JP3121996B2 - アルミナ質焼結体 - Google Patents
アルミナ質焼結体Info
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Description
ルミナ質焼結体に関わり、例えば、航空・宇宙業界,製
錬業界,化学業界で用いられたり、ガスタ−ビンエンジ
ン,自動車部品,切削工具材料等に好適に使用されるア
ルミナ質焼結体に関する。
ルミナは耐環境性,高温強度ともに優れることで注目さ
れていたが、アルミナ固有の欠点である高温軟化と低靭
性により、その用途が限られていた。
破壊靭性を向上させるために、種々の複合化が試みられ
ている。例えば、Al2 O3 −SiCナノコンポジィッ
ト、Al2 O3 −ZrO2 複合材料、および異方性β−
Al2 O3 を分散させたアルミナ質焼結体が知られてお
り(例えば、特開昭61−122164号公報、特開昭
63−129044号公報,特開昭63−134551
号公報等参照)、このように複合化することにより、純
粋なアルミナの焼結体より強度と靭性を向上することが
できる。
Al2 O3 −SiCナノコンポジィットでは非酸化物の
SiCを分散させているために、酸化雰囲気において高
温状態で使用される場合には高温での耐酸化性に欠ける
という問題があった。
00℃付近の温度で強度が急激に低下するため、高温強
度が低く、高温下において応力が作用するような状態で
の使用には適しないという問題があった。
ナ焼結体では、通常の焼成温度では、アルミナ母相の結
晶粒子の成長速度がβ−Al2 O3 の結晶粒子の成長速
度より大きいため、異方性結晶による強化効果がアルミ
ナ結晶の粒成長により大きく低減するという問題があっ
た。このようなアルミナ結晶の粒成長を抑制するため
に、高純度原料を使用することが考えられるが、原料コ
ストと焼結コストが大幅に増加するために、実際製品化
することは難しいという問題があった。
れ、さらに、アルミナ結晶の粒成長を抑制することによ
り破壊靭性を向上したアルミナ質焼結体を提供すること
を目的とするものである。
質焼結体の室温強度,高温強度および破壊靭性を向上す
るためには、従来技術のように異方性を有する結晶粒子
を分散して複合化するだけでなく、アルミナ結晶の粒成
長をも同時に制御することが重要であるという見地に基
づいて研究を重ねた結果、焼成温度で安定な等方性分散
相をさらに複合化させると、アルミナ結晶の粒成長を抑
制する効果が大きく、等方性分散相量の増加によりアル
ミナ結晶の粒径と粒径分布が変化し、異方性分散相と組
み合せることにより室温強度,高温強度および破壊靭性
が優れたアルミナ質焼結体を低コストで得られることを
見出し、本発明に至った。
くともアルミナ母相と、β−A1 2 0 3 からなる異方性分
散相と、ガーネット相および/またはペロブスカイト相
からなる等方性分散相を含有するとともに、粒径5〜2
0μmのアルミナ結晶粒子が前記アルミナ母相全体の1
0〜60体積%であり、粒径5μm未満のアルミナ結晶
粒子が前記アルミナ母相全体の40〜90体積%である
ものである。また、上記の異方性分散柏がLa,Ca,
Sr,Baのうち少なくとも1種を含有したβ−A12
03であり、上記の等方性分散相がY,Dy,Er、Y
b,Luのうち少なくとも1種を含有したガーネット相
および/またはペロブスカイト相であることが望まし
い。
異方性分散相が存在するものであるが、この異方性分散
相は、焼結体におけるクラックの進展を防止し、高温に
おける粒界滑りを防止するため、室温と高温における強
度を向上するものである.
が小さい場合には、上記のような室温強度や高温強度向
上の効果が小さく、逆に大きすぎると破壊源と成る可能
性がある。よって本発明に用いられるβ−A1 2 0 3 から
なる異方性分散相は、長後方向の長さが5〜30μm、
特に8〜20μmとすることが望ましい。また、上記の
異方性分散相のアスペクト比は大きい方が強化効果が顆
著であることから、少なくとも2以上、好ましくは4以
上が良い。さらに、上記の異方性分散相の含有量が少な
い場合には上記効果が小さいため、上記の異方性分散相
は全量中5体積%以上含有することが望ましく、また、
アルミナの特性を失わない程度の50体積%まで分散さ
せるとができる。
分散相とともにガーネット相および/またはペロブスカ
イト相からなる等方性分散相を含有することが重要であ
る。従来、焼成温度におけるアルミナ結晶の粒成長が速
いことは知られている。アルミナ結晶粒径が上記の異方
性分散相の長径方向のサイズと同等になれば、前述した
異方位分散相の強化効果がなくなると考えられる。アル
ミナ結晶の粒成長を抑制するためには、高温で安定な微
細粒子を分散することが効果的である。このため、本発
明ではガーネット相および/またはペロブスカイト相か
らなる等方性分散相を含有させたのである。このような
等方性分散相を複合化させることにより、焼結性が向上
し、常庄下において比較的低温での焼成でも緻密な焼結
体が得られる。
ブスカイト相からなる等方性分散相の平均結晶粒径は5
μm以下、特に3μm以下であることが望ましい。上記
の等方性分散相の平均結晶粒径が5μm以上となると、
アルミナ結晶の粒成長を抑制する効果が低下するからで
ある。また、上記の等方性分散相の含有量は全量中1〜
30体積%であることが望ましい。これは、上記の等方
性分散相が全量中1体積%よりも少ないとアルミナ母相
の粒成長抑制効果が小さく、30体積%よりも大きくな
ると組織が過度に微細化され、逆に材料の高温特性を低
下させるからである。上記の等方性分散相の含有量は、
特に全量中1〜20体積%であることが望ましい。
微細であれば高温特性および破壊靭性が低下する。粒径
が大きければ異方性による高強度化,高靭性化効果を減
少し、強度を劣化させる。本発明で特に重要なのは、ア
ルミナ結晶の内、5μm未満の微細粒と5〜20μmの
粗大粒が同時に存在すると、上記の欠点がなくなり、強
度,靭性,高温強度がともに高いアルミナ質焼結体が得
られるところにある。
び存在量は、β−A1 2 0 3 の粒径と形状、およびガーネ
ット相および/またはペロブスカイト相との粒径と量の
組合せにより任意に調整できるが、粒径5〜20μmの
粗粒はアルミナ母相全体の10〜60体積%、特には1
5〜40体積%が望ましく、粒径5μm未満の細粒はア
ルミナ母相全体の40〜90体積%、特には60〜85
体積%が望ましい。
1203、等方性分散相には高温安定性およびヤング率が
高いことから、複合酸化物のペロブスカイト相、ガーネ
ット相を用いることが重要である。上記β−A1203の
中でも、特にLa,Ca,Sr,Baなどを含むもの
は、安定性が高く、異方性が発達しやすいから好まし
い。また、ガーネット相および/またはペロブスカイト
相では、特にY,Dy,Er,Yb,Luを含むものは
安定性と高温強度特性に優れているため好ましい。
MO3 として表されるもの、ガーネット相としては、例
えば、Al3 M5 O12として表されるものがある。ここ
で、Mとしては、上記したY,Dy,Er,Yb,Lu
以外にNd,Sm,Eu等でも良い。
末に、公知の原料、例えば、La,Ca,Sr,Ba,
Y,Dy,Er,Yb,Lu等の金属粉末、あるいはこ
れらの金属の酸化物粉末、あるいは前記金属を含む有
機,無機物およびそれらの溶液を用いて所定の組成に調
合、混合し、その後公知の成型手段により成形し、この
成形体を公知の焼結法により焼成する。
レス,鋳込み成型,押出成型,射出成型,冷間静水圧プ
レスなどがあり、公知の焼結法としては、例えば、ホッ
トプレス法,常圧焼成法,ガス加圧焼成法があり、更
に、これらの焼成後に熱間静水圧処理(HIP)処理、
およびガラスシール後HIP処理してもよい。このよう
にして本発明では対理論密度比95%以上の緻密な焼結
体を得る。焼成温度が低ければ、緻密化しにくく、逆に
高すぎると粗大な粒子が生成するため、焼成温度は、1
500℃〜1750℃の温度範囲が好適である。
ば、マグネシア,ジルコニア,ムライト等の酸化物を一
定量添加しても、特性には殆ど影響を与えないため、強
度と靱性を向上するために上記酸化物を複合化させるこ
ともできる。
粗界にβ−A1 2 0 3 とガーネット相および/またはペロ
ブスカイト相とを存在させ、粒径5〜20μmのアルミ
ナ結晶粒子をアルミナ母相全体の10〜60体積%と
し、粒径5μm未満のアルミナ結晶粒子をアルミナ母相
全体の40〜90体積%とすることにより、高温での耐
酸化性に優れるとともに、室温から高温まで優れた強度
と破壊靭性を有する高温構造材料を提供することができ
る.
より、焼結体におけるクラックの進展を抑制し、高温に
おける粒界滑りを防止し、また、ガーネット相および/
またはペロブスカイト相を複合化させることにより、ア
ルミナ結晶の粒成長を抑制し、焼結性が向上し、さら
に、アルミナ結晶粒子の粒径分布を制御することによ
り、高温特性および破壊靭性を向上することができるの
である。
示す組成比で調合し、1t/cm2 の圧力で金型成形し
た後、3t/cm2 の圧力で冷間静水圧処理を加えた。
そして、表1に示すような焼成条件で大気中で焼成し
た。
指定されている形状まで研磨し抗折試料を作製した。こ
の試料についてJIS−R1601に基づく室温および
1400℃での4点曲げ抗折強度試験を実施した。ま
た、ビッカース圧痕法により破壊靭性(K1c)を測定し
た。焼結体の組織を、鏡面研磨試料を光学顕微鏡および
走査型電子顕微鏡で観察し、格子点数集計法により母相
の粗粒、細粒の体積分率を求めた。X線回折測定および
マイクロ組織分析により焼結体中のβ−A1 2 0 3 結晶
と、ガーネット相および/またはペロブスカイト相とを
同定した。これらの結果を表2に示した。表2におい
て、粗粒とは5〜20μmのアルミナ結晶粒子であり、
細粒とは5μm未満のアルミナ結晶粒子である。
ット相および/またはペロブスカイト相とが含まれ、ア
ルミナ結晶粒子の粒径分布を制御した本発明のアルミナ
質焼結体は、従来のアルミナ材料およびアルミナ基複合
材料に比べて、より優れた室温強度と高温強度および破
壊靭性を示すことが分かる。
ナ母相に対してβ−A1 2 0 3 からなる異方性分散相と、
ガーネット相および/またはペロブスカイト相からなる
等方性分散相とを複合化させ、粒径5〜20μmのアル
ミナ結晶粒子をアルミナ母相全体の10〜60体積%と
し、粒径5μm未満のアルミナ結晶粒子をアルミナ母相
全体の40〜90体積%とすることにより、高温での耐
酸化性に優れるとともに、室温から高温まで優れた強度
と破壊靭性を有する高温構造材料を提供することができ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】少なくともアルミナ母相と、β−A1 2 0 3
からなる異方性分散相と、ガーネット相および/または
ペロブスカイト相からなる等方性分散相を含有するとと
もに、粒径5〜20μmのアルミナ結晶粒子が前記アル
ミナ母相全体の10〜60体積%であり、粒径5μm未
満のアルミナ結晶粒子が前記アルミナ母相全体の40〜
90体積%であることを特徴とするアルミナ質焼結体。 - 【請求項2】異方性分散相がLa,Ca,Sr,Baの
うち少なくとも1種を含有したβ−A1203であり、等
方性分散相がY,Dy,Er,Yb,Luのうち少なく
とも1種を含有したガーネット相および/またはペロブ
スカイト相であることを特徴とする請求項1記載のアル
ミナ質焼結体。
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JP06293029A JP3121996B2 (ja) | 1994-11-28 | 1994-11-28 | アルミナ質焼結体 |
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1994
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