JP3196751U - 木造建物及びその外周壁構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】外張断熱構造と耐力壁とを備え、内装仕上げ材の施工が不要な外周壁構造において、施工コストの増大を招くことなく、屋内からの出火に対する高い耐火性を持たせる。【解決手段】軸組の屋外側に断熱パネル15を備えた外周壁構造において、耐力壁としては柱11の屋内側に耐火ボード51を取り付け、屋内側に耐火性を有する内装面材15bを有する断熱パネル15を用い、断熱パネル15の屋内側には間柱を配置せず、断熱パネル15の屋外側に間柱16を配置して、間柱16に外装材17を取り付ける。【選択図】図1
Description
本考案は、木造軸組工法による外張断熱の木造建物における外周壁構造と、該外周壁構造を備えた木造建物に関する。
最近の木造住宅においては、寒冷地でなくても外周壁や屋根に断熱施工を施すのが一般的である。
木造住宅の断熱施工には柱や間柱などの縦材と、梁や桁、胴差などの横材との間の空間にグラスウールなどの断熱材を充填する充填断熱と、上記縦材や横材の外側に板状の断熱材を取り付ける外張断熱とがある。充填断熱は既存の外周壁内の空間を利用するため外周壁が厚くならず、また、断熱材も安価で施工費用が低価であるため、広く利用されている。一方、外張断熱は充填断熱に比べて断熱材が高価で、断熱材の厚さ分だけ外周壁が厚くなるため、実質的な床面積が狭くなるという問題はあるものの、建物の外周を隙間なく断熱材で覆うことができ、均一で高い断熱性が得られることと、壁内結露が生じないという利点がある。そのため、外張断熱を採用した木造建物が増えてきている。
一方、木造建物においては、耐震性や耐風性を持たせるために、所定量の耐力壁を設けることが義務付けられている。耐力壁は、一般的には筋交いを金物で取り付けたり、構造用合板を取り付けたりすることで構成される。
特許文献1には、柱及び間柱の屋外側に調湿機能を有する耐力壁材を取り付け、該耐力壁材のさらに屋外側に断熱材を取り付けることで、耐力壁材が有する調湿機能を屋内側に十分に発揮させると同時に、断熱材を覆う内装仕上げ材の施工を不要として、施工コストの削減を図った壁体構造が開示されている。特許文献1にはさらに、耐力壁材が有する機能として防火機能が挙げられている。
上記したように、特許文献1に開示された壁体構造においては、防火機能を有する耐力壁材を用いることで、防火性を有する耐力壁が得られるが、耐力壁材の屋内側に柱や間柱が露出しているため、屋内から出火した際には、これらの柱や間柱が容易に延焼してしまう。特に、間柱は柱に比べて幅や奥行きが小さく、燃え尽きやすいため、間柱に取り付けられている耐力壁材、さらには、胴縁を介して間柱に取り付けられている外装材が出火から短時間のうちに剥落してしまう恐れがある。耐力壁材や外装材はそれ自体に防火性があっても、一旦剥落してしまうと、防火性を備えた壁面がなくなると同時に空気の通り道ができるため、短時間で屋内外に広範囲に燃え広がってしまう恐れがある。
本考案の課題は、外張断熱構造と耐力壁とを備え、内装仕上げ材の施工が不要な外周壁構造において、施工コストの増大を招くことなく、屋内からの出火に対する高い耐火性を持たせることにある。
本考案の第1は、柱及び横材を備えた木造建物の軸組の屋外側に、板状の断熱材と面材とを有する断熱パネルと、前記断熱パネルの外側に配置された外装材とを備え、少なくとも一コーナー部に耐力壁を有する木造建物の外周壁構造において、
前記耐力壁の少なくとも一部が、前記柱の屋内側に耐火ボードを取り付けてなり、
前記耐力壁を除く領域の少なくとも一部に、前記断熱パネルの屋内側の前記柱間には間柱がなく、前記断熱パネルの屋外側に、前記横材又は前記柱に取り付けられた間柱が配置され、前記断熱パネルが屋内側に耐火性を有する内装面材を備えた領域を有し、
前記外装材が前記間柱に取り付けられていることを特徴とする。
前記耐力壁の少なくとも一部が、前記柱の屋内側に耐火ボードを取り付けてなり、
前記耐力壁を除く領域の少なくとも一部に、前記断熱パネルの屋内側の前記柱間には間柱がなく、前記断熱パネルの屋外側に、前記横材又は前記柱に取り付けられた間柱が配置され、前記断熱パネルが屋内側に耐火性を有する内装面材を備えた領域を有し、
前記外装材が前記間柱に取り付けられていることを特徴とする。
本考案の第2は、上記本考案の外周壁構造を有することを特徴とする木造建物である。
本考案の外周壁構造は、耐火ボードが取り付けられた耐力壁を備え、耐力壁以外の領域に、燃え尽きやすい間柱が耐火性を備えた断熱パネルよりも屋外側に配置された領域を備えているため、外周壁の屋内側が耐火性の高い構成となっている。よって、屋内で出火した際にも、屋内外への延焼が抑制され、住宅密集地域等の厳しい耐火基準にも対応した木造建物を安価に提供することができる。また、本考案によれば、上記間柱を断熱パネルよりも屋外側に配置した領域において柱と柱の間の空間が屋内空間として得られ、設計の自由度が広がる。
本考案は、柱及び横材を備えた木造建物の軸組の屋外側に断熱パネルを備えた外張断熱の木造建物の外周壁構造及び該外周壁構造を備えた木造建物に関する。本考案の外周壁構造は、少なくとも一コーナー部に耐力壁を備えており、該耐力壁の構成に耐火ボードを用いると同時に、柱と柱の間に配置されていた間柱を、断熱パネルの屋外側に配置し、断熱パネルの屋内側に耐火性の内装面材を付した領域を有することで、屋内での出火に対する耐火性(以下、「屋内耐火性」と記す)を向上させたことに特徴を有する。本考案において「木造建物」とは、木造軸組工法で構築される建物全般を意味し、建築基準法によって区分される「建築物」及び「工作物」の双方を含むものである。また、木造軸組工法としては、伝統的な木材のみで枠組を構築する従来工法以外にも、SE(Engineering For Safety)構法やKES(Kimura Excellent Structure)構法などの専用の金物を用いて木材同士を接合する接合金物工法も本考案においては好ましく適用される。
以下、図面を参照し、好ましい実施形態として2階建て木造住宅を例に挙げて詳細に説明する。図中、同じ部材には同じ符号を付した。また、図2は図1中のA−A’断面模式図であり、図1は図2中のA−A’断面模式図に相当する。同様に、図6は図5中のA−A’断面模式図であり、図5は図6中のA−A’断面模式図であり、図8は図7中のA−A’断面模式図であり、図7は図8中のA−A’断面模式図であり、図12は図11中のA−A’断面模式図であり、図11は図12中のA−A’断面模式図である。
本考案の外周壁構造は、図1〜図13に示すように、基本的に柱11と、土台13や胴差14などの横材と、断熱パネル15と、外装材17とを備えている。尚、本考案において「柱」とは、構造部材である通柱と管柱とを指すが、近年の木造建物においては、通柱を用いない構造もあり、本考案は係る構造も含む。尚、通柱を用いない構造の場合、通柱の位置には管柱が配置される。また、本考案において「横材」とは、梁、桁、胴差、土台のいずれかである。
木造軸組工法による木造建物の基本構造として、通常、1階(1F)は、基礎21の上に載置されアンカーボルト等で基礎21に固定された土台13の上に通柱(例えば、図2の紙面上方の柱11)が立てられる。さらに、2本の隣り合う通柱の間に胴差14が水平方向に差し渡されて固定され、係る2本の通柱の間において土台13と胴差14とをつないで管柱(例えば、図2の紙面下方の柱11)が立てられる。また、木造軸組工法の中でも、SE構法では、通柱或いは通柱に代わる管柱など、構造上重要な柱は直接基礎21に専用の金物を用いて取り付けられ、他の管柱は土台13の上に立てられる。
土台13の上には、通常、図1の紙面左右方向に延びる根太24が図1の紙面に対して垂直方向に複数本、所定の間隔をおいて配置され、該根太24の上に床下地材25が載置され、さらに該床下地材25の上に床仕上げ26が施工され、1階の床が構成される。2階(2F)の床構造も、土台13の代わりに胴差14が用いられる以外、1階と同様である。尚、最近は床下地材25として24mm厚程度の厚物合板を用いることで根太24を用いない床構造も普及してきている。
また、屋内の天井側には石膏ボードや合板など(不図示)が取り付けられて天井仕上げが施されるが、最近では梁や根太を露出させたままで天井とする構造も取り入れられている。
本考案の外周壁構造は外張断熱であるため、柱11の屋外側(図1において紙面右側)に断熱パネル15が取り付けられる。断熱パネル15の構成については後述する。
本考案の外周壁構造は、少なくとも一コーナー部に耐力壁を有しており、本考案の特徴の一つは、図1〜図3に示すように、耐力壁を構成する柱11の屋内側に耐火ボード51が取り付けられていることにある。図1中の52,53は耐火ボード51を取り付けるための受材であり、受材53は床下地材25に取り付けられ、受材52は胴差14と受材53との間に取り付けられる。このように、耐力壁を構成する柱11に耐火ボード51を取り付けることにより、係る柱11が耐火ボード51によって保護され、且つ、屋内側に露出する表面が減ることで延焼しにくい構造となる。また、柱11自体は幅、奥行きが大きいため、燃え尽きにくく、柱11が露出面から延焼しても耐火ボード51が剥落するまでには長時間を要する。さらに、耐火ボード51の支持のための受材52,53は耐火ボード51によって保護されるため、延焼するまでに長時間を要する。よって、本考案に係る耐力壁は屋内耐火性の高い構造となっている。本考案においては、係る耐火性を有する耐力壁は、木造建物の外周壁構造の耐力壁のうち、高い耐火性が求められるコーナー部の少なくとも一つに設けられるが、好ましくは、外周壁のコーナー部に設けられる耐力壁の全てに同様の耐火性を持たせる。また、コーナー部以外に耐力壁を設ける場合に、該耐力壁に同様の耐火性を持たせることが好ましい。
本考案で用いられる耐火ボード51としては、耐力壁が面材耐力壁の場合には、耐火性を備えた構造用合板が好ましく用いられ、例えば市販されている「モイス(登録商標)」(三菱商事建材株式会社)の構造壁用が好ましく用いられる。また、耐力壁が筋交いを利用した構造である場合には、耐火ボード51として市販されている「モイス(登録商標)」(三菱商事建材株式会社)の内装用などが好ましく用いられる。
本考案において、耐力壁を面材耐力壁とした場合、耐火性を備えた構造用合板を柱11に取り付けるだけで施工できるが、耐力壁用でない耐火ボートと構造用合板とを組み合わせても良い。従来、耐力壁の屋内壁面と耐力壁以外の屋内壁面との境界で段差が生じないように、耐力壁を構成する構造用合板の表面が柱11の表面と連なるように、構造用合板を柱11,11間に取り付けていた。本考案には係る耐力壁構造も適用することができる。図5,図6に示すように、構造用合板55を取り付けるための受材53,54を、床下地材25と胴差14とにそれぞれ取り付け、さらに、受材52を胴差14と受材53との間に取り付ける。受材52,53,54はいずれも、図1の受材53や柱11よりも、構造用合板55の厚み分だけ奥行きを小さくしている。構造用合板55をその屋内面が胴差14の表面に段差なく連なるように受材52,53,54に取り付け、さらに、該構造用合板55を覆って耐火ボード51を受材53、胴差14及び柱11に取り付ける。
本考案において、耐力壁に連なる領域が、後述するように柱11,11間を屋内側に開放した領域である場合、係る領域では、従来のように、柱11,11間を塞いで柱11に内装仕上げ材を取り付けないため、耐力壁の屋内壁面と該内装仕上げ材の表面とが両者の境界で段差なく連なるように柱11,11間に構造用合板を取り付ける必要がない。従って、本考案に係る耐力壁を耐火ボードと構造用合板との組み合わせからなる面材耐力壁とする場合でも、図7、図8に示すように、図5に示したような受材54を用いず、構造用合板55を胴差14、受材52,53、柱11に取り付け、さらに該構造用合板55に重ねて耐火ボード51を取り付けて耐力壁とすることも可能であり、施工が簡略化される。さらには、図1、図2に示したように、構造壁用の耐火ボード51を用いることで、施工をより簡略化することができる。
上記したように、本考案に係る耐火性を備えた耐力壁の構造としては、耐火ボード51が耐火性を備えた構造用合板である図1の形態、構造用合板55と耐火ボード51とを併用する図5及び図7の形態が好ましく挙げられ、求める耐火性や耐力、耐力壁を設ける位置や枚数、用いる部材などの設計条件によって適宜選択される。
また、図2の紙面下方の柱11については一部の表面が露出しており、延焼しやすくなっている。よって、本考案において好ましくは、燃えしろ設計を用いて柱11の幅や奥行きを設定する。或いは、柱11が延焼しにくいように、少なくとも表面が耐火部材からなる構成とすることが好ましい。具体的には、柱11の表面に不燃化処理を施す方法や、上記した本考案に用いられる耐火ボード51を面材として柱11の表面に取り付けるなどの方法が挙げられる。
本考案において、上記した耐火性を有する耐力壁は、図1,図2に示したように、外周壁の少なくとも一コーナー部に外周壁の一部として設けられ、耐火ボード51は断熱パネル15に平行に取り付けられるが、外周壁以外に耐力壁を設ける場合にも、外周壁を構成する柱11に耐火ボード51を取り付けて耐火性を高めることが好ましい。例えば、図4に示すように、外周壁に直交する方向に、外周壁より突出する耐力壁を構成する場合に、外周壁を構成する柱11に耐火ボード51を取り付けることで、該耐力壁から外周壁への延焼を遅らせることができる。
また、図1〜図8においては、外周壁のコーナー部を構成する2面のうち、1面を耐力壁とした構成を示したが、係るコーナー部を2面の耐力壁で構成しても良い。例えば、図9に示すように、紙面上方のコーナー部の柱11に耐火ボード51を介して柱11と同じ奥行きの受材52を新たに取り付け、該受材52を覆って新たな耐火ボード51を取り付けることで耐力壁を構成することができる。また、図10に示すように、耐火ボード51を取り付ける前に、紙面上方のコーナー部の柱11の屋内側に露出した2面にそれぞれ柱11と同じ奥行きの受材52を取り付け、該受材52に耐火ボード11を取り付けることで耐力壁を構成することができる。即ち、図10の耐力壁において、コーナー部の柱11には受材52を介して耐火ボード11が取り付けられる。図9,図10において、B−B’断面はA−A’断面、即ち図1と同様である。同様にして、受材52を用いることで、図7、図8の耐力壁と同じ構成の耐力壁をコーナー部を構成する2面に設けることができる。また、同様にして、受材52として柱11よりも奥行きの小さい受材を用いることで、図5,図6の耐力壁と同じ構成の耐力壁をコーナー部を構成する2面に設けることができる。
本考案のさらなる特徴は、耐力壁を除く領域において、図11〜図13に示すように、断熱パネル15の屋内側の柱11,11間には間柱がなく、該柱11,11間が屋内側に開放され、断熱パネル15の屋外側に間柱16が取り付けられた耐火性領域を有していることにある。係る耐火性領域においては、断熱パネル15の屋内側に耐火性の内装面材15bが取り付けられ、屋内側に間柱がないことから、屋内耐火性の高い状態となっている。よって、係る耐火性領域では間柱16が屋内からの出火に対して延焼しにくく、出火した場合であっても間柱16の延焼による断熱パネル15及び外装材17の剥落までに長時間を要する。
尚、係る耐火性領域において、柱11については、上記したように間柱に比べて幅及び奥行きが大きいため、延焼しても燃え尽きにくく、該柱11に取り付けられた断熱パネル15や後述する間柱16が剥落するまで長時間を要するが、好ましくは、上記耐力壁を構成する柱11と同様に、燃えしろ設計を用いて幅や奥行きを設定するか、少なくとも表面が耐火部材からなる構成とする。
本考案において、上記耐火性領域は、屋内耐火性が要求される領域に設けられるが、好ましくは耐力壁を除く全ての領域を可能な範囲で上記耐火性領域とする。また、耐力壁の屋外側の構成も、係る耐火性領域と同様に、断熱パネル15の外側に間柱16を設け、該間柱16に外装材17を取り付けた構成とすることができる。
上記したように、本考案の外周壁構造は、耐力壁及び耐力壁を除く領域のそれぞれにおいて、屋内耐火性を持たせることができる。よって、高い屋内耐火性が要求されるような地域においても、容易に対応することができる。
以下に上記耐火性領域における断熱パネル15及び間柱16の取り付け方法について説明する。
本考案に用いられる断熱パネル15は、板状の断熱材15bとその一表面に取り付けられた耐火性を有する内装面材15aとを備え、該内装面材15aを屋内側に向けて配置される。本実施形態においては、断熱パネル15の位置決めと取り付けとを容易にするために、図1に示すように、土台13の屋外側に、該土台13に沿って水平に受材31が取り付けられ、該受材31の上に断熱パネル15が配置されるが、係る受材31は必ずしも必要ではない。
本考案に用いられる断熱パネル15としては、外張断熱用として市販されている断熱パネルをそのまま、或いは市販の断熱材に耐火性の内装面材15aを貼付して用いられる。内装面材15aについては、本考案の木造建物が建築される区域の耐火基準を満たし、且つ屋内側に露出しても影響のない美粧性を備えた材質が選択される。また、本考案に係る断熱パネル15は内装面材15aとは反対側に構造用合板15cを備えていてもよい。構造用合板15cは、断熱パネル15の強度向上のために用いられるが、断熱材15bのみで十分な強度を有する場合には、構造用合板15cはなくても良い。
本考案に係る断熱パネル15の具体例としては、例えば、JIS A 9511発泡プラスチック保温材に規定するA種フェノールフォーム保温板1種2号F☆☆☆☆Sの「ネオフォーム(登録商標)」(旭化成建材株式会社)や「フェノバボード(登録商標)」(積水化学工業株式会社)の屋外側に9mm厚の構造用合板を、屋内側に内装面材15aとして耐火性と美粧性とを有する9.5mm厚の「モイス(登録商標)」(三菱商事建材株式会社)を備えた断熱パネルが好ましく用いられる。断熱材15bの厚さは木造建物が構築される区域の環境によって適宜選択される。
上記耐火性領域において、断熱パネル15は屋外側から横材又は柱11に直接取り付けるか、或いは、断熱パネル15の屋外側に配置される間柱16を断熱パネル15を介して横材又は柱11に取り付けることによって、軸組の屋外側に固定される。図9に示した構成では、上端で胴差14或いは柱11に,下端で土台13に取り付けられている。また、柱11に接する断熱パネル15については柱11に沿って垂直方向に複数箇所で取り付けることもできる。
断熱パネル15は、図14に示すように、ビス41によって屋外側から胴差14や柱11に取り付けてもよいが、ビス41以外にも釘などによって取り付けても良い。本実施形態では、断熱パネル15が内装面材15aとは反対側の屋外側に構造用合板15cを有しているため、ビス41や釘などの取り付け部材が好ましく用いられる。また、断熱パネル15の取り付けに際しては、接着剤を介して上下端で横材や柱11に取り付けても良い。さらに、水平方向及び垂直方向で互いに隣接する断熱パネル15の境界は気密テープを貼付して気密性を高めておくことが好ましい。
また、SE構法において、基礎21に金物で取り付ける柱11に対応する位置の断熱パネル15についてはその下端に対応する横材や柱11が存在しない箇所があり、このような場合には、取り付け位置を他の断熱パネル15よりも上方にずらし、柱11の下端に取り付ければよい。
本考案においては、断熱パネル15の屋外側に間柱16が配置され、該間柱16は柱11又は横材に取り付けられる。従来、間柱16は屋内側の柱11と並んで柱11,11間に取り付けられ、屋外からの風圧に対する耐力を外周壁に付与する部材及び外装材17を胴縁を介して取り付けるための部材として用いられていたが、本考案では断熱パネル15の屋外側に配置することで、係る作用を得ることができる。また、本考案では外装材17を間柱16に直接取り付けることができるため、胴縁は不要である。間柱16は少なくとも上下端において、横材又は柱11に屋外側から取り付け部材によって取り付ければよい。
図11〜図13の実施形態において、間柱16の上端は胴差14或いは柱11に取り付けられ、下端は土台13或いは該土台13に取り付けられた受材31に取り付けられる。本実施形態においては、図14に示すように、間柱16の取り付け部材としてビス42が用いられているが、ビス42以外にも釘なども用いられる。また、断熱パネル15を挟んで間柱16を横材や柱11に取り付ける際には、断熱パネル15を貫通させて横材や柱11にまで達するビスを用いることが好ましい。
また、間柱16の上端の取り付け用に、図15,図16に示すように、間柱16の上端側の横材(図15,図16においては胴差14)に受材32を取り付け、係る受材32に間柱16の上端を取り付けても良い。また、受材31,32を設けた場合、断熱パネル15は受材31,32の間に嵌合することができ、仮止めをすることなく、間柱16を取り付けることで断熱パネル15を固定することができる。尚、間柱16を受材31,32に取り付ける際には、図16に示すように、ビス42で該受材31,32に屋外側から取り付ければよいが、この時、受材31,32を貫通させて横材や柱11にまで達するビスを用いることが好ましい。また、ビス42の代わりに釘を用いても良い。
また、SE構法において基礎21に金物で取り付けた柱11に対応する位置の間柱16については、下端に対応する横材や柱11が存在しないため、上記した断熱パネル15の取り付けと同様、下端の取り付け位置を他の間柱16よりも上方にずらし、柱11の下端に取り付ければよい。また、土台13に取り付けた受材31を係る柱11の下方にまで延長し、該受材31に取り付けても良い。
間柱16は、上記したように、必要に応じて受材31,32を介して、横材や柱11に取り付けられるが、上端及び下端以外の箇所でも柱11や断熱パネル15に取り付けておくことが好ましい。特に、断熱パネル15の水平方向の両端部に沿って間柱16を配置し、垂直方向に複数箇所、断熱パネル15と間柱16とを互いに固定しておくことが好ましい。また、柱11に接する断熱パネル15の水平方向の端部においても、同様に垂直方向に複数箇所、断熱パネル15に間柱16を固定しておくことが好ましく、この時、断熱パネル15を貫通して柱11に到達する取り付け部材を用いて間柱16を柱11に固定しておくことがより好ましい。
本考案に用いられる間柱16の奥行きや幅、配置ピッチは、屋外からの風圧に対する耐力と、断熱パネル15の水平方向端部の位置、間柱16に取り付けられる外装材17の重さや取り付けピッチを考慮して設定される。柱11と並んで柱11,11間に配置され屋内側の壁材を取り付ける支持材として用いられていた従来の間柱は、柱11と同じ奥行きが必要であったが、本考案では係る制約を受けないため、間柱16としての強度が保持できる範囲で30mmまで小さくすることができる。好ましくは、間柱16の奥行きが30mm〜120mm、幅45mm〜90mmで、300mm〜900mmピッチで用いられる。また、図12,図13に示されるように、柱11に対応する位置の断熱パネル15の水平方向端部に合わせて、2本の間柱16,16が接して配置されていてもよい。
さらに、本考案においては、間柱16に外装材17が取り付けられる。本実施形態では、図14に示すように、外装材17をビス43によって屋外側から取り付けているが、本考案ではこれに限定されない。外装材17の種類によって取り付け方法は適宜選択することができる。本考案では、間柱16によって外装材17と断熱パネル15との間に十分な空間が形成され、通気性や雨水などの排出路が確保される。外装材17としては、外壁の耐火基準を満たした、金属系や窯業系のサイディング、ALC(軽量気泡コンクリート板)といった市販の外装パネルが好ましく用いられるが、本考案においてはこれらに限定されるものではない。また、本考案においては、間柱16が外装材17の支持材として用いられることから、重い窯業系サイディングでも好ましく用いることができる。
本考案においては、図1〜図16に示した部材以外にも、例えば、外装材17を取り付ける前に断熱パネル15の屋外側表面及び間柱16の表面に防水シートなどを適宜取り付けても良い。
上記したように、本考案の外周壁構造は、従来市販されている部材と使用されている施工方法以外に、繁雑な施工や高価な部材を必要としない。さらに、本考案では、従来必要であった外装材17を取り付けるための胴縁を用いないことから、胴縁及びその取り付けにかかる費用が不要となる。よって、本考案によれば、施工コストを増大させることなく、高い屋内耐火性を得ることができる。
上記のように、本考案に係る耐火領域では、断熱パネル15及び間柱16を屋外側から横材や柱11に取り付けることにより、屋内側に取り付け部材が露出しない。また、断熱パネル15が屋内側に耐火性を有する内装面材15bを備えていることにより、美粧性も良い。よって、本考案に係る耐火性領域においては、柱11,11間の空間を覆う内装仕上げが不要で、該空間が屋内側に開放され、広い屋内空間が提供される。
従来、石膏ボード等の内装材で覆われる柱11,11の間の空間は、電気配線やガス管、水回りの配管といった設備の設置に利用されていた。そのため、係る設備は内装仕上げを取り付ける前に施工する必要があり、従来の木造建物ではこれらの設備を施工し、内装仕上げを取り付け、屋内設備が全て整った状態で施主或いは購入者に引き渡されていた。
本考案においては、上記した耐火性を備えた耐力壁と耐火性領域とで外周壁を構成することにより、柱の屋内側に石膏ボードを取り付ける必要がなく、柱と柱の間の空間を開放した状態で提供できるため、マンションなどのRC構造(鉄筋コンクリート構造)と同様の、屋内設備が施工されていない柱や梁、床などの構造躯体(スケルトン)での販売が可能となる。スケルトンでの販売時には、販売価格に屋内設備(インフィル)に係る費用が含まれず、さらに本考案においては外周壁の施工費用が削減されているため、従来よりも大幅に低い価格で木造建物を提供することができる。よって、購入者は間仕切りの位置や間取り、コンセントやスイッチ、照明等電気機器の位置などの電気設備、台所や浴室、洗面所、トイレなどの水回り設備といった屋内設備の選択肢が自由になる上、従来よりも低価格で木造建物を入手することが可能となる。また、係る木造建物を販売する側にとっても、従来対応できなかった購入者の要望に幅広く対応することが可能となる。
本考案においても、柱11,11の間の空間は、従来と同様に電気配線や水回りの配管、ガス管などの設備の設置に利用することができる。
尚、上記において実施形態として2階建ての住宅を例に挙げて説明したが、本考案の木造建物はこれに限定されるものではなく、平屋或いは3階建て以上でもよく、また2戸1や3戸1といった長屋式の住宅や共同住宅、集会所や店舗、倉庫、各種施設等にも好ましく適用される。
11:柱、13:土台、14:胴差、15:断熱パネル、15a:内装面材、15b:断熱材、15c:構造用合板、16:間柱、17:外装材、21:基礎、24:根太、25:床下地板、26:床仕上、31,32:受材、41,42,43:ビス、51:耐火ボード、52,53,54:受材、55:構造用合板
Claims (4)
- 柱及び横材を備えた木造建物の軸組の屋外側に、板状の断熱材と面材とを有する断熱パネルと、前記断熱パネルの外側に配置された外装材とを備え、少なくとも一コーナー部に耐力壁を有する木造建物の外周壁構造において、
前記耐力壁の少なくとも一部が、前記柱の屋内側に耐火ボードを取り付けてなり、
前記耐力壁を除く領域の少なくとも一部に、前記断熱パネルの屋内側の前記柱間には間柱がなく、前記断熱パネルの屋外側に、前記横材又は前記柱に取り付けられた間柱が配置され、前記断熱パネルが屋内側に耐火性を有する内装面材を備えた領域を有し、
前記外装材が前記間柱に取り付けられていることを特徴とする木造建物の外周壁構造。 - 前記耐力壁を除く領域の前記柱は、少なくとも表面が耐火部材からなることを特徴とする請求項1に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記間柱の幅が45mm〜90mm、奥行きが30mm〜120mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の木造建物の外周壁構造。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の外周壁構造を有することを特徴とする木造建物。
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JP2018066489A (ja) * | 2016-10-17 | 2018-04-26 | 株式会社メックecoライフ | 空調システム |
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