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JP3131594B2 - 反応性イオンエッチング装置 - Google Patents

反応性イオンエッチング装置

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JP3131594B2
JP3131594B2 JP09256635A JP25663597A JP3131594B2 JP 3131594 B2 JP3131594 B2 JP 3131594B2 JP 09256635 A JP09256635 A JP 09256635A JP 25663597 A JP25663597 A JP 25663597A JP 3131594 B2 JP3131594 B2 JP 3131594B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、反応性イ
オンエッチング装置に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、磁気ディスクへの書き込み読み
出しに用いられる磁気ヘッド、磁気集積回路に組み込ま
れるマイクロトランス、マイクロインダクター、磁気セ
ンサー、さらにスピン散乱磁気抵抗効果素子、スピンバ
ルブ素子、強磁性トンネル接合素子、スピン電界効果素
子、スピンダイオード、スピントランジスターなどの一
群の量子効果磁気デバイス、また薄膜磁石、磁歪アクチ
ュエーターなどの微少機械の構成部品などの製造に有用
な、磁性材料のドライエッチング装置等として特徴づけ
られる、新しい反応性イオンエッチング装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術とその課題】一般に超LSI等の微小半導
体素子や磁気素子はリソグラフィー技術とエッチング技
術という2つのプロセスを組み合わせて製造されてい
る。リソグラフィー技術は被加工物質(半導体の薄膜や
磁性体の薄膜)の表面に塗布したレジスト膜等の感光膜
に微細図形を作る技術であり、これには紫外線を用いて
感光させるフォトリソグラフィ技術、電子線を用いて感
光させる電子線リソグラフィ技術、さらにイオン線を用
いて感光させるイオン線リソグラフィ技術がある。
【0003】また、エッチング技術は、リソグラフィで
作製したレジストパターンを被加工物質の半導体薄膜や
磁性体薄膜に転写し、素子を作製する技術である。エッ
チング技術には、湿式エッチング法、アルゴンイオンミ
リング法、及び反応性イオンエッチング法がある。これ
らのエッチング方法の中で、反応性イオンエッチング法
は、リソグラフィーで作製したパターンを最も正確に転
写することができ、微細加工に最も適しており、かつエ
ッチング速さが速く、最も優れた方法である。現実に半
導体の大規模集積回路、半導体メモリーがこの方法によ
り作られている。
【0004】反応性イオンエッチング法は反応性ガスの
プラズマ中に被加工物を置き電界を加えることにより、
被加工物の表面に対して垂直に入射するイオンにより、
化学的並びに物理的に被加工物の表面の原子を順次はぎ
取る方法であり、マスクで覆われていない個所を、マス
クの境界に沿って垂直に切り込んでいく異方的な加工が
可能である。そのために微細な鋭い形状の転写が可能な
方法である。反応性イオンエッチング法では、プラズマ
中で発生した反応性ガスのイオン、ラジカルなどの化学
的活性種が被加工物の表面に吸着し、被加工物と化学反
応をし、低い結合エネルギーをもつ表面反応層がまず形
成される。そこで、被加工物の表面はプラズマ中で電界
で加速された正イオンの垂直の衝撃にさらされているわ
けであるから、結合が緩んだ表面反応層はイオンのスパ
ッタリング作用により、あるいは蒸発作用によりはぎ取
られていく。このように反応性イオンエッチング法は化
学的作用と物理的作用が同時に起こって進行するプロセ
スである。そのため特定の物質のみをエッチングすると
いう選択性が得られ、同時に加工対象物質の表面に垂直
に切り込んでいくという異方性が得られるわけである。
【0005】しかしながら、一方で、磁性材料に対して
は、長い間有効な反応性イオンエッチング法が見つから
ず、現実には磁性材料に対しては、湿式エッチング法と
アルゴンイオンミリング法が用いられ、それらの方法に
より薄膜磁気ヘッド、磁気センサー、マイクロトランス
などが製造されている。磁性材料におけるこのような状
況は、磁性体の微細化並びに高密度集積化の指向を半導
体に比べて著しく遅らせ、発展の障害となっていた。
【0006】磁性材料に対する反応性イオンエッチング
が困難な理由は、遷移金属元素を主成分としている磁性
材料は、今まで半導体材料用に開発されてきたすべての
エッチングガス(例えばCF4 ,CCl4 ,CCl2
2 ,CClF3 ,CBrF3,Cl2 ,C2 6 ,C3
8 ,C4 10,CHF3 ,C2 2 ,SF6 ,SiF
4 ,BCl3 ,PCl3 ,SiCl4 ,HCl,CHC
lF2 など)は磁性材料とプラズマ中で反応するが、半
導体材料の反応生成物と比較して、はるかに結合エネル
ギーが大きい物質を生成するので、スパッター作用を受
けにくく、したがってエッチングはなされなかった。
【0007】そこで、半導体技術からの類推ではなく、
新しい反応性イオンエッチング反応を探究する努力がな
され、最近本発明の発明者等により一酸化炭素(CO)
ガスとアンモニアガス(NH3 )の混合ガスプラズマを
用いる方法が発明された。この方法は、COの活性ラジ
カルにより被加工物である遷移金属元素を主成分とする
磁性材料の表面で遷移金属カーボニル化物(Fe(C
O)5 ,Ni(CO)4,Co2 (CO)8 ,Mn
2 (CO)10,Cr(CO)6 ,V(CO)6 ,Mo
(CO)6 ,W(CO)6 )を生成させ、真空中での蒸
発作用、あるいはイオンによるスパッター作用により、
それらをはぎ取り、エッチングすることを原理としてい
る。遷移金属カーボニル化物は遷移金属中で唯一の結合
エネルギーが小さい化合物である。しかしながら、プラ
ズマ中でCOガスは不均等化反応によりCO2 とCに分
解するため、導入したCOガスは反応に寄与することな
く、また遊離したC原子は遷移金属元素と反応し、安定
な遷移金属カーバイドを生成するので、エッチング反応
は起こらないのが普通である。NH3 ガスは遷移金属元
素の存在下で、上記の不均等化反応を遅らせる性質を示
し、COガスとNH3 ガスをほぼ等量混合したガスのプ
ラズマ中で、目的の反応性イオンエッチングが進行す
る。
【0008】この原理に基づく方法で、磁性材料のパー
マロイ(Fe−Ni合金)、Co−Cr合金、Feなど
の反応性イオンエッチングの実現が確認されている。こ
のように、磁性材料に対する優れた反応性イオンエッチ
ング法が見出されて、今後の技術的発展が期待されてい
るところであるが、この方法では微細図形の加工と、異
方的形状の加工は可能であるが、エッチングの速さは、
たとえば34nm/minとあまり早くないという問題
点が残されていた。
【0009】そこで、この出願の発明は、より大きなエ
ッチング速度により効率的な磁性材料の反応性イオンエ
ッチングを実現することのできる、改善された新しい技
術的手段を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、ドライエッチング装置で
あって、反応容器および反応容器内の金属部品につい
て、その一部または全部が、チタン、アルミニウム、も
しくはこれらの各々の、または両者を主構成成分とする
合金の群から選択される1種以上の金属により構成され
ていることを特徴とする反応性イオンエッチング装置
(請求項1)を提供する。
【0011】また、この出願の発明は、上記の装置につ
いて、反応容器および反応容器内の部品について、その
一部または全部が、露出している表面層において前記の
1種以上の金属により構成されていること(請求項
2)、被エッチング物質を支持する支持体が前記の1種
以上の金属により構成されていること(請求項3)、高
周波電極、高周波アンテナ、接地電極、零電位シールド
および防着板のうちの1以上の部品が前記の1種以上の
金属により構成されていること(請求項4)をもその態
様の一つとしている。
【0012】
【発明の実施の形態】従来技術における反応性イオンエ
ッチング装置は、反応容器、並びに反応容器内部の構成
部品は主としてステンレススチールを材料として構成さ
れている。ステンレススチールは遷移金属の鉄、ニッケ
ル、クロムを主な成分元素とした合金であり、磁性材料
に近い成分組成を有している。このため、従来型の反応
性イオンエッチング装置を用いて、遷移金属を主成分と
する磁性合金に対する上記COガスとNH3 ガスの混合
ガスプラズマを用いた反応性イオンエッチングを行う場
合には、エッチング対象物質がエッチングされると同時
に、反応容器、電極、並びにエッチング対象物質を保持
している部材、ならびにその周辺のプラズマに接してい
るすべて部材もエッチング作用を受けることになる。そ
のため、反応容器内部は腐食され、同時に、発生した反
応性ガスプラズマのすべてが有効にエッチング対象物質
に作用しないという問題を発生する。このことがエッチ
ング対象物質の汚染の原因を与え、同時にエッチング速
さを阻害するなど、望ましくない多くの結果をもたら
す。この問題を解決するためにこの出願の発明では、反
応容器、並びに反応容器内の構成金属部品の少くとも一
部を従来型のステンレススチールに代えて、チタン(T
i)、Ti合金、アルミニウム(Al)、Al合金ある
いはチタン−アルミニウム合金とする。
【0013】この場合の少くとも「一部」との規定につ
いては、この発明の目的に照らして、COガスおよびN
3 ガスの混合ガス、あるいはCOガスと、含窒素化合
物としてのアミン類のガスとの混合ガスによるプラズマ
によりエッチング作用を受けやすく、大きな反応性イオ
ンエッチングに好ましくない影響を及ぼすことになる部
位、あるいは部品として定義される。このことからは、
実際に装置を構成する場合に、反応容器本体またはその
内表面、ガスの導入系や排出系をはじめ、容器内に配備
される各種部品について、プラズマ生成とその導入のた
めの方式や、被エッチング物質の種類や大きさ等を考慮
して、その「一部」または全部について前記の金属によ
るものとすることが理解される。
【0014】たとえば、図1、図2および図3には、前
記方式として、平行平板型プラズマ装置、インダクティ
ブ結合型プラズマ装置、電子サイクロトロン共鳴型プラ
ズマ装置の各々について示したが、これらの装置につい
て、次の部位または部品が、ガラスや冷却水等非金属部
分を除いてその一部もしくは全部についてTi、Alま
たはそれらの各々の合金もしくは両者の合金により構成
される。
【0015】1 反応容器 2 防着板 3 接地電極 4 支持板 5 高周波電極 6 零電位シールド 7 コンダクタンス調節バルブ 8 窓フランジまたはフィードスルーフランジ 9 反応ガス導入口 10 のぞき窓 11 高周波電源 12 冷却水 13 コイル状アンテナ 14 石英窓 15 ソレノイドコイル 16 マイクロ波導波管 Ti、Al、Cuおよび従来のステンレススチールの各
々について、実際に試験を行った結果では、エッチング
対象物質を支える支持体、高周波電極、零電位シール
ド、接地電極、及び支柱、シャッター、ボルト・ナット
など反応容器内部のすべての金属部材をTi製としたと
き、最も優れた作用効果が得られた。すなわち、反応性
イオンエッチングのプロセスにおいて、ステンレススチ
ールに比べて、Ti製のこれらの部材が腐食を受け磨耗
する割合はほとんど観測できない程度に小さく、またエ
ッチング対象物質のパーマロイ(80%Ni−Fe合
金)、及び10%Cr−Co合金に対するエッチング速
さはそれぞれ約4倍の120nm/min 140nm
/minに向上した。さらに、エッチング対象物質に対
する汚染物質の再付着は認められず、鋭く正確な形状の
エッチングが可能となった。なおこのような作用効果に
最も顕著な影響を与える部分品は、エッチング対象物質
を支える支持体と接地電極であった。上記の部分品を構
成するために、Tiはその優れた耐真空性や、機械的強
度、さらに溶接性、耐真空性、曲げ加工や切削性などの
加工性の点からも好適であった。もちろん純Tiの他、
これらの条件を満足するTi合金であれば、各種のもの
でよく、好適なものとして、Ti−Pd合金、Ti−T
a合金、Ti−Al−Sn合金、Ti−Al−V−Mo
合金、Ti−Al−Sn−Zr−Mo−Si合金、Ti
−Al−Zr−Mo−Sn合金、Ti−Al−V合金、
Ti−Al−Sn−Zr−Mo合金、Ti−Al−V−
Sn合金、Ti−V−Cr−Al合金などがあげられ
る。
【0016】純Alも同様な作用効果を呈した。溶接性
と強度の点において、Tiよりも取り扱いには留意が必
要であった。もちろん純Alの他、Al−Cu−X1
金(X1 はSi、Mn、Mgなど添加元素)、Al−M
n−X2 合金(X2 はMg、Siなど添加元素)、Al
−Mg−X3 合金(X3 はZn、Si、Cr、Mn、M
gなど)、Al−Si−X4 合金(X4 はMg、Cu、
Crなど)を用いても作用効果は同様である。
【0017】純Cu、並びにCuを主成分とする合金は
ステンレススチールと比較して特筆すべき作用効果は呈
さなかった。以下実施例を示し、さらに詳しくこの発明
について説明する。
【0018】
【実施例】実施例1 (Fe薄膜の微細加工)図1に示す平行平板型反応性イ
オンエッチング装置を用いた。なおこの反応容器を含む
内部の全金属部品は純Ti製とした。反応性イオンエッ
チングの試料として、コーニング7059ガラス基板上
にスパッタリング法で厚さ450nmのFe薄膜を形成
し、その表面に電子線リソグラフィーとリフトオフ法に
より、マスクとして微小な多数のTiパッドを形成した
ものを用いた。その試料を、水冷を施した13.56M
Hzの高周波を印可する下部電極上に置き、高周波電極
とそれと対向した接地電極の距離を35mmとした。C
Oガス及びNH3 ガスをそれぞれ6.3cc/min、
及び6.8cc/minの流量で反応容器に供給しなが
ら、ターボ分子ポンプにより排気し、内部を5.7×1
-3Torrの圧力に保持した。試料を保持した下部電
極に電極単位面積当たり3.7W/cm2 の高周波を印
可し、CO−NH3 混合ガスのグロー放電プラズマを発
生させ、反応性イオンエッチングを行った。
【0019】エッチング時間は4.0分間とした。エッ
チング反応後、マスクとして用いたTiパッドに覆われ
ている個所と、覆われていない個所の間に生じた段差を
繰り返し反射干渉計で測定し、単位時間当たりのエッチ
ング量を求めた。またエッチングにより生じた形状を電
子顕微鏡で観察し、段差の平滑性と鋭さ、ならびに汚染
物質や再付着物質の有無に着目してエッチングの評価を
行った。
【0020】その結果、Fe薄膜に対するエッチング速
さは90nm/minであった。また曲率半径が約0.
1μmの鋭さで、深さ400nmの形状を作製すること
ができた。実施例2 (パーマロイ(80%Ni−Fe)合金薄膜の微細加
工)実施例1と同様な条件で、80%Ni−Fe合金の
反応性イオンエッチングが可能であった。エッチングの
速さは120nm/minであり、またエッチングの形
状は同様に良好であった。実施例3 (10%Cr−Co合金の微細加工)実施例1と同様な
条件で、10%Cr−Co合金の反応性イオンエッチン
グが可能であった。エッチングの速さは140nm/m
inであり、エッチングの形状は同様に良好であった。
【0021】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明の反応性イオンエッチング装置を用いることによ
り、磁性合金を対象としたCO−NH3 混合ガスプラズ
マ等を用いる反応性イオンエッチングは従来型反応性イ
オンエッチング装置を用いた場合に比べて、より効果的
になる。すなわち、磁性合金に対するエッチング速さは
同一のエッチング条件の下で、約4倍になり、作業効率
の向上に寄与する。またエッチング対象物質がエッチン
グプロセスにおいて、汚染されることがなく、エッチン
グにより除去された物質の再付着も問題にならない程度
に少なくすることができる。以上のような作用効果によ
り、磁気記録用の微細磁気ヘッド、マイクロトランス、
マイクロ磁気素子、磁気センサー、磁気抵抗効果素子、
スピンダイオードやスピントランジスター、スピンバル
ブ素子、スピンバルブ磁気メモリー、トンネル磁気抵抗
効果素子などの製造が可能となる。また将来の高密度磁
気記録媒体のパターンド磁気記録媒体なども製造が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施態様を示した平行平板型反応性イオンエ
ッチング装置の構成断面図である。
【図2】一実施態様を示すインダクティブ結合型反応性
イオンエッチング装置の構成断面図である。
【図3】一実施態様を示す電子サイクロトロン共鳴型反
応性イオンエッチング装置の構成断面図である。
【符号の説明】
1 反応容器 2 防着板 3 接地電極 4 支持板 5 高周波電極 6 零電位シールド 7 コンダクタンス調節バルブ 8 窓フランジまたはフィードスルーフランジ 9 反応ガス導入口 10 のぞき窓 11 高周波電源 12 冷却水 13 コイル状アンテナ 14 石英窓 15 ソレノイドコイル 16 マイクロ波導波管

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドライエッチング装置であって、反応容
    器および反応容器内の金属部品について、その一部また
    は全部が、チタン、アルミニウム、もしくはこれらの各
    々の、または両者を主構成成分とする合金の群から選択
    される1種以上の金属により構成されていることを特徴
    とする反応性イオンエッチング装置。
  2. 【請求項2】 反応容器および反応容器内の部品につい
    て、その一部または全部が、露出している表面層におい
    て前記の1種以上の金属により構成されている請求項1
    の反応性イオンエッチング装置。
  3. 【請求項3】 被エッチング物質を支持する支持体が前
    記の1種以上の金属により構成されている請求項1また
    は2の反応性イオンエッチング装置。
  4. 【請求項4】 高周波電極、高周波アンテナ、接地電
    極、零電位シールドおよび防着板のうちの1以上の部品
    が前記の1種以上の金属により構成されている請求項1
    または2の反応性イオンエッチング装置。
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