立てが前記身頃に対して縫着部において縫着され、
    前記上前立て、前記下前立ておよび前記中生地は、前記縫着部から見て使用者の身体に沿う第1方向に延びるように縫着され、
    前記撥水性生地および前記裏地は、前記縫着部から見て前記第1方向と反対側の第2方向に延びるように縫着され、前記第1方向に折り返されて前記縫着部を覆い、
    前記撥水性生地は、前記縫着部に沿って前記中生地の一部のみ覆い、
    前記中生地は、使用者の身体側とは反対側の面に防水層が形成されるとともに、前記縫着部とは反対側の側辺部に折り返し片を備え、
    前記折り返し片が前記縫着部方向へ折り返されて前記裏地の一部を覆い、
    前記身頃から見て、前記下前立て、前記中生地の本体、前記裏地、前記折り返し片の順に重ねてそれらが互いに縫着され、さらに、その縫着した部分の上から防水加工されたバインダーが設けられている
    下着。
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