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JP3193227B2 - シリコーン樹脂それを含む組成物、ケイ酸ガラス系無機膜の形成方法 - Google Patents

シリコーン樹脂それを含む組成物、ケイ酸ガラス系無機膜の形成方法

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JP3193227B2
JP3193227B2 JP05422494A JP5422494A JP3193227B2 JP 3193227 B2 JP3193227 B2 JP 3193227B2 JP 05422494 A JP05422494 A JP 05422494A JP 5422494 A JP5422494 A JP 5422494A JP 3193227 B2 JP3193227 B2 JP 3193227B2
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silicone resin
film
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resin composition
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敏雄 伊東
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Oki Electric Industry Co Ltd
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  • Formation Of Insulating Films (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば半導体装置な
どの製造で用いられるレジスト、エッチングマスク、絶
縁膜、モールドなどの形成材料として使用可能なシリコ
ーン樹脂これを含むシリコーン樹脂組成物並びにこれら
を用いたケイ酸ガラス系無機膜の形成方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体装置では、配線間の絶縁や
装置表面の保護のため絶縁膜が多用される。このような
絶縁膜を形成する場合、膜となる材料を含む溶液を基板
に回転塗布するのが良い。なぜなら、このような方法で
あると、良好な段差被覆性、高い平坦化能力、膜形成の
簡便さなどの優れた特徴が得られ易いからである。絶縁
膜としてケイ酸ガラス系の膜を得る従来方法の一例とし
て、SOG(スピンオングラス)を用いる方法がある。
これはケイ素化合物を有機溶剤に混合し構成した塗布液
を基板上に塗布し、さらに700 〜900 ℃の温度で焼成し
SiO2 膜を得る方法である(例えば文献I「超LSI
総合辞典」、(株)サイエンスフォーラム、昭和63年、
p.115 )。また、例えば文献II(Extended abstracts o
f the 20thConference on Solid State Devices and Ma
terials,Tokyo,1988,pp.609-610)には、SOGとして
ポリ(アルキルシロキサン)を基板上(実際はCVDに
より形成したSiO2 膜上)に塗布しその皮膜を形成
し、その後この皮膜を酸素プラズマにより処理しSiO
2 化する方法が開示されている。ポリ(アルキルシロキ
サン)のままでは、これが、半導体装置製造のため後に
行なわれるプラズマアッシングや、硫酸及び過酸化水素
水の混合液による洗浄に耐えられないのでこれを防止す
るためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】SOGを用いる従来構
成では、上述のごとく、塗膜を少なくとも700℃とい
うような高温で処理したり酸素プラズマで酸化する必要
があった。このような過酷な処理を行なわないと、SO
Gを構成しているポリ(アルキルシロキサン)からアル
キル基を取り除くことができないので所望のケイ酸系ガ
ラスが得られないからであった。しかし、上記のような
高温処理は、この熱により半導体装置中の例えばアルミ
ニウム配線にダメージを与え易いので、好ましいもので
はない。また、酸素プラズマによる後処理を行なう場
合、プロセスが複雑になるので好ましいものではない。
また、上記いずれの場合も、塗布膜の一部分のみを選択
的にケイ酸ガラス系の膜にすることはできないので、ケ
イ酸ガラス系膜のパターン形成はできなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段、及び作用】そこで、この
出願に係る発明者は鋭意研究を進め、その結果として、
ポリ(シロキサン)のケイ素にある種のアルコキシル基
がある場合(以下、これを「所定のアルコキシル基」と
もいう。)には、温和な条件の下で容易にそのアルキル
基がシリコン骨格から脱離することに着目した。この様
子を下記の(A)式に示した。また、その具体的な例と
して、例えば酸触媒存在下でこのような脱離反応が容易
に起こるアルコキシル基の構造的条件を考えた場合は、
脱離してできる中間体であるアルキル陽イオンが安定で
あることが挙げられる。この様子を下記(B)式に示し
た。
【0005】
【化1】
【0006】
【化2】
【0007】したがって、この出願の第一発明では、置
換基の全てが下記に示した所定のアルコキシル基のいず
れかであるポリ(シロキサン)、或は、置換基の一部が
下記に示した所定のアルコキシル基のいずれかであって
残りが水酸基であるポリ(シロキサン)を主張する。こ
こで、所定のアルコキシル基とは、第3級アルコキシル
基、α−置換アリールオキシル基、α,α−2置換アリ
ールオキシル基、無置換テトラヒドロピラニロキシル
基、置換テトラヒドロピラニロキシル基、無置換テトラ
ヒドロフラニロキシル基、置換テトラヒドロフラニロキ
シル基、2−アルコキシエトキシル基、2−アリールオ
キシエトキシル基、2−アルカノイロキシエトキシル基
である。なお、この発明において、ポリ(シロキサン)
中に導入(置換)されている所定のアルコキシル基は1
種類のものであっても良く、複数種類のものであっても
良いものとする。またここでいうポリ(シロキサン)と
は、ケイ素数2個以上のもの(ジシロキサン以上のも
の)、すなわちオリゴマーとして分類されるケイ素数の
少ないものをも含む意味である。高分子鎖に分岐構造を
含むものも含まれる。この第一発明でいうポリ(シロキ
サン)の一般式を下記(C)に示した。このポリ(シロ
キサン)の分子量は使用目的に応じ任意である。半導体
装置での絶縁膜として使用する場合は塗布法によりこの
ポリ(シロキサン)の皮膜を形成することとなる。その
場合、分子量が大きすぎては主に塗布溶液の調整が困難
になり、小さすぎては主に皮膜の形成が困難になるので
これらを考慮した好適な分子量のものとするのが良い。
【0008】
【化3】
【0009】なお、上記第3級アルコキシル基を与える
第3級アルキル基の具体例としては、下記(1)式に示
した2−メチル−2−プロピル基(t−ブチル基)、下
記(2)式に示した2−メチル−2−ブチル基、下記
(3)式に示した3−メチル−3−ペンチル基、下記
(4)式に示した3−エチル−3−ペンチル基などを挙
げることができる。また、上記α−置換アリールオキシ
ル基を与えるα−置換アリール基の具体例としては、下
記(5)式に示したフェニルメチル基(ベンジル基)、
下記(6)式に示したp−トリルメチル基、下記(7)
式に示した1−ナフチルメチル基、下記(8)式に示し
た1−フェニルプロピル基、下記(9)式で示した2−
フリルメチル基、下記(10)式で示した1−フェニル
エチル基、下記(11)式で示したジフェニルメチル基
などを挙げることが出来る。また、上記α,α−2置換
アリールオキシル基を与えるα,α−2置換アリール基
の具体例としては、下記(12)式に示した2−フェニ
ル−2−プロピル基(α,α−ジメチルベンジル基)、
下記(13)式に示した2−(p−トリル)−2−プロ
ピル基、下記(14)式に示した2−(1−ナフチル)
−2−プロピル基、下記(15)式に示した2−(2−
フリル)−2−プロピル基、下記(16)式に示した2
−フェニル−2−ブチル基、下記(17)式に示した
1,1−ジフェニルエチル基などを挙げることが出来
る。また、無置換テトラヒドロピラニロキシル基を与え
る無置換テトラヒドロピラニル基の具体例として例えば
下記(18)式に示した2−テトラヒドロピラニル基
を、また、置換テトラヒドロピラニロキシル基を与える
置換テトラヒドロピラニル基の具体例として例えば下記
(19)式に示した2−(4−メチル)−テトラヒドロ
ピラニル基をそれぞれ挙げることが出来る。また、無置
換テトラヒドロフラニロキシル基を与える置換テトラヒ
ドロフラニロキシル基の具体例として例えば下記(2
0)式に示した2−テトラヒドロフラニル基を、また置
換テトラヒドロフラニロキシル基を与える置換テトラヒ
ドロフラニル基の具体例として例えば下記(21)式に
示した2−(4−メチル)−テトラヒドロフラニル基を
それぞれ挙げることが出来る。また、2−アルコキシエ
トキシル基を与える2−アルコキシエチル基の具体例と
しては下記(22)式に示した2−メトキシエチル基、
下記(23)式に示した2−エトキシエチル基、下記
(24)式に示した2−フェノキシエチル基、下記(2
5)式に示した2−アセトキシエチル基などを挙げるこ
とが出来る。
【0010】
【化4】
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】なお、この出願でいうポリ(シロキサン)
は、例えば以下の(a)〜(d)に示すシリコン化合物
の1種または2種以上の混合物を加水分解・縮合させる
ことによって得られる。
【0017】(a)上記所定のアルコキシル基3個と塩
基で加水分解可能な置換基1個とを有するモノシラン。
【0018】(b)上記所定のアルコキシル基2個と塩
基で加水分解可能な置換基2個とを有するモノシラン。
【0019】(c)上記所定のアルコキシル基1個と塩
基で加水分解可能な置換基3個とを有するモノシラン。
【0020】(d)塩基で加水分解可能な置換基4個を
有するモノシラン。
【0021】ここで、上記(a)〜(d)において、塩
基で加水分解可能な置換基とは、例えば、アルカノイル
基、アリールカルボニル基或はハロゲノ基であることが
できる。アルカノイル基の具体例としては、例えば、下
記化学式10(ここで化学式10とはすみ付カッコで囲
う化10をいう。以下の化学式11〜26において同
様)の欄に示したアセチル基、プロピオニル基が挙げら
れる。アリールカルボニル基の具体例としては、例え
ば、下記化学式11の欄に示したベンゾイル基、p−ト
ルオイル基、ナフトイル基が挙げられる。ハロゲノ基の
具体例としては、例えば、クロロ(−Cl)、ブロモ
(−Br)、ヨード(−I)が挙げられる。
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】この第一発明の構成のうち置換基全てが所
定のアルコキシル基で置換されているシリコン樹脂の構
成では、これに例えば酸やイオンが作用するとアルキル
基が脱離するので、このシリコーン樹脂の酸やイオンの
作用をうけた部分はシラノールを有するシリコーン樹脂
になる。同様に、第一発明の構成のうち置換基の一部が
所定のアルコキシル基で置換されているシリコン樹脂で
も例えば酸やイオンが作用するとアルキル基が脱離する
ので、このシリコーン樹脂の酸やイオンが作用した部分
はシラノールを有するシリコーン樹脂になる。またこの
シラノールは縮合するのでこのシリコーン樹脂はシラノ
ールのより少ないケイ酸系ガラスになる。また、このケ
イ酸系ガラス中には水素は残存してはいるものの炭素は
残存しない。これらのことから、第一発明のシリコーン
樹脂はケイ酸系ガラスであって無機のケイ酸系ガラスを
得る材料として用い得るものとなる。
【0025】また、この出願の第二発明では、:第一
発明のシリコーン樹脂と酸発生剤とから成るシリコーン
樹脂組成物、:第一発明のシリコーン樹脂と所定のホ
ウ酸エステル及びリン酸エステルの双方または一方とか
ら成るシリコーン樹脂、:第一発明のシリコーン樹脂
とシランの水素4個が上記所定のアルコキシル基のいず
れかに置換されたシラン(以下、「所定のシラン」とい
う。)とから成るシリコーン樹脂組成物、:このの
構成の樹脂組成物にさらに酸発生剤を含ませた構成のシ
リコーン樹脂組成物、:の構成の樹脂組成物にさら
に酸発生剤を含ませた構成のシリコーン樹脂組成物、
:の構成の樹脂組成物に、さらに所定のホウ酸エス
テル及びリン酸エステルの双方または一方と、所定のモ
ノシランとを含ませた構成のシリコーン樹脂組成物をそ
れぞれ主張する。
【0026】なお、この第二発明でいう酸発生剤の選択
に当たっては、次の点に留意するのが好適である。露光
に用いるエネルギー線に効率よく感応する適正なものを
選ぶ。樹脂組成物の保存安定性を考えると室温で酸を発
生するようなものを用いることは避けるのが良い。ま
た、あまり高温で酸を発生するような酸発生物質を選択
することは低温で絶縁膜を得るという本願の目的を損ね
る。例えば、次の(i) 〜(X) に掲げる各物質から選ばれ
る1または複数のものは酸発生剤として用いて好適であ
る。
【0027】(i):トリフェニルスルホニウムトリフオロ
メタンスルホナート、ジフェニル(4−t−ブチルフェ
ニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、
ジフェニル(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリ
フルオロメタンスルホナート、ジフェニル(4−フルオ
ロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナ
ート、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホ
ニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニル
スルホニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニル
(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオ
ロホスファート、ジフェニル(4−メトキシフェニル)
スルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニ
ルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、ジフェ
ニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフ
ルオロアンチモナート、ジフェニル(4−メトキシフェ
ニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、ト
リフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセナート、
ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムヘ
キサフルオロアルセナート、ジフェニル(4−メトキシ
フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルセナート、
ジフェイル(ナフト−2−イル)スルホニウムトリフル
オロメタンスルホナートなどのトリアリールスルホニウ
ム塩(下記の化学式12、化学式13、化学式14の欄
参照)。
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】(ii):S−(2−ナフトイルメチル)−チ
ラニウムトリフロオロメタンスルホナートなどのアリー
ルアルキレンスルホニウム塩(下記の化学式15参照)
やアリールカルボニルメチルジアルキルスルホニウム
塩。
【0032】
【化15】
【0033】(iii):ジアルキル(4−ヒドロキシナフト
−2−イル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナ
ート(下記の化学式16参照)等のアリールジアルキル
スルホニウム塩。
【0034】
【化16】
【0035】(iv): ジフェニルヨードニウムトリフルオ
ロメタンスルホナート、ジ(4−t−ブチルフェニル)
ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジ(4
−メトキシフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタン
スルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ
アンチモナート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨード
ニウムヘキサフルオロアンチモナート、ジ(4−メトキ
シフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモナー
ト、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナー
ト、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサ
フルオロアルセナート、ジ(4−メトキシフェニル)ヨ
ードニウムヘキサフルオロアルセナートなどのジアリー
ルヨードニウム塩(下記化学式17の欄参照)。
【0036】
【化17】
【0037】(v) ピロガロールトリメタンスルホナー
ト、ピロガロールトリエタンスルホナート、ピロガロー
ルトリ−4−トルエンスルホナートなどのピロガロール
のスルホン酸エステル(下記化学式18の欄参照)。
【0038】
【化18】
【0039】(vi): ベンゾイン4−トルエンスルホナー
ト、2−ヒドロキシベンゾイン4−トルエンスルホナー
トなどの無置換あるいは置換ベンゾインのスルホン酸エ
ステル(下記化学式19の欄参照)。
【0040】
【化19】
【0041】(vii):2,2’,4,4’−テトラヒドロ
キシベゾインフェノンの2−ジアゾナフトキノン−4−
スルホン酸エステルなどのポリヒドロキシベンゾフェノ
ンの2−ジアゾナフトキノン−4−スルホン酸エステル
(下記化学式20の欄参照)。
【0042】
【化20】
【0043】(viii): トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタンの2−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステ
ル等のフェノール類の2−ジアゾナフトキノン−4−ス
ルホン酸エステル(下記化学式21の欄参照)。
【0044】
【化21】
【0045】(ix): 2,6−ジニトロベンジル4−トル
エンスルホナート、2,4−ジニトロベンジル4−トル
エンスルホナート、2−ニトロ−4−フルオロベンジル
4−トルエンスルホナートなどの2−又は/及び6−の
位置にニトロ基を有するベンジルアルコールのスルホン
酸エステル(下記化学式22の欄参照)。
【0046】
【化22】
【0047】(X):ベンゾイルメチル(フェニル)スルホ
ン、ベンゼンスルホニルメチル(フェニル)スルホンな
どのβ−ジスルホン(下記化学式23の欄参照)。
【0048】
【化23】
【0049】これら酸発生剤は、目的とする感度などを
考慮した適性量使用する。この際、この量が多すぎると
組成物の塗布膜が脆弱になったりするのでこの点をも考
慮して酸発生剤の量は決定するのが良い。
【0050】また、この第二発明でいうホウ酸トリアル
キルの具体例として下記の化学式24欄に示したホウ酸
トリ(2−プロピル)、ホウ酸トリ(2−メチル−2−
プロピル)が挙げられる。また、ホウ酸トリアリールの
具体例として同じく化学式24欄に示したホウ酸トリフ
ェニル、ホウ酸トリ(4−トリル)が挙げられる。ま
た、この第二発明でいうリン酸エステルとしてリン酸ト
リアルキル、リン酸トリアリールを挙げることが出来
る。リン酸トリアルキルの具体例として下記の化学式2
5欄に示したリン酸トリ(2−プロピル)、リン酸トリ
(2−メチル−2−プロピル)が挙げられる。また、リ
ン酸トリアリールの具体例として同じく化学式25欄に
示したリン酸トリフェニル、リン酸トリ(4−トリル)
が挙げられる。もちろんこれらは一例である。ホウ酸エ
ステル、リン酸エステルの添加量は主にBSG膜、PS
G膜、BPSG膜として要求される性能などを考慮して
決定する。
【0051】
【化24】
【0052】
【化25】
【0053】この第二発明の上記の構成(第一発明の
シリコーン樹脂+酸発生剤の構成)ではこのシリコーン
樹脂の皮膜に例えば電子線、紫外線、X線、イオン粒子
線などのエネルギー線を照射すると照射部分において酸
発生剤が分解して酸が生じる。この酸が触媒になってポ
リ(シロキサン)におけるエネルギー線照射部分中の所
定のアルコキシル基のアルキル基は脱離するので、エネ
ルギー線照射部分の皮膜はシラノールを有するポリ(シ
ロキサン)になる。このエネルギ線照射部分では、その
後は、シラノールの縮合などが第一発明同様に起こる。
【0054】また、第二発明の上記の構成(第一発明
のシリコーン樹脂+所定のホウ酸エステルやリン酸エス
テルの構成)では、ボロンを含むケイ酸系ガラス、リン
を含むケイ酸系ガラスの形成用材料が実現される。
【0055】また、第二発明の上記の構成(第一発明
のシリコーン樹脂+所定のモノシランの構成)では、所
定のシランの種類、使用量などを制御することによりシ
リコーン樹脂組成物の皮膜形成時の塗布性を制御でき
る。
【0056】また、第二発明の上記〜の各構成で
は、上記〜の組み合わせに応じた作用が得られる。
【0057】この出願の第三発明のケイ酸ガラス系無機
膜の形成方法のうちの第一発明のシリコーン樹脂を用い
る構成の場合、このシリコーン樹脂の皮膜のイオン照射
された部分ではアルキル基の脱離、シラノールの生成そ
れの縮合がおこる。また、この出願の第三発明のケイ酸
ガラス系無機膜の形成方法のうちの第二発明のシリコー
ン樹脂組成物を用いる構成の場合、このシリコーン樹脂
の皮膜のエネルギー線が照射された部分ではアルキル基
の脱離、シラノールの生成それの縮合がおこる。この一
連の処理を下記(I)式に示した。これら一連の処理は
イオン照射後或はエネルギー線照射後の熱処理により加
速される。
【0058】
【化26】
【0059】
【実施例】以下、この出願の各発明の実施例について説
明する。しかしながら、以下の説明中で挙げる使用材料
及びその量、処理時間、処理温度、膜厚などの数値的条
件は、これら発明の範囲内の好適例にすぎない。従っ
て、これらの発明は、これら条件にのみ限定されるもの
ではない。
【0060】1.シリコーン樹脂及びこれを用いたケイ
酸ガラス系無機膜の形成例の説明 1−1.第1実施例のシリコーン樹脂 ジムロート、温度計、滴下ロート、攪拌機を装着した4
つ口反応器に、ジアセトキシジ−t−ブトキシシラン5
8.4g(0.20mol)とテトラアセトキシシラン
26.4g(0.10mol)とを入れ、さらにメチル
イソブチルケトン(MIBK)を600ml加えてこれ
らシランを溶解させる。これにトリエチルアミン80.
8g(0.80mol)を加え、次いでこの溶液を−2
0℃に冷却する。これに水144ml(8.0mol)
を30分間かけて加える。この溶液を30分間攪拌した
後、室温に昇温し、さらに30分間攪拌を続ける。次い
で、40℃に加熱しこのまま30分間反応を続ける。冷
却後、分液し、有機層をその水層が中性を示すまで水で
洗浄する。得られた溶液から減圧下で溶媒を留去する。
残分をメタノール/水で再沈殿し、得られた樹脂を40
℃で一夜真空乾燥する。得られたポリ(シロキサン)は
15gであった。ポリ(スチレン)換算によるゲルパー
ミエーションクロマトグラフィの結果、重量平均分子量
(MW )は24000であった。また、ベンゼン内部標
準を用いたNMR分析では、t−ブトキシル基の全ケイ
素に対する割合は118%であった。上記合成条件で得
られるポリ(シロキサン)において、全ケイ素原子の置
換基がt−ブトキシル基となったときの理論上の、上記
NMR数値は、2×0.2×100/(0.2+0.
1)=133%である。ただし、この式中の2という数
字は出発原料中のジアセトキシジ−t−ブトキシシラン
が2官能性であることによる。また、この式中の0.
2、0.1という各数字は、各シランのモル数である。
これら118%及び133%という数値から明らかなよ
うに、この第1実施例のシリコーン樹脂は、置換基の一
部がt−ブトキシル基であって残りが水酸基であるポリ
(シロキサン)に相当する。ただし、この第1実施例の
シリコーン樹脂を、これが熱分解してしまう温度(おお
よそ400℃程度)より低い比較的高温(例えば300
℃程度)で処理することによってシラノールを縮合させ
て水酸基部分をシリコン樹脂の骨格に変えることができ
る。こうすると、置換基の全部がt−ブトキシル基であ
るシリコーン樹脂を提供することも可能である。以下の
第2〜第4実施例の各シリコーン樹脂組成物も合成を終
えた時点のものは、置換基の一部がt−ブトキシル基で
あって残りが水酸基であるポリ(シロキサン)である
が、これについても、適当な熱処理によって、置換基の
全部がt−ブトキシル基であるポリ(シロキサン)に変
えることはできる。置換基の全部がt−ブトキシル基で
あるポリ(シロキサン)を得る例については後述の第5
実施例のシリコーン樹脂の項において説明する。
【0061】1−2.第2実施例のシリコーン樹脂 上記第1実施例では40℃の温度での反応時間が30分
であったところを60分とする。それ以外は実施例1に
記載した手順で第2実施例のポリ(シロキサン)を合成
する。得られたポリ(シロキサン)は16gであった。
ポリ(スチレン)換算によるゲルパーミエーションクロ
マトグラフィの結果、重量平均分子量(MW )は660
00であった。また、ベンゼン内部標準を用いたNMR
分析では、t−ブトキシル基の全ケイ素に対する割合は
120%であった。
【0062】1−3.第3実施例のシリコーン樹脂 ジムロート、温度計、滴下ロート、攪拌機を装着した4
つ口反応器に、ジアセトキシジ−t−ブトキシシラン5
8.4g(0.20mol)とトリアセトキシ−t−ブ
トキシシラン36.4g(0.13mol)とを入れ、
さらにMIBKを650ml加えてこれらシランを溶解
させる。これにトリエチルアミン79.8g(0.79
mol)を加え、次いでこの溶液を−20℃に冷却す
る。これに水142ml(7.9mol)を30分間か
けて加える。この溶液を30分間攪拌した後、室温に昇
温し、さらに30分間攪拌を続ける。次いで、40℃に
加熱しこのまま30分間反応を続ける。冷却後、分液
し、有機層をその水層が中性を示すまで水で洗浄する。
得られた溶液から減圧下で溶媒を留去する。残分をメタ
ノール/水で再沈殿し、得られた樹脂を40℃で一夜真
空乾燥する。得られたポリ(シロキサン)は12gであ
った。ポリ(スチレン)換算によるゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィの結果、重量平均分子量(MW )は
11000であった。また、ベンゼン内部標準を用いた
NMR分析では、t−ブトキシル基の全ケイ素に対する
割合は140%であった。
【0063】1−4.第4実施例のシリコーン樹脂 ジムロート、温度計、滴下ロート、攪拌機を装着した4
つ口反応器に、トリアセトキシ−t−ブトキシシラン9
6.8g(0.40mol)とテトラアセトキシシラン
79.2g(0.30mol)とを入れ、さらにMIB
Kを700ml加えてこれらシランを溶解させる。これ
にトリエチルアミン242g(2.4mol)を加え、
次いでこの溶液を−20℃に冷却する。これに水288
ml(2.4mol)を30分間かけて加える。この溶
液を30分間攪拌した後、室温に昇温し、さらに60分
間攪拌を続ける。次いで、これを分液し、有機層を水層
が中性を示すまで水で洗浄する。得られた溶液から減圧
下で溶媒を留去する。残分をメタノール/水で再沈殿
し、得られた樹脂を40℃で一夜真空乾燥する。得られ
たポリ(シロキサン)は11gであった。ポリ(スチレ
ン)換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ
の結果、重量平均分子量(MW )は86000であっ
た。また、ベンゼン内部標準を用いたNMR分析では、
t−ブトキシル基の全ケイ素に対する割合は46%であ
った。
【0064】1−5.第5実施例のシリコーン樹脂 第1実施例のシリコーン樹脂10gを真空乾燥器中で減
圧下、300℃の温度で8時間加熱する。得られた樹脂
はポリ(スチレン)換算によるゲルパーミエーションク
ロマトグラフィの結果、重量平均分子量(MW )は15
0,000であった。また、ベンゼン内部標準を用いた
NMR分析では、t−ブトキシル基の全ケイ素に対する
割合は113%であり本加熱処理をする前とほぼ同じで
あるが、FT−IRによる分析の結果では水酸基は全く
存在していないことが分かった。
【0065】1−6.シリコーン樹脂を用いたケイ酸ガ
ラス系無機膜の形成例 第3実施例のシリコーン樹脂1.0gをシクロヘキサノ
ン10mlに溶解して得たものをテフロン製メンブレン
フィルタを通して濾過し、第3実施例のシリコーン樹脂
の塗布溶液とする。これをシリコン基板上に塗布しホッ
トプレート上で80℃の温度で1分間プリベークを施
し、0.5μmの厚さの皮膜を形成する。この皮膜にス
テンシルマスクを密着させこれを通して加速電圧50K
Vの水素イオンを5.0×1015個/cm2 で照射す
る。イオン照射済み試料をホットプレート上で200℃
の温度で2分間ベーキングを施す。次いで、アニソール
で30秒間現像し、その後、キシレンで30秒間リンス
をする。この試料をSEMで観察したところ、0.5μ
mのラインアンドスペース(L/S)パターンを解像し
ていることが分かった。また、同じ試料中の50μm角
のパッドパターンを顕微FT−IRにより分析した結
果、t−ブチル基に基づく波数3000cm-1付近及び
1600cm-1付近のC−H伸縮振動、C−C伸縮振動
の吸収が完全に消失していることが観測された。この結
果より、露光部分はケイ酸ガラス系の無機膜に変化して
いることが分かる。炭素を含むケイ酸ガラス(つまり有
機分を含むケイ酸ガラス)を半導体装置の絶縁膜として
用いると、その後にもし高温熱処理工程が実施された場
合この絶縁膜中の有機成分が熱分解しガスを発生しこれ
により絶縁膜に損傷を引き起こす危険が高いが、この発
明のシリコーン樹脂ではケイ酸ガラス系無機膜となって
いるのでそのようなことが生じないと考えられる(以下
の第二発明のシリコーン樹脂組成物において同じ。)。
したがって、この第一発明のシリコーン樹脂で形成した
ケイ酸ガラス系無機膜は、CVD法、スパッタ法などで
形成されるSiO2 膜と同等の耐熱性、耐ドライエッチ
ング耐性及び化学安定性が期待出来る(第二発明におい
て同じ。)。
【0066】2.シリコーン樹脂組成物及びこれを用い
たケイ酸ガラス系無機膜の形成例の説明 2−1.第1実施例の組成物及び無機膜の形成 第一発明の第1実施例のポリ(シロキサン)1.0g
と、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスル
ホナート(上記化学式12の欄中の1つ)40mg(樹
脂重量に対する重量%で4%に相当)とをシクロヘキサ
ノン10mlに溶解して得たものをテフロン製メンブレ
ンフィルタを通して濾過し、第1実施例の樹脂組成物の
塗布溶液とする。これをシリコン基板上に塗布しホット
プレート上で80℃の温度で1分間プリベークを施し、
0.8μmの厚さの皮膜を形成する。この皮膜に対しエ
ネルギー線としてここでは電子線を用いた露光をする。
具体的には、加速電圧20KVで電子線描画を行なう。
露光量は10μC/cm2 である。露光済み試料をホッ
トプレート上で100℃の温度で2分間ベーキングを施
す。次いで、アニソールで30秒間現像し、その後、キ
シレンで30秒間リンスをする。この試料をSEMで観
察したところ、0.3μmのL/Sパターンを解像して
いることが分かった。また、同じ試料中の50μm角の
パッドパターンを顕微FT−IRにより分析した結果、
t−ブチル基に基づく波数3000cm-1付近及び16
00cm-1付近のC−H伸縮振動、C−C伸縮振動の吸
収が完全に消失していることが分かった。この結果よ
り、露光部分はケイ酸ガラスに変化していることが分か
った。なお、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウム
トリフルオロメタンスルホナートを用いる場合、他の酸
発生剤を用いる場合よりエネルギー線に対し効率よく酸
が発生される。
【0067】2−2.第2実施例の組成物及び無機膜の
形成 第一発明の第1実施例のポリ(シロキサン)1.0g
と、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェ
ノンのテトラキス(2−ジアゾナフトキノン−4−スル
ホナート)80mgとをシクロヘキサノン10mlに溶
解して得たものをテフロン製メンブレンフィルタを通し
て濾過し、第2実施例の樹脂組成物の塗布溶液とする。
これをシリコン基板上に塗布しホットプレート上で80
℃の温度で1分間プリベークを施し、0.8μmの厚さ
の皮膜を形成する。この皮膜に対しi線ステッパ(NA
0.45、1/5縮小露光するもの)を用い露光を行な
う。露光量は150mJ/cm2 である。露光済み試料
をホットプレート上で100℃の温度で2分間ベーキン
グを施す。次いで、アニソールで30秒間現像し、その
後、キシレンで30秒間リンスをする。この試料をSE
Mで観察したところ、0.5μmのL/Sパターンを解
像していることが分かった。また、同じ試料中の50μ
m角のパッドパターンを顕微FT−IRにより分析した
結果、t−ブチル基に基づく波数3000cm-1付近及
び1600cm-1付近のC−H伸縮振動、C−C伸縮振
動の吸収が完全に消失していることが分かった。この結
果より、露光部分はケイ酸ガラスに変化していることが
分かった。
【0068】2−3.第3実施例の組成物及び無機膜の
形成 第一発明の第1実施例のポリ(シロキサン)1.0g
と、ホウ酸トリ−t−ブチル100mgと、リン酸トリ
−t−ブチル100mgと、2,2’,4,4’−テト
ラヒドロキシベンゾフェノンのテトラキス(2−ジアゾ
ナフトキノン−4−スルホナート)80mgとをシクロ
ヘキサノン10mlに溶解して得たものをテフロン製メ
ンブレンフィルタを通して濾過し、第3実施例の樹脂組
成物の塗布溶液とする。これをシリコン基板上に塗布し
ホットプレート上で80℃の温度で1分間プリベークを
施し、0.8μmの厚さの皮膜を形成する。この皮膜に
対しi線ステッパ(NA0.45、1/5縮小露光する
もの)を用い露光を行なう。露光量は180mJ/cm
2 である。露光済み試料をホットプレート上で100℃
の温度で2分間ベーキングを施す。次いで、アニソール
で30秒間現像し、その後、キシレンで30秒間リンス
をする。この試料をSEMで観察したところ、0.6μ
mのホールパターンを解像していることが分かった。ま
た、同じ試料中の50μm角のパッドパターンを顕微F
T−IRにより分析した結果、t−ブチル基に基づく波
数3000cm-1付近及び1600cm-1付近のC−H
伸縮振動、C−C伸縮振動の吸収が完全に消失し、一
方、波数1300-1付近にB−O伸縮振動、P=O伸縮
振動、波数1100cm-1付近にP−O伸縮振動がそれ
ぞれ観測された。この結果より、露光部分はホウ酸とリ
ン酸とがドープされたケイ酸ガラスいわゆるBPSG膜
に変化していることが分かった。なお、ホウ酸エステル
としてホウ酸トリ−t−ブチルを用い、リン酸エステル
としてリン酸トリ−t−ブチルを用いているのは、こう
すると酸の作用で、上記化学式2の欄に示した(B)式
の場合と同様に安定アルキル用イオンを生成するためエ
ステル中のブチル基が容易に脱離するので、炭素が残存
しないBSG膜、PSG膜、BPSG膜が得られ易いか
らである。
【0069】2−4.第4実施例の組成物及び無機膜の
形成 第一発明の第3施例のポリ(シロキサン)1.0gと、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナ
ート40mgとをシクロヘキサノン10mlに溶解して
得たものをテフロン製メンブレンフィルタを通して濾過
し、第4実施例の樹脂組成物の塗布溶液とする。これを
シリコン基板上に塗布しホットプレート上で80℃の温
度で1分間プリベークを施し、0.8μmの厚さの皮膜
を形成する。この皮膜に対し加速電圧20KVで電子線
描画を行なう。露光量は15μC/cm2 である。露光
済み試料をホットプレート上で100℃の温度で2分間
ベーキングを施す。次いで、アニソールで30秒間現像
し、その後、キシレンで30秒間リンスをする。この試
料をSEMで観察したところ、0.3μmのL/Sパタ
ーンを解像していることが分かった。
【0070】2−5.第5実施例の組成物及び無機膜の
形成 第一発明の第3施例のポリ(シロキサン)1.0gと、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナ
−ト80mg(樹脂重量に対する重量%で8%に相当)
とをシクロヘキサノン10mlに溶解して得たものをテ
フロン製メンブレンフィルタを通して濾過し、第5実施
例の樹脂組成物の塗布溶液とする。これをシリコン基板
上に塗布しホットプレート上で80℃の温度で1分間プ
リベークを施し、0.6μmの厚さの皮膜を形成する。
この皮膜に対しKrFエキシマステッパ(NA0.4
5、1/5縮小露光するもの)を用いて露光を行なう。
露光量は40mJ/cm2 である。露光済み試料をホッ
トプレート上で100℃の温度で2分間ベーキングを施
す。次いで、アニソールで30秒間現像し、その後、キ
シレンで30秒間リンスをする。この試料をSEMで観
察したところ、0.28μmのL/Sパターンを解像し
ていることが分かった。
【0071】2−6.第6実施例の組成物及び無機膜の
形成 第一発明の第3実施例のポリ(シロキサン)1.0g
と、ホウ酸トリ−t−ブチル100mgと、リン酸トリ
−t−ブチル100mgと、ピロガロールトリメタンス
ルホナート(化学式18の欄中の1つ)100mgとを
シクロヘキサノン10mlに溶解して得たものをテフロ
ン製メンブレンフィルタを通して濾過し、第6実施例の
樹脂組成物の塗布溶液とする。これをシリコン基板上に
塗布しホットプレート上で80℃の温度で1分間プリベ
ークを施し、0.4μmの厚さの皮膜を形成する。この
皮膜に対しKrFエキシマステッパ(NA0.45,1
/5縮小露光するもの)を用いて露光を行なう。露光量
は60mJ/cm2 である。露光済み試料をホットプレ
ート上で100℃の温度で2分間ベーキングを施す。次
いで、アニソールで30秒間現像し、その後、キシレン
で30秒間リンスをする。この試料をSEMで観察した
ところ、0.34μmのホールパターンを解像している
ことが分かった。また、同じ試料中の50μm角のパッ
ドパターンを顕微FT−IRにより分析した結果、t−
ブチル基に基づく波数3000cm-1付近及び1600
cm-1付近のC−H伸縮振動、C−C伸縮振動の吸収が
完全に消失し、一方、波数1300-1付近にB−O伸縮
振動、P=O伸縮振動、波数1100cm-1付近にP−
O伸縮振動がそれぞれ観測された。この結果より、露光
部分はホウ酸とリン酸とがドープされたケイ酸ガラスい
わゆるBPSG膜に変化していることが分かった。
【0072】2−7.第7実施例の組成物及び無機膜の
形成 第一発明の第3実施例のシリコーン樹脂1.0gと、所
定のモノシランの一例としてのジ−t−ブトキシビス
(2−メトキシエトキシ)シラン0.2gと、酸発生剤
としてのトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタン
スルホナ−ト80mgとをシクロヘキサノン10mlに
溶解して得たものをテフロン製メンブレンフィルタを通
して濾過し、第7実施例の樹脂組成物の塗布溶液とす
る。これをシリコン基板上に塗布しホットプレート上で
80℃の温度で1分間プリベークを施し、0.9μmの
厚さの皮膜を形成する。この皮膜に対しKrFエキシマ
ステッパ(NA0.45,1/5縮小露光するもの)を
用いて露光を行なう。露光量は30mJ/cm2 であ
る。露光済み試料をホットプレート上で100℃の温度
で2分間ベーキングを施す。次いで、アニソールで30
秒間現像し、その後、キシレンで30秒間リンスをす
る。この試料をSEMで観察したところ、0.35μm
のL/Sパターンを解像していることが分かった。この
第7実施例の場合所定のモノシランを含有させた分膜厚
の厚い皮膜(ここでは0.9μmの皮膜)が形成できる
ことが分かる。
【0073】2−8.第8実施例の組成物及び無機膜の
形成 第一発明の第5実施例のシリコーン樹脂(水酸基を除去
したもの)1.0gと、酸発生剤としてのトリフェニル
スルホニウムトリフルオロメタンスルホナ−ト80mg
とをテトラヒドロフラン20mlに溶解して得たものを
テフロン製メンブレンフィルタを通して濾過し、第8実
施例の樹脂組成物の塗布溶液とする。これをシリコン基
板上に塗布しホットプレート上で80℃の温度で1分間
プリベークを施し、0.5μmの厚さの皮膜を形成す
る。この皮膜に対しKrFエキシマステッパ(NA0.
45,1/5縮小露光するもの)を用いて露光を行な
う。露光量は8mJ/cm2 である。露光済み試料をホ
ットプレート上で100℃の温度で2分間ベーキングを
施す。次いで、アニソール/テトラヒドロフランの1/
1混合液で30秒間現像し、その後、キシレンで30秒
間リンスをする。この試料をSEMで観察したところ、
0.25μmのL/Sパターンを解像していることが分
かった。
【0074】なお、上述の実施例では半導体装置への適
用を想定してシリコン基板上に膜を形成する例を説明し
たが、ケイ酸ガラス軽無機膜を必要とする各種の分野、
例えば、TFT液晶ディスプレイの保護膜や光導波路の
導波路自身にも適用出来る。
【0075】
【発明の効果】上述した説明からも明らかなように、こ
の出願の第一発明のシリコーン樹脂は、置換基の全部が
所定のアルコキシル基であるポリ(シロキサン)或いは
置換基の一部が所定のアルコキシル基で残りが水酸基で
あるポリ(シロキサン)で構成してある。このシリコー
ン樹脂及びこれと酸発生剤とを含む組成物では、所定の
アルコキシル基のアルキル基部分はイオンの作用やエネ
ルギー線照射で生じる酸の作用で脱離する。アルキル基
の脱離のために従来は少なくとも700℃の温度が必要
であったのに対し、この発明のシリコーン樹脂や組成物
では大幅に低い温度(高くとも200℃程度の温度)で
アルキル基の脱離が行なわれる。アルキル基が脱離した
部分はシラノールを有するポリ(シロキサン)になりこ
れは縮合するのでケイ酸系無機膜が得られる。このよう
にこの発明のシリコーン樹脂及びこれを含むシリコーン
樹脂組成物では、温和な成膜条件でケイ酸ガラス系無機
膜が得られる。また、イオンやエネルギ−線を選択的に
照射することで、所望の形状のケイ酸ガラス系無機膜パ
ターンのパターニングが行なえる。
【0076】さらに、このシリコーン樹脂或はこれを含
む組成物で形成されるケイ酸ガラス系無機膜は、炭素
(有機分)が残存しない膜であるのでその後の熱処理で
も有機分に起因するガス発生は生じないから、このガス
発生が原因の膜損傷を防止出来る。また、形成されたケ
イ酸ガラス系無機膜は有機分を含まないため実質的にS
iO2 膜である(酸素プラズマ処理をせずとも実質的に
SiO2 膜である。)から、従来技術(上記文献IIの技
術)で必要であったプラズマ処理をせずに済む。したが
って、膜形成工程の簡略ができると考えられる。これ
は、製造設備、廃液処理設備などを削減できることも意
味するのでデバイスの製造コスト削減も期待出来る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/521 C08K 5/521 5/5415 5/5415 5/55 5/55 C08L 83/04 C08L 83/04 C09D 183/04 C09D 183/04 H01L 21/027 H01L 21/312 C 21/312 21/30 502R 23/29 23/30 R 23/31 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 77/14 C08K 5/00 C08K 5/521 C08K 5/5415 C08K 5/55 C08L 83/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換基の全てが下記に示した置換基のい
    ずれかであるポリ(シロキサン)、或は、置換基の一部
    が下記に示した置換基のいずれかであって残りが水酸基
    であるポリ(シロキサン)で構成され、かつ不規則性構
    造を有するポリ(シロキサン)で構成されたことを特徴
    とする、下記(C)で示されるシリコーン樹脂。第3級
    アルコキシル基、α−置換アリールオキシル基、α,α
    −2置換アリールオキシル基、無置換テトラヒドロピラ
    ニロキシル基、置換テトラヒドロピラニロキシル基、無
    置換テトラヒドロフラニロキシル基、置換テトラヒドロ
    フラニロキシル基、2−アルコキシエトキシル基、2−
    アリールオキシエトキシル基、2−アルカノイロキシエ
    トキシル基。 【化27】
  2. 【請求項2】 置換基の全てが下記に示した置換基のい
    ずれかであるポリ(シロキサン)、或は、置換基の一部
    が下記に示した置換基のいずれかであって残りが水酸基
    であるポリ(シロキサン)で構成され、かつケイ素数2
    個以上のものおよび高分子鎖に分岐構造を含むもののう
    ち、一方あるいは双方を含むポリ(シロキサン)で構成
    されたことを特徴とする、下記(C)で示されるシリコ
    ーン樹脂。第3級アルコキシル基、α−置換アリールオ
    キシル基、α,α−2置換アリールオキシル基、無置換
    テトラヒドロピラニロキシル基、置換テトラヒドロピラ
    ニロキシル基、無置換テトラヒドロフラニロキシル基、
    置換テトラヒドロフラニロキシル基、2−アルコキシエ
    トキシル基、2−アリールオキシエトキシル基、2−ア
    ルカノイロキシエトキシル基。 【化28】
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のシリコ
    ーン樹脂と、酸発生剤とから成るシリコーン樹脂組成物
    であって、前記酸発生剤の量は、露光に用いるエネルギ
    ー線に対する目的の感度が得られる量および前記組成物
    の塗膜が脆弱にならないような量を考慮して決定される
    ことを特徴とするシリコーン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載のシリコ
    ーン樹脂と、ホウ酸エステル及びリン酸エステルの一方
    または双方とから成るシリコーン樹脂組成物であって、 前記ホウ酸エステルがホウ酸トリアルキル及びホウ酸ト
    リアリールの一方または双方であり、 前記リン酸エステルがリン酸トリアルキル及びリン酸ト
    リアリールの一方または双方であり、 前記ホウ酸エステルまたはリン酸エステルの添加量は、
    前記シリコーン樹脂組成物からなるBSG膜、PSG
    膜、またはBPSG膜として要求される性能を考慮して
    決定されるを特徴とするシリコーン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載のシリコ
    ーン樹脂と、シランの水素4個が下記に示した置換基の
    いずれかに置換されたシランとから成るシリコーン樹脂
    組成物であって、 前記シランの種類および使用量は、前記シリコーン樹脂
    組成物の皮膜形成時の塗布性を考慮して決定されること
    を特徴とするシリコーン樹脂組成物。第3級アルコキシ
    ル基、α−置換アリールオキシル基、α,α−2置換ア
    リールオキシル基、置換テトラヒドロピラニロキシル
    基、無置換テトラヒドロピラニロキシル基、置換テトラ
    ヒドロフラニロキシル基、無置換テトラヒドロフラニロ
    キシル基、2−アルコキシエトキシル基、2−アリール
    オキシエトキシル基、2−アルカノイロキシエトキシル
    基。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項2に記載のシリコ
    ーン樹脂を基板上に塗布する工程と、 該基板に塗布されたシリコーン樹脂の皮膜の全面または
    一部の領域にイオンを照射する工程と、 イオン照射済みの試料を加熱する工程と、 該加熱済みの試料の前記皮膜を溶剤によって現像する工
    程とを含むことを特徴とするケイ酸ガラス系無機膜の形
    成方法。
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