JP3108709B2 - 膜厚の制御された無機超薄膜の製造方法 - Google Patents
膜厚の制御された無機超薄膜の製造方法Info
- Publication number
- JP3108709B2 JP3108709B2 JP08353446A JP35344696A JP3108709B2 JP 3108709 B2 JP3108709 B2 JP 3108709B2 JP 08353446 A JP08353446 A JP 08353446A JP 35344696 A JP35344696 A JP 35344696A JP 3108709 B2 JP3108709 B2 JP 3108709B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- particles
- solution
- colloid
- thin film
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
- Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
Description
ルで構造制御された薄膜)の分野に属し、特に、交互積
層法を利用して膜厚を制御しながら無機化合物微粒子を
含む超薄膜を製造する新規な方法に関する。
や組成が制御された無機薄膜(超薄膜)の作成は、半導
体デバイスの高集積化や太陽電池などの高電変換素子の
開発において、必要不可欠な技術である。オプトエレク
トロニクス分野においては反射効率のよい金属酸化物薄
膜のコーティング技術が模索されており、また、イオン
やガスセンサー等の開発においてもナノレベルで精密か
つ均一な無機薄膜製造プロセスが重要な技術課題となっ
ている。これらに共通する必要条件は、組成や構造がナ
ノレベルで制御された無機薄膜をより安価にかつ温和な
条件下で製造することによって、所望の電子的、磁気
的、光学的、生物学的特性を達成することであり、この
ために、有機ポリマーなどと容易に複合化が可能な薄膜
製造プロセスであることが必要とされている。
下のような手法が知られている。例えば、CVD、PV
D等の気相からの薄膜成長法では、数μmオーダーの膜
厚をもつ薄膜を比較的容易に製造することができる。し
かしながら、ナノメートル領域の薄膜を作成しようとす
ると、装置自体の経済的な負担が大きくなり、また、原
料コストやエネルギー消費、排ガス等の処理などにも多
くの問題が残る。従って、製造プロセス全体の生産性が
必ずしもよいとは言えない。また、複雑な形状を有した
り大面積の基板(支持担体)へ均一に薄膜を形成させる
ためには必ずしも適した方法ではない。
せた新しい薄膜製造法が考案されている。例えば、CV
D法において、四塩化チタンと過酸化水素などの2種類
の反応性ガスを交互に導入すると、原子レベルの厚みの
酸化物薄膜を逐次成長させることが可能である。このよ
うな表面反応を組み合わせた薄膜製造プロセスでは、原
理的にはあらゆる形状の基板に均一な薄膜を作成するこ
とが可能である。しかしながら、気相法を用いる点にお
いて本質的に生産性の向上は期待できない。
ばしばゾル−ゲル法が用いられる。この方法では、金属
アルコキシドに必要に応じて水や有機溶媒を添加し、こ
の溶液をディップあるいはスピンコーティングすること
で、数μmの厚みの薄膜が得られる。しかしながら、こ
の方法は、ゲルコーティング膜の膜厚が、ゾル溶液の粘
度や密度等の流体力学的な物理量によって決定されるた
め、0.1μm以下の均一な薄膜を作成することが非常
に困難である。
出により金属酸化物薄膜を製造する手法、あるいは電気
化学的手法により電極表面に酸化物薄膜を製造する手法
なども研究されている。これらの手法においても、固体
表面に微粒子あるいはロッド状の構造が形成され、均一
なナノレベルの厚みの無機薄膜を得ることはできない。
ケールの構造を持つ、ラングミュアー・ブロージェト
(LB)膜や脂質二分子膜、脂質単分子膜の層間や表面
にナノスケールのメーター大きさを持つコロイド粒子を
生成したり固定化したりする手法が提案されている。カ
ドミウムイオンなどの金属イオンをカウンターイオンと
して有する脂肪酸LB膜を作成し、硫化水素ガスと反応
させることにより、LB膜の層間にナノレベルの硫化物
薄膜を作成する方法がある。さらにイオン交換法により
硫化物薄膜の厚さをコントロールできることも知られて
いる。これらの薄膜中に作られた硫化物粒子は、量子効
果に基づく特性発現が報告されている。LB法には、異
なる組成の層を任意の順番で積層できるというメリット
もあり、異なる金属の硫化物粒子を同一層に固定化でき
る可能性もある。しかしながら、この方法には反応によ
って生成することのできる化学種のみにしか用いること
ができないという制限がある。さらに、LB法では特殊
で高価な専用装置を用いる必要があり、生産性に極めて
劣るという致命的な欠点を有している。脂質単分子膜上
にコロイド粒子を析出させる方法においても、同様な装
置を用いるためこの問題点からは逃れられない。
間にナノメータースケールの無機化合物クラスターを固
定する方法が提案されている。この方法では、脂質二分
子膜の層間を鋳型として、ナノメータースケールの無機
化合物クラスターを固定化することができる。この方法
は極めて簡便で、特殊な装置を用いる必要がなく、生産
性の点で前述のLB法よりも優れている。その反面、得
られるものは均一成分の二分子膜の多重層であり、層ご
とに異なる無機薄膜を積層するなどの、構造コントロー
ルの面では劣っている。
注目されているのが交互積層法である。この交互積層法
は以下のような原理に基づいている。高分子イオンと反
対電荷を有する固体担体表面を高分子イオンの溶液に浸
漬させると、静電相互作用によって高分子イオンが吸着
する。その際、高分子イオンは担体表面上の電荷を中和
するのみならず、過剰に吸着して、表面には新たな電荷
が現れる。これを高分子イオンとは反対の電荷を持つも
の、例えば、タンパク質の溶液中に浸漬させると、新た
な電荷の中和および過剰吸着によって、表面には新たな
反対電荷が現れる。この過程を繰り返すことによって、
高分子イオンとタンパク質などの間の交互吸着が任意の
順序で実質上無限に行われる。この方法は、特殊な装置
をいっさい用いずに簡便にできるという利点を有してお
り、また、溶液をそのまま用いることができるので、主
としてタンパク質などの変性のおそれのある有機化合物
の固定化に適している。
では、任意の厚さになるように膜厚を制御することは本
質的に不可能であると考えられている。その理由は、そ
れぞれの吸着ステップにおける過剰吸着量は、電荷の飽
和によって制限されており、被吸着物質の溶液中の濃度
とは無関係に、各吸着ステップ毎に一定量、すなわち一
定の膜厚でしか固定されないと考えられているからであ
る。したがって、これまでの交互積層法は、専ら、各層
が一定の厚さを有するような複合膜を得ることに向けら
れていた。特に、交互積層法を利用して無機超薄膜の膜
厚を制御するように工夫した技術は見当らない。
たような従来技術における問題を解決し、無機化合物の
微粒子(ナノ粒子)の層を任意の順序で且つ任意の厚さ
で含む無機超薄膜を得ることのできる簡便な方法を確立
することにある。
物をナノメータースケールの大きさを有するコロイド粒
子の溶液として、有機高分子イオンの溶液と交互積層法
を実施するとともに、該コロイド粒子溶液の特性を変化
させることにより、この目的を達成することができた。
ド粒子の溶液および該コロイド粒子と反対の電荷を有す
る有機高分子イオンの溶液中に固体担体を交互に浸漬す
ることにより固体担体上に無機化合物の微粒子と有機高
分子イオンとを含む層が交互の積層、固定化されている
超薄膜を製造するに当たり、無機化合物コロイド粒子の
溶液の濃度を変化させることにより無機化合物微粒子の
層の膜厚を制御することから成る超薄膜の製造方法を提
供する。
イド粒子溶液のコロイド粒子径および/またはイオン強
度を変化させることによっても、無機化合物微粒子層の
膜厚を制御することができる。
無機超薄膜の製造に適用できるが、特にSiO2 やCe
O2 のような金属酸化物の微粒子層を含む無機超薄膜を
製造するのに好適である。本発明の方法は、単一の無機
化合物のみならず、複数種の無機化合物の微粒子層が任
意の順序で積層された無機超薄膜を製造することができ
る。
固体担体(基板)上の各層が分子レベルで構造制御され
実質的に均一な厚さを有することが電子顕微鏡によって
も実証されている。したがって、本発明は、別の視点と
して、固体担体上に、均一な厚さの無機化合物の微粒子
の層と有機高分子イオンの層が交互に任意の順序で且つ
任意の層数で積層、固定化されている超薄膜を提供する
ものである。
物コロイド粒子の濃度を変化させることにより無機化合
物微粒子の層の膜厚を制御することができ、該濃度を高
くすることによって膜厚を大きくすることができる。こ
のような事実は、前述したように交互積層法において蓄
積される静電荷の量は被吸着物質の濃度とは無関係であ
り該物質は一定の膜厚でしか吸着されないという従来の
知見に反する新しい発見である。無機化合物のコロイド
粒子の溶液を用いて交互積層法を実施した場合に溶液中
の無機化合物の濃度に応じて膜厚が変化する詳細な理由
は未だ分からないが、溶液中の無機化合物の濃度によっ
て溶液のイオン強度が変化し、静電的相互作用の有効度
が変わることによって吸着されるコロイド粒子の量が変
化するためと解される。
イド粒子溶液のコロイド粒子径および/またはイオン強
度を変化させることによっても無機化合物微粒子層の膜
厚を制御することができ、これらのパラメーターを大き
くすることにより膜厚を大きくすることができる。ま
た、イオン強度を大きくすることは無機化合物の微粒子
構造の乱れがなく均一な膜厚を有する超薄膜を得るのに
特に有効である。
コロイド粒子溶液から、以下のような原理に基づき、分
子レベルの膜厚を持つ無機超薄膜が形成される。荷電を
有する固体担体(基板)表面をコロイド粒子の水溶液に
浸漬させると、静電相互作用によってコロイド粒子が吸
着する。その際に、コロイド粒子は基板表面上の荷電を
中和するのみならず、過剰に吸着して、表面には新たな
荷電が現れる。これをコロイド粒子とは反対の荷電を持
つ有機高分子イオンの水溶液中に浸漬させると、有機高
分子イオンによる荷電の中和および過剰吸着によって、
表面には新たな反対荷電が現れる。この過程を繰り返す
ことによって、コロイド粒子と有機高分子イオンの交互
吸着が実質上無限に繰り返される。この過程は様々なコ
ロイド粒子に対して共通していることができるため、浸
漬するコロイド粒子溶液の順序を制御することによっ
て、複数種の無機化合物微粒子を任意の順序で積層する
ことができる。
ド粒子の吸着が静電相互作用という一般性の高い相互作
用に基づいており、本方法は電荷を有するコロイド粒子
に広く応用される。このようなコロイド粒子の表面電荷
は溶液中のpHによって制御することができ、コロイド
粒子水溶液のpHや相手の有機高分子イオンを選ぶこと
によって、様々な荷電状態のコロイド粒子が固定化さ
れ、場合によっては、一つの超薄膜構造のなかに一種の
コロイド粒子を異なる荷電状態で固定化することもでき
る。
形状に応じて自由にコンフォメーションを変えることの
できる柔軟な有機高分子イオンをコロイド粒子の固定化
に用いているため、交互積層法で従来より用いられてい
るようなジルコニウムフォスフェートや両頭性の脂質
(bolaamphiphiles)などの剛直な成分を用いた場合に比
して、広い範囲のコロイド粒子に適用され、また、何層
にもわたって積層することが可能である。この特徴は、
様々な種類のコロイド粒子を任意の順序で積層しなけれ
ばならない複合無機超薄膜の作成において必要不可欠と
なる。
をコロイド粒子水溶液や有機高分子イオン水溶液に漬け
るだけという、極めて簡便な手法で短時間に行われ、特
別な設備をほとんど必要としない。すなわち、本方法に
おいて複数の無機化合物微粒子を積層する場合には各コ
ロイド粒子の溶液を作成するだけでよく、例えば、LB
法などで異なる分子層を積層する場合に時間のかかる様
々なプロセスを特殊な装置を用いて行うことを考える
と、本方法は生産性の面で大きな利点を有する。
で使用する有機高分子イオンは、電荷を有する官能基を
主鎖または側鎖に持つ高分子であり、ポリアニオンおよ
びポリカチオンのいずれも適用できる。ポリアニオンと
しては、一般的に、スルホン酸、硫酸、カルボン酸など
負荷電を帯びることのできる官能基を有するものであ
り、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリ
ビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイ
チン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル
酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸などが用
いられる。ポリカチオンとしては、一般に、4級アンモ
ニウム基、アミノ基などの正荷電を帯びることのできる
官能基を有するもの、例えば、ポリエチレンイミン(P
EI)、ポリアクリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジ
アリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポ
リビニルピリジン(PVP)、ポリリジンなどを用いる
ことができる。これらの有機高分子イオンは、いずれも
水溶性あるいは水と有機溶媒との混合液との可溶なもの
である。また、導電性高分子、ポリ(アニリン−N−プ
ロパンスルホン酸)(PAN)などの機能性高分子イオ
ン、種々のデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(R
NA)、ペクチンなどの電荷を有する多糖類などの電荷
を持つ生体高分子を用いることもできる。
れば、種類を問わず用いることができる。例えば、シリ
カコロイド、酸化セリウムコロイド、酸化チタンコロイ
ド、酸化スズコロイド、酸化ニオブコロイド、酸化イッ
トリウムコロイド、ジルコニアコロイド、アルミナコロ
イドなどが例としてあげられる。
オン性)、ガラスや石英(表面アニオン性)、表面電荷
を持つポリマーフィルムなどのように表面に電荷のある
もの、あるいは、金(表面には、メルカプトプロピオン
酸などの吸着により電荷を導入することができる)や種
々の電極などのように電荷を導入することができるもの
であればどのようなものでも用いることができる。
機高分子イオンの溶液は基本的に水溶液とするが、溶解
性に応じて有機溶媒を混合させることもできる。それぞ
れの溶液濃度は無機化合物や有機高分子イオンの溶解性
に依存する。標準的な濃度例としては、コロイド粒子溶
液は0.1〜1000mg/m、有機高分子イオン溶液
は1〜3mg/mlが挙げられるが、この濃度範囲に限
定されるものではない。コロイド粒子溶液は、ナノメー
タースケール、すなわち、一般に1〜100nmの粒子
径で当該無機化合物が溶液中に分散されたものである。
l2 、NaBrなどの塩をコロイド溶液に添加する。し
かしながら、コロイド粒子と相互作用して沈殿を引き起
こさないかぎり、どのような塩も使用できる。イオン強
度の調整に使用する塩の濃度は、一般に、0.01〜
0.25Mであるが、コロイド粒子の溶解を阻害しない
かぎり、該濃度は自由に設定できる。また、必要に応じ
てHClなどの添加あるいは緩衝液の使用によって溶液
のpHを調整し、コロイド粒子および有機高分子イオン
が充分に電荷を持つようにする。
るには、一般に、先ず、表面に電荷を有する基板(固体
担体)を2種類の有機高分子イオン溶液(ポリカチオン
とポリアニオン)に交互に浸し、柔軟な有機高分子イオ
ンの薄膜を基板上に作成する。最終的に目的とするコロ
イド粒子とは反対電荷を有する有機高分子イオンを最外
層に固定する。ポリカチオンとポリアニオンを用いるこ
のような操作は基板が充分な電荷を有しない場合に好適
である。勿論、基板によっては直ちに所定の有機高分子
イオンを固定化することもできる。
漬、水による洗浄、有機高分子イオン水溶液への浸漬、
水による洗浄、の過程を繰り返すことによって、コロイ
ド粒子由来の無機化合物微粒子から成る多層超薄膜を作
成される。この時に、浸漬するコロイド粒子溶液および
有機高分子イオンの溶液を適当に選んで順次積層するこ
とによって、所望の構造を持った複合無機超薄膜を得る
ことができる。
手段を用いて容易に確認することができる。特に好まし
いのは、水晶発振子である。この水晶発振子はマイクロ
バランスとして知られ、その振動数変化によりその表面
上に固定化された物質の重量を10-9gの精度で測定す
ることができる装置である。また、超薄膜の形状は電子
顕微鏡などで観察することができる。
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって
制限されるものではない。例えば、以下の実施例におい
ては、薄膜の形成を確認するために、表面に銀電極を有
する水晶発振子上に無機化合物微粒子と有機高分子イオ
ンを積層させているが、本発明の方法は、その他の基板
(固体担体)にも同様に適用されることは勿論である。
子の水溶液とポリカチオンPDDAの水溶液を用いて、
シリカ粒子とPDDAとの間の交互積層膜を水晶発振子
上に作成し、積層膜の成長を水晶発振子の振動数変化か
ら確認した。この振動数変化の大きいものほど積層され
た膜厚が大きいことになる。PDDA溶液の濃度は3m
g/mlとした。図1には、実施例1(シリカコロイド
粒子濃度0.1mg/ml)、実施例2(シリカコロイ
ド粒子濃度1.0mg/ml)、実施例3(シリカコロ
イド粒子濃度10mg/ml)、実施例4(シリカコロ
イド粒子濃度100mg/ml)、実施例5(シリカコ
ロイド粒子濃度658mg/ml)における振動数変化
を示している。図からわかるように、各段階における振
動数変化は再現性が高く、常に一定量のシリカコロイド
粒子およびポリカチオンが固定化されていることがわか
る。一ステップあたりの振動数変化量は、シリカ粒子の
濃度が高くなるほど大きくなることがわかった。すなわ
ち、コロイド粒子の濃度の設定によりシリカ粒子層の厚
さを制御できることがわかった。ちなみに、実施例1〜
実施例5のシリカ粒子層の厚さは、それぞれ、4、1
0、11、250、530nmである。
リカ粒子とポリカチオンPDDAとの間の交互積層膜を
水晶発振子上に作成し、積層膜の成長を水晶発振子の振
動数変化から確認した。PDDA溶液の濃度は3mg/
mlとした。図2には、実施例6(シリカコロイド粒子
濃度0.1mg/ml)、実施例7(シリカコロイド粒
子濃度1.0mg/ml)、実施例8(シリカコロイド
粒子濃度10mg/ml)、実施例9(シリカコロイド
粒子濃度100mg/ml)、実施例10(シリカコロ
イド粒子濃度231mg/ml)における振動数変化を
示している。図1と同様に、繰り返し安定な振動数変化
が見られること、および、コロイド粒子濃度増大ととも
に積層膜厚が大きくなることがわかった。
シリカ粒子とポリカチオンPDDAとの間の交互積層膜
を水晶発振子上に作成し、積層膜の成長を水晶発振子の
振動数変化から見積もった。PDDA溶液の濃度は3m
g/mlとした。図3には、実施例11(シリカコロイ
ド粒子濃度0.1mg/ml)、実施例12(シリカコ
ロイド粒子濃度1.0mg/ml)、実施例13(シリ
カコロイド粒子濃度10mg/ml)、実施例14(シ
リカコロイド粒子濃度100mg/ml)における振動
数変化を示してある。図1と同様に、繰り返し安定な振
動数変化が見られること、および、コロイド粒子濃度増
大とともに積層膜厚が大きくなることがわかった。
等しいもの(例えば、実施例3、8、13)を比較する
と、コロイド粒子径が大きいものほど積層膜厚が大きい
ことがわかる。積層膜厚は、個々の粒子径を反映してお
り、コロイド粒子径に応じた膜厚の積層膜を作成できる
ことが明らかとなった。
討 45nm粒径のシリカコロイド粒子の水溶液(10mg
/ml)およびポリカチオンPDDA水溶液(3mg/
ml)を用いてシリカ粒子とPDDAとの間の交互積層
膜を種々の濃度のNaCl存在下で水晶発振子上に作成
し、積層膜の成長を水晶発振子の振動数変化から確認し
た。図4には、実施例8の結果に加えて、実施例15
(NaCl濃度0.01M)、実施例16(NaCl濃
度0.1M)、実施例17(NaCl濃度0.25M)
の結果を示した。溶液中のイオン強度増加とともに、膜
成長度が増大していることがわかる。
(10mg/ml)とポリカチオンPEI(1.5mg
/ml)との間の交互積層膜を種々の濃度のNaCl存
在下で水晶発振子上に作成し、積層膜の成長を水晶発振
子の振動数変化から確認した。図5には、実施例18
(NaClを加えていないもの)、実施例19(NaC
l濃度0.01M)、実施例20(NaCl濃度0.1
M)の結果を示した。この場合も、溶液中のイオン強度
増加とともに、膜成長度が増大していることがわかる。
いずれの場合も、繰り返し安定な振動数変化が見られ
た。これらの結果から、溶液中のイオン強度を調節する
ことによって、形成される積層膜の膜厚をコントロール
できることがわかった。
/ml)およびポリカチオンPDDAの水溶液(3mg
/ml)を用いて、シリカ粒子とPDDAとの間の交互
積層膜を、コロイド溶液に対する浸漬時間を変えながら
水晶発振子上に作成し、積層膜の成長を水晶発振子の振
動数変化から確認し、図6には、実施例21(浸漬時間
20min)、実施例22(浸漬時間10min)、実
施例23(浸漬時間5min)、実施例24(浸漬時間
2.5min)、実施例25(浸漬時間1min)、実
施例26(浸漬時間30sec)、実施例27(浸漬時
間15sec)の結果をまとめて示したが、浸漬時間に
よらず一定の膜成長度を示した。つまり、シリカコロイ
ド粒子の吸着は15秒以内に完結することがわかった。
この知見は、シリカコロイド粒子の交互積層膜作成過程
が極めて短時間で行えることを示している。
膜の作成 実施例28として、45nm粒径のシリカコロイド粒子
(10mg/ml)とポリカチオンPDDA(3mg/
ml)とを用いる交互積層膜形成を4回繰り返した後、
25nm粒径のシリカコロイド粒子(10mg/ml)
とポリカチオンPDDA(3mg/ml)とによる交互
積層膜形成を5回繰り返した(基板として水晶発振子を
用い、0.01MNaClを系に加えた)。図7には、
その時の振動数変化の様子を示したが、25nm粒子の
積層過程はその前に積層した45nm粒子層の影響を受
けずに起こっていることがわかる。実施例29として、
45nm粒径のシリカコロイド粒子(10mg/ml)
と25nm粒径のシリカコロイド粒子(10mg/m
l)をポリカチオンPDDA(3mg/ml)の積層を
介して交互積層した(基板として水晶発振子を用い、
0.01MNaClを系に加えた)。図8には、そのと
きの振動数変化の様子を示したが、それぞれの粒子系の
コロイド粒子の積層はお互いの影響を受けずに起こって
いることがわかる。これらの結果は、各層の積層過程
は、独立して起こることを示すものである。このことよ
り、発明の方法は複数の粒子を所望の順番で積層かでき
ることがわかる。
子顕微鏡写真を示した(図9)。断面から、コロイド粒
子そのものの像が見えているにもかかわらず、膜表面は
極めて平滑である。この結果は、本発明の方法で得られ
る薄膜が均一の厚みを有するものであることを示す。
積層、固定化 カチオン性の酸化セリウム粒子をポリアニオンPSS
(3mg/ml)とともに水晶発振子上に交互積層し
た。図10には、実施例31(酸化セリウムのコロイド
粒子濃度0.1wt%)、実施例32(酸化セリウムコ
ロイド粒子濃度0.5wt%)、実施例33(酸化セリ
ウムコロイド粒子濃度1.5wt%)、実施例34(酸
化セリウムコロイド粒子濃度7wt%)、実施例35
(酸化セリウムコロイド粒子濃度15wt%)における
振動数変化を示した。シリカ粒子の場合と同様に、繰り
返し安定な振動数変化が見られること、および、コロイ
ド粒子濃度の増大とともに積層膜厚が大きくなることが
わかった。
ン粒子(10wt%)をポリカチオンPDDA(3mg
/ml)とともに水晶発振子上に交互積層した。その結
果、振動数変化360±80Hzの安定した振動数変化
が繰り返し見られた。これらの実施例は、本発明の方法
が荷電をもつコロイド粒子に、一般的に用いることがで
きることを示している。
従えば、電荷を持つ様々なナノメータースケールの無機
化合物微粒子を有機高分子イオンと交互に積層できる。
コロイド粒子溶液を用いる無機化合物微粒子の積層は極
めて短い時間内に完結し、繰り返し再現性良く行うこと
ができる。また、無機化合物微粒子薄膜の厚さは、コロ
イドの粒子径、コロイド粒子溶液の濃度、イオン強度に
よって制御できる。積層化は各層独立に行われ、複数種
の粒子を任意の順番で積層化できる。本発明に従う超薄
膜およびその製造法は、新たなセラミック材料、半導体
材料、有機/無機ハイブリッド材料の作成に寄与し、次
世代の分子素子や開発に大きく貢献することが期待され
る。
子振動数変化を示す図である。
振子振動数変化を示す図である。
発振子振動数変化を示す図である。
発振子振動数変化を示す図である。
発振子振動数変化を示す図である。
発振子振動数変化を示す図である。
振動数変化を示す図である。
振動数変化を示す図である。
型電子顕微鏡写真である。
晶発振子振動数変化を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 金属酸化物のコロイド粒子の溶液および
該コロイド粒子と反対の電荷を有する有機高分子イオン
の溶液中に固体担体を交互に浸漬することにより固体担
体上に金属酸化物の微粒子と有機高分子イオンとを含む
層が交互に積層、固定化されている超薄膜を製造するに
当たり、金属酸化物コロイド粒子の溶液の濃度を変化さ
せることにより金属酸化物微粒子の層の膜厚を制御する
ことを特徴とする超薄膜の製造方法。 - 【請求項2】 金属酸化物コロイド粒子溶液のコロイド
粒子径および/またはイオン強度を変化させることによ
り金属酸化物微粒子層の膜厚を制御することを特徴とす
る請求項1の超薄膜の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2の方法によって
製造され、固体担体上に、均一な厚さの金属酸化物の微
粒子の層と有機高分子イオンの層が交互に任意の順序で
且つ任意の層数で積層、固定化されていることを特徴と
する超薄膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08353446A JP3108709B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 膜厚の制御された無機超薄膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08353446A JP3108709B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 膜厚の制御された無機超薄膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10167707A JPH10167707A (ja) | 1998-06-23 |
JP3108709B2 true JP3108709B2 (ja) | 2000-11-13 |
Family
ID=18430909
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08353446A Expired - Fee Related JP3108709B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | 膜厚の制御された無機超薄膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3108709B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4562894B2 (ja) * | 2000-04-17 | 2010-10-13 | 大日本印刷株式会社 | 反射防止膜およびその製造方法 |
WO2003095193A1 (fr) * | 2002-05-09 | 2003-11-20 | Riken | Matériau de film mince et procédé de préparation associé |
JP5011653B2 (ja) * | 2005-04-18 | 2012-08-29 | 日立化成工業株式会社 | 低屈折率薄膜及びその製造方法 |
JP5082201B2 (ja) * | 2005-04-18 | 2012-11-28 | 日立化成工業株式会社 | 低屈折率薄膜及びその製造方法 |
JP5286632B2 (ja) * | 2005-06-08 | 2013-09-11 | 日立化成株式会社 | 多孔質膜及びその製造方法 |
JP2007199702A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-08-09 | Hitachi Chem Co Ltd | 微粒子積層膜積層体、その製造方法及びそれを用いた光学部材 |
JP5322101B2 (ja) * | 2009-02-16 | 2013-10-23 | 国立大学法人信州大学 | ナノシートとポリマーとの複合薄膜の製造方法、およびナノシートとポリマーとの複合薄膜 |
JP2013188674A (ja) * | 2012-03-13 | 2013-09-26 | Fuji Electric Co Ltd | 粒子構造物およびその製造方法 |
-
1996
- 1996-12-16 JP JP08353446A patent/JP3108709B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Langmuir 12[12](1996−6−12)p.3038−3044 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10167707A (ja) | 1998-06-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zhu et al. | The effect of surface charge on hydroxyapatite nucleation | |
Kim et al. | Characterization of zirconium phosphate/polycation thin films grown by sequential adsorption reactions | |
Jani et al. | Nanoporous anodic aluminium oxide: Advances in surface engineering and emerging applications | |
Lvov et al. | Electrostatic layer-by-layer assembly of proteins and polyions | |
Kotov et al. | Mechanism of and defect formation in the self-assembly of polymeric polycation− montmorillonite ultrathin films | |
Lee et al. | Layer-by-layer assembly of zeolite crystals on glass with polyelectrolytes as ionic linkers | |
Lvov et al. | Formation of ultrathin multilayer and hydrated gel from montmorillonite and linear polycations | |
Decher et al. | Layer-by-layer assembled multicomposite films | |
Aghebat Rafat et al. | Surface‐Assisted Large‐Scale Ordering of DNA Origami Tiles | |
Kaltenpoth et al. | Conductive Core–Shell Particles: An Approach to Self‐Assembled Mesoscopic Wires | |
JP4093532B2 (ja) | アモルファス状金属酸化物の薄膜材料の製造方法 | |
US6881444B2 (en) | Process for fabricating monolayer/multilayer ultrathin films | |
JP2003522621A (ja) | 分解性コロイド原型上のナノ複合多層の静電的自己集成体による多層被覆粒子及び中空シェルの製造 | |
JP3108709B2 (ja) | 膜厚の制御された無機超薄膜の製造方法 | |
WO2005121019A1 (ja) | ナノ構造体の製造方法およびナノ構造体 | |
JP2012246162A (ja) | ナノ多孔質薄膜、およびその製造方法 | |
US9805841B2 (en) | Virus film as template for porous inorganic scaffolds | |
CN107417945B (zh) | 一种微纳有序阵列结构及其制备方法 | |
Škapin et al. | Preparation and coating of finely dispersed drugs: 4. Loratadine and danazol | |
JPH11319542A (ja) | 超薄層の製造方法 | |
Lvov | Polyion–protein nanocomposite films | |
US20090124488A1 (en) | Substrate with Spatially Selective Metal Coating, Method for Production and Use Thereof | |
Liu et al. | Preparation of barbed ZnO fibers and the selective adsorption behavior for BSA | |
Gao et al. | A monolayer of PbI2 nanoparticles adsorbed on MD–LB film | |
Fan et al. | A new method for preparing nanometer-scale particles onto LB films |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110908 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |